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特開2023-22822屠殺された家禽の枝肉部分を処理するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022822
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】屠殺された家禽の枝肉部分を処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121052
(22)【出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】2028907
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォス、フェルディナンド アラート
(72)【発明者】
【氏名】コープマン、マイクル ジョージ ローレンティウス
(72)【発明者】
【氏名】フェアハーゲン、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】フォンク、ピーター ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイテン、イェルン ヘルマヌス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA03
(57)【要約】
【課題】枝肉部分の肉の収量を背景技術に比べてさらに増加させる。
【解決手段】屠殺された家禽の枝肉部分1を加工ラインにおいて処理するための装置である。この装置は、膜体を切断して枝肉部分1から鎖骨9を取り除くための器具12、15、16を備える。器具12、15、16は、主ナイフ12と、主ナイフ12の両側面と対向するようにそれぞれ配置され、枝肉部分1に元々存在する肉を保持しながら少なくとも1つの膜体および/または靭帯から鎖骨9を切り離す、2つの副ナイフ15、16と、副ナイフ15、16における、主ナイフ12が配置または配置可能な側と反対側において、2つの副ナイフ15、16の隣に配置または配置可能な第3ナイフ22とを備える。主ナイフ12と、2つの副ナイフ15、16と、第3ナイフ22とでケージを形成し、ケージ内に鎖骨9を捕捉する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠殺された家禽の枝肉部分(1)を加工ラインにおいて処理するための装置であって、枝肉部分(1)は、前記加工ラインにおいて移動可能なキャリア上に支持され、また枝肉部分(1)は、翼のための関節(8)と、烏口骨(7)と、鎖骨の頭部(11)で互いに結合して鋭角をなす2つの脚部(9′、9′′)を有する鎖骨(9)と、胸骨(6)と、少なくとも鎖骨(9)に接続する少なくとも1つの膜体および/または靭帯と、内側および外側のささみを含む元々存在する肉とを備え、
前記装置は、前記膜体を切断して枝肉部分(1)から鎖骨(9)を取り除くための器具(12、15、16)を備え、
器具(12、15、16)は、
主ナイフ(12)と、
主ナイフ(12)の両側面と対向するようにそれぞれ配置され、枝肉部分(1)に元々存在する肉を保持しながら前記少なくとも1つの膜体および/または靭帯から鎖骨(9)を切り離す、2つの副ナイフ(15、16)と、
副ナイフ(15、16)における、主ナイフ(12)が配置されるか、または配置可能な側とは反対側において、副ナイフ(15、16)の隣に配置されるか、または配置可能な第3ナイフ(22)と、
を備え、
主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とで、鎖骨(9)の少なくとも一部を内部に捕捉するケージを形成した、装置。
【請求項2】
第3ナイフ(22)は、前方切断縁(22′)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とを位置決めすることによりケージを形成した後、鎖骨(9)の少なくとも一部をケージに捕捉しながら除去するために、第3ナイフ(22)が2つの副ナイフ(15、16)および主ナイフ(12)と一緒に移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ケージを完成させている間に、主ナイフ(12)と2つの副ナイフ(15、16)とが膜体および/または靭帯を鎖骨(9)から切り離す、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
鎖骨(9)が翼のための関節(8)を基準として限定的に回転を行うように、ケージが移動するようにされている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
主ナイフ(12)は、主ナイフ(12)の前方端部に、鎖骨の頭部(11)を受け入れるために配置された凹部を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
2つの副ナイフ(15、16)は、2つの副ナイフ(15、16)の前端の後ろにおける選択された領域に、好ましくは鋭利な、厚肉部(24、25)を備え、厚肉部(24、25)は、互いに向かい合って、かつケージの内側に向かって、方向付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
主ナイフ(12)は、ケージの形成中に、鎖骨(9)の少なくとも一部がケージ内に捕捉される間に、鎖骨の脚部(9′、9′′)を切断するための切断側縁(12′、12′′)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ケージの形成のために、主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とが、予め選択された順序で動作するようにされ、
主ナイフ(12)は、鎖骨の頭部(11)に近い位置まで第1の方向に前進し、続いて、鎖骨(9)の少なくとも一部が捕捉される前記ケージの完成に先立って、鎖骨の頭部(11)に向かって第1の方向を横切る第2の方向に移動し、鎖骨の頭部(11)と接触して鎖骨の頭部(11)を第2の方向に動かす、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
鎖骨の脚部(9′、9′′)に沿って進行する2つの副ナイフ(15、16)は、主ナイフ(12)と同期して移動するようにされている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
2つの副ナイフ(15、16)は、主ナイフ(12)が移動する前に、鎖骨の脚部(9′、9′′)に沿って進行するようにされている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
2つの副ナイフ(15、16)は、鎖骨の脚部(9′、9′′)を引っ掻くようにされている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
加工ライン内で移動可能なキャリアを基準にして位置調整可能であり、前記位置は、処理される枝肉部分(1)のサイズを確定するために配置されたモニタツールによって決まる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
鎖骨の脚部(9′、9′′)を一緒に押すための、および/または、ささみを鎖骨の頭部(11)から押し離すための、1つのプッシュ部材または複数のプッシュ部材(29、30、31,32)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
屠殺された家禽の枝肉部分(1)を加工ラインにおいて処理するための方法であって、枝肉部分(1)は、前記加工ラインにおいて移動可能なキャリア上に支持され、また枝肉部分(1)は、翼のための関節(8)と、烏口骨(7)と、鎖骨の頭部(11)で互いに結合して鋭角をなす2つの脚部(9′、9′′)を有する鎖骨(9)と、胸骨(6)と、少なくとも鎖骨(9)に接続する少なくとも1つの膜体および/または靭帯と、内側および外側のささみを含む元々存在する肉とを備え、
前記処理するための方法は、主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とを備える装置によって、
主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とでケージを形成し、前記ケージ内に鎖骨(9)の少なくとも一部を捕捉した後、前記鎖骨(9)の少なくとも一部が捕捉された状態の前記ケージを枝肉部分(1)から離れるように移動させさせて、枝肉部分(1)から前記鎖骨(9)の少なくとも一部を取り除く、方法。
【請求項16】
鎖骨(9)の少なくとも一部を除去するために、ケージは直線運動または回転運動する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ケージの形成のために、主ナイフ(12)と、2つの副ナイフ(15、16)と、第3ナイフ(22)とが順次動作して、主ナイフ(12)が、鎖骨の頭部(11)に近い位置まで第1の方向に前進し、続いて、主ナイフ(12)が、鎖骨の頭部(11)に向かって第1の方向を横切る第2の方向に移動し、鎖骨(9)の少なくとも一部が内部に捕捉される前記ケージの完成に先立って、主ナイフ(12)が、鎖骨の頭部(11)と接触して鎖骨の頭部(11)を第2の方向に動かす、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
主ナイフ(12)は、第1の方向に移動するときに鎖骨の脚部(9′、9′′)を切断する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
鎖骨の脚部(9′、9′′)に沿って進行する2つの副ナイフ(15、16)が、主ナイフ(12)と同期して前進する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺された家禽の枝肉部分を加工ラインにおいて処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の枝肉部分は、加工ラインにおいて移動可能なキャリア上に支持される。枝肉部分は、翼のための関節と、烏口骨と、鎖骨頭部で互いに結合して鋭角をなす2つの脚部を有した鎖骨と、胸骨と、少なくとも鎖骨に接続する少なくとも1つの膜体および/または靭帯と、内側および外側のささみを含む元々存在する肉とを備える。この装置は、膜体を切断して上記の枝肉部分から鎖骨を除去するための器具を備える。この器具は、主ナイフと、2つの副ナイフとを備える。2つの副ナイフは、主ナイフの両側面と対向するようにそれぞれ配置され、枝肉部分に元々存在する肉を保持しながら少なくとも1つの膜体および/または靭帯から鎖骨を切り離す。
【0003】
このような方法および装置は、特許文献1および特許文献2によって知られている。
【0004】
特許文献1の方法および装置では、鎖骨の脚部は、鎖骨を除去するために切断される。公知の特許文献1の方法では、膜体の切断および/または鎖骨の除去のための器具を枝肉部分の内部に導入することにより、鎖骨は、まず、枝肉部分の残部に付着している第1の膜体および/または靭帯から切り離される。その後、器具は、鎖骨の脚部を切断するため、および鎖骨と胸骨とを接続するさらなる膜体を貫通および/または切断するために用いられる。
【0005】
特許文献1の方法および装置と互換性のない特許文献2の方法および装置では、鎖骨の脚部の切断は行われない。矢尻形のナイフと、当該ナイフの両側面と対向するようにそれぞれ配置される2つの副ナイフとが、枝肉部分内から、枝肉部分よりも離れる方向へ、一体となって移動する。そして、鎖骨の脚部が翼のための関節にまだ連結されている間に、鎖骨の脚部を回転させて、最終的に枝肉部分の鎖骨の脚部を翼の関節から完全に離間させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願公開第2289340号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願公開第2606737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、請求項の前提部に記載された方法および装置で処理された枝肉部分の肉の収量を背景技術に比べてさらに増加させることである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、請求項の前提部に記載された方法および装置で処理された枝肉部分に、または枝肉部分の中に、骨の破片が残る可能性を低減することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、枝肉部分が予め折れていた鎖骨と共に処理されるとき、枝肉部分に骨の破片が残る可能性を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の開示から明らかになる本発明のこれらの目的および他の目的は、添付の請求項の1つまたは複数の特徴によって促進される。
【0011】
本発明は、一般に、枝肉部分から鎖骨を取り外す前に、鎖骨の脚部が切断されてもよい状況、または鎖骨の脚部が切断されなくてもよい状況の両方に適用される。
【0012】
以下における本発明の開示において、本明細書に開示されるような任意の態様もしくは特徴、またはそのような特徴の一部は、他の特徴とは別に、または他の特徴と組み合わせて、または本明細書に開示されるような他の特徴の任意の部分と組み合わせて使用されてもよい。特徴の一部または特徴の組み合わせのそのような使用は、特定の目的を扱うために必要が生じることがあり、これらは必ずしも本明細書に開示される必要はない。
【0013】
本発明の一局面によれば、膜体を切断して枝肉部分から鎖骨を取り除くための器具が、副ナイフにおける、主ナイフが配置されるか、または配置可能な側とは反対側において、副ナイフの隣に配置されるか、または配置可能な第3ナイフを備える。そして、主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとによって、鎖骨の少なくとも一部、好ましくは鎖骨の頭部を内部に捕捉するケージを形成する。
【0014】
したがって、本発明は、屠殺された家禽の枝肉部分を加工ラインにおいて処理するための方法においても具現化される。枝肉部分は、加工ラインにおいて移動可能なキャリア上に支持される。また、枝肉部分は、翼のための関節と、烏口骨と、鎖骨の頭部で互いに結合して鋭角をなす2つの脚部を有する鎖骨と、胸骨と、少なくとも鎖骨に接続する少なくとも1つの膜体および/または靭帯と、内側および外側のささみを含む元々存在する肉とを備える。本発明の処理方法では、主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとを備える装置によって、主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとでケージを形成し、ケージ内に鎖骨の少なくとも一部を捕捉した後、鎖骨の少なくとも一部が捕捉された状態のケージを枝肉部分から離れるように移動させさせて、枝肉部分から鎖骨の少なくとも一部を取り除く。
【0015】
本発明の装置は、第3ナイフが前方切断縁を有するようにして、適切な動作を促進する。
【0016】
鎖骨の少なくとも一部がケージに捕捉された状態で、ケージが枝肉部分から離れる動作の態様は、必須ではない。またこの動作は、直線移動でも回転移動でもよいが、回転移動が好ましい。
【0017】
好ましくは、主ナイフは、第1の方向に移動するとき、関節の近くで鎖骨の脚部を切断する。
【0018】
さらに、鎖骨の脚部に沿って進行する2つの副ナイフは、主ナイフと同期して前進することが好ましい。
【0019】
本発明の方法をサポートするために、主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとを位置決めすることによりケージを形成した後、ケージに捕捉された鎖骨の少なくとも一部を除去するために、第3ナイフが2つの副ナイフおよび主ナイフと一緒に移動可能であることが好ましい。
【0020】
特に、ケージが移動することにより、鎖骨が翼のための関節を基準として限定的に回転するようにすることが好ましい。
【0021】
ケージを完成させている間に、主ナイフおよび2つの副ナイフが、膜体および/または靭帯を鎖骨から切り離すことが好ましい。
【0022】
主ナイフが、主ナイフの前方端部に、鎖骨の頭部を受け入れるために配置された凹部を備えていると、好都合である。これにより、鎖骨が主ナイフの動きによって移動する間、鎖骨が脱臼していたり、鎖骨の脚部が予め折れたりしていても、鎖骨の頭部が完全に定位置に保持される。
【0023】
さらに、2つの副ナイフが、2つの副ナイフの前端の後ろにおける選択された領域に、好ましくは鋭利な、厚肉部を備え、厚肉部は、互いに向かい合って、かつケージの内側に向かって、方向付けられていることが好ましい。これら厚肉部は、ささみを切断する。
【0024】
主ナイフが、鎖骨の少なくとも一部がケージ内に捕捉されている状態で、ケージの形成中に鎖骨の脚部を切断するための切断側縁を備えることが、必須ではないが可能である。これにより、鎖骨(または鎖骨の部分)を容易に除去することが促進される。
【0025】
好ましくは、ケージの形成のために、主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとが、予め選択された順序で動作するようにされ、主ナイフは、鎖骨の頭部に近い位置まで第1の方向に前進するようにされ、続いて、主ナイフは、鎖骨の頭部に向かって第1の方向を横切る第2の方向に移動して、鎖骨の頭部と接触し、鎖骨の頭部を第2の方向に動かす。主ナイフのこれらの初期動作は、鎖骨を正確に位置決めする目的で行われる。その後、ケージの形成を完了し、鎖骨または少なくとも鎖骨の一部をケージの中に閉じ込める。
【0026】
鎖骨の脚部に沿って進行する2つの副ナイフは、主ナイフと同期して移動するようにされていることが好ましい。
【0027】
あるいは、2つの副ナイフは、主ナイフが前進する前に、鎖骨の脚部に沿って進行するようにされている。
【0028】
全ての実施形態において、2つの副ナイフおよび/または第3ナイフは、鎖骨の脚部を引っ掻くようにされていることが好ましい。これは、ケージの形成につながる一連の操作の間に適用され、肉の収量を増加させるため好ましい。
【0029】
本発明の別の局面によれば、本発明の装置は、加工ライン内で移動可能なキャリアを基準にして位置調整可能であり、同装置の位置は、処理される枝肉部分のサイズを確定するために配置されたモニタツールによって決まる。これはまた、肉の収量を増加させる。
【0030】
本発明の装置が、鎖骨の脚部を一緒に押すための、および/または、ささみを鎖骨の頭部から押し離すための1つのプッシュ部材または複数のプッシュ部材を備えるのが好都合である。これにより、肉の収量を増加させることができる。鎖骨が初めから折れている、つまり本発明の装置によって処理される前から折れている場合、それは、ほとんどのケースにおいて、鎖骨の頭部で折れ、鎖骨がまだ翼のための関節に付着していることを意味する。ナイフが、どのような順序であれ、家禽の枝肉部分に入ってくるとき、ナイフは、まず、予め折れていた鎖骨における、まだ固定されている部分、または配置されている部分を通過することになる。さらに家禽の枝肉部分にナイフが入ると、骨は、折れているが、まだ膜体と筋肉との間につながっているため、鎖骨の脚部がばらばらになることがある。プッシュ部材は、折れた脚部をケージの内側へ確実に押し出す。
【0031】
他の有益な特徴は、枝肉部分から鎖骨を除去するために、本発明の装置が副ナイフまたはガイドを備えていることである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】屠殺された家禽の枝肉部分における骨を概略的に示す図である。
図2】主ナイフと、主ナイフの両側面と対向するようにそれぞれ配置された2つの副ナイフとを有する器具を備えた従来技術の装置の詳細を示す図である。
図3】本発明による装置およびそのような装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図4】本発明による装置および同装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図5】本発明による装置および同装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図6】本発明による装置および同装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図7】本発明による装置および同装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図8】本発明による装置および同装置を操作する方法の第1実施形態を示す図である。
図9】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図10】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図11】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図12】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図13】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図14】本発明による装置および同装置を操作する方法の第2実施形態を示す図である。
図15】モニタ用のツールが適用されている状態を示す図である。
図16】本発明の装置の副ナイフに追加されるプッシュロッドが使用されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の請求項を限定しないところの、本発明による装置の例示的な実施形態の図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0034】
図において、同じ参照符号が適用されるときはいつでも、これらの符号は同じ部材を指す。
【0035】
まず、図1を参照すると、枝肉部分1の骨の構造が示されている。元々存在する肉(図示せず)とは別に、枝肉部分1は、脊柱3に接続された肋骨2を有する。また枝肉部分1は、胸側では、胸骨突起4および胸骨プレート5を備える。これらは合わせて、胸骨またはキール骨6と呼ばれる。さらに図1に示すように、枝肉部分1は胛骨つまり肩甲骨10を備える。翼のための関節8は、その一方が烏口骨7に接続され、他方が鎖骨9に接続されている。鎖骨9は、この鎖骨9の頭部11で互いに結合する脚部9′、9′′を有する。
【0036】
本発明の装置は、屠殺された家禽の枝肉部分1を加工ラインにおいて加工するために配置される。枝肉部分1は、加工ライン内で移動するキャリア上に支持される。このような配置は、家禽産業における日常的な業務において何十年も前から知られている。したがって、そのような配置の図示は省略することができる。公知の配置では、本発明の1つまたは複数の装置が、加工ラインが案内される回転式コンベヤと協働することが好ましい。このようにキャリアによって支持されている枝肉部分が加工ラインを通って処理されるための、加工ライン内を移動するキャリアの配置は、当業者に知られている。一方、枝肉部分1は、加工ライン内またはその隣に配置された装置によって処理される。この目的のために、回転式コンベヤは、本発明の装置の主ナイフと、2つの副ナイフと、第3ナイフとに接続された、ガイドホイールと協働することを目的とするカム経路を備えることが知られている。
【0037】
次に図2を参照する。図2は、従来技術によるナイフ12の詳細を示す図であり、矢尻14を有する矢印形状が示されている。さらに図2に示すように、2つの副ナイフ15、16がナイフ12の両側面と対向するようにそれぞれ配置されている。副ナイフ15、16は、好ましくは、ナイフ12に対して独立して移動可能なように配置される。また、副ナイフ15、16は、前縁18、17をそれぞれ備える。前縁18、17は、鎖骨9を枝肉部分1の残部から完全に取り除くことを可能とするために、鎖骨に接続する任意の膜体および/または靭帯を、特に鎖骨を胸骨に接続する膜体を、切断する。
【0038】
本質的な要件ではないが、ナイフ12は、切断側縁12′、12′′を備えてもよい。ナイフ12が鎖骨9の脚部9′、9′′の間に導入され、やがてはナイフ12の矢尻14が、鎖骨の頭部11に近づく位置、つまり鎖骨9の脚部9′、9′′が互いに結合する位置まで移動する。そのときに、ナイフ12の切断側縁12′、12′′は、鎖骨9が接続するナックルすなわち翼のための関節8にすぐ隣接する位置で、鎖骨9の脚部9′、9′′を切断する。
【0039】
図3図8および図9図14は、屠殺された家禽の枝肉部分1を加工ラインにおいて加工するための第1実施形態と第2実施形態とを、それぞれ示している。両実施形態において、器具12、15、16、22は、枝肉部分1から膜体を切断し鎖骨9を除去する。図3および図9から明らかなように、器具12、15、16、22は、主ナイフ12と、主ナイフ12の両側面と対向するようにそれぞれ配置された2つの副ナイフ15、16とを備える。これらのナイフは、枝肉部分1に元々存在する肉を保持しながら、少なくとも一つの膜体および/または靭帯から鎖骨9を切り離す。器具12、15、16、22は、さらに前方切断縁を有する第3ナイフ22を備える。第3ナイフ22は、副ナイフ15、16における主ナイフ12が配置されるまたは配置可能な側と反対側の刃の側における、副ナイフ15、16の近傍に配置されるまたは配置可能である。これら主ナイフ12と、2つの副ナイフ15、16と、第3ナイフ22とは、ケージを形成する。そして、ケージ内に、鎖骨9、または鎖骨の頭部11などの少なくとも鎖骨の一部を、捕捉する。以下、これら器具が好ましく操作される態様を、図3図8および図9図14の2つの実施形態を参照して説明する。しかしながら、これらの実施形態に係る操作方法は、以下の記載に限定されない。添付の請求項の範囲内で、それに対する変形が可能である。
【0040】
2つの実施形態の違いは、第1実施形態を示す図3と、第2実施形態を示す図9とを参照することにより、すぐに明らかになる。すなわち、図3の主ナイフ12の幅は比較的広いのに対して、図9の主ナイフ12の幅は比較的狭い。これにより、図3および図4に示される幅の広い主ナイフ12を鎖骨の頭部11の下の枝肉部分1に導入すると、鎖骨の脚部9′、9′′が切断される。それに反して、図10に示される幅の狭い主ナイフ12を鎖骨の頭部11の下の枝肉部分1に導入しても、図1に示される鎖骨の脚部9′、9′′は切断されない。このため、特に図3および図4の第1実施形態において、主ナイフ12は、切断側縁12′、12′′を備える。切断側縁12′、12′′は、最終的に鎖骨9が捕捉されるケージを形成するための初期段階において、鎖骨の脚部9′、9′′を切断する。
【0041】
主ナイフ12は、その前方端部に、凹部23(図9参照)を備えてもよい。凹部23は、図1に示される鎖骨の頭部11を受け入れるために配置される。これにより、主ナイフ12に対する鎖骨9の正確な位置決めを確保する。この凹部23は、図9図14の実施形態の比較的小さい主ナイフ12と組み合わせることにより、最良の結果が得られる。
【0042】
図9に示すように、2つの副ナイフ15、16は、これらの副ナイフ15、16の前方端部の後ろ側における選択された領域に、好ましくは鋭利な、厚肉部24、25をそれぞれ備える。厚肉部24、25は、互いに向かい合うように、また形成すべきケージの内側に向かうように、方向付けられている。
【0043】
第1実施形態を示す図4図6および第2実施形態を示す図10図12を参照する。これらの図に示すように、鎖骨9(の一部)を捕捉するケージの形成のために、主ナイフ12と、2つの副ナイフ15、16と、第3ナイフ22とを、予め選択された順序で動作するようにしている。この順序にはいくつかのオプションがある。好ましいオプションでは、図示されているように、主ナイフ12を鎖骨の頭部11に近い位置まで、第1の方向に前進させる(図4および図10)。次いで、主ナイフ12を鎖骨の頭部11に向けて、第1の方向を横切る第2の方向に移動させる。これにより主ナイフ12は、鎖骨の頭部11と接触し、鎖骨の頭部11を第2の方向に移動させる。その結果、鎖骨9は、翼のための関節8を基準として限定的に回転し、持ち上げられる(図5および図11)。ケージの形成を完了するために、2つの副ナイフ15、16および第3ナイフ22を移動させ、こうして形成されたケージ内に鎖骨9を閉じ込める(図6および図12)。
【0044】
また、2つの副ナイフ15、16は、上記で説明したように、主ナイフ12と同期して移動するようにすることが可能である。ここで、移動する副ナイフ15、16は、鎖骨の脚部9′、9′′に沿って進行するのが好ましい。
【0045】
また、2つの副ナイフ15、16は、上記で説明したような方法で主ナイフ12が移動する前に、鎖骨の脚部9′、9′′に沿って進行するようにすることも可能である。
【0046】
上記で説明した2つの動作の順序において、枝肉部分1から収穫される肉の収量を増加させるために、2つの副ナイフ15、16が鎖骨の脚部9′、9′′を引っ掻くようにすることが好ましい。
【0047】
図6および図12にそれぞれ示すように、鎖骨9は、主ナイフ12と、2つの副ナイフ15、16と、第3ナイフ22とによって形成されるケージ内に閉じ込められる。その後、ケージ内の鎖骨9または鎖骨9の部分を、枝肉部分1から除去してもよい。鎖骨9の除去は、好ましくは、ケージの直線運動によって行われてもよいし、ケージの回転運動によって行われてもよい。最も好ましいのはケージの回転運動であって、この運動は、上記で説明した2つの実施形態についての図7および図13に示されている。順序の最後を示す図8および図14において、ケージは、2つの副ナイフ15、16および第3ナイフ22を、主ナイフ12を引き込むより大きく引き込むことによって、開かれる。その結果、取り外された鎖骨9が現れる。
【0048】
上述のように、本発明は、本発明の方法および装置の例示的な実施形態を参照して説明される。しかしながら、本発明は、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができ、これらの特定の実施形態に制限されるものではない。したがって、説明した例示的な実施形態は、添付の請求項を厳密に解釈するために使用されてはならない。それどころか、実施形態は、添付の特許請求の範囲の文言を単に説明するためのものであって、特許請求の範囲をこれらの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言における起こり得る曖昧さは、これらの例示的な実施形態を用いて解決されるものとする。
【0049】
図15および図16は、本明細書に開示された実施形態に対する可能な変形例をそれぞれ示す。
【0050】
図15は、本装置が、加工ライン内で移動可能なキャリアを基準として、位置調整可能であることを示している。キャリアは、処理されるべき家禽の枝肉部分1を支持する。この目的のために、カメラ、CCDカメラまたは他のタイプのセンサのようなモニタツール26が、家禽の枝肉部分1のサイズをモニタする。モニタツール26は、家禽の枝肉部分1のサイズに関する情報をプロセッサ27に提供する。プロセッサ27は、アクチュエータ28を駆動させる。アクチュエータ28は、各ナイフ12、15、16、22を備える本発明の装置を、家禽の枝肉部分1を最適に処理するための最適位置に配置する。
【0051】
また、図16に示すように、本発明の装置は、好ましくは副ナイフ15、16に設けられた、1つのプッシュ部材または複数のプッシュ部材29、30を備えてもよい。これらのプッシュ部材29、30は、鎖骨9が破断した場合に、鎖骨の脚部9′、9′′を一緒にケージに押し込むのに用いられ、これは特に第1実施形態において有利である。さらに、この装置は、図16に示すように、ささみを鎖骨の頭部11から押し離すように配置されているプッシュ部材31、32を有していてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16