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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022852
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】蓋部材、及び蓋部材の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20230209BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
E03F5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127875
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】593159903
【氏名又は名称】株式会社宝機材
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 寛栄
(72)【発明者】
【氏名】浅野 仁栄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 章博
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB02
2D063CB06
2D063CB22
2D063CB30
(57)【要約】
【課題】
雨水等を集水するのに利用されていない無駄な部分を減らし、全体の重量が軽く、製造コストも抑えることができる蓋部材、及び蓋部材の設置方法を提供する。
【解決手段】
埋設構造物800の両側の蓋掛部821に載置される蓋部材500であって、蓋掛部821の間に掛け渡される一対の梁部材300と、梁部材300に対して交差するように、当該梁部材300に掛け渡される主部材410を有する蓋本体部400と、を備え、主部材410の長尺方向の長さL3は、梁部材300の長尺方向の長さL2よりも短いことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設構造物の両側の蓋掛部に載置される蓋部材であって、
前記蓋掛部の間に掛け渡される一対の梁部材と、
前記梁部材に対して交差するように、当該梁部材に掛け渡される主部材を有する蓋本体部と、を備え、
前記主部材の長尺方向の長さは、前記梁部材の長尺方向の長さよりも短いことを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
前記蓋本体部は、前記梁部材に着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記梁部材は、略コ字状の部材を抱き合わせるように組み付けて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記略コ字状の部材は、外側部材と内側部材から構成され、
前記外側部材の上壁と下壁のそれぞれが、前記内側部材の上壁と下壁のそれぞれに重ねて組付けられており、
前記外側部材と前記内側部材は、互いに重なっていない非重複部を備えることを特徴とする請求項3に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記梁部材には、前記蓋部材に隣接する蓋体と固定するための固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の蓋部材。
【請求項6】
請求項5に記載の蓋部材を埋設構造物に設置する設置方法であって、
前記蓋部材に隣接する一方の蓋体を、前記蓋部材及び他方の蓋体よりも先に、前記埋設構造物に設置し、
次に、前記蓋部材の一方の固定部材を前記一方の蓋体の下面に潜り込ませるようにして、前記蓋部材を前記埋設構造物に設置し、
次に、前記蓋部材の他方の固定部材の上方から前記他方の蓋体を被せるように、前記他方の蓋体を前記埋設構造物に設置し、
前記蓋部材の下端両側から側方へ延出する前記固定部材が、隣接する各蓋体の下面に宛がわれた状態とする、ことを特徴とする設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、道路に設置される集水桝や側溝等の埋設構造物において、排水路を覆う蓋部材、及び蓋部材の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図15に示すように、道路に設置される側溝等の埋設構造物M1の排水路M3を覆うように、グレーチング等の蓋部材G1が利用されてきた。この蓋部材G1の主部材G2は、埋設構造物M1の両側の蓋掛部M2に掛け渡すことが出来るように長尺状に構成されており、主部材G2が両端の蓋掛部M2で支持されている支点間距離MXが長くなっていた。そして、蓋部材G1の上を横断する車両等の重量に耐えることができるように、長尺状の主部材G2の高さGHも高くして強度を維持している。そのため、蓋部材G1の主部材G2は、長尺状である上に、ある程度の高さも確保しなければならないため、蓋部材G1全体の重量も重く、主部材G2の構成材料費が嵩み、製造コストが高くなっていた。また、蓋部材G1は格子状になっており、周囲からの雨水等を埋設構造物M1の排水路M3へ流していた。ただ、周囲から流れてくる雨水等の大部分は、蓋部材G1の外周に沿った外側の格子部分(図15(a)の斜線部参照)から排水路M3に流れ込んでおり、蓋部材G1の中央の格子部分は、周囲から流れ込んでくる雨水等を排水するのに、ほとんど利用されていなかった。特に、埋設構造物M1の排水路M3の幅が大きくなり、両側の蓋掛部M2間の幅MLが広くなると、それに応じて、蓋掛部M2に掛け渡される蓋部材G1も大きくなる。すると、蓋部材G1の幅も大きくなり、蓋部材G1の中央の集水に利用されていない箇所が、更に大きくなっていた。このことから、従来の蓋部材G1の構造には、雨水等を集水するのに利用されていない無駄な部分が多く、その無駄な部分を構成する主部材G2の構成材料費が嵩み、製造コストが高くなっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願発明は上記問題に鑑み、雨水等を集水するのに利用されていない無駄な部分を減らし、全体の重量が軽く、製造コストも抑えることができる蓋部材、及び蓋部材の設置方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明の蓋部材は、埋設構造物の両側の蓋掛部に載置される蓋部材であって、前記蓋掛部の間に掛け渡される一対の梁部材と、前記梁部材に対して交差するように、当該梁部材に掛け渡される主部材を有する蓋本体部と、を備え、前記主部材の長尺方向の長さは、前記梁部材の長尺方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0005】
上記特徴によれば、主部材を支持している両側の梁部材の間隔、すなわち、主部材が両端で支持されている支点間距離は、従来のように、主部材を埋設構造物の両側の蓋掛部に掛け渡して支持する場合の支点間距離と比較して短くできる。その結果、車両等が蓋本体部上を横断した際に、主部材の中央付近に集中する応力(せん断応力、曲げモーメント等)は、小さくなる。そして、応力が小さくなった分、主部材の高さを従来よりも低くできるのである。そのため、複数設けられている主部材の長尺方向の長さ及び高さを小さくできるので、主部材の重量及び構成材料費を抑え、蓋本体部を含む蓋部材全体としての重量及び製造コストを、従来よりも低減できるのである。また、主部材の長尺方向の長さが梁部材の長尺方向の長さよりも短くなっているので、蓋部材は、平面視で両側の蓋掛部に掛け渡す方向に長い略長方形状となる。そのため、雨水等を集水するのに利用されていない無駄な中央部分を減らし、その無駄な中央部分を構成するために必要な主部材の重量及び構成材料費を抑えることができる。よって、蓋本体部を含む蓋部材全体としての重量及び製造コストを、従来よりも低減できるのである。
【0006】
本願発明の蓋部材は、前記蓋本体部は、前記梁部材に着脱可能に固定されていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、蓋本体部の交換等が容易であり、不用意に外されないので盗難防止等にも効果的である。
【0008】
本願発明の蓋部材は、前記梁部材は、略コ字状の部材を抱き合わせるように組み付けて構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、梁部材は断面が略長方形状となるように組み付けられるので、梁部材は強度が強く、蓋本体部上を横断する車両等の重量がかかっても、十分に耐えることが出来るのである。また、梁部材の高さの変更にも容易に対応できる。
【0010】
本願発明の蓋部材は、前記略コ字状の部材は、外側部材と内側部材から構成され、前記外側部材の上壁と下壁のそれぞれが、前記内側部材の上壁と下壁のそれぞれに重ねて組付けられており、前記外側部材と前記内側部材は、互いに重なっていない非重複部を備えることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、蓋本体部を固定するために利用する固定部を、外側部材の上壁と内側部材の上壁の両方に設ける必要がなく、梁部材の製造工程を減らし、梁部材の製造コストを削減に寄与する。
【0012】
本願発明の蓋部材は、前記梁部材には、前記蓋部材に隣接する蓋体と固定するための固定部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、蓋部材が埋設構造物から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。
【0014】
本願発明の蓋部材の設置方法は、前記蓋部材に隣接する一方の蓋体を、前記蓋部材及び他方の蓋体よりも先に、前記埋設構造物に設置し、次に、前記蓋部材の一方の固定部材を前記一方の蓋体の下面に潜り込ませるようにして、前記蓋部材を前記埋設構造物に設置し、次に、前記蓋部材の他方の固定部材の上方から前記他方の蓋体を被せるように、前記他方の蓋体を前記埋設構造物に設置し、前記蓋部材の下端両側から側方へ延出する前記固定部材が、隣接する各蓋体の下面に宛がわれた状態とすることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、蓋部材の設置前から固定部材が蓋部材に既に固定されていても、固定部材が他の部材に干渉することなく、蓋部材を埋設構造物に容易に設置できるのである。特に、固定部材を初めから蓋部材に固定しているので、蓋部材の設置後に、固定部材を蓋部材に取り付けるための固定具を別途用いる必要がなく、さらに、狭い作業空間において、固定部材を蓋部材に取りつける手間も省けるので、作業性が向上するのである。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本願発明の蓋部材、及び蓋部材の設置方法によれば、雨水等を集水するのに利用されていない無駄な部分を減らし、全体の重量が軽く、製造コストも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、本願発明の実施形態1に係る蓋部材の梁部材の斜視図、(b)は、梁部材の平面図、(c)は、梁部材の正面図である。
図2】(a)は、本願発明の実施形態1に係る蓋部材の蓋本体部の斜視図、(b)は、蓋本体部の平面図、(c)は、蓋本体部の正面図である。
図3】(a)は、埋設構造物の斜視図、(b)は、埋設構造物の平面図、(c)は、埋設構造物の側面図である。
図4】本願発明の実施形態1に係る蓋部材を埋設構造物に載置する様子を示す分解斜視図である。
図5】(a)は、蓋部材の梁部材のみを埋設構造物に載置した状態の平面図、図5(b)は当該状態の側面図である。
図6】(a)は、蓋部材を埋設構造物に載置した状態の平面図、(b)は当該状態の側面図である。
図7】(a)及び(b)は、図6(a)のA―A断面図である。
図8】(a)は、本願発明の実施形態2に係る蓋部材の梁部材の全体斜視図、(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図9】(a)は、本願発明の実施形態3に係る蓋部材の梁部材の全体斜視図、(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図10】(a)は、本願発明の実施形態4に係る蓋部材の蓋本体部の全体斜視図、(b)は、蓋部材の梁部材の全体斜視図である。
図11】(a)は、本願発明の実施形態4に係る蓋部材の全体斜視図、(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図12】(a)は、本願発明の実施形態5に係る蓋部材の梁部材の全体斜視図、(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図13】(a)及び(b)は、本願発明の実施形態6に係る蓋部材の梁部材の全体斜視図、(c)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図14】(a)は、本願発明の実施形態7に係る蓋部材の羽板部材の斜視図、(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材を埋設構造物に取り付けた状態の断面図である。
図15】(a)は、従来の蓋部材を埋設構造物に載置した状態の平面図、(b)は当該状態の側面図である。
【符号の説明】
【0018】
300 梁部材
400 蓋本体部
410 主部材
500 蓋部材
800 埋設構造物
821 蓋掛部
L2、L3 長さ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明の各実施形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。なお、本明細書で使用する「上方」とは、図4に示すように、水平面に設置された側溝等の埋設構造物に対して、鉛直方向の上側に向かう方向のことであり、「下方」とは、鉛直方向の下側に向かう方向のことである。
【0020】
<実施形態1>
まず、図1に、本願発明の実施形態1に係る蓋部材500の梁部材300を示す。なお、図1(a)は、梁部材300の斜視図、図1(b)は、梁部材300の平面図、図1(c)は、梁部材300の正面図である。
【0021】
図1に示すように、梁部材300は、中空の略直方体形状をしており、略コ字状の外側部材100と内側部材200を抱き合わせるように組み付けて構成されている。具体的には、外側部材100は、一枚の金属製の板材を略コ字状に屈曲させて形成したもので、平坦な上壁110と、上壁110から下方へ延出する側壁120と、側壁120の下端から内側へ延出する平坦な下壁130とを備える。同様に、内側部材200も、一枚の金属製の板材を略コ字状に屈曲させて形成したもので、平坦な上壁210と、上壁210から下方へ延出する側壁220と、側壁220の下端から内側へ延出する平坦な下壁230とを備える。そして、図1(c)に示すように、外側部材100の開口の内側に、内側部材200の開口側を向かい合わせて、断面が略長方形状となるように組み付けている。そのため、断面が略長方形状の梁部材300は、強度が強く、蓋本体部400上を横断する車両等の重量がかかっても、十分に耐えることが出来るのである。
【0022】
図1(c)に示すように、梁部材300が組み付けられた状態では、外側部材100の上壁110の下側に内側部材200の上壁210が重ねられて、上壁110の先端111と内側部材200の上壁210との接触箇所S1付近を溶接する。また、外側部材100の下壁130の上側に内側部材200の下壁230が重ねられて、下壁130の先端131と内側部材200の下壁230との接触箇所S2付近を溶接する。これにより、外側部材100と内側部材200は、各上壁と各下壁が重ねられて溶接固定され、強固に組付けられている。
【0023】
また、外側部材100の開口は内側に向いているので、上壁110の先端111と内側部材200の上壁210との接触箇所S1付近に出来た溶接部は、梁部材300の内側に位置することになる。すると、溶接部の飛び出し箇所(いわゆる、バリなど)が、梁部材300の外側に飛び出ることがなく、後述するように梁部材300の外側に隣接配置される蓋体と干渉することがないのである。同様に、下壁130の先端131と内側部材200の下壁230との接触箇所S2付近に出来た溶接部の飛び出し箇所(いわゆる、バリなど)も、梁部材300の外側に飛び出ることがなく、梁部材300の外側に隣接配置される蓋体と干渉することがないのである。さらに、梁部材300の外側は、外側部材100の平坦な側壁120が位置しているので、梁部材300の外側に隣接配置される蓋体と干渉することがない。
【0024】
また、内側部材200の上壁210は外側部材100の上壁110よりも短いので、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210は、互いに上下に重なっていない非重複部301を備えている。この非重複部301では、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210が重なっておらず、蓋本体部400を固定するために利用する固定部としての固定孔302を、外側部材100の上壁110のみに形成している。そのため、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210の両方に固定孔302を貫通するように設ける必要がなく、梁部材300の製造工程を減らし、梁部材300の製造コストを削減に寄与する。
【0025】
同様に、内側部材200の下壁230は外側部材100の下壁130よりも短いので、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230は、互いに上下に重なっていない非重複部303を備えている。この非重複部303では、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230が重なっておらず、蓋部材500を蓋体に固定するために利用する固定部としての固定孔304を、外側部材100の下壁130のみに形成している。そのため、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230の両方に固定孔304を貫通するように設ける必要がなく、梁部材300の製造工程を減らし、梁部材300の製造コストを削減に寄与する。
【0026】
なお、固定部として、固定孔302及び固定孔304を設けているが、これに限定されず、固定部は、蓋本体部400や蓋部材500を固定するために利用できるのであれば、スリット形状やその他の任意の構成であってもよい。また、固定部として、固定孔302を外側部材100の上壁110のみに設けているが、これに限定されず、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210の両方に固定孔302を貫通するように設けてもよい。同様に、固定部として、固定孔304を外側部材100の下壁130のみに設けているが、これに限定されず、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230の両方に固定孔304を貫通するように設けてもよい。
【0027】
また、梁部材300は、外側部材100と内側部材200を組み付けて形成されているが、これに限定されず、角柱形状の一つの部材から形成されてもよい。また、梁部材300は、外側部材100と内側部材200の2つの部材から構成されることに限定されず、3つ以上の部材から構成されてもよい。また、梁部材300は、角柱形状をしているが、これに限定されず、蓋本体部400を安定して載置できると共に、蓋部材500上を横断する車両等の重量に耐えることができるのであれば、任意の素材で任意の形状としてもよい。ただ、梁部材300は、略コ字形状の2つの部材(外側部材100、内側部材200)を組み付けて構成しているため、梁部材300の高さが変更されても、高さの異なる略コ字形状の部材(外側部材100、内側部材200)を準備して組み付けるだけでよく、梁部材300の高さの変更にも容易に対応できる。仮に、一枚の金属板を屈曲させて角柱形状の梁部材300を形成する場合は、高さが大きくなると、金属板の曲げた箇所が折曲機に干渉するなどして、梁部材300の製造が困難となるか、干渉しないような特殊な構造が必要となる。ただ、金属板を略コ字形状に屈曲させて形成する場合は、高さが大きくなっても、金属板の曲げた箇所が折曲機に干渉することを防ぐことができる。
【0028】
なお、梁部材300では、外側部材100の上壁110の下側に内側部材200の上壁210が重ねられて、外側部材100の下壁130の上側に内側部材200の下壁230が重ねられているが、これに限定されず、外側部材100の上壁110の上側に内側部材200の上壁210が重ねられる、または、外側部材100の下壁130の下側に内側部材200の下壁230が重ねられる構成としてもよい。また、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210は、互いに上下に重なっていない非重複部301を備えているが、これに限定されず、外側部材100の上壁110と内側部材200の上壁210は、全面にわたって互いに重なって、非重複部301を備えない態様としてもよい。同様に、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230は、互いに上下に重なっていない非重複部303を備えているが、これに限定されず、外側部材100の下壁130と内側部材200の下壁230は、全面にわたって互いに重なって、非重複部303を備えない態様としてもよい。また、梁部材300は、上下に非重複部301及び非重複部303を備えているが、非重複部301又は非重複部303の一方のみを備えてもよい。
【0029】
また、図1に示すように、同じ構成の2つの梁部材300が、互いの内側部材200が相対するように配置され、そして、2つの梁部材300の間に掛け渡されるように、後述する蓋本体部400が配置される。
【0030】
なお、梁部材300は、車両等の重量に耐えることができるように、板厚が3.2mm(ミリメートル)以上で、引張強さが590N/mm(ニュートン/平方ミリメートル)以上の高張力鋼で構成されるのが、最適である。板厚が2mm(ミリメートル)未満であると、曲げ加工を行った箇所(角部など)に応力が過度に集中しすぎて破損等の原因になる。また、車両等の重量による負荷がかかった際に、応力が過度に集中して、梁部材300が破損しないように、梁部材300の角部(屈曲箇所)の曲率半径Rは、4mm以上で、特に10mm以上にするのが最適である。
【0031】
では次に、図2に、本願発明の実施形態1に係る蓋部材500の蓋本体部400を示す。なお、図2(a)は、蓋本体部400の斜視図、図2(b)は、蓋本体部400の平面図、図2(c)は、蓋本体部400の正面図である。
【0032】
蓋本体部400は、長尺状の板部材である主部材410と、並列に配置された複数の主部材410を連結する棒状の連結部材420と、各主部材410の端部を連結する端部材430を備え、格子状に構成されている。また、主部材410の長尺方向の長さL3は、主部材410が両側の梁部材300に掛け渡して配置できるように、両側の梁部材300間の長さL1(図1参照)と等しくなっている。なお、両側の梁部材300間の長さL1は、梁部材300の長尺方向の長さL2よりも短くなっている。さらに、蓋本体部400の長尺方向の長さL4は、蓋本体部400が梁部材300上に安定して載置できるように、梁部材300の長尺方向の長さL2(図1参照)以下となっている。また、主部材410の下端411は、平坦な梁部材300の上壁110に安定して載置できるように、平坦面となっている。
【0033】
なお、蓋本体部400の各部材は金属製であるが、これに限定されず、実際の使用に耐える範囲で、適宜任意の素材によって構成できる。また、蓋本体部400は格子状のグレーチングの態様であるが、これに限定されず、雨水等を排水できる機能を備えていれば、適宜任意の構造であってもよい。
【0034】
では次に、図3に、本願発明の蓋部材500を載置する対象である埋設構造物800を示す。なお、図3(a)は、埋設構造物800の斜視図、図3(b)は、埋設構造物800の平面図、図3(c)は、埋設構造物800の側面図である。
【0035】
埋設構造物800は、コンクリート製の側溝の形態であり、路面等に埋設されて利用される。そして、埋設構造物800は、略U字形状をしており、下端側に集水した雨水等を排水する排水路810と、排水路810の両側から上方へ立設する側壁820とを備える。さらに、側壁820の上方には、上端830が設けられており、上端830は、上面831と内側の側面832を備える。また、上端830の側面832の下側には、段状の蓋掛部821が設けられており、後述するように蓋部材500の梁部材300を載置できるようになっている。また、埋設構造物800は、コンクリート製の側溝に限定されず、排水路の両側に蓋掛部を備えているのであれば、集水桝など、任意の構成であってもよい。
【0036】
では次に、図4から図6に、本願発明の蓋部材500を埋設構造物800に載置した状態について説明する。なお、図4は、蓋部材500を埋設構造物800に載置する様子を示す分解斜視図、図5は、蓋部材500の梁部材300のみを埋設構造物800に載置した状態を示すもので、図5(a)は当該状態の平面図、図5(b)は当該状態の側面図、図6は、蓋部材500を埋設構造物800に載置した状態を示すもので、図6(a)は当該状態の平面図、図6(b)は当該状態の側面図である。
【0037】
図4に示すように、埋設構造物800には、排水路810を上方から覆うようにコンクリート製などの任意の材料から構成される蓋体900が配置されている。この蓋体900は、排水路810の両側の蓋掛部821に掛け渡すように載置されており、埋設構造物800の排水路810に沿って複数配置されている。また、蓋体900に隣接する位置に、断続的に又は連続的に蓋部材500を配置し、蓋部材500を介して効率的に雨水等を排水路810に排水している。
【0038】
そして、図4及び図5に示すように、この蓋部材500が埋設構造物800に設置される際は、蓋部材500の梁部材300が、排水路810の両側の蓋掛部821に掛け渡されて載置されている。この梁部材300の長尺方向の長さL2は、両側の蓋掛部821間の幅L5より短く、排水路810の幅L6よりも長くなっているので、梁部材300は排水路810に落下することがなく、蓋掛部821上に安定して載置されている。また、両側の梁部材300の間隔L10は、両側の蓋掛部821間の幅L5及び排水路810の幅L6よりも短くなっている。後述するように、主部材410が両側の梁部材300に掛け渡されて支持されるため、この両側の梁部材300の間隔L10は、主部材410の支点間距離となる。また、梁部材300は、排水路810の上方において、両側の蓋掛部821に直線状に掛け渡されているので、梁部材300が排水路810の集水領域を狭めることがない。そのため、梁部材300を配置しても、埋設構造物800の排水路810の排水性能に影響を及ぼすことがないのである。また、梁部材300の両端は、埋設構造物800の側面832に近接するように配置されているので、梁部材300と側面832との隙間を極力減らすことが出来る。
【0039】
次に、図4及び図6に示すように、埋設構造物800に設置された梁部材300の上から蓋本体部400を設置する。具体的には、蓋本体部400の主部材410が梁部材300に対して交差し、主部材410が両側の梁部材300に掛け渡されるように配置する。すると、蓋本体部400の主部材410が両側の梁部材300に支持されるように、蓋本体部400が梁部材300上に設置される。そして、梁部材300の長尺方向の長さL2は、主部材410の長尺方向の長さL3よりも長くなっているので、梁部材300と蓋本体部400を備えた蓋部材500は、平面視で、両側の蓋掛部821を掛け渡す方向に長い略長方形状となっている。また、蓋本体部400の上端と埋設構造物800の上面831は、略同一平面となっているので、埋設構造物800の上面には凹凸が出来ないようになっている。
【0040】
このように、本願発明の蓋部材500では、従来のように、主部材410を埋設構造物800の両側の蓋掛部821に掛け渡すのではなく、蓋掛部821の間に掛け渡された梁部材300の上に配置している。そのため、主部材410を支持している両側の梁部材300の間隔L10、すなわち、主部材410が両端で支持されている支点間距離は、従来のように、主部材410を埋設構造物800の両側の蓋掛部821に掛け渡して支持する場合の支点間距離と比較して短くできる。その結果、車両等が蓋本体部400上を横断した際に、主部材410の中央付近に集中する応力(せん断応力、曲げモーメント等)は、小さくなる。そして、応力が小さくなった分、主部材410の高さH1を従来よりも低くできるのである。そのため、複数設けられている各主部材410の長尺方向の長さL3及び高さH1を小さくしたことで、各主部材410の重量及び構成材料費を抑え、蓋本体部400を含む蓋部材500全体としての重量及び製造コストを、従来よりも低減できるのである。例えば、本実施例に示す本願発明の蓋部材500では、主部材410を両側の蓋掛部821に掛け渡す必要がないため、主部材410の長尺方向の長さL3を、両側の蓋掛部821に掛け渡された梁部材300の長尺方向の長さL2の約半分程度まで短くできる。そのため、本願発明の蓋部材500の重量は、従来のような、主部材410を両側の蓋掛部821に掛け渡すタイプの蓋部材の重量と比較して、約半分程度まで軽量化できるのである。
【0041】
また、周囲から流れてくる雨水等の大部分は、蓋本体部400の外周に沿った外側の格子部分(図6(a)の斜線部参照)から排水路810に流れ込むことになる。そして、本願発明の蓋部材500では、主部材410の長尺方向の長さL3が梁部材300の長尺方向の長さL2よりも短くなっているので、図6(a)に示すように、蓋部材500は、平面視で両側の蓋掛部821を掛け渡す方向に長い略長方形状となる。そのため、排水路810の幅が広くなって蓋掛部821間の幅L5が長くなっても、図15(a)に示すような従来技術と比較して、本願発明の蓋部材500では、周囲から流れ込んでくる雨水等を排水するのに、ほとんど利用されていない中央部分Pを極力狭くできる。その結果、雨水等を集水するのに利用されていない無駄な部分を減らし、その無駄な部分を構成するために必要な主部材410の重量及び構成材料費を抑えることができる。よって、蓋本体部400を含む蓋部材500全体としての重量及び製造コストを、従来よりも低減できるのである。
【0042】
なお、蓋本体部400の高さH1が低くなっても、梁部材300の高さH2を高さH1よりも大きくしているので、蓋本体部400の上面と埋設構造物800の上面831とが面一となり、段差ができることは無い。また、蓋本体部400は蓋掛部821に直接載置されていないため、蓋部材500上を横断する車両等の重量を主に支えるのは、蓋掛部821に掛け渡すように直接載置されている梁部材300となる。そのため、梁部材300は、車両等の重量に耐えるために高い強度が求められ、構造上の制約を受ける。しかしながら、蓋本体部400には、梁部材300と比較して、車両等の重量に耐えるための構造上の制約は緩くなる。したがって、蓋本体部400の構成は適宜変更しやすく、蓋本体部400の設計の自由度が高くなるのである。また、排水路810の幅が広くなって蓋掛部821間の幅L5、すなわち、支点間距離が広くなると、蓋部材500上を横断する車両等から受ける応力(せん断応力、曲げモーメント等)に耐えるため、蓋部材500の高さも高くする必要がある。ただ、蓋本体部400の高さH1は変える必要がなく、蓋部材500上を横断する車両等の重量を主に支える梁部材300の高さH2のみを高くすればよいので、蓋本体部400の設計の自由度は維持される。
【0043】
なお、蓋本体部400は一対の梁部材300上に配置されているが、これに限定されず、一対の梁部材300の間に、更に梁部材300を配置し、蓋本体部400を3つ以上の梁部材300の上に配置してもよい。また、蓋本体部400の主部材410は、梁部材300の長尺方向に対して略直角に交差するように配置されているが、これに限定されず、蓋本体部400の主部材410が、両側の梁部材300に掛け渡されるのであれば、任意の角度で交差してもよい。
【0044】
なお、梁部材300に設置された蓋本体部400が不用意に取り外されて盗難されることや、蓋部材500全体が埋設構造物800から不用意に取り外されて盗難されること等を防止するために、図7に示すように、蓋本体部400を梁部材300に固定し、蓋部材500を埋設構造物800に取り付けられた蓋体900に任意で固定している。なお、図7(a)及び(b)は、図6(a)のA―A断面図である。
【0045】
まず、図7(a)に示すように、蓋本体部400は、固定部材501によって梁部材300に着脱可能に固定されている。具体的には、固定部材501は、ナット502とボルト503を備えている。そして、ボルト503の先端部分を梁部材300の固定孔302に挿通させて、その先端部分を梁部材300の上方へ向けて突出させる。さらに、蓋本体部400の一部を挟み込むようにして、ナット502をボルト503の先端部分に螺合させて、しっかりと締め付ければ、蓋本体部400は固定部材501によって、梁部材300に着脱可能に固定された状態となる。このように、蓋本体部400は梁部材300に着脱可能に固定されているので、蓋本体部400の交換等が容易であり、不用意に外されないので盗難防止等にも効果的である。なお、固定部材501は、ボルトとナットの形態であるが、これに限定されず、蓋本体部400を梁部材300に着脱可能に固定できるのであれば、任意の構成であってもよい。また、蓋本体部400は梁部材300に着脱可能に固定されているが、これに限定されず、蓋本体部400は梁部材300に固定されない、又は、蓋本体部400を梁部材300に溶接等で固定して、着脱できないようにしてもよい。
【0046】
また、図7(a)に示すように、蓋部材500を埋設構造物800側に固定する場合は、固定部材としてのボルト506を利用している。具体的には、梁部材300の側壁120に貫通孔121を設け、その貫通孔121にボルト506の先端部分を挿通させる。そして、ボルト506の先端部分を、蓋部材500の外側に隣接する蓋体900の側面にねじ込めば、蓋部材500は、隣接する蓋体900に固定された状態となり、蓋部材500が埋設構造物800から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。
【0047】
また、蓋部材500を埋設構造物800側に固定する固定部材は、ボルト506に限定されず、図7(b)に示すような、羽板部材510を利用してもよい。具体的には、直線状に延出する羽板部材510の一方の端部511を梁部材300の下側に宛がい、ボルト513の先端部分を梁部材300の固定孔304に挿通させて、先端部分にナット514を螺合させる。これにより、梁部材300の下側に羽板部材510が固定された状態となる。さらに、羽板部材510の他方の端部512は、蓋体900の下側に宛がわれている。そのため、蓋部材500が上方に取り外されそうになっても、羽板部材510の端部512が隣接する蓋体900に係止するので、蓋部材500が蓋体900に固定された状態を維持でき、蓋部材500が埋設構造物800から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。なお、羽板部材510は、梁部材300の下側にボルト513とナット514によって着脱可能に固定されているが、これに限定されず、羽板部材510は梁部材300の下側に溶接等で固定してもよい。また、蓋部材500を埋設構造物800側に固定する固定部材は、ボルト506や羽板部材510の態様をしているが、これに限定されず、蓋部材500を埋設構造物800側に固定できるのであれば、任意の構成であってもよい。
【0048】
<実施形態2>
次に、図8には、本願発明の実施形態2に係る蓋部材500Aを示す。なお、実施形態2の蓋部材500Aに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と、梁部材300Aの形状が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図8(a)は、蓋部材500Aの梁部材300Aの全体斜視図、図8(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Aを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0049】
図8に示すように、蓋部材500Aの梁部材300Aは、上壁110Aの幅L7が下壁130の幅L8よりも広くなっている。そのため、梁部材300Aの断面は、上端側が広く下端側が狭い略台形形状をしている。そして、図8(b)に示すように、梁部材300Aの上壁110Aは、蓋本体部400Aを下側から支持する部分となっているので、上壁110Aの幅L7が広がることで、蓋本体部400Aを支持する部分が広くなるのである。すると、両側の梁部材300Aの上端側は、中央側に向けて張り出すように構成されるので、蓋本体部400Aの主部材410Aを支持している両側の梁部材300Aの間隔L9が狭くなる。その結果、車両等が蓋本体部400A上を横断した際に、主部材410Aの中央付近に集中する応力が小さくなるので、主部材410Aの高さを更に低くできる。そのため、各主部材410Aの重量及び構成材料費を抑え、蓋本体部400Aを含む蓋部材500A全体としての重量及び製造コストを、従来よりも更に低減できるのである。
【0050】
<実施形態3>
次に、図9には、本願発明の実施形態3に係る蓋部材500Bを示す。なお、実施形態3の蓋部材500Bに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と、梁部材300Bの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図9(a)は、蓋部材500Bの梁部材300Bの全体斜視図、図9(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Bを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0051】
図9に示すように、両側の梁部材300Bの間には、直線状に延出する連結部材310Bが固定されている。具体的には、連結部材310Bの両端のそれぞれを各梁部材300Bの内側の側壁220Bに溶接等で固定している。また、連結部材310Bの上面には、ボルト503Bの先端部分を挿通させるための貫通孔311Bが設けられている。そして、蓋本体部400Bの一部を挟み込むようにして、ナット502Bをボルト503Bの先端部分に螺合させて、しっかりと締め付ければ、蓋本体部400Bは、梁部材300Bの連結部材310Bに着脱可能に固定された状態となる。
【0052】
また、梁部材300Bの外側の側壁120Bには、外側へ向けて突出する板状の突出部材320Bと、棒状の突出部材330Bが設けられている。板状の突出部材320Bと棒状の突出部材330Bのそれぞれは、隣接する蓋体900と埋設構造物800の側面832との間の隙間X1(図6(a))に差し込んで固定できるように構成されている。そのため、蓋部材500Bが埋設構造物800から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。なお、板状の突出部材320Bと棒状の突出部材330Bを備えているが、隙間X1の大きさに応じて、板状の突出部材のみ、又は棒状の突出部材、又は任意の形状の突出部材を備えてもよい。また、4つの突出部材が、蓋部材500Bの四隅にそれぞれ設けられているが、これに限定されず、任意の数の突出部材を、蓋部材500Bの任意の場所に設けてもよい。
【0053】
<実施形態4>
次に、図10及び図11には、本願発明の実施形態4に係る蓋部材500Cを示す。なお、実施形態4の蓋部材500Cに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、同一の構成については詳細な説明を省略する。なお、図10(a)は、蓋部材500Cの蓋本体部400Cの全体斜視図、図10(b)は、蓋部材500Cの梁部材300Cの全体斜視図、図11(a)は、蓋部材500Cの全体斜視図、図11(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Cを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0054】
図10(a)に示すように、蓋本体部400Cは、並列に配置された複数の主部材410Cと、各主部材410Cを連結する棒状の連結部材420Cを備え、格子状に構成されている。ただ、各主部材410の端部を連結する端部材430を備えていないので、各主部材410の先端412Cが露出した状態となっている。
【0055】
次に、図10(b)に示すように、梁部材300Cは中空状の角柱形状をしており、上壁110Cの内端側に傾斜面140Cを備える。そして、この傾斜面140Cには、蓋本体部400Cの主部材410Cの先端412Cを差し込めるように、各先端412Cに対応した位置に複数の差込溝141Cを備える。また、両側の梁部材300Cの間には、直線状に延出する連結部材310Cが固定されている。具体的には、連結部材310Cの両端のそれぞれを各梁部材300Cの内側の側壁220Cに溶接等で固定している。また、連結部材310Cの上面に設けられた貫通孔311Cに、ボルト503Cの先端部分を挿通させて上方へ突出させている。
【0056】
次に、図11に示すように、蓋本体部400Cの主部材410Cの各先端412Cを、梁部材300Cの差込溝141Cに差し込み、蓋本体部400Cを梁部材300Cに取り付ける。そして、蓋本体部400Cの一部を挟み込むようにして、ナット502Cをボルト503Cの先端部分に螺合させて、しっかりと締め付ければ、蓋本体部400Cは、梁部材300Cの連結部材310Cに着脱可能に固定された状態となる。
【0057】
蓋部材500Cは、梁部材300Cの上壁110Cから排水路810へ向けて傾斜する傾斜面140Cを備えているので、蓋体900の上面から流れてきた雨水等は、傾斜面140Cに沿って誘導されて、埋設構造物800の排水路810へと効率的に排水されるのである。
【0058】
<実施形態5>
次に、図12には、本願発明の実施形態5に係る蓋部材500Dを示す。なお、実施形態5の蓋部材500Dに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と、梁部材300Dの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図12(a)は、蓋部材500Dの梁部材300Dの全体斜視図、図12(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Dを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0059】
図12(a)に示すように、梁部材300Dの内側の側壁220Dの上端側に貫通孔223Dが形成され、外側の側壁120Dの上端側にも貫通孔123Dが形成されている。そして、貫通孔123Dと貫通孔223Dは同じ高さに設けられており、直線状に延出する連結部材310Dを挿通できるように構成されている。また、連結部材310Dが両側の貫通孔123Dと貫通孔223Dを挿通した際に、連結部材310Dの上面に設けられた貫通孔311Dと、梁部材300の上壁110Dに設けられた固定孔302Dは上下に重なるようになっている。
【0060】
そのため、図12(b)に示すように、各梁部材300Dの貫通孔123Dと貫通孔223Dに連結部材310Dを挿通させて取り付けた状態で、ボルト503Dの先端部分を、連結部材310Dの貫通孔311Dと梁部材300Dの固定孔302Dに貫通させて上方へ突出させる。そして、梁部材300Dの上に蓋本体部400Dを載置し、蓋本体部400Dの一部を挟み込むようにして、ナット502Dをボルト503Dの先端部分に螺合させて、しっかりと締め付ければ、蓋本体部400Dは、梁部材300Dに着脱可能に固定された状態となる。また、連結部材310Dを梁部材300Dに取り付ける際は、連結部材310Dを梁部材300Dに溶接等で固定するのではなく、蓋本体部400Dを梁部材300Dに固定するためのナット502Dとボルト503Dを利用して連結部材310Dを梁部材300Dに固定しているので、蓋部材500Dの組み立て及び分解が容易なのである。
【0061】
<実施形態6>
次に、図13には、本願発明の実施形態6に係る蓋部材500Eを示す。なお、実施形態6の蓋部材500Eに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と、梁部材300Eの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図13(a)及び(b)は、蓋部材500Eの梁部材300Eの全体斜視図、図13(c)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Eを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0062】
図13(a)及び(b)に示すように、両側の梁部材300Eの内側の側壁220Eには、略L字形状の取付板350Eが取り付けられている。また、取付板350Eの一部には貫通孔351Eが設けられている。そして、両側の取付板350Eの上に掛け渡すように、直線状に延出する連結部材310Eを取り付ける。連結部材310Eが取付板350Eに取り付けられた際、連結部材310Eの貫通孔312Eと取付板350Eの貫通孔351Eは重なるようになっているので、ビス355Eを貫通孔312Eと貫通孔351Eに挿通させ、ビス355Eの先端をナット356Eで締め付ける。すると、連結部材310Eは、梁部材300Eに着脱可能に固定された状態となる。
【0063】
さらに、連結部材310Eの上面には、ボルト503Eの先端部分を挿通させるための貫通孔311Eが設けられている。そして、図13(c)に示すように、蓋本体部400Eの一部を挟み込むようにして、ナット502Eをボルト503Eの先端部分に螺合させて、しっかりと締め付ければ、蓋本体部400Eは、梁部材300Eの連結部材310Eに着脱可能に固定された状態となる。このように、連結部材310E及び蓋本体部400Eは着脱可能に構成されているので、蓋部材500Eの組み立て及び分解が容易なのである。
【0064】
なお、図13(c)に示すように、蓋部材500Eの両側の梁部材300Eの各下端には、溶接によって羽板部材510Eがそれぞれ固定されており、羽板部材510Eが蓋部材500Eの下端両側から側方へ向けて突出している。この羽板部材510Eの態様の固定部材を利用して、蓋部材500Eは埋設構造物800側に固定されている。そして、羽板部材510Eの態様の固定部材を利用して、蓋部材500Eを埋設構造物800側に固定する場合は、まず、蓋部材500Eに隣接する一方の蓋体900E1が埋設構造物800に設置され、他方の蓋体900E2が埋設構造物800に設置されていない状態とする。つまり、蓋部材500Eに隣接する一方の蓋体900E1を、蓋部材500E及び他方の蓋体900E2よりも先に、埋設構造物800に設置しておく。次に、一方の羽板部材510E1を一方の蓋体900E1の下面に潜り込ませるようにして、蓋部材500Eを埋設構造物800に設置する。次に、他方の羽板部材510E2の上方から他方の蓋体900E2を被せるように、他方の蓋体900E2を埋設構造物800に設置する。すると、蓋部材500Eの下端両側から側方へ延出する羽板部材510Eが、隣接する各蓋体900の下面に宛がわれた状態となる。
【0065】
上記手順に従って、蓋部材500Eと、両側の蓋体900Eを埋設構造物800に設置することで、その設置前から、羽板部材510Eが蓋部材500Eに既に固定されていても、羽板部材510Eが他の部材に干渉することなく、蓋部材500Eを埋設構造物800に容易に設置できるのである。特に、羽板部材510Eを初めから蓋部材500Eに固定しているので、蓋部材500Eの設置後に、羽板部材510Eを蓋部材500Eに取り付けるための固定具を別途用いる必要がなく、さらに、狭い作業空間において、羽板部材510Eを蓋部材500Eに取りつける手間も省けるので、作業性が向上するのである。そして、蓋部材500Eが上方に取り外されそうになっても、各羽板部材510Eが隣接する蓋体900Eに係止するので、蓋部材500Eが蓋体900Eに固定された状態を維持でき、蓋部材500Eが埋設構造物800から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。
【0066】
なお、蓋本体部400Eを梁部材300Eに固定するタイミングは、梁部材300Eを埋設構造物800に設置する前でも後でもいつでもよく、任意のタイミングでよい。また、蓋部材500Eと、両側の蓋体900Eを埋設構造物800に設置する手順は、上記手順に限定されず、任意の手順に従ってもよい。ただし、蓋部材500Eを設置する前に、両側の蓋体900Eが埋設構造物800に既に設置されている場合は、蓋部材500Eの設置時に羽板部材510Eが蓋体900Eに干渉する虞がある。そのため、片方の羽板部材510Eのみを着脱可能に固定できるように構成し、蓋部材500Eを設置した後に、片方の羽板部材510Eを後付けすることになる。また、蓋部材500Eの両側の梁部材300Eに、羽板部材510Eの態様の固定部材を取り付けているが、これに限定されず、片側の梁部材300Eのみに固定部材を取り付けてもよい。また、蓋部材500Eを隣接する蓋体900Eに固定するために、羽板部材510Eの態様の固定部材を利用しているが、これに限定されず、蓋体900の下面に宛がい係止させて、蓋部材500Eを蓋体900Eに固定できるのであれば、固定部材は、棒状や板状など任意の形状であってもよい。
【0067】
<実施形態7>
次に、図14には、本願発明の実施形態7に係る蓋部材500Fを示す。なお、実施形態7の蓋部材500Fに係る構成は、実施形態1に係る蓋部材500と、羽板部材510Eの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋部材500と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図14(a)は、蓋体900E及び羽板部材510Eの斜視図、図14(b)は、図7(b)と同様に、蓋部材500Fを埋設構造物800に取り付けた状態の断面図である。
【0068】
図14(a)に示すように、蓋部材の種類によっては、蓋体900Fの底面に窪み910Fが形成されている場合がある。そのため、羽板部材510Fの端部512Fには、窪み910Fを埋めて、当該窪み910Fの上面911Fに当接可能な当接部520Fが設けられている。当接部520Fは、端部512Fから上方へ向けて突出しており、上面911Fに安定的に当接できるように、上端は平坦面521Fとなっている。さらに、端部512Fの反対側の端部511Fには、端部511Fから上方へ向けて延びる板状の延出部530Fが設けられており、その延出部530Fには、上下方向へ延びる縦長の固定孔531Fが形成されている。
【0069】
そして、図14(b)に示すように、梁部材300Fの内側の側壁220Fに設けられた貫通孔221Fと、羽板部材510Fの固定孔531Fを重ねて、ボルト516Fの先端部分を挿通させる。そして、固定孔531Fから飛び出たボルト516Fの先端部分に、ナット517Fを螺合させて、しっかりと締め付ければ、羽板部材510Fは梁部材300Eに着脱可能に固定された状態となる。また、固定孔531Fは、上下方向へ延びる縦長の形状であるため、羽板部材510Fの当接部520Fが蓋体900Fの窪み910Fの上面911Fにしっかりと当接するように、羽板部材510Fの取り付け位置を上下方向に調節できる。そして、蓋部材500Fが上方に取り外されそうになっても、羽板部材510Fの当接部520Fが蓋体900Fの窪み910Fに係止するので、蓋部材500Fが蓋体900Fに固定された状態を維持でき、蓋部材500Fが埋設構造物800から不用意に外されないので盗難防止等に効果的である。
【0070】
なお、本願発明の蓋部材、及び蓋部材の設置方法は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
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