(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022736
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電子部品基板の耳部除去装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20230208BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20230208BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H05K3/00 L
H05K3/00 J
B26F1/40 A
B26D7/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127764
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】509053938
【氏名又は名称】株式会社エフエー
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】杉木 一明
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
【Fターム(参考)】
3C021FD03
3C021FD10
3C060AA11
3C060BA01
3C060BB13
3C060BD01
3C060BE09
3C060BG03
(57)【要約】
【課題】電子部品基板の周囲に設けられた耳部を効率よく分割し、除去することのできる、電子部品基板の耳部除去装置を提供する。
【解決手段】中央の実装部2Aに電子部品3が複数実装され、実装部2Aの周囲に耳部5A、5Bが設けられた電子部品基板1から、周囲の耳部を分割溝6に沿って分割する、電子部品基板の耳割り装置であって、テーブル10と、テーブル10の上で周囲に耳部が設けられた電子部品基板1をセットする基板セット部30と、電子部品基板1がセットされた状態で電子部品基板1の周囲の耳部5A、5Bを除く中央の実装部2Aを下から支持する支持台33と、セットされかつ中央の実装部2Aが支持台33により下から支持された状態の電子部品基板1に対し、下降により実装部2Aを上から支持した状態で周囲の耳部を分割溝6から押し下げて分割する作動ヘッド部40と、作動ヘッド部40を下降させる作動シリンダ23を備える構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の実装部に電子部品が複数実装され、当該実装部の周囲に耳部が設けられた電子部品基板から、周囲の耳部を分割溝に沿って分割し、除去する電子部品基板の耳部除去装置であって、
テーブルと、テーブルの上で周囲に耳部が設けられた前記電子部品基板をセットする基板セット部と、前記電子部品基板がセットされた状態で当該電子部品基板の周囲の耳部を除く中央の実装部を下から支持する支持台と、セットされかつ中央の実装部が前記支持台により下から支持された状態の電子部品基板に対し、下降により前記実装部を上から保持しかつ周囲の耳部を分割溝から押し下げて分割する作動ヘッド部と、当該作動ヘッド部を下降させる作動シリンダを備えることを特徴とする、電子部品基板の耳部除去装置。
【請求項2】
前記作動ヘッド部が、下降により電子部品基板の中央の実装部を上から保持する中央の実装部保持部と、下降により電子部品基板の周囲の耳部を分割溝から押し下げて分割する周囲の耳部押下げ部を備えることを特徴とする、請求項1記載の電子部品基板の耳部除去装置。
【請求項3】
前記作動ヘッド部において、周囲の耳部押下げ部が、電子部品基板の周囲の耳部のうち、下降により相対する一方の二辺の耳部を先行して押下げて分割する先行押下げ部と、下降により相対する他方の二辺の耳部を後行して押下げて分割する後行押下げ部を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の電子部品基板の耳部除去装置。
【請求項4】
前記作動ヘッド部において、中央の実装部保持部が、付勢手段により付勢状態に支持されると共に周囲の耳部押下げ部が周囲の耳部を押下げる際に後退して中央の実装部の保持状態を継続することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品基板の耳部除去装置。
【請求項5】
前記基板セット部において、前記支持台の周囲に開口部が設けられ、電子部品基板から分割された周囲の耳部が前記開口部を通して落下し、下方で回収されることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電子部品基板の耳部除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子部品が実装された電子部品基板の周囲の耳部分を除去するための耳部除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品基板、例えばセラミック基板は、生産性を考慮して、基板上に複数の電子部品をまとめて実装して製造されることが多い。電子部品基板は基板本体の上に複数の電子部品が実装されており、基板本体には、予め電子部品に沿って縦方向および横方向にドリルやVカットで分割加工線が入れられている。そして、電子部品基板の完成後に分割加工線に沿って個々の電子部品を分離するようにしている。
【0003】
電子部品基板を複数の個片に分割する方法として、手で曲げ力を加え、分割加工線を基点に亀裂を進展させて分割する方法、基板の下面に分割加工線に対向するエッジをあてがい、基板に下向きの曲げ力を加えて分割する方法(特許文献1)、さらには、基板の両側を基板保持部で保持し、基板の切断加工線の裏側からブレードを押し当て、同時に基板保持部を押し当て方向に対向して回転させ、基板を分割する方法(特許文献2)が知られている。
【0004】
しかしながら、近年は、電子部品の高度集積技術の進歩により電子部品の小型化が進んでおり、特許文献1、特許文献2のいずれの分割方法によれば、1辺数ミリ単位の小型の電子部品にあっては、基板上の分割加工線にエッジ又はブレードをあてがい又は押し当てることが大変困難で、正確に分割するのが非常に困難であった。このため、本出願人は、先に、小型の電子部品を複数実装した電子部品基板を分割加工溝に沿って効率良く分割できるようにした電子部品基板の分割装置(特許文献3)を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57-4714号公報
【特許文献2】特許2801453号公報
【特許文献3】特開2010-199163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図11(A)に示すように、電子部品基板1には、電子部品3の実装部2Aを除く周囲にV字溝等で区画される耳あるいは捨て基板(以下、耳部という)と呼ばれる幅W=5mm~10mm程度の部位(耳部5A、5B)が設けられている。耳部は基板の保護等の目的で設けられるが、最終的な廃棄される部分であり、従来は、電子部品基板の分割の前に、V字溝6にブレード等をあてがう等して、
図11(B)に示すように、手作業で当該耳部5A、5Bを分割し、基板1の実装部2Aから除去していた。しかしながら、かかる作業は効率が悪く、その後の電子部品基板の分割作業の効率化を妨げる要因ともなっていた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、電子部品基板の周囲に設けられた耳部を効率よく分割し、除去することのできる、電子部品基板の耳部除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置は、
中央の実装部に電子部品が複数実装され、当該実装部の周囲に耳部が設けられた電子部品基板から、周囲の耳部を分割溝に沿って分割する、電子部品基板の耳割り装置であって、
テーブルと、テーブルの上で周囲に耳部が設けられた前記電子部品基板をセットする基板セット部と、前記電子部品基板がセットされた状態で当該電子部品基板の周囲の耳部を除く中央の実装部を下から支持する支持台と、セットされかつ中央の実装部が前記支持台により下から支持された状態の電子部品基板に対し、下降により前記実装部を上から保持しかつ周囲の耳部を分割溝から押し下げて分割する作動ヘッド部と、当該作動ヘッド部を下降させる作動シリンダを備えることを特徴とすることを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置は、
前記作動ヘッド部が、下降により電子部品基板の中央の実装部を上から保持する中央の実装部保持部と、下降により電子部品基板の周囲の耳部を分割溝から押し下げて分割する周囲の耳部押下げ部を備えることを第2の特徴とする。
【0010】
本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置は、
前記作動ヘッド部において、周囲の耳部押下げ部が、電子部品基板の周囲の耳部のうち、下降により相対する一方の二辺の耳部を先行して押下げて分割する先行押下げ部と、下降により相対する他方の二辺の耳部を後行して押下げて分割する後行押下げ部を備えることを特徴とすることを第3の特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置は、
前記作動ヘッド部において、中央の実装部保持部が、付勢手段により付勢状態に支持されると共に周囲の耳部押下げ部が周囲の耳部を押下げる際に後退して中央の実装部の保持状態を継続することを特徴とすることを第4の特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置は、
前記基板セット部において、前記支持台の周囲に開口部が設けられ、電子部品基板から分割された周囲の耳部が前記開口部を通して落下し、下方で回収されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によると、電子部品基板の周囲に設けられた耳部を効率よく分割し、また、確実に分割し、回収できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る電子部品基板の耳部除去装置の全体斜視図、
【
図2】
図1に示す耳部除去装置を別角度から見た状態の全体斜視図、
【
図4】(A)は基板セット部の平面図、(B)は作動ヘッド部の底面図、
【
図5】
図3に示す耳部除去装置を正面視してA方向に見た状態を示す図、
【
図6】
図5に示す状態から作動ヘッドを下降させた状態を示す図、
【
図7】基板セット部に耳部付きの電子部品基板をセットした状態の平面図、
【
図8】(A)は作動ヘッドが下降する途中の正面図、(B)は作動ヘッドの実装保持部が基板の実装部に当接した状態の正面図、
【
図9】(A)は基板前後の耳部が前後押下げ部により分割される様子の正面図、(B)は基板前後の耳部が落下する様子の正面図、
【
図10】(A)は基板左右の耳部が左右押下げ部により分割され、落下する様子の正面図、(B)は作動ヘッドが上昇する途中の正面図、
【
図11】耳部付きの電子部品基板を示す平面図、基板から耳部を除去する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図11は、本発明の一実施形態を示すもので、これらの図において符号Sは電子部品基板の耳部除去装置、符号1は電子部品基板を示している。
【0016】
最初に電子部品基板1について説明すると、電子部品基板1は、
図11(A)に示すように、セラミック製の基板本体2に電子基板の実装部2Aが形成され、実装部2Aに複数の小型の電子部品3が縦方向および横方向に格子状に実装されている。各電子部品3の周囲には、縦方向および横方向に延びる分割加工溝4が基板本体2の上下面に設けられている。実装部2Aの周囲(四辺)には、一定幅Wの耳部5A、5Bが設けられている。周囲の耳部5A、5Bと実装部2Aとの間には分割加工溝6が基板本体2の上下面に設けられている。
【0017】
耳部除去装置Sは、
図1ないし
図3に示すように、下部のテーブル10と門形の上部フレーム20を備えている。
【0018】
下部のテーブル10は、
図1に示すように、手前(作業者側)に傾斜するテーブル板11と左右の側板12から構成されている。左右の側板12は、テーブル10を平らな作業面(例:作業台)に安定支持する平足部13を備えている。左右の側板12の間には電子部品基板1から除去された耳部5A、5Bを回収する回収箱14が配置されている。テーブル板11には除去された耳部5A、5Bを回収箱14に回収するための開口部11aが設けられている(
図8(A)参照)。
【0019】
テーブル板11の中央には、耳部付きの電子部品基板1がセットされる基板セット部30が取付けられている。基板セット部30は、矩形の天板31と、天板31をテーブル板11と平行に保持する周囲の側板32から構成されている。天板31の中央には、
図4(A)に示すように、矩形の開口部31aが設けられている。
【0020】
天板31の開口部31aには、基板セット部30にセットされる耳部付きの電子部品基板1の実装部2Aを下から支持する支持台33が配置されている。支持台33は、図示しない支持枠によってテーブル板11の上に支持されている。開口部31aの前後には、耳部付きの電子部品基板1を基板セット部30にセットする基準位置(X座標、Y座標)を調整する基準位置設定部材34、35が、相対して天板31上にボルト36により取付けられている。
【0021】
基準位置設定部材34は、耳部付き電子部品基板1の耳部の四隅のうち、左右前方の両角部をセットする切欠部34aが内側に設けられ、基準位置設定片35は、当該四隅のうち、左右後方の両角部をセットする切欠部35aが内側に設けられている。
【0022】
門形の上部フレーム20は、テーブル板11と平行な天板21と、左右の側板22から構成されている。左右の側板22はテーブル板11の上に取付けられている。天板21の中央には作動シリンダ(エアシリンダ)23がテーブル板11に対し垂直となる姿勢で取付けられている。作動シリンダ23のロッド23aの下端には、支持部材24を介して、基板セット部30の支持台33に対向する作動ヘッド部40が取付けられている。
【0023】
作動ヘッド部40は、基板セット部30にセットされた耳部付きの電子部品基板1に対し、下降動作(
図5および
図6参照)により、電子部品基板1の周囲の耳部5A、5Bを段階的に分割し、除去するもので、作動シリンダ23のロッド23aの下端に支持部材24を介して取付けられている。支持部材24の両端には左右のガイドロッド25が取付けられており、左右のガイドロッド25は天板21に支持されている。
【0024】
上記構造により、作動ヘッド部40は、左右のガイドロッド25にガイドされながら、作動シリンダ23の作動により、基板セット部30にセットされた耳部付きの電子部品基板1に対し、下降(接近)・耳部分割・上昇(離間)の各動作を行うようになっている。
【0025】
作動ヘッド部40は、ヘッド本体41を備えている。ヘッド本体41は、支持部材24の下面に複数の支持体24aにより支持されている。ヘッド本体41の下面中央には作動シリンダ23のロッド23aの伸長時に、セットされた耳部付きの電子部品基板1の実装部2Aに当接して実装部2Aを上から保持する実装部保持部42が配置されている。実装部保持部42はガイド部42aおよびバネ45を介してヘッド本体41から摺動可能に吊り下げ支持されている。
【0026】
実装部保持部42の周囲には、
図4(B)に示すように、一対の前後押下げ部43、43と、一対の左右押下げ部44、44が配置され、それぞれ、実装部保持部42の周囲でヘッド本体41の下面に固定されている。これら前後押下げ部43と、左右押下げ部44は、作動シリンダ23のロッド23aの伸長時に、セットされた耳部付きの電子部品基板1の周囲の耳部5を段階的押下げて分割する役割をする。実装部保持部42とヘッド本体41との間にはバネ45が介在されている。
【0027】
本実施形態では、前後押下げ部43の押圧面43aは、左右押下げ部44の押圧面44aよりも下側に位置している。これにより、作動シリンダ23のロッド23aが伸長すると、セットされた電子部品基板1の実装部2Aの表面に中央の実装部保持部42が当接し(実装部保持部42は実装部2Aの表面をそれ以上押下げない)、次いで前後押下げ部43、43が前後の耳部5A、5Aを先行して押下げて分割し、最後に左右押下げ部44、44が左右の耳部5B、5Bを後行して押下げて分割するようになっている。
【0028】
中央の実装部保持部42は、実装部2Aの表面に当接後、吊下げ部42aの作用により、作動シリンダ23のロッド23aの伸長に伴い、バネ45の付勢力に抗して、ロッド23aの伸長方向と反対方向(上向き)に後退可能とされ、耳部の押下げ動作時に実装部2Aの保持状態を継続するようになっている。
【0029】
左右のガイドロッド25の一方には、上部に作動ヘッド部40の下降速度を切り替える速度切替スイッチ26が取付けられている。速度切替スイッチ26は、下降時に天板21上に取付けられたスイッチ受け部26Aに当接すると、図示しない速度切替バルブが高速側から低速側に切替えられ、作動ヘッド部40の下降速度が途中で高速から低速に切り替えられるようになっている。
【0030】
門形の上部フレーム20の両側板22の前部には、作動シリンダ23を作動させるためのトグルスイッチ27が取付けられている。トグルスイッチ27は1箇所でよいが、本実施形態では、安全対策のため、左右にトグルスイッチ27を配置し、両手でトグルスイッチ27を入れると(ON)、作動シリンダ23が作動するようになっている。なお、
図1において、符号28は作動シリンダ23を作動させるモータ、符号29は両側板22の側面に取付けられた取っ手を示している。
【0031】
次に上記構成の耳部除去装置Sを用いて、電子部品基板1から周囲の耳部5A、5Bを分割して回収する方法を説明する。
【0032】
最初に、電子部品基板1を基板セット部30にセットする(
図7参照)。天板31上の前後一対の基準位置設定部材34,35は、電子部品基板1の大きさ毎に用意され、耳割り対象の電子部品基板1を基準位置にセットできるように、天板31上に予め取付けられる。電子部品基板1は、セットされた状態で、実装部2Aが支持台33上に支持され、周囲の耳部5A、5Bが基準位置設定部材34,35の切欠部34a,35aの内側に保持される。
【0033】
電子部品基板1をセットしたら、両手で左右のトグルスイッチ27を入れ(ON)、作動シリンダ23を作動させる。両手で左右のトグルスイッチ27を操作させるようにしたので、片手を門形の上部フレーム20の内側に入れたまま作動シリンダ23を作動させる心配がなく、安全対策となる。
【0034】
作動シリンダ23が作動すると、上方待機位置(
図5)から作動ヘッド部40が下降し、下降途中、速度切替スイッチ26が下方のスイッチ受け部26Aに当接し、作動ヘッド部40の下降速度が高速(例:100~250mm/秒)から低速(例:20~50mm/秒)に切り替わり、作動ヘッド部40が電子部品基板1に接近する(
図8(A))。本実施形態では高速区間と低速区間の比率は全ストロークの6:4~7:3に設定されている。
【0035】
作動ヘッド部40の下降により、中央の実装部保持部42が電子部品基板1の実装部2Aの上面にまず当接し(
図6および
図8(B))、作動ヘッド部40がさらに下降を継続すると、実装部保持部42が、バネ45の付勢力に抗して作動ヘッド部40内を上向きに後退し、実装部2Aの保持状態を継続する。
【0036】
作動ヘッド部40の下降の継続により、中央の実装部保持部42に続いて、前後押下げ部43、43が前後の耳部5A、5Aに当接し(
図9(A))、さらに、作動ヘッド部40がそのまま下降を継続すると、前後押下げ部43、43が前後の耳部5A、5Aを同時に押下げて、前後の耳部5A、5Aを実装部2Aから分割する。分割された前後の耳部5A、5Aは、天板31の開口部31aを通過して落下し(
図9(B))、下方の回収箱14に回収される。
【0037】
次いで、作動ヘッド部40の下降の継続により、前後押下げ部43、43に続いて、左右押下げ部44、44が左右の耳部5B、5Bに当接して、これら左右の耳部5B、5Bを同時に押下げ、左右の耳部5B、5Bを実装部2Aから分割する。分割された左右の耳部5B、5Bは、天板31の開口部31aを通過して落下し(
図10(A)、下方の回収箱14に回収される。作動ヘッド部40は下降端でいったん停止する。
【0038】
次に、作業者が両方のトグルスイッチ27を解除すると(OFF)、作動シリンダ23用の図示しない上下動切替バルブが切り替わって、作動シリンダ23の作動が切り替わり、作動ヘッド部40が高速(例:100~500mm/秒)で上昇し(
図10(B))、上方待機位置(
図5)に戻る。
【0039】
次に、作業者は、周囲の耳部5が除去された電子部品基板1を基板セット部30から取り出して、別途に置かれた収容箱に収容し、新しい耳部付きの電子部品基板1を基板セット部30にセットする。
【0040】
このようにして、作業者は、耳部除去装置Sを用いて、耳部付きの電子部品基板1を順次、基板セット部30にセットし、トグルスイッチ27を入れて、作動シリンダ23を作動させ、セットした電子部品基板1から周囲の耳部5を効率的に分割し、下方の回収箱14に回収することができる。
【0041】
本実施形態の耳部除去装置Sは、作動ヘッド部40が、電子部品基板1について、中央の実装部2Aを中央の実装部保持部42と下の支持台33との間に保持した状態で、周囲の耳部5を周囲の前後押下げ部43および左右押下げ部44により押し下げるようにしているから、中央の実装部2Aに撓みを生じさせることなく、周囲の耳部5を分割加工溝6から確実に分割させることができる。
【0042】
また、本実施形態の耳部除去装置Sは、作動ヘッド部40が、前後の耳部5を前後押下げ部43により先行して押し下げて分割するようにしているから、周囲の耳部5に生じる撓みを一方向(前後方向)のみにコントロールでき、前後の耳部5を容易に分割することができる。また、左右の耳部5を左右押下げ部44により後行して押し下げて分割するようにしているから、この場合も、周囲の耳部5に生じる撓みを一方向(左右方向)のみにコントロールでき、左右の耳部5を容易に分割することができる。
【0043】
本実施形態では、前後の耳部5を先行して分割し、左右の耳部5を後行して分割するようにしたが、左右の耳部5を先行して分割し、前後の耳部5を後行して分割するように設定してもよい。左右押下げ部44の押圧面44aを前後押下げ部43の押圧面43aよりも下側に位置させるか、逆に取付ければ良い。
【0044】
なお、前後の耳部5あるいは左右の耳部5のどちらかを先行して分割させることは本発明の必須事項ではない。分割加工溝6の深さや基板の厚みによって周囲の耳部5を一度に分割できる場合があり、よって、周囲の耳部5を一度に分割する形態も本発明の範疇に含まれる。
【0045】
かくして、本発明の電子部品基板の耳部除去装置によれば、電子部品基板から周囲の耳部を効率的にかつ確実に分割し、回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、複数の電子部品を実装した電子部品基板から周囲の耳部を分割し除去する装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 電子部品基板
2 基板本体
2A 実装部
3 電子部品
4,6 分割加工溝
5A,5B 耳部
10 テーブル
11 テーブル板
11a,31a 開口部
12,22,32 側板
13 平足部
14 回収箱
20 上部フレーム
21,31 天板
23 作動シリンダ
23a ロッド
24 支持部材
24a 支持体
25 ガイドロッド
26 速度切替スイッチ
26A スイッチ受け部
27 トグルスイッチ
28 モータ
29 取っ手
30 基板セット部
33 支持台
34,35 基準位置設定部材
34a,35a 切欠部
36 ボルト
40 作動ヘッド部
41 ヘッド本体
42 実装部保持部
42a 吊下げ部
43 前後押下げ部(先行押下げ部)
43a,44a 押圧面
44 左右押下げ部(後行押下げ部)
45 バネ
S 耳部除去装置