(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022624
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】分散型電源システム及び充放電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20230208BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230208BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230208BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127603
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】山本 明日香
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA10
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA04
5G066JB03
5G066KA06
5G503AA01
5G503AA05
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進する状態と逆潮流を抑制する状態とを切り替えることができる分散型電源システムを提供する。
【解決手段】分散型電源システムであって、発電装置8は、電力負荷装置3が第3接続箇所6から受け取る負荷電力P4と充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る受取電力P7との和の電力に追従するように、第2接続箇所5へ供給する供給電力P6を調節し、充放電装置9は、充放電部9aの充電傾向が大きかった場合、太陽電池装置7の供給電力P5の逆潮流が促進されるように最大受取電力と最小受取電力との間の範囲で受取電力P7を調節する第1動作モードに切り替えて動作し、充放電部9aの放電傾向が大きかった場合、太陽電池装置7の供給電力P5の逆潮流が抑制されるように、受取電力P7を調節する第2動作モードに切り替えて動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される電力線と、太陽電池装置と、発電装置と、充放電部を有する充放電装置とを備え、
前記電力線の上流側に前記電力系統への接続箇所が設けられ、前記電力系統への接続箇所から下流側に向かって、前記電力線上に第1接続箇所及び第2接続箇所及び第3接続箇所がその並び順で設けられ、
電力負荷装置は前記第3接続箇所に接続され、前記太陽電池装置は前記第1接続箇所に接続され、前記発電装置は前記第2接続箇所に接続され、前記充放電装置は前記第3接続箇所に接続される分散型電源システムであって、
前記充放電装置による前記第3接続箇所からの充電電力を正の受取電力と見なし、前記充放電装置による前記第3接続箇所への放電電力を負の受取電力と見なした場合、
前記発電装置は、前記電力負荷装置が前記第3接続箇所から受け取る負荷電力と前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る前記受取電力との和の電力に追従するように、最大供給電力と最小供給電力との間の範囲で前記第2接続箇所へ供給する供給電力を調節し、
前記充放電装置は、前記充放電部の充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、前記太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進されるように最大受取電力と最小受取電力との間の範囲で前記受取電力を調節する第1動作モードに切り替えて動作し、前記充放電部の充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、前記太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制されるように前記最大受取電力と前記最小受取電力との間の範囲で前記受取電力を調節する第2動作モードに切り替えて動作する分散型電源システム。
【請求項2】
前記充放電装置は、
前記第1動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が所定の第2目標電力になるように前記受取電力を調節し、
前記第2動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所に向かう電力を前記第2目標電力にする場合に前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る必要がある第1仮受取電力と、前記電力系統から前記第1接続箇所に向かう電力を所定の第3目標電力にする場合に前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る必要がある第2仮受取電力とを導出し、前記第1仮受取電力及び前記第2仮受取電力のうちの大きい方を前記受取電力として決定する請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記充放電装置は、
前記第1動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が前記発電装置の発電電力よりも設定電力だけ大きい電力になるように前記受取電力を調節し、
前記第2動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が、前記発電装置の発電電力よりも前記設定電力だけ大きい電力に、前記太陽電池装置が前記第1接続箇所に供給する電力を加算した値になるように前記受取電力を調節する請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記充放電装置は、
前記第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での前記充放電部の蓄電残量の最大値が第1蓄電残量以下の場合には前記第2動作モードに切り替えて動作し、
前記第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での前記充放電部の蓄電残量の最低値が、前記第1蓄電残量よりも大きい第2蓄電残量以上の場合には前記第1動作モードに切り替えて動作する請求項1~3の何れか一項に記載の分散型電源システム。
【請求項5】
前記充放電装置は、
前記第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での前記充放電部からの合計放電電力量が第1放電電力量以上又は前記充放電部への合計充電電力量が第1充電電力量以下の場合には前記第2動作モードに切り替えて動作し、
前記第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での前記充放電部からの合計放電電力量が第2放電電力量以下又は前記充放電部への合計充電電力量が第2充電電力量以上の場合には前記第1動作モードに切り替えて動作する請求項1~3の何れか一項に記載の分散型電源システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の分散型電源システムで用いられる前記充放電装置の機能を備える充放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される電力線と、太陽電池装置と、発電装置と、充放電装置とを備える分散型電源システム及び充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5731241号公報)には、商用電源に接続される受電ラインと、太陽電池と、燃料電池と、蓄電部とを備える分散型電源システムが記載されている。この分散型電源システムでは、蓄電コントローラが蓄電側インバータの作動を制御することにより、蓄電部に充電する充電運転と蓄電部から放電させる放電運転とを択一的に実行するように構成されている。そして、蓄電部へ充電する場合、蓄電コントローラは、負荷電力と蓄電部に充電するための目標充電電力との合算値である総負荷電力を、燃料電池の最大出力電力に固定的に設定した状態で、目標充電電力を設定することが記載されている。例えば、燃料電池の最大出力電力が700Wの場合、負荷電力が300Wであるとすると、目標充電電力は400Wに設定される。
また、燃料電池の発電コントローラは、燃料電池から商用電源への逆潮流を生じさせない条件で、負荷電力と充放電部に充電するための目標充電電力との合算値である総負荷電力に応じて出力電力を調整する。つまり、燃料電池は、燃料電池から商用電源への逆潮流を生じさせない条件で、最大の発電電力を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は、特許文献1と同様の構成の分散型電源システムの構成を示す図である。具体的には、
図9には、電力系統1に接続される電力線2と、太陽電池装置7と、発電装置としての燃料電池装置8と、充放電装置9とを備える分散型電源システムを記載している。
この分散型電源システムでは、充放電装置9は、第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力を測定する電力測定部12の測定結果を参照して、その電力が燃料電池装置8の最大発電電力(例えば700W)になるように充放電する。また、燃料電池装置8は、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力を測定する電力測定部11の測定結果を参照して、その電力が所定電力(例えば0W)になるように供給電力を制御する。
図9に示した各電力の値は特許文献1の上記例と同様の値であり、燃料電池装置8の出力電力が700W、電力負荷装置3の負荷電力が300W、充放電装置9の充電電力が400Wになる場合である。つまり、特許文献1に記載されている分散型電源システムでは、太陽電池装置7の発電電力の全てが電力系統1へ逆潮流されることを目標にしている。
【0005】
太陽電池装置7の発電電力が固定価格買取制度の適用を受けて買い取られる場合、上述のように太陽電池装置7の発電電力の全てが電力系統1へ逆潮流されるような制御を行えば、経済的な利益が大きくなる。但し、固定価格買取制度の適用を受けることができなくなった場合、太陽電池装置7の発電電力を逆潮流させない方が好ましい場合がある。その場合、燃料電池装置8及び充放電装置9がそれまで同様の制御を行っていたのでは、太陽電池装置7の発電電力を充放電装置9で積極的に充電する又は電力負荷装置3で積極的に消費することはできない。
【0006】
尚、燃料電池装置8を第3接続箇所6の下流側(即ち、第3接続箇所6と電力負荷装置3との間)に接続して、太陽電池装置7の発電電力を充放電装置9で充電するような変更も可能であるが、配線変更が必要になり、系統連系申請をやり直す必要があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進する状態と逆潮流を抑制する状態とを切り替えることができる分散型電源システム及び充放電装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型電源システムの特徴構成は、電力系統に接続される電力線と、太陽電池装置と、発電装置と、充放電部を有する充放電装置とを備え、
前記電力線の上流側に前記電力系統への接続箇所が設けられ、前記電力系統への接続箇所から下流側に向かって、前記電力線上に第1接続箇所及び第2接続箇所及び第3接続箇所がその並び順で設けられ、
電力負荷装置は前記第3接続箇所に接続され、前記太陽電池装置は前記第1接続箇所に接続され、前記発電装置は前記第2接続箇所に接続され、前記充放電装置は前記第3接続箇所に接続される分散型電源システムであって、
前記充放電装置による前記第3接続箇所からの充電電力を正の受取電力と見なし、前記充放電装置による前記第3接続箇所への放電電力を負の受取電力と見なした場合、
前記発電装置は、前記電力負荷装置が前記第3接続箇所から受け取る負荷電力と前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る前記受取電力との和の電力に追従するように、最大供給電力と最小供給電力との間の範囲で前記第2接続箇所へ供給する供給電力を調節し、
前記充放電装置は、前記充放電部の充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、前記太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進されるように最大受取電力と最小受取電力との間の範囲で前記受取電力を調節する第1動作モードに切り替えて動作し、前記充放電部の充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、前記太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制されるように前記最大受取電力と前記最小受取電力との間の範囲で前記受取電力を調節する第2動作モードに切り替えて動作する点にある。
【0009】
ここで、前記充放電装置は、前記第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での前記充放電部の蓄電残量の最大値が第1蓄電残量以下の場合には前記第2動作モードに切り替えて動作し、前記第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での前記充放電部の蓄電残量の最低値が、前記第1蓄電残量よりも大きい第2蓄電残量以上の場合には前記第1動作モードに切り替えて動作してもよい。
或いは、前記充放電装置は、前記第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での前記充放電部からの合計放電電力量が第1放電電力量以上又は前記充放電部への合計充電電力量が第1充電電力量以下の場合には前記第2動作モードに切り替えて動作し、前記第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での前記充放電部からの合計放電電力量が第2放電電力量以下又は前記充放電部への合計充電電力量が第2充電電力量以上の場合には前記第1動作モードに切り替えて動作してもよい。
【0010】
上記特徴構成によれば、発電装置は、電力負荷装置が第3接続箇所から受け取る負荷電力と充放電装置が第3接続箇所から受け取る受取電力との和の電力に追従するように、供給電力を調節する。つまり、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力が大きい場合には発電装置の供給電力はそれに応じて大きくなり、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力が小さい場合には発電装置の供給電力はそれに応じて小さくなる。また、充放電装置が受取電力を大きくする調節を行った場合、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力が大きくなる。その結果、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力を発電装置の供給電力で賄うことができなくなると、太陽電池装置の発電電力がその電力を賄うために利用される。つまり、充放電装置が受取電力を大きくする調節を行うことで、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制されるとも言える。それに対して、充放電装置が受取電力を小さくする調節を行った場合、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力が小さくなる。その結果、電力負荷装置の負荷電力と充放電装置の受取電力との和の電力を発電装置の供給電力で賄うことができると、太陽電池装置の発電電力はその電力を賄うために利用されない。つまり、充放電装置が受取電力を小さくする調節を行うことで、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進されるとも言える。
【0011】
このように、充放電装置の受取電力を調節することで、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進すること、及び、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を抑制することが可能である。そして本特徴構成では、充放電装置は、充放電部の充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進されるように受取電力を調節する第1動作モードで動作し、充放電装置は、充放電部の充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制されるように受取電力を調節する第2動作モードで動作する。つまり、充放電部の充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進されるように、即ち、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され難くなるため、充放電部の蓄電残量が大きくなり過ぎることを防止できる。また、充放電部の充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制されるように、即ち、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され易くなるため、充放電部の蓄電残量が小さくなり過ぎることを防止できる。
従って、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進する状態と逆潮流を抑制する状態とを切り替えることができる分散型電源システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る分散型電源システムの別の特徴構成は、前記充放電装置は、前記第1動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が所定の第2目標電力になるように前記受取電力を調節し、前記第2動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所に向かう電力を前記第2目標電力にする場合に前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る必要がある第1仮受取電力と、前記電力系統から前記第1接続箇所に向かう電力を所定の第3目標電力にする場合に前記充放電装置が前記第3接続箇所から受け取る必要がある第2仮受取電力とを導出し、前記第1仮受取電力及び前記第2仮受取電力のうちの大きい方を前記受取電力として決定する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第1動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、電力線において第2接続箇所から第3接続箇所へ向かう電力が第2目標電力になるように調節される。また、第2動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、電力線において第2接続箇所から第3接続箇所に向かう電力を第2目標電力にする場合に充放電装置が第3接続箇所から受け取る必要がある第1仮受取電力と、電力系統から第1接続箇所に向かう電力を所定の第3目標電力にする場合に充放電装置が第3接続箇所から受け取る必要がある第2仮受取電力とのうちの大きい方になる。つまり、第2動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、第1動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力以上になる。そのため、充放電装置が第2動作モードで動作している間は、充放電装置が第1動作モードで動作している間よりも、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され易くなり、その結果、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制される。それに対して、充放電装置が第1動作モードで動作している間は、充放電装置が第2動作モードで動作している間よりも、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され難くなり、その結果、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進される。
【0014】
本発明に係る分散型電源システムの更に別の特徴構成は、前記充放電装置は、前記第1動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が前記発電装置の発電電力よりも設定電力だけ大きい電力になるように前記受取電力を調節し、前記第2動作モードの場合、前記電力線において前記第2接続箇所から前記第3接続箇所へ向かう電力が、前記発電装置の発電電力よりも前記設定電力だけ大きい電力に、前記太陽電池装置が前記第1接続箇所に供給する電力を加算した値になるように前記受取電力を調節する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第1動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、電力線において第2接続箇所から第3接続箇所へ向かう電力が発電装置の発電電力よりも設定電力だけ大きい電力になるように調節される。また、第2動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、電力線において第2接続箇所から第3接続箇所へ向かう電力が、発電装置の発電電力よりも設定電力だけ大きい電力に、太陽電池装置が第1接続箇所に供給する電力を加算した値になるように調節される。つまり、第2動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力は、第1動作モードで動作する場合の充放電装置の受取電力以上になる。そのため、充放電装置が第2動作モードで動作している間は、充放電装置が第1動作モードで動作している間よりも、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され易くなり、その結果、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が抑制される。それに対して、充放電装置が第1動作モードで動作している間は、充放電装置が第2動作モードで動作している間よりも、太陽電池装置の発電電力が電力負荷装置の負荷電力及び充放電装置の充電で利用され難くなり、その結果、太陽電池装置の発電電力の逆潮流が促進される。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る充放電装置の特徴構成は、上記分散型電源システムで用いられる前記充放電装置の機能を備える点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進する状態と逆潮流を抑制する状態とを切り替えることができる分散型電源システムで用いられる充放電装置の機能を備える充放電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図5】第2実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図6】第2実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図7】第2実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【
図8】第2実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る分散型電源システム及びその分散型電源システムで用いられる充放電装置について説明する。
図1~
図4は、第1実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。図示するように、分散型電源システムは、電力系統1に接続される電力線2と、太陽電池装置7と、発電装置としての燃料電池装置8と、充放電部9aを有する充放電装置9とを備える。電力線2の上流側に電力系統1への接続箇所が設けられ、電力系統1への接続箇所から下流側に向かって、電力線2上に第1接続箇所4及び第2接続箇所5及び第3接続箇所6がその並び順で設けられる。電力負荷装置3は第3接続箇所6に接続され、太陽電池装置7は第1接続箇所4に接続され、燃料電池装置8は第2接続箇所5に接続され、充放電装置9は第3接続箇所6に接続される。
【0020】
図中では、電力系統1から第1接続箇所4に供給される電力をP1と表す。太陽電池装置7が電力線2の第1接続箇所4に供給する電力をP5と表す。電力線2の第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力をP2と表す。電力線2の第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力をP3と表す。電力負荷装置3が電力線2の第3接続箇所6から受け取る電力をP4と表す。燃料電池装置8が電力線2の第2接続箇所5に供給する供給電力をP6と表す。充放電装置9による第3接続箇所6からの充電電力を正の受取電力と見なし、充放電装置9による第3接続箇所6への放電電力を負の受取電力と見なして、その受取電力をP7と表す。
【0021】
発電装置としての燃料電池装置8は、発電部としての燃料電池部8aと、燃料電池部8aで発生した電力を、所望の電圧、周波数、位相の電力に変換して電力線2に出力するための電力変換部8bと、燃料電池部8a及び電力変換部8bの動作を制御する発電制御部としての燃料電池制御部8cとを有する。
【0022】
燃料電池部8aは、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いて実現できる。或いは、燃料電池部8aを、固体高分子形燃料電池(PEFC)などの他のタイプの燃料電池を用いて実現してもよい。尚、図示は省略するが、燃料電池装置8が、燃料電池部8aのアノードに供給する燃料ガスとしての水素等を改質処理により生成する燃料改質器などを備えていてもよい。そして、燃料電池制御部8cは、燃料電池部8aの運転開始、運転停止、出力状態などを制御する。また、燃料電池制御部8cは、電力変換部8bによる電力変換動作を制御する。
【0023】
燃料電池制御部8cには、電力測定部11で計測される電力についての情報が伝達される。電力測定部11は、電力線2の途中の、第1接続箇所4と第2接続箇所5との間に設けられ、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2を計測する。電力測定部11は、例えば電力線2における電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成され、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力線2での電力値を導出できる。尚、電力測定部11は電力線2での電力の電流値のみを燃料電池制御部8cに伝達し、燃料電池制御部8cが電力値の導出を行ってもよい。
【0024】
電力測定部11が計測する電力P2は、電力負荷装置3が電力線2から受け取る負荷電力P4と、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和から、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を減算した値に対応する。
【0025】
燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、電力測定部11の計測結果を参照して、
電力負荷装置3が第3接続箇所6から受け取る負荷電力P4と充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る受取電力P7との和の電力P3に追従するように、所定の最小供給電力と最大供給電力との間の範囲内で、第2接続箇所5へ供給する供給電力P6を制御する。例えば、燃料電池装置8は、第1接続箇所4から第2接続箇所5へ向かう電力P2が好ましくは負の電力とはならず且つ出来るだけ小さい設定電力になるように(例えば、電力P2が0Wになるように)、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を調節する。
【0026】
太陽電池装置7は、入射光(太陽光)が有する光エネルギを電気エネルギに直接変換する素子(図示せず)と、その素子で発生した電力を所望の電圧、周波数、位相の電力に変換して電力線2に出力するための電力変換部(図示せず)とを有して構成される。
【0027】
充放電装置9は、電力線2との間での電力の充放電を行う充放電部9aと、電力変換部9bと、電力変換部9bの動作を制御する充放電制御部9cとを有する。充放電部9aは、例えばリチウムイオン電池等の二次電池などを用いて構成できる。充放電制御部9cは、電力変換部9bの動作を制御して、充放電部9aから電力線2への出力電力(放電電力)の制御と、電力線2から充放電部9aへの入力電力(充電電力)の制御とを行う。
【0028】
充放電制御部9cには、電力測定部12で計測される電力についての情報が伝達される。本実施形態では、電力測定部12は、電力線2の途中の、第2接続箇所5と第3接続箇所6との間に設けられ、第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力P3を計測する。つまり、電力測定部12が計測する電力P3は、電力負荷装置3が電力線2から受け取る負荷電力P4と、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和に対応する。電力測定部12は、例えば電力線2における電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成され、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力線2での電力値を導出できる。尚、電力測定部12は電力線2での電力の電流値のみを充放電制御部9cに伝達し、充放電制御部9cが電力値の導出を行ってもよい。そして、充放電制御部9cは、電力測定部12の計測結果を参照して、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を制御する。
【0029】
充放電制御部9cには、電力測定部10で計測される電力についての情報が伝達される。本実施形態では、電力測定部10は、電力線2の途中の、第1接続箇所4の上流側に設けられ、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1を計測する。電力測定部10は、例えば電力線2における電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成され、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力線2での電力値を導出できる。尚、電力測定部10は電力線2での電力の電流値のみを充放電制御部9cに伝達し、充放電制御部9cが電力値の導出を行ってもよい。そして、充放電制御部9cは、電力測定部10の計測結果を参照して、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を制御する。
【0030】
充放電装置9の充放電制御部9cは、充放電部9aの充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が促進されるように最大受取電力と最小受取電力との間の範囲で受取電力を調節する第1動作モードに切り替えて動作し、充放電部9aの充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が抑制されるように最大受取電力と最小受取電力との間の範囲で受取電力を調節する第2動作モードに切り替えて動作する。
【0031】
本実施形態では、充放電装置9は、第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での充放電部9aの蓄電残量SOC(state of charge)の最大値(上記充放電履歴の一例)が第1蓄電残量以下の場合(即ち、放電の傾向が大きかったことを示す場合)には第2動作モードに切り替えて動作し、第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での充放電部9aの蓄電残量の最低値(上記充放電履歴の一例)が、第1蓄電残量よりも大きい第2蓄電残量以上の場合(即ち、充電の傾向が大きかったことを示す場合)には第1動作モードに切り替えて動作する。
【0032】
具体例を挙げると、充放電装置9は、第1動作モードで動作していた過去の24時間(第1所定期間)での充放電部9aの最高SOC(蓄電残量の最大値)が充放電部9aの「放電下限値+10%」以下の場合(即ち、放電の傾向が大きかったことを示す場合)には第2動作モードに切り替えて動作し、第2動作モードで動作していた過去の24時間(第2所定期間)での充放電部9aの最低SOC(蓄電残量の最低値)が、第1蓄電残量よりも大きい80%(第2蓄電残量の一例)以上の場合には第1動作モードに切り替えて動作する。
【0033】
〔第1動作モード〕
充放電装置9は、第1動作モードの場合、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が所定の第2目標電力(例えば、700W(燃料電池装置8の最大供給電力)等)になるように受取電力を調節する。
【0034】
図1は、充放電装置9が第1動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図中では、各電力の大きさ(絶対値)とその向きを表す矢印とを示している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が500Wであるとき、充放電制御部9cは、電力負荷装置3の負荷電力P4(500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が700Wになるように、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を200W(即ち、200Wの充電電力)に制御する。このとき、燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御することで、電力負荷装置3が電力線2から受け取る負荷電力P4と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和(700W)と、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6(700W)とを等しくさせている。その結果、電力測定部11で計測される電力P2がゼロになっている。加えて、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが電力系統1へと供給されるため、第1接続箇所4から電力系統1に向かう電力が500W(500Wの逆潮流)、即ち、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は-500Wとなる。
【0035】
図2は、充放電装置9が第1動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を放電している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が1500Wであるとき、充放電制御部9cは、電力負荷装置3の負荷電力P4(1500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が700Wになるように、充放電装置9が電力線2へ放電する電力を800Wに、即ち、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を-800Wに制御する。このとき、燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御することで、電力負荷装置3が電力線2から受け取る負荷電力P4と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和(700W)と、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6(700W)とを等しくさせている。その結果、電力測定部11で計測される電力P2がゼロになっている。加えて、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが電力系統1へと供給されるため、第1接続箇所4から電力系統1に向かう電力が500W(500Wの逆潮流)、即ち、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は-500Wとなる。
【0036】
〔第2動作モード〕
充放電装置9は、第2動作モードの場合、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力P3を第2目標電力(例えば700W(燃料電池装置8の最大供給電力)等)にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第1仮受取電力と、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力を所定の第3目標電力(例えば0W等)にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第2仮受取電力とを導出する。そして、充放電装置9は、第1仮受取電力及び第2仮受取電力のうちの大きい方を受取電力P7として決定する。
【0037】
図3は、充放電装置9が第2動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図示は省略するが、電力負荷装置3の負荷電力P4が500Wであるとき、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力P3を第2目標電力(700W(燃料電池装置8の最大供給電力))にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第1仮受取電力は200W(即ち、200Wの充電電力)になる。また、
図3に示すように、電力負荷装置3の負荷電力P4が500Wであるとき、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1を所定の第3目標電力(0W)にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第2仮受取電力は700W(即ち、700Wの充電電力)になる。
この場合、第1仮受取電力及び第2仮受取電力のうちの大きい方の第2仮受取電力(700W)を受取電力P7として決定する。
【0038】
図4は、充放電装置9が第2動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図示は省略するが、電力負荷装置3の負荷電力P4が1500Wであるとき、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6に向かう電力P3を第2目標電力(700W(燃料電池装置8の最大供給電力))にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第1仮受取電力は-800W(即ち、充放電装置9が電力線2へ放電する必要がある電力は800W)になる。また、
図4に示すように、電力負荷装置3の負荷電力P4が1500Wであるとき、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1を所定の第3目標電力(0W)にする場合に充放電装置9が第3接続箇所6から受け取る必要がある第2仮受取電力は-300W(即ち、充放電装置9が電力線2へ放電する必要がある電力は300W)になる。この場合、充放電装置9は、第1仮受取電力及び第2仮受取電力のうちの大きい方の第2仮受取電力(-300W)を受取電力P7として決定する。つまり、
図4に示すように、充放電装置9が電力線2へ放電する電力を300Wに調節する。
【0039】
以上のように、充放電装置9の受取電力P7を調節することで、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流を促進すること、及び、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流を抑制することが可能である。そして、充放電装置9は、充放電部9aの充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が促進されるように受取電力P7を調節する第1動作モードで動作し、充放電装置9は、充放電部9aの充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が抑制されるように受取電力を調節する第2動作モードで動作する。つまり、充放電部9aの充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が促進されるように、即ち、太陽電池装置7の発電電力が電力負荷装置3の負荷電力P4及び充放電装置9の充電で利用され難くなるため、充放電部9aの蓄電残量が大きくなり過ぎることを防止できる。また、充放電部9aの充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、太陽電池装置7の発電電力の逆潮流が抑制されるように、即ち、太陽電池装置7の発電電力が電力負荷装置3の負荷電力P4及び充放電装置9の充電で利用され易くなるため、充放電部9aの蓄電残量が小さくなり過ぎることを防止できる。
加えて、分散型電源システムで用いられる充放電装置9の機能を備える装置(即ち、充放電装置)を実現できる。
【0040】
<第2実施形態>
第2実施形態の分散型電源システムは、充放電装置9の第1動作モード及び第2動作モードの内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の分散型電源システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
図5~
図8は、第2実施形態の分散型電源システムの構成を示す図である。
充放電制御部9cには、電力測定部13で計測される電力P5についての情報が伝達される。本実施形態では、電力測定部13は、太陽電池装置7と電力線2の第1接続箇所4との間に設けられ、太陽電池装置7から第1接続箇所4に向かう電力P5を計測する。電力測定部13は、例えば電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成され、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力値を導出できる。尚、電力測定部13は電力の電流値のみを充放電制御部9cに伝達し、充放電制御部9cが電力値の導出を行ってもよい。そして、充放電制御部9cは、電力測定部13の計測結果を参照して、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を制御する。
【0042】
充放電制御部9cには、電力測定部14で計測される電力P6についての情報が伝達される。本実施形態では、電力測定部14は、燃料電池装置8と電力線2の第2接続箇所5との間に設けられ、燃料電池装置8から第2接続箇所5に向かう電力P6を計測する。電力測定部14は、例えば電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成され、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力値を導出できる。尚、電力測定部14は電力の電流値のみを充放電制御部9cに伝達し、充放電制御部9cが電力値の導出を行ってもよい。そして、充放電制御部9cは、電力測定部14の計測結果を参照して、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を制御する。
【0043】
〔第1動作モード〕
充放電装置9は、第1動作モードの場合、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が燃料電池装置8の供給電力P6よりも設定電力だけ大きい電力になるように受取電力P7を調節する。
【0044】
図示は省略するが、例えば、充放電制御部9cは、燃料電池装置8の供給電力P6が500Wである場合、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が、供給電力P6よりも100W(上記設定電力の一例)だけ大きい600Wになるように、受取電力P7を調節する。そのような調節が行われた場合、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は100Wになるため、燃料電池装置8はその電力P2を0Wにするように供給電力P6を増大させる。このように、充放電装置9が、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が燃料電池装置8の供給電力P6よりも設定電力だけ大きい電力になるように受取電力P7を調節し続けることで、最終的に燃料電池装置8の供給電力P6はその最大供給電力に至る。尚、電力系統1から第1接続箇所4に供給される電力P1、即ち、電力系統1からの受電電力が大きくなることを回避するために、充放電装置9は、電力P3の上限値を燃料電池装置8の最大供給電力(例えば700W)に設定しておいてもよい。
【0045】
図5は、充放電装置9が第1動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が500Wであるとき、充放電制御部9cは、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を調節した結果、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3、即ち、電力負荷装置3の負荷電力P4(500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が、電力P3の上限値に設定されている燃料電池装置8の最大供給電力(700W)になっている。この場合、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7は200Wになっている。即ち、充放電装置9は電力線2から200Wを充電している。燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御しているため、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は0Wになる。そして、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが電力系統1に向けて供給されるため、第1接続箇所4から電力系統1に向かう電力が500W(500Wの逆潮流)、即ち、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は-500Wとなる。
【0046】
図6は、充放電装置9が第1動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を放電している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が1500Wであるとき、充放電制御部9cは、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を調節した結果、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3、即ち、電力負荷装置3の負荷電力P4(1500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が、電力P3の上限値に設定されている燃料電池装置8の最大供給電力(700W)になっている。この場合、充放電装置9が電力線2へ放電する電力は800Wに、即ち、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7は-800Wになっている。燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御しているため、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は0Wになる。そして、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが電力系統1に向けて供給されるため、第1接続箇所4から電力系統1に向かう電力が500W(500Wの逆潮流)、即ち、電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は-500Wとなる。
【0047】
〔第2動作モード〕
充放電装置9は、第2動作モードの場合、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が、燃料電池装置8の供給電力P6よりも設定電力だけ大きい電力に、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5を加算した値になるように受取電力P7を調節する。
【0048】
図示は省略するが、例えば、充放電制御部9cは、燃料電池装置8の供給電力P6が500Wであり、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5が500Wである場合、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が、供給電力P6よりも100W(上記設定電力の一例)だけ大きい600Wに、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する500Wを加算した値である1100Wになるように、受取電力P7を調節する。そのような調節が行われた場合、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は600Wになるため、燃料電池装置8はその電力P2を0Wにするように供給電力P6を増大させる。このように、充放電装置9が、電力線2において第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3が、燃料電池装置8の供給電力P6よりも設定電力だけ大きい電力に、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5を加算した値になるように受取電力P7を調節し続けることで、最終的に燃料電池装置8の供給電力P6はその最大供給電力に至る。尚、電力系統1から第1接続箇所4に供給される電力P1、即ち、電力系統1からの受電電力が大きくなることを回避するために、充放電装置9は、電力P3の上限値を燃料電池装置8の最大供給電力(例えば700W)に、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5を加算した値に設定しておいてもよい。つまり、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5が500Wの場合、充放電装置9は、電力P3の上限値を1200Wに設定する。
【0049】
図7は、充放電装置9が第2動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が500Wであるとき、充放電制御部9cは、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を調節した結果、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3、即ち、電力負荷装置3の負荷電力P4(500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が、電力P3の上限値(即ち、燃料電池装置8の最大供給電力(700W)に、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5である500Wを加算した値)である1200Wになっている。この場合、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7は700Wになっている。即ち、充放電装置9は電力線2から700Wを充電している。燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御しているため、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は500Wになる。そして、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが第2接続箇所5に向けて供給される。電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は0Wとなる。
【0050】
図8は、充放電装置9が第2動作モードで動作している場合の分散型電源システムの状態を示す図であり、この場合、充放電装置9は電力を充電している。図示するように、電力負荷装置3の負荷電力P4が1500Wであるとき、充放電制御部9cは、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7を調節した結果、第2接続箇所5から第3接続箇所6へ向かう電力P3、即ち、電力負荷装置3の負荷電力P4(1500W)と充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7との和である電力P3が、電力P3の上限値(即ち、燃料電池装置8の最大供給電力(700W)に、太陽電池装置7が第1接続箇所4に供給する電力P5である500Wを加算した値)である1200Wになっている。この場合、充放電装置9が電力線2へ放電する電力は300Wに、即ち、充放電装置9が電力線2から受け取る受取電力P7は-300Wになっている。燃料電池装置8の燃料電池制御部8cは、燃料電池装置8から電力線2への供給電力P6を700Wに制御しているため、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力P2は500Wになる。そして、太陽電池装置7の供給電力P5(500W)の全てが第2接続箇所5に向けて供給される。電力系統1から第1接続箇所4に向かう電力P1は0Wとなる。
【0051】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の分散型電源システム及び充放電装置の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、燃料電池装置8や充放電装置9の構成は図示したものに限定されず適宜変更可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、本発明の発電装置の例として燃料電池装置8を挙げたが、所定の最小提供電力と最大提供電力との間の範囲内で出力を自在に調節できる他の様々な発電装置を用いることができる。例えば、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備えて構成されるタイプの発電装置などを用いることできる。
【0053】
<2>
上記実施形態において、充放電装置9が第1動作モードと第2動作モードとを切り替える基準は適宜変更可能である。
例えば、充放電装置9は、第1動作モードで動作していた過去の第1所定期間での充放電部9aからの合計放電電力量が第1放電電力量以上又は充放電部9aへの合計充電電力量が第1充電電力量以下の場合(即ち、充放電履歴が放電の傾向が大きかったことを示す場合、充電の傾向が小さかったことを示す場合)には第2動作モードに切り替えて動作し、第2動作モードで動作していた過去の第2所定期間での充放電部9aからの合計放電電力量が第2放電電力量以下又は充放電部9aへの合計充電電力量が第2充電電力量以上の場合(即ち、充放電履歴が充電の傾向が大きかったことを示す場合、放電の傾向が小さかったことを示す場合)には第1動作モードに切り替えて動作してもよい。例えば、第1所定期間と第2所定期間とが同じ長さである場合、第1放電電力量は第2放電電力量よりも大きい値であり、第1充電電力量は第2充電電力量よりも小さい値である。
【0054】
<3>
上記実施形態では、具体的な電力値を例示して本発明の分散型電源システム及び充放電装置について説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0055】
<4>
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、太陽電池装置の発電電力の逆潮流を促進する状態と逆潮流を抑制する状態とを切り替えることができる分散型電源システム及び充放電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 電力系統
2 電力線
3 電力負荷装置
4 第1接続箇所
5 第2接続箇所
6 第3接続箇所
7 太陽電池装置
8 燃料電池装置(発電装置)
8a 燃料電池部
9 充放電装置
9a 充放電部