(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022872
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】故障判定装置
(51)【国際特許分類】
F02M 26/49 20160101AFI20230209BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20230209BHJP
B60W 20/16 20160101ALI20230209BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20230209BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F02M26/49 301
B60K6/46
B60W20/16
F02D29/06 D
F02D29/02 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127924
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 徹
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕昭
【テーマコード(参考)】
3D202
3G062
3G093
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB09
3D202DD20
3G062BA00
3G062CA01
3G062EC15
3G062GA01
3G062GA06
3G062GA27
3G093AA07
3G093BA04
3G093CA01
3G093DA01
3G093DA09
3G093DB20
3G093DB28
3G093EA00
3G093EA02
(57)【要約】
【課題】故障判定装置に関し、エンジンの燃焼安定性を維持しながらEGRシステムの故障判定の精度を改善する。
【解決手段】開示の故障判定装置20は、ジェネレータ2に発電させるための駆動力を出力するエンジン1に適用されるEGRシステム6の故障判定装置であって、エンジン1からジェネレータ2に伝達されるエンジントルクAを算出する第一算出手段21と、ジェネレータ2で電力に変換される吸収トルクBを算出する第二算出手段22と、エンジントルクAと吸収トルクBとを比較して、EGRシステム6の排気還流路に介装されるEGR弁7の故障判定を実行する判定手段23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェネレータに発電させるための駆動力を出力するエンジンに適用されるEGRシステムの故障判定装置であって、
前記エンジンから前記ジェネレータに伝達されるエンジントルクを算出する第一算出手段と、
前記ジェネレータで電力に変換される吸収トルクを算出する第二算出手段と、
前記エンジントルクと前記吸収トルクとを比較して、前記EGRシステムの排気還流路に介装されるEGR弁の故障判定を実行する判定手段と、
を備えることを特徴とする、故障判定装置。
【請求項2】
前記判定手段が、前記EGR弁の全閉指示状態において、前記エンジントルクと前記吸収トルクとの偏差の絶対値が所定偏差以上である場合に、前記EGR弁が閉じ指令に対して閉作動しない開故障している可能性があると判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の故障判定装置。
【請求項3】
前記判定手段が、前記EGR弁の全閉指示状態において、前記エンジントルクと前記吸収トルクとの偏差の絶対値が所定偏差未満である場合に、前記EGR弁が開き指令に対して開作動しない閉故障している可能性があると判定する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の故障判定装置。
【請求項4】
前記判定手段が、請求項2に記載の条件が成立した場合に、EGR開度を変化させることで生じる前記吸収トルクの変化量に基づいて前記EGR弁の故障判定を実行する
ことを特徴とする、請求項2に記載の故障判定装置。
【請求項5】
前記判定手段が、請求項4に記載の故障判定に際し、スロットル開度を保持した状態で前記EGR開度を変更させる
ことを特徴とする、請求項4に記載の故障判定装置。
【請求項6】
前記判定手段が、請求項5に記載の故障判定に際し、前記変化量の絶対値が所定変化量未満である場合に、前記EGR弁が開故障していると判定する
ことを特徴とする、請求項5に記載の故障判定装置。
【請求項7】
前記判定手段が、請求項5に記載の故障判定に際し、前記変化量の絶対値が所定変化量以上である場合に、直前に実施した故障判定を誤判定として取り消す
ことを特徴とする、請求項5または6に記載の故障判定装置。
【請求項8】
前記エンジン及び前記ジェネレータが、ハイブリッド車両に搭載されるとともに、
前記判定手段が、前記ハイブリッド車両の外部給電中に前記エンジンが始動したときに、前記EGR弁の故障判定を強制的に実行する
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の故障判定装置。
【請求項9】
前記エンジン及び前記ジェネレータが、クラッチを介してモータ及び駆動輪に接続されるハイブリッド車両に搭載され、
前記ハイブリッド車両が、前記エンジン及び前記ジェネレータと前記モータ及び前記駆動輪とを切り離して走行するシリーズモードを選択可能であり、
前記判定手段が、前記シリーズモード中に前記故障判定を実行する
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の故障判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェネレータに発電させるための駆動力を出力するエンジンに適用されるEGRシステムの故障判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジェネレータに発電させるための駆動力を出力するエンジンが適用される装置の一例として、エンジンとモータとジェネレータとを搭載したシリーズ・パラレル式のハイブリッド車両が知られている(特許文献1参照)。この種のハイブリッド車両では、運転状態に応じて駆動源が使い分けられ、あるいは併用される。例えば、発進時や低速走行時には、低回転域でのトルクが大きいモータのみが使用される(EVモード)。一方、バッテリ充電率の低下時や加速走行時には、モータの駆動力で走行しつつエンジンの駆動力によるジェネレータでの発電が実施される(シリーズモード)。また、エンジン効率の良い高速走行時には、エンジンの駆動力が主力として使用され、モータの駆動力は補助的に使用される(パラレルモード,ENGモード)。
【0003】
また、上記のようなエンジンに適用されるEGRシステムの故障判定に関し、EGR弁を開閉させたときの吸気圧力の変化からEGR弁の固着を検出する技術が知られている。例えば、EGR弁の開度を変化させたときの吸気圧力の変化を算出し、その変化量が閾値よりも小さい場合にEGR弁が固着しているものと判定することが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-088070号公報
【特許文献2】特開2010-196684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸気圧力の変化に基づく故障判定の精度を向上させるためには、EGRガスを大量に還流させる必要がある。そのため、エンジンの作動状態によっては、故障判定を実施することで燃焼安定性が低下しやすくなってしまう課題がある。特に、シリーズ・パラレル式のハイブリッド車両では、エンジンの燃焼状態の変化によってジェネレータでの発電量が不安定となり、バッテリ充電量の予測精度や航続可能距離の推定精度に悪影響を及ぼすおそれが生じる。なお、上記のようなハイブリッド車両に限らず、EGRシステムの故障判定に際してエンジンの燃焼安定性を低下させることは、可能な限り避けたい。
【0006】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、エンジンの燃焼安定性を維持しながらEGRシステムの故障判定精度を改善できるようにした故障判定装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件は、以下に開示する態様又は適用例として実現できる。開示の故障判定装置は、上記の課題の少なくとも一部を解決する。
ジェネレータに発電させるための駆動力を出力するエンジンに適用されるEGRシステムの故障判定装置であって、
前記エンジンから前記ジェネレータに伝達されるエンジントルクを算出する第一算出手段と、
前記ジェネレータで電力に変換される吸収トルクを算出する第二算出手段と、
前記エンジントルクと前記吸収トルクとを比較して、前記EGRシステムの排気還流路に介装されるEGR弁の故障判定を実行する判定手段と、
を備えることを特徴とする、故障判定装置。
【発明の効果】
【0008】
開示の故障判定装置によれば、エンジンの燃焼安定性を維持しながらEGRシステムの故障判定精度を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例としての故障判定装置を説明するためのブロック図である。
【
図2】故障判定の原理を説明するためのグラフである。
【
図3】故障判定に係るフローチャート(診断フロー)である。
【
図4】故障判定に係るフローチャート(診断フローの続き)である。
【
図5】故障判定に係るフローチャート(診断フローの続き)である。
【
図7】他の故障判定に係るフローチャート(第二診断フロー)である。
【
図8】他の故障判定に係るフローチャート(第二診断フローの続き)である。
【
図9】他の故障判定に係るフローチャート(第二診断フローの続き)である。
【
図10】
図9に示すフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.車両]
実施例としての故障判定装置20は、
図1に示す車両10に適用される。この車両10は、エンジン1及びモータ3を駆動源として走行可能なプラグインハイブリッド車両(ハイブリッド車両)である。エンジン1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であり、燃料及び空気の混合気を燃焼室内で燃焼させることで回転軸を駆動する。また、エンジン1は、ジェネレータ2に発電させるための駆動力や、車両10を走行させるための駆動力を出力可能である。
【0011】
ジェネレータ2は、エンジン1の駆動力を用いて発電する発電機である。また、モータ3は、バッテリ4の電力で駆動輪を駆動する機能と、駆動輪の慣性回転を利用した発電により回生電力をバッテリ4に充電する機能とを兼ね備えた電動機兼発電機である。エンジン1,ジェネレータ2,モータ3の三者は、トランスアクスル5を介して接続される。トランスアクスル5の内部には、例えば変速ギヤやクラッチ装置等が内蔵される。エンジン1,ジェネレータ2,モータ3の作動状態は、例えば車両10の走行状態や運転者の操作に応じて使い分けられ、あるいは併用される。
【0012】
エンジン1及びジェネレータ2は、クラッチを介してモータ3及び駆動輪に接続される。車両10は、エンジン1及びジェネレータ2とモータ3及び駆動輪とを切り離して(クラッチを切断して)走行するシリーズモードを選択可能である。クラッチが切断された状態でエンジン1及びジェネレータ2を停止させることで、EVモードが実現される。また、クラッチを接続すれば、パラレルモードやENGモードが実現されうる。
【0013】
ジェネレータ2やモータ3で発電された電力は、バッテリ4に充電される。バッテリ4は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などの二次電池であり、外部充電設備による充電(外部充電)も可能である。バッテリ4には、電力を直流と交流との間で変換する変換器11が接続される。変換器11は、外部充電時に充電口12から供給される交流の電力を直流に変換してバッテリ4を充電する機能や、バッテリ4に蓄えられた直流の電力を交流に変換して車内コンセント13に供給する機能を持つ。車内コンセント13は、例えば100[V]の交流電力を50~60[Hz]の周波数で出力可能とされる。これにより、家庭用コンセントから供給される電力を利用してバッテリ4を充電でき、かつ、一般的な家電製品を車内コンセント13に接続して使用できるようになっている。
【0014】
上記のエンジン1には、EGRシステム6が適用される。EGRシステム6とは、エンジン1の気筒から排出される排気ガスの一部を吸気系に還流させるシステムである。エンジン1にEGRシステム6を適用することで、気筒内の酸素濃度や燃焼温度を低下させることが可能となり、燃費や排気ガス性能を改善できる。本実施例のEGRシステム6は、排気系と吸気系とを連通する排気還流路(EGR通路)に介装されるEGR弁7を有する。EGR弁7の開度を変更することで、排気系から吸気系に導入される排気ガス(EGRガス)の流量(EGR量)を調節可能である。
【0015】
[2.故障判定装置]
故障判定装置20は、少なくともEGR弁7の故障を判定する機能を持ったコンピュータ(ECU,Electronic Control Unit)である。故障判定装置20には、図示しないプロセッサ(中央処理装置),メモリ(メインメモリ),記憶装置(ストレージ),インタフェース装置などが内蔵され、内部バスを介してこれらが互いに通信可能に接続される。故障判定装置20で実施される判定や制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてメモリに記録,保存される。プログラムの実行時には、プログラムの内容がメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
【0016】
本実施例の故障判定装置20には、
図1に示すように、エンジン1,ジェネレータ2,モータ3,バッテリ4,EGR弁7,エンジン回転数センサ14,エアフローセンサ15,ジェネレータ回転数センサ16,電流センサ17が接続される。故障判定装置20は、これらの各種装置から伝達される情報に基づき、EGR弁7の故障を判定する。エンジン回転数センサ14は、エンジン回転数(エンジン1の単位時間あたりの回転数,回転速度)を検出するセンサであり、エアフローセンサ15は、エンジン1の吸気量を検出するセンサである。ジェネレータ回転数センサ16は、ジェネレータ回転数(ジェネレータ2の単位時間あたりの回転数,回転速度)を検出するセンサであり、電流センサ17はジェネレータ2の発電電流を検出するセンサである。
【0017】
故障判定装置20における故障判定の原理は二つある。
第一の原理は、スロットル開度を固定せずにEGR量を増加させることで気筒内の比熱比が変化し、エンジン1で発生する燃焼トルクが増大することである。
図2に示すように、エンジントルクの増加率は、EGR率が増加するほど(EGR量が増えるほど)上昇する。したがって、EGR弁7の開度変化を指令したときに、ジェネレータ2の吸収トルクの変化を観察することで、実際のEGR率の変動を推定でき、EGR弁7の故障(閉故障や開故障)の有無を判定できる。なお、開故障とは、閉じ指令に対してEGR弁7が閉作動しない故障を意味し、閉故障とは、開き指令に対してEGR弁7が開作動しない故障を意味する。開故障には、例えば固着によって所定開度よりも閉じない故障や、開きっぱなしになってしまう故障が含まれる。同様に、閉故障には、例えば固着によって所定開度よりも開かない故障や、閉じっぱなしになってしまう故障が含まれる。
【0018】
また、第二の原理は、スロットル開度を固定した状態でEGR量を増加させることで吸気中における新気の割合が減少し、エンジン1で発生する燃焼トルクが減少することである。つまり、スロットル開度を固定した状態でEGR弁7の開度変化を指令したときに、ジェネレータ2の吸収トルクの変化を観察することで、実際の燃焼トルクの変動を推定でき、EGR弁7の故障(閉故障や開故障)の有無を判定できる。
【0019】
故障判定装置20には、第一算出手段21と第二算出手段22と判定手段23とが設けられる。第一算出手段21は、エンジン1の駆動力でジェネレータ2が発電しているときに、エンジン1からジェネレータ2に伝達されるエンジントルクAを算出するものである。エンジントルクAは、例えばエンジン回転数及び吸気量に基づいて算出される。なお、エンジントルクAの算出手法はこれに限定されない。例えば、車速やアクセル開度等に基づいて算出してもよいし、燃料噴射量や空燃比を加味して算出してもよい。
【0020】
第二算出手段22は、エンジン1の駆動力でジェネレータ2が発電しているときに、ジェネレータ2で電力に変換される(すなわち、バッテリ4の充電電力として回収される)吸収トルクBを算出するものである。吸収トルクBは、例えばジェネレータ回転数及び発電電流に基づいて算出される。なお、吸収トルクBの算出手法はこれに限定されない。例えば、ジェネレータ2からバッテリ4に充電される電流値及び電圧値に基づいて算出してもよいし、ジェネレータ温度やバッテリ温度を加味して算出してもよい。
【0021】
判定手段23は、少なくともエンジントルクAと吸収トルクBとを比較してEGR弁7の故障判定を実行するものである。判定手段23には、初期判定手段24と第一判定手段25と第二判定手段26とが設けられる。初期判定手段24は、EGRシステム6の排気還流路に介装されるEGR弁7が故障している可能性の有無を判定する。第一判定手段25は、EGR弁7の故障の可能性が認められた場合に、その可能性を精査してEGR弁7の故障の有無を判定する。また、第二判定手段26は、第一判定手段25でEGR弁7の故障(故障していること)が判定された場合に、その故障状態が開故障なのか閉故障なのかを判定する。
【0022】
初期判定手段24では、例えば吸収トルクBからエンジントルクAを減じた値である偏差Cに基づき、以下のような故障判定が実施される。
判定1.偏差Cの絶対値が所定偏差C0以上である場合に、
EGR弁7が故障している可能性があると判定する。
判定2.偏差Cの絶対値が所定偏差C0未満である場合に、
EGR弁7が故障していない(正常)と判定する。
【0023】
これらの故障判定は、少なくともエンジン1がジェネレータ2を駆動しているとき(例えば、シリーズモード時,パラレルモード時,ENGモード時)に実施される。好ましくは、車両10の外部給電中にエンジン1が始動したときに、故障判定が実施される。
外部給電とは、車内コンセント13に接続される家電製品への給電を意味する。例えば、キャンプ場に駐車している車両10の車内コンセント13にホットプレートが接続され、バッテリ4の電力でホットプレートが使用されることがある。この場合、バッテリ4の充電量が低下するとエンジン1が作動し、ジェネレータ2による発電が開始されるとともに、故障判定が実施される。
【0024】
初期判定手段24でEGR弁7の故障の可能性があると判定された場合、第一判定手段25では、例えば偏差Cに基づいて以下のような故障判定が実施される。
判定3.全閉指示状態で、偏差Cの絶対値が所定偏差C0以上である場合に、
EGR弁7が開故障している可能性が高いと判定する。
判定4.全閉指示状態で、偏差Cの絶対値が所定偏差C0未満である場合に、
EGR弁7が閉故障している可能性が高いと判定する。
【0025】
これらの故障判定は、初期判定手段24による判定時と比較して、エンジン1の点火時期をリタードさせた状態で判定することが好ましい。例えば、EGRシステム6の非作動時(EGRオフ時)に使用される点火時期マップに基づいて、エンジン1の点火時期が制御される。一般に、EGRシステム6の作動時におけるエンジン1の点火時期は、EGRシステム6の非作動時と比較して進角側に制御される。したがって、EGRシステム6の非作動時に使用される点火時期マップを参照してエンジン1の点火時期を設定することで、エンジン1の点火時期にリタード傾向が与えられる。
【0026】
EGR弁7が開故障している可能性が高いと判定された場合、第二判定手段26は、EGR開度を段階的に変化させることで生じる吸収トルクBの変化量に基づいて、EGR弁7の故障判定を実行する。このとき、スロットル開度が一定値に保持されてエンジン1の吸気量が一定になるように制御される。ここで、EGR開度を変化させる前の吸収トルクをB1とし、EGR開度を変化させた後の吸収トルクをB2とする。第二判定手段26では、B2からB1を減じた変化量Dに基づき、以下のような故障判定が実施される。
判定5.変化量Dの絶対値が所定変化量D0未満である場合に、
EGR弁7が開故障していると判定する。
判定6.変化量Dの絶対値が所定変化量D0以上である場合に、
直前の判定が誤判定だった(故障なし)と判定する。
【0027】
一方、EGR弁7が閉故障している可能性が高いと判定された場合、第二判定手段26は、EGR弁7を所定開度に開弁する指示を出力する。その後、第二判定手段26では偏差Cが再計算され、以下のような故障判定が実施される。
判定7.偏差Cの絶対値が所定偏差C0以上である場合に、
EGR弁7が閉故障していると判定する。
判定8.偏差Cの絶対値が所定偏差C0未満である場合に、
直前の判定が誤判定だった(故障なし)と判定する。
【0028】
上記の通り、第二判定手段26における開故障の判定条件(判定5,6の条件)は、第二判定手段26における閉故障の判定条件(判定7,8の条件)と相違する。このような判定条件の使い分けにより、開故障及び閉故障の判定精度が向上する。
【0029】
[3.フローチャート]
(A)
図3~
図5のフローチャート
図3~
図5は、故障判定装置20で実施される故障判定に係るフローチャート(診断フロー)である。このフローは、故障判定装置20の内部において、所定の演算周期で繰り返し実行されうる。このフローを実施するためのエンジン1の運転状態(運転点)は不問とされ、エンジン回転数や負荷の大小に依存しない故障判定が可能となっている。
【0030】
ステップA1では、車両10の外部給電中にエンジン1が始動したか否かが判定される。また、ステップA2では、エンジン1がジェネレータ2を駆動している(例えば、クラッチが切断されたシリーズモード中である)か否かが判定される。いずれかの条件が成立するとステップA3に進み、いずれの条件も成立しない場合には本フローは終了(リターン)する。ステップA3では、第一算出手段21でエンジントルクAが算出され、第二算出手段22で吸収トルクBが算出される。続くステップA4では、吸収トルクBからエンジントルクAを減じた偏差Cが判定手段23で算出される。
【0031】
ステップA5では、初期判定手段24において、偏差Cの絶対値|C|とあらかじめ設定された所定偏差C0とが比較される。ここで、|C|<C0である場合にはステップA6に進み、EGR弁7(EGRシステム6)の故障はないと判定されて本フローは終了する。一方、|C|≧C0である場合には、何らかの故障の可能性があると判断されてステップA7に進み、第一判定手段25による故障判定が継続される。
【0032】
ステップA7では、エンジン1の点火時期を設定するための点火時期マップがEGRオフ時(EGR弁7の全閉時)のマップに固定される。続くステップA8では、EGR開度が0%(全閉)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。その後、ステップA9では、第一算出手段21でエンジントルクAが算出され、第二算出手段22で吸収トルクBが算出される。続くステップA10では、判定手段23において、吸収トルクBからエンジントルクAを減じた偏差Cが算出される。
【0033】
ステップA11では、第一判定手段25において、偏差Cの絶対値|C|と所定偏差C
0とが比較される。ここで、|C|<C
0である場合には、EGR弁7が閉故障している可能性が高いと判断され、
図4に示すステップA12に進む。一方、|C|≧C
0である場合には、EGR弁7が開故障している可能性が高いと判断され、
図5に示すステップA18に進む。
【0034】
図4に示すステップA12~A17は、EGR弁7の閉故障を精査するためのフローである。ステップA12では、EGR開度が所定のK%(開)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。ここで設定される開度は100%(全開)であってもよいし、100%よりも小さい開度であってもよい。その後、ステップA13では、第一算出手段21でエンジントルクAが算出され、第二算出手段22で吸収トルクBが算出される。続くステップA14では、判定手段23において、吸収トルクBからエンジントルクAを減じた偏差Cが算出される。
【0035】
ステップA15では、第二判定手段26において、偏差Cの絶対値|C|と所定偏差C0とが比較される。ここで、|C|<C0である場合にはステップA16に進み、直前の判定(ステップA11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。一方、|C|≧C0である場合にはステップA17に進み、EGR弁7が閉故障しているものと判断されて、本フローは終了する。
【0036】
図5に示すステップA18~A25は、EGR弁7の開故障を精査するためのフローである。ステップA18では、この時点での吸収トルクBの値がB
1に代入される。また、ステップA19では、スロットル開度が固定(一定値に保持)されてエンジン1の吸気量が一定になるように制御される。ステップA20では、ステップA12と同様に、EGR開度が所定のK%(開)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。ここで設定される開度は100%(全開)であってもよいし、100%よりも小さい開度であってもよい。また、ステップA12での指示値と同一でなくてもよい。
【0037】
ステップA21では、第二算出手段22で吸収トルクBが算出され、その値がB2に代入される。続くステップA22では、判定手段23において、吸収トルクBの変化量D(B2からB1を減じたもの)が算出される。ステップA23では、第二判定手段26において、変化量Dの絶対値|D|と所定変化量D0とが比較される。ここで、|D|<D0である場合にはステップA24に進み、EGR弁7が開故障しているものと判断されて、本フローは終了する。一方、|D|≧D0である場合にはステップA25に進み、直前の判定(ステップA11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。
【0038】
(B)
図6のフローチャート
図6に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートの変形例(ステップA26~A28を追加したもの)である。このフローチャートでは、EGR開度を段階的に開いたときの吸収トルクBの変化量Dに基づいて開故障の有無が判定されるとともに、開故障の開度が判定される。
【0039】
図6のステップA20で設定されるEGR開度は少なくとも100%ではなく、例えば10%とされる。その後、ステップA23において|D|<D
0である場合にはステップA24に進み、EGR弁7が10%の開度で開故障していると判定される。つまり、ステップA23の条件が成立した時点(|D|<D
0になった時点)の開度が開故障の開度と判断される。一方、|D|≧D
0である場合にはステップA26に進み、EGR開度が全開(100%)であるか否かが判定される。この条件は最初は不成立となり、ステップA27へ進む。
【0040】
ステップA27では、この時点での吸収トルクBの値がB1に代入される。続くステップA28では、EGR開度がさらに大きく設定され、例えば20%とされる。その後、ステップA21で吸収トルクBの値がB2に代入され、ステップA22で吸収トルクBの変化量Dが算出され、ステップA23でその絶対値|D|と所定変化量D0とが比較される。ここで、|D|<D0である場合にはステップA24に進み、EGR弁7が20%の開度で開故障していると判定される。
【0041】
一方、|D|≧D0である場合には、EGR開度が全開(100%)になるまで段階的に開放されて、ステップA23の判定が繰り返される。EGR開度が全開(100%)であるにも関わらず、ステップA23の条件が不成立になる場合には、ステップA25において直前の判定(ステップA11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。
【0042】
(C)
図7~
図9のフローチャート
図7~
図9は、他の故障判定に係るフローチャート(第二診断フロー)である。このフローは、故障判定装置20の内部において、所定の演算周期で繰り返し実行されうる。このフローの故障判定は、エンジン1のスロットル開度を固定した状態で実施されるようになっており、エンジン1の運転状態(運転点)が制限される。
【0043】
ステップB1では、車両10の外部給電中にエンジン1が始動したか否かが判定される。また、ステップB2では、エンジン1がジェネレータ2を駆動しているか否かが判定される。いずれかの条件が成立するとステップB3に進み、いずれの条件も成立しない場合には本フローは終了する。ステップB3では、EGR率が0%よりも大きい(すなわち、EGRシステム6が作動中である)か否かが判定される。ここで、EGRシステム6が作動中であればステップB4に進み、EGR開度が0%(全閉)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示された後にステップB5に進む。また、EGRシステム6が作動中でなければ、そのままステップB5に進む。
【0044】
ステップB5では、スロットル開度が固定(一定値に保持)されてエンジン1の吸気量が一定になるように制御される。また、ステップB6では、エンジン1の点火時期を設定するための点火時期マップがEGRオフ時(EGR弁7の全閉時)のマップに固定される。続くステップB7では、第二算出手段22で吸収トルクBが算出され、その値がB3に代入される。ステップB8では、EGR開度が所定のK1%(開)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。ここで設定される開度K1は0%(全閉)よりも大きく、かつ、100%(全開)よりも小さい開度である。
【0045】
ステップB9では、第二算出手段22で再び吸収トルクBが算出され、その値がB
4に代入される。ステップB10では、判定手段23において、吸収トルクBの変化量D(B
4からB
3を減じたもの)が算出される。ステップB11では、第一判定手段25において、変化量Dの絶対値|D|と所定変化量D
0とが比較される。ここで、|D|<D
0である場合には、EGR弁7が閉故障している可能性が高いと判断され、
図8に示すステップB12に進む。一方、|D|≧D
0である場合には、EGR弁7が開故障している可能性が高いと判断され、
図9に示すステップB18に進む。
【0046】
図8に示すステップB12~B17は、EGR弁7の閉故障を精査するためのフローである。ステップB12では、EGR開度が0%(全閉)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。その後、ステップB13では、第一算出手段21でエンジントルクAが算出され、第二算出手段22で吸収トルクBが算出される。続くステップB14では、判定手段23において、吸収トルクBからエンジントルクAを減じた偏差Cが算出される。
【0047】
ステップB15では、第二判定手段26において、偏差Cの絶対値|C|と所定偏差C0とが比較される。ここで、|C|<C0である場合(すなわち、エンジントルクAと吸収トルクBとがほぼ等しい場合)にはステップB16に進み、EGR弁7が閉故障しているものと判断されて、本フローは終了する。一方、|C|≧C0である場合にはステップB17に進み、直前の判定(ステップB11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。
【0048】
図9に示すステップB18~B23は、EGR弁7の開故障を精査するためのフローである。ステップB18では、EGR開度が所定のK
2%(開)に設定され、その制御指令が故障判定装置20からEGR弁7へと指示される。ここで設定される開度K
2は、例えばステップB8で設定される開度K
1よりも大きい開度である。ステップB19では、第二算出手段22で吸収トルクBが算出され、その値がB
5に代入される。続くステップB20では、判定手段23において、吸収トルクBの変化量E(B
5からB
4を減じたもの)が算出される。
【0049】
ステップB21では、第二判定手段26において、変化量Eの絶対値|E|と所定変化量E0とが比較される。ここで、|E|<E0である場合にはステップB22に進み、EGR弁7が開故障しているものと判断されて、本フローは終了する。一方、|E|≧E0である場合にはステップB23に進み、直前の判定(ステップB11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。
【0050】
(D)
図10のフローチャート
図10に示すフローチャートは、
図9に示すフローチャートの変形例(ステップB24~B26を追加したもの)である。このフローチャートでは、EGR開度を段階的に開いたときの吸収トルクBの変化量Eに基づいて開故障の有無が判定されるとともに、開故障の開度が判定される。
【0051】
図10のステップB18で設定されるEGR開度は、ステップB8で設定される開度K
1よりも大きく、かつ、少なくとも100%ではない開度(例えば30%)とされる。その後、ステップB21において|E|<E
0である場合にはステップB22に進み、EGR弁7が30%の開度で開故障していると判定される。つまり、ステップB21の条件が成立した時点(|E|<E
0になった時点)の開度が開故障の開度と判断される。
【0052】
一方、ステップB21において|E|≧E0である場合、ステップB24に進み、EGR開度が全開(100%)であるか否かが判定される。この条件は最初は不成立となり、ステップB25へ進む。ステップB25では、この時点での吸収トルクBの値がB4に代入される。続くステップB26では、EGR開度がさらに大きく(例えば40%に)設定される。その後、ステップB19で吸収トルクBの値がB5に代入され、ステップB20で吸収トルクBの変化量Eが算出され、ステップB21でその絶対値|E|と所定変化量E0とが比較される。
【0053】
ここで、|E|<E0である場合にはステップB22に進み、EGR弁7が40%の開度で開故障していると判定される。一方、|E|≧E0である場合には、EGR開度が全開(100%)になるまで段階的に開放されて、ステップB21の判定が繰り返される。EGR開度が全開(100%)であるにも関わらず、ステップB21の条件が不成立になる場合には、ステップB23において直前の判定(ステップB11の判定)が誤判定だった(すなわち、故障はない)として判定が取り消されて、本フローは終了する。
【0054】
[4.効果]
(1)上記の実施例に係る故障判定装置20は、第一算出手段21,第二算出手段22,判定手段23を備える。第一算出手段21は、エンジン1からジェネレータ2に伝達されるエンジントルクAを算出する。第二算出手段22は、ジェネレータ2で電力に変換される吸収トルクBを算出する。判定手段23は、エンジントルクAと吸収トルクBとを比較して、EGRシステム6の排気還流路に介装されるEGR弁7の故障判定を実行する。このような構成により、EGRガスを大量に還流させることなくEGR弁7の故障を判定できる。したがって、エンジン1の燃焼安定性を維持しながらEGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0055】
(2)上記の判定手段23(第一判定手段25)は、EGR弁7の全閉指示状態において、エンジントルクAと吸収トルクBとの偏差Cの絶対値|C|が所定偏差C
0以上である場合に、EGR弁7が開故障している可能性がある(可能性が高い)と判定する(
図3のステップA11のNo側ルート及び
図5,
図6)。このような構成により、EGR弁7の開故障の可能性を精度よく検出することができ、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0056】
(3)上記の判定手段23(第一判定手段25)は、EGR弁7の全閉指示状態において、エンジントルクAと吸収トルクBとの偏差Cの絶対値|C|が所定偏差C
0未満である場合に、EGR弁7が閉故障している可能性がある(可能性が高い)と判定する(
図3のステップA11のYes側ルート及び
図4)。このような構成により、EGR弁7の閉故障の可能性を精度よく検出することができ、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0057】
(4)上記の判定手段23(第二判定手段26)は、|C|≧C
0である場合に、EGR開度を変化させることで生じる吸収トルクBの変化量Dに基づいてEGR弁7の故障判定を実行する(
図5及び
図6のステップA22,A23)。このような構成により、EGR弁7の開故障の有無を精度よく判定でき、誤検出を減少させることができる。したがって、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0058】
(5)上記の判定手段23(第二判定手段26)は、吸収トルクBの変化量Dに基づくEGR弁7の故障判定に際し、スロットル開度を保持した状態でEGR開度を変更させる(
図5及び
図6のステップA19)。このような構成により、EGR量の増加に起因するエンジン1の燃焼トルクの減少を精度よく把握できる。したがって、EGR弁7の開故障の有無を精度よく判定でき、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0059】
(6)上記の判定手段23(第二判定手段26)は、吸収トルクBの変化量Dに基づくEGR弁7の故障判定に際し、変化量Dの絶対値|D|が所定変化量D
0未満である場合に、EGR弁7が開故障していると判定する(
図5及び
図6のステップA23,A24)。このような構成により、EGR弁7の開故障を精度よく判定でき、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0060】
(7)上記の判定手段23(第二判定手段26)は、吸収トルクBの変化量Dに基づくEGR弁7の故障判定に際し、変化量Dの絶対値|D|が所定変化量D
0以上である場合に、直前の故障判定を誤判定として取り消す(
図5及び
図6のステップA23,A25)。このような構成により、EGR弁7の開故障の誤検出(すなわち、EGR弁7が故障していないこと)を精度よく判定でき、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0061】
(8)上記の故障判定装置20は、エンジン1及びジェネレータ2を搭載するプラグインハイブリッド車両10に適用される。また、上記の判定手段23は、車両10の外部給電中にエンジン1が始動したときに、EGR弁7の故障判定を強制的に実行する(
図3のステップA1)。このような構成により、車両10の走行状態やドライバビリティ(乗員が車両10に抱く運転操作及び乗り心地の快適性や応答性のこと)に悪影響を与えることなく、EGR弁7の故障を判定でき、EGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【0062】
(9)上記のエンジン1及びジェネレータ2は、クラッチを介してモータ3及び駆動輪に接続されるハイブリッド車両10に搭載される。ハイブリッド車両10は、エンジン1及びジェネレータ2とモータ3及び駆動輪とを切り離して走行可能なシリーズモードを選択可能であり、シリーズモード中に故障判定を実施できる。つまり、エンジン1の駆動力を駆動輪に伝達することなく、モータ3で駆動輪を駆動しつつ故障判定を実施できる。したがって、故障診断のためにエンジン1の作動状況を変更したとしてもドライバビリティに悪影響を及ぼさずに故障診断が実施できる。
【0063】
[5.その他]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本実施例の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0064】
上記の実施例では、プラグインハイブリッド自動車に適用された故障判定装置20を例示したが、本件の適用対象はこの種の車両10に限定されない。少なくともジェネレータ2に発電させるための駆動力を出力するエンジン1にEGRシステム6が適用されたものであれば、上記の実施例と同様の制御を適用可能である。具体的には、EGRシステム6が適用されたエンジン1でジェネレータ2を駆動しうる船舶,プラント,発電施設等が本件の適用対象となりうる。これらの適用対象においても、エンジントルクAと吸収トルクBとを比較することで、EGR弁7の故障を精度よく検出でき、エンジン1の燃焼安定性を維持しながらEGRシステム6の故障判定精度を改善できる。
【符号の説明】
【0065】
1 エンジン
2 ジェネレータ
3 モータ
4 バッテリ
5 トランスアクスル
6 EGRシステム
7 EGR弁
10 車両(プラグインハイブリッド車両,ハイブリッド車両)
11 変換器
12 充電口
13 車内コンセント
14 エンジン回転数センサ
15 エアフローセンサ
16 ジェネレータ回転数センサ
17 電流センサ
20 故障判定装置
21 第一算出手段
22 第二算出手段
23 判定手段
24 初期判定手段
25 第一判定手段
26 第二判定手段
A エンジントルク
B 吸収トルク
C 偏差
C0 所定偏差
D 変化量
D0 所定変化量
E 変化量
E0 所定変化量