(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022859
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】圧縮成形装置及び圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230209BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20230209BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/18
B29C43/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127895
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 茂行
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA39
4F204AD19
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ40
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA22
5F061DA01
5F061DE02
(57)【要約】
【課題】搬送中における樹脂の位置ずれに起因して、基材上に搭載される電子部品等に変形が生じることを防止でき、且つ、成形品質にばらつきが生じることを防止できる圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、電子部品Wbが搭載された基材Waをブロック状の樹脂Rにより封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、樹脂Rを基材Waの所定位置に溶着させる樹脂溶着機構110を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、
前記樹脂を前記基材の所定位置に溶着させる樹脂溶着機構を備えること
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記樹脂溶着機構は、
前記基材を加熱する基材加熱部と、
所定温度に加熱された状態の前記基材の所定位置に前記樹脂を載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部と、を備えること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記樹脂溶着機構は、
前記樹脂を加熱する樹脂加熱部と、
所定温度に加熱された状態の前記樹脂を、前記基材の所定位置に載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部と、を備えること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径および深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂が用いられること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径および深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を含む、複数個の樹脂が用いられること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、
前記樹脂を前記基材の所定位置に溶着させる樹脂溶着工程を備えること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項7】
前記樹脂溶着工程は、
前記基材を加熱する基材加熱工程と、
所定温度に加熱された状態の前記基材の所定位置に前記樹脂を載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧工程と、を備えること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【請求項8】
前記樹脂溶着工程は、
前記樹脂を加熱する樹脂加熱工程と、
所定温度に加熱された状態の前記樹脂を、前記基材の所定位置に載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧工程と、を備えること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【請求項9】
前記樹脂溶着工程は、
円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径および深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設された前記樹脂を、前記収容凹部もしくは収容孔内に前記電子部品が収容されるようにして前記基材に被嵌する工程と、
前記基材における前記電子部品を囲う位置に、前記樹脂の下面における前記収容凹部もしくは収容孔の外縁部を溶着させる工程と、を備えること
を特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の圧縮成形方法。
【請求項10】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、
前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径および深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を用いて、
前記封止金型内において、前記樹脂を前記基材の所定位置に載せて圧縮成形すること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項11】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基板を樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、
前記樹脂として、所定の厚みを有する板状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径および深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を用いること
を特徴とする圧縮成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置及び圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、基材(具体的には、リードフレーム)上に電子部品(具体的には、半導体チップ)がワイヤーボンドされたワークを樹脂で挟み込んで成形する技術が知られている(特許文献1:特開平9-008179号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-008179号公報
【特許文献2】特開2004-179284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、上型にキャビティを備える封止金型を用いて、基材(通常の樹脂基板等)に電子部品がワイヤーボンドされたワークを圧縮成形する場合には、樹脂(例えば、顆粒状や液状等の樹脂)を基材上に載置して封止金型内に搬送する技術が知られている。その際、樹脂の移動(位置ずれ)が生じることにより、当該樹脂がワークのワイヤーに接触して、当該ワイヤーを変形させてしまうという課題が生じ得る。これに対し、封止金型内に基材を搬入した後で、当該基材上に樹脂を載置する技術も知られている(特許文献2:特開2004-179284号公報における第2の実施形態及び
図4、
図5参照)。ただし、この技術を実施する場合にも、樹脂がワークのワイヤーに接触して、当該ワイヤーを変形させてしまうという課題は同様に生じ得る。
【0006】
また、基材上に複数の電子部品がマトリクス状に配置されたワークを圧縮成形する場合には、各電子部品に対して個々の樹脂を載置する技術が知られている。その際、封止金型内に基材を搬入した後で当該基材上に樹脂を順に載置すると、工程初期の樹脂と工程後期の樹脂とでは、加熱された封止金型からの熱による熱履歴が相違して、成形品質にばらつきが生じてしまうという課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、搬送中における樹脂の位置ずれに起因して、基材上に搭載される電子部品等に変形が生じることを防止でき、且つ、成形品質にばらつきが生じることを防止できる圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
一実施形態に係る圧縮成形装置は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、前記樹脂を前記基材の所定位置に溶着させる樹脂溶着機構を備えることを要件とする。
【0010】
これによれば、ワーク及び樹脂を封止金型内へ搬送する際に、樹脂を基材の所定位置に溶着させた状態とすることができる。したがって、搬送する際に樹脂が基材上で位置ずれを起こして、電子部品(例えば、ワイヤーボンドされた箇所等)に接触し、変形させてしまうという課題の解決を図ることができる。
【0011】
また、基材上に複数の電子部品がマトリクス状に配置されたワークを圧縮成形する場合において、封止金型内へワークを搬送する前の段階で、基材上の各電子部品に対して個々の樹脂を載置(本実施形態においては、溶着)した状態とすることができる。したがって、封止金型内に基材を搬入した後で順に樹脂を載置した場合に生じ得る、熱履歴の相違による成形品質のばらつきという課題の解決を図ることができる。尚、基材上に樹脂を載置する工程と、プレス工程(型閉じを行う工程)とを並行して行うことができるため、タクトへの影響もない。
【0012】
更に、リードフレーム等のように孔の開いた基材が用いられたワークを圧縮成形する場合において、基材上に樹脂を保持した状態で封止金型内へ搬送する樹脂供給方法の実現を図ることができる。
【0013】
前記樹脂溶着機構は、前記基材を加熱する基材加熱部と、所定温度に加熱された状態の前記基材の所定位置に前記樹脂を載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部と、を備えることが好ましい。これによれば、樹脂硬化温度よりも低温に加熱した基材へ樹脂を載せることで、樹脂の表面が溶融して基材に貼り付く作用が得られるため、孔の開いた基材上へ樹脂を固定することができる。
【0014】
また、前記樹脂溶着機構は、前記樹脂を加熱する樹脂加熱部と、所定温度に加熱された状態の前記樹脂を、前記基材の所定位置に載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部と、を備えることが好ましい。これによれば、樹脂硬化温度よりも低温に加熱した樹脂を基材へ載せることで、樹脂の表面が溶融して基材に貼り付く作用が得られるため、孔の開いた基材上へ樹脂を固定することができる。
【0015】
また、前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径及び深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂が用いられることが好ましい。これによれば、電子部品を上から覆い、且つ電子部品の周囲を囲う配置で、基材上に樹脂を溶着させることができる。
【0016】
また、前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径及び深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を含む、複数個の樹脂が用いられるこが好ましい。これによれば、ワークの種類(特に、形状等)に応じて、樹脂配置が最適となるように細かな調整ができる。
【0017】
また、一実施形態に係る圧縮成形方法は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、前記樹脂を前記基材の所定位置に溶着させる樹脂溶着工程を備えることを要件とする。
【0018】
また、他の実施形態に係る圧縮成形方法は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基材をブロック状の樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、前記樹脂として、円柱状もしくは角柱状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径及び深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を用いて、前記封止金型内において、前記樹脂を前記基材の所定位置に載せて圧縮成形することを要件とする。これによれば、封止金型内において樹脂を基材に載せるため、封止金型内へワークを搬送する前の段階で載せておく場合と比べて、搬送中の樹脂の位置ずれという問題が生じない。したがって、成形品質が悪化することを防止できる。
【0019】
また、他の実施形態に係る圧縮成形方法は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、電子部品が搭載された基板を樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、前記樹脂として、所定の厚みを有する板状であって、下面に前記電子部品を収容可能な内径及び深さの収容凹部もしくは収容孔が穿設されている樹脂を用いることを要件とする。これによれば、基材上に複数の電子部品がマトリクス状等の配置で実装されたワークを圧縮成形する場合等において、板状の樹脂を用いて、一回の動作で基材上に当該樹脂を載置することができるため、工程の簡素化と時間短縮が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワークを搬送する際に樹脂が基材上で位置ずれを起こして電子部品等を変形させてしまうという課題の解決を図ることができる。更に、基材上に複数の電子部品が実装されたワークに対して、当該ワークを封止金型内へ搬送する前に、対応する樹脂を搭載することにより、樹脂の熱履歴の相違による成形品質のばらつきという課題の解決を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【
図2】
図1の圧縮成形装置の封止金型の例を示す断面図である。
【
図3】
図1の圧縮成形装置により圧縮成形を行うワークの例を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る圧縮成形方法の例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の他の例を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態において用いられる樹脂の例を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態において用いられる樹脂の他の例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態において用いられる樹脂の他の例を示す側面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る圧縮成形方法の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。また、
図2は、圧縮成形装置1の封止金型202の例を示す側面断面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0023】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wを樹脂封止する装置である。以下、圧縮成形装置1として、樹脂Rが載置されたワークWを下型206で保持し、上型204に設けられたキャビティ208(金型面204aを一部含む)をリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)Fで覆って、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、樹脂RでワークWを樹脂封止する圧縮成形装置を例として説明する。
【0024】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、リードフレーム、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、ウェハ等の板状であって長方形状(円形状でもよい)に形成された部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、コンデンサ、コイル、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。
【0025】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品から基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼り付ける方法もある。
【0026】
ここで、ワークWの一例を
図3に示す。当該ワークWは、基材Waとしてリードフレームが、電子部品Wbとして半導体チップがそれぞれ用いられ、基材(リードフレーム)Waのダイパッドp上に電子部品(半導体チップ)Wbがワイヤボンディング実装によってマトリクス状(行列状)に搭載されている(ワイヤーは不図示)。ただし、実装方法はこれに限定されるものではなく、フリップチップ実装等、他の方法を用いてもよい。ここで、樹脂封止されるパッケージのサイズに関しては、パッケージの幅L1が、二つ(
図3中の左右二つ)のダムバーb、b間の寸法よりも小さく規定され、パッケージの長さL2が、二つ(
図3中の上下二つ)の吊りピンh、h間の寸法よりも小さく規定される。尚、従来のリードフレームと同様に、板面には所定の貫通孔が多数形成されている。
【0027】
次に、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、変形例として、短冊状のフィルムが用いられる構成としてもよい(不図示)。
【0028】
ここで、本実施形態に係る樹脂Rには、ブロック状(塊状)に形成された熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる(詳細は後述する)。一例として、樹脂Rの硬化温度は100~200℃程度、表面部分の溶融開始温度は60℃程度となっている。尚、樹脂Rはこれに限定されるものではなく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0029】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。
図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークW及び樹脂Rを供給する供給ユニット100Aと、フィルムFを供給及び収納(廃棄)すると共にワークWを樹脂封止して成形品へ加工するプレスユニット100Bと、樹脂封止後の成形品を収納する収納ユニット100Cとを主要構成として備えている。尚、本実施形態においては、上型204にキャビティ208を有し、下型206で基材Wa上に樹脂Rが載置されたワークWを保持し、型閉じを行って成形品を得る構成を例に挙げて説明する。ただし、この構成に限定されるものではない。
【0030】
本実施形態においては、供給ユニット100A、プレスユニット100B、及び収納ユニット100Cが、左右方向において、左からその順に並設されている。尚、各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール100Dが直線状に設けられており、ワークW及び樹脂Rを搬送する第1ローダ210、並びに、成形品を搬送する第2ローダ212が、ガイドレール100Dに沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。
【0031】
尚、圧縮成形装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、
図1に示す構成は、プレスユニット100Bを二台設置した例であるが、プレスユニット100Bを一台のみ設置する、あるいは三台以上設置する構成等も可能である。また、他のユニットを設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0032】
(供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える供給ユニット100Aについて説明する。
【0033】
供給ユニット100Aは、複数のワークWが収納される供給マガジン102と、供給マガジン102から供給されたワークWを載置する準備テーブル104とを備えている。尚、供給マガジン102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。また、供給マガジン102から準備テーブル104へのワークWの供給(搬送)手段として、公知のプッシャや搬送レール等が設けられている(不図示)。
【0034】
次に、供給ユニット100Aは、複数のブロック状樹脂Rを収納すると共に、これを供給する樹脂供給部106と、ワークWにおける基材Waの所定位置に樹脂Rを溶着させる樹脂溶着機構110とを備えている(詳細は後述する)。
【0035】
次に、供給ユニット100Aは、ワークW及び樹脂Rを搬送する第1ローダ210を備えている。当該第1ローダ210は、その下面にワークWの保持機構を有している。一例として、当該保持機構には、公知の機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0036】
ここで、本実施形態に係る樹脂溶着機構110の例として、
図1において符号110Aで示すように、ワークWを保持して当該ワークW(具体的には、基材Wa)を所定温度(樹脂Rが完全に溶融しない温度(例えば、60℃))に加熱する基材加熱部112と、所定温度に加熱された状態の基材Waの所定位置に樹脂Rを載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部114とを有して構成されている。一例として、基材加熱部112は、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられて基材Waを加熱する構成となっている。尚、この基材加熱部112とは別に、ワークWを封止金型202内に搬送する前に予備加熱する予熱ヒータを有する構成としてもよい(不図示)。
【0037】
一方、搬送押圧部114は、樹脂供給部106から供給(搬送)されたブロック状の樹脂Rを把持して、水平方向及び鉛直方向に移動可能に構成されている。したがって、搬送押圧部114により樹脂Rを把持して、所定温度に加熱された状態の基材Waに押圧させ、当該樹脂Rを基材Waの所定位置に溶着させることができる。ここで、樹脂Rを基材Waの所定位置(電子部品Wbの周囲のダイパッドp上等)に溶着させる前の図を
図4(a)に、溶着させた後の図を
図4(b)にそれぞれ示す。
【0038】
上記の構成によれば、樹脂硬化温度よりも低温に加熱した基材Waへ樹脂Rを載置することで、樹脂Rの表面が溶融して基材Waに貼り付く作用が得られる。したがって、リードフレームに例示されるように板面に貫通孔を有する基材Waが用いられたワークWであっても、当該ワークW上(すなわち、基材Wa上)に樹脂Rを載置して、固定(溶着)させることができる。さらに、そのような貫通孔を有するワークWを圧縮成形する場合であっても、貫通孔を有しないワークの場合と同様に、ワークW上(基材Wa上)に樹脂Rを保持した状態で封止金型202内へ搬送する樹脂供給方法の実現を図ることができる。
【0039】
また、ワークW及び樹脂Rを封止金型202内へ搬送する際に、樹脂Rを基材Waの所定位置に溶着させた状態とすることによって、以下の課題解決が可能となる。具体的に、搬送する際に樹脂Rが基材Wa上で位置ずれを起こして、電子部品Wb(特に、基材Wa上にワイヤーボンドされた電子部品Wbのワイヤー部分等)に接触し、変形させてしまうという課題の解決を図ることができる。更に、封止金型202内へワークWを搬送する前の段階で、基材Wa上の各電子部品Wbに対して個々の樹脂Rを載置(本実施形態においては、溶着)した状態とすることができる。したがって、封止金型202内に基材Waを搬入した後で順に樹脂Rを載置した場合に生じ得る、熱履歴の相違による成形品質のばらつきという課題の解決を図ることができる。また、基材Wa上に樹脂Rを載置する工程と、プレス工程(型閉じを行う工程)とを並行して行うことができるため、タクトへの影響もない。
【0040】
尚、樹脂溶着機構110の他の例として、
図5において符号110Bで示すように、樹脂Rを所定温度(樹脂Rが完全に溶融しない温度(例えば、60℃))に加熱する樹脂加熱部116と、所定温度に加熱された状態の当該樹脂Rを、テーブル118上に保持されたワークW(具体的には、基材Wa)の所定位置に載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧部114とを有する構成としても良い。この構成によれば、樹脂硬化温度(一例として、前述の100~200℃程度)よりも低温(一例として、前述の60℃程度)に加熱した樹脂Rを基材Waへ載せることで、樹脂Rの表面が溶融して基材Waに貼り付く作用が得られるため、基材Wa上へ樹脂Rを固定することができる。したがって、前述の構成例と同様の効果を得ることができる。
【0041】
ここで、本実施形態に係る樹脂Rとして、
図6(
図6(a)は上面側斜視図、
図6(b)は下面側斜視図)に示すように、円柱状であって、下面に電子部品Wbを収容可能な内径及び深さの非貫通状の収容凹部(もしくは貫通状の収容孔)Raが穿設されている樹脂が好適に用いられる。具体的に、樹脂Rは、収容凹部(もしくは収容孔)Raの平面視内径寸法が、電子部品Wbの平面視外径寸法よりも大きくなるように構成されている。尚、円柱状に代えて、
図7(
図7(a)は上面側斜視図、
図7(b)は下面側斜視図)に示すように、角柱状の構成としてもよい。電子部品Wbの形状によっては、収容凹部Raの形状も電子部品Wbと同じ形状の方が好ましく、例えば四角形状の電子部品Wbの場合は収容凹部Raの底面の平面形状も四角形状の方が好ましい。これらの構成によれば、電子部品Wbを上から覆い、且つ電子部品Wbの周囲を囲う配置で、基材Wa上に樹脂Rを溶着させることができる。したがって、電子部品Wbの変形や位置ずれを発生させることなく、且つ、電子部品Wbの周囲に必要量の樹脂を均等に供給できるため、成形品の品質を向上させることができる。
【0042】
更に、樹脂Rの変形例として、
図8(側面図)及び
図9(
図8におけるIX-IX線断面図)に示すように、基材Waに溶着させる下面に凹溝Rb(すなわち、基材Waの上面と当接しない領域となる)を設ける構成としてもよい。これにより、上型204と下型206とでワークWをクランプし、樹脂Rを加熱加圧してワークWの樹脂封止(圧縮成形)を行う際に、収容凹部(もしくは収容孔)Raの内部の空気を、凹溝Rbを通過させて排出し易くすることができる。したがって、残留空気が気泡として成形品に包含される成形不良の発生を防止することができる。
【0043】
尚、本実施形態においては、上記の構成を備える樹脂Rを一つ用いる構成としている。ただし、これに限定されるものではなく、上記樹脂Rと更に別の樹脂との、複数の樹脂を用いる構成としてもよい(不図示)。これにより、ワークWの種類(特に、形状等)に応じて、樹脂配置が最適となるように細かな調整を行うことが可能となる。
【0044】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Bについて説明する。
【0045】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。尚、封止金型202には、公知の構成を採用することができる。
【0046】
本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。この封止金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0047】
尚、封止金型202の型開閉を行う型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、ボールネジやトグルリンク機構)等を備えて構成されている(いずれも不図示)。
【0048】
ここで、封止金型202は、上記の型開閉機構における一対のプラテン間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン(連結機構に固定されるプラテン)に組み付けられ、下型206が可動プラテン(連結機構に沿って昇降するプラテン)に組み付けられている(不図示)。ただし、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい。
【0049】
次に、封止金型202の上型204について説明する。
図2に示すように、上型204は、上プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備えて構成されている。本実施形態においては、上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。尚、本実施形態においては、基材Wa上に複数の電子部品Wbが配設されたワークWを一括して樹脂封止する場合を例に挙げており、当該電子部品Wbの配置に対応させてキャビティ208が複数設けられる構成となっている。ただし、この構成に限定されるものではなく、各基材Waに一つの電子部品Wbが搭載されたワークを封止対象として、キャビティが一つ設けられる構成とする場合もある(不図示)。
【0050】
ここで、キャビティ208周辺の具体的な構成例として、キャビティ駒226は、キャビティブロック234を介して上プレート222の下面に固定して組み付けられている。なお、キャビティ駒226とキャビティブロック234とは一体物であってもよい。一方、クランパ228はキャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、上プレート222の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられている。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。ここで、キャビティ駒226は、平面視外径寸法が、キャビティ208の平面視外径寸法よりも小さくなるように構成されている。
【0051】
また、本実施形態においては、フィルム供給機構250(後述)から供給されるフィルムFを上型204に吸引保持する吸着機構が設けられている(不図示)。これにより、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、制御部、電源等(いずれも不図示)を備えており、加熱及びその制御が行われる。一例として、ヒータは、上プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0053】
また、本実施形態においては、ロール状でシート面に開口(孔)の無いフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構250が設けられている。このフィルム供給機構250は、巻出し部252及び巻取り部254を備え、巻出し部252から巻取り部254へフィルムFを搬送する構成となっている。これにより、巻出し部252と巻取り部254との間に配置される封止金型202にフィルムFが供給される。
【0054】
次に、封止金型202の下型206について説明する。
図2に示すように、下型206は、下プレート224、プレート238等を備えて構成されている。ここで、プレート238は、下プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0055】
また、本実施形態においては、ワークWをプレート238の上面における所定位置に保持するワーク保持機構が設けられている。このワーク保持機構は、一例として、プレート238及び下プレート224を貫通して配設された吸引路を介して吸引装置に連通している(不図示)。これにより、金型面206a(ここでは、プレート238の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。尚、ワーク保持機構として、上記の吸着させる機構に代えて、もしくは当該機構と共に、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0056】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、制御部、電源等(いずれも不図示)を備えており、加熱及びその制御が行われる。一例として、ヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0057】
(収納ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える収納ユニット100Cについて説明する。
【0058】
収納ユニット100Cは、樹脂封止された成形品を載置する収納テーブル304と、複数の成形品が収納される収納マガジン302とを備えている。尚、収納マガジン302には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。また、収納テーブル304から収納マガジン302への成形品の収納(搬送)手段として、公知のプッシャや搬送レール等が設けられている(不図示)。
【0059】
次に、収納ユニット100Cは、成形品を搬送する第2ローダ212を備えている。当該第2ローダ212は、その下面に成形品の保持機構を有している。一例として、当該保持機構には、公知の機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0060】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について説明する。ここでは、基材Wa(一例として、リードフレーム)上に、複数の電子部品Wb(一例として、半導体チップ)がマトリクス状に搭載(実装)されたワークWを下型206に保持し、一括して樹脂封止を行う場合を例に挙げる。
【0061】
先ず、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。
【0062】
次いで、供給マガジン102からワークWを供給して、準備テーブル104上に載置する工程を実施する。当該工程と前後して、フィルム供給機構250によって巻出し部252から巻取り部254へフィルムFを搬送し(送り出し)、封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給して、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持させる工程を実施する。
【0063】
次いで、樹脂供給部106から複数の樹脂Rを供給する工程と、ワークWにおける基材Waの所定位置に当該樹脂Rを溶着させる樹脂溶着工程とを実施する。ここで、本実施形態に係る樹脂溶着工程の一例として、基材Waを所定温度(樹脂Rが完全に溶融しない温度(例えば、60℃))に加熱する基材Wa加熱工程と、所定温度に加熱された状態の基材Waの所定位置に樹脂Rを載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧工程とを備えて実施する(
図4参照)。これにより、樹脂Rを基材Waの所定位置に溶着させた状態とすることができる。したがって、前述の通り、基材Waとしてリードフレーム等が用いられる場合においても、ワークW上に樹脂Rを載置して封止金型202内へ搬送することができる。また、搬送中等の樹脂Rの位置ずれを防止できるため、特にワイヤー付製品の樹脂封止において、ワイヤーへのダメージを防ぎ、成形品質を良好に保つことができる。
【0064】
ここで、上記の樹脂溶着工程は、円柱状もしくは角柱状であって、下面に電子部品Wbを収容可能な内径及び深さの収容凹部(もしくは収容孔)Raが穿設された樹脂Rを、収容凹部(もしくは収容孔)Ra内に電子部品Wbが収容されるようにして基材Waに被嵌する工程と、基材Waにおける電子部品Wbを囲う位置に、樹脂Rの下面における収容凹部(もしくは収容孔)Raの外縁部を溶着させる工程とを備えることが好適である。これにより、電子部品Wbを上から覆い、且つ電子部品Wbの周囲を囲う配置で、基材Wa上に樹脂Rを溶着させることができる。
【0065】
尚、樹脂溶着工程の他の例として、樹脂Rを所定温度(樹脂Rが完全に溶融しない温度(例えば、60℃))に加熱する樹脂加熱工程と、所定温度に加熱された状態の樹脂Rを、基材Waの所定位置に載置すると共に押圧して溶着させる搬送押圧工程とを備えて実施してもよい。この構成によっても、前述の構成例と同様の効果を得ることができる。
【0066】
次いで、第1ローダ210によって、樹脂Rが溶着された状態のワークWを封止金型202内へ搬送し、下型206の所定位置に保持する工程を実施する。尚、第1ローダ210によるワークWの封止金型202内への搬送前に、更に、ワークWを予熱する工程を備えて実施してもよい。
【0067】
これ以降の工程は、従来の圧縮成形方法と同様であって、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とで二つのワークWをクランプし、ワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する工程を実施する。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する。次いで、封止金型202の型開きを行い、成形品と使用済みフィルムFとを分離する工程を実施する。次いで、第2ローダ212によって、成形品を封止金型202内から搬送する工程を実施する。また、フィルム供給機構250によって、巻出し部252から巻取り部254へフィルムFを搬送することにより、使用済みフィルムFを送り出す工程(フィルム排出工程)を実施する。
【0068】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。ただし、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、複数(一例として二台)のプレスユニットを備える圧縮成形装置を用いているため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0069】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、樹脂Rの供給工程において相違点を有している。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0070】
前述の第1の実施形態においては、ワークWを封止金型202内へ搬送するよりも前の段階で、ワークWにおける基材Waの所定位置に樹脂Rを溶着させる樹脂溶着工程を実施する構成であった。これに対し、本実施形態においては、ワークWを封止金型202内へ搬送して、所定位置(具体的には、下型206における所定位置)にワークWを保持した状態とした後、当該封止金型202内において、樹脂RをワークW(具体的には、基材Wa)の所定位置に載せる工程を実施する。次いで、型閉じをして圧縮成形する構成である。尚、樹脂Rの構成(形態)に関しては、第1の実施形態と同様である。
【0071】
これによれば、封止金型202内において樹脂Rを基材Waに載せるため、封止金型202内へワークWを搬送する前の段階で載せておく場合と比べて、搬送中の樹脂Rの位置ずれという問題が生じない。したがって、樹脂Rの位置ずれに起因して生じ得るワークW(特に、ワイヤー等)の変形を防止することができる。尚、上記の樹脂Rを載せる(載置する)工程に関して、溶着が必須構成ではないため、溶着させるための加熱機構や工程、及び押圧機構や工程が不要となり、装置及び工程のいずれにおいても簡素化を図ることができる。
【0072】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第1、第2の実施形態と比較して、用いられる樹脂Rの構成において相違点を有している。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0073】
前述の第1の実施形態においては、樹脂Rとして、円柱状もしくは角柱状であって、下面に電子部品Wbを収容可能な内径及び深さの収容凹部(もしくは収容孔)Raが穿設されている樹脂Rを用いる構成であり、電子部品Wb一つに対して樹脂Rも一つであった。これに対し、所定の厚みを有する板状であって、下面に電子部品Wbを収容可能な内径及び深さの収容凹部(もしくは収容孔)Raが穿設されている樹脂Rを用いる構成である。
【0074】
具体的な動作例として、複数の電子部品Wbが、対応する複数の収容凹部(もしくは収容孔)Ra内にそれぞれ収容されるようにして、当該樹脂Rが基材Waに載置される。ここで、樹脂Rを基材Waに載置させる前の図を
図10(a)に、載置させた後の図を
図10(b)にそれぞれ示す。尚、前述の第1の実施形態と同様の樹脂溶着機構を用いて、当該樹脂Rを基材Waに溶着させてもよい。なお、収容凹部(もしくは収容孔)Raは個々の電子部品Wbに相対して個々設けられていてもよく、複数個の電子部品Wbに対して一つの収容凹部(もしくは収容孔)Raが設けられていてもよい。
【0075】
これによれば、例えば、基材Wa上に複数の電子部品Wbがマトリクス状に配置されたワークWを圧縮成形する場合等において、板状の樹脂Rを用いて、一回の動作で基材Wa上に当該樹脂Rを載置することができるため、工程の簡素化と時間短縮が可能となる。
【0076】
以上、説明した通り、本発明によれば、ワークを搬送する際に樹脂が基材上で位置ずれを起こして電子部品等を変形させてしまうという課題の解決を図ることができる。また、基材上に複数の電子部品が実装されたワークに対して、当該ワークを封止金型内へ搬送する前に、対応する樹脂を搭載する構成を更に備えれば、樹脂の熱履歴の相違による成形品質のばらつきという課題の解決を図ることができる。したがって、成形品質の安定化(高品質の維持)を図ることができる。
【0077】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、上記の実施形態では、上型に複数のキャビティを設ける構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、上型に一つのキャビティを設ける構成にも適用可能である。
【0078】
また、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形装置にも適用可能である。その場合には、ワークの下面に対して落下しないように樹脂を溶着させて封止金型内へ搬送し、上型の所定位置に保持させる構成とすればよい。
【0079】
また、上記の実施形態においては、基材に電子部品がワイヤボンディング実装によって搭載されたワークを例に挙げて説明したが、基材に電子部品がフリップチップ実装によって搭載されたワークにも適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 圧縮成形装置
110 樹脂溶着機構
112 基材加熱部
114 搬送押圧部
116 樹脂加熱部
202 封止金型
R 樹脂
W ワーク