(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022762
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】集材機械システム
(51)【国際特許分類】
A01G 23/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A01G23/00 551F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127811
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 修平
(72)【発明者】
【氏名】上杉 憲央
(72)【発明者】
【氏名】井原 駿也
(57)【要約】
【課題】集材路に複数存在する集材位置に集積された木材を集材機械により効率良く集材可能な集材機械システムを提供する。
【解決手段】集材機械システム10は、集材路20に複数存在する集材位置に集積された木材の集材に用いられる。集材機械システム10は、集材路20の走行路面情報を取得する路面情報取得部15a、35aと、走行路面情報に基づいて集材路20の走行時における集材機械1が積載可能な上限積載量を設定する積載量設定部15b、35bと、上限積載量に基づいて集材位置を選択する集材位置選択部15c、35cと、上限積載量に基づいて選択された各集材位置における集材機械1への積込可能量を設定する積込設定部15d、35dと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集材位置に集積された木材の集材に用いられる集材機械システムであって、
集材機械が走行する集材路の走行路面情報を取得する路面情報取得部と、
前記走行路面情報に基づいて前記集材機械による前記集材路の走行時における積載可能な上限積載量を設定する積載量設定部と、
前記上限積載量に基づいて前記複数存在する集材位置の中から集材に向かう集材位置を選択する集材位置選択部と、
前記上限積載量に基づいて前記集材位置選択部にて選択された各集材位置における前記集材機械への積込可能量、積込可能本数及び積込対象木材の少なくとも1つを設定する積込設定部とを備えることを特徴とする集材機械システム。
【請求項2】
請求項1に記載の集材機械システムにおいて、
前記集材機械は、音声及び画面表示の少なくとも一方による前記集材機械の運転者に対する指示案内が可能な指示案内部を備え、
該指示案内部は、前記集材位置選択部により選択された集材位置及び前記積込設定部により設定された積込可能量、積込可能本数及び積込対象木材の少なくとも1つについて指示案内を行うことを特徴とする集材機械システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の集材機械システムにおいて、
前記集材路は、集材位置間毎に区分された複数の区間経路で構成されており、
前記路面情報取得部は、前記区間経路毎に前記走行路面情報を取得し、
前記積載量設定部は、前記路面情報取得部にて前記区間経路毎に得られた各走行路面情報に基づいて前記区間経路毎の走行時における積載可能な上限積載量を設定することを特徴とする集材機械システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の集材機械システムにおいて、
前記走行路面情報は、前記走行路面における勾配情報及び地盤支持力情報の少なくとも一方であることを特徴とする集材機械システム。
【請求項5】
請求項4に記載の集材機械システムにおいて、
前記集材機械における木材の積載位置を前記路面情報取得部にて得られた勾配情報に基づいて設定する積載位置設定部を備えることを特徴とする集材機械システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の集材機械システムにおいて、
前記路面情報取得部は、前記集材機械が前記集材路を往路走行する際に前記走行路面情報を取得し、
前記積載量設定部は、前記集材機械が前記集材路を復路走行する際の前記上限積載量を前記往路走行時にて取得した前記走行路面情報に基づいて設定することを特徴とする集材機械システム。
【請求項7】
請求項6に記載の集材機械システムにおいて、
前記集材機械は、前記走行路面の勾配を検出可能な勾配センサと、前記集材機械の現在地を測位可能な測位センサと、を備え、
前記路面情報取得部は、前記勾配センサにより前記走行路面の勾配情報を取得し、且つ、前記測位センサにより前記集材機械の現在地情報を取得することを特徴とする集材機械システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の集材機械システムにおいて、
前記路面情報取得部は、前記集材機械に設けられるとともに、伐倒、造材若しくは前記集材位置において木材の集積を行う他の林業機械、或いは、他の集材機械が取得した前記走行路面の勾配情報と現在地情報とを受信可能な第1受信部を備えることを特徴とする集材機械システム。
【請求項9】
請求項4に記載の集材機械システムにおいて、
前記路面情報取得部は、前記集材機械に設けられるとともに、前記集材路において検土杖若しくはコーン値計測器により取得した前記地盤支持力情報か、或いは、無人飛行体が取得した前記地盤支持力情報を受信可能な第2受信部を備えることを特徴とする集材機械システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の集材機械システムにおいて、
前記集材機械の走行距離、燃料消費率、電力消費率、集材往復回数及び集材時間の少なくとも1つに基づいて複数の集材路の候補の中から前記集材路を1つ選択する集材路選択部を備えることを特徴とする集材機械システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の集材機械システムにおいて、
前記集材機械の木材の実積載量と基準積載量との差異がある場合、当該差異が小さくなるよう前記集材位置選択部により行われた選択と前記積込設定部により行われた設定との少なくとも一方を変更する設定変更部を備えることを特徴とする集材機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の集材に用いられる集材機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、林業の分野では、植林により苗木から成長させた樹木の収穫期になると、伐倒した樹木は枝払い等の造材作業により丸太状の木材にされた後、集材位置に集積される。この木材の集材位置は、伐倒や造材がなされる場所の近くに設定されるため、森林内において伐倒等の作業が行われる場所毎に点在している。これら木材の各集材位置は、フォワーダ等の集材機械が走行可能な集材路により繋がっていて、集材機械が集材路を走行して各集材位置を集材して回ることで当該各集材位置に集積された木材を森林から運び出すようになっている。例えば、特許文献1に開示されている集材機械は、顧客からの受注情報等に基づいて各集材位置に集積された木材を集材して回っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の集材路は、その大半部分が森林を切り開いて作られたものであるので、平坦な箇所だけではなく、急勾配の箇所や未舗装の箇所が多く存在する。すなわち、集材路は路面状態の悪い場所があり、例えば、最奥端が行き止まりである一本道の集材路の最奥端寄りに位置する集材位置において、運転者が集材路の復路における路面状態を考慮せずに集材機械の最大積載量まで木材を積み込んでしまうと、集材路を戻る途中に急勾配の登坂の箇所や降雨等でぬかるんだ箇所がある場合、集材機械の駆動力不足によって集材機械が登坂を登りきれなかったり、或いは、集材機械におけるタイヤ等がぬかるみにはまって通過することができないといった事態が生じるおそれがあった。
【0005】
一方、集材機械の運転者が、上述の集材機械が登坂を登りきれない、或いは、集材機械がぬかるんだ箇所を通過することができないといった事態を懸念するあまり、集材機械への木材の積載量を必要以上に低く制限してしまうと、当該集材機械が集材路を一回往復する際に得られる総集材量が少なくなってしまう。集材機械への積載量を多くせずに総集材量が少なくなるのを回避するためには、集材機械が集材路を複数回往復せざるを得ず、そうすると集材機械の走行距離が延びてその燃料費等が嵩んでしまうので、集材作業にかかる費用が増加してしまうことになる。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、集材路に複数存在する集材位置に集積された木材を集材機械により効率良く集材可能な集材機械システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、集材に向かう集材位置の選択や当該集材位置における木材の積込量等の設定の仕方に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、複数の集材位置に集積された木材の集材に用いられる集材機械システムを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、集材機械が走行する集材路の走行路面情報を取得する路面情報取得部と、前記走行路面情報に基づいて前記集材機械による前記集材路の走行時における積載可能な上限積載量を設定する積載量設定部と、前記上限積載量に基づいて前記複数存在する集材位置の中から集材に向かう集材位置を選択する集材位置選択部と、前記上限積載量に基づいて前記集材位置選択部にて選択された各集材位置における前記集材機械への積込可能量、積込可能本数及び積込対象木材の少なくとも1つを設定する積込設定部とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記集材機械は、音声及び画面表示の少なくとも一方による前記集材機械の運転者に対する指示案内が可能な指示案内部を備え、該指示案内部は、前記集材位置選択部により選択された集材位置及び前記積込設定部により設定された積込可能量、積込可能本数及び積込対象木材の少なくとも1つについて指示案内を行うことを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記集材路は、集材位置間毎に区分された複数の区間経路で構成されており、前記路面情報取得部は、前記区間経路毎に前記走行路面情報を取得し、前記積載量設定部は、前記路面情報取得部にて前記区間経路毎に得られた各走行路面情報に基づいて前記区間経路毎の走行時における積載可能な上限積載量を設定することを特徴とする。
【0012】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記走行路面情報は、前記走行路面における勾配情報及び地盤支持力情報の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0013】
第5の発明では、第4の発明において、前記集材機械における木材の積載位置を前記路面情報取得部にて得られた勾配情報に基づいて設定する積載位置設定部を備えることを特徴とする。
【0014】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、前記路面情報取得部は、前記集材機械が前記集材路を往路走行する際に前記走行路面情報を取得し、前記積載量設定部は、前記集材機械が前記集材路を復路走行する際の前記上限積載量を前記往路走行時にて取得した前記走行路面情報に基づいて設定することを特徴とする。
【0015】
第7の発明では、第6の発明において、前記集材機械は、前記走行路面の勾配を検出可能な勾配センサと、前記集材機械の現在地を測位可能な測位センサと、を備え、前記路面情報取得部は、前記勾配センサにより前記走行路面の勾配情報を取得し、且つ、前記測位センサにより前記集材機械の現在地情報を取得することを特徴とする。
【0016】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、前記路面情報取得部は、前記集材機械に設けられるとともに、伐倒、造材若しくは前記集材位置において木材の集積を行う他の林業機械、或いは、他の集材機械が取得した前記走行路面の勾配情報と現在地情報とを受信可能な第1受信部を備えることを特徴とする。
【0017】
第9の発明では、第4の発明において、前記路面情報取得部は、前記集材機械に設けられるとともに、前記集材経路において検土杖若しくはコーン値計測器により取得した前記地盤支持力情報か、或いは、無人飛行体が取得した前記地盤支持力情報を受信可能な第2受信部を備えることを特徴とする。
【0018】
第10の発明では、第1から第9のいずれか1つの発明において、前記集材機械の走行距離、燃料消費率、電力消費率、集材往復回数及び集材時間の少なくとも1つに基づいて複数の集材路の候補の中から前記集材経路を1つ選択する集材路選択部を備えることを特徴とする。
【0019】
第11の発明では、第1から第10のいずれか1つの発明において、前記集材機械の木材の実積載量と基準積載量との差異がある場合、当該差異が小さくなるよう前記集材位置選択部により行われた選択と前記積込設定部により行われた設定との少なくとも一方を変更する設定変更部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明では、集材機械が集材に向かう各集材位置と当該集材位置における木材の積込可能量等とが集材路の走行路面状況を加味して設定されるようになる。したがって、運転者が走行路面状況に対して集材機械に過剰な量の木材を積込んでしまうことや、或いは、運転者が集材機械に対する木材の積載量を必要以上に低く制限してしまうといった事態が回避できるようになり、集材機械が登坂を登りきれずに立往生する事態や集材機械の燃料費等が嵩むのを防止して、集材位置に集積された木材を効率良く集材することができる。
【0021】
第2の発明では、指示案内部による指示案内を受けた集材機械の運転者は、集材路におけるいずれの集材位置においてどの程度の量の木材を集材機械に積み込むべきかを容易に把握可能になる。したがって、集材機械の運転者が、誤って過剰な量の木材を集材機械に積み込んでしまうことや、集材機械の積載量を必要以上に低く制限してしまうといった事態を回避することができる。
【0022】
第3の発明では、もし仮に、集材路における一部の区間経路の走行路面状況が悪く、集材機械が多くの木材を積載した状態で通過するのが困難であっても、当該一部の区間経路の通過前において集材機械の積載量を適正な量にしておくことができるようになり、当該区間経路を確実に通過させた後で当該区間経路の通過後の集材位置において集材機械に対して木材の積み込みが可能となる。したがって、走行路面状況の悪い一部の区間経路が制約となって、集材路を一回往復する際に得られる総集材量が少なくなるのを防止することができる。
【0023】
第4の発明では、もし仮に、集材路において急勾配の登坂の箇所や地盤支持力が低い箇所が存在していたとしても、集材機械が当該箇所を通過する際の木材の積載量を予め低くしておくことが可能となるので、駆動力不足によって集材機械が登坂の箇所を登りきれないことや、地盤支持力が低い箇所、つまり、降雨等でぬかるんだ箇所を集材機械が通過することができないといった事態を確実に回避することができる。
【0024】
第5の発明では、集材路において走行予定方向と直交する方向に急勾配の領域があったとしても、集材機械における木材の積載位置をその勾配状況に対応させた位置に積載可能になる。具体的には、集材路における走行予定方向と直交する方向の勾配が右側に比して左側が上方位置となる場合、集材機械における左側の位置に右側の位置よりも多くの木材を積載することで、集材機械のロール方向の挙動が安定するようになる。したがって、集材路に急勾配の領域があったとしても集材機械の走行を安定させることができる。
【0025】
第6の発明では、集材機械の復路走行時において向かう各集材位置や当該各集材位置における木材の積込可能量等を集材機械が実際に集材路の往路走行時において得た走行路面情報を利用して設定するようになる。したがって、例えば、集材機械以外の装置等から集材機械が復路走行における走行路面情報を受信する必要がなくなるだけでなく、集材機械が往路走行時において問題となる走行路面情報だけを取得することができるようになるので、集材機械以外の装置等から走行路面情報を受信する際に必要な受信ユニットや、或いは、当該受信ユニットによる走行路面情報の受信にかかる費用を抑えることができる。
【0026】
第7の発明では、勾配センサ及び測位センサを用いて定量的且つ正確な集材路の走行路面情報を取得可能になる。したがって、集材路における急勾配の登坂の箇所が存在していても、当該箇所を集材機械が復路走行時において通過する際の積載量を適切な量に調整することが可能になり、駆動力不足によって集材機械が登坂の箇所を登りきれないといった事態を確実に回避することができる。
【0027】
第8の発明では、集材機械は、当該集材機械による木材の集材に先立って行われる伐倒や造材を行う他の機械において得られた走行路面の勾配情報や現在地情報を利用できるようになる。したがって、勾配や現在地を検出するセンサを集材機械に搭載する必要がなくなるので、集材機械自体の製造コストを抑えることができる。
【0028】
第9の発明では、集材機械が、検土杖、コーン値計測器、又は無人飛行体により得られた地盤支持力情報を取得可能になるので、集材の際に地盤支持力を計測するために集材機械から運転者等が降りて集材路を歩きまわるといった必要が無くなり、運転者等が自身で地盤支持力を計測することにより集材に時間が掛かってしまって効率が悪くなるといったことを防止できる。
【0029】
第10の発明では、集材路の候補が複数存在する場合、集材機械の走行距離、燃料消費率、電力消費率、集材往復回数、集材時間が最小となる集材路を選択可能になる。したがって、集材機械の燃料費等が嵩むのを防止して、集材位置において木材の集材作業をさらに効率良く行うことができる。
【0030】
第11の発明では、もし仮に降雨等によって集材位置に集積された木材や集材機械に積載されている木材の含水率が上昇して木材自体の重量が増加し、それに伴って集材機械の木材の実積載量と基準積載量とに差異が生じた場合であっても、当該差異が小さくなるよう集材機械が向かう集材位置や当該集材位置における木材の積込可能量等が変更されるので、駆動力不足によって集材機械が登坂の箇所を登りきれないことや、降雨等でぬかるんだ箇所を集材機械が通過することができないといった事態を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態1に係る集材機械の概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る集材機械システムを示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る集材路を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る集材機械システムの制御手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のステップS100で実行される路面情報取得部による処理の詳細を示すサブルーチンである。
【
図6】
図4のステップS120で実行される集材位置選択部及び積込設定部による処理の詳細を示すサブルーチンの前半部分である。
【
図7】
図4のステップS120で実行される集材位置選択部及び積込設定部による処理の詳細を示すサブルーチンの後半部分である。
【
図8】
図4のステップS180で実行される設定変更部による処理の詳細を示すサブルーチンである。
【
図9】本発明の実施形態2に係る集材機械システムを示すブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る
図5に相当するサブルーチンである。
【
図11】本発明の実施形態3に係る集材機械システムを示すブロック図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る集材機械システムの制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図12のステップS90で実行される集材路選択部による処理の詳細を示すサブルーチンである。
【
図14】本発明の実施形態3に係る集材路を示す概略図である。
【
図15】本発明の実施形態4に係る集材機械システムを示すブロック図である。
【
図16】本発明の実施形態4に係る集材機械システムの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0033】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る集材機械システム10備えた集材機械1を示す。該集材機械1は、森林内の各地で集積された木材を集材するものであり、集材機械1の略上半部分には、キャビン2、積込ユニット3及び荷台4が車両の前側から順に配設される一方、集材機械1の略下半部分には、クローラ5が配設されている。
【0034】
キャビン2には、運転者が着座可能な運転席2aと、集材機械1の運転操作等を行う操作レバー2bと、画面表示を行うディスプレイ2cと、音声出力を行うスピーカー2dとが設けられている。
【0035】
また、キャビン2の天井部分上面には、通信ユニット6が設けられ、該通信ユニット6は、他の集材機械等との間で無線通信を行うようになっている。
【0036】
積込ユニット3は、木材を掴むことが可能なグラップル部3aを先端部分に有し、該グラップル部3aは、例えば、運転者の操作によって、荷台4に対する木材の積み込みや荷下ろしを行うようになっている。
【0037】
荷台4は、平面視で略長方形状をなしており、複数の丸太状の木材を積載できるようにその長辺の寸法を積載する木材の長さに対応させている。
【0038】
クローラ5は、走行駆動源8(
図15参照)により駆動する駆動ローラ5aと、該駆動ローラ5aに巻き掛けられ、且つ、路面に接する無端状ベルト5bと備え、当該無端状ベルト5bの周回移動動作により、集材機械1が集材路20を走行するようになっている。尚、本発明の実施形態における走行駆動源8は、エンジンや油圧アクチュエータ等の集材機械1の走行に必要な機器を含んでいる。
【0039】
集材機械システム10は、
図2に示すように、勾配センサ11a、測位センサ12a、積載量センサ13、制御ユニット15、ディスプレイ2c、及び、スピーカー2dで構成されている。
【0040】
勾配センサ11aは、制御ユニット15と信号線を介して接続され、集材機械1が走行する集材路20の路面勾配を検出可能になっている。該勾配センサ11aは、集材機械1の進行方向の路面勾配と当該進行方向と直交する方向の路面勾配を検出し、その検出結果を制御ユニット15に向けて出力するようになっている。
【0041】
測位センサ12aは、制御ユニット15と信号線を介して接続され、GNSS(Global Navigation Satelite System)を用いて集材機械1の現在地を測位可能になっている。該測位センサ12aは、集材機械1の現在地を検出し、その検出結果を制御ユニット15に向けて出力するようになっている。
【0042】
積載量センサ13は、制御ユニット15と信号線を介して接続され、荷台4の積載量を検出可能になっている。該積載量センサ13は、集材機械1の荷台4の積載量を検出し、その検出結果を制御ユニット15に向けて出力するようになっている。
【0043】
制御ユニット15は、路面情報取得部15a、積載量設定部15b、集材位置選択部15c、積込設定部15d、積載位置設定部15e、設定変更部15f、及び、指示案内部15gを有している。
【0044】
また、制御ユニット15は、ディスプレイ2cとスピーカー2dとに信号線を介して接続される一方、勾配センサ11a、測位センサ12a、及び、積載量センサ13から各検出結果が入力されるようになっていて、当該各検出結果に基づいて処理演算し、その処理演算結果に基づいて、ディスプレイ2cとスピーカー2dとに制御信号を出力するようになっている。
【0045】
次に、
図3を用いて、本発明の実施形態1に係る集材路20について説明する。
【0046】
集材路20は、丸太状に加工された木材が集積されている集材位置A~Dと走行スタート位置E(集材ゴール位置)とを繋ぐように構成されている。さらに、集材路20は、最奥端が行き止まりである一本道且つ当該集材路20を通じて隣り合う集材位置毎に区分された区間経路1~4で構成されている。
【0047】
集材機械1は、走行スタート位置Eを出発して集材路20を区間経路4、区間経路3、区間経路2、及び区間経路1の順に往路走行して集材位置Aに到達した後、当該集材位置A(集材スタート位置)を出発して集材路20を区間経路1、区間経路2、区間経路3、及び区間経路4の順に復路走行して走行スタート位置E(集材ゴール位置)に戻るようになっていて、復路走行時に集材位置A~Dに立ち寄って当該集材位置A~Dに集積された木材をそれぞれ集材した後、走行スタート位置E(集材ゴール位置)に戻るようになっている。
【0048】
次に、集材機械システム10における制御ユニット15が実行する処理について
図4乃至
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
集材機械1が、走行スタート位置Eを出発して往路走行を開始すると、
図4のフローチャートがスタートする。尚、以下では、集材機械1における木材の最大積載量を1000kgとし、往路走行開始時の木材の積載量を0kgとする。
【0050】
ステップS100は、制御ユニット15における路面情報取得部15aが集材路20の路面情報を取得する処理であって、具体的には、
図5に示すフローチャートに基づいて路面情報を取得する処理が行われる。
【0051】
ステップS101では、区間経路4の勾配情報及び現在地情報を取得する。当該ステップS101では、勾配センサ11aを用いて集材路20における集材機械1の直進走行方向の勾配情報、並びに、集材機械1の直進走行方向と直交する方向の勾配情報を取得するとともに測位センサ12aを用いて現在地情報を取得し、当該取得した両勾配情報と現在地情報とを紐付けて集材路20における各地点の勾配状況として記憶する。
【0052】
次に、ステップS102では、測位センサ12aにより取得される集材機械1の現在地情報に基づいて、区間経路4が終了したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はステップS103に進む一方、Noの場合はステップS101に戻り、区間経路4の勾配情報及び現在地情報の取得を継続する。
【0053】
ステップS103では、区間経路3の勾配情報及び現在地情報を取得する。そして、次のステップS104では、測位センサ12aにより取得される集材機械1の現在地情報に基づいて、区間経路3が終了したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はステップS105に進む一方、Noの場合はステップS103に戻り、区間経路3の勾配情報及び現在地情報の取得を継続する。
【0054】
ステップS105では、区間経路2の勾配情報及び現在地情報を取得する。そして、次のステップS106では、測位センサ12aにより取得される集材機械1の現在地情報に基づいて、区間経路2が終了したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はステップS107に進む一方、Noの場合はステップS105に戻り、区間経路2の勾配情報及び現在地情報の取得を継続する。
【0055】
ステップS107では、区間経路1の勾配情報及び現在地情報を取得する。そして、次のステップS108では、測位センサ12aにより取得される集材機械1の現在地情報に基づいて、区間経路1が終了したか否か、つまり往路走行を終了したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はエンド、つまり、
図4のステップS110に進んで復路走行を開始する。一方、該判断がNoの場合はステップS107に戻り、区間経路1の勾配情報及び現在地情報の取得を継続する。
【0056】
次のステップS110は、制御ユニット15における積載量設定部15bが集材機械1における積載可能な上限積載量を設定する処理を行う。
図4に戻り、ステップS110では、ステップS100で得られた区間経路毎の路面情報に基づいて、区間経路毎の走行時における集材機械1が積載可能な上限積載量を設定し、ステップS120へ進む。上限積載量は、例えば、区間経路における最も登り勾配又は降り勾配が大きい値を基準として、集材路20の登り勾配が大きいほど又は降り勾配が大きいほど、上限積載量が低く設定されるようになっている。
【0057】
ステップS120は、制御ユニット15における集材位置選択部15cが集材位置の選択をする処理を行う一方、積込設定部15dが積込可能量の設定を行う処理を行う。具体的には、
図6及び
図7に示すフローチャートに基づいて集材位置の選択と積込可能量の設定とを行う処理が行われる。
【0058】
図6に示すように、ステップS121では、集材機械1の基準積載量が0kgとなるようにリセットし、ステップS122に進む。
【0059】
ステップS122では、各集材位置の木材の集積量を取得し、ステップS123に進む。例えば、通信ユニット6を用いて各集材位置の木材の集積量を取得する。
【0060】
ステップS123では、集材位置Aの木材の集積量が、集材機械1の最大積載量よりも低いか否かを判断し、当該判断がYesの場合はステップS124に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS125に進む。具体的には、ステップS123では、集材位置Aの木材の集積量が最大積載量である1000kgよりも低いが否かが判断される。
【0061】
ステップS123の判断がYesの場合、集材位置Aに集積されている木材のすべてを集材機械1に積込可能であるので、ステップS124では、集材位置Aに集積されている木材のすべてを集材機械1の集材位置Aにおける積込可能量に設定し、ステップS126に進む。例えば、集材位置Aに500kgの木材が集積されている場合には、ステップS124では、集材位置Aにおける積込可能量は500kgに設定される。
【0062】
一方、ステップS123の判断がNoの場合、集材位置Aに集積されている木材のすべてを集材機械1に積み込むと集材機械1の最大積載量を超えてしまうため、ステップS125では、集材機械1の最大積載量を集材位置Aにおける積込可能量に設定し、ステップS126に進む。例えば、集材位置Aに1500kgの木材が集積されている場合には、ステップS125では、集材位置Aにおける積込可能量が集材機械1の最大積載量である1000kgに設定される。
【0063】
ステップS126では、区間経路1~4の各上限積載量における最小値を算出し、ステップS127に進む。例えば、区間経路1の上限積載量が600kg、区間経路2の上限積載量が1000kg、区間経路3の上限積載量が800kg、及び、区間経路4の上限積載量が1000kgの場合、最も値が小さい区間経路1の上限積載量600kgが区間経路1~4の各上限積載量における最小値として算出される。
【0064】
ステップS127では、ステップS124或いはステップS125で設定した集材位置Aの積込可能量が、ステップS126で算出した区間経路1~4の各上限積載量における最小値よりも低いか否かが判断される。当該判断がYesの場合はステップS128に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS129に進む。例えば、集材位置Aの積込可能量が500kgに設定されている場合は、区間経路1~4の各上限積載量における最小値600kgよりも低いので、ステップS127の判断がYesとなり、ステップS128に進む。一方、集材位置Aの積込可能量が1000kgに設定されている場合は、区間経路1~4の上限積載量の最小値600kgよりも高いので、ステップS127の判断がNoとなり、ステップS129に進む。
【0065】
ステップS127の判断がNoの場合、ステップS124或いはステップS125で設定した集材位置Aの積込可能量を集材機械1に積み込んでしまうと、集材機械1が通過できない区間経路が存在するようになるので、ステップS129では、集材位置Aの積込可能量がステップS126で設定した区間経路1~4の各上限積載量における最小値に変更された後、ステップS129に進む。例えば、集材位置Aの積込可能量が1000kgに設定されていた場合には、当該集材位置Aの積込可能量が区間経路1~4の上限積載量の最小値である600kgに変更される。
【0066】
ステップS128では、集材機械1が集材に向かう集材位置として集材位置A~Dの中から集材位置Aが選択され、ステップS130に進む。
【0067】
ステップS130では、設定した集材位置Aの積込可能量を集材機械1の基準積載量に加算し、ステップS131に進む。例えば、集材位置Aの積込可能量を500kgに設定した場合には、ステップS121において0kgにリセットされた基準積載量に対してステップS130において積込可能量の500kgが加算されることで、集材機械1の基準積載量が500kgとなる。
【0068】
ステップ131では、集材位置Bの木材の集積量に現在の集材機械1の基準積載量を加算して得られる合計値が、集材機械1の最大積載量よりも低いか否かを判断し、当該判断がYesの場合はステップS132に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS133に進む。例えば、集材位置Bの木材の集積量が200kgで且つ集材機械1の基準積載量が500kgの場合は、その合計値が700kgであり、集材機械1の最大積載量の1000kgよりも低いため、ステップS131の判断はYesとなり、ステップS132に進む。一方、集材位置Bの木材の集積量が1200kgで且つ集材機械1の基準積載量が500kgの場合は、その合計値が1700kgであり、集材機械1の最大積載量の1000kgよりも高くなるため、ステップS131の判断はNoとなり、ステップS133に進む。
【0069】
ステップS131の判断がYesの場合、集材位置Bに集積されている木材のすべてを集材機械1に積込可能であるので、ステップS132では、集材位置Bに集積されている木材のすべてを集材機械1の集材位置Bにおける積込可能量に設定し、ステップS134に進む。
【0070】
一方、ステップS131の判断がNoの場合、集材位置Bに集積されている木材のすべてを集材機械1に積み込むと集材機械1の最大積載量を超えてしまうため、ステップS133では、集材機械1の最大積載量から現在の集材機械1の基準積載量を減算した値を集材位置Bにおける積込可能量に設定し、ステップS134に進む。例えば、現在の基準積載量が500kgの場合、集材機械1の最大積載量の1000kgから現在の基準積載量500kgを減算した値である500kgが集材位置Bの積込可能量に設定される。
【0071】
ステップS134では、区間経路2~4の各上限積載量における最小値を算出し、ステップS135に進む。例えば、区間経路2の上限積載量が1000kg、区間経路3の上限積載量が800kg、及び、区間経路4の上限積載量が1000kgの場合、最も値が小さい区間経路3の上限積載量800kgが区間経路2~4の各上限積載量における最小値として算出される。
【0072】
ステップS135では、ステップS132或いはステップS133で設定した集材位置Bの積込可能量に現在の集材機械1の基準積載量を加算した合計重量が、ステップS134で算出した区間経路2~4の上限積載量の最小値よりも低いか否かが判断される。当該判断がYesの場合はステップS138に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS136に進む。例えば、集材位置Bの木材の積込可能量が200kgで且つ集材機械1の基準積載量が500kgの場合は、その合計重量である700kgが、ステップS134で設定した区間経路2~4の各上限積載量における最小値の800kgよりも低いため、ステップS135の判断がYesとなり、ステップS138に進む。一方、集材位置Bの木材の積込可能量500kgで且つ集材機械1の基準積載量が500kgの場合は、その合計重量である1000kgが、ステップS134で設定した区間経路2~4の各上限積載量における最小値の800kgよりも大きいため、ステップS135の判断がNoとなり、ステップS136に進む。
【0073】
ステップS135の判断がNoの場合、ステップS132或いはステップS133で設定した集材位置Bの積込可能量を集材機械1に積み込むと、集材機械1が通過できない区間経路が存在するようになるので、ステップS136では、集材位置Bの積込可能量が、ステップS134で設定した区間経路2~4の各上限積載量における最小値から現在の基準積載量を減算した重量に変更された後、ステップS137に進む。例えば、ステップS134で設定した区間経路2~4の上限積載量の最小値の800kg且つ現在の集材機械1の基準積載量が500kgの場合は、集材位置Bの積込可能量が300kgに変更される。
【0074】
ステップS137では、ステップS136で変更された集材位置Bの積込可能量が0kgよりも大きいか否かが判断される。当該ステップS137の判断がYesの場合はステップS138に進む一方、当該ステップS137の判断がNoの場合はステップS139に進む。
【0075】
ステップS135或いはステップS137の判断がYesの場合は、ステップS138において、集材機械1が集材に向かう集材位置として集材位置A~Dの中から集材位置Bが選択された後、ステップS140において、集材位置Bの積込可能量を集材機械1の基準積載量に加算し、
図7のステップS141に進む。
【0076】
一方、ステップS137の判断がNoの場合は、ステップS139において集材位置Bを集材位置に選択せず、
図7のステップS141に進む。つまり、ステップS137の判断がNoの場合は、集材位置Bの積込可能量が0kgのため、集材位置Bが集材位置に選択されないこととなる。
【0077】
図7に進み、ステップ141では、集材位置Cの木材の集積量に現在の集材機械1の基準積載量を加算して得られる合計重量が、集材機械1の最大積載量よりも低いか否かを判断し、当該判断がYesの場合はステップS142に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS143に進む。
【0078】
ステップS141の判断がYesの場合、集材位置Cに集積されている木材のすべてを集材機械1に積込可能であるので、ステップS142では、集材位置Cに集積されている木材のすべてを集材機械1の集材位置Cにおける積込可能量に設定し、ステップS144に進む。
【0079】
一方、ステップS141の判断がNoの場合、集材位置Cに集積されている木材のすべてを集材機械1に積み込むと集材機械1の最大積載量を超えてしまうため、ステップS143では、集材機械1の最大積載量から現在の集材機械1の基準積載量を減算した値を集材位置Cにおける積込可能量に設定し、ステップS144に進む。
【0080】
ステップS144では、区間経路3~4の各上限積載量における最小値を算出し、ステップS145に進む。
【0081】
ステップS145では、ステップS142或いはステップS143で設定した集材位置Cの積込可能量に現在の集材機械1の基準積載量を加算した合計重量が、ステップS144で算出した区間経路3~4の各上限積載量における最小値よりも低いか否かが判断される。当該判断がYesの場合はステップS148に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS146に進む。
【0082】
ステップS145の判断がNoの場合、ステップS142或いはステップS143で設定した集材位置Cの積込可能量を集材機械1に積み込んでしまうと、集材機械1の通過できない区間経路が存在するようになるので、ステップS146では、集材位置Cの積込可能量が、ステップS144で設定した区間経路3~4の各上限積載量における最小値から現在の基準積載量を減算した重量に変更された後、ステップS147に進む。
【0083】
ステップS147では、ステップS146で変更された集材位置Cの積込可能量が0kgよりも大きいか否かが判断される。当該ステップS147の判断がYesの場合はステップS148に進む一方、当該ステップS147の判断がNoの場合はステップS149に進む。
【0084】
ステップS145或いはステップS147の判断がYesの場合は、ステップS148において、集材機械1が集材に向かう集材位置として集材位置A~Dの中から集材位置Cが選択された後、ステップS150において、集材位置Cの積込可能量を集材機械1の基準積載量に加算し、ステップS151に進む。
【0085】
一方、ステップS147の判断がNoの場合は、ステップS149において集材位置Cを集材位置に選択せず、ステップS151に進む。
【0086】
ステップS151では、集材位置Dの木材の集積量に現在の集材機械1の基準積載量を加算して得られる合計重量が、集材機械1の最大積載量よりも低いか否かを判断し、当該判断がYesの場合はステップS152に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS153に進む。
【0087】
ステップS151の判断がYesの場合、集材位置Dに集積されている木材のすべてを集材機械1に積込可能であるので、ステップS152では、集材位置Dに集積されている木材のすべてを集材機械1の集材位置Dにおける積込可能量に設定し、ステップS155に進む。
【0088】
一方、ステップS151の判断がNoの場合、集材位置Dに集積されている木材のすべてを集材機械1に積み込むと集材機械1の最大積載量を超えてしまうため、ステップS153では、集材機械1の最大積載量から現在の集材機械1の基準積載量を減算した値を集材位置Dにおける積込可能量に設定し、ステップS155に進む。
【0089】
ステップS155では、ステップS152或いはステップS153で設定した集材位置Dの積込可能量に現在の集材機械1の基準積載量を加算した合計重量が、区間経路4の上限積載量よりも低いか否かが判断される。当該判断がYesの場合はステップS158に進む一方、当該判断がNoの場合はステップS156に進む。
【0090】
ステップS155の判断がNoの場合、ステップS152或いはステップS153で設定した集材位置Dの積込可能量を集材機械1に積み込んでしまうと、集材機械1が区間経路1を通過できなくなるので、ステップS156では、集材位置Dの積込可能量が、区間経路4の上限積載量から現在の基準積載量を減算した重量に変更された後、ステップS157に進む。
【0091】
ステップS157では、ステップS156で変更された集材位置Dの積込可能量が0kgよりも大きいか否かが判断される。当該ステップS157の判断がYesの場合はステップS158に進む一方、当該ステップS157の判断がNoの場合はステップS159に進む。
【0092】
ステップS155或いはステップS157の判断がYesの場合は、ステップS158において、集材位置Dが集材位置A~Dの中から集材機械1が集材に向かう集材位置に選択された後、ステップS160において、集材位置Dの積込可能量を集材機械1の基準積載量に加算し、
図7のフローチャートを終了して
図4のステップS170に進む。
【0093】
一方、ステップS157の判断がNoの場合は、ステップS159において集材位置Dを集材位置に選択せず、
図7のフローチャートを終了して
図4のステップS170に進む。
【0094】
図4に戻り、次のステップS170は、制御ユニット15における積載位置設定部15eが集材機械1における木材の積載位置を設定する処理を行う。具体的には、ステップS170では、ステップS100にて取得した路面情報に基づいて集材機械1の荷台4における木材の積載位置を設定し、ステップS180に進む。
【0095】
当該ステップS170では、例えば、区間経路1~4において、集材機械1の直進走行方向と直交する方向の勾配が右側に比して左側が上方位置となる場合、集材機械1の荷台4における左側の位置に右側の位置よりも多くの木材を積載するよう木材の積載位置が設定される一方、左側に比して右側が上方位置となる場合、集材機械1の荷台における右側の位置に左側の位置よりも多くの木材を積載するよう木材の積載位置が設定される。さらに、区間経路1~4において、登り勾配が大きい箇所がある場合には、木材の積載位置が集材機械1の荷台4における前方側の位置に後方側の位置よりも多くの木材を積載するよう木材の積載位置が設定される一方、降り勾配が大きい箇所がある場合には、木材の積載位置が集材機械1の荷台4における後方側の位置に前方側の位置よりも多くの木材を積載するよう木材の積載位置が設定される。
【0096】
ステップS180は、制御ユニット15における設定変更部15fが集材位置や積込可能量を変更する処理を行う。具体的には、
図8に示すフローチャートに基づいて選択された集材位置や設定された各集材位置の積込可能量を変更する処理が行われる。
【0097】
図8に進み、ステップS181では、積載量センサ13を用いて集材機械1における荷台4の木材の実積載量を取得し、ステップS182に進む。
【0098】
ステップS182では、集材機械1の現在の基準積載量(
図6のステップS130及びステップS140、
図7のステップS150及びステップS160を参照)が、ステップS181で取得した集材機械1の実積載量以上であるか否かを判断し、当該判断がYesの場合は
図8のフローチャートを終了し、
図4のステップS190に進む一方、上記判断がNoの場合はステップS183に進む。
【0099】
降雨等があると、集材位置に集積された木材や集材機械1に積載されている木材の含水率が上昇して木材自体の重量が増加し、それに伴って集材機械1の木材の実積載量と基準積載量とに差異が生じ得る。ステップS182の判断がNoの場合は、例えば、降雨等によって木材の含水率が上昇して木材自体の重量が増加し、基準積載量よりも集材機械1の実積載量が大きくなるので、ステップS183に進んで集材機械1の実積載量と基準積載量との差異が小さくなるよう集材に向かう集材位置や木材の積込可能量を変更し、その後、
図8のフローチャートを終了して
図4のステップS190に進む。
【0100】
図4に戻り、次のステップS190は、制御ユニット15における指示案内部15gがディスプレイ2c及びスピーカー2dにより運転者に対して指示案内する処理を行う。具体的には、ステップS190では、制御ユニット15から選択された集材位置、木材の積載可能量、及び集材機械1の荷台4における積載位置に係る制御信号がディスプレイ2c及びスピーカー2dに出力される。すると、該制御信号に係る集材位置、積載可能量、及び、積載位置が、ディスプレイ2cに画面表示されるととともに、スピーカー2dから音声出力されて、集材機械1の運転者へ指示案内が行われた後、ステップS195に進む。
【0101】
ステップS195では、測位センサ12aを用いて取得した集材機械1の現在地情報から集材機械1が集材ゴール位置(走行スタート位置E)に到着した否かが判断され、当該判断がYesの場合は処理を終了する一方、上記判断がNoの場合はステップS180に戻り、ステップS195の判断がYesとなるまでステップS180、ステップS190、及びステップS195の処理が繰り返し行われる。
【0102】
以上より、本発明の実施形態1によると、集材機械1が集材に向かう各集材位置と当該集材位置における木材の積込可能量等とが集材路20の走行路面状況を加味して設定されるようになる。したがって、運転者が走行路面状況に対して集材機械1に過剰な量の木材を積込んでしまうことや、或いは、運転者が集材機械1に対する木材の積載量を必要以上に低く制限してしまうといった事態が回避できるようになり、集材機械1が登坂を登りきれずに立往生する事態や集材機械1の燃料費等が嵩むのを防止して、集材位置に集積された木材を効率良く集材することができる。
【0103】
また、指示案内部15gによる指示案内を受けた集材機械1の運転者は、集材路20におけるいずれの集材位置においてどの程度の量の木材を集材機械1に積み込むべきかを容易に把握可能になる。したがって、集材機械1の運転者が、誤って過剰な量の木材を集材機械1に積み込んでしまうことや、集材機械1の積載量を必要以上に低く制限してしまうといった事態を回避することができる。
【0104】
また、もし仮に、集材路20における一部の区間経路の走行路面状況が悪く、集材機械1が多くの木材を積載した状態で通過するのが困難であっても、当該一部の区間経路の通過前において集材機械1の積載量を適正な量にしておくことができるようになり、当該区間経路を確実に通過させた後で当該区間経路の通過後の集材位置において集材機械1に対して木材の積み込みが可能となる。したがって、走行路面状況の悪い一部の区間経路が制約となって、集材路20を一回往復する際に得られる総集材量が少なくなるのを防止することができる。
【0105】
また、集材路20において走行予定方向と直交する方向に急勾配の領域があったとしても、集材機械1における木材の積載位置をその勾配状況に対応させた位置に積載可能になる。具体的には、集材路20における走行予定方向と直交する方向の勾配が右側に比して左側が上方位置となる場合、集材機械1における左側の位置に右側の位置よりも多くの木材を積載することで、集材機械1のロール方向の挙動が安定するようになる。したがって、集材路20に急勾配の領域があったとしても集材機械の走行を安定させることができる。
【0106】
また、集材機械1の復路走行時において向かう各集材位置や当該各集材位置における木材の積込可能量等を集材機械1が実際に集材路20の往路走行時において得た走行路面情報を利用して設定するようになる。したがって、例えば、集材機械以外の装置等から集材機械1が復路走行における走行路面情報を受信する必要がなくなるだけでなく、集材機械1が往路走行時において問題となる走行路面情報だけを取得することができるようになるので、集材機械以外の装置等から走行路面情報を受信する際に必要な受信ユニットや、或いは、当該受信ユニットによる走行路面情報の受信にかかる費用を抑えることができる。
【0107】
また、勾配センサ11a及び測位センサ12aを用いて定量的且つ正確な集材路20の走行路面情報を取得可能になる。したがって、集材路20における急勾配の登坂の箇所が存在していても、当該箇所を集材機械1が復路走行時において通過する際の積載量を適切な量に調整することが可能になり、駆動力不足によって集材機械1が登坂の箇所を登りきれないといった事態を確実に回避することができる。
【0108】
また、もし仮に降雨等によって集材位置に集積された木材や集材機械1に積載されている木材の含水率が上昇して木材自体の重量が増加し、それに伴って集材機械1の木材の実積載量と基準積載量とに差異が生じた場合であっても、当該差異が小さくなるよう集材機械1が向かう集材位置や当該集材位置における木材の積込可能量等が変更されるので、駆動力不足によって集材機械1が登坂の箇所を登りきれないことや、降雨等でぬかるんだ箇所を集材機械1が通過することができないといった事態を確実に回避することができる。
【0109】
尚、本発明の実施形態1では、
図5のステップS108において、区間経路1の終了を判断した際に往路走行を終了させて復路走行を開始させていたが、集材機械1の運転席2に運転者が操作可能な集材開始釦を備えておき、
図5のステップS108において区間経路1の終了を判断した後において当該集材開始釦が押された際に往路走行を終了させて復路走行を開始させて、
図4におけるステップS110以降の処理を実行してもよい。
【0110】
また、本発明の実施形態1では、
図5のステップS108において、集材機械1の現在地情報に基づいて区間経路1が終了したか否か、つまり、区間経路1~4の路面情報が取得できているか否かを判断していたが、これに代えて、事前に区間経路1~4の路面情報について、運転者等により入力されているか否か、或いは、通信ユニット6を用いて取得できているか否かを判断するようにしてもよい。
【0111】
また、本発明の実施形態1では、集材位置Aを集材スタート位置としていたが、これに代えて、集材機械1の運転者等が集材位置A~Dから任意に集材スタート位置を選択できるようにしてもよい。例えば、集材機械1が集材スタートを希望する集材位置に到着した際に、集材機械1の運転者が上述した集材開始釦を押すことで、任意に集材スタート位置を設定できるようにしてもよく、或いは、集材位置毎の集材開始釦を集材機械1に備えておき、運転者が集材スタートを希望する集材位置に対応する集材開始釦を押すことで、任意に集材スタート位置を設定できるようにしてもよい。
【0112】
また、本発明の実施形態1では、
図4のステップS120において、積込設定部15dが積込可能量を設定しているが、積込可能量に加えて、或いは、積込可能量に代えて、木材の積込可能本数や積込対象木材を設定するようにしても良い。例えば、木材の積込可能本数として、あらかじめ各集材位置に集積している木材の一本あたりの平均重量を記憶しておき、積込設定部15dがその平均重量と積込可能量との除算により積込可能本数を設定するようにしてもよい。また、積込対象木材として、集材位置に集積している各木材の種類、重量、品質、放置時間等の情報とともに識別子を付与しておき、積込設定部15dが積込対象木材の識別子を設定するようにしてもよい。
【0113】
また、本発明の実施形態1では、
図4のステップS170において、積載位置設定部15eが集材路20の勾配情報に基づいて集材機械1の荷台4における積載位置を設定しているが、荷台4の全体を撮影可能なカメラを集材機械1に設けるとともに当該カメラにより撮影した荷台4における木材の偏りを加味して積載位置を設定するようにしても良い。例えば、集材機械1の走行に伴って、当初荷台4の右側位置に積載していた木材が荷台4の左側位置に移動した場合において、更に荷台4の左側位置に木材を積載してしまうと集材機械1のロール方向の挙動が不安定となるおそれがあるので、積載位置設定部15eは荷台4の右側位置を木材の積載位置に設定して集材機械1のロール方向の挙動が不安定となるのを防止するようにしてもよい。
【0114】
また、本発明の実施形態1では、
図4のステップS180において、設定変更部15fが集材位置や木材の積込可能量を変更する際に、他の林業機械による造材作業や集材位置における木材の集積作業、或いは、他の集材機械の集材作業の進行状況を加味していないが、これらの進行状況を通信ユニット6を用いて取得して集材位置の設定や木材の積込可能量の変更の判断に利用するようにしても良い。これにより、集材位置に集積された木材の最新状況を加味して集材位置の設定や木材の積込可能量の変更が行えるようになり、複数の集材機械を用いて集材作業を行う際に一の集材機械が集材位置に集積されたすべての木材を積み込むことで、集積される木材が存在しない集材位置に他の集材機械が誤って集材に向かうことで、集材作業の効率が悪化するといったことを防ぐことができる。
【0115】
また、本発明の実施形態1では、
図4のステップS190において、指示案内部15gが木材の積載可能量をディスプレイ2cに画面表示させるととともに、スピーカー2dから音声を出力させて集材機械1の運転者への指示案内を行っているが、木材の積載可能量に加えて、或いは、当該積載可能量に代えて、木材の積込可能本数及び積込対象木材の少なくとも一方をディスプレイ2cに画面表示するとともに、スピーカー2dから音声の出力を行って集材機械1の運転者への指示案内を行うようにしてもよい。
【0116】
また、本発明の実施形態1では、
図4のステップS190において、指示案内部15gがディスプレイ2c及びスピーカー2dを用いて集材機械1の運転者に対して指示案内を行っているが、ディスプレイ2c及びスピーカー2dのいずれか一方のみを用いて指示案内を行ってもよく、その他の手段、例えば、集材機械1の運転者が所有する携帯端末を利用して指示案内を行うようにしてもよい。
【0117】
《発明の実施形態2》
次に、
図9及び
図10を用いて本発明の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と共通する部分については説明を省略し、当該実施形態1と異なる部分について説明する。
【0118】
実施形態1に係る集材機械システム10は、集材機械1のみで構成されていたが、実施形態2に係る集材機械システム10は、
図9に示すように、集材機械1に加えて、他の林業機械50と、無人飛行体70とで構成されている。また、実施形態1では、集材機械1が集材路20を往路走行する際に
図5に示す路面情報取得のステップS101~ステップS108を実行して、集材機械1に備えられた勾配センサ11a及び測位センサ12aを用いて集材路20の勾配情報や現在地情報を取得したが、実施形態2では、集材機械1は、他の林業機械50及び無人飛行体70が取得した勾配情報、地盤支持力情報及び現在地情報を受信して利用するのみとなっている。これにより、集材機械1が集材路20を実際に走行して勾配情報等を取得する必要が無くなるので、集材路20を片道のみ走行して集材することや、往路走行と異なる集材路20を復路走行において走行して集材することも可能となる。
【0119】
集材機械1は、
図9に示すように、他の林業機械50が発信した集材路20の勾配情報及び現在地情報を受信可能な第1通信部21(第1受信部)と、無人飛行体70が発信した集材路20の地盤支持力情報及び現在地情報を受信可能な第2通信部22(第2受信部)とが備え、第1通信部21及び第2通信部22は、集材機械1の通信ユニット6(
図1参照)に設けられている。
【0120】
他の林業機械50は、樹木の伐倒或いは造材を行う所謂ハーベスタ等であって、その上部旋回体部分には、勾配センサ11b及び測位センサ12bが配設されている。なお、他の林業機械50の下部走行体部分に勾配センサ11b及び測位センサ12bを配設するようにしてもよい。さらに、他の林業機械50は、勾配センサ11b及び測位センサ12bを用いて取得した集材路20の勾配情報及び他の林業機械50の現在地情報を集材機械1の第1通信部21に送信可能に構成されている。
【0121】
無人飛行体70は、測位センサ12c及び集材路20の地盤支持力を取得可能な地盤支持力取得部16を備えている。例えば、地盤支持力取得部16は、無人飛行体70から鉄球等を集材路20に落下させた際に当該鉄球等が到達した集材路20の地面の深さに基づいて地盤支持力を計測するようにしてもよく、或いは、無人飛行体70に備えたカメラで撮像した画像を処理することによって地盤支持力(コーン指数)を計測するようにしてもよい。そして、無人飛行体70は、測位センサ12cを用いて取得した無人飛行体70の現在地情報及び地盤支持力取得部16が取得した集材路20の地盤支持力情報を集材機械1の第2通信部22に送信可能に構成されている。
【0122】
次に、実施形態2に係る走行路面情報取得の処理(
図4のステップS100参照)について
図10を用いて説明する。すなわち、実施形態2では、実施形態1に係る
図4に示す処理に代わって
図10に示す処理が行われる。尚、それ以外の処理については実施形態1と共通である。
【0123】
ステップS201では、集材機械1の制御ユニット15は、区間経路1~4の勾配情報及び他の林業機械50の現在地情報を送信するよう当該他の林業機械50に対して要求し、ステップS202に進む。
【0124】
ステップS202では、制御ユニット15は、区間経路1~4すべての勾配情報及び現在地情報を受信したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はS203に進む一方、当該判断がNoの場合はS201に戻る。
【0125】
ステップ203では、制御ユニット15は、区間経路1~4の地盤支持力情報及び無人飛行体70の現在地情報を送信するよう当該無人飛行体70に対して要求し、ステップ204に進む。
【0126】
ステップS204では、制御ユニット15は、区間経路1~4すべての地盤支持力情報及び現在地情報を受信したか否かを判断する。当該判断がYesの場合はエンドに進む一方、当該判断がNoの場合はS203に戻る。
【0127】
以上より、本発明の実施形態2によると、もし仮に、集材路20において急勾配の登坂の箇所や地盤支持力が低い箇所が存在していたとしても、集材機械1が当該箇所を通過する際の木材の積載量を予め低くしておくことが可能となるので、駆動力不足によって集材機械1が登坂の箇所を登りきれないことや、地盤支持力が低い箇所、つまり、降雨等でぬかるんだ箇所を集材機械1が通過することができないといった事態を確実に回避することができる。
【0128】
また、集材機械1は、当該集材機械1による木材の集材に先立って行われる伐倒や造材を行う他の機械において得られた走行路面の勾配情報や現在地情報を利用できるようになる。したがって、勾配や現在地を検出するセンサを集材機械1に搭載する必要がなくなるので、集材機械1自体の製造コストを抑えることができる。
【0129】
また、集材機械1が、無人飛行体70により得られた地盤支持力情報を取得可能になるので、集材の際に地盤支持力を計測するために集材機械から運転者等が降りて集材路を歩きまわるといった必要が無くなり、運転者等が自身で地盤支持力を計測することにより集材に時間が掛かってしまって効率が悪くなるといったことを防止できる。
【0130】
尚、本発明の実施形態2では、第1通信部21が他の林業機械50が取得した走行路面の勾配情報及び現在地情報を受信しているが、集材路20を走行して集材を行う他の集材機械が取得した走行路面の勾配情報及び現在地情報を受信するような構成であってもよい。
【0131】
また、本発明の実施形態2では、第1通信部21が他の林業機械50の上部旋回体部分に取り付けられた測位センサ12bにより取得した現在地情報を受信しているが、他の林業機械50のアタッチメント或いは当該アタッチメントの近傍に取り付けられている測位センサにより取得した他の林業機械50の現在地情報を受信するような構成であってもよい。これにより、集材機械1は、当該集材機械1による木材の集材に先立って行われる伐倒等を行う他の林業機械50のアタッチメントの現在地情報を利用して正確な集材位置が分かるようになる。
【0132】
また、本発明の実施形態2では、第1通信部21が他の林業機械50の上部旋回体部分に取り付けられた測位センサ12bにより取得した現在地情報を受信しているが、他の林業機械50のブーム部及びアーム部の角度情報と、他の林業機械50の上部旋回体の現在地情報及び旋回角度情報とに基づいて算出して得られた前記他の林業機械のアタッチメントの現在地情報を受信するような構成であってもよい。これにより、他の林業機械50の可動部分から得られる情報を利用して集材位置が分かるようになるので、例えば、集材機械1による木材の集材に先立って伐倒等を行う他の林業機械のアタッチメント或いは当該アタッチメントの近傍に測位センサを取り付ける必要が無くなる。したがって、測位センサの破損等による交換に伴うコスト上昇を抑えることができる。
【0133】
また、本発明の実施形態2では、第2通信部22が無人飛行体70により取得された地盤支持力情報を受信しているが、集材路20において検土杖若しくはコーン値計測器により取得した地盤支持力情報を受信するような構成であってもよい。
【0134】
また、本発明の実施形態2では、第1通信部21及び第2通信部22を用いて全区間経路の勾配情報、現在地情報及び地盤支持力情報を受信するようにしたが、例えば、集材機械1の走行によって取得可能な路面情報以外の情報についてのみ受信するようにしてもよい。
【0135】
《発明の実施形態3》
次に、
図11~
図14を用いて本発明の実施形態3について説明する。この実施形態3は、制御ユニット15が集材路選択部15hを有する点(
図11参照)、及び、フローチャートにおいて路面情報を取得する処理(ステップS100)の前に集材路選択の処理(ステップS90)が追加されている点(
図12参照)以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と共通する部分については説明を省略し、当該実施形態1と異なる部分について説明する。
【0136】
図12におけるステップS90は、制御ユニット15における集材路選択部15hが集材路の選択をする処理を行う。具体的なステップS90に係る集材路選択の処理について、
図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0137】
ステップS211では、集材路20の候補が複数あるか否かを判断する。当該判断がYesの場合、つまり集材路20の候補が複数ある場合はステップS212に進む。一方、当該判断がNo、つまり、集材路20の候補が1つのみである場合にはエンドに進み、
図12のステップS100以降の処理を行う。
【0138】
ステップS212では、集材路20の候補毎の距離を取得し、ステップS213に進む。当該ステップS212では、例えば、
図14に示すように、集材路20の候補として、区間経路1、区間経路2、区間経路3及び区間経路4を通る候補Aと、区間経路1及び区間経路5を通る候補Bと、がある場合、候補Aでは区間経路1~4の距離の合計値を取得し、候補Bでは区間経路1及び区間経路5の距離の合計値を取得する。
【0139】
ステップS213では、ステップS212で取得した集材路20の候補毎の距離を比較し、最短距離となる集材路20の候補を選択し、
図12のステップS100以降の処理を行う。当該ステップS213では、例えば、
図14に示すように、集材路20の候補として、区間経路1、区間経路2、区間経路3及び区間経路4を通る候補Aと、区間経路1及び区間経路5を通る候補Bと、がある場合、最短距離となる候補Aの集材路20が選択される。
【0140】
以上より、本発明の実施形態3によると、集材路20の候補が複数存在する場合、集材機械1の走行距離が最小となる集材路を選択可能になる。したがって、集材機械1の燃料費等が嵩むのを防止して、集材位置において木材の集材作業をさらに効率良く行うことができる。
【0141】
尚、本発明の実施形態3では、集材路選択部15hは、集材機械1の走行距離が短くなるように複数の候補の中から集材路20を選択したが、集材機械1の燃料消費率、電力消費率、集材往復回数、集材時間が最小となるよう集材路20を選択してもよく、集材路20の地盤支持力情報に基づいて選択しても良い。例えば、集材機械1の燃料消費率又は電力消費率として、集材機械1の走行距離と木材の積載量との乗算により求められる値が最小となるよう集材路20を選択してもよく、また、集材機械1の集材時間として、集材路20の各区間経路における集材機械1の上限走行速度を走行路面の勾配情報や集材路20におけるカーブの数や当該カーブの半径の情報等から求め、当該各区間経路の上限走行速度と集材機械1の走行距離との乗算により求められる値が最小となるよう集材路20を選択してもよい。さらに、集材路20の地盤支持力が最大となる、或いは、当該地盤支持力が最大且つ集材機械1の走行距離が最短となるよう集材路20を選択してもよい。このようにすることで、集材機械1の燃料費等が嵩むのを防止して、集材位置において木材の集材作業をさらに効率良く行うことができる。
【0142】
《発明の実施形態4》
次に、
図15及び
図16を用いて本発明の実施形態4について説明する。この実施形態4は、集材機械1と他の林業機械50との間、及び、集材機械1と無人飛行体70との間にサーバ80が設けられている点以外は実施形態2と同様であるので、実施形態1と共通する部分については説明を省略し、当該実施形態1と異なる部分について説明する。
【0143】
実施形態4に係る集材機械システム10は、
図15に示すように、集材機械1、他の林業機械50、無人飛行体70、及びサーバ80で構成されている。
【0144】
実施形態4では、集材機械1の自動運転が行われる。当該集材機械1には、ディスプレイ2c及びスピーカー2dが設けられておらず、第1通信部21及び第2通信部22の代わりに第6通信部26が設けられている。
【0145】
また、実施形態4の制御ユニット15は、路面情報取得部15a、積載量設定部15b、集材位置選択部15c、積込設定部15d、積載位置設定部15e、設定変更部15f及び指示案内部15gを有していない。
【0146】
また、集材機械1は、第6通信部26を介して後述するサーバ制御ユニット35の第5通信部25から発信された積込ユニット3及び走行駆動源8の制御信号を受信するとともに、当該受信した制御信号に基づいて制御ユニット15が積込ユニット3及び走行駆動源8を制御可能に構成されている。
【0147】
サーバ80は、第3通信部23、第4通信部24、第5通信部25、及び、サーバ制御ユニット35を備えている。
【0148】
該サーバ制御ユニット35は、実施形態2における路面情報取得部15a、積載量設定部15b、集材位置選択部15c、積込設定部15d、積載位置設定部15e及び設定変更部15fと同様の処理を行う路面情報取得部35a、積載量設定部35b、集材位置選択部35c、積込設定部35d、積載位置設定部35e及び設定変更部35fを備えている。
【0149】
また、サーバ制御ユニット35は、積込ユニット3及び走行駆動源8を制御する制御部35iを備えている。
【0150】
第3通信部23は、他の林業機械50が送信した集材路20の勾配情報及び他の林業機械50の現在地情報を受信可能に構成されている。
【0151】
第4通信部24は、無人飛行体70が送信した無人飛行体70の現在地情報及び集材路20の地盤支持力情報を受信可能に構成されている。
【0152】
第5通信部25は、集材機械1の第6通信部26に対して集材機械1の積込ユニット3及び走行駆動源8の制御信号を送信可能であるとともに、集材機械1の第6通信部26から発信された集材機械1の現在地情報及び実積載量情報を受信可能に構成されている。
【0153】
次に、サーバ制御ユニット35が行う処理について
図16を用いて説明する。
【0154】
実施形態4におけるステップS100の処理について、実施形態2では制御ユニット15が第1通信部21及び第2通信部22を用いて受信した情報に基づいて処理を行っているのに対して、実施形態4ではサーバ制御ユニット35が第3通信部23及び第4通信部24を用いて取得した情報に基づいて処理を実行している点で相違するが、それ以外の点は実施形態2の
図10に示す処理と共通するため、詳細な説明は省略する。
【0155】
ステップS110、ステップS120、ステップS170、ステップS180、及び、ステップS195、について、実施形態2では、集材機械1の制御ユニット15が処理を実行しているのに対して、実施形態4では、サーバ80のサーバ制御ユニット35が処理を実行している点で相違するが、それ以外の点は共通するため、詳細な説明は省略する。
【0156】
実施形態2では、ステップS190において積込可能量等を運転者へ指示案内するようにされているのに対して、実施形態4では、サーバ制御ユニット35における制御部35iが集材機械1を自動運転させる処理を行う。具体的には、実施形態4では、
図16に示すように、ステップS185において自動運転によって集材機械1の集材を行うようにされている。
【0157】
ステップS185では、制御部35iは、走行駆動源8を制御する制御信号及び積込ユニット3を制御するための制御信号を生成するとともに、両制御信号を第5通信部25から集材機械1の第6通信部26に向けて発信し、ステップS195に進む。
【0158】
集材機械1の制御ユニット15は、第6通信部26を用いて両制御信号を受信すると、当該両制御信号に基づいて走行駆動源8を駆動制御するとともに、積込ユニット3における木材の積込制御を行う。ここで、走行駆動源8を制御する制御信号は、ステップS120において選択された集材位置へ集材機械1が走行して向かうよう生成され、積込ユニット3を制御する制御信号は、集材機械1が選択された集材位置に到達した際にステップS120において設定した積込可能量を集材機械1に積み込むよう生成されている。
【0159】
以上より、本発明の実施形態4によると、集材機械1を用いた集材の際、運転者による集材機械1の運転操作や積込ユニット3の操作が不要となる。したがって、集材機械1を用いた集材作業時における運転者の負荷が減るとともに、集材位置に集積された木材の集材機械1を用いた集材作業をより効率良く行うことができる。
【0160】
尚、本発明の実施形態4では、
図16のステップS185において、制御部35iが走行駆動源8及び積込ユニット3を制御することで運転者による集材機械1の運転操作及び積込ユニット3の操作が不要とされていたが、走行駆動源8及び積込ユニット3のいずれか一方のみ制御部35iが制御するようにしてもよい。ここで、制御部5iが走行駆動源8のみを制御するようにした場合は、運転者等が集材位置において木材の積込作業を行うようになり、また、制御部5iが積込ユニット3のみを制御するようにした場合は、集材機械1の運転操作は運転者が行うようになる。
【0161】
また、本発明の実施形態4では、集材機械1には積込ユニット3が備えられているが、集材機械1に積込ユニット3を備えるのは必須ではない。この場合、積込ユニット3を備えていない集材機械1において、制御部35iが走行駆動源8を制御するようになる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、集材路に複数存在する集材位置に集積された木材の集材に用いられる集材機械システムに適している。
【符号の説明】
【0163】
1 集材機械
3 積込ユニット
8 走行駆動源
10 集材機械システム
11a、11b 勾配センサ
12a、12b、12c 測位センサ
15a、35a 路面情報取得部
15b、35b 積載量設定部
15c、35c 集材位置選択部
15d、35d 積込設定部
15e、35e 積載位置設定部
15f、35f 設定変更部
15g 指示案内部
15h 集材路選択部
20 集材路
21 第1通信部(第1受信部)
22 第2通信部(第2受信部)
35i 制御部
50 他の林業機械
70 無人飛行体