IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精工株式会社の特許一覧

特開2023-22874車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022874
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20230209BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20230209BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20230209BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20230209BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
B62D101:00
B62D113:00
B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127926
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植本 隆明
(72)【発明者】
【氏名】椿 貴弘
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC08
3D232CC35
3D232CC45
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA15
3D232DA23
3D232DC03
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD02
3D232EB01
3D232EB04
3D232EB08
3D232EB12
3D232EC30
3D232EC37
3D232GG01
3D333CB02
3D333CB31
3D333CD60
3D333CE09
3D333CE47
3D333CE53
(57)【要約】
【課題】操舵角と転舵角との相対的なズレを吸収することができる車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法を提供すること。
【解決手段】車両用操向装置は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、反力用モータ及び転舵用モータを制御する制御部と、を備える。制御部は、ハンドルを右方向に操舵させるように反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得し、ハンドルを左方向に操舵させるように反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得し、右側最大操舵角と左側最大操舵角との中点をハンドルの中立位置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、
前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、
前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得し、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得し、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする、
車両用操向装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角、又は前記左側最大操舵角を取得する、
請求項1に記載の車両用操向装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する、
請求項1に記載の車両用操向装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する、
請求項1に記載の車両用操向装置。
【請求項5】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、
前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、
前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、
を備え、
前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得し、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得し、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする、
車両用操向装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角、又は前記左側最大転舵角を取得する、
請求項5に記載の車両用操向装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する、
請求項5に記載の車両用操向装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する、
請求項5に記載の車両用操向装置。
【請求項9】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、
前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、
前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得し、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得し、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とし、
前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得し、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得し、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする、
車両用操向装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角、又は前記左側最大操舵角を取得する、
請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角、又は前記左側最大転舵角を取得する、
請求項9又は10に記載の車両用操向装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する、
請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する、
請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する、
請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する、
請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項16】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、
前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得する第1ステップと、
前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得する第2ステップと、
前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする第3ステップと、
を有する、
車両用操向装置の調整方法。
【請求項17】
前記第1ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、
前記第2ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得する、
請求項16に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項18】
前記第1ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、
前記第2ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得する、
請求項16に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項19】
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する第4ステップをさらに有する、
請求項16に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項20】
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する第4ステップをさらに有する、
請求項16に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項21】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、
前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得する第1ステップと、
前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得する第2ステップと、
前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする第3ステップと、
を有する、
車両用操向装置の調整方法。
【請求項22】
前記第1ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角を取得し、
前記第2ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得する、
請求項21に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項23】
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する第4ステップをさらに有する、
請求項21に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項24】
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する第4ステップをさらに有する、
請求項21に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項25】
ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、
前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得する第1ステップと、
前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得する第2ステップと、
前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする第3ステップと、
前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得する第4ステップと、
前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得する第5ステップと、
前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする第6ステップと、
を有する、
車両用操向装置の調整方法。
【請求項26】
前記第1ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、
前記第2ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得する、
請求項25に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項27】
前記第1ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、
前記第2ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得する、
請求項25に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項28】
前記第4ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角を取得し、
前記第5ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得する、
請求項25から27の何れか一項に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項29】
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する第7ステップと、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する第8ステップと、
をさらに有する、
請求項25に記載の車両用操向装置の調整方法。
【請求項30】
前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する第7ステップと、
前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する第8ステップと、
をさらに有する、
請求項25に記載の車両用操向装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用操向装置として、運転者が操舵を行う操舵反力生成装置(FFA:Force Feedback Actuator、操舵機構)と、車両の舵を切るタイヤ転舵装置(RWA:Road Wheel Actuator、転舵機構)とが機械的に分離されたステアバイワイヤ(SBW:Steer By Wire)式の車両用操向装置がある。このようなSBW式の車両用操向装置は、操舵機構と転舵機構とがコントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)を介して電気的に接続され、FFA側のハンドル角センサの絶対角とRWA側の転舵角センサの絶対角を同期させて、運転者のハンドル操作をタイヤの動きに変換している。
【0003】
このようなSBW式の車両用操向装置においては、ECUに異常が発生した場合、ハンドル軸と車輪操舵軸が相対的にどの位置で止まったか分からなくなることがある。ハンドル軸と車輪操舵軸の相対位置が分からなくなった場合に、再度、ハンドル軸と車輪操舵軸の角度を同期させるために、給電ケーブルの巻き締めまたは巻き緩め端で生じるモータトルクを検出して、モータ回転エンドを探査し、この回転限度から所定量だけ戻してハンドル中立出しを自動的に行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-58745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術に開示される技術では、給電ケーブルに過剰なトルクが掛かった場合等、給電ケーブルが断線する可能性がある。また、片側の回転エンドから所定量だけ戻してそこを中立位置とした場合、製品ばらつきや製品劣化などにより回転エンドに左右差が生じる可能性がある。さらに、中立位置設定処理において運転者がハンドルに触れてトルク閾値を超えてしまった場合、そこが回転エンドと誤認されて、算出される中立位置が本来の中立位置からずれ、操舵角と転舵角との相対的なズレが生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、製品ばらつきや部品劣化の影響を受けにくいハンドルの中立位置の検出方法および該検出方法を備えた車両用走行装置、操舵角と転舵角との相対的なズレを吸収することができる車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法を提供すること、を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得し、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得し、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする。
【0008】
上記構成によれば、ハンドルの中立位置が補正され、何らかの物理的な力がハンドルに作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0009】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角、又は前記左側最大操舵角を取得することが好ましい。
【0010】
これにより、操舵トルク、反力用モータの電流値、及び反力用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0011】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御することが好ましい。
【0012】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御することが好ましい。
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備え、前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得し、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得し、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする。
【0014】
上記構成によれば、操向車輪の中立位置が補正され、何らかの物理的な力が操向車輪に作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0015】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角、又は前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0016】
これにより、転舵用モータの電流値、及び転舵用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、操向車輪位置補正処理を実行することができる。
【0017】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御することが好ましい。
【0018】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御することが好ましい。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得し、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得し、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とし、前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得し、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得し、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする。
【0020】
上記構成によれば、ハンドル及び操向車輪の中立位置が補正され、何らかの物理的な力がハンドルあるいは操向車輪に作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0021】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角、又は前記左側最大操舵角を取得することが好ましい。
【0022】
これにより、操舵トルク、反力用モータの電流値、及び反力用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0023】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角、又は前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0024】
これにより、転舵用モータの電流値、及び転舵用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0025】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御することが好ましい。
【0026】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御することが好ましい。
【0027】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御することが好ましい。
【0028】
車両用操向装置の望ましい態様として、前記制御部は、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御することが好ましい。
【0029】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置の調整方法は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得する第1ステップと、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得する第2ステップと、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする第3ステップと、を有する。
【0030】
これにより、ハンドルの中立位置が補正され、何らかの物理的な力がハンドルに作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0031】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第1ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、前記第2ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得することが好ましい。
【0032】
これにより、操舵トルク、反力用モータの電流値、及び反力用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0033】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第1ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得し、前記第2ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0034】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する第4ステップをさらに有することが好ましい。
【0035】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する第4ステップをさらに有することが好ましい。
【0036】
これにより、ハンドルの物理的な右側最大操舵角、あるいは、ハンドルの物理的な左側最大操舵角において生じる跳ね返りを抑制して、ハンドルの右側最大操舵角、あるいは、ハンドルの左側最大操舵角の取得精度を高めつつ、ハンドル位置補正処理にかかる時間を短縮することができる。
【0037】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置の調整方法は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得する第1ステップと、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得する第2ステップと、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする第3ステップと、を有する。
【0038】
これにより、操向車輪の中立位置が補正され、何らかの物理的な力がハンドルに作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0039】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第1ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角を取得し、前記第2ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0040】
これにより、転舵用モータの電流値、及び転舵用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0041】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する第4ステップをさらに有することが好ましい。
【0042】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する第4ステップをさらに有することが好ましい。
【0043】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車両用操向装置の調整方法は、ハンドルに操舵反力を付与する反力用モータと、前記ハンドルの操舵に応じて操向車輪を転舵する転舵用モータと、前記反力用モータ及び前記転舵用モータを制御する制御部と、を備える車両用操向装置の調整方法であって、前記ハンドルを右方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して右側最大操舵角を取得する第1ステップと、前記ハンドルを左方向に操舵させるように前記反力用モータを制御して左側最大操舵角を取得する第2ステップと、前記右側最大操舵角と前記左側最大操舵角との中点を前記ハンドルの中立位置とする第3ステップと、前記操向車輪を右方向に転舵させるように前記転舵用モータを制御して右側最大転舵角を取得する第4ステップと、前記操向車輪を左方向に操舵させるように前記転舵用モータを制御して左側最大転舵角を取得する第5ステップと、前記右側最大転舵角と前記左側最大転舵角との中点を前記操向車輪の中立位置とする第6ステップと、を有する。
【0044】
これにより、ハンドル及び操向車輪の中立位置が補正され、何らかの物理的な力がハンドルあるいは操向車輪に作用することによる操舵角の現在位置と転舵角の現在位置との相対的なズレを吸収することができる。
【0045】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第1ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大操舵角を取得し、前記第2ステップにおいて、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大操舵角を取得することが好ましい。
【0046】
これにより、操舵トルク、反力用モータの電流値、及び反力用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0047】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第1ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得し、前記第2ステップにおいて、前記反力用モータを第1角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出した後、前記反力用モータを前記第1角速度よりも遅い第2角速度で駆動し、前記ハンドルの操舵トルクが所定のトルク閾値以上となったこと、前記反力用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記反力用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0048】
これにより、ハンドルの物理的な右側最大操舵角、あるいは、ハンドルの物理的な左側最大操舵角において生じる跳ね返りを抑制して、ハンドルの右側最大操舵角、あるいは、ハンドルの左側最大操舵角の取得精度を高めつつ、ハンドル位置補正処理にかかる時間を短縮することができる。
【0049】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記第4ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記右側最大転舵角を取得し、前記第5ステップにおいて、前記転舵用モータの電流値が所定の電流閾値以上となったこと、及び、前記転舵用モータの角速度が所定の角速度閾値以下となったことのうち、いずれか1つを検出したとき、前記左側最大転舵角を取得することが好ましい。
【0050】
これにより、転舵用モータの電流値、及び転舵用モータの角速度のいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0051】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角以上となるまで、前記反力用モータを制御する第7ステップと、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角以上となるまで、前記転舵用モータを制御する第8ステップと、をさらに有することが好ましい。
【0052】
車両用操向装置の調整方法の望ましい態様として、前記右側最大操舵角及び前記左側最大操舵角を取得した後、前記ハンドルの現在位置が所定の目標操舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記反力用モータを制御する第7ステップと、前記右側最大転舵角及び前記左側最大転舵角を取得した後、前記操向車輪の現在位置が所定の目標転舵角を含む所定の角度範囲に含まれるまで、前記転舵用モータを制御する第8ステップと、をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、操舵角と転舵角との相対的なズレを吸収することができる車両用操向装置及び車両用操向装置の調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、ステアバイワイヤ式の車両用操向装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、SBWシステムを制御するコントロールユニットのハードウェア構成を示す模式図である。
図3図3は、SBWシステムにおける操舵角と転舵角との関係を示す図である。
図4図4は、実施形態1に係るハンドル位置補正処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態1に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態1に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。
図8図8は、実施形態1の変形例1に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態1の変形例1に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態1の変形例1に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。
図11図11は、実施形態1の変形例2に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態1の変形例2に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態1の変形例2に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。
図14図14は、実施形態1の変形例3に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態1の変形例3に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図16A図16Aは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が速い場合の具体例を示す図である。
図16B図16Bは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が速い場合の具体例を示す図である。
図17A図17Aは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が遅い場合の具体例を示す図である。
図17B図17Bは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が遅い場合の具体例を示す図である。
図18図18は、実施形態1の変形例4に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態1の変形例4に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施形態1の変形例5に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、実施形態1の変形例5に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、実施形態1の変形例6に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、実施形態1の変形例6に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図24図24は、実施形態1の変形例7に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図25図25は、実施形態1の変形例7に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図26図26は、実施形態2に係る操向車輪位置補正処理の一例を示すフローチャートである。
図27図27は、実施形態2に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図28図28は、実施形態2に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図29図29は、実施形態2に係る操向車輪位置補正処理における動作を説明する図である。
図30図30は、実施形態2の変形例1に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図31図31は、実施形態2の変形例1に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図32図32は、実施形態2の変形例1に係る操向車輪位置補正処理における動作を説明する図である。
図33図33は、実施形態2の変形例2に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図34図34は、実施形態2の変形例2に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。
図35図35は、実施形態3に係る位置補正処理の一例を示すフローチャートである。
図36図36は、実施形態3に係る位置補正処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0056】
図1は、ステアバイワイヤ式の車両用操向装置の全体構成を示す図である。図1に示すステアバイワイヤ(SBW:Steer By Wire)式の車両用操向装置(以下、「SBWシステム」とも称する)は、ハンドル1の操作を電気信号によって操向車輪8L,8R等からなる転舵機構に伝えるシステムである。図1に示されるように、SBWシステムは、反力装置60及び駆動装置70を備え、コントロールユニット(以下、「ECU」とも称する)50が両装置の制御を行う。
【0057】
反力装置60は、ハンドル1の操舵トルクTsを検出するトルクセンサ10及び操舵角θhを検出する舵角センサ14、減速機構3、角度センサ74、反力用モータ61等を備えている。これらの各構成部は、ハンドル1のコラム軸2に設けられている。
【0058】
反力装置60は、舵角センサ14にて操舵角θhの検出を行うと同時に、操向車輪8L,8Rから伝わる車両の運動状態を反力トルクとして運転者に伝達する。反力トルクは、反力用モータ61により生成される。トルクセンサ10は、操舵トルクTsを検出する。また、角度センサ74が、反力用モータ61のモータ角θhmを検出する。
【0059】
駆動装置70は、転舵用モータ71、ギア72、角度センサ73等を備えている。転舵用モータ71により発生する駆動力は、ギア72、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。
【0060】
駆動装置70は、運転者によるハンドル1の操舵に合わせて、転舵用モータ71を駆動し、その駆動力を、ギア72を介してピニオンラック機構5に付与し、タイロッド6a,6bを経て、操向車輪8L,8Rを転舵する。ピニオンラック機構5の近傍には角度センサ73が配置されており、操向車輪8L,8Rの転舵角θtを検出する。ECU50は、反力装置60及び駆動装置70を協調制御するために、両装置から出力される操舵角θhや転舵角θt等の情報に加え、車速センサ12からの車速Vs等を基に、反力用モータ61を駆動制御する電圧制御指令値Vref1及び転舵用モータ71を駆動制御する電圧制御指令値Vref2を生成する。
【0061】
角度センサ73は、転舵角θtではなく転舵用モータ71のモータ角θtmを検出する態様であっても良い。この場合、角度センサ73の検出値であるモータ角θtmを転舵角θtに変換し、後段の制御に用いる態様であっても良い。
【0062】
ECU50には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。ECU50は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTsと車速センサ12で検出された車速Vs等に基づいて電流指令値の演算を行い、反力用モータ61及び転舵用モータ71に供給する電流を制御する。
【0063】
ECU50には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40等の車載ネットワークが接続されている。また、ECU50には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
【0064】
ECU50は、主としてCPU(MCU、MPU等も含む)で構成される。図2は、SBWシステムを制御するECUのハードウェア構成を示す模式図である。
【0065】
ECU50を構成する制御用コンピュータ1100は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)1004、インターフェース(I/F)1005、A/D(Analog/Digital)変換器1006、PWM(Pulse Width Modulation)コントローラ1007等を備え、これらがバスに接続されている。
【0066】
CPU1001は、SBWシステムの制御用コンピュータプログラム(以下、制御プログラムという)を実行して、SBWシステムを制御する処理装置である。
【0067】
ROM1002は、SBWシステムを制御するための制御プログラムを格納する。また、RAM1003は、制御プログラムを動作させるためのワークメモリとして使用される。EEPROM1004には、制御プログラムが入出力する制御データ等が格納されている。制御データは、ECU30に電源が投入された後にRAM1003に展開された制御用コンピュータプログラム上で使用され、所定のタイミングでEEPROM1004に上書きされる。
【0068】
ROM1002、RAM1003、及びEEPROM1004等は情報を格納する記憶装置であって、CPU1001が直接アクセスできる記憶装置(一次記憶装置)である。
【0069】
A/D変換器1006は、操舵トルクTs、及び操舵角θhの信号等を入力し、ディジタル信号に変換する。
【0070】
インターフェース1005は、CAN40に接続されている。インターフェース1005は、車速センサ12からの車速Vの信号(車速パルス)を受け付けるためのものである。
【0071】
PWMコントローラ1007は、反力用モータ61及び転舵用モータ71に対する電流指令値に基づいてUVW各相のPWM制御信号を出力する。
【0072】
上述したようなSBWシステムにおいて、反力装置60と駆動装置70とは機械的に分離されている。このため、ECU50は、操舵角θhと転舵角θtとが所定の関係となるように制御する。具体的には、ハンドル1のセンター位置(以下、「中立位置」とも称する)θh_cenと、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenとが一致するように制御する。図3は、SBWシステムにおける操舵角と転舵角との関係を示す図である。
【0073】
図3に示すように、ハンドル1の中立位置θh_cenと、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenとが一致しているとき、ハンドル1の右側操舵端の位置と、操向車輪8L,8Rの右側転舵端の位置とが一致し、ハンドル1の左側操舵端の位置と、操向車輪8L,8Rの左側転舵端の位置とが一致する。ハンドル1の右側操舵端の位置は、右側最大操舵角θh_R_endで定義される。ハンドル1の左側操舵端の位置は、左側最大操舵角θh_L_endで定義される。操向車輪8L,8Rの右側転舵端の位置は、右側最大転舵角θt_R_endで定義される。操向車輪8L,8Rの左側転舵端の位置は、左側最大転舵角θt_L_endで定義される。
【0074】
(実施形態1)
操舵角θhと反力用モータ61のモータ角θhmとの関係は、下記(1)式に示される。(1)式において、k1は、減速機構3のギア比により与えられる係数である。
【0075】
θh=k1×θhm・・・(1)
【0076】
例えば、図1に示す舵角センサ14により操舵角θhを検出できない場合、ECU50は、角度センサ74により検出される反力用モータ61のモータ角θhmを用いて、上記(1)式によりハンドル1の現在位置を取得する。具体的に、ECU50は、車両の走行中において、操舵角θhの前回値に対し、操舵角θhの時間変化分Δθhを積み上げて現在位置θh_absを算出し、順次、EEPROM1004に記憶する。
【0077】
この場合、例えば、車両の停車中にハンドル1に何らかの物理的な外力が作用すると、車両の走行中においてEEPROM1004に記憶されたハンドル1の現在位置θh_absとの間にズレが生じ、ハンドル1の現在位置の取得処理を開始したときに誤差が生じる可能性がある。また、車両の走行中において誤差が蓄積し、ハンドル1の中立位置θh_cenがずれる可能性がある。
【0078】
図4は、実施形態1に係るハンドル位置補正処理の一例を示すフローチャートである。図5は、実施形態1に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態1に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図7は、実施形態1に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。ここでは、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTsを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0079】
図4に示すハンドル位置補正処理は、例えば、ECU50の起動時に行うことができる。なお、ハンドル位置補正処理を行うタイミングは、ECU50の起動時に限定されず、例えば、ECU50の停止前に行われる態様であっても良い。
【0080】
ECU50の起動毎または停止毎に位置補正処理を行うことは煩雑であるため、運転者がハンドル1と、転舵角θtとの間のずれを認識した場合に、図示しないボタンやタッチパネルを操作することにより、ハンドル位置補正処理を行う態様であることが望ましい。
【0081】
ECU50は、まず、ハンドル位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nを初期化(N=0)する(ステップS11)。ハンドル位置補正処理の実施回数の最大値Nthは、例えば3に予め設定されている。
【0082】
続いて、ECU50は、ハンドル位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nを加算(N=N+1)し(ステップS12)、図5に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0083】
ECU50は、図7に示すように、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS131、図7中の(1))、操舵トルクTsの絶対値|Ts|が予め設定されたトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS132)。
【0084】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満である(|Ts|<Tth)場合(ステップS132;No)、ステップS131の処理に戻る。
【0085】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS132;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0086】
続いて、ECU50は、図6に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0087】
ECU50は、図7に示すように、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS141、図7中の(2))、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS142)。
【0088】
最大操舵角θh_R_endに達すると、ハンドル1のコラム軸2の回転を機械的に規制する回転ストッパと当接し、コラム軸2の回転が規制される。コラム軸2の回転が規制された状態で、反力モータ2に電流を供給し続けることで、操舵トルクTsが上昇する。
【0089】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)である場合(ステップS142;No)、ステップS141の処理に戻る。
【0090】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS142;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0091】
ECU50は、ステップS13で取得した右側最大操舵角θh_R_endと、ステップS14で取得した左側最大操舵角θh_L_endとの差分の絶対値(|θh_R_end-θh_L_end|)が閾値θhth以上であるか否か(|θh_R_end-θh_L_end|≧θhth)を判定する(ステップS15)。閾値θhthは、ハンドル1の物理的な可動範囲を基準として予め設定されている。閾値θhthは、例えば、下記(2)式で定義される。下記(2)式において、θh_R_end(real)は、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角を示し、θh_L_end(real)は、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角を示している。
【0092】
θhth<|θh_R_end(real)-θh_L_end(real)|・・・(2)
【0093】
ここで、ステップS13で取得した右側最大操舵角θh_R_endと、ステップS14で取得した左側最大操舵角θh_L_endとの差分の絶対値が閾値θhth未満(|θh_R_end-θh_L_end|<θhth)である場合(ステップS15;No)、反力用モータ61を駆動している間に(ステップS131、又は、ステップS141)、ハンドル1に何らかの物理的な外力が作用して、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上となったことが考えられる(ステップS132;Yes、又は、ステップS142;Yes)。この場合には、ステップS16に移行し、ハンドル位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nがハンドル位置補正処理の実施回数の最大値Nth以上であるか否か(N≧Nth)を判定し(ステップS16)、N<Nthである場合には(ステップS16;No)、ステップS12の処理に戻り、上述した処理を再試行する。N≧Nthである場合(ステップS16;Yes)、ハンドル位置補正処理を中断する。
【0094】
右側最大操舵角θh_R_endと左側最大操舵角θh_L_endとの差分の絶対値(|θh_R_end-θh_L_end|)が閾値θhth以上(|θh_R_end-θh_L_end|≧θhth)である場合(ステップS15;Yes)、ステップS13で取得した右側最大操舵角θh_R_end、及び、ステップS14で取得した左側最大操舵角θh_L_endは、それぞれ、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角、及び、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角が取得できたものと判断できる。すなわち、ステップS13で取得した右側最大操舵角θh_R_endと、ステップS14で取得した左側最大操舵角θh_L_endとの中点を、ハンドル1の中立位置θh_cenと見做すことができる。ECU50は、下記(3)式を用いて、ハンドル1の中立位置θh_cenを算出する(ステップS17)。
【0095】
θh_cen=θh_L_end+(θh_R_end-θh_L_end)/2・・・(3)
【0096】
ここで、ハンドル1の中立位置θh_cenを「0」にオフセットしても良い。この場合、右側最大操舵角θh_R_endは、ステップS13で取得した値に対して、上記(3)式により算出した中立位置θh_cenだけオフセットした値となり、左側最大操舵角θh_L_endは、ステップS14で取得した値に対して、上記(3)式により算出した中立位置θh_cenだけオフセットした値となる。
【0097】
続いて、ECU50は、目標操舵角θh_tpを算出する(ステップS18)。目標操舵角θh_tpは、例えば、ハンドル1の中立位置θh_cenであっても良いし、転舵角θtの現在位置θt_absに対応する所定位置であっても良い。
【0098】
ECU50は、図7に示すように、ハンドル1の現在位置θh_absが目標操舵角θh_tp以上となるまで(ステップS20;Yes)、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS19、図7中の(3))。ハンドル1の現在位置θh_absが、目標操舵角θh_tp以上となった時点で、反力用モータ61の駆動が停止されるため、現在位置θh_absと目標操舵角θh_tpとを一致させることができる。すなわち、ハンドル1を目標操舵角θh_tpの位置まで移動させることができる。
【0099】
なお、ハンドル1の現在位置θh_absが目標操舵角θh_tp以上となるまで、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動することに代えて、ハンドル1の現在位置θh_absが、目標操舵角θh_tpを含む所定の角度範囲内の値となるまで、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力モータ61を駆動してもよい。例えば、転舵角θtの現在位置θt_absから算出した目標操舵角θh_tpが60°である場合、ハンドル1の現在位置θh_absが、60±1°の範囲に入るまでハンドル1が右方向に操舵するように、反力モータ61を操舵してもよい。
【0100】
要するに、目標操舵角θh_tpとほぼ一致する位置まで、ハンドル1を駆動させればよい。
【0101】
ECU50は、ハンドル1の現在位置θh_absが目標操舵角θh_tp以上となると(ステップS20;Yes)、ハンドル位置補正処理を終了する。
【0102】
(変形例1)
図8は、実施形態1の変形例1に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図9は、実施形態1の変形例1に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図10は、実施形態1の変形例1に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。
【0103】
トルクセンサ10は、舵角センサ14と同一パッケージの部品として構成される場合がある。例えば、図1に示す舵角センサ14により操舵角θhを検出できない場合、同時に、トルクセンサ10により操舵トルクTsを検出できない可能性がある。ここでは、反力用モータ61の電流値Imr(図1参照)を用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0104】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図8に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0105】
ECU50は、図10に示すように、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS131、図10中の(1))、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が予め設定された電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS132a)。
【0106】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS132a;No)、ステップS131の処理に戻る。
【0107】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS132a;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0108】
続いて、ECU50は、図9に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0109】
ECU50は、図10に示すように、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS141、図10中の(2))、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS142a)。
【0110】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS142a;No)、ステップS141の処理に戻る。
【0111】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS142a;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0112】
(変形例2)
図11は、実施形態1の変形例2に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図12は、実施形態1の変形例2に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図13は、実施形態1の変形例2に係るハンドル位置補正処理における動作を説明する図である。ここでは、反力用モータ61の角速度ωrを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。反力用モータ61の角速度ωrは、角度センサ74により検出される反力用モータ61のモータ角θhmを時間微分することにより得られる。
【0113】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図11に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0114】
ECU50は、図13に示すように、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS131、図13中の(1))、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が予め設定された角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS132b)。
【0115】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS132b;No)、ステップS131の処理に戻る。
【0116】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS132b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0117】
続いて、ECU50は、図12に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0118】
ECU50は、図13に示すように、図4に示すステップS14において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS141、図13中の(2))、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS142b)。
【0119】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS142b;No)、ステップS141の処理に戻る。
【0120】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS142b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0121】
(変形例3)
図14は、実施形態1の変形例3に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図15は、実施形態1の変形例3に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTs、反力用モータ61の電流値Imr、及び反力用モータ61の角速度ωrを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0122】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図14に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0123】
ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS131)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS132)。
【0124】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS132;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS132a)。
【0125】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未(|Imr|<Imrth)満であれば(ステップS132a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS132b)。
【0126】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS132b;No)、ステップS131の処理に戻る。
【0127】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS132;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS132a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下(|ωr|≦ωrth)となると(ステップS132b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0128】
続いて、ECU50は、図15に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0129】
ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動し(ステップS141)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS142)。
【0130】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS142;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS142a)。
【0131】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)であれば(ステップS142a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS142b)。
【0132】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS142b;No)、ステップS141の処理に戻る。
【0133】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS142;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS142a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS142b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0134】
これにより、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTs、反力用モータ61の電流値Imr、及び反力用モータ61の角速度ωrのいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0135】
(変形例4)
図16A及び図16Bは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が速い場合の具体例を示す図である。図17A及び図17Bは、ハンドル位置補正処理において相対的に反力用モータの駆動速度が遅い場合の具体例を示す図である。図16A及び図17Aは、反力用モータ61の角速度ωrの時間変化を示し、図16B及び図17Bは、上記(1)式により反力用モータ61のモータ角θhmから取得される操舵角θhの時間変化を示している。
【0136】
図16A及び図16Bに示すように、上述したハンドル位置補正処理において、反力用モータ61の駆動速度が相対的に速い場合、時刻t_endにおいて、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角θh_R_end(real)、あるいは、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角θh_L_end(real)において跳ね返りが生じ、ハンドル位置補正処理において取得するハンドル1の右側最大操舵角θh_R_end、あるいは、ハンドル1の左側最大操舵角θh_L_endの精度が低下する可能性がある。具体的には、例えば、実施形態1において説明した、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTsを用いて右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する場合に、時刻t_endにおいて操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となった時点(ステップS132;Yes)から、実際に操舵角θhの現在位置θh_absを取得するまでにタイムラグΔtが生じた場合、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角θh_R_end(real)、あるいは、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角θh_L_end(real)からかけ離れた値がハンドル1の右側最大操舵角θh_R_end、あるいは、ハンドル1の左側最大操舵角θh_L_endとして取得される可能性がある。
【0137】
これに対し、図17A及び図17Bに示すように、反力用モータ61の駆動速度が相対的に遅い場合、時刻t_endにおいて、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角θh_R_end(real)、あるいは、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角θh_L_end(real)において生じる跳ね返りを抑制することができ、ハンドル1の右側最大操舵角θh_R_end、あるいは、ハンドル1の左側最大操舵角θh_L_endの取得精度を高めることができる。一方、反力用モータ61の駆動速度を遅くすると、ハンドル位置補正処理にかかる時間が長くなる。
【0138】
図18は、実施形態1の変形例4に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図19は、実施形態1の変形例4に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTsを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0139】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図18に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0140】
ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS131a)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS132)。
【0141】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満である(|Ts|<Tth)場合(ステップS132;No)、ステップS131aの処理に戻る。
【0142】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS132;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS135)、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS134)。
【0143】
所定時間Tが経過すると(ステップS135;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS136)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS137)。
【0144】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満である(|Ts|<Tth)場合(ステップS137;No)、ステップS136の処理に戻る。
【0145】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS137;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0146】
続いて、ECU50は、図19に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0147】
ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS141a)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS142)。
【0148】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)である場合(ステップS142;No)、ステップS141aの処理に戻る。
【0149】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS142;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS145)、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS144)。
【0150】
所定時間Tが経過すると(ステップS145;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS146)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS147)。
【0151】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満である(|Ts|<Tth)場合(ステップS147;No)、ステップS146の処理に戻る。
【0152】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となると(ステップS147;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0153】
これにより、ハンドル1の物理的な右側最大操舵角θh_R_end(real)、あるいは、ハンドル1の物理的な左側最大操舵角θh_L_end(real)において生じる跳ね返りを抑制して、ハンドル1の右側最大操舵角θh_R_end、あるいは、ハンドル1の左側最大操舵角θh_L_endの取得精度を高めつつ、ハンドル位置補正処理にかかる時間を短縮することができる。
【0154】
(変形例5)
図20は、実施形態1の変形例5に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図21は、実施形態1の変形例5に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、反力用モータ61の電流値Imr(図1参照)を用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0155】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図20に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0156】
ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS131a)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS132a)。
【0157】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS132a;No)、ステップS131aの処理に戻る。
【0158】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS132a;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS135)、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS134)。
【0159】
所定時間Tが経過すると(ステップS135;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS136)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS137a)。
【0160】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS137a;No)、ステップS136の処理に戻る。
【0161】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS137a;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0162】
続いて、ECU50は、図19に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0163】
ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS141a)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS142a)。
【0164】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS142a;No)、ステップS141aの処理に戻る。
【0165】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS142a;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS145)、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS144)。
【0166】
所定時間Tが経過すると(ステップS145;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS146)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS147a)。
【0167】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)である場合(ステップS147a;No)、ステップS146の処理に戻る。
【0168】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となると(ステップS147a;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0169】
(変形例6)
図22は、実施形態1の変形例6に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図23は、実施形態1の変形例6に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、反力用モータ61の角速度ωrを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0170】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図22に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0171】
ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS131a)、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS132b)。
【0172】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS132b;No)、ステップS131aの処理に戻る。
【0173】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS132b;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS135)、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS134)。
【0174】
所定時間Tが経過すると(ステップS135;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS136)、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS137b)。
【0175】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS137b;No)、ステップS136の処理に戻る。
【0176】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS132b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0177】
続いて、ECU50は、図19に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0178】
ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS141a)、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS142b)。
【0179】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS142b;No)、ステップS141aの処理に戻る。
【0180】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS142b;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS145)、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS144)。
【0181】
所定時間Tが経過すると(ステップS145;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS146)、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS147b)。
【0182】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS147b;No)、ステップS146の処理に戻る。
【0183】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS142b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0184】
(変形例7)
図24は、実施形態1の変形例7に係る右側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図25は、実施形態1の変形例7に係る左側最大操舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTs、反力用モータ61の電流値Imr、及び反力用モータ61の角速度ωrを用いて、右側最大操舵角θh_R_end及び左側最大操舵角θh_L_endを取得する例について説明する。
【0185】
ECU50は、図4に示すステップS12の処理の後、図18に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS13)。
【0186】
ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS131a)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS132)。
【0187】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS132;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS132a)。
【0188】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未(|Imr|<Imrth)満であれば(ステップS132a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS132b)。
【0189】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS132b;No)、ステップS131aの処理に戻る。
【0190】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS132;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS132a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS132b;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS135)、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS134)。
【0191】
所定時間Tが経過すると(ステップS135;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS13において、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS136)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS137)。
【0192】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS137;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS137a)。
【0193】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)であれば(ステップS137a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS137b)。
【0194】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS137b;No)、ステップS136の処理に戻る。
【0195】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS137;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS137a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS137b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、右側最大操舵角θh_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS133)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0196】
続いて、ECU50は、図19に示す左側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS14)。
【0197】
ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1で駆動し(ステップS141a)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS142)。
【0198】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS142;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS142a)。
【0199】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)であれば(ステップS142a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS142b)。
【0200】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS142b;No)、ステップS141aの処理に戻る。
【0201】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS142;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS142a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS142b;Yes)、ECU50は、所定時間Tが経過するまで(ステップS145)、ハンドル1を右方向に操舵させるように反力用モータ61を駆動する(ステップS144)。
【0202】
所定時間Tが経過すると(ステップS145;Yes)、ECU50は、図4に示すステップS14において、ハンドル1を左方向に操舵させるように反力用モータ61を第1角速度ωr1よりも相対的に遅い第2角速度ωr2で駆動し(ステップS146)、操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上であるか否か(|Ts|≧Tth)を判定する(ステップS147)。
【0203】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth未満(|Ts|<Tth)であれば(ステップS147;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上であるか否か(|Imr|≧Imrth)を判定する(ステップS147a)。
【0204】
反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth未満(|Imr|<Imrth)であれば(ステップS147a;No)、続いて、ECU50は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下であるか否か(|ωr|≦ωrth)を判定する(ステップS147b)。
【0205】
反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrthよりも大きい(|ωr|>ωrth)場合(ステップS147b;No)、ステップS146の処理に戻る。
【0206】
操舵トルクTsの絶対値|Ts|がトルク閾値Tth以上(|Ts|≧Tth)となるか(ステップS147;Yes)、反力用モータ61の電流値Imrの絶対値|Imr|が電流閾値Imrth以上(|Imr|≧Imrth)となるか(ステップS147a;Yes)、又は、反力用モータ61の角速度ωrの絶対値|ωr|が角速度閾値ωrth以下となると(ステップS147b;Yes)、ECU50は、そのときの操舵角θhの現在位置θh_absを、左側最大操舵角θh_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS143)、図4に示すハンドル位置補正処理に戻る。
【0207】
これにより、トルクセンサ10で検出される操舵トルクTs、反力用モータ61の電流値Imr、及び反力用モータ61の角速度ωrのいずれか1つが正常であれば、ハンドル位置補正処理を実行することができる。
【0208】
上述した実施形態1に係るハンドル位置補正処理により、ハンドル1の中立位置θh_cenが補正され、何らかの物理的な力がハンドル1に作用することによる操舵角θhの現在位置θh_absと転舵角θtの現在位置θt_absとの相対的なズレを吸収することができる。
【0209】
(実施形態2)
実施形態1では、ハンドル1の中立位置θt_cenを補正するハンドル位置補正処理について説明した。本実施形態では、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenを補正する操向車輪位置補正処理について説明する。
【0210】
転舵角θtと転舵用モータ71のモータ角θtmとの関係は、下記(4)式に示される。(4)式において、k2は、ギア72のギア比により与えられる係数である。
【0211】
θt=k2×θtm・・・(4)
【0212】
例えば、図1に示す角度センサ73が転舵用モータ71のモータ角θtmを検出する構成では、ECU50は、上記(4)式により操向車輪8L,8Rの現在位置を取得する。具体的に、ECU50は、車両の走行中において、転舵角θtの前回値に対し、転舵角θtの時間変化分Δθtを積み上げて現在位置θt_absを算出し、順次、EEPROM1004に記憶する。
【0213】
この場合、例えば、車両の停車中に操向車輪8L,8Rに何らかの物理的な外力が作用すると、車両の走行中においてEEPROM1004に記憶された操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absとの間にズレが生じ、操向車輪8L,8Rの現在位置の取得処理を開始したときに誤差が生じる可能性がある。また、車両の走行中において誤差が蓄積し、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenがずれる可能性がある。
【0214】
図26は、実施形態2に係る操向車輪位置補正処理の一例を示すフローチャートである。図27は、実施形態2に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図28は、実施形態2に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図29は、実施形態2に係る操向車輪位置補正処理における動作を説明する図である。ここでは、転舵用モータ71の電流値Imd(図1参照)を用いて、右側最大転舵角θt_R_end及び左側最大転舵角θt_L_endを取得する例について説明する。
【0215】
図26に示す操向車輪位置補正処理は、例えば、ECU50の起動時に行うことができる。なお、操向車輪位置補正処理を行うタイミングは、ECU50の起動時に限定されず、例えば、ECU50の停止前に行われる態様であっても良い。
【0216】
ECU50の起動毎または停止毎に位置補正処理を行うことは煩雑であるため、運転者がハンドル1と、転舵角θtとの間のずれを認識した場合に、図示しないボタンやタッチパネルを操作することにより、ハンドル位置補正処理を行う態様であることが望ましい。
【0217】
ECU50は、まず、操向車輪位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nを初期化(N=0)する(ステップS21)。操向車輪位置補正処理の実施回数の最大値Nthは、例えば3に予め設定されている。
【0218】
続いて、ECU50は、操向車輪位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nを加算(N=N+1)し(ステップS22)、図27に示す右側最大操舵角取得処理を実行する(ステップS23)。
【0219】
ECU50は、図29に示すように、図26に示すステップS23において、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS231、図29中の(1))、転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が予め設定された電流閾値Imdth以上であるか否か(|Imd|≧Imdth)を判定する(ステップS232)。
【0220】
最大操舵角θt_R_endまたはθt_L_endに達すると、ピニオンラック機構5を構成するラックバーの並進移動を機械的に規制する並進ストッパと当接し、ラックバーの並進移動が規制される。ラックバーの並進移動が規制された状態では、転舵角θtと目標転舵角との間に乖離が発生するため、ECU50は、この乖離を減少させようとして、転舵用モータ71の供給する電流を増加させる。すなわち、転舵用モータ71に供給される電流値Imdと電流閾値Imdthとを比較することにより、最大操舵角θt_R_endまたはθt_L_endを検出することができる。
【0221】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth未満である(|Imr|<Imdth)場合(ステップS232;No)、ステップS231の処理に戻る。
【0222】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上(|Imd|≧Imdth)となると(ステップS232;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、右側最大転舵角θt_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS233)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0223】
続いて、ECU50は、図28に示す左側最大転舵角取得処理を実行する(ステップS24)。
【0224】
ECU50は、図29に示すように、図26に示すステップS24において、操向車輪8L,8Rを左方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS241、図29中の(2))、転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上であるか否か(|Imd|≧Imdth)を判定する(ステップS242)。
【0225】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdthである(|Imd|<Imdth)場合(ステップS242;No)、ステップS241の処理に戻る。
【0226】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上(|Imd|≧Imdth)となると(ステップS242;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、左側最大転舵角θt_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS243)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0227】
ECU50は、ステップS23で取得した右側最大転舵角θt_R_endと、ステップS24で取得した左側最大転舵角θt_L_endとの差分の絶対値(|θt_R_end-θt_L_end|)が閾値θtth以上であるか否か(|θt_R_end-θt_L_end|≧θtth)を判定する(ステップS25)。閾値θtthは、操向車輪8L,8Rの物理的な可動範囲を基準として予め設定されている。閾値θtthは、例えば、下記(5)式で定義される。下記(5)式において、θt_R_end(real)は、操向車輪8L,8Rの物理的な右側最大転舵角を示し、θt_L_end(real)は、操向車輪8L,8Rの物理的な左側最大転舵角を示している。
【0228】
θtth<|θt_R_end(real)-θt_L_end(real)|・・・(5)
【0229】
ここで、ステップS23で取得した右側最大転舵角θt_R_endと、ステップS24で取得した左側最大転舵角θt_L_endとの差分の絶対値が閾値θtth未満(|θt_R_end-θt_L_end|<θtth)である場合(ステップS25;No)、転舵用モータ71を駆動している間に(ステップS231、又は、ステップS241)、転舵用モータ71に何らかの物理的な外力が作用して、転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上となったことが考えられる(ステップS232;Yes、又は、ステップS242;Yes)。この場合には、ステップS26に移行し、操向車輪位置補正処理の実施回数のカウンタ値Nが操向車輪位置補正処理の実施回数の最大値Nth以上であるか否か(N≧Nth)を判定し(ステップS26)、N<Nthである場合には(ステップS26;No)、ステップS22の処理に戻り、上述した処理を再試行する。N≧Nthである場合(ステップS26;Yes)、操向車輪位置補正処理を中断する。
【0230】
右側最大転舵角θt_R_endと左側最大転舵角θt_L_endとの差分の絶対値(|θt_R_end-θt_L_end|)が閾値θtth以上(|θt_R_end-θt_L_end|≧θtth)である場合(ステップS25;Yes)、ステップS23で取得した右側最大転舵角θt_R_end、及び、ステップS24で取得した左側最大転舵角θt_L_endは、それぞれ、操向車輪8L,8Rの物理的な右側最大転舵角、及び、操向車輪8L,8Rの物理的な左側最大転舵角が取得できたものと判断できる。すなわち、ステップS23で取得した右側最大転舵角θt_R_endと、ステップS24で取得した左側最大転舵角θt_L_endとの中点を、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenと見做すことができる。ECU50は、下記(6)式を用いて、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenを算出する(ステップS27)。
【0231】
θt_cen=θt_L_end+(θt_R_end-θt_L_end)/2・・・(6)
【0232】
ここで、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenを「0」にオフセットしても良い。この場合、右側最大転舵角θt_R_endは、ステップS23で取得した値に対して、上記(6)式により算出した中立位置θt_cenだけオフセットした値となり、左側最大転舵角θt_L_endは、ステップS24で取得した値に対して、上記(6)式により算出した中立位置θt_cenだけオフセットした値となる。
【0233】
続いて、ECU50は、目標転舵角θt_tpを算出する(ステップS28)。目標転舵角θt_tpは、例えば、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenであっても良いし、操舵角θhの現在位置θh_absに対応する所定位置であっても良い。
【0234】
ECU50は、図29に示すように、操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが目標転舵角θt_tp以上となるまで(ステップS30;Yes)、操向車輪8L,8Rを右方向に操舵させるように転舵用モータ71を駆動する(ステップS29、図29中の(3))。操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが、目標転舵角θt_tp以上となった時点で、転舵用モータ71の駆動が停止されるため、現在位置θt_absと目標転舵角θt_tpとを一致させることができる。すなわち、操向車輪8L,8Rを目標転舵角θt_tpの位置まで移動させることができる。
【0235】
なお、操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが目標転舵角θt_tp以上となるまで、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動することに代えて、操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが、目標転舵角θt_tpを含む所定の角度範囲内の値となるまで、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動してもよい。例えば、操舵角θhの現在位置θh_absから算出した目標転舵角θt_tpが60°である場合、操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが、60±1°の範囲に入るまで操向車輪8L,8Rが右方向に転舵するように、転舵用モータ71を転舵してもよい。
【0236】
要するに、目標転舵角θt_tpとほぼ一致する位置まで、操向車輪8L,8Rを駆動させればよい。
【0237】
ECU50は、操向車輪8L,8Rの現在位置θt_absが目標転舵角θt_tp以上となると(ステップS30;Yes)、操向車輪位置補正処理を終了する。
【0238】
(変形例1)
図30は、実施形態2の変形例1に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図31は、実施形態2の変形例1に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図32は、実施形態2の変形例1に係る操向車輪位置補正処理における動作を説明する図である。ここでは、転舵用モータ71の角速度ωdを用いて、右側最大転舵角θt_R_end及び左側最大転舵角θt_L_endを取得する例について説明する。転舵用モータ71の角速度ωdは、角度センサ73により検出される転舵用モータ71のモータ角θtmを時間微分することにより得られる。
【0239】
ECU50は、図26に示すステップS22の処理の後、図30に示す右側最大転舵角取得処理を実行する(ステップS23)。
【0240】
ECU50は、図32に示すように、図26に示すステップS23において、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS231、図32中の(1))、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が予め設定された角速度閾値ωdth以下であるか否か(|ωd|≦ωdth)を判定する(ステップS232b)。
【0241】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdthよりも大きい(|ωd|>ωdth)場合(ステップS232b;No)、ステップS231の処理に戻る。
【0242】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下となると(ステップS232b;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、右側最大転舵角θt_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS233)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0243】
続いて、ECU50は、図31に示す左側最大転舵角取得処理を実行する(ステップS24)。
【0244】
ECU50は、図32に示すように、図26に示すステップS24において、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS241、図32中の(2))、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下であるか否か(|ωd|≦ωdth)を判定する(ステップS242b)。
【0245】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdthよりも大きい(|ωd|>ωdth)場合(ステップS242b;No)、ステップS241の処理に戻る。
【0246】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下となると(ステップS242b;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、左側最大転舵角θt_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS243)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0247】
(変形例2)
図33は、実施形態2の変形例2に係る右側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。図34は、実施形態2の変形例2に係る左側最大転舵角取得処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、転舵用モータ71の電流値Imd、及び転舵用モータ71の角速度ωdを用いて、右側最大転舵角θt_R_end及び左側最大転舵角θt_L_endを取得する例について説明する。
【0248】
ECU50は、図26に示すステップS22の処理の後、図33に示す右側最大転舵角取得処理を実行する(ステップS23)。
【0249】
ECU50は、図26に示すステップS23において、操向車輪8L,8Rを右方向に転舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS231)、転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上であるか否か(|Imd|≧Imdth)を判定する(ステップS232a)。
【0250】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth未満(|Imd|<Imdth)であれば(ステップS232a;No)、続いて、ECU50は、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下であるか否か(|ωd|≦ωdth)を判定する(ステップS232b)。
【0251】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdthよりも大きい(|ωd|>ωdth)場合(ステップS232b;No)、ステップS231の処理に戻る。
【0252】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上(|Imd|≧Imdth)となるか(ステップS232a;Yes)、又は、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下(|ωd|≦ωdth)となると(ステップS232b;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、右側最大転舵角θt_R_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS233)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0253】
続いて、ECU50は、図34に示す左側最大転舵角取得処理を実行する(ステップS24)。
【0254】
ECU50は、図26に示すステップS24において、操向車輪8L,8Rを左方向に操舵させるように転舵用モータ71を駆動し(ステップS241)、転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上であるか否か(|Imd|≧Imdth)を判定する(ステップS242a)。
【0255】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth未満(|Imd|<Imdth)であれば(ステップS242a;No)、続いて、ECU50は、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下であるか否か(|ωd|≦ωdth)を判定する(ステップS242b)。
【0256】
転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdthよりも大きい(|ωd|>ωdth)場合(ステップS242b;No)、ステップS241の処理に戻る。
【0257】
転舵用モータ71の電流値Imdの絶対値|Imd|が電流閾値Imdth以上(|Imd|≧Imdth)となるか(ステップS242a;Yes)、又は、転舵用モータ71の角速度ωdの絶対値|ωd|が角速度閾値ωdth以下(|ωd|≦ωdth)となると(ステップS242b;Yes)、ECU50は、そのときの転舵角θtの現在位置θt_absを、左側最大転舵角θt_L_endとしてEEPROM1004に記憶し(ステップS243)、図26に示す操向車輪位置補正処理に戻る。
【0258】
これにより、転舵用モータ71の電流値Imd、及び転舵用モータ71の角速度ωdのいずれか1つが正常であれば、操向車輪位置補正処理を実行することができる。
【0259】
上述した実施形態2に係る操向車輪位置補正処理により、操向車輪8L,8Rの中立位置θt_cenが補正され、何らかの物理的な力が操向車輪8L,8Rに作用することによる転舵角θtの現在位置θt_absと操舵角θhの現在位置θh_absとの相対的なズレを吸収することができる。
【0260】
なお、操向車輪8L,8Rの転舵トルクを検出するトルクセンサを備えた構成である場合には、当該トルクセンサで検出された転舵トルクを用いて、右側最大転舵角θt_R_end及び左側最大転舵角θt_L_endを取得することも可能である。
【0261】
(実施形態3)
図35及び図36は、実施形態3に係る位置補正処理の一例を示すフローチャートである。
【0262】
図35に示すように、例えば、実施形態1において説明したハンドル位置補正処理(ステップS1)を実行した後に、実施形態2において説明した操向車輪位置補正処理(ステップS2)を実行する態様であっても良い。あるいは、これに限らず、例えば、実施形態2において説明した操向車輪位置補正処理(ステップS2)を実行した後に、実施形態1において説明したハンドル位置補正処理(ステップS1)を実行する態様であっても良い。
【0263】
また、図36に示すように、例えば、実施形態1において説明したハンドル位置補正処理(ステップS1)と、実施形態2において説明した操向車輪位置補正処理(ステップS2)とを平行して実行する態様であっても良い。
【0264】
なお、上述で使用した図は、本開示に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本開示の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0265】
1 ハンドル
2 コラム軸
3 減速機構
5 ピニオンラック機構
6a,6b タイロッド
7a,7b ハブユニット
8L,8R 操向車輪
10 トルクセンサ
11 イグニションキー
12 車速センサ
13 バッテリ
14 舵角センサ
50 コントロールユニット(ECU)
60 反力装置
61 反力用モータ
70 駆動装置
71 転舵用モータ
72 ギア
73 角度センサ
74 角度センサ
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 EEPROM
1005 インターフェース
1006 A/D変換器
1007 PWMコントローラ
1100 制御用コンピュータ(MCU)
Imd 電流値(転舵用モータ)
Imr 電流値(反力用モータ)
Ts 操舵トルク
θh 操舵角
θh_abs 現在位置(操舵角)
θh_cen 中立位置(ハンドル)
θh_L_end 左側最大操舵角
θh_R_end 右側最大操舵角
θhm モータ角(反力用モータ)
θt 転舵角
θt_abs 現在位置(転舵角)
θt_cen 中立位置(操向車輪)
θt_L_end 左側最大転舵角
θt_R_end 右側最大転舵角
θtm モータ角(転舵用モータ)
ωd 角速度(転舵用モータ)
ωr 角速度(反力用モータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36