(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022760
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉
(51)【国際特許分類】
G21C 1/30 20060101AFI20230208BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20230208BHJP
G21C 3/62 20060101ALI20230208BHJP
G21C 15/12 20060101ALI20230208BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G21C1/30
G21F9/00 N
G21C3/62 100
G21C15/12 Z
G21C17/00 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127805
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】303002055
【氏名又は名称】白川 利久
(72)【発明者】
【氏名】白川利久
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075DA08
2G075FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ADSRでは、核破砕反応標的の発熱を除去するのが困難である。軽水炉使用済核燃料集合体から、できるだけ放射化する構造材を減少させたい。軽水炉使用済核燃料を再処理せずに燃焼消滅させたい。
【解決手段】原子炉容器に遅発臨界以下確認核燃料粒、劣化ウラン板、劣化ウラン蓋を敷設する。外部の多数基の陽子加速器から多数本の陽子ビームを遅発臨界以下確認核燃料粒に照射することにより核破砕で中性子を多数発生させて、断続的に核分裂連鎖反応をさせる。原子炉容器の外側に冷却材を流し、原子炉容器内を除熱し、その熱で発電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉容器(51)に遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を堆積させ、
上記原子容器(51)の側壁に劣化ウラン板(21)を敷設し、
上記原子容器(51)の上部に劣化ウラン蓋(22)を敷設し、
上記原子容器(51)の外部に設置せる多数基の陽子加速器(10)から多数本の陽子ビームを断続的に遅発臨界以下確認核燃料粒(40)に照射することにより中性子を断続的に発生させて核分裂連鎖反応を断続的に強め、
原子炉容器(51)の外側を高温冷却材容器(60)で覆い、
上記高温冷却材容器(60)の外側を低温冷却材容器(61)で覆い、
低温冷却材を低温冷却材容器(61)と高温冷却材容器(60)の間隙に流入させ、
高温冷却材を高温冷却材容器(60)と原子炉容器(51)の間隙から流出させ、
原子炉容器(51)内に多数本のFPガス排出兼放射線計測器管(13)を貫通させ、LPRMで原子炉出力を監視記録したことを特徴とする外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉。
【請求項2】
請求項1の遅発臨界以下確認核燃料粒(40)は、無限増倍係数が遅発臨界以下であることを確認した、軽水炉使用済核燃料棒から取り出した核燃料の粒であり、
請求項1の劣化ウラン板(21)は、劣化ウランを板状にした核燃料の板であり、
請求項1の劣化ウラン蓋(22)は、劣化ウランを円板状にした核燃料の円板である。
【請求項3】
請求項1の外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉において、
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)堆積の表層を劣化ウラン粒(140)で覆ったことを特徴とする劣化ウラン表層軽水炉使用済核燃料燃焼炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウラン238(U238)主体の核燃料物質を内蔵した未臨界原子炉に、加速器からの高速陽子を照射することにより、核分裂連鎖反応を持続させる。下記加速器駆動未臨界炉に類する。
【背景技術】
【0002】
加速器駆動未臨界炉(ADSR)は、加速器と、核破砕反応標的と、核燃料物質を内蔵する未臨界原子炉からなる。
加速器によって加速された高速陽子を鉛等の標的に照射して核破砕反応を起こさせ中性子を発生させる。当該中性子を核燃料物質が内蔵された未臨界原子炉(中性子漏洩有)に打ち込み核分裂連鎖反応によって中性子を増加させる。
未臨界原子炉であるから外部からの中性子供給が止まれば核分裂連鎖反応は低下していく。例えば、特許文献1がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ADSRでは、核破砕反応標的の発熱を除去するのが困難である。
軽水炉使用済核燃料集合体を形成するための構造材は原子炉に内蔵させたくない。被覆管等の廃棄に問題が出てくる。
核燃料物質であるU234,U236,U237,U235,U238は、量が膨大であるから保管などの取り扱いが難しい。
軽水炉使用済核燃にはU235やPu239といった核分裂性物質が、天然ウランよりも多く含有しているため臨界を超えやすい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
手段1は外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉である。
ステンレス製の原子炉容器(51)に遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を平坦に堆積する。
上記原子容器(51)の側壁に劣化ウラン板(21)を敷設する。
上記原子容器(51)の上部に劣化ウラン蓋(22)を敷設する。
上記原子容器(51)の外部に設置せる多数基の陽子加速器(10)から多数本の陽子ビームを断続的に遅発臨界以下確認核燃料粒(40)に照射することにより中性子を断続的に発生させて核分裂連鎖反応を断続的に強める。
原子炉容器(51)の外側を高温冷却材容器(60)で覆う。
上記高温冷却材容器(60)の外側を低温冷却材容器(61)で覆う。
低温冷却材を低温冷却材容器(61)と高温冷却材容器(60)の間隙に流入させる。
高温冷却材を高温冷却材容器(60)と原子炉容器(51)の間隙から流出させる。
原子炉容器(51)内に多数本のFPガス排出兼放射線計測器管(13)を貫通させ、LPRMで原子炉出力を監視記録する。
当該原子炉は運転期間を通して未臨界であるから、中性子漏洩が大きい扁平または細長い原子炉である。
無限増倍係数は遅発臨界以下としなければならない。U238の核分裂により発生する遅発中性子割合0.01(4.5MeVの中性子に対して0.015。控えめに0.01とする)に1.0を加えた1.01を、無限増倍係数の遅発臨界と呼ぶことにする。ビームの当ったところは出力が急増するが、無限増倍係数を遅発臨界以下にすれば暴走することはない。ドップラー効果や熱膨張により、当該箇所の無限増倍係数は1.01以下になる。
中性子漏洩を考慮した原子炉の実効増倍係数は臨界以下でなければならない。ビームの当ったところが出力急増しても中性子漏洩により出力は低下する。
現行軽水炉においては、装荷したばかりの核燃料集合体の水没状態無限増倍係数は遅発臨界を超えている。原子炉全体は中性子漏洩があり、制御棒調整により臨界に保っている。
本発明の原子炉では、装荷したばかりの核燃料の無限増倍係数は遅発臨界以下であるから“安全感・安心感”のある原子炉である。
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を圧縮整形して板状にするか、焼結して多数個の煉瓦状にしてから大きな数枚の板状に整形すれば、陽子ビームによる飛び散りを抑制できる。
軽水炉使用済核燃料棒から取り出した核燃料は5wt%程度しか核分裂していない。新品に近い。小さい円柱形のペレットそのものを遅発臨界以下確認核燃料粒(40)としてもよい。すなわち、多数個のペレットを原子炉容器(51)に堆積させる。多数個のペレットの間隙に粒状の遅発臨界以下確認核燃料粒(40)または劣化ウランを充填する。
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)は酸化物であるが、その酸素を除去して金属にすれば、熱は原子炉容器(51)の壁から高温冷却材に伝わりやすくなる。
【特許文献1】特許出願公開昭60-117177
【0005】
100MeVの陽子がU238を核破砕すると幅広い速さの中性子を多数放出する。
核破砕から放出された中性子とでも核分裂から放出された中性子とでも、1MeV近傍の中性子はU235やPu239やPu241といった核分裂性核種(核燃料物質である。速度の遅い中性子と反応すると激しく核分裂する)だけでなくU238やPu240といった親核種(核燃料物質である。中性子を1個吸収するとPu239やPu241の様な核分裂性物質になる)も核分裂させる。1MeV以下の中性子は核分裂性核種を激しく核分裂させる。親核種は1MeV程度の中性子により核分裂する。
核分裂すると2.6個以上の中性子を放出する。6.5MeV以上の中性子によりPu239とPu241は4個近く中性子を放出する。
燃焼すると増殖炉の様になり、実効増倍係数が臨界を上回る恐れがある。
そこで、FPガス排出兼放射線計測器管(13)に敷設した放射線計測器で放射線(ガンマ線や中性子)を検出計測して出力を監視する。沸騰水型原子炉ではLPRM(局所出力領域モニタ)で監視している。出力から核燃料物質推移を計算記録する。
準安定アメリシウムや長寿命のキュリウム245は、密度がU238より小さいから、遅発臨界以下確認核燃料粒(40)堆積表面に浮きあがりがちであり、微量ではあっても核破砕され、放出される中性子数が多いとして留意する必要がある。
【0006】
陽子加速器(10)を調節することにより、陽子のエネルギーや陽子数を変化させ、発生する中性子のエネルギーや中性子数を変化させる。
断続的な陽子ビームによる断続的な核破砕により中性子が断続的に発生すれば、核分裂により遅発中性子が発生する。遅発中性子は比較的長時間存在するから核分裂は持続する。なお、多数基の加速器で陽子ビームを断続的ではあるが次々と発生させれば比較的平坦な出力が得られる。8気筒自動車エンジンで滑らかな出力を得るがごとくである。
20MeV程度の陽子であっても核破砕は起き、1MeV程度の中性子を発生させる。U238は1MeV以上の中性子に対しては核分裂する。
20MeV程度の陽子を発生させる加速器を本発明に利用すると、連続に近い頻度で陽子ビームを発生させられる可能性がある、連続した核破砕で連続した中性子による核分裂が期待できる。
高速電子をU238に照射するとX線の作用により中性子が蒸発するがごとく発生する。低速中性子に対しては、使用済み核燃料に混合しているU235やPu239が核分裂を起こす。したがって、本発明で陽子ビームに代わり、線形加速器で連続的に高速電子を照射すれば連続した核分裂が期待できる。電子の線形加速器は多数基がよい。
【0007】
手段2は核燃料についてである。
手段1の遅発臨界以下確認核燃料粒(40)は、無限増倍係数が遅発臨界以下であることを確認した、軽水炉使用済核燃料棒から取り出した核燃料の粒である。
手段1の劣化ウラン板(21)は、劣化ウランを板状にした核燃料の板である。劣化ウラン板(21)は補強のためにステンレスまたはジルコニウム合金で被覆してもよい。
手段1の劣化ウラン蓋(22)は、劣化ウランを円板状にした核燃料の円板である。劣化ウラン蓋(22)は補強のためにステンレスまたはジルコニウム合金で被覆してもよい。
軽水炉使用済核燃料棒から取り出した核燃料の粒は、核燃料物質(原子番号90のトリウムから原子番号96のキュリウム。キュリウムから原子番号100のフェルミウムは当該原子炉で出きるかもしれないから注意)の酸化物と核分裂生成物(非揮発性の常温で個体)の酸化物からなる。再処理技術が許せば、核分裂生成物は除去する。更に再処理を施して金属核燃料物質とする。除去した核分裂生成物はどこに持っていくかは問題として残る。
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)はU238が主体であるが、U235やPu239やPu241といった核分裂性物質も含む。したがって、場合によっては遅発臨界以下を保てない場合も考えられるから、その時は劣化ウラン(U235の割合が天然のものよりも低いウラニウム。例えば、U235の濃縮度が0.2wt%.)を混合する。
劣化ウランは酸化物でも金属でもよい。
原子炉を運転燃焼させている間にPu239やPu241といった核分裂性物質の割合が高まり、臨界に近づく恐れが生じた場合は劣化ウランを投入するか、一旦原子炉を停止して遅発臨界以下確認核燃料粒(40)の1部を炉外に取り出す。
【0008】
手段3は劣化ウラン表層軽水炉使用済核燃料燃焼炉である。
手段1の外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉において、
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)堆積の表層を劣化ウラン粒(140)で覆った。
劣化ウラン粒(140)は、粉末や板や薄い板の重ね合わせでもよい。金属でも2酸化物でもよい。2酸化物を板状に焼結すれば取り扱いしやすい。
劣化ウラン粒(140)によって、遅発臨界以下確認核燃料粒(40)に混入せる核分裂性核種(U235やPu239やPu241)が核破砕されるのを抑制する。核分裂性核種はU238よりも中性子が数多く発生する恐れがあるから抑制する。
過度に中性子が数多く発生すると、核分裂性核種が激しく核分裂し、出力が急上昇する。
劣化ウラン粒(140)は、劣化ウランの酸化物である二酸化劣化ウランとすれば溶融し難い。
ジルコニウム合金等で被覆するとジルコニウム合金が核破砕されるから使用期間が短くなるから、被覆しない。劣化ウランの核破砕の結果放出される高速中性子もジルコニウム合金を脆弱にする。核分裂生成物は200MeVのエネルギーを持つからジルコニウム合金を脆弱にする。被覆すると気体状の核分裂生成物による膨張を考慮してガスプレナムを設けておく必要がある。
被覆したいのであれば、劣化ウラン金属性の被覆管の中に劣化ウラン粒(140)或いは遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を充填密封する。使用期間が長くなり被覆管が脆弱になったら、劣化ウラン金属性の被覆管を遅発臨界以下確認核燃料粒(40)として燃焼消滅させる。
【発明の効果】
【0009】
原子力空母建造の維持のためには高濃縮ウランが不可欠である。高濃縮ウランを廉価にするためには微濃縮ウランの売却が不可欠であり、微濃縮ウランを使用するためには軽水炉の稼働が必要である(米国からの強い要請)。この結果、使用済核燃料が排出される。
再処理技術が完成しても、U238の処分を地表で実施するのは、怖がりや安心感を売りにするマスコミがいることを考えると難しい。本発明であれば、使用済核燃料のU238も消滅しつつ、使用済核燃料の消滅費用を売電収入で賄うことができる。
安心は各個人の気持のありようであるから、他人がとやかく言えるものではない。しかし、“安心”という言葉をマスコミは好む。
絶対安全なものは絶対ない。安全カミソリで血が出る。殺人もできる。安全靴でも重落下物で怪我をする。誇大広告に当たらないか。安全弁が故障したらシステムは安全でなくなる。
日本における原子力安全の基本は、今まで使われてきたもの(GE,WH、スエーデンのインターナルポンプや固有安全炉)は手っ取り早くできるということであった。既存のものをブラシアップする。例えば、安全解析計算コードの高速化、可視化をする。
1970年頃メーカーの中には水均質炉や非均質炉を進展した方がよかったという人がいたが、発電炉としてまとめ上げることができたかは疑わしい。
本発明の原子炉は造りやすそうであるし、臨界以下の小型原子炉になるから “安全感・安心感”を持っていただけそうである。
“安全感・安心感”がありそうでも“怖がり、難癖をつける”報道はある。それでも、淡々と報道を受容するのが自由で民主的な国家である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
外部に敷設した加速器駆動からの陽子ビームによる核破砕で中性子を発生させ、遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を燃料として臨界以下原子炉で燃焼させ発電できる“安全感・安心感”のある原子炉が提供できた。
【実施例0011】
実施例1は手段1の外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉の実施例である。
図1は手段1の外部中性子源有軽水炉使用済核燃料燃焼炉の概観図である。
ステンレス製の原子炉容器(51)に遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を堆積している。粒の山を平坦にする。
軽水炉使用済核燃料ペレットをそのまま使うときは、ペレットを山積して、その上から遅発臨界以下確認核燃料粒(40)の粒や劣化ウランの粒をばら撒きペレット同士の隙間を埋める。軽水炉使用済核燃料ペレットは遅発臨界以下を確認する。
原子炉容器(51)の側壁には板状の劣化ウラン壁(21)を敷設した。
原子炉容器(51)の上部は円板状の劣化ウラン蓋(22)で覆った。
高温冷却材容器(60)の外側に設置してある多数基の陽子加速器(10)からの高速陽子は、多数本の陽子ビーム管(11)から原子炉容器(51)内に順番に照射される。
当該原子炉は未臨界であるから、陽子による中性子供給がなくなると、遅発中性子や自発中性子によって核分裂が起こるものの核分裂は低下していく。したがって、原子炉に何らかの異常が起きれば陽子の照射を停止させれば原子炉の出力は低下していく。崩壊熱は4日も経てば十分減少する。
原子炉容器(51)からの熱は、低温冷却材容器(70)から流入した低温冷却材に移行し、高温冷却材容器(60)を通って外部に流出する。流出先をタービンにして発電機を回転させれば電気が発生する。タービンで仕事を終えた低温冷却材は低温冷却材容器(70)に戻ってくる。
発生した電気は加速器の駆動に使われる。余剰電気は外部に送電販売する。
原子炉容器蓋(52)に貫通させた陽子ビーム管(11)からの陽子ビームは遅発臨界以下確認核燃料粒(40)領域の表面を照射する。
原子炉容器(51)側壁に下向きに貫通させた陽子ビーム管(11)に対しては、当該管の上にプラス極(12)を敷設すれば、陽子ビームは遅発臨界以下確認核燃料粒(40)領域の表面を照射する。陽子ビーム管(11)の管形状を縦長の楕円形にすれば、陽子ビーム方向は下側に向け易くなる。当該管にマイナス極を敷設しても陽子ビームを遅発臨界以下確認核燃料粒(40)領域の表面に集まるようにすることができる。
FPガスは、FPガス排出兼放射線計器管(13)から原子炉容器(51)の外界に排出される。当該管に放射線計器を敷設してガンマ線や中性子線を監視し出力上昇をLPRMで監視できる。陽子加速器(10)の出力を調整し、原子炉出力を調節する。
陽子ビーム照射直後の出力上昇はU238のドップラー効果によって出力が減衰する。温度上昇による核燃料の体積膨張による密度低下で出力が減衰する。
劣化ウラン壁(21)と劣化ウラン蓋(22)は、遅発臨界以下確認核燃料粒(40)領域から漏洩した中性子により核分裂する。
劣化ウラン壁(21)と原子炉容器(51)壁の間に放射線遮蔽壁(31)を敷設して放射線を遮蔽する。
劣化ウラン蓋(22)と原子炉容器(51)蓋の間には放射線遮蔽蓋(32)敷設して放射線を遮蔽する。
劣化ウラン壁(21)と劣化ウラン蓋(22)は、原子炉容器(51)の健全性のために放射線被ばく量を低くする効果がある。更に、将来放射性廃棄物になる放射線遮蔽壁(31)や放射線遮蔽蓋(32)の放射化量を減らすためである。劣化ウランが放射化しても本発明で燃焼消滅できる。
大きな加速器から1本の陽子ビームを原子炉容器(51)に照射すると、局所的に反応が起こり、当該部分が高温になってしまう。安全性が損なわれる恐れがある。本発明の様に、多数基の陽子加速器から多数本の陽子ビームを原子炉容器(51)に分散させて照射すると、反応が広く分散して起きるから局所的に高温になりにくい。
遅発臨界以下確認核燃料粒(40)から放出された核分裂中性子は四方八方に飛び、劣化ウラン壁(21)と劣化ウラン蓋(22)に衝突して核分裂させる。中性子が無駄にならない。
非気体FPは、非気体FP取出管(80)から原子炉容器(51)の外界に掻き出す。当該原子炉の実効増倍係数が1.0以下にならない恐れがある場合は、当該管から劣化ウランを投入する。或いは、遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を外界に掻き出す。
通常運転時にゆっくりした出力上昇が観測された場合には、劣化ウランを投入する。緊急時にはB4C(炭化ホウ素。中性子吸収材。ボロンサス棒(ステンレスの中にB4C分散)にすると回収しやすい)を挿入する。出力減少が顕著になったら遅発臨界以下確認核燃料粒(40)を投入する。