(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022795
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】部品搬送ユニット
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
B65G47/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021145044
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA02
3F080AA26
3F080BA02
3F080CF05
3F080CF11
3F080CF23
3F080DA02
3F080DA10
3F080DA13
3F080DA18
3F080DB00
(57)【要約】
【課題】部品搬送に必要な機能部材を予めユニット化すること。
【解決手段】管部材によって部品搬送管を形成し、部品搬送管内の部品の後方に空気を吹き付けて部品を目的箇所へ送り届ける搬送空気の噴射管が、傾斜した姿勢で部品搬送管に取り付けられ、噴射管と噴射空気の供給ホースの接続箇所に位置する空気流量調整弁が噴射管に結合され、独立した部品搬送管と、噴射管と、空気流量調整弁が予め一体化されたユニットとして形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立した管部材によって部品搬送管を形成し、前記部品搬送管内の部品の後方に空気を吹き付けて部品を目的箇所へ送り届ける形式のものであって、
前記部品搬送管内に空気を吹き込む噴射管が傾斜した姿勢で前記部品搬送管に取り付けられ、
前記噴射管と噴射空気の供給ホースの接続箇所に位置する空気流量調整弁が前記噴射管に結合され、
独立した前記部品搬送管と、前記噴射管と、前記空気流量調整弁が予め一体化されたユニットとして形成されていることを特徴とする部品搬送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品供給通路に搬送空気を噴射し、部品を目的箇所へ到達させる形式のものにおいて、空気搬送に必要な部分構造部材をユニット化したものに関している。
【背景技術】
【0002】
特開2006-199496号公報に記載された部品搬送構造は、部品搬送管内の部品の後方に空気を吹き付けて、部品を目的箇所へ送り届ける形式のものであって、部品搬送管内に空気を吹き込む噴射管が傾斜した姿勢で部品搬送管に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の発明には、部品搬送に必要な機能部材をユニット化することに関して、何も開示されていない。
【0005】
本発明は、部品搬送に必要な機能部材をユニット化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
独立した管部材によって部品搬送管を形成し、前記部品搬送管内の部品の後方に空気を吹き付けて部品を目的箇所へ送り届ける形式のものであって、
前記部品搬送管内に空気を吹き込む噴射管が傾斜した姿勢で前記部品搬送管に取り付けられ、
前記噴射管と噴射空気の供給ホースの接続箇所に位置する空気流量調整弁が前記噴射管に結合され、
独立した前記部品搬送管と、前記噴射管と、前記空気流量調整弁が予め一体化されたユニットとして形成されていることを特徴とする部品搬送ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
管部材で形成された独立した部品搬送管と、傾斜した姿勢で部品搬送管に取り付けられた噴射管と、噴射管と噴射空気の供給ホースの接続箇所に位置する空気流量調整弁が、ユニットとして予め一体化されている。例えば、パーツフィーダの送出通路に空気噴射による搬送構造を採用する場合に、部品搬送管と噴射管と空気流量調整弁の3部材を、前もってユニット化しておき、このユニットをパーツフィーダの送出通路に組み付ければよい。
【0008】
したがって、パーツフィーダなどの製作工程が簡素化されて、原価低減に貢献する。部品搬送管と噴射管と空気流量調整弁の3部材を、前もってユニット化しているので、これらの3部材の相対位置関係を正確に求めることができ、構造精度の高いパーツフィーダなどの製品が得られる。さらに、3部材が一体化されているので、円形ボウルを備えたパーツフィーダや、直進フィーダの出口管など、種々な分野で採用することができ、汎用性の高いユニットが確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】プロジェクションナットと選別ゲージ部材の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の部品搬送ユニットを実施するための形態を説明する。
【実施例0011】
【0012】
最初に、搬送の対象となる部品について説明する。
【0013】
対象部品としては、プロジェクションナット、リング状のディスタンスピースなど、機械構造を形成する種々な小物部品がある。この実施例においては、鉄製のプロジェクションナット1である。以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
【0014】
ナット1は、
図5(A)に示すように、四角いナット本体2の中央部にねじ孔3が形成され、ナット本体2の片側の四隅に溶着用突起4が形成されている。溶着用突起4の突出方向は、ねじ孔3の中心軸線方向と、ねじ孔3の直径方向の両方向であり、
図5(A)で言えば、斜め下方に突き出ている。
【0015】
つぎに、部品搬送管について説明する。
【0016】
部品搬送管5は、四角いナット1が通過できる矩形断面とされ、管部材6で構成されている。噴射された搬送空気の動圧が強くナット1に作用するようにするため、ナット1と部品搬送管5の内面との間の隙間は、
図1に示すように、狭くしてある。管部材6の構成の仕方は、4辺を独立した細長い板材を溶接して矩形の閉断面形状としたりして、種々な構造とすることができる。ここでは、管部材6の1辺を構成する板材を基板7という位置付けにしてある。
【0017】
コ字型断面の長尺な通路部材8の開放側を基板7に溶接し、閉断面構造の管部材6が形成される。このようにして管部材6の1辺を、基板7が形成している。このような基板7は、種々な用途に利用することができるが、ここでは後述のパーツフィーダのボウルの外壁に部品搬送管5を取り付ける役割を果たしている。
【0018】
各図において黒く塗り潰した箇所は、溶接箇所を示している。
【0019】
つぎに、噴射管について説明する。
【0020】
部品搬送管5内のナット1の後方に空気を吹き付けてナット1を目的箇所へ送り届けるために、噴射管9が斜め向きの姿勢で管部材6に溶接してある。管部材6に、斜め向きの噴射口10が開けられ、この噴射口10は噴射管9の空気通路12に連通している。この事例では、管部材6の長手方向に対する空気通路12と噴射口10の中心軸線の傾斜角度(狭角)は、20度である。
【0021】
つぎに、空気流量調整弁の配置について説明する。
【0022】
噴射管9と噴射空気の供給ホース13の接続箇所に位置した状態で、空気流量調整弁14が噴射管9に結合されている。供給ホース13と噴射管12の接続を、空気流量調整弁14が媒介している形態になっている。このようにするために、噴射管9の端部に空気流量調整弁14が結合されている。供給ホース13は、ポリプロピレンなどの合成樹脂で構成されている。
【0023】
つぎに、空気流量調整弁について説明する。
【0024】
空気流量調整弁14自体としては種々な構造が採用できる。ここでは、調整ボルトに形成したテーパ部が通気制御口内に進退して、流路面積を加減するタイプが例示されている。
【0025】
円筒型の本体15が、ステンレス鋼のような金属材料で形成されている。本体15の内壁部材16に、円形のテーパ型の通気制御口17が設けられている。本体15の端壁部材18に調整ボルト19をねじ込み、調整ボルト19の先端部に形成したテーパ部20が通気制御口17に進入している。この進入長さを変えることによって、通気制御口17とテーパ部20の間の流路面積が加減されて、流量調整が行われる。この流量調整によって噴射口10から噴射される搬送空気の勢いが適正な値に調整される。調整ボルト19の中心軸線は、円筒型の本体15や通気制御口17と同軸になっている。
【0026】
内壁部材16と端壁部材18との間に空気室22が設けられ、本体15の円筒部分に入口孔23が開けられている。本体15の外周を包囲するような状態で環状の接手部材24が設けてある。接手部材24は、ポリアミド系合成樹脂のような材料で作られている。接手部材24には、本体15が貫通している環状部25が一体的に設けられ、その内周面に環状溝26が形成され、この環状溝26は入口孔23を介して空気室22に連通している。
【0027】
環状部25に、調整ボルト19の直径方向に突き出ている接続筒27が一体的に形成され、その内側が圧入孔28とされ、この圧入孔28の底部に、通気孔29が開けてある。空気圧送ポンプ(図示していない)から伸びてきている供給ホース13が圧入孔28に圧入されている。供給ホース13からの搬送空気は、通気孔29、環状溝26、入口孔23、空気室22、通気制御口17を経て空気通路12へ送られ、噴射口10からナット1の後面部分に吹き付けられ、ナット1は目的箇所へ供給される。
【0028】
圧入孔28の中心軸線と本体15の中心軸線は、直交している。また、環状部25は、本体15を軸部材にして回動することができる。そのために、
図3(A)に示したOリングを採用して、空気漏れを防止している。
【0029】
本体15と噴射管9は、ねじ部21で結合してある。本体15の端部に雄ねじが形成され、噴射管9の大径部11に雌ねじが形成されて、ねじ部21における結合がなされている。
【0030】
調整ボルト19を回して通気制御口17の流路面積を設定して、空気噴射によるナット搬送力の調整を行う。その後、ロックナット30を締め付けて、前記流路面積を確定する。
【0031】
つぎに、パーツフィーダについて説明する。
【0032】
パーツフィーダ31は、円形のボウル32の内側に螺旋形状の部品搬送板33が設けられ、この部品搬送板33に出口管34が接続してある。ボウル32に円周方向と上下方向の振動を付与して、部品搬送板33上のナット1を搬送する。ここでは、部品搬送管5が出口管34に接合してある。なお、符号35は、ボウル32の外壁板を示している。
【0033】
つぎに、基板の応用形態について説明する。
【0034】
前述のように、基板7は、種々な用途に利用することができるが、ここではパーツフィーダ31の外壁板35に、部品搬送管5を取り付ける役割を果たしている。
図2に示すように、基板7を横側(ほぼ水平方向)に伸ばしてボウル32の外壁板35に溶接してある。これ以外に、基板7を屈曲させて、近辺の静止部材に結合することも可能である。
【0035】
別の応用形態としては、
図5(B)に示すように、表向きナット1の通過は許容され、裏向きナット1の通過を禁止する選別ゲージ部材36が、管部材6に連通した状態で基板7に溶接されたものが挙げられる。基板7から突き出ている制止突起37が設けられ、表向きナット1は溶着用突起4が制止突起37を跨ぐようにして通過する(
図5(B)参照)。一方、裏向きナット1は、ナット本体2の横側面が制止突起37に突き当たって、通過が禁止される(
図1の2点鎖線図示参照)。このようにして、裏向きナット1の送出が禁止され、誤方向のナット送出が回避される。
【0036】
前記パーツフィーダ31は、ボウル32を振動させる形式のものであるが、これを回転板に磁石で部品を吸着して送出管から送り出す形式のものを採用してもよい。
【0037】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0038】
管部材6で形成された独立した部品搬送管5と、傾斜した姿勢で部品搬送管5に取り付けられた噴射管9と、噴射管9と噴射空気の供給ホース13の接続箇所に位置する空気流量調整弁14が、ユニットとして予め一体化されている。例えば、パーツフィーダ31の出口管34に空気噴射による搬送構造を採用する場合に、部品搬送管5と噴射管9と空気流量調整弁14の3部材を、前もってユニット化しておき、このユニットをパーツフィーダ31の出口管34に組み付ければよい。
【0039】
したがって、パーツフィーダ31などの製作工程が簡素化されて、原価低減に貢献する。部品搬送管5と噴射管9と空気流量調整弁14の3部材を、前もってユニット化しているので、これらの3部材の相対位置関係を正確に求めることができ、構造精度の高いパーツフィーダ31などの製品が得られる。さらに、3部材が一体化されているので、円形ボウル32を備えたパーツフィーダ31や、直進フィーダの出口管など、種々な分野で採用することができ、汎用性の高いユニットが確保できる。
【0040】
管部材6の一辺を形成する板材を、基板7として機能させるとともに所要の形状とすることによって、この基板7自体を部品搬送ユニットの取り付け部材として活用することができる。また、基板7を基礎的な部材として存在させ、この基板7に管部材6を形成するための長尺な部材を取り付けたり、異常部品の通過を禁止するチェックゲージ(選別ゲージ部材36)を取り付けたりすることができて、ユニット化が行いやすくなる。そして、所定の箇所に対する当該ユニットの取り付けが、簡単に、しかも高い取り付け精度の下で実現できる。
【0041】
噴射管9の長手方向に対して直角方向に供給ホース13が接合されているので、供給ホース13を噴射管9の長手方向に延長するような配置をすることが回避でき、ユニットの設置空間に制約がある場合に供給ホース13が近隣の部材と干渉することが回避でき、好都合である。
上述のように、本発明のユニットによれば、部品搬送に必要な機能部材をユニット化することが可能となる。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金組み立て工程などの広い産業分野で利用できる。