IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特開2023-22818金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法
<>
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図1
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図2
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図3A
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図3B
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図3C
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図4A
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図4B
  • 特開-金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022818
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】金属滴吐出三次元(3D)物体プリンタ及び金属支持構造を形成するための動作方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/58 20210101AFI20230208BHJP
   B22F 10/22 20210101ALI20230208BHJP
   B22F 10/43 20210101ALI20230208BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230208BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230208BHJP
【FI】
B22F12/58
B22F10/22
B22F10/43
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112509
(22)【出願日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】17/393,115
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ.・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ.・ワイブル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム.・ルフェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】チューホン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.・マッコンビル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA14
4K018BA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成する溶融金属滴吐出装置および金属支持構造を形成するための動作方法を提供する。
【解決手段】三次元(3D)金属物体製造装置には、溶融金属滴吐出装置中の容器104の収容部内に2つの異なる金属を移動させるように独立して動作する2つの固体金属移動機構が装備される。吐出器は、2つの異なる金属のうちの一方の溶融金属滴で物体特徴を形成し、2つの異なる金属の他方の溶融金属滴で支持特徴を形成するように動作する。2つの金属の熱膨張係数は、物体及び支持特徴が冷却した後、支持体特徴が物体特徴から容易に分離するのに十分なだけ異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属滴吐出装置であって、
内部に収容部がある容器を有する吐出器と、
前記容器の前記収容部内の固体金属を溶融させるのに十分な温度まで前記容器を加熱するように構成されている、ヒータと、
第1の固体金属を前記溶融用の吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように構成されている、第1の固体金属供給機構と、
前記第1の固体金属とは異なる第2の固体金属を、前記溶融用の吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように構成されている、第2の固体金属供給機構と、を備える、金属滴吐出装置。
【請求項2】
前記吐出器、前記ヒータ、前記第1の固体金属供給機構、及び前記第2の固体金属供給機構に動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、
前記第1の固体金属供給機構を動作させて、前記第1の固体金属を前記容器の前記収容部内に供給し、
前記ヒータを動作させて、前記容器内の前記第1の固体金属を溶融し、
前記吐出器を動作させて、前記第1の固体金属の溶融液滴を吐出して、物体の層を形成し、
前記第2の固体金属供給機構を動作させて、前記第2の固体金属を前記容器の前記収容部内に供給し、
前記ヒータを動作させて、前記容器内の前記第2の固体金属を溶融し、
前記吐出器を動作させて、前記第2の固体金属の溶融液滴を吐出して、支持構造の層を形成する、ように構成されている、コントローラを更に備える、請求項1に記載の金属滴吐出装置。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記吐出器を動作させて、セグメント化された境界で前記支持構造の層を形成するように更に構成されている、請求項2に記載の金属滴吐出装置。
【請求項4】
前記第1の固体金属供給機構を動作させて、前記第1の固体金属を前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように構成されている、第1のアクチュエータと、
前記第2の固体金属供給機構を動作させて、前記第2の固体金属を前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように構成されている、第2のアクチュエータと、を更に備え、
前記コントローラが、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータに動作可能に接続されており、前記コントローラが、
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを独立して動作させて、前記第1の固体金属又は前記第2の固体金属のいずれかを前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように更に構成されている、請求項2に記載の金属滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1のアクチュエータに動作可能に接続された第1のローラと、
前記第1のローラとニップを形成するように位置付けられた第2のローラと、を更に備え、
前記コントローラが、
前記第1のアクチュエータを動作させて、前記第1の固体金属のワイヤを前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように更に構成されている、請求項4に記載の金属滴吐出装置。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータに動作可能に接続された第3のローラと、
前記第3のローラとニップを形成するように位置付けられた第4のローラと、を更に備え、
前記コントローラが、
前記第2のアクチュエータを動作させて、前記第2の固体金属のワイヤを前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させるように更に構成されている、請求項5に記載の金属滴吐出装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの長さを特定するように構成されている、請求項6に記載の金属滴吐出装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの長さを特定するように構成されている、請求項7に記載の金属滴吐出装置。
【請求項9】
前記第1のローラの角運動速度を示す信号を生成するように構成されている第1のエンコーダと、
前記第3のローラの角運動速度を示す信号を生成するように構成されている第2のエンコーダと、を更に備え、
前記コントローラが、
前記第1のエンコーダによって生成された前記信号及び前記第1のローラの直径を使用して、前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの前記長さを特定し、
前記第2のエンコーダによって生成された前記信号及び前記第3のローラの直径を使用して、前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの前記長さを特定する、ように更に構成されている、請求項8に記載の金属滴吐出装置。
【請求項10】
前記第1のアクチュエータが、第1のステッパモータであり、前記第2のアクチュエータが、第2のステッパモータであり、前記コントローラが、
前記第1のステッパモータによって成されたモータ回転数を使用して、前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの前記長さを特定して、前記第1の固体金属ワイヤのセグメントを前記収容部内に供給し、
前記第2のステッパモータによって成されたモータ回転数を使用して、前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの前記長さを特定して、前記第2の固体金属ワイヤのセグメントを前記収容部内に供給する、ように更に構成されている、請求項8に記載の金属滴吐出装置。
【請求項11】
前記コントローラが、
前記吐出器に動作可能に接続された第3のアクチュエータを動作させて、前記吐出器を領域に移動させ、
前記第2のアクチュエータを動作させて、第2の固体金属ワイヤを前記溶融用の収容部内に移動させる前に、前記吐出器を動作させて、溶融した第1の金属を前記吐出器から排出する、ように更に構成されている、請求項8に記載の金属滴吐出装置。
【請求項12】
前記第1の固体金属ワイヤが、前記第2の固体金属ワイヤの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する、請求項11に記載の金属滴吐出装置。
【請求項13】
金属滴吐出装置を動作させる方法であって、
第1の固体金属供給機構を動作させて、第1の固体金属を、溶融用の吐出器中の容器の収容部内に移動させることと、
第2の固体金属供給機構を動作させて、前記第1の固体金属とは異なる第2の固体金属を、前記溶融用の吐出器内の前記容器の前記収容部内に移動させることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記吐出器を動作させて、前記第1の固体金属の溶融液滴を吐出して、物体の層を形成することと、
前記吐出器を動作させて、前記第2の固体金属の溶融液滴を吐出して、支持構造の層を形成することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吐出器を動作させて、セグメント化された境界で前記支持構造の層を形成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の固体金属供給機構の第1のアクチュエータを動作させて、前記第1の固体金属を前記収容部内に移動させることと、
前記第2の固体金属供給機構の第2のアクチュエータを動作させて、前記第1の固体金属の移動とは独立して、前記第2の固体金属を前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させることと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のアクチュエータを動作させて、第2のローラと係合してニップを形成する第1のローラを回転させて、前記第1の固体金属のワイヤを前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のアクチュエータを動作させて、第4のローラと係合してニップを形成する第3のローラを回転させて、前記第2の固体金属のワイヤを前記吐出器中の前記容器の前記収容部内に移動させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの長さを特定することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの長さを特定することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1のエンコーダで、前記第1のローラの角運動速度を示す信号を生成することと、
第2のエンコーダで、前記第3のローラの角運動速度を示す信号を生成することと、
前記第1のエンコーダによって生成された前記信号及び前記第1のローラの直径を使用して、前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの前記長さを特定することと、
前記第2のエンコーダによって生成された前記信号及び前記第3のローラの直径を使用して、前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの前記長さを特定することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のアクチュエータに第1のステッパモータを使用することと、
前記第2のアクチュエータに第2のステッパモータを使用することと、
前記第1のステッパモータによって成されたモータ回転数を使用して、前記収容部内に移動された前記第1の固体金属ワイヤの前記長さを特定して、前記第1の固体金属ワイヤのセグメントを前記収容部内に供給することと、
前記第2のステッパモータによって成されたモータ回転数を使用して、前記収容部内に移動された前記第2の固体金属ワイヤの前記長さを特定して、前記第2の固体金属ワイヤのセグメントを前記収容部内に供給することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記吐出器に動作可能に接続された第3のアクチュエータを動作させて、前記吐出器を領域に移動させることと、
前記第2のアクチュエータを動作させて、第2の固体金属ワイヤを前記溶融用の収容部内に移動させる前に、前記吐出器を動作させて、溶融した第1の金属を前記吐出器から排出することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の固体金属ワイヤが、前記第2の固体金属ワイヤの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する、請求項23に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶融金属滴を吐出して物体を形成する三次元(three-dimensional、3D)物体プリンタを対象とし、より具体的には、かかるプリンタによって物体を形成するために使用される金属支持構造の形成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
積層造形としても知られる三次元印刷は、事実上あらゆる形状のデジタルモデルから三次元の固体物体を作製するプロセスである。多くの三次元印刷技術は、積層造形デバイスが、前に堆積された層の上に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術のいくつかは、フォトポリマー又はエラストマーなどの紫外線硬化材料を吐出する吐出器を使用する。プリンタは、典型的には、様々な形状及び構造を有する三次元被印刷物体を構築する可塑性材料の連続層を形成するように、1つ以上の押出し機を動作させる。三次元被印刷物体の各層が形成された後、可塑性材料は、紫外線硬化され、固まり、その層を三次元被印刷物体の下地層に接着する。この積層造形法は、ほとんどが切断又はドリル加工などの減法プロセスによる加工物からの材料の除去に依存する従来の物体形成技術と区別可能である。
【0003】
最近、1つ以上の吐出器から、溶融金属の液滴を吐出して3D物体を形成するいくつかの3D物体プリンタが開発されている。これらのプリンタは、ワイヤのロール又はペレットなどの固体金属源を有し、この固体金属源は、固体金属が溶融されるプリンタ内の容器の加熱された収容部に供給され、溶融金属が収容部を充填する。収容部は、周囲に電気ワイヤが巻き付けられてコイルを形成する非導電性材料で作製されている。電流がコイルを通過することにより、電磁場を生成し、その電磁場により、収容部のノズルにおいて溶融金属のメニスカスが収容部内の溶融金属から分離し、ノズルから推進する。吐出器のノズルの反対側にあるプラットフォームは、アクチュエータを動作させるコントローラによって、プラットフォームの平面に平行なX-Y平面内で移動されて、吐出された金属滴がプラットフォーム上に物体の金属層を形成し、別のアクチュエータは、コントローラによって動作して、吐出器又はプラットフォームの位置を垂直方向又はZ方向に変化させて、吐出器と、形成されている金属物体の最上層との間の距離を一定に維持する。このタイプの金属滴吐出プリンタは、磁気流体力学(MHD)プリンタとしても知られている。
【0004】
エラストマー材料を使用する3D物体印刷システムでは、追加の吐出器を使用して異なる材料の液滴を吐出し、物体の形成中に物体から離れる方向に延在しているオーバーハング及び物体特徴のための支持体を形成することによって、仮の支持構造が形成される。これらの支持構造は、物体を形成する材料とは異なる材料から作製されるため、支持構造は、物体と十分にくっつかないか又は接着しない。その結果、支持構造は、それらが物体製造中に支持する物体特徴から容易に分離されて、物体の形成が完了した後、物体から取り外すことができる。そのようなものは、金属滴吐出システムについては当てはまらない。プリンタ内の溶融金属を使用して、物体を形成するために吐出される金属によって支持構造を形成する場合、この構造は、凝固する間に支持体を必要とする物体の特徴と強く接着する。その結果、物体から支持体を取り外すために、相当な量の機械加工及び研磨が必要である。この製造後の処理中に、物体に対する損傷が生じ得る。異なる金属の熱的条件が物体形成システムの構築環境に影響を及ぼし得るため、異なる金属を使用する別の金属滴吐出プリンタを調和して働かせることは困難である。例えば、物体特徴が構造に接触すると、より高い溶融温度を有する支持構造金属が、物体を形成する金属を弱化若しくは軟化させ得るか、又はより低い溶融温度を有する支持金属構造が弱化し得る。金属滴吐出プリンタが、金属物体オーバーハング及び他の延在特徴を形成することを可能にする支持構造を形成することができることが有益である。
【発明の概要】
【0005】
3D金属物体プリンタを動作させる新しい方法は、3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成する。本方法は、第1の固体金属供給機構を動作させて、第1の固体金属を、溶融用の吐出器中の容器の収容部内に移動させることと、第2の固体金属供給機構を動作させて、第1の固体金属とは異なる第2の固体金属を、溶融用の吐出器中の容器の収容部内に移動させることと、を含む。
【0006】
新しい3D金属物体プリンタは、3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成する。新しい3D金属物体プリンタは、内部に収容部がある容器を有する吐出器と、容器の収容部内の固体金属を溶融させるのに十分な温度まで容器を加熱するように構成されている、ヒータと、第1の固体金属を溶融用の吐出器中の容器の収容部内に移動させるように構成されている、第1の固体金属供給機構と、第1の固体金属とは異なる第2の固体金属を、溶融用の吐出器中の容器の収容部内に移動させるように構成されている、第2の固体金属供給機構と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成するための方法、及び方法を実施する3D金属物体プリンタの前述の態様及び他の特徴を、添付図面と併せて、以下の記述において説明する。
図1】3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成する、新しい3D金属物体プリンタを表す。
図2図1のワイヤガイド124にワイヤを提供するために使用され、図1のプリンタの容器の収容部から引込まれたワイヤを測定するワイヤ供給機構の概略図である。
図3A】対象物において金属オーバーハング構造を形成するために使用される金属支持構造の形成の図である。
図3B】物体及び支持構造の冷却中の金属オーバーハング構造からの金属支持構造の収縮を示す。
図3C】物体製造プロセスが終了した後の支持構造の除去を容易にするための、セグメント化された境界を有する支持構造の形成を示す。
図4A】3D金属物体プリンタの環境に悪影響を与えることなく、構造によって支持された物体特徴に密に接着しない支持構造を形成するプロセスのフロー図である。
図4B】支持構造によって支持された物体特徴にしっかりと接着しないように、セグメント化された境界を有する支持構造を形成するプロセスのフロー図である。
図5】異なる金属合金で作製された支持構造を形成するための構成要素を含まない先行技術の3D金属プリンタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示された3D金属物体プリンタ及びその動作のための環境、並びにプリンタ及びその動作の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0009】
図5は、支持構造を使用することなく、単一の溶融金属の液滴を吐出して物体を形成する、既知の3D金属物体プリンタ100の一実施形態を示す。図5のプリンタでは、溶融バルク金属の液滴が、単一ノズル108を有する取り外し可能な容器104の収容部から吐出されて、ノズルからの液滴が、プラットフォーム112上に物体の層のためのスワスを形成する。本文書で使用されるとき、「取り外し可能な容器」という用語は、液体又は固体物質を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味し、コンテナは全体として、3D金属物体プリンタにおける設置及び取り外し可能に構成されている。本文書で使用されるとき、「容器」という用語は、3D物体金属プリンタに対して設置及び取り外しのために構成され得る、液体又は固体物質を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味する。本文書で使用されるとき、「バルク金属」という用語は、一般に利用可能な標準規格のワイヤ、又はマクロサイズの比率のペレットなどの、集合形態で入手可能な導電性金属を意味する。
【0010】
図5を更に参照すると、金属ワイヤ120などのバルク金属源116は、吐出器ヘッド140内の上部ハウジング122を通って延在しているワイヤガイド124に供給され、取り外し可能な容器104の収容部内で溶融されて、吐出器ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110を通してノズル108から吐出される溶融金属を提供する。本文書で使用されるとき、「ノズル」という用語は、容器内の収容部から溶融金属滴を排出するように構成されている、溶融金属を含む容器の収容部内の体積に流体的に接続されたオリフィスを意味する。本文書で使用されるとき、「吐出器ヘッド」という用語は、金属物体の製造のための溶融金属滴の溶融、吐出、及び吐出の調整を行う3D金属物体プリンタのハウジング及び構成要素を意味する。溶融金属レベルセンサ184は、レーザー及び反射センサを含む。溶融金属レベルからのレーザーの反射は、反射センサによって検出され、溶融金属レベルまでの距離を示す信号を生成する。コントローラは、この信号を受信し、取り外し可能な容器の収容部内の上方レベル118に維持することができるように、取り外し可能な容器104内の溶融金属の体積のレベルを求める。取り外し可能な容器104がヒータ160内へと摺動し、ヒータの内径が取り外し可能な容器に接触し、取り外し可能な容器の収容部内の固体金属を、固体金属を溶融させるのに十分な温度まで加熱することが可能になる。本文書で使用されるとき、「固体金属」という用語は、元素の周期表で定義されている金属、又は液体若しくは気体ではなく固体の形態でこれらの金属によって形成される合金を意味する。ヒータは、取り外し可能な容器から分離されて、ヒータと取り外し可能な容器104との間に体積を形成する。不活性ガス供給部128は、ガス供給管132を通して吐出器ヘッドにアルゴンなどの不活性ガスの圧力調整された供給源を提供する。ガスは、ヒータと取り外し可能な容器との間の体積を通って流れ、ノズル108の周りの吐出器ヘッド及びベースプレート114内のオリフィス110から出ていく。ノズルに近接するこの不活性ガスの流れは、溶融金属の吐出された液滴をベースプレート114の周囲空気から絶縁して、吐出された液滴の飛行中に金属酸化物が形成されるのを防止する。ノズルと、吐出された金属滴が着地する表面との間の隙間は、不活性ガス流内の液滴が着地する前に、ノズルの周りから出るこの不活性ガスが放散しない程度に意図的に十分に小さく保たれる。
【0011】
吐出器ヘッド140は、プラットフォーム112に対する吐出器ヘッドの垂直移動に対応するように、Z軸軌道内に移動可能に装着される。1つ以上のアクチュエータ144は、吐出器ヘッドをZ軸に沿って移動させるように、吐出器ヘッド140に動作可能に接続されており、プラットフォームを吐出器ヘッド140の下のX-Y平面内で移動させるように、プラットフォーム112に動作可能に接続される。アクチュエータ144は、吐出器ヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上面との間の適切な距離を維持するように、コントローラ148によって動作される。
【0012】
溶融金属の液滴がプラットフォーム112に向かって吐出されるときに、X-Y平面内でプラットフォーム112を移動させることにより、形成される物体上に溶融金属滴のスワスが形成される。コントローラ148はまた、アクチュエータ144を動作させ、吐出器ヘッド140と、基材上に最も近時に形成された層との間の垂直距離を調節して、物体上の他の構造の形成を容易にする。溶融金属3D物体プリンタ100は、垂直配向で動作するものとして図5に表されているが、他の代替の配向を採用することができる。また、図5に示される実施形態は、X-Y平面内を移動するプラットフォームを有し、吐出器ヘッドがZ軸に沿って移動するが、他の配置も可能である。例えば、アクチュエータ144は、吐出器ヘッド140をX-Y平面内でZ軸に沿って移動させるように構成されることも、X-Y平面及びZ軸の両方でプラットフォーム112を移動するように構成されることもできる。
【0013】
コントローラ148は、スイッチ152を動作させる。1つのスイッチ152は、供給源156からヒータ160に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得、別のスイッチ152は、ノズル108から液滴を吐出する電場を生成するために別の電源156からコイル164に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得る。ヒータ160は高温で大量の熱を生成するため、コイル164は、吐出器ヘッド140の1つ(円形)又は2つ以上(直線形状)の壁によって形成されたチャンバ168内に位置付けられている。本文書で使用されるとき、「チャンバ」という用語は、3D金属物体プリンタのヒータ、コイル、及び取り外し可能な容器が位置する、金属滴吐出プリンタ内の1つ以上の壁内に収容された体積を意味する。取り外し可能な容器104及びヒータ160は、かかるチャンバ内に位置している。チャンバは、ポンプ176を介して流体源172に流体的に接続されており、また熱交換器180に流体的に接続される。本文書で使用されるとき、「流体源」という用語は、熱を吸収するのに有用な特性を有する液体のコンテナを指す。熱交換器180は、流体源172への戻りを介して接続される。供給源172からの流体は、チャンバを通って流れて、コイル164から熱を吸収し、流体は、交換器180を通して吸収された熱を搬送し、熱は、既知の方法によって除去される。冷却された流体は、適切な動作範囲内のコイルの温度を維持する際に更に使用するために、流体源172に戻される。
【0014】
3D金属物体プリンタ100のコントローラ148は、金属物体製造のためにプリンタを制御するために、外部供給源からのデータを必要とする。一般に、形成されるべき物体の三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラ148に動作可能に接続されたメモリ内に記憶される。コントローラは、サーバなどを通してデジタルデータモデルに、デジタルデータモデルが記憶されたリモートデータベースに、又はデジタルデータモデルが記憶されているコンピュータ可読媒体に、選択的にアクセスすることができる。この三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラと共に実装されるスライサによって処理され、既知の方法でコントローラ148が実行するマシン対応命令を生成して、プリンタ100の構成要素を動作させ、そのモデルに対応する金属物体を形成する。マシン対応命令の生成は、デバイスのCADモデルがSTLデータモデル、多角形メッシュ、又は他の中間表現に変換されるときなどの、中間モデルの生成を含むことができ、次いで、この中間モデルを処理して、プリンタによって物体を製造するためのGコードなどのマシン命令を生成することができる。本文書で使用されるとき、「マシン対応命令」という用語は、3D金属物体付加製造システムの構成要素を動作させて、プラットフォーム112上に金属物体を形成するために、コンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実行されるコンピュータ言語コマンドを意味する。コントローラ148は、マシン対応命令を実行して、ノズル108から溶融金属滴の吐出、プラットフォーム112の位置決め、並びにオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上層との間の距離の維持を制御する。
【0015】
同様の構成要素には同様の参照番号を使用して、新しい3D金属物体プリンタ100’が図1に示されている。コントローラ148’は、コントローラに動作可能に接続された非一時的媒体内に記憶されたプログラムされた命令で構成されており、その命令は、コントローラによって実行されると、コントローラにモデルデータ内の金属支持構造の層を検出させ、機械準備命令を生成させ、その命令は、アクチュエータ144のうちの1つ以上を動作させて、供給部116Bから取り外し可能な容器104に支持金属合金を供給して、容器内の溶融金属の組成を変化させて、そのため、ノズル108からのその後の金属滴吐出は、金属支持構造を形成する。金属支持構造の全て又は一部が形成された後、コントローラ148’は、次いで、物体層を形成するための機械準備命令を検出し、アクチュエータ144のうちの1つ以上を動作させて、供給物116Aから取り外し可能な容器104内に構築金属合金を供給して、ノズル108からのその後の金属滴吐出が物体構造を形成するように、容器内の溶融金属の組成を変更する。物体構造の形成と支持構造の形成との間のこの変化は、物体が完成するまで継続する。その後、異なる金属合金で形成された金属支持構造は、機械加工なしで物体から分離することができる。
【0016】
より詳細には、プリンタ100’は、図示されるように、ワイヤスプールである2つの金属供給部116A及び166Bを含むが、供給部は、金属粉末又は金属ペレットの体積であり得る。2つの供給部116A及び116Bからのワイヤは、独立して、それぞれ、以下でより詳細に説明される2つのワイヤ供給機構200A及び200Bに提供される。これらの機構は、1つ以上のアクチュエータに接続されて、ワイヤガイド118A及び118Bを通ってワイヤをそれぞれ押すための機構内のローラの原動力を提供する。これらのワイヤの両方は、直接ワイヤを共通ワイヤガイド122に導き、これは、ワイヤを溶融用の容器104に供給する。
【0017】
ワイヤ供給部116Aからワイヤガイド118Aを通って容器104にワイヤを供給するための機構200Aを図2に示す。機構200Aは、機構200A及び200Bに使用され、容器内にワイヤを分注するための一実施形態である。コントローラ148’は、ワイヤが供給部116Aから容器104に送達される速度を制御するために、ステッパモータ240などのアクチュエータに動作可能に接続されている。アクチュエータ240は、ローラ224を駆動し、アクチュエータがローラ224を駆動する速度をコントローラが調整できるようにコントローラ148’に動作可能に接続されている。ローラ224の反対側の別のローラは、フリーホイーリングであるため、ローラ224が駆動される回転速度に従う。
【0018】
スリップクラッチ244は、容器にワイヤを供給するアクチュエータ240の駆動シャフトに動作可能に接続されている。本文書で使用されるとき、「スリップクラッチ」という用語は、物体を所定の設定点まで移動させるために、物体に摩擦力を加えるデバイスを指す。摩擦力のための所定の設定点についての範囲を超えるとき、デバイスはスリップし、そのためもはや物体に摩擦力を適用することはない。スリップクラッチは、ローラ224によってワイヤ120に及ぼされる力が、どのくらい頻繁に、どのくらい速く、又はどのくらい長くアクチュエータ240が駆動されるかを問わず、ワイヤの強度について制約内に留まることを可能にする。この一定の力は、アクチュエータ240を駆動ローラ224の最速の予測される回転速度よりも速い速度で駆動するか、又はエンコーダホイール248をローラ224上に置き、センサ252で回転速度を感知することによって維持することができる。センサ252によって生成された信号は、ローラ224の角度回転を示し、コントローラ148’は、この信号及びローラ224の半径を使用して、ワイヤ供給部116Aから容器104内に供給されるワイヤの長さを特定する。すなわち、機構200A及び200Bは、ワイヤ変位センサの一種として動作する。あるいは、従動ローラ(driven roller)224に対向するフリーホイーリングローラは、フリーホイーリングローラに取り付けられてその角度位置を示す信号を生成するエンコーダ248を有することができ、そのため、機構によって供給される金属ワイヤの長さを求めることができる。更なる代替設計では、スリップクラッチ244が省略され、ステッパモータ240がワイヤのセグメントを収容部内に供給するように行うモータ移動のステップの数が、記録され、線形ワイヤ移動の長さを判定するために使用される。
【0019】
容器104に供給されるワイヤの長さは、容器104に添加された溶融金属の体積を決定するために使用される。金属支持構造層が形成される場合、コントローラ148’は、機構200B内のアクチュエータ144を動作させて、容器内の溶融金属の体積を、主に金属支持構造を形成するのに有用な合金にするのに十分な長さのワイヤを容器内104に供給する。コントローラ148’が、物体層の一部分が形成されることを検出するとき、コントローラは、機構200A内のアクチュエータ144を動作させて、容器内の溶融金属の体積を、主に金属支持構造を形成するのに有用な合金にするのに十分な長さのワイヤを容器内104に供給する。
【0020】
供給116Bの支持構造金属は、供給部116Aの構築金属から不釣合いの熱膨張係数を有するように、具体的に選択される。熱膨張係数の不釣合いにより、物体及び支持構造が物体製造が完了した後に冷却されるときに、支持構造が、物体構造とは異なる速度で収縮することが可能になる。支持構造の完全性に応じて、支持構造は、物体から容易に取り外されて最終部品を生成するように、物体構造から崩壊又は分離する。
【0021】
一実施形態では、Al6061、Al356、Al7075、及びAl4043などの物体構造に使用される一般的なアルミニウム合金の熱膨張係数は、約13×10-6/℃である。金属支持構造用の金属/合金は、2つの金属の最高融点から室温までの温度範囲内の物体構造に使用される金属の熱膨張係数から不釣り合いである熱膨張係数を有する。支持構造金属はまた、容器内の溶融物体構造金属に溶解することによって物体構造金属と適合する。これらの基準は、前述のアルミニウム物体構造材料と共に使用するための好適な支持構造材料として以下の金属(他のアルミニウム合金、マグネシウム、亜鉛、及びマグネシウムと亜鉛の合金)を特定する。α=約12.9X10-6/℃の熱膨張係数を有するAl-7075で作製された金属物体構造については、有用な金属支持構造金属は、α=約1X10-5/℃の熱膨張係数を有するAl-4032であるか、又はα=約14X10-6/℃の熱膨張係数を有するAl-520である。
【0022】
一実施形態では、移行部が一方の金属から他方の金属に作製される場合、コントローラは、アクチュエータを動作させて、吐出器を物体から離れるように移動させ、次いで、吐出器を動作させて、ノズルの体積のほぼ1つ及び半分である現在使用中の材料の量を排出して、次に吐出される金属滴が主に金属物体の金属又は金属支持の金属であることを確実にする。容器内の溶融金属の量をノズルの体積に対応させるために、容器内の溶融金属のレベルは、前述のレーザーレベルセンサを使用してノズルの体積に近似する低レベルに保たれる。
【0023】
2つの材料の交互配置した使用の例を図3Aに示す。左端の図では、物体のU字形部分304は、物体構築材料スプール116Aからの金属を使用して形成される。部分304の形成に使用される溶融金属が容器から排出されたあと、支持構造308に対応するある量の支持構造材料が容器内に供給されて溶融され、その結果、吐出器が、部分304のU字形凹部内で支持構造を形成するように動作することができるようになる。残留支持材料が吐出器のノズルから排出された後、物体オーバーハング312が支持構造308の上に形成される。図3Aの右端の図に示されるように、支持構造は、支持構造が形成された開口部を有するように除去される。
【0024】
図3Bは、支持構造308を有する物体部分304及びオーバーハング312を示す。物体製造が完了するとき、複合物体は冷却される。支持構造308を形成するために使用される材料の熱膨張係数は、それが物体部分及びオーバーハングよりも多く収縮することを可能にする。したがって、支持構造は、物体部分及びオーバーハングから分離して、図3Bの右端に示されるように、開口部を形成するように取り外すことができる。
【0025】
図3Cは、支持構造の除去を容易にするための追加の技術を示す。異なる熱膨張係数を有する材料で支持構造を形成することに加えて、支持構造308’もまた、支持構造308’の本体と物体部分304とオーバーハング312との間にセグメント化された境界320を形成するために、突起316で形成される。支持構造308’と物体部分304とオーバーハング312との間のこのセグメント化された境界320は、図3A及び図3Bに示される固体境界としてしっかりと物体及びオーバーハングに付着しない。したがって、複合物体が冷却された後、支持構造308’は、図3A及び図3Bに示される支持構造よりも容易に物体から取り外すことができる。別の実施形態では、支持構造308’は、物体部分304及びオーバーハング312を形成するために使用される同じ材料で形成される。なお、セグメント化された境界320は、それらが同じ材料から作製されても、物体部分304及びオーバーハング312からの支持構造308’の分離を容易にする。
【0026】
コントローラ148’は、プログラムされた命令を実行する1つ以上の汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装され得る。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、先に説明した動作、並びに以下に説明される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内で提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。金属物体の形成中、製造される構造の画像データが、プラットフォーム112上に物体を形成するようにプリンタ100’の構成要素を動作させる信号を処理及び生成するために、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかから、コントローラ148’のプロセッサ(単数又は複数)に送信される。
【0027】
3D金属物体プリンタ100’を動作させて、物体構造を形成するために使用される溶融金属とは異なる溶融金属を用いて金属支持構造を形成するためのプロセスが、図4Aに示されている。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを操作するために、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させてタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ148’は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素と共に実装され得、これらは各々、本明細書に記載される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が記載される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0028】
図4Aは、プリンタ100’を動作させて、金属物体の部分を形成するために使用される溶融金属とは異なる溶融金属を用いて支持構造を形成するプロセス400のフロー図である。このプロセスは、第1の溶融金属を用いた物体層の形成から始まる(ブロック404)。各物体層の完了後、プロセスは、形成される次の層が支持層であるかどうかを判定する(ブロック408)。次の層が支持層ではない場合、プロセスは、第1の金属で物体層を形成する(ブロック404)。次の層が支持層である場合、プロセスは、容器内の溶融金属を排出することができ、かつ吐出器が溶融した第1の金属を吐出器から排出するように動作する位置に、吐出器を移動させる(ブロック412)。構造層を形成するのに適切な量の第2の金属が容器内に供給され、溶融され、吐出器が、溶融した第2の金属を用いて支持構造の層の生成のために物体形成領域に戻される(ブロック416)。支持構造層が形成され(ブロック420)、プロセスは、形成される次の層が物体層であるかどうかを判定する(ブロック424)。次の層が支持層である場合、プロセスは、第2の金属で支持層を形成する(ブロック420)。次の層が物体層である場合、プロセスは、容器内の溶融した第2の金属を排出することができ、かつ吐出器が溶融した第2の金属を吐出器から排出するように動作する位置に、吐出器を移動させる(ブロック428)。適切な量の第1の金属が容器内に供給され、溶融され、吐出器が、物体形成領域に戻される(ブロック432)。物体層が形成され(ブロック404)、プロセスは、全ての物体層及び支持層が形成されるまで継続する。
【0029】
図4Bは、プリンタ100’を動作させて、セグメント化された境界を有する支持構造を形成して、金属物体の部分を形成する、プロセス400’のフロー図である。同様の処理を説明するために同様の参照番号を使用すると、プロセスは、第1の溶融金属を用いた物体層の形成から始まる(ブロック404)。各物体層の完了後、プロセスは、形成される次の層が支持層であるかどうかを判定する(ブロック408)。次の層が支持層ではない場合、プロセスは、第1の金属で物体層を形成する(ブロック404)。次の層が支持層である場合、プロセスが、形成される次の層が物体層であると判定する(ブロック424)まで、プロセスは、セグメント化された境界で支持構造を形成する(ブロック420’)。次の層が支持層である場合、プロセスは、セグメント化された境界で支持構造を形成することを継続する(ブロック420’)。次の層が物体層である場合、別の支持層が形成される(ブロック408)まで、プロセスは、物体層を形成することを継続する(ブロック404)。このプロセスは、全ての物体層及び支持層が形成されるまで継続する。
【0030】
上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予見又は予期されていない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われてもよく、これらも、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5