(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022703
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】吊リンク、およびクローラ
(51)【国際特許分類】
B66C 1/66 20060101AFI20230208BHJP
B62D 55/32 20060101ALI20230208BHJP
B62D 55/10 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B66C1/66 P
B62D55/32
B62D55/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127719
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】垣内 和也
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004JA10
(57)【要約】
【課題】吊リンクの不使用時に、吊リンクをコンパクトにする。
【解決手段】吊リンク25は、中間リンク40と、先端リンク50と、を備える。中間リンク40は、クローラフレーム21のクローラ横方向外側Y2の面に回転可能に取り付け可能である。先端リンク50は、中間リンク40に回転可能に取り付けられ、クローラフレーム21を吊り上げるための吊具Aを取り付け可能である。中間リンク40および先端リンク50は、クローラフレーム21を吊り上げるときの吊上状態と、格納状態と、になることが可能に構成される。格納状態は、クローラフレーム21を吊り上げるとき以外になることが可能な状態であって中間リンク40と先端リンク50とが折り畳まれた状態である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体本体に取り付け可能なクローラフレームと、前記クローラフレームの周囲に配置されたクローラベルトと、を備えるクローラに取り付け可能な吊リンクであって、
前記クローラフレームのクローラ横方向外側の面に回転可能に取り付け可能な中間リンクと、
前記中間リンクに回転可能に取り付けられ、前記クローラフレームを吊り上げるための吊具を取り付け可能な先端リンクと、
を備え、
前記中間リンクおよび前記先端リンクは、
前記クローラフレームを吊り上げるときの吊上状態と、
前記クローラフレームを吊り上げるとき以外になることが可能な状態であって前記中間リンクと前記先端リンクとが折り畳まれた状態である格納状態と、
になることが可能に構成される、
吊リンク。
【請求項2】
請求項1に記載の吊リンクであって、
前記中間リンクおよび前記先端リンクを有する前リンクと、
前記中間リンクが前記クローラフレームに取り付けられた場合に前記前リンクに対して前記クローラフレームの長手方向に間隔をあけて配置され、前記前リンクの前記中間リンクおよび前記先端リンクとは別の、前記中間リンクおよび前記先端リンクを有する後リンクと、
前記前リンクと前記後リンクとに接続され、前記前リンクと前記後リンクとを互いに固定する前後リンク接続部と、
を備える、
吊リンク。
【請求項3】
請求項2に記載の吊リンクであって、
前記前後リンク接続部は、複数設けられ、
前記中間リンクが前記クローラフレームに取り付けられた状態かつ前記中間リンクおよび前記先端リンクが格納状態のとき、複数の前記前後リンク接続部は、上下方向に間隔をあけて配置される、
吊リンク。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の吊リンクと、
前記吊リンクが取り付けられた前記クローラフレームと、
前記クローラベルトと、
を備える、
クローラ。
【請求項5】
請求項4に記載のクローラであって、
前記先端リンクは、前記吊具を取り付け可能な吊具取付部を備え、
前記中間リンクおよび前記先端リンクが前記吊上状態のとき、前記吊リンクは前記クローラベルトを迂回するように配置され、前記吊具取付部は前記クローラベルトよりも上側に配置され、前記クローラフレームに対する前記中間リンクの回転は制限され、前記中間リンクに対する前記先端リンクの回転は制限され、
前記中間リンクおよび前記先端リンクが前記格納状態のとき、前記先端リンクの上側端部は、前記クローラベルトの上側端部よりも下側に配置される、
クローラ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のクローラであって、
前記先端リンクは、前記吊具を取り付け可能な吊具取付部を備え、
前記中間リンクおよび前記先端リンクは、前記吊具取付部に前記吊具を着脱するための吊具着脱状態になることが可能に構成され、
前記中間リンクおよび前記先端リンクが前記吊具着脱状態のとき、前記吊具取付部は、前記クローラベルトのクローラ横方向外側の端よりもクローラ横方向外側に配置される、
クローラ。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載のクローラであって、
前記中間リンクおよび前記先端リンクが前記格納状態のとき、前記中間リンクおよび前記先端リンクの走行体横方向外側の端は、前記クローラベルトの走行体横方向外側の端よりも走行体横方向内側に配置される、
クローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラを吊り上げるための吊リンク、および、吊リンクを含むクローラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来の吊リンク(同文献では吊ブラケット)が記載されている。同文献に記載の技術では、走行体本体に対するクローラの着脱の際に、吊リンク(同文献では吊ブラケット)がクローラフレームに取り付けられる。そして、吊リンクに吊具が取り付けられ、クローラが吊り上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の発明では、吊リンクの不使用時に、クローラフレームに吊リンクが取り付けられていると、吊リンクが大きいため、吊リンクと他の物とが干渉するなどの問題が生じる場合がある。また、吊リンクの不使用時に、吊リンクがクローラフレームから取り外される場合は、吊リンクが大きいため、例えば吊リンクの輸送が困難になる場合や、吊リンクの保管のために広いスペースが必要になる場合などがある。
【0005】
そこで、本発明は、不使用時にコンパクトにすることができる吊リンク、および、クローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
吊リンクは、クローラに取り付け可能である。前記クローラは、走行体本体に取り付け可能なクローラフレームと、前記クローラフレームの周囲に配置されたクローラベルトと、を備える。吊リンクは、中間リンクと、先端リンクと、を備える。前記中間リンクは、前記クローラフレームのクローラ横方向外側の面に回転可能に取り付け可能である。前記先端リンクは、前記中間リンクに回転可能に取り付けられ、前記クローラフレームを吊り上げるための吊具を取り付け可能である。前記中間リンクおよび前記先端リンクは、前記クローラフレームを吊り上げるときの吊上状態と、格納状態と、になることが可能に構成される。前記格納状態は、前記クローラフレームを吊り上げるとき以外になることが可能な状態であって前記中間リンクと前記先端リンクとが折り畳まれた状態である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、吊リンクの不使用時に、吊リンクをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】クローラ20を備える作業機械1を横方向Yから見た図である。
【
図2】
図1に示す作業機械1を前後方向Xから見た図である。
【
図3】
図1に示すクローラ20を横方向Yから見た図である。
【
図4】
図3に示すクローラ20を上側Z1から見た図である。
【
図5】
図3に示す吊上状態の吊リンク25などを前側X1から見た図である。
【
図6】
図5に示す中間リンク40を前側X1から見た図である。
【
図7】
図5に示す先端リンク50を前側X1から見た図である。
【
図8】
図5相当図であり、吊上状態と中間状態との間の状態の吊リンク25などを示す図である。
【
図9】
図5相当図であり、中間状態の吊リンク25などを示す図である。
【
図10】
図5相当図であり、格納状態の吊リンク25などを示す図である。
【
図11】
図10に示す格納状態の吊リンク25などを横方向Yから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図11を参照して、クローラ20を備える作業機械1について説明する。
【0010】
作業機械1は、
図1に示すように、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械である。作業機械1は、例えばブームなどを用いて作業を行うクレーンなどである。作業機械1は、例えばクローラクレーンなどである。作業機械1は、上部旋回体11と、下部走行体13と、を備える。上部旋回体11は、下部走行体13に旋回可能に搭載される。
【0011】
下部走行体13は、作業機械1を走行させる。
図2に示すように、下部走行体13は、走行体本体13aと、クローラ20と、を備える。走行体本体13aは、上部旋回体11を支持するフレーム(カーボディフレーム)である。
【0012】
クローラ20は、作業機械1を走行させる装置である。クローラ20は、走行体本体13aに取り付け可能である。クローラ20は、走行体本体13aの横方向Yの両側(左右)に配置される。左右のクローラ20・20のそれぞれは、前後方向Xに延びるように設けられる(
図1参照)。クローラ20は、走行体本体13aに対して着脱可能である。この理由は次の通りである。作業機械1が輸送される際に、制限寸法に収まるように作業機械1が分解される。このとき、走行体本体13aからクローラ20が取り外された状態とされ、クローラ20と走行体本体13aとが別々に輸送される。そのため、クローラ20は、走行体本体13aに対して着脱可能とされる。クローラ20は、クローラフレーム21と、クローラベルト23と、吊リンク25と、を備える。
【0013】
(方向の定義)
クローラ20の長手方向を前後方向Xとする(
図1参照)。左右のクローラ20・20が走行体本体13aに取り付けられた状態のとき、左右のクローラ20・20が互いに対向する方向を、横方向Yとする。横方向Yは、下部走行体13の幅方向(走行体横方向)であり、クローラ20の幅方向(クローラ横方向)である。横方向Yにおいて、走行体本体13aの横方向Y中央に近づく側を走行体横方向内側Yiとし、走行体本体13aの横方向Y中央から遠ざかる側を走行体横方向外側Yoとする。横方向Yにおいて、クローラ20の横方向Y中央に近づく側をクローラ横方向内側Y1とし、クローラ20の横方向Y中央から遠ざかる側をクローラ横方向外側Y2とする。下部走行体13に対する上部旋回体11の旋回の回転軸が延びる方向を、上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部走行体13から上部旋回体11に向かう側を上側Z1とし、上側Z1とは逆側を下側Z2とする。上下方向Zは、例えば、前後方向Xおよび横方向Yのそれぞれに直交する方向である。以下では、左右のクローラ20・20の一方について説明する。
【0014】
クローラフレーム21は、走行体本体13aに取り付け可能である。クローラフレーム21は、前後方向Xに長いフレーム(構造物)である(
図1参照)。前後方向Xから見たクローラフレーム21の断面は、例えば、四角形または略四角形などである。
図5に示すように、クローラフレーム21は、上部材21aと、内側側板21bと、外側側板21cと、内側下部材21dと、外側下部材21eと、を備える。また、クローラフレーム21は、クローラフレーム内側面21iと、クローラフレーム外側面21oと、クローラ側リンク取付部21rと、クローラ側リンク格納部21sと、を備える。
【0015】
上部材21aは、クローラフレーム21の上側Z1部分に設けられる部材である。例えば、上部材21aは、横方向Yおよび前後方向Xに延びるように配置される板(上板)である。内側側板21bは、クローラフレーム21の走行体横方向内側Yi部分に設けられる部材である。内側側板21bは、上部材21aから下側Z2に延びるように配置される(外側側板21cも同様)。内側側板21bは、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置される板である(外側側板21cも同様)。外側側板21cは、クローラフレーム21の走行体横方向外側Yo部分に設けられる部材である。外側側板21cは、内側側板21bよりも走行体横方向外側Yoに配置される。なお、内側側板21bと外側側板21cとは、上部材21aとは異なる接続部材(図示なし)により横方向Yに互いに接続されてもよい。
【0016】
内側下部材21dは、クローラフレーム21の下側Z2部分(例えば下側Z2端部)に設けられる部材(例えば下板)である。「端部」は、端および端の周辺部を意味する(以下同様)。内側下部材21dは、クローラフレーム21の走行体横方向内側Yi部分に設けられる。内側下部材21dは、内側側板21bよりも下側Z2に配置され、内側側板21bの下側端部に接続される(外側側板21cと外側下部材21eとの関係も同様でもよい)。内側下部材21dの横方向Yにおける幅は、内側側板21bの横方向Yにおける幅(厚さ)よりも広い(外側側板21cと外側下部材21eとの関係も同様でもよい)。内側下部材21dは、内側側板21bに対して、走行体横方向内側Yiおよび走行体横方向外側Yoに突出する(外側側板21cと外側下部材21eとの関係も同様でもよい)。内側側板21bは、例えば前後方向Xおよび横方向Yに延びる板でもよく、ブロック状などでもよい(外側下部材21eも同様でもよい)。
【0017】
外側下部材21eは、クローラフレーム21の下側Z2部分(例えば下側Z2端部)に設けられる部材(例えば下板)である。外側下部材21eは、クローラフレーム21の走行体横方向外側Yo部分に設けられる。外側下部材21eと内側下部材21dとの間には、クローラベルト23に接触するローラ(図示なし)が配置される。
【0018】
クローラフレーム内側面21iは、クローラフレーム21のうち、走行体本体13a(
図2参照)が取り付けられる側(すなわち走行体横方向内側Yi)の面である。クローラフレーム内側面21iは、例えば、クローラフレーム21の走行体横方向内側Yi部分を構成する部材の、走行体横方向内側Yiの面である。具体的には、クローラフレーム内側面21iは、上部材21a、内側側板21b、および内側下部材21dの、走行体横方向内側Yiの面である。
【0019】
クローラフレーム外側面21oは、クローラフレーム21のうち、走行体本体13a(
図2参照)が取り付けられる側の面とは横方向Yの反対側(すなわち走行体横方向外側Yo)の面である。クローラフレーム外側面21oは、例えば、クローラフレーム21の走行体横方向外側Yo部分を構成する部材の、走行体横方向外側Yoの面である。具体的には、クローラフレーム外側面21oは、上部材21a、外側側板21c、および外側下部材21eの、走行体横方向外側Yoの面である。後述する吊リンク25は、クローラフレーム外側面21oに取り付けられても、クローラフレーム内側面21iに取り付けられてもよい。以下では、吊リンク25がクローラフレーム外側面21oに取り付けられる場合について説明する。
【0020】
クローラ側リンク取付部21rは、吊リンク25が取り付けられる部分(吊リンク取付ブラケット)である。クローラ側リンク取付部21rは、クローラフレーム外側面21oから走行体横方向外側Yoに突出する。例えば、クローラ側リンク取付部21rは、上部材21aおよび外側側板21cから走行体横方向外側Yoに突出する。クローラ側リンク取付部21rは、例えば板状であり、例えば上下方向Zおよび横方向Yに延びる板状などである(クローラ側リンク格納部21sも同様でもよい)。
【0021】
クローラ側リンク格納部21sは、吊リンク25が格納状態(
図10参照、後述)のときなどに、中間リンク40(後述)が取り付けられる部分(吊リンク格納ブラケット)である。クローラ側リンク格納部21sは、クローラフレーム外側面21o(例えば、外側下部材21eの走行体横方向外側Yoの面)から走行体横方向外側Yoに突出する。
【0022】
クローラベルト23は、クローラフレーム21の周囲に配置される(
図1参照)。
図2に示すように、クローラベルト23は、上部旋回体11よりも下側Z2に配置され、上部旋回体11との間に上下方向Zの間隔をあけて配置される。下部走行体13に対して上部旋回体11が旋回したときでも、クローラベルト23は、上部旋回体11よりも下側Z2に配置され、上部旋回体11との間に上下方向Zの間隔をあけて配置される。クローラベルト23は、ローラ(図示なし)などを介してクローラフレーム21に取り付けられ、クローラフレーム21に設けられた走行モータ(図示なし)により駆動される。クローラベルト23は、複数のクローラシューが連結されたものである。
【0023】
吊リンク25は、クローラ20を吊り上げるための部材(クローラ吊リンク)である。吊リンク25は、作業機械1の組立作業および分解作業に用いられる。吊リンク25は、走行体本体13aに対してクローラ20を着脱(取り付け、取り外し)する際に、クローラ20を容易に吊り上げることを可能にする部材である。吊リンク25は、クローラフレーム21に取り付け可能である。吊リンク25は、クローラフレーム21に対して着脱されてもよく、クローラフレーム21に対して着脱されなくてもよい(取り付けられた状態のままでもよい)。
【0024】
この吊リンク25は、
図5に示すように、クローラフレーム外側面21oに取り付けられる。例えば、吊リンク25は、クローラフレーム内側面21iには取り付けられず、クローラフレーム外側面21oのみ(片面のみ)に取り付けられる。ここで、吊リンク25がクローラフレーム内側面21iに取り付けられる場合は、走行体本体13a(
図2参照)とクローラフレーム21との狭い空間に吊リンク25が配置されることになる。そのため、吊リンク25に関する作業が困難になる場合がある。一方、吊リンク25がクローラフレーム外側面21oに取り付けられる場合は、吊リンク25に関する作業を容易に行うことができる。なお、変形例として、吊リンク25は、クローラフレーム内側面21iに取り付けられてもよい。後述するように、吊リンク25は(後述する中間リンク40および先端リンク50は)、吊上状態と、中間状態(
図9参照)と、格納状態(
図10参照)と、になることが可能である。以下では主に吊上状態の吊リンク25について説明し、格納状態および中間状態については後述する。
図3に示すように、吊リンク25は、前リンク30と、後リンク80と、前後リンク接続部90と、を備える。
【0025】
前リンク30は、
図5に示すように、湾曲形状を有し、例えば前後方向Xから見て略C字状などである。前リンク30は、中間リンク40と、先端リンク50と、を備える。前リンク30は、中間リンク回転軸部61と、中間リンク回転制限部62と、先端リンク回転軸部63と、先端リンク位置決め部64と、中間リンク格納部65と、先端リンク格納部66と、先端リンク支持部67と、を備える。
【0026】
中間リンク40は、
図6に示すように、クローラフレーム21に取り付け可能である。中間リンク40は、クローラフレーム21のクローラ横方向外側Y2の面(例えばクローラフレーム外側面21o)に回転可能に取り付けられる。中間リンク40は、クローラ側リンク取付部21rを介して、クローラフレーム外側面21oに取り付けられる。中間リンク40は、中間リンク回転軸部61を中心に回転可能である(
図8参照)。中間リンク40は、クローラ側リンク取付部21rからクローラ横方向外側Y2に突出する。
図5に示すように、中間リンク40は、クローラ側リンク取付部21rから、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2端部よりもクローラ横方向外側Y2の部分に向かって延びるように設けられる。中間リンク40は、クローラ横方向外側Y2ほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように設けられる。例えば、
図6に示すように、中間リンク40は、中間リンク本体部41と、中間リンク本体突出部43と、中間リンク迂回部45と、を備える。なお、
図6では、中間リンク40および先端リンク格納部66以外の要素を二点鎖線で示した。
【0027】
中間リンク本体部41は、中間リンク40の本体部分である。中間リンク本体部41は、例えば板状部材を有し、板状部材を1枚のみ有してもよく、
図3に示すように板状部材を複数(例えば2枚など)有してもよい。例えば、
図3に示す例では、中間リンク本体部41を構成する2枚の板状部材は、クローラ側リンク取付部21rを前後方向Xから挟むように配置される。例えば、クローラ側リンク取付部21rは、2枚の板状部材を備えてもよく、1枚の板状部材の中間リンク本体部41を挟むように配置されてもよい(図示なし)。
図6に示すように、中間リンク本体部41は、前後方向Xから見たとき、略L字状などである。例えば、中間リンク本体部41は、中間リンク傾斜部41aと、中間リンク上側突出部41bと、を備える。
【0028】
中間リンク傾斜部41aは、クローラ側リンク取付部21rからクローラ横方向外側Y2および上側Z1に延びるように設けられる。中間リンク傾斜部41aは、クローラ横方向外側Y2ほど上側Z1に配置されるように、横方向Yに対して傾斜する方向に延びるように設けられる。
【0029】
中間リンク上側突出部41bは、中間リンク傾斜部41aのクローラ横方向外側Y2部分から上側Z1に突出する。
【0030】
中間リンク本体突出部43は、先端リンク格納部66が設けられる部分である。中間リンク本体突出部43は、中間リンク本体部41(さらに詳しくは中間リンク傾斜部41a)のクローラ横方向内側Y1部分から上側Z1に突出する。中間リンク本体突出部43は、中間リンク本体部41と連続的(一体的)に構成されてもよく、中間リンク本体部41と別体でもよい。例えば、中間リンク本体突出部43は、2枚の板状部材の中間リンク本体部41(
図3参照)の間に挟まれるように配置されてもよい。
【0031】
中間リンク迂回部45は、
図5に示すように、クローラベルト23を迂回するように設けられる(詳細は後述する先端リンク迂回部55を参照)。
図6に示すように、中間リンク迂回部45は、中間リンク本体部41のクローラ横方向外側Y2部分に設けられる。例えば、中間リンク迂回部45は、前後方向Xから見たとき、中間リンク傾斜部41aの上側Z1の辺、および、中間リンク上側突出部41bのクローラ横方向内側Y1の辺により構成される。
【0032】
先端リンク50は、
図5に示すように、中間リンク40に回転可能に取り付けられる。先端リンク50は、先端リンク回転軸部63を中心に回転可能である(
図9および
図10参照)。先端リンク50は、中間リンク40のクローラ横方向外側Y2部分(さらに詳しくは中間リンク上側突出部41b)から、クローラベルト23の横方向Y略中央部の近傍かつクローラベルト23よりも上側Z1の位置に向かって延びるように設けられる。例えば、
図7に示すように、先端リンク50は、先端リンク本体部51と、先端リンク迂回部55と、吊具取付部57と、前後リンク接続部取付部59と、を備える。なお、
図7では、先端リンク50以外の要素を二点鎖線で示した。
【0033】
先端リンク本体部51は、先端リンク50の本体部分である。先端リンク本体部51は、例えば板状部材を有し、板状部材を複数(例えば2枚)有してもよく、板状部材を1枚のみ有してもよい。例えば、先端リンク本体部51のクローラ横方向外側Y2部分は、
図3に示す例では、中間リンク本体部41の2枚の板状部材に挟まれるように配置される。
図7に示すように、先端リンク本体部51は、前後方向Xから見て略L字状などである。例えば、先端リンク本体部51は、先端リンク傾斜部51aと、先端リンク直線部51bと、を備える。
【0034】
先端リンク傾斜部51aは、先端リンク50のクローラ横方向外側Y2部分を構成する。先端リンク傾斜部51aは、中間リンク本体部41(さらに詳しくは中間リンク上側突出部41b)から上側Z1およびクローラ横方向内側Y1に延びるように設けられる。先端リンク傾斜部51aは、上側Z1ほどクローラ横方向内側Y1に配置されるように、上下方向Zに対して傾斜する方向に延びるように設けられる。
【0035】
先端リンク直線部51bは、先端リンク傾斜部51aの上側Z1部分から、クローラ横方向内側Y1に延びるように設けられる。先端リンク直線部51bは、略直線状(梁状)である。
【0036】
先端リンク迂回部55は、
図5に示すように、クローラベルト23を迂回するように設けられる。先端リンク迂回部55は、先端リンク本体部51のクローラ横方向外側Y2(さらに詳しくは先端リンク傾斜部51a)部分に設けられる。例えば、先端リンク迂回部55は、前後方向Xから見たとき、先端リンク傾斜部51aのクローラ横方向内側Y1の辺、および先端リンク直線部51bの下側Z2の辺により構成される。先端リンク迂回部55および中間リンク迂回部45は、クローラベルト23と干渉しないように配置される。
図8に示すように、中間リンク回転軸部61を中心に吊リンク25が回転したときにも、先端リンク迂回部55および中間リンク迂回部45は、クローラベルト23に干渉しないように配置される。
図5に示すように、先端リンク迂回部55および中間リンク迂回部45は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2部分を迂回するように、クローラベルト23よりも下側Z2、クローラ横方向外側Y2、および上側Z1に配置される。先端リンク迂回部55および中間リンク迂回部45は、湾曲した形状を有し、前後方向Xから見て例えばC字状などである。
【0037】
吊具取付部57は、吊具Aを取り付け可能な部分(吊位置)である。吊具取付部57は、先端リンク本体部51に設けられ、さらに詳しくは先端リンク直線部51bに設けられ、先端リンク本体部51の先端部(走行体横方向内側Yiの端部)に設けられる。吊具取付部57は、先端リンク迂回部55よりも走行体横方向内側Yiに配置される。吊具取付部57に取り付けられる吊具Aは、クローラフレーム21を吊り上げるための部材である。例えば、吊具Aは、シャックルAa(
図3参照)と、ロープAb(
図1参照)と、を備えるものなどである。シャックルAaは、吊具取付部57に接続される金具である。
図1に示すロープAb(張力部材)は、シャックルAaと、クローラ20を吊り上げるためのクレーンのフック(図示なし)と、につながれる。上記「クローラ20を吊り上げるためのクレーン」は、作業機械1の組立および分解用の補助クレーンでもよく、作業機械1でもよい(作業機械1がクローラ20を自力で脱着してもよい)。なお、吊具Aの構成は上記のものでなくてもよい。例えば、ロープAbに代えて、チェーン、ワイヤ、およびスリング(スリングベルト、ベルトスリングなど)などの帯状部材(張力部材)などが用いられてもよい。
【0038】
前後リンク接続部取付部59(
図7参照)は、
図4に示す前後リンク接続部90が取り付けられる部分である。
図7に示すように、前後リンク接続部取付部59は、先端リンク本体部51に設けられる。前後リンク接続部取付部59は、先端リンク傾斜部51aに設けられてもよく、先端リンク直線部51bに設けられてもよい。
図7に示す例では、前後リンク接続部取付部59は、先端リンク本体部51の上側Z1部分に設けられる。前後リンク接続部取付部59は、1つのみ設けられてもよく、複数(
図7では3つ)設けられてもよい。なお、前後リンク接続部取付部59は、中間リンク40に設けられてもよい。
【0039】
中間リンク回転軸部61は、
図5に示すように、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転軸となる部分である。例えば、中間リンク回転軸部61は、ピンと、ピン孔と、を備えるものである(中間リンク回転制限部62、先端リンク回転軸部63、先端リンク位置決め部64、および中間リンク格納部65も同様)。「ピン孔」は、ピンが差し込まれる孔を形成する物(例えばクローラ側リンク取付部21rなど)の内面を意味してもよい。中間リンク回転軸部61は、ピンおよびピン孔とは異なるものにより構成されてもよい(中間リンク回転制限部62、先端リンク回転軸部63、先端リンク位置決め部64、および中間リンク格納部65も同様)。例えば、
図6に示すように、中間リンク回転軸部61は、クローラ側第1ピン孔61aと、中間リンク側第1ピン孔61bと、第1ピン61pと、を備える。
【0040】
クローラ側第1ピン孔61aは、クローラフレーム21に設けられたピン孔である。クローラ側第1ピン孔61aは、クローラ側リンク取付部21rに設けられる。例えば、クローラ側第1ピン孔61aは、クローラ側リンク取付部21rを前後方向Xに貫通する。ピン孔が貫通孔である場合に、貫通方向が前後方向Xである点は、他のピン孔(例えば中間リンク側第1ピン孔61bなど)も同様である。
【0041】
中間リンク側第1ピン孔61bは、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第1ピン孔61bは、例えば、中間リンク本体部41に設けられ、例えば、中間リンク傾斜部41aのクローラ横方向内側Y1部分(例えば端部)に設けられる。
【0042】
第1ピン61pは、クローラフレーム21と中間リンク40とを回転可能に結合する。第1ピン61pは、クローラ側第1ピン孔61aおよび中間リンク側第1ピン孔61bに差し込まれる(取り付けられる)。
【0043】
中間リンク回転制限部62は、
図5に示すように、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限(固定)する。例えば、
図6に示すように、中間リンク回転制限部62は、クローラ側第2ピン孔62aと、中間リンク側第2ピン孔62bと、第2ピン62pと、を備える。
【0044】
クローラ側第2ピン孔62aは、クローラフレーム21に設けられたピン孔である。例えば、クローラ側第2ピン孔62aは、クローラ側リンク取付部21rに設けられる。例えば、クローラ側第2ピン孔62aは、クローラ側第1ピン孔61aと上下方向Zに並ぶように配置される。例えば、クローラ側第2ピン孔62aは、クローラ側第1ピン孔61aよりも上側Z1に配置される。
【0045】
中間リンク側第2ピン孔62bは、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第2ピン孔62bは、例えば、中間リンク本体部41に設けられ、例えば、中間リンク傾斜部41aのクローラ横方向内側Y1部分(例えば端部)に設けられる。例えば、中間リンク側第2ピン孔62bは、中間リンク側第1ピン孔61bと上下方向Zに並ぶように配置される。例えば、中間リンク側第2ピン孔62bは、中間リンク側第1ピン孔61bよりも上側Z1に配置される。
【0046】
第2ピン62pは、クローラ側第2ピン孔62aおよびクローラ側第2ピン孔62aに着脱(取り付け、取り外し)される。第2ピン62pは、クローラ側第2ピン孔62aおよびクローラ側第2ピン孔62aに取り付けられることで、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限する。第2ピン62pが、クローラ側第2ピン孔62aおよびクローラ側第2ピン孔62aから取り外されることで、
図8に示すように、クローラフレーム21に対する中間リンク40の第2ピン62p(
図5参照)による回転の制限が解除される。
【0047】
先端リンク回転軸部63は、
図5に示すように、中間リンク40に対する先端リンク50の回転軸となる部分である。例えば、
図6に示すように、先端リンク回転軸部63は、中間リンク側第3ピン孔63bと、先端リンク側第3ピン孔63cと、第3ピン63pと、を備える。
【0048】
中間リンク側第3ピン孔63bは、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第3ピン孔63bは、中間リンク本体部41に設けられる。さらに詳しくは、中間リンク側第3ピン孔63bは、中間リンク本体部41のうち、中間リンク側第1ピン孔61bおよび中間リンク側第2ピン孔62bとは反対側の部分(例えば端部)に設けられる。中間リンク側第3ピン孔63bは、例えば、中間リンク本体部41のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)に設けられ、例えば、中間リンク上側突出部41bに設けられる。
【0049】
先端リンク側第3ピン孔63cは、
図7に示すように、先端リンク本体部51に設けられたピン孔である。先端リンク側第3ピン孔63cは、例えば先端リンク傾斜部51aに設けられ、例えば先端リンク傾斜部51aの下側Z2部分(例えば端部)に設けられる。
【0050】
第3ピン63pは、中間リンク40と先端リンク50とを回転可能に結合する。第3ピン63pは、中間リンク側第3ピン孔63bおよび先端リンク側第3ピン孔63cに差し込まれる。
【0051】
先端リンク位置決め部64は、
図5に示すように、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する(固定する、位置決めする)。例えば、
図6に示すように、先端リンク位置決め部64は、中間リンク側第4ピン孔64bと、先端リンク側第4ピン孔64c(
図7参照)と、第4ピン64pと、を備える。
【0052】
中間リンク側第4ピン孔64bは、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第4ピン孔64bは、例えば、中間リンク本体部41に設けられ、例えば、中間リンク本体部41のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)に設けられ、例えば、中間リンク本体部41の上側Z1部分(例えば端部)に設けられる。中間リンク側第4ピン孔64bは、例えば中間リンク側第3ピン孔63bと横方向Yに略並ぶように配置され、例えば、中間リンク側第3ピン孔63bよりもクローラ横方向外側Y2に配置される。
【0053】
先端リンク側第4ピン孔64cは、
図7に示すように、先端リンク50に設けられたピン孔である。先端リンク側第4ピン孔64cは、例えば、先端リンク本体部51に設けられ、例えば、先端リンク本体部51のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)に設けられる。先端リンク側第4ピン孔64cは、例えば、先端リンク傾斜部51aに設けられ、例えば、先端リンク傾斜部51aの下側Z2部分(例えば端部)に設けられる。先端リンク側第4ピン孔64cは、例えば先端リンク側第3ピン孔63cと横方向Yに略並ぶように配置され、例えば先端リンク側第3ピン孔63cよりもクローラ横方向外側Y2に配置される。
【0054】
第4ピン64pは、中間リンク側第4ピン孔64b(
図6参照)および先端リンク側第4ピン孔64cに着脱される。第4ピン64pは、中間リンク側第4ピン孔64b(
図6参照)および先端リンク側第4ピン孔64cに取り付けられることで、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する。第4ピン64pが、中間リンク側第4ピン孔64b(
図6参照)および先端リンク側第4ピン孔64cから取り外されることで、
図10に示すように、中間リンク40に対する先端リンク50の第4ピン64pによる回転の制限を解除する。
【0055】
中間リンク格納部65は、吊リンク25が格納状態のときに、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限(固定)する。例えば、
図5に示すように、中間リンク格納部65は、クローラ側第5ピン孔65aと、中間リンク側第5ピン孔65bと、第5ピン65p(
図10参照)と、を備える。
【0056】
クローラ側第5ピン孔65aは、クローラフレーム21に設けられたピン孔である。クローラ側第5ピン孔65aは、クローラ側リンク格納部21sに設けられる。
【0057】
中間リンク側第5ピン孔65bは、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第5ピン孔65bは、例えば、中間リンク本体部41に設けられ、例えば、中間リンク傾斜部41aに設けられ、例えば、中間リンク傾斜部41aのクローラ横方向外側Y2部分に設けられる。中間リンク側第5ピン孔65bは、例えば前後方向Xから見たときの中間リンク傾斜部41aの下側Z2の辺の近傍に設けられる。例えば、中間リンク側第5ピン孔65bは、中間リンク側第3ピン孔63bと上下方向Zに略並ぶように配置される。例えば、
図6に示すように、中間リンク側第5ピン孔65bは、中間リンク側第4ピン孔64bおよび中間リンク側第3ピン孔63bよりも下側Z2に配置される。
【0058】
第5ピン65p(
図10参照)は、
図5に示すクローラ側第5ピン孔65aおよび中間リンク側第5ピン孔65bに着脱される。
図10に示すように、第5ピン65pは、吊リンク25が格納状態かつクローラフレーム21に取り付けられた状態のときに、クローラ側第5ピン孔65a(
図5参照)および中間リンク側第5ピン孔65b(
図5参照)に取り付けられる。これにより、第5ピン65pは、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限する。第5ピン65pが、クローラ側第5ピン孔65a(
図5参照)および中間リンク側第5ピン孔65b(
図5参照)から取り外されることで、クローラフレーム21に対する中間リンク40の第5ピン65pによる回転の制限が解除される(
図5参照)。
【0059】
先端リンク格納部66は、吊リンク25が格納状態のときに、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限(固定)する。例えば、先端リンク格納部66は、ピンおよびピン孔を有するものでもよく、部材どうしを連結する部材(具体的には先端リンク格納用連結部66d)を有するものでもよく、ピン、ピン孔、および部材どうしを連結する部材を有するものでもよい。具体的には例えば、先端リンク格納部66は、中間リンク側第6ピン孔66b(
図6参照)と、先端リンク側第6ピン孔66c(
図7参照)と、先端リンク格納用連結部66dと、中間リンク側第6ピン66p1と、先端リンク側第6ピン66p2と、を備える。
【0060】
中間リンク側第6ピン孔66bは、
図6に示すように、中間リンク40に設けられたピン孔である。中間リンク側第6ピン孔66bは、中間リンク本体突出部43に設けられる。中間リンク側第6ピン孔66bは、中間リンク本体部41に設けられてもよい。
【0061】
先端リンク側第6ピン孔66cは、
図7に示すように、先端リンク50に設けられたピン孔である。先端リンク側第6ピン孔66cは、例えば、先端リンク本体部51に設けられ、例えば、先端リンク直線部51bに設けられる。先端リンク側第6ピン孔66cは、例えば、先端リンク直線部51bの長手方向(横方向Y)の中央部に設けられ、例えば、前後方向Xから見たときの先端リンク直線部51bの下側Z2の辺の近傍に配置される。
【0062】
先端リンク格納用連結部66dは、
図10に示すように、吊リンク25が格納状態のときに、中間リンク40と先端リンク50とに接続される。先端リンク格納用連結部66dは、例えば板状部材を有してもよく、複数(例えば2枚など)の板状部材を有してもよく、1枚のみの板状部材を有してもよい。吊リンク25が格納状態とは異なる状態のとき、
図6に示すように、先端リンク格納用連結部66dは、中間リンク40に取り付けられても(格納されても)よく、先端リンク50に取り付けられても(格納されても)よい。
【0063】
中間リンク側第6ピン66p1は、
図10に示すように、中間リンク40と先端リンク格納用連結部66dとを接続する。中間リンク側第6ピン66p1は、中間リンク40に対して先端リンク格納用連結部66dを回転可能に接続する。吊リンク25が格納状態のとき、中間リンク側第6ピン66p1は、中間リンク側第6ピン孔66b(
図6参照)、および先端リンク格納用連結部66dに設けられたピン孔に取り付けられる。
【0064】
先端リンク側第6ピン66p2は、先端リンク50と先端リンク格納用連結部66dとを接続する。中間リンク側第6ピン66p1は、先端リンク50に対して先端リンク格納用連結部66dを回転可能に接続してもよい。吊リンク25が格納状態のとき、先端リンク側第6ピン66p2は、先端リンク側第6ピン孔66c(
図7参照)、および先端リンク格納用連結部66dに設けられたピン孔に取り付けられる。
【0065】
先端リンク支持部67は、
図5に示すように、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する。先端リンク支持部67は、先端リンク直線部51bが中間リンク傾斜部41aから離れる向きへの、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する。先端リンク支持部67は、先端リンク直線部51bが中間リンク傾斜部41aに近づく向きへの、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限しない(
図10参照)。先端リンク支持部67は、中間リンク側支持部67b(
図6参照)と、先端リンク側支持部67c(
図7参照)と、を備える。
【0066】
中間リンク側支持部67bは、
図6に示すように、中間リンク40に設けられる。中間リンク側支持部67bは、中間リンク本体部41に設けられ、中間リンク本体部41に固定される。中間リンク側支持部67bは、例えば中間リンク本体部41のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)からクローラ横方向外側Y2に突出する。中間リンク側支持部67bは、ブロック状部分を有してもよく、板状部分を有してもよい。中間リンク側支持部67bは、例えば、上下方向Zおよび前後方向Xに延びる板状部分を有してもよい。例えば、
図3に示すように、中間リンク本体部41が2枚の板状部分を有する場合、中間リンク側支持部67bは、中間リンク本体部41の2枚の板状部分の一方に固定されてもよく、中間リンク本体部41の2枚の板状部分に架け渡されるように配置されてもよい。
【0067】
先端リンク側支持部67cは、
図7に示すように、先端リンク50に設けられる。先端リンク側支持部67cは、中間リンク側支持部67b(
図6参照)に接触可能に構成される。先端リンク側支持部67cは、中間リンク側支持部67bに接触することで、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する。先端リンク側支持部67cおよび中間リンク側支持部67b(
図6参照)は、例えば前リンク30のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)に設けられる。先端リンク側支持部67cは、例えば、先端リンク本体部51に設けられ、例えば先端リンク本体部51のクローラ横方向外側Y2部分(例えば端部)に設けられる。先端リンク側支持部67cは、例えば切り欠き状などであり、例えば先端リンク本体部51のクローラ横方向外側Y2端部から、クローラ横方向内側Y1に凹むように構成される。
【0068】
後リンク80は、
図3に示すように、前リンク30と同様または略同様に構成される。後リンク80は、例えば、前リンク30と前後方向Xに対称または略対称である。後リンク80は、前リンク30に対して前後方向X(クローラフレーム21の長手方向)に間隔をあけて配置される。後リンク80は、前リンク30と同様に、中間リンク40および先端リンク50を備える。後リンク80は、
図5に示す前リンク30と同様に、中間リンク回転軸部61、中間リンク回転制限部62、先端リンク回転軸部63、先端リンク位置決め部64、中間リンク格納部65、先端リンク格納部66、および先端リンク支持部67を備える。なお、
図5は、前リンク30よりも前側X1から前リンク30などを見た図であるが、
図5を左右逆として、後リンク80(
図3参照)よりも後側X2から後リンク80などを見た図としてもよい(
図6~
図10も同様)。
【0069】
前後リンク接続部90は、前リンク30と後リンク80とに接続され、前リンク30と後リンク80とを互いに固定する。前後リンク接続部90は、前リンク30のうちクローラフレーム21への取付部(基端部)よりも先端側(上側Z1、例えば吊具取付部57側)の部分に接続される(後リンク80への接続も同様)。なお、クローラフレーム21は、前後リンク接続部90に含まれない。例えば、
図4に示すように、前後リンク接続部90は、前リンク30の先端リンク50と、後リンク80の先端リンク50と、に接続される。前後リンク接続部90は、前リンク30の中間リンク40と、後リンク80の中間リンク40と、に接続されてもよい。前後リンク接続部90は、前リンク30に直接的に接続され(後リンク80への接続も同様)、具体的には前後リンク接続部取付部59(
図7参照)に接続される。例えば、前後リンク接続部90は、溶接により前リンク30に接続されてもよく、締結部材(例えばボルトおよびナットなど)により前リンク30に接続されてもよい。
【0070】
この前後リンク接続部90は、前リンク30および後リンク80に作用する前後方向Xの作用力を受け止める。さらに詳しくは、例えば、クローラ20を吊り上げるためのクレーンの1つのフック(図示なし)に、
図3に示す前リンク30に取り付けられる吊具Aと後リンク80に取り付けられる吊具Aと、が取り付けられる場合などが想定される(
図1参照)。このような場合、前リンク30および後リンク80を前後方向Xに曲げようとする作用力が、前リンク30および後リンク80に作用する。具体的には、前リンク30および後リンク80どうしが(例えば先端リンク50どうしが)前後方向Xに互いに近づく向きの力が、前リンク30および後リンク80に作用する。前後リンク接続部90は、これらの前リンク30および後リンク80を一体化させる。そのため、吊リンク25の前後方向Xの力に対する強度を向上させることができる(設計上有利になる)。
【0071】
この前後リンク接続部90は、
図4に示すように、例えば前後方向Xに延びるように設けられる。前後リンク接続部90は、例えば棒状(略直線状)でもよく、略棒状でもよく、板状でもよく、略板状でもよい。前後リンク接続部90は、例えば複数(
図4に示す例では3つ)設けられてもよく、1つのみ設けられてもよい。例えば、前後リンク接続部90が複数設けられる場合、複数の前後リンク接続部90は、次のように配置されることが好ましい。
図11に示すように、吊リンク25が格納状態かつクローラフレーム21に取り付けられた状態のとき、複数の前後リンク接続部90は、上下方向Zに間隔をあけて配置される。この場合、複数の前後リンク接続部90が、作業者がクローラ20を昇降する際のラダーや、作業者が作業を行う際の足場などとして用いることができる。なお、複数の前後リンク接続部90がラダーとして用いられる場合の、複数の前後リンク接続部90の上下方向Zの間隔の広さは、ラダーに適した広さであることが好ましく、具体的には例えば250mm~300mmなどである。
【0072】
(吊上状態)
図5に示すように、吊リンク25がクローラフレーム21を吊り上げるとき、吊リンク25は(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50は)、吊上状態にされる。吊上状態の吊リンク25は、次のような状態とされる。
【0073】
吊上状態のとき、吊リンク25は、クローラベルト23を迂回するように配置される。さらに詳しくは、中間リンク迂回部45および先端リンク迂回部55は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2部分との間に、上下方向Zおよび横方向Yに間隔をあけて配置される。
【0074】
吊上状態のとき、吊具取付部57は、クローラベルト23よりも上側Z1に配置される。吊具取付部57は、クローラベルト23の横方向Y中央部の近傍に配置される。吊具取付部57は、クローラ20の重心の真上または略真上に配置される。なお、クローラ20の重心は、クローラベルト23の横方向Yの幅の内側(クローラ横方向外側Y2の両端部よりもクローラ横方向内側Y1)にある。
【0075】
吊上状態のとき、中間リンク回転制限部62は、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限する。具体的には、第2ピン62pは、クローラ側第2ピン孔62a(
図6参照)および中間リンク側第2ピン孔62b(
図6参照)に取り付けられる(差し込まれる)。
【0076】
吊上状態のとき、先端リンク位置決め部64および先端リンク支持部67は、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限する。具体的には、第4ピン64pは、中間リンク側第4ピン孔64b(
図6参照)および先端リンク側第4ピン孔64c(
図7参照)に取り付けられる。中間リンク側支持部67b(
図6参照)は、先端リンク側支持部67c(
図7参照)に接触する。
【0077】
(吊上状態から中間状態への変化)
吊リンク25は(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50は)、吊上状態から中間状態に、次のように変化させられる。中間リンク回転制限部62による、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転の制限が、解除される。具体的には、第2ピン62pが、クローラ側第2ピン孔62a(
図6参照)および中間リンク側第2ピン孔62b(
図6参照)から取り外される。
【0078】
次に、
図8に示すように、吊リンク25が、中間リンク回転軸部61(さらに詳しくは第1ピン61p)を中心に回転させられる。このとき、例えば、作業機械1(
図1参照)とは別の組立用の機械(相判機)が、吊具A(
図1参照)を介して吊リンク25を吊りながら回転させてもよい(後述する中間状態から格納状態への変化も同様)。また、例えば、組立や分解の途中の作業機械1が吊リンク25を吊りながら回転させてもよい(後述する中間状態から格納状態への変化も同様)。また、例えば、作業者が手動で吊リンク25を回転させてもよい(後述する中間状態から格納状態への変化も同様)。このとき、吊リンク25は、吊具取付部57がクローラ横方向外側Y2に移動する向きに回転させられる。このときに、吊リンク25がクローラベルト23と干渉しない(接触しない)ように、吊リンク25(さらに詳しくは中間リンク迂回部45および先端リンク迂回部55)の形状が設定される。そして、
図9に示すように、例えば中間リンク40がクローラフレーム21(例えば外側下部材21e)に接触することなどにより、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転が制限される。その結果、吊リンク25が、中間状態になる。吊リンク25が吊上状態から中間状態に変化するときの吊具取付部57の中心位置の軌跡Tを、
図8において一点鎖線で示す。
【0079】
(中間状態)
図9に示すように、吊リンク25が(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50が)中間状態のとき、吊具取付部57は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2の端よりもクローラ横方向外側Y2に配置される。吊リンク25が中間状態のとき、吊具取付部57の上下方向Zにおける位置は、例えば、中間リンク回転軸部61の上下方向Zにおける位置と、同じまたは略同じである。吊リンク25が中間状態のとき、先端リンク本体部51(さらに詳しくは先端リンク直線部51b)は、上側Z1ほどクローラ横方向外側Y2に配置されるように、上下方向Zに対して傾斜する方向に延びるように配置される。
【0080】
(中間状態から格納状態への変化)
吊リンク25は(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50は)、中間状態から格納状態に、次のように変化させられる。先端リンク位置決め部64による、中間リンク40に対する先端リンク50の回転の制限が、解除される。具体的には、第4ピン64pが、中間リンク側第4ピン孔64b(
図6参照)および先端リンク側第4ピン孔64c(
図7参照)から取り外される。次に、先端リンク50が、中間リンク40に対して回転させられる。このとき、先端リンク直線部51bが中間リンク傾斜部41aに近づく向きに、先端リンク50が回転させられる。このとき、吊具取付部57がクローラ横方向内側Y1に移動する向きに、先端リンク50が回転させられる。例えば、
図10に示すように、先端リンク直線部51bが、例えば上下方向Zまたは略上下方向Zに延びるように配置されるまで、先端リンク50が回転させられる。その結果、吊リンク25は、格納状態になる。吊リンク25が中間状態から格納状態に変化するときの吊具取付部57の中心位置の軌跡Tを、
図9において一点鎖線で示す。
【0081】
(格納状態)
図10に示すように、吊リンク25が格納されるとき、吊リンク25は(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50は)、格納状態にされる。吊リンク25は、クローラフレーム21を吊り上げるとき以外のときに、格納状態になることが可能である。吊リンク25が格納状態のとき、中間リンク40と先端リンク50とが折り畳まれた状態である。格納状態の吊リンク25は、クローラフレーム21に取り付けられた状態、すなわちクローラフレーム21に格納された状態でもよい。格納状態の吊リンク25は、クローラフレーム21から取り外された状態でもよい。ここでは、格納状態の吊リンク25が、クローラフレーム21に取り付けられた状態である場合について説明する。格納状態の吊リンク25は、次のような状態とされる。
【0082】
格納状態のとき、先端リンク50の上側Z1端部は、クローラベルト23の上側Z1端部(上面)よりも下側Z2に配置される(
図9、10参照)。このとき、先端リンク50は、クローラベルト23の上面から上側Z1にはみ出さない。この場合、
図2に示す下部走行体13に対して上部旋回体11が旋回しても、吊リンク25は、上部旋回体11と干渉することがない。
【0083】
図10に示す例では、先端リンク本体部51(さらに詳しくは先端リンク直線部51b)は、上下方向Zまたは略上下方向Zに延びるように配置される。この場合、例えば上側Z1ほどクローラ横方向外側Y2に配置される場合(
図9参照)などに比べ、クローラ20よりもクローラ横方向外側Y2(例えば走行体横方向外側Yo)にある物(障害物)と、吊リンク25と、の干渉が抑制される。
【0084】
図10に示すように、格納状態のとき、吊リンク25のクローラ横方向外側Y2の端は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2の端よりもクローラ横方向内側Y1に配置されてもよい(
図10において二点鎖線で示すクローラベルト23を参照)。この場合、クローラ20が走行する際などに、クローラ20よりもクローラ横方向外側Y2にある物(障害物)と、吊リンク25と、の干渉が抑制される。例えば、格納状態のとき、吊リンク25の走行体横方向外側Yoの端は、クローラベルト23の走行体横方向外側Yoの端よりも走行体横方向内側Yiに配置されてもよい。この場合、クローラ20が走行する際などに、クローラ20よりも走行体横方向外側Yoにある物(障害物)と、吊リンク25と、の干渉が抑制される。
【0085】
格納状態のとき、中間リンク格納部65は、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転を制限してもよい。具体的には例えば、第5ピン65pは、クローラ側第5ピン孔65a(
図5参照)および中間リンク側第5ピン孔65b(
図5参照)に取り付けられてもよい。この場合、クローラフレーム21に対して中間リンク40が保持される。
【0086】
格納状態のとき、先端リンク格納部66は、中間リンク40に対する先端リンク50の回転を制限してもよい。具体的には、先端リンク格納用連結部66dが、中間リンク側第6ピン66p1および先端リンク側第6ピン66p2により、先端リンク50と中間リンク40とを連結してもよい。この場合、中間リンク40に対して先端リンク50が保持される。
【0087】
(吊具着脱状態)
吊具取付部57に吊具A(
図2参照)が着脱されるとき、吊リンク25(さらに詳しくは中間リンク40および先端リンク50)は、吊具着脱状態にされる。吊具着脱状態は、格納状態でもよく、中間状態(
図9参照)でもよい。吊具着脱状態のとき、吊具取付部57は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2の端よりもクローラ横方向外側Y2に配置される(
図10、
図9参照)。この配置により、吊具取付部57に対して吊具A(
図2参照)が着脱される際に、吊具Aがクローラベルト23に干渉することが抑制される。
【0088】
(その他の状態および状態の変化)
なお、格納状態から吊上状態(
図5参照)への変化は、吊上状態から格納状態への変化とは逆の手順により行われる。また、
図5に示す吊具取付部57に対して吊具Aが着脱(さらに詳しくは、取り付けおよび取り外しの少なくともいずれか)されるときの吊リンク25の状態は、吊具着脱状態(
図10、
図9参照)であることが好ましいが、吊具着脱状態でなくてもよい。例えば、吊リンク25の回転が、吊具Aとは異なる手段(例えば作業者による手動など)により行われる場合などには、吊リンク25が吊上状態のときに、吊具取付部57に対して吊具Aが着脱されてもよい。また、上記の吊リンク25の状態の変化の手順は一例であり、手順は様々に変更可能である。
【0089】
(検討)
図2に示すクローラフレーム21に吊リンク25を格納できない場合について検討する。上記のように、クローラ20の重心は、クローラベルト23の横方向Yの幅の内側にある。そのため、クローラ20の傾きを抑制しながらクローラ20を吊り上げるには、吊位置(吊具取付部57の位置)をクローラベルト23の横方向Yの幅の内側かつクローラベルト23よりも上側Z1に設定する必要がある。そのため、下部走行体13に対して上部旋回体11が旋回したときに、吊リンク25と上部旋回体11とが干渉する可能性がある。
【0090】
クローラフレーム21に吊リンク25を格納できない場合は、吊リンク25と上部旋回体11との干渉を避けるために、吊リンク25がクローラフレーム21から取り外される必要がある。吊リンク25がクローラフレーム21から取り外された場合、吊リンク25が折り畳み可能に構成されていなければ、吊リンク25の保管のために広いスペースが必要になる。
【0091】
クローラフレーム21に吊リンク25格納できない場合は、走行体本体13aに対してクローラ20を着脱する前後(組立分解の前後)に、クローラフレーム21に対して吊リンク25を着脱する作業が必要になる。すると、走行体本体13aに対してクローラ20を着脱する作業に手間がかかり、この作業に必要な時間が長くなる。その結果、作業機械1の組立分解の作業工程が増加し、組立分解のコストが増加する。クローラ20は、作業機械1に2つ(左右に)設けられるので、2つのクローラ20・20のそれぞれで、クローラフレーム21に対する吊リンク25の着脱の作業が必要になる。
【0092】
また、吊リンク25がクローラフレーム21から取り外されないまま(外し忘れた状態で)上部旋回体11が旋回すると、吊リンク25と上部旋回体11とが干渉する。
【0093】
また、吊リンク25をクローラフレーム21に着脱する必要がある場合は、クローラフレーム21およびクローラベルト23と、吊リンク25と、が別に輸送される場合がある。この場合、輸送の手間が増加し、輸送のコスト(輸送費)が増加する。また、この場合に、作業機械1の組立現場にクローラフレーム21およびクローラベルト23が搬入され、吊リンク25が搬入されていない(未到着である)場合が想定される。この場合、吊リンク25が搬入されるまで、走行体本体13aへのクローラ20の取り付け作業を開始することができない。
【0094】
一方、本実施形態では、
図10に示すように、吊リンク25は、クローラフレーム21に取り付けられたまま、クローラフレーム21に格納可能である。よって、クローラフレーム21に吊リンク25を格納できず、クローラフレーム21から吊リンク25を取り外す必要がある場合の上記の各問題を抑制することができる。また、本実施形態の吊リンク25は、クローラフレーム21から取り外され、中間リンク40と先端リンク50とが折り畳まれた状態(格納状態)になることが可能である。よって、中間リンク40と先端リンク50とが折り畳まれない場合に比べ、吊リンク25をコンパクトにすることができる。よって、吊リンク25を容易に運ぶことができる。また、吊リンク25を格納(保管)するためのスペースを容易に確保することができる。
【0095】
(第1の発明の効果)
[構成1-1]
図2に示す吊リンク25による効果は次の通りである。吊リンク25は、クローラ20に取り付け可能である。クローラ20は、クローラフレーム21と、クローラベルト23と、を備える。クローラフレーム21は、走行体本体13aに取り付け可能である。クローラベルト23は、クローラフレーム21の周囲に配置される。
図5に示すように、吊リンク25は、中間リンク40と、先端リンク50と、を備える。
【0096】
[構成1-2]中間リンク40は、クローラフレーム21のクローラ横方向外側Y2の面に回転可能に取り付け可能である。先端リンク50は、中間リンク40に回転可能に取り付けられ、クローラフレーム21を吊り上げるための吊具Aを取り付け可能である。中間リンク40および先端リンク50は、クローラフレーム21を吊り上げるときの吊上状態と、格納状態(
図10参照)と、になることが可能に構成される。格納状態(
図10参照)は、クローラフレーム21を吊り上げるとき以外になることが可能な状態であって中間リンク40と先端リンク50とが折り畳まれた状態である。
【0097】
上記[構成1-2]では、
図5に示す先端リンク50は、中間リンク40に回転可能に取り付けられる。また、
図10に示すように、中間リンク40および先端リンク50は、折り畳まれた格納状態になることが可能である。よって、中間リンク40および先端リンク50が折り畳み可能でない場合に比べ、不使用時の吊リンク25をコンパクトにすることができる。
【0098】
(第2の発明の効果)
図4に示すように、吊リンク25は、前リンク30と、後リンク80と、前後リンク接続部90と、を備える。前リンク30は、中間リンク40および先端リンク50を有する。後リンク80は、中間リンク40がクローラフレーム21に取り付けられた場合に、前リンク30に対してクローラフレーム21の長手方向(前後方向X)に間隔をあけて配置される。後リンク80は、前リンク30の中間リンク40および先端リンク50とは別の、中間リンク40および先端リンク50を有する。
【0099】
[構成2]前後リンク接続部90は、前リンク30と後リンク80とに接続され、前リンク30と後リンク80とを互いに固定する。
【0100】
上記[構成2]の前後リンク接続部90により、前リンク30および後リンク80を一体化させることができる。よって、前リンク30および後リンク80に作用する前後方向Xの力による、前リンク30および後リンク80の変形を抑制することができる。その結果、吊リンク25の強度を向上させることができる。
【0101】
(第3の発明の効果)
[構成3]
図11に示すように、前後リンク接続部90は、複数設けられる。中間リンク40がクローラフレーム21に取り付けられた状態かつ中間リンク40および先端リンク50が格納状態のとき、複数の前後リンク接続部90は、上下方向Zに間隔をあけて配置される。
【0102】
上記[構成3]により、作業者は、複数の前後リンク接続部90をラダーや足場などとして利用することができる。
【0103】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図5に示すクローラ20による効果は、次の通りである。クローラ20は、吊リンク25と、クローラフレーム21と、クローラベルト23と、を備える(それぞれ上記[構成1‐1]および[構成1-2]を参照)。クローラフレーム21には、吊リンク25が取り付けられている。先端リンク50は、吊具Aを取り付け可能な吊具取付部57を備える。
【0104】
上記[構成4]により、上記[構成1-2]による効果が得られるクローラ20を提供することができる。
【0105】
(第5の発明の効果)
[構成5-1]中間リンク40および先端リンク50が吊上状態のとき、吊リンク25はクローラベルト23を迂回するように配置され、吊具取付部57はクローラベルト23よりも上側Z1に配置される。この吊上状態のとき、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転は制限され、中間リンク40に対する先端リンク50の回転は制限される。
【0106】
[構成5-2]
図10に示すように、中間リンク40および先端リンク50が格納状態のとき、先端リンク50の上側Z1端部は、クローラベルト23の上側Z1端部よりも下側Z2に配置される。
【0107】
上記[構成1]のように、中間リンク40および先端リンク50は、吊上状態(
図5参照)と格納状態(
図10参照)とに可変である。そして、上記[構成5-1]では、
図5に示すように、中間リンク40および先端リンク50が吊上状態のとき、クローラフレーム21に対する中間リンク40の回転は制限され、中間リンク40に対する先端リンク50の回転は制限される。よって、中間リンク40および先端リンク50が、吊上状態と格納状態とに可変の構造を有していても、中間リンク40および先端リンク50が吊上状態のときには(吊リンク25の使用時には)、中間リンク40および先端リンク50の回転が確実に制限される。よって、吊リンク25に取り付けられた吊具Aが、クローラ20を確実に吊り上げることができる。
【0108】
上記[構成4]では、吊リンク25がクローラフレーム21に取り付けられた状態である。そして、上記[構成5-2]では、
図10に示すように、中間リンク40および先端リンク50が格納状態のとき、先端リンク50の上側Z1端部は、クローラベルト23の上側Z1端部よりも下側Z2に配置される。ここで、走行体本体13a(
図2参照)に搭載される構造物(具体的には上部旋回体11)は、クローラベルト23よりも上側Z1に配置される場合がある(具体的にはクローラベルト23の真上の領域を通る場合がある)。よって、格納状態の中間リンク40および先端リンク50と、上部旋回体11(
図2参照)と、が干渉することがない。よって、上部旋回体11と吊リンク25との干渉を防ぐために、クローラフレーム21から吊リンク25が取り外される必要がない。よって、クローラフレーム21に対して吊リンク25を着脱する必要をなくすことができる。
【0109】
クローラフレーム21に対して吊リンク25が着脱されない場合は、
図2に示す走行体本体13aに対してクローラ20を着脱する作業の効率を向上させることができ、この作業に必要な時間を短縮することができる。
【0110】
また、クローラフレーム21に対して吊リンク25が着脱されない場合は、次の効果が得られてもよい。例えば、クローラフレーム21から取り外された吊リンク25を保管する手間および費用を削減することができ、吊リンク25の保管場所を確保する必要をなくすことができる。また、例えば、クローラフレーム21と吊リンク25とを一体的に輸送することができる。クローラフレーム21と吊リンク25とを一体的に輸送した場合は、これらを別に輸送する場合に比べ、輸送の手間および費用を抑制することができる。また、走行体本体13aにクローラ20を取り付ける作業を行う際に、クローラフレーム21およびクローラベルト23が作業現場に搬入されていれば、吊リンク25も作業現場に搬入されている。よって、走行体本体13aおよびクローラ20が作業現場に搬入されれば、直ちに、走行体本体13aへのクローラ20の取り付け作業を開始することができる。
【0111】
(第6の発明の効果)
[構成6]先端リンク50は、吊具Aを取り付け可能な吊具取付部57を備える。
図10に示すように、中間リンク40および先端リンク50は、吊具取付部57に吊具Aを着脱するための吊具着脱状態になることが可能に構成される。中間リンク40および先端リンク50が吊具着脱状態のとき、吊具取付部57は、クローラベルト23のクローラ横方向外側Y2の端よりもクローラ横方向外側Y2に配置される。
【0112】
上記[構成6]により、クローラフレーム21に吊リンク25が取り付けられた状態(上記[構成4])であっても、吊具Aを吊具取付部57に着脱する際に、吊具Aがクローラベルト23に干渉することを抑制することができる。よって、吊具取付部57への吊具Aの着脱を容易に行うことができる。
【0113】
(第7の発明の効果)
[構成7]中間リンク40および先端リンク50が格納状態のとき、中間リンク40および先端リンク50の走行体横方向外側Yoの端は、クローラベルト23の走行体横方向外側Yoの端よりも走行体横方向内側Yiに配置される。(
図10において二点鎖線で示すクローラベルト23を参照)
【0114】
上記[構成7]により、クローラフレーム21に吊リンク25が取り付けられた状態(上記[構成4])であっても、クローラ20よりも走行体横方向外側Yoの障害物と、吊リンク25と、の干渉を抑制することができる。
【0115】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、特に断っていない限り、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0116】
13a 走行体本体
20 クローラ
21 クローラフレーム
23 クローラベルト
25 吊リンク
30 前リンク
40 中間リンク
50 先端リンク
57 吊具取付部
80 後リンク
90 前後リンク接続部
A 吊具
Y1 クローラ横方向内側
Y2 クローラ横方向外側
Yi 走行体横方向内側
Yo 走行体横方向外側