(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022907
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】生産データ管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230209BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230209BHJP
B65B 23/02 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
B65B23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128005
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】才田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】福島 直人
【テーマコード(参考)】
3C100
3E043
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA34
3C100AA56
3C100AA62
3C100BB05
3C100BB15
3C100BB27
3C100BB33
3C100EE14
3E043AA01
3E043BA19
3E043DB04
3E043GA10
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】生産設備の事情に合わせた生産データ管理が行えるシステムを提供する。
【解決手段】本発明の生産データ管理システム1は、卵製品の生産設備で得られる卵製品の生産データを管理するシステムであって、卵製品の生産設備の搬送部11、12、13上で計測または検査される卵のデータまたは卵製品に用いられる資材のデータをロットごとに記録する記録部2と、記録された複数のロットの中から特定された通常稼働時以外のロットの情報を利用するか否かを選択する選択部4を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵製品の生産設備で得られる卵製品の生産データを管理するシステムであって、
前記卵製品の生産設備の搬送部上で計測または検査される卵のデータまたは卵製品に用いられる資材のデータをロットごとに記録する記録部と、
記録された複数のロットの中から特定された通常稼働時以外のロットの情報を利用するか否かを選択する選択部とを備える、生産データ管理システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記通常稼働時以外のロットのデータを集計データに算入するか否かが選択される、請求項1記載の生産データ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産データ管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産データを用いて処理を行うものとして、卵の選別装置に設けられた各検査装置の検査結果をもとに卵のハンドリングを行うものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来、卵の選別装置の分野においては、消費者からのクレームの原因となる汚卵やヒビ卵、血卵といった不良卵を取り除くことができれば十分であったため、各検査装置から得られた画像データや、振動データなどの情報量の大きな検査結果に簡易な処理を施して生成される、卵のハンドリングに必要なデータのみが利用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の情報技術の進展・高度化により、様々な分野において、検査装置から得られる検査結果をいわゆるビッグデータとして解析し、新たな製品やサービスの開発に役立てようとする傾向が顕著である。そして、卵の選別装置などを備える卵製品の生産設備においても、各検査装置から得られる検査結果を活用したいというニーズが存在する。
【0006】
一方で、卵製品の生産設備では、通常、計測または検査する装置等が正しく動作しているかについて、テスト用の卵を用いて日常的にチェックを行うため、計測結果や検査結果をどのように収集するかが課題となっていた。
【0007】
本発明は、生産設備の事情に合わせた生産データ管理が行えるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生産データ管理システムは、卵製品の生産設備で得られる卵製品の生産データを管理するシステムであって、前記卵製品の生産設備の搬送部上で計測または検査される卵のデータまたは卵製品に用いられる資材のデータをロットごとに記録する記録部と、記録された複数のロットの中から特定された通常稼働時以外のロットの情報を利用するか否かを選択する選択部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産設備の事情に合わせた生産データ管理が行えるシステムを提供できる。
【0010】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる生産データ管理システムが適用される選別装置を示す平面図である。
【
図3】同実施形態の選別装置の運転状況の一例を示す図である。
【
図4】同実施形態の生産データ管理システムを用いたデータ管理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態にかかる卵製品の生産データ管理システム1は、卵製品を生産する生産設備に用いられる。生産設備は、例えば、
図1に示すような、卵の選別装置10である。
【0013】
卵の選別装置10は、例えば、第一搬送部11と、第二搬送部12と、第三搬送部13とを主体に構成される。第一搬送部11は、複数の検査装置14を備える。第一搬送部11と第二搬送部12との間には、計量装置15が設けられる。第二搬送部12は、検査装置16と、複数の分配装置17を備える。第三搬送部13は、分配装置17での分配後の卵Eが搬送される。第三搬送部13は、例えば、卵パックなどの容器に入った状態の卵Eが搬送される。第三搬送部13にも、検査装置(図示しない)を備える。
【0014】
検査装置14、16は、卵Eの状態を表すデータを取得する。データは、例えば、画像データ、音データ、光量データ、圧力データなどである。
【0015】
なお、各搬送部11、12、13と計量装置15と検査装置14、16は、通常稼働時間帯に使われるだけではなく、通常稼働時以外にも使われる。通常稼働時間帯とは、生産設備が通常の稼働をしている時間帯を指す。一方、通常稼働時以外には、生産をしている途中になんらかの不具合が見つかった時間帯や、生産設備の稼働は行われるが卵製品の直接の生産を行わない非生産時間帯などが含まれる。通常稼働時以外の一例としては、メンテナンスなどの目的のために、通常稼働時間帯の前または後に卵Eを用いた生産設備の試験運転をする時間帯が挙げられる。
【0016】
卵製品の生産データ管理システム1は、卵製品の生産設備を用いて生産される卵製品の生産データを管理するシステムである。卵製品の生産データ管理システム1は、記録部2と、特定部3と、選択部4と、表示部5とを備える。
【0017】
記録部2は、搬送部11、12、13上で計測または検査される卵Eのデータをロットごとに記録する。記録部2は、各検査装置14、16から得られるデータを記録する。また、記録部2は、計量装置15から得られるデータを記録する。記録部2は、データをロットごとに記録する。ロットは、例えば生産計画に基づいて生産者が指定したり、生産設備の稼働が停止したタイミングで設定したりする。ロットは、番号をつけて管理してもよいし、
図2に示すように時刻情報と関連づけて管理してもよい。
【0018】
表示部5は、設定操作される選択部4の状態を表示する。一例としては、表示部5は、
図2のような内容を表示する。
図2は、
図3のような卵の選別装置10の運転がされた場合の生産履歴表示の一例である。表示部5は、ロットごとに生産が終了した後に、または、一日の生産の終了後に、生産設備を用いた卵Eの生産内容を表示する。
【0019】
特定部3は、記録された複数のロットのうち通常稼働時以外のロットを特定する。本実施形態では、例えば、作業者や管理者がロット番号や生産時間帯をキーとして、通常稼働時以外のロットを特定する。特定部3は、通常稼働時以外のロットを自動で特定するものであってもよい。通常稼働時以外のロットに名前を付けたり、逆に通常稼働時のロットに名前を付けることで通常稼働時以外のロットを特定してもよい。
【0020】
選択部4は、特定部3で特定した情報を利用するか否かを選択する。ここで、「利用」とは、例えば、集計、収集、出力などを意味する。選択部4の具体的な一例は、記録された複数のロットのうち、各ロットのデータを集計データに算入するか否かが選択されるものである。複数のロットを生産日ごとに利用するものであってもよいし、複数日にわたる複数のロットをまとめて利用するものであってもよい。選択部4は、例えばタッチパネル式の表示部5に設けられている。選択部4は、例えば、卵製品を生産する生産設備の通常稼働時以外のロットを集計データに算入するか否かが選択される。
【0021】
例えば、
図2で示す8時44分から8時49分までの稼働で得られるデータは、一つのロットとしてまとめられている。生産時刻の右側に設けられているボタンは、後述する設定操作を行うためのボタンである。ボタンは右(黒丸で表示)に操作されており、このデータは、生産を管理するデータには算入されていない「無効」の状態である。このデータは、
図3の「テスト運転」に対応しており、「非生産時間帯」のデータである。
【0022】
8時56分から9時35分までの稼働で得られるデータは、一つのロットとしてまとめられている。ボタンは左(白丸で表示)に操作されており、このデータは、生産を管理するデータに算入されている「有効」の状態である。このデータは、
図3の「A農場のたまごa」に対応しており、「通常稼働時間帯」のデータである。
【0023】
9時52分から10時26分までの稼働で得られるデータは、一つのロットとしてまとめられている。ボタンは左(白丸で表示)に操作されており、このデータは、生産を管理するデータに算入されている「有効」の状態である。このデータは、
図3の「B農場のたまごb」に対応しており、「通常稼働時間帯」のデータである。以下、10時32分以降のデータについても同様である。
なお、
図2では、複数のロットを一画面で表示して、それぞれのロットに対応する選択部4を一覧で表示するようにしているが、ロットごとの画面に選択部4を設けて一覧表示しないようなものであってもよい。
【0024】
次に、本実施形態の卵製品の生産データ管理システム1を用いたデータ管理方法の一例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
生産設備の搬送部11、12、13上で搬送されている卵Eに対して検査を行い(ステップS1)、記録部2は、それらの検査結果を記録する。選択部4での操作が行われるまでは、すべての検査データが「有効」にされている。
【0026】
次に、記録された検査結果が表示された表示部5を作業者や管理者が見て、「非生産時間帯」に該当する時間帯のデータを特定する。具体的には、ロットごとに付与されたロットの番号情報またはロットの時刻情報等のロットを特定する情報に基づいて、特定が行われる。そして、特定されたデータを「無効」に設定する作業を行う。すなわち、選択部4で、集計の設定操作が行われる(ステップS2)と、「無効」にされた一部の検査データを集計に反映させないように演算する(ステップS3)。言い換えれば、その時点で「有効」にされている検査データのみを集計する。
【0027】
ステップS2で集計の設定操作が行わなければ、初期値のまま、すなわち、その時点で「有効」にされているすべての検査データを集計する(ステップS4)。
【0028】
ステップS3、ステップS4で得られた集計結果を出力する(ステップS5)。集計した結果は、数値のみ表示してもよいし、時系列のグラフのような形式で表示してもよい。なお、「無効」になっているデータがあることがわかるような表示方法であってもよく、例えば、時系列のグラフにおいて、「無効」にされた一部の検査データの時間帯を空白にして表してもよい。
【0029】
なお、一旦、「無効」にした検査データを「有効」に変更して集計し直すことも可能である。また、この例では、検査データについて説明したが、計量データにも適用可能である。
【0030】
以上説明したように、本実施形態にかかる卵製品の生産データ管理システム1は、卵製品の生産設備を用いて生産される卵製品の生産データを管理するシステムであって、記録部2と、選択部4とを備える。記録部2は、卵製品の生産設備の搬送部11、12、13上で計測または検査される卵のデータをロットごとに記録する。選択部4は、記録された複数のロットの中から特定された通常稼働時以外のロットの情報を利用するか否かを選択する。このようなものであるため、生産設備の事情に合わせた卵Eの生産データ管理が行えるシステムを提供できる。選択部4での設定操作に基づいて、集計方法を変えた結果の表示を得ることができるため、目的に応じて、選別装置10で選別された卵Eの状態を直感的にとらえることが可能となる。
【0031】
選択部4は、通常稼働時以外のロットのデータを集計データに算入するか否かが選択されるので、生産設備の事情に合わせて卵Eの生産データ管理が行える。例えば、「無効」と設定したロットを利用しない、すなわち、集計データに算入しないことで、通常稼働時間帯のデータのみを得ることができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0033】
卵製品の生産設備は、選別装置10には限られない。例えば、ファームパッカーと呼ばれる卵の充填装置や、選別後の卵Eから卵製品を生産する生産ラインであってもよい。後者の場合、搬送部は、トレイまたはパックなどの容器を搬送するものであり、検査装置は、卵の状態を表すデータを取得するものの他、卵製品に用いられる資材(ラベル、テープ、容器など)の状態や枚数に関するデータを取得するものであってもよい。計測または検査される卵のデータまたは卵製品に用いられる資材のデータは、搬送部上で取得可能なものであれば、どのようなものであってもよい。搬送部は、鶏舎とGPセンターとをつなぐものであってもよい。
【0034】
選択部4で設定操作される内容は、「有効」または「無効」の2種類には限られない。複数種類の特定を行い、種類ごとに特定された情報を利用するか否かが選択されてもよい。
【0035】
特定部3は、通常稼働時以外のロットの特定を、複数のロットの記録を開始する前に行ってもよい。選択部4は、特定部3で特定した情報を利用するか否かの選択を、複数のロットの記録を開始する前に行ってもよい。逆に、特定部3は、通常稼働時以外のロットの特定を、複数のロットを記録した後に行ってもよい。選択部4は、特定部3で特定した情報を利用するか否かの選択を、複数のロットを記録した後に行ってもよい。
【0036】
特定部3で特定した情報は、数値データであってもよいし、画像データであってもよい。選択部4は、特定部3で特定した情報を収集するか否かを選択するものであってもよい。選択部4は、特定部3で特定した情報を出力するか否かを選択するものであってもよい。
【0037】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、卵製品の生産データ管理システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…生産データ管理システム
2…記録部
3…特定部
4…選択部
5…表示部
10…卵の選別装置
11、12、13…搬送部
14…検査装置
15…計量装置
16…検査装置
17…分配装置
E…卵