(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022812
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】脱炭素社会の構築に向けた導出装置、導出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230208BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084974
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2021127722の分割
【原出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】516140214
【氏名又は名称】booost technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏憲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スコープ3のGHG排出量を容易に導出する導出装置、導出方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】導出装置100は、第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する第1特定部であり、第2関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する第2特定部であり、さらに、第3関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ、主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する第3特定部である特定部102と、特定された他の事業者に向けて、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する出力部104と、要求メッセージを受けて、他の事業者から受け付けられた値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する導出部106と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出装置であって、
事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する第1特定部と、
カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する第2特定部と、
前記主事業者と、前記主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ前記主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する第3特定部と、
特定された前記他の事業者に向けて、前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する出力部と、
前記要求メッセージを受けて、前記他の事業者から受け付けられた値に基づいて、前記少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する導出部と
を備える、導出装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記要求メッセージに応じて、特定された前記他の事業者から前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかった場合、特定された前記他の事業者から前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかったことを示す報告メッセージを前記主事業者に向けて出力する、請求項1に記載の導出装置。
【請求項3】
他の事業者から受け付けられた少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を記憶部に登録する登録部をさらに備え、
特定された前記他の事業者について前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値が前記記憶部にすでに登録されている場合、前記出力部は、前記要求メッセージを出力せず、前記導出部は、前記記憶部に登録されている値に基づいて、前記少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する、請求項1または2に記載の導出装置。
【請求項4】
事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出方法であって、
事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する段階と、
カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する段階と、
前記主事業者と、前記主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ前記主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する段階と、
特定された前記他の事業者に向けて、前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する段階と、
前記要求メッセージを受けて、前記他の事業者から受け付けられた値に基づいて、前記少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する段階と
を備える、導出方法。
【請求項5】
事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する第1特定部と、
カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する第2特定部と、
前記主事業者と、前記主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、前記少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ前記主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する第3特定部と、
特定された前記他の事業者に向けて、前記少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する出力部と、
前記要求メッセージを受けて、前記他の事業者から受け付けられた値に基づいて、前記少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する導出部と
として、前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導出装置、導出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器ごとの二酸化炭素排出量を算出する二酸化炭素排出量算出システムが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2013-25487号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様に係る導出装置は、事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出装置でよい。導出装置は、事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する第1特定部を備えてよい。導出装置は、カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する第2特定部を備えてよい。導出装置は、主事業者と、主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する第3特定部を備えてよい。導出装置は、特定された他の事業者に向けて、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する出力部を備えてよい。導出装置は、要求メッセージを受けて、他の事業者から受け付けられた値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する導出部を備えてよい。
【0004】
出力部は、要求メッセージに応じて、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかった場合、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかったことを示す報告メッセージを主事業者に向けて出力する。
【0005】
導出装置は、他の事業者から受け付けられた少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を記憶部に登録する登録部をさらに備えてよい。特定された他の事業者について少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値が記憶部にすでに登録されている場合、出力部は、要求メッセージを出力せず、導出部は、記憶部に登録されている値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出してよい。
【0006】
本発明の一態様に係る導出方法は、事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出方法でよい。導出方法は、事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する段階を備えてよい。導出方法は、カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する段階を備えてよい。導出方法は、主事業者と、主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する段階を備えてよい。導出方法は、特定された他の事業者に向けて、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する段階を備えてよい。導出方法は、要求メッセージを受けて、他の事業者から受け付けられた値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する段階を備えてよい。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量、及び事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を導出する導出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムでよい。プログラムは、事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を参照して、主事業者の業種に関連付けられた少なくとも1つのカテゴリを特定する第1特定部としてコンピュータを機能させてよい。プログラムは、カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する第2特定部としてコンピュータを機能させてよい。プログラムは、主事業者と、主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種とを関連づけた第3関連情報を参照して、少なくとも1つのカテゴリに関連する業種に該当し、かつ主事業者の活動に関わる他の事業者を特定する第3特定部としてコンピュータを機能させてよい。プログラムは、特定された他の事業者に向けて、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供することを要求する要求メッセージを出力する出力部としてコンピュータを機能させてよい。プログラムは、要求メッセージを受けて、他の事業者から受け付けられた値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する導出部としてコンピュータを機能させてよい。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】導出装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図2】事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報の一例を示す図である。
【
図3】カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報の一例を示す図である。
【
図4】主事業者の事業者名及び業種と、主事業者の活動に関わる他の事業者の事業者名及び業種とを関連づけた第3関連情報の一例を示す図である。
【
図5】導出装置によるスコープ3のGHG排出量の導出手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
近年、事業者自らの温室効果ガスの排出量(GHG排出量)だけでなく事業活動に関わる全てのGHG排出量を示すサプライチェーン排出量を算定することにより、企業活動全体を把握、管理することが試みられている。サプライチェーン排出量は、事業者の原料調達、製造、物流、販売、廃棄などの一連の流れ全体における組織活動に伴って発生するGHG排出量(千t-CO2)を示す。サプライチェーン排出量は、スコープ1、スコープ2、及びスコープ3から構成される。スコープ1は、事業者より直接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す直接排出量を示す。スコープ2は、事業者がエネルギーを購入することで間接的に排出された温室効果ガスの排出量を示す間接排出量を示す。スコープ3は、スコープ1の直接排出量、及びスコープ2の間接排出量に含まれない事業者の活動により排出された温室効果ガスの排出量を示す他の間接排出量を示す。
【0012】
主事業者のスコープ3のGHG排出量を導出するためには、主事業者(例えば、メーカ)の活動に関わる他の事業者(例えば、サプライヤー、関連企業、納品先企業など)の活動により生じるGHG排出量を把握する必要がある。しかし、主事業者が、他の事業者のGHG排出量の導出に必要なデータを入手することは容易ではない。
【0013】
そこで、本実施形態では、スコープ3のGHG排出量の導出を容易にする導出装置を提供する。
【0014】
スコープ3は、活動内容によりさらに15のカテゴリに分類される。カテゴリ1は、「購入した製品・サービス」を示す。カテゴリ2は、「資本財」を示す。カテゴリ3は、「スコープ1及びスコープ2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」を示す。カテゴリ4は、「輸送、搬送(上流)」を示す。カテゴリ5は、「事業活動から出る廃棄物」を示す。カテゴリ6は、「出張」を示す。カテゴリ7は、「雇用者の通勤」を示す。カテゴリ8は、「リース資産(上流)」を示す。カテゴリ9は、「輸送、配送(下流)」を示す。カテゴリ10は、「販売した製品の加工」を示す。カテゴリ11は、「販売した製品の使用」を示す。カテゴリ12は、「販売した製品の廃棄」を示す。カテゴリ13は、「リース資産(下流)」を示す。カテゴリ14は、「フランチャイズ」を示す。カテゴリ15は、「投資」を示す。スコープ3は、15のカテゴリに含まれない間接的なGHG排出量を示す「その他」をさらに含む。「その他」に該当するGHG排出量は、例えば、従業員または消費者の日常生活に関するGHG排出量などを含む。
【0015】
図1は、導出装置100の機能ブロックの一例を示す。導出装置100は、特定部102、出力部104、導出部106、登録部108、及び記憶部110を備える。導出装置100は、主事業者の活動に関わる他の事業者の活動による生じるGHG排出量の導出を行う。
【0016】
記憶部110は、他の事業者の活動による生じるGHG排出量を導出するために必要な各種情報を記憶する。
【0017】
上記の通り、スコープ3は、複数のカテゴリを含む。しかしながら、主事業者の業種によってGHG排出量を導出すべきカテゴリは異なる。そこで、記憶部110は、
図2に示すように、事業者の業種と、事業者の業種において他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリとを関連づけた第1関連情報を記憶する。
【0018】
また、カテゴリの種類によって、そのカテゴリに関わるGHG排出を伴う活動を行う他の事業者の業種は異なる。そこで、記憶部110は、
図3に示すように、カテゴリとカテゴリについて他の間接排出量を導出するために入力すべき項目に関連する業種とを関連づけた第2関連情報を記憶する。
【0019】
記憶部110は、さらに、
図4に示すように、主事業者ごとに、主事業者の事業者名及び業種と、主事業者の活動に関わる他の事業者の事業者名及び業種とを関連づけた第3関連情報を記憶する。事業者の業種は、小売業、建設業、物流業、セメント製造業、農業、鉄鋼業、化学工業、通信業、公務などでよい。事業者の業種は、日本標準産業分類などの予め定められた分類で定義される業種でよい。
【0020】
特定部102は、
図2に示すような第1関連情報を参照して、主事業者の業種で他の間接排出量の導出に必要な少なくとも1つのカテゴリを特定する。さらに、特定部102は、
図3に示すような第2関連情報を参照して、特定された少なくとも1つのカテゴリに関連する業種を特定する。すなわち、特定部102は、特定されたカテゴリで導出すべき、GHG排出量に関わる活動を行う他の事業者の業種を特定する。
【0021】
特定部102は、
図4に示すような第3関連情報を参照して、主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種を特定する。特定部102は、主事業者の活動に関わる他の事業者のうち、特定されたカテゴリについてGHG排出量を導出すべき業種に対応する他の事業者を特定する。
【0022】
出力部104は、特定された他の事業者に向けて、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目に値を入力することを要求する要求メッセージを出力する。
【0023】
出力部104は、主事業者の活動に係る活動で生じたGHG排出量を導出するための予め定められた式を示す要求メッセージを、特定された他の事業者に向けて、出力してよい。
【0024】
カテゴリ1について、出力部104は、主事業者が他の事業者から提供された製品またはサービスに係る資源採取段階から製造段階までのGHG排出量を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0025】
カテゴリ2について、出力部104は、主事業者が他の事業者から提供された資本財の重量、販売単位、または建築費用に排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0026】
カテゴリ4について、出力部104は、運輸業の他の事業者に向けて、主事業者の活動に係る活動で生じたGHG排出量を導出するために必要な項目として、主事業者の活動に係る活動で生じた燃料使用量、または、輸送距離/燃費に排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0027】
カテゴリ5について、出力部104は、廃棄物種類・処理方法別の廃棄処理・リサイクル量に廃棄物種類・処理方法別の排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0028】
カテゴリ9について、出力部104は、主事業者の活動に係る活動で生じた燃料使用量、または、輸送距離/燃費に排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0029】
カテゴリ10について、出力部104は、主事業者の活動に係る中間製品販売事業者などの他の事業者に向けて、中間製品の加工に伴うGHG排出量、または中間製品の加工に伴うエネルギー消費量に排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0030】
カテゴリ12について、出力部104は、廃棄物種類・処理方法別の廃棄処理・リサイクル量に廃棄物種類・処理方法別の排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0031】
カテゴリ13について、出力部104は、他社に賃貸しているリース資産におけるエネルギー種別の消費量にエネルギー種別の排出原単位を乗算した値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0032】
カテゴリ14について、他の事業者である非投資者から得た投資別のスコープ1及びスコープ2のGHG排出量を投資持分比率に応じて積み上げた値を入力することを要求する要求メッセージを出力してよい。
【0033】
導出部106は、要求メッセージを受けて、他の事業者から受け付けられた値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出する。例えば、導出部106は、燃料使用量、または、輸送距離/燃費に排出原単位を乗算することで、主事業者の活動に係る活動で生じたGHG排出量を導出してよい。導出部106は、要求メッセージを受けて、他の事業者のそれぞれから受け付けられた値を合計することで、主事業者に関わる全てのカテゴリについて全体の他の間接排出量を導出してよい。
【0034】
要求メッセージに応じて、特定された他の事業者が、少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を提供しない可能性がある。そこで、出力部104は、要求メッセージに応じて、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかった場合、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかったことを示す報告メッセージを主事業者に向けて出力してよい。出力部104は、要求メッセージを出力してから予め定められた期間までに、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかった場合、特定された他の事業者から少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を受け付けなかったことを示す報告メッセージを主事業者に向けて出力してよい。これにより、主事業者は、他の間接排出量の導出に協力的でない事業者を容易に把握できる。主事業者は、他の間接排出量を導出するのに必要なデータを提供しなかった他の事業者を容易に把握し、他の事業者との継続継続の見直し等の判断材料に利用できる。
【0035】
登録部108は、他の事業者から受け付けられた少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値を記憶部110に登録する。記憶部110は、事業者ごとにすでに入力された項目の値を記憶してよい。記憶部110に登録された各事業者から入力されたそれぞれの値は、導出装置100にログインしている各事業者から参照可能な状態で、記憶部110に記憶されていよい。特定部102により特定された他の事業者について少なくとも1つのカテゴリで入力すべき項目の値が記憶部108にすでに登録されている場合、出力部104は、要求メッセージを出力せず、導出部106は、記憶部110に登録されている値に基づいて、少なくとも1つのカテゴリについての他の間接排出量を導出してよい。すでに入力された項目の値を事業者間で流用することで、事業者が同じ値を何度も入力する必要がなくなる。これにより、複数の主事業者についての他の間接排出量を迅速に導出できる。
【0036】
図5は、導出装置100によるスコープ3のGHG排出量の導出手順の一例を示すフローチャートである。
【0037】
特定部102は、主事業者の業種を特定する(S100)。特定部102は、主事業者から自身の業種を受け付けてよい。事業者ごとに、事業者の業種と関連付けたアカウントを予め作成し、主事業者が自身のアカウントで導出装置100にログインしてよい。この場合、特定部102は、現在ログインしているアカウントに関連付けられた事業者の業種を主事業者の業種として特定してよい。
【0038】
特定部102は、第1関連情報を参照して、特定された主事業者の業種に基づいて、GHG排出量を導出すべきスコープ3のカテゴリを特定する(S102)。特定部102は、第2関連情報を参照して、特定されたカテゴリで入力すべき項目に関連する業種を特定する(S104)。
【0039】
特定部102は、第3関連情報を参照して、主事業者の活動に関わる他の事業者及び他の事業者の業種を特定する(S106)。特定部102は、特定されたカテゴリで入力すべき項目に関連する業種に基づいて、主事業者の活動に関わる他の事業者の中ら、入力を要請する他の事業者を特定する(S108)。
【0040】
出力部104は、特定された他の事業者に向けて、特定されたカテゴリで入力すべき項目の入力を要請する要求メッセージを出力する(S110)。
【0041】
他の事業者は、主事業者のGHG排出量について入力すべき項目のうち、他の事業者に割り当てられた項目について導出装置100に直接入力してよい。
【0042】
他の事業者は、主事業者のGHG排出量について入力すべき項目のうち、他の事業者に割り当てられた項目について入力できる権限を有するアカウントで導出装置100にログインした後、他の事業者は、他の事業者に割り当てられた項目についての値を導出装置100に直接入力してよい。
【0043】
他の事業者は、主事業者と同じアカウントで導出装置100にログインした後、他の事業者は、他の事業者に割り当てられた項目についての値を導出装置100に直接入力してよい。
【0044】
次いで、導出部106は、特定された他の事業者から項目の値を受け付け(S112)、項目の値に基づいて、該当カテゴリのGHG排出量を導出する(S114)。
【0045】
本実施形態によれば、スコープ3のGHG排出量を容易に導出でき、主事業者の負担を低減できる。
【0046】
図6は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0047】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0048】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CR-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記録媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0049】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0050】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0051】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0052】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0053】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0054】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードの何れかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0056】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0057】
100 導出装置
102 特定部
104 出力部
106 導出部
110 記憶部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM