(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022619
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】リモート承認システム
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
H04L9/00 675B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127598
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】500037528
【氏名又は名称】株式会社サイバーリンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】水間 乙允
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡単な構成により、ユーザがオンラインで署名対象に署名することができる簡単な構成のリモート承認システムを実現する。
【解決手段】サーバ2は署名対象を示すオンライン署名画面を特定する画面IDが埋め込まれたQRコード5をクライアント端末1Aに送信し表示させ、携帯端末3はQRコード5を撮像して画面IDを取得する。携帯端末3はICカード4から個人情報3bを取得し、ICカード4の署名機能を用いて画面IDに電子署名を行って署名情報3cを生成し、画面ID、個人情報3b及び署名情報3cを本人確認用データ3dとしてサーバ2に送信する。サーバ2は本人確認用データ3dに基づいてユーザAとクライアント端末1Aを認証しユーザAによる署名を承認する。携帯端末によってICカードから個人情報を取得し署名情報と共にサーバに送信する構成によって本人認証がなされて署名できるので構成の簡単なシステムを実現できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがオンラインで署名対象に署名するためのリモート承認システムであって、
前記ユーザが前記署名の実行に際して用いるクライアント端末及び携帯端末と、
前記署名の実行に関するサービスを前記ユーザに提供するウェブサーバと、を備え、
前記クライアント端末は、前記ウェブサーバが管理するオンライン署名画面及び前記ウェブサーバから送信されるQRコードを表示するブラウザを備え、
前記ウェブサーバは、前記携帯端末からのアクセスに応じて署名用アプリを前記携帯端末にインストール可能に提供するアプリ提供部と、前記クライアント端末がアクセスした前記署名対象を示すオンライン署名画面を特定する画面IDが埋め込まれたQRコードを前記クライアント端末に送信するコード送信部と、前記ユーザからの応答に応じて前記ユーザの本人確認及び署名の真正性の確認を行う署名確認部と、を備え、
前記携帯端末は、前記クライアント端末に表示された前記QRコードを撮像して前記画面IDを取得するID取得部と、前記ユーザが所有するICカードから前記ユーザを特定する個人情報を取得するICデータ取得部と、前記ICカードの署名機能を用いて前記画面IDに電子署名を行って署名情報を生成する署名付加部と、前記画面ID、前記個人情報、及び前記署名情報を、本人確認用データとして、前記署名用アプリを用いて前記ウェブサーバに送信するデータ送信部と、を備え、
前記ウェブサーバの前記署名確認部は、前記携帯端末の前記データ送信部から送信されるデータに基づいて前記ユーザ及び前記クライアント端末を認証し、前記ユーザによる署名を承認する、ことを特徴とするリモート承認システム。
【請求項2】
前記ウェブサーバは、前記署名対象となる文書のハッシュ値を生成するハッシュ値計算部を備え、
前記コード送信部は、前記画面IDに加えて前記ハッシュ値が埋め込まれたQRコードを前記クライアント端末に送信し、
前記ID取得部は、前記QRコードから前記画面ID及び前記ハッシュ値を取得し、
前記署名付加部は、前記画面ID及び前記ハッシュ値の両方に、又は前記画面IDに前記電子署名を行うことに替えて前記ハッシュ値に前記電子署名を行って前記署名情報を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載のリモート承認システム。
【請求項3】
前記署名対象となる文書は、ビデオ方式のオンライン会議に参加した複数の参加者が前記ユーザとなって連名で署名する文書であり、
前記ウェブサーバの前記署名確認部は、前記署名の実行が確認されたユーザの情報を他のユーザのクライアント端末に送信する署名通知部を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリモート承認システム。
【請求項4】
前記ICカードは、マイナンバーカード、または公的個人認証サービスによって発行された、本人の顔写真データを含む電子証明書を記録したICカードであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリモート承認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがオンラインで署名対象に署名するためのリモート承認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客が借入の申し込みを行う際に金融機関に出向いて契約書への記入や捺印をしなければならないという顧客の不便解消のため、顧客の認証と顧客による契約書への署名とをオンライン処理で行う契約システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この契約システムは、クライアント端末と、読取端末と、契約書サーバと、管理サーバと、認証局サーバとを備えている。読取端末は、ユーザが所有するマイナンバーカードを読み取り可能な装置である。マイナンバーカードに記録されているユーザの個人情報と公開鍵を含む電子証明書等は、契約書に係る顧客本人としての確認等に用いられる。契約書には、ユーザの個人情報等に基づいて、認証局サーバから発行される電子証明書等に基づく電子署名が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるようなシステムにおいては、認証局サーバが必要とされており、システムが煩雑化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解消するものであって、ユーザがオンラインで署名対象に署名することができる簡単な構成のリモート承認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明のリモート承認システムは、
ユーザがオンラインで署名対象に署名するためのリモート承認システムであって、
前記ユーザが前記署名の実行に際して用いるクライアント端末及び携帯端末と、
前記署名の実行に関するサービスを前記ユーザに提供するウェブサーバと、を備え、
前記クライアント端末は、前記ウェブサーバが管理するオンライン署名画面及び前記ウェブサーバから送信されるQRコード(登録商標)を表示するブラウザを備え、
前記ウェブサーバは、前記携帯端末からのアクセスに応じて署名用アプリを前記携帯端末にインストール可能に提供するアプリ提供部と、前記クライアント端末がアクセスした前記署名対象を示すオンライン署名画面を特定する画面IDが埋め込まれたQRコードを前記クライアント端末に送信するコード送信部と、前記ユーザからの応答に応じて前記ユーザの本人確認及び署名の真正性の確認を行う署名確認部と、を備え、
前記携帯端末は、前記クライアント端末に表示された前記QRコードを撮像して前記画面IDを取得するID取得部と、前記ユーザが所有するICカードから前記ユーザを特定する個人情報を取得するICデータ取得部と、前記ICカードの署名機能を用いて前記画面IDに電子署名を行って署名情報を生成する署名付加部と、前記画面ID、前記個人情報、及び前記署名情報を、本人確認用データとして、前記署名用アプリを用いて前記ウェブサーバに送信するデータ送信部と、を備え、
前記ウェブサーバの前記署名確認部は、前記携帯端末の前記データ送信部から送信されるデータに基づいて前記ユーザ及び前記クライアント端末を認証し、前記ユーザによる署名を承認する、ことを特徴とする。
【0008】
このリモート承認システムにおいて、
前記ウェブサーバは、前記署名対象となる文書のハッシュ値を生成するハッシュ値計算部を備え、
前記コード送信部は、前記画面IDに加えて前記ハッシュ値が埋め込まれたQRコードを前記クライアント端末に送信し、
前記ID取得部は、前記QRコードから前記画面ID及び前記ハッシュ値を取得し、
前記署名付加部は、前記画面ID及び前記ハッシュ値の両方に、又は前記画面IDに前記電子署名を行うことに替えて前記ハッシュ値に前記電子署名を行って前記署名情報を生成してもよい。
【0009】
このリモート承認システムにおいて、
前記署名対象となる文書は、ビデオ方式のオンライン会議に参加した複数の参加者が前記ユーザとなって連名で署名する文書であり、
前記ウェブサーバの前記署名確認部は、前記署名の実行が確認されたユーザの情報を他のユーザのクライアント端末に送信する署名通知部を備えてもよい。
【0010】
このリモート承認システムにおいて、
前記ICカードは、マイナンバーカード、又は公的個人認証サービスによって発行された、本人の顔写真データを含む電子証明書を記録したICカードであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリモート承認システムによれば、ICカードから個人情報を取得する携帯端末を用いて署名情報と個人情報とをウェブサーバに送信する構成によって本人認証がなされて署名できるので、簡単な構成のシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るリモート承認システムの構成を示す模式図。
【
図2】同承認システムを構成するクライアント端末、携帯端末、及びウェブサーバの各構成と相互関連を説明するブロック図。
【
図3】同承認システムの動作を説明するシーケンス図。
【
図4】同承認システムにおいて署名の承認を求めるユーザ(A)のクライアント端末の画面に表示された署名前の画面例を示す図。
【
図5】
図4のクライアント端末の画面に表示された署名後の画面例を示す図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るリモート承認システムを構成するクライアント端末、携帯端末、及びウェブサーバの各構成と相互関連を説明するブロック図。
【
図7】同承認システムの動作を説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態に係るリモート承認システムについて、図面を参照して説明する。
【0014】
図1、
図2に示すように、リモート承認システム10は、ユーザAがオンラインで署名対象に署名するためのシステムであって、ユーザAが署名対象の確認、及び署名の実行等を行うために用いるクライアント端末1A及び携帯端末3と、ウェブサーバ2と、を備えて構成される。このリモート承認システム10において、ユーザAは、本人確認の証明書等として用いられる本人のICカード4を所持している。
【0015】
この実施形態においては、リモート承認システム10を利用して署名対象に(例えば、連名で)署名するユーザA以外の複数(本例では4名であるが0名でも任意人数でもよい)のユーザB,C,D,Eは、それぞれのクライアント端末1B,1C,1D,1Eを用いて参加する。各ユーザB,C,D,Eは、それぞれが携帯端末3と本人のICカード4とを所持している。各クライアント端末1A~1E(クライアント端末1で総称)、ウェブサーバ2、及び携帯端末3はネットワーク9に接続されることにより、データ通信可能である。
【0016】
ここで、署名対象は、例えば、契約書や議事録等の保存すべき記録である。署名は、署名対象について責任、義務、権利等を有する関係者(リモート承認システム10におけるユーザ)がその旨を明記するために行う。署名は、真の関係者であって所定の資格や権限を有する者が行う。そのため本人確認が厳密に行われる必要がある。本人確認は、通常、第3者や公的認証(例えば、印鑑証明書、電子署名)を用いて行われる。
【0017】
ユーザは、本人確認がなされることにより、署名有資格者として認証され、ユーザが署名することが承認機関としてのウェブサーバ2によって承認され、ユーザによる署名処理が有効になる。また、署名対象に署名する者は、署名対象の記載内容に合意や承認をした上で、その承認の証として署名するので、ユーザによる承認と署名とは、実質的に同じである。
【0018】
クライアント端末1Aは、署名対象や署名処理の進行を表示し、ウェブサーバ2から送信されるQRコード5を表示するブラウザ11を備えている。クライアント端末1Aは、ブラウザ11の機能を有してネットワーク9に接続可能な汎用のPC(パーソナルコンピュータ)を用いることができる。
【0019】
クライアント端末1は、ウェブサーバ2が管理するオンライン署名画面及びウェブサーバ2から送信されるQRコード5を表示するブラウザ11を備える。
【0020】
ウェブサーバ2は、署名の実行に関するサービスをユーザに提供するサーバであり、アプリ提供部21と、コード送信部22と、署名確認部23と、署名通知部24とを備える。
【0021】
アプリ提供部21は、携帯端末3からのアクセスに応じて署名用アプリ30を携帯端末3にインストール可能に提供する。
【0022】
コード送信部22は、クライアント端末1Aがアクセスした署名対象を示すオンライン署名画面を特定する画面ID:3aが埋め込まれたQRコード5をクライアント端末1Aに送信する。画面IDは、署名対象を特定する情報だけに限られず、署名を要求してきたユーザを識別する情報も含まれる。従って、QRコード5は、これを要求して受け取ったユーザAに固有のコードである。
【0023】
署名確認部23は、ユーザAからの応答に基づいてユーザAの本人確認及び署名の真正性の確認を行い、署名が正式な手続きでなされたものであると認めて認証する。より具体的には、携帯端末3から送信される本人確認用データ3dに基づいて、ユーザAがクライアント端末1AのユーザAとして認証され本人確認がなされる。本人確認用データ3dは、画面ID:3a、個人情報3b、及び署名情報3cを含んでいる。
【0024】
署名通知部24は、署名の完了が確認されたユーザAのクライアント端末1にその旨を送信する。また、署名通知部24は、連名で署名する文書である署名対象への署名の完了が確認されたユーザの情報を他のユーザのクライアント端末1に送信する。この場合の署名対象は、例えば、ビデオ方式のオンライン会議に参加した複数の参加者がユーザとなって連名で署名する議事録や議決文書である。
【0025】
携帯端末3は、署名用アプリ30と、ID取得部31と、カメラである撮像手段32と、ICデータ取得部33と、署名付加部34と、データ送信部35とを備えている。携帯端末3は、ユーザインタフェイスとしてのブラウザを備えている。このような携帯端末3として、ネットワーク9に接続可能な携帯の電子機器、例えばスマートフォン、タブレット等が用いられる。
【0026】
署名用アプリ30は、ウェブサーバ2からダウンロードされてインストールされたアプリケーションソフトウエアである。署名用アプリ30は、ユーザを支援するとともに、データ処理を行い、携帯端末3のハードウエアを制御してID取得部31、ICデータ取得部33、及びデータ送信部35等を動作させる。
【0027】
ID取得部31は、クライアント端末1Aに表示されたQRコード5を、撮像手段32を用いて撮像し、データ処理して画面ID:3aを取得する。
【0028】
ICデータ取得部33は、ユーザAが所有するICカード4からユーザAを特定する個人情報3bを取得する。ICデータ取得部33は、ICカード4に内蔵されたICチップに対し近距離無線通信(NFC)によって、読み取り又は書き込みを行う。
【0029】
署名付加部34は、ICカード4の署名機能を用いて画面ID:3aに電子署名を行って署名情報3cを生成する。ICカード4の署名機能は、例えば、ICカードに記録されている秘密鍵や公開鍵を用いて、署名対象文書に関連する暗号文を生成する機能である。
【0030】
データ送信部35は、画面ID:3a、個人情報3b、及び署名情報3cを、本人確認用データ3dとして、署名用アプリ30を用いてウェブサーバ2に送信する。
【0031】
ICカード4は、近距離無線通信(NFC)によって読み取りと書き込みが可能なICチップを内蔵したカードである。ICカード4のICチップには、所有者であるユーザAを認証するために用いられる認証情報として、電子証明書(利用者証明用証明書、署名用電子証明書)や所有者の券面写真の画像データ等が記憶されている。ICカード4として、例えば、市区町村窓口において取得できる、公的個人認証サービスのもとで発行される個人番号カード(マイナンバーカード)を用いればよい。
【0032】
ユーザAは、ICデータ取得部33がICカード4との近距離無線通信をする際に、PINコード等の入力が求められる。ICカード4から個人情報等のデータが読み取られたという事実は、ICカード4の所有者しか知り得ないPINコード等が入力されたことを意味する。従って、携帯端末3の操作者であるユーザAがICカード4の所有者として認められる。また、ユーザAは、本人確認用データ3dによって人物の同定がなされる。
【0033】
また、本人確認用データ3dには、ICカード4から取得される顔写真のデータを含めてもよい。顔写真のデータは、リモート承認システムにおいてユーザAの画像をウェブサーバ2に送信して顔画像のAI自動認識処理を行う場合に、本人確認の比較データとして用いることができる。ICカード4がマイナンバーカードである場合は公的個人認証として住民票のデータ(名前、住所等)が含まれるので、高い信憑性で本人確認ができる。
【0034】
認証用のアプリケーションソフトウエアである署名用アプリ30の動作と制御もとで、クライアント端末1Aの画面に表示されたQRコード5のデータが読み込まれ、ICカード4のデータが読み込まれる、という2つの操作によって、クライアント端末1Aと携帯端末3の2つのデバイスが関連付けられ、デバイス間のデータが関連付けられる。
【0035】
次に、
図1、
図2に加えて、
図3の動作シーケンスを参照して、リモート承認システム10において実行されるユーザ認証を時系列に沿って説明する。クライアント端末1AのユーザAは、ウェブサーバ2による認証を受けて署名を完了するため、携帯端末3を用いて、ウェブサーバ2に対し、ユーザ認証に用いる署名用アプリ30のダウンロードによる提供を要求する(S1)。
【0036】
ウェブサーバ2のアプリ提供部21は、携帯端末3から署名用アプリ30のダウンロード要求があると、アプリ提供部21が署名用アプリ30を携帯端末3に送信する。携帯端末3は、そのダウンロードを実行する(S2)。署名用アプリ30は、ウェブサーバ2のアプリ提供部21からダウンロードされる。携帯端末3は、署名用アプリ30がインストールされることにより、ID取得部31、ICデータ取得部33、署名付加部34、及びデータ送信部35が動作可能になる(S3)。
【0037】
ユーザAは、クライアント端末1Aを操作して、ウェブサーバ2に対し、署名のためのQRコード5送信を要求する(S4)。
【0038】
ウェブサーバ2のコード送信部22は、クライアント端末1Aからのアクセスに応じて署名対象を示すオンライン署名画面及びユーザAを特定する画面IDが埋め込まれたQRコード5を生成し(S5)、クライアント端末1Aに送信する(S6)。
【0039】
QRコード5は、ブラウザ11によって、クライアント端末1Aの画面に表示される(S7)。
【0040】
携帯端末3は、ユーザAの操作により、クライアント端末1Aの画面に表示されたQRコード5を撮像手段32によって撮像する(S8)。QRコード5の画像データは、携帯端末3のID取得部31によって解読され、QRコード5に埋め込まれた会議ID:31aが取得される(S9)。
【0041】
携帯端末3のICデータ取得部33は、ユーザAの操作により、ICカード4からユーザAの個人情報3b及び電子署名用情報を取得する(S10)。
【0042】
携帯端末3の署名付加部34は、ICデータ取得部33によって取得された電子署名用情報と、ICカード4の署名機能とを用いて、画面ID:3に電子署名を付加して、署名情報3cを生成する(S11)。
【0043】
携帯端末3のデータ送信部35は、ユーザAの操作により、画面ID:3a、個人情報3b及び署名情報3cを、本人確認用データ3dとしてウェブサーバ2に送信する(S12)。
【0044】
ウェブサーバ2の署名確認部23は、携帯端末3から送信されてきた本人確認用データ3d(画面ID:3a、個人情報3b及び署名情報3c)を受信することによりユーザAをクライアント端末1AのユーザAとして本人確認をする(S13)。
【0045】
また、署名確認部23は、本人確認用データ3dに基づく本人確認ができたことにより、ユーザAを真の署名者として認証し、ユーザAによる署名を承認する旨の通知を、署名通知部24を介して、又は介さずに署名確認部23から直接、携帯端末3に送信する(S14)。
【0046】
ユーザAは、携帯端末3から署名用アプリ30を用いて署名を実行し(S15)、署名を実行した旨の報告をウェブサーバ2に送信し(S16)、ウェブサーバ2は、これを確認する(S17)。
【0047】
ウェブサーバ2の署名通知部24は、承認されたユーザAによる署名が実行されて完了した旨を他のユーザB~Eに通知するため、クライアント端末1Aに加え、クライアント端末1B~1Eに署名完了通知を配信する(S18)。なお、S14,S15,S16に関する処理は、クライアント端末1Aにおいて、または携帯端末3とクライアント端末1Aの両方において、実行できるようにしてもよい。
【0048】
(クライアント端末の画面の例)
図4、
図5は、ユーザAのクライアント端末1Aの画面6であって、ユーザAによる署名の完了前後における時間的に署名前(
図4)と署名後(
図5)の画面例を示す。このような画面は、例えば、あるオンライン会議の事務局において議事録が完成し、その議事録の各関係者がオンラインで署名をする際の画面例として想定される。
【0049】
この例の画面6は、左側上段の大きな文書画面61と、左側下段の署名欄画面62と、右側下のユーザ表示画面63と、右側上のQRコード表示画面64とに分かれている。文書画面61には、署名対象の文書が表示される。
【0050】
署名欄画面62には、署名が要求される所定の関係者の氏名が記されている。署名することが認証されて署名が完了したユーザ、
図5の例では、鈴木一郎と佐藤良夫の2名については、署名が完了している旨の印章6a,6bが付されている。このような印章の付与は、例えば、ユーザが認証通知(S14)を受け取った後の署名実行(S15)の段階で、事前に登録している印章が、署名表示欄62に表示される。なお、携帯端末3のタッチパネルを用いて、指先で手入力のサインを書き込み、これを署名用印章として使用できるようにしてもよい。
【0051】
ユーザ表示画面63には、ユーザAの顔写真(例えば、ICカード4から読みだされた顔写真)が表示されている。このユーザ表示画面63に表示される画像は、ユーザAに限られず、他のユーザの画像を、例えば署名欄画面62に表示された氏名をクリックして選択したユーザの画像としてもよく、画像はユーザの動画像であってもよい。
【0052】
QRコード表示画面64には、文書画面61に表示された署名対象を一意的に特定する画面IDを埋め込んだQRコード5が表示される。このQRコード5は、ユーザAが署名するためにウェブサーバ2に要求したものであり、ユーザA従ってクライアント端末1Aを特定するコードを含んでいる。
【0053】
本実施形態のリモート承認システム10によれば、署名対象となるデータの流通をさせることなく、本人確認を厳密に行った電子署名を安全にリモートで行うことができる。また、ICカード4から個人情報を取得する携帯端末3を用いて署名情報と個人情報とをウェブサーバ2に送信する構成によって本人認証がなされて署名が承認されるので、簡単な構成のシステムを実現できる。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るリモート承認システムについて、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6に示すように、本実施形態のリモート承認システム10は、第1の実施形態に係るリモート承認システム10におけるウェブサーバ2がハッシュ値計算部25を更に備えたものとなっており、これに関連する点が異なる。
【0055】
本実施形態の動作シーケンスとしては、
図7に示すように、ウェブサーバ2のハッシュ値計算部25は、署名対象となる文書のハッシュ値3hを生成する(S5)。また、ウェブサーバ2のコード送信部22は、画面ID:3aとハッシュ値3hとが埋め込まれたQRコード5をクライアント端末1Aに送信する(S6)。
【0056】
また、携帯端末3のID取得部31は、QRコード5から画面ID:3a及びハッシュ値3hを取得する(S9)。また、携帯端末3の署名付加部34は、画面ID:3a及びハッシュ値3hの両方に、電子署名を行って署名情報3cを生成する(S11)。このS11のステップにおいて、画面ID:3aには電子署名を行わず、ハッシュ値3hだけに電子署名を行って署名情報3cを生成するようにしてもよい。
【0057】
本実施形態において、携帯端末3のデータ送信部35がウェブサーバ2に送信する本人確認用データ3dには、電子署名されたハッシュ値3hが含まれる。ウェブサーバ2の署名確認部23は、電子署名されたハッシュ値3hを用いてユーザAの本人確認を行うことになる(S13)。他の動作については、上述した第1の実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態のリモート承認システム10によれば、署名対象のデータから算出されたハッシュ値3hをQRコード5に埋め込み表示し、ICカードリーダ機能を有する携帯端末3を用いて、表示されたQRコード5からハッシュ値3hを取り出し、本人確認が可能なICカード4をPINコード等で認証した後、ハッシュ値3hに署名してウェブサーバ2に伝送するので、元データ、ハッシュ値、本人確認、署名を紐づけることができる。
【0059】
また、本実施形態のリモート承認システム10は、QRコード5の表示装置であるクライアント端末1と、電子署名を行う装置である携帯端末3と、を分離させた構成であるので、認証機能をもたない汎用的なPC(パーソナルコンピュータ)等の表示端末に、電子署名の機能や認証機能を付加してリモート承認システムを容易に構成することができ、更に、この分離した構成によって、盗聴等に対する安全性を高めることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、QRコード5のデータをクライアント端末1に送信し表示することに替えて、QRコード5のデータを携帯端末に直接送信する構成とすることにより、携帯端末3とウェブサーバ2とによって構成される簡易なリモート承認システム10としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B,1C,1D,1E クライアント端末
10 承認システム
11 ブラウザ
2 ウェブサーバ
21 アプリ供給部
22 コード送信部
23 署名確認部
24 署名通知部
25 ハッシュ値計算部
3 携帯端末
3a 画面ID
3d 本人確認用データ
3b 個人情報
3c 署名情報
3h ハッシュ値
30 署名用アプリ
31 ID取得部
32 撮像手段
33 ICデータ取得部
34 署名付加部
35 データ送信部
4 ICカード
5 QRコード(登録商標)