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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022936
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】皿組付構造及び飲食物提供方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/02 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A47G19/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128046
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 信
(72)【発明者】
【氏名】久保田 善行
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA11
3B001CC22
(57)【要約】
【課題】従来の皿組付構造においては、皿から取り外された状態の組付具が場所をとるという課題があった。
【解決手段】組付具51と、組付具51の上にある上皿11と、組付具51の下にある下皿21とを備え、組付具51は、上皿11の下方に露出する面と下皿21の上方に露出する面とにそれぞれ着脱可能に付着する付着手段を有し、組付具51に上皿11及び下皿21がそれぞれ付着している、皿組付構造100は、比較的コンパクトな組付具51を用いて構成可能なものである。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付具と、
前記組付具の上にある上皿と、
前記組付具の下にある下皿とを備え、
前記組付具は、前記上皿の下方に露出する面と前記下皿の上方に露出する面とにそれぞれ着脱可能に付着する付着手段を有し、
前記組付具に前記上皿及び前記下皿がそれぞれ付着している、皿組付構造。
【請求項2】
前記付着手段は、粘着性を有する部材により構成された粘着面である、請求項1に記載の皿組付構造。
【請求項3】
前記粘着面は、粘着性を有する高分子ゲルを用いて構成されている、請求項2に記載の皿組付構造。
【請求項4】
前記組付具は、
前記上皿に対向する粘着面を有する上層と、
前記下皿に対向する粘着面を有する下層と、
前記上層と前記下層との間にある中間層とを有する、請求項2又は3に記載の皿組付構造。
【請求項5】
前記組付具は、前記上皿の高台部と前記下皿の上方に露出する面との間に配置されているシート状部材である、請求項2から4のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項6】
前記付着手段は、前記組付具の上下にそれぞれ設けられた吸着部であり、
前記吸着部のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの吸盤を有している、請求項1に記載の皿組付構造。
【請求項7】
前記吸着部のうち少なくとも1つは、2以上の吸盤を有している、請求項6に記載の皿組付構造。
【請求項8】
前記組付具の上下方向の寸法は、前記上皿の下方に露出する面と前記下皿の上方に露出する面との間の上下方向の寸法よりも大きく、
前記組付具は、上下方向において弾性変形可能に構成されている、請求項1から7のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の皿組付構造を用意するステップと、
ユーザが使用するテーブルの近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置により駆動される搬送路上に、最も上にある皿の上に飲食物が配置されている状態で前記皿組付構造を配置するステップとを含む、飲食物提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2以上の飲食物提供皿を組み付けてなる皿組付構造及び飲食物提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食物収容皿に載せた寿司等の飲食物を、テーブルに沿って循環する搬送路で移動させるようにし、ユーザが、搬送路に沿って移動してくる飲食物を飲食物収容皿ごと取り出して、載せられていた飲食物を飲食できるようにしている飲食店の店舗等が知られていた。このような店舗等の一部においては、飲食物が収容される1枚の飲食物収容皿に対して予め基準となる料金を設定し、基準となる料金の飲食物については、1枚の飲食物収容皿に飲食物を載せ、また、所定の料金の2倍の飲食物については、重ねた2枚の飲食物収容皿に飲食物を載せてユーザに提供するようにし、会計時にユーザが飲食した飲食物が載せられていた飲食物収容皿の枚数をカウントすることで、ユーザの利用料金を計算することが行なわれていた。
【0003】
このような店舗等において利用される技術として、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部を備えた組み付け筒と、飲食物収容皿の皿板が組み付け筒の上下開口部内にはめられた時点で、少なくとも上側開口部内にはめられる皿板の周縁部上面が組み付け筒の上側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するための皿位置規制部が備えられている飲食物収容皿組み付け具が知られていた(例えば、特許文献1参照)。このような飲食物収容皿組み付け具を用いることで、例えば、重ねられた飲食物収容皿から、飲食物が載置された最上部の皿だけをユーザが誤って取ること等を防ぐことができ、適切な会計を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4633071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載されているような組付具は、比較的嵩張る形状を有している。そのため、保管場所やテーブル上などにおいて、皿から取り外された状態の組付具が場所をとるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたものであり、比較的コンパクトな組付具を用いて構成可能な皿組付構造及び飲食物提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明の皿組付構造は、組付具と、組付具の上にある上皿と、組付具の下にある下皿とを備え、組付具は、上皿の下方に露出する面と下皿の上方に露出する面とにそれぞれ着脱可能に付着する付着手段を有し、組付具に上皿及び下皿がそれぞれ付着している、皿組付構造である。
【0008】
かかる構成により、比較的コンパクトな組付具を用いて皿組付構造を構成することができる。
【0009】
また、本第二の発明の皿組付構造は、第一の発明に対して、付着手段は、粘着性を有する部材により構成された粘着面である、皿組付構造である。
【0010】
かかる構成により、確実に上下の皿を組み付けることができる。
【0011】
また、本第三の発明の皿組付構造は、第二の発明に対して、粘着面は、粘着性を有する高分子ゲルを用いて構成されている、皿組付構造である。
【0012】
かかる構成により、確実に上下の皿を組み付けることができる。
【0013】
また、本第四の発明の皿組付構造は、第二又は三の発明に対して、組付具は、上皿に対向する粘着面を有する上層と、下皿に対向する粘着面を有する下層と、上層と下層との間にある中間層とを有する、皿組付構造である。
【0014】
かかる構成により、シンプルな構造の組付具を用いて皿組付構造を構成することができる。
【0015】
また、本第五の発明の皿組付構造は、第二から四のいずれかの発明に対して、組付具は、上皿の高台部と下皿の上方に露出する面との間に配置されているシート状部材である、皿組付構造である。
【0016】
かかる構成により、シンプルな構造の組付具を用いて皿組付構造を構成することができる。
【0017】
また、本第六の発明の皿組付構造は、第一の発明に対して、付着手段は、組付具の上下にそれぞれ設けられた吸着部であり、吸着部のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの吸盤を有している、皿組付構造である。
【0018】
かかる構成により、確実に上下の皿を組み付けることができる。
【0019】
また、本第七の発明の皿組付構造は、第六の発明に対して、吸着部のうち少なくとも1つは、2以上の吸盤を有している、皿組付構造である。
【0020】
かかる構成により、上下の皿に組付具が付着した状態をより確実に維持することができる。
【0021】
また、本第八の発明の皿組付構造は、第一から七のいずれかの発明に対して、組付具の上下方向の寸法は、上皿の下方に露出する面と下皿の上方に露出する面との間の上下方向の寸法よりも大きく、組付具は、上下方向において弾性変形可能に構成されている、皿組付構造である。
【0022】
かかる構成により、上下の皿に組付具を確実に付着させて皿組付構造を構成することができる。
【0023】
また、本第九の発明の飲食物提供方法は、第一から八のいずれかの発明に係る皿組付構造を用意するステップと、ユーザが使用するテーブルの近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置により駆動される搬送路上に、最も上にある皿の上に飲食物が配置されている状態で皿組付構造を配置するステップとを含む、飲食物提供方法である。
【0024】
かかる構成により、皿から取り外された状態の組付具が場所をとらないようにして飲食物を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、比較的コンパクトな組付具を用いて構成可能な皿組付構造及び飲食物提供方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態1に係る皿組付構造の一例を示す斜視図
図2】同皿組付構造の構成を説明する分解斜視図
図3】同皿組付構造の側断面図
図4】実施の形態1の一変形例に係る皿組付構造の側断面図
図5】本発明の実施の形態2に係る皿組付構造の一例を示す斜視図
図6】同皿組付構造の構成を説明する分解斜視図
図7】同皿組付構造の側断面図
図8】実施の形態2の一変形例に係る組付具の斜視図
図9】本発明の実施の形態の1つに係る飲食物提供方法について説明するフローチャート
図10】同飲食物提供方法が使用されうる店舗システムの一例について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、皿組付構造等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様に構成されているものであり、再度の説明を省略する場合がある。
【0028】
なお、以下の説明において、飲食物を配置可能な飲食物収容皿を、単に、収容皿又は皿ということがある。以下の説明において、通常、皿が置かれる平面(水平面ということがある)に対して略垂直な方向を上下方向ということがある。以下において、方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明に係る皿組付構造の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0029】
(実施の形態1)
【0030】
本実施の形態において、皿組付構造は、上皿と下皿とのそれぞれに付着する付着手段を有する組付具を用いて構成されたものである。付着手段は、例えば上下2箇所に設けられている粘着面であり、粘着面は高分子ゲルであることが好ましい。組付具は、上層、中間層、下層を有することが望ましい。なお、組付具は、上皿の高台のフットプリントよりも大きなシート状部材であってもよい。組付具の上下方向の寸法は、上皿の底面と下皿の上面との間の上下方向の寸法よりも大きいことが好ましく、組付具は、上下方向において圧縮されて弾性変形可能に構成されていることが好ましい。以下、このように構成された皿組付構造について説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態1に係る皿組付構造100の一例を示す斜視図である。
【0032】
図1に示されるように、本実施の形態において、皿組付構造100は、上皿11と、下皿21と、組付具51(図に線種を変えて示す)とを有している。皿組付構造100は、上皿11の上面13に飲食物800(図に線種を変えて示す)を配置可能に構成されている。皿組付構造100は、例えば、飲食を行うユーザに対して飲食物800を提供する際に用いられる。皿組付構造100は、2以上の皿が組み付けられた皿組付体といってもよい。皿組付構造100は、2以上の皿をひとまとまりに扱うことができるように構成された構造体であるといえる。
【0033】
なお、飲食物800は、例えばにぎり寿司であるが、これに限られない。例えば、その他の種類の食べ物や、飲み物であってもよい。また、飲食物800に代えて、飲食を行う際に供される食器や調味料等の物や、情報等を表示するための物など、種々の物が配置されうる。なお、以下の説明において、飲食物800とは、皿組付構造100に配置可能な物を区別せず総称するものとして解釈してもよい。
【0034】
図2は、同皿組付構造100の構成を説明する分解斜視図である。図3は、同皿組付構造100の側断面図である。
【0035】
以下、図2及び図3を参照し、皿組付構造100の構造について説明する。
【0036】
本実施の形態において、上皿11は、飲食物800を収容するための収容皿である。上皿11は、それ単体で、ユーザに対して飲食物800を提供するためなどに用いられうる。上皿11は、例えば、合成樹脂で形成されたものである。
【0037】
上皿11は、その中央部が若干くぼんだ平面視円形の皿板12と、この皿板12の底面15から下方に突出する円筒状の高台部17とを有している。ただし、上皿11の形状は、この形状に限定されるものではない。
【0038】
皿板12は、上方に露出する面である上面13と、下方に露出する面である底面15とを有している。高台部17は、皿板12の中央部に、上下方向が高さ方向となるように形成されている。底面15は、高台部17の内側の部位(高台部17により囲まれている部位)と高台部17の外側の部位とに分かれているということができる。なお、底面15の一部に高台部17の下端部18が含まれると解釈してもよい。
【0039】
本実施の形態において、下皿21は、上皿11と同一形状を有する飲食物収容皿である。すなわち、下皿21は、上皿11の皿板12及び高台部17と同様の皿板22及び高台部27を有している。下皿21の皿板22は、上方に露出する上面23を有している。
【0040】
組付具51は、上下方向において、上皿11と下皿21との間に配置されている。換言すると、上皿11は、組付具51の上にある。また、下皿21は、組付具51の下にある。
【0041】
組付具51は、上側に露出する面と下側に露出する面とを有している。本実施の形態において、組付具51の上下の面は、粘着面50である。上側の粘着面50は、上皿11の底面15に対向する面であり、下側の粘着面50は、下皿21の上面23に対向する面である。ここで2つの面が対向するとは、2つの面が互いに密接していることを含む。粘着面50は、粘着性を有する素材を有している。すなわち、組付具51は、上皿11の底面15と下皿21の上面23とのそれぞれに、くっつき、かつ、はがすことができるように構成されている。すなわち、粘着面50は、上皿11の底面15と下皿21の上面23とのそれぞれに着脱可能に付着する付着手段であるといえる。また、組付具51は、上皿11と下皿21とに付着可能な付着手段を有しているといえる。
【0042】
本実施の形態において、粘着面50は、粘着性を有する高分子ゲルを用いて構成されている。すなわち、粘着面50は、くっつく対象となる面(付着対象面)に若干の凹凸や起伏等があっても、組付具51が当該付着対象面に密着し、確実にくっついた状態が保たれるように構成されている。本実施の形態において、粘着面50を有する高分子ゲルは、上下方向において厚みを有している。すなわち、粘着面50は、上下方向において弾性変形可能に構成されている。これにより、より確実に粘着面50を付着対象面に密着させることができるようになっている。
【0043】
なお、高分子ゲルは、例えば、ウレタン系の樹脂であるゲル状部材であるが、これに限られない。例えば、シリコン系のものであってもよいし、アクリル系のものであってもよい。また、高分子ゲルは、自己粘着性を有するゲル状部材であってもよいし、粘着性を有する部分を一部に有するように構成されたものであってもよい。
【0044】
ここで、本実施の形態において、組付具51は、上方から下方に向けて、上層52、中間層55、及び下層54を備えている。上層52の上面と、下層54の下面(底面)とが、粘着面50となっている。上層52及び下層54は、例えば高分子ゲル製であり、中間層55は、上層52及び下層54が固定されている、樹脂製の部材である。本実施の形態において、中間層55は、例えば発泡ゴム製である。中間層55は、スポンジ製であるといってもよい。中間層55は、上層52や下層54よりも小さい密度であることが望ましい。このように、組付具51が三層に分かれていることにより、粘着面50を有する部分が占める体積を小さくすることができる。中間層55として低コストにより構成可能な部材を用いることにより、組付具51及びそれを用いた皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。また、中間層55を軽量化することにより、組付具51及びそれを用いた皿組付構造100の重量を小さくすることができる。
【0045】
また、中間層55は、上下方向において弾性変形可能に構成されている。中間層55が上下方向において弾性変形可能であるので、上皿11及び下皿21に組付具51がしっかりとくっついた状態を維持することができる。組付具51の上下方向の寸法は、下皿21に上皿11を重ねた状態における、組付具51が配置される部位の底面15と上面23との間の上下方向の寸法よりも大きいことが望ましい。換言すると、組付具51の上下方向の厚みは、上皿11の下端部18が下皿21の上面23に接触している場合における上皿11の皿板12と下皿21の皿板22との間の上下方向の寸法よりも大きいことが望ましい。このように構成されていることにより、上皿11と下皿21との間に組付具51を挟んで、組付具51を上下方向において圧縮させることにより、両粘着面50を確実に皿板12,22に密着させて皿組付構造100を構成することができる。
【0046】
このように、本実施の形態において、組付具51に上皿11及び下皿21がそれぞれ付着していることにより、上皿11と下皿21とが組付具51により一体に組み付けられている。組付具51は、比較的コンパクトに構成可能であるので、組付具51の保管場所や置き場所などに場所をとられないようにすることができる。また、皿組付構造100を製造するには、上皿11と下皿21との間に組付具51を挟んで組付具51を上下方向において圧縮させたり、上皿11又は下皿21に組付具51を貼り付けたうえで他方の皿を組付具51に貼り付けたりすればよい。容易に行うことができる作業により皿組付構造100を製造することができる。また、組付具51は低コストで製造することができるので、皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。
【0047】
なお、皿組付構造100において、上皿11と下皿21とを引き離す力を加えることにより、粘着面50による皿板12,22への粘着を剥がし、上皿11と下皿21と組付具51とを容易に分離させることができる。したがって、上皿11や下皿21を単体の収容皿として容易に再利用することができる。
【0048】
皿組付構造100は、上皿11と下皿21とが単に上下に重ねられた状態の外形寸法と略同じ外径寸法を有する。皿組付構造100は、上皿11等を単体で用いる場合と同様のフットプリントを有する。したがって、皿組付構造100それ自体としても比較的コンパクトに構成することができ、平面視においても上皿11等を単体で用いる場合と同様のスペースにおいて配置することができる。また、例えば後述のように皿組付構造100を飲食物搬送装置と共に用いる場合においても、上皿11等を単体で用いる場合と同様に、装置に配置したり装置からピックアップしたりすることができる。
【0049】
なお、粘着面である付着手段を有する組付具は、上述のように構成された組付具51に限られない。例えば、上皿11にくっつく2以上の粘着面が設けられていてもよいし、下皿21にくっつくように構成された2以上の粘着面が設けられていてもよい。また、高台部17にくっつくように構成された粘着面を有する組付具が用いられていてもよい。
【0050】
図4は、実施の形態1の一変形例に係る皿組付構造101の側断面図である。
【0051】
図4においては、本実施の形態の一変形例に係る皿組付構造101の構造が示されている。すなわち、皿組付構造101においては、上皿11と下皿21とに付着するように構成された、シート状部材である組付具151が用いられている。組付具151は、上皿11の高台部17と下皿21の上面23との間に配置されている。組付具151は、上面と下面が粘着面50となっているシートである。組付具151の上側の粘着面50は、高台部17の下端部18にくっついており、下側の粘着面50は、皿板22の上面23にくっついている。このように、上皿11と下皿21とにそれぞれ付着する組付具151が用いられていることにより、上皿11と下皿21とが組付具151を介して組み付けられた皿組付構造101が構成される。
【0052】
なお、このように構成されている組付具151は、上皿11の高台部17の下端部18の外形よりも広い周縁部を有するシートであることが望ましい。これにより、上皿11と組付具151との水平方向における位置関係を厳密に位置合わせすることなく、容易に上皿11を組付具151にくっつけることが可能となる。なお、組付具151の中央部すなわち上皿11の付着に用いられない部位は、孔部となっていてもよい。組付具151の形状や大きさは、用いられる上皿11の接地部分すなわち下皿21の上面23に接触可能な部分の形状や広さ等に応じて設定されていてもよい。組付具151は、上皿11の接地部分の少なくとも一部に付着可能な部位を有していればよい。例えば、組付具151は、高台部17の下端部18のうち一部に付着可能な帯状のシートであってもよい。
【0053】
このような組付具151を用いて構成された皿組付構造101においても、上述の実施の形態の皿組付構造100と同様の効果を得ることができる。例えば、比較的コンパクトに構成可能な組付具151を用いて皿組付構造101を構成することができる。皿組付構造101は簡素な構造であり、低コストで製造可能である。皿組付構造101は、容易に製造可能である。
【0054】
(実施の形態2)
【0055】
実施の形態2において、皿組付構造は、付着手段として吸着部が設けられている組付具を用いて構成される。吸着部は、例えば、1以上の吸盤であり、一の吸着部について2以上の吸盤が用いられていてもよい。以下、このように構成された皿組付構造について説明する。
【0056】
図5は、本発明の実施の形態2に係る皿組付構造200の一例を示す斜視図である。
【0057】
図5に示されるように、実施の形態2に係る皿組付構造200は、実施の形態1に係る皿組付構造100と同様に、上皿11と、下皿21とを有している。皿組付構造200は、実施の形態1に係る皿組付構造100の組付具51とは構造が異なる組付具251(図に線種を変えて示す)を有している。皿組付構造200も、皿組付構造100と同様に飲食物800を提供する用途などに用いることが可能である。
【0058】
図6は、同皿組付構造200の構成を説明する分解斜視図である。図7は、同皿組付構造200の側断面図である。
【0059】
以下、図6及び図7を参照し、主に組付具251の構造について説明する。
【0060】
組付具251は、上下方向において、上皿11と下皿21との間に配置されている。換言すると、上皿11は、組付具251の上にある。また、下皿21は、組付具251の下にある。
【0061】
組付具251の上下には、それぞれ、吸着部250が設けられている。上側の吸着部250は、上皿11の底面15に吸着する部位であり、下側の粘着面50は、下皿21の上面23に吸着する部位である。各吸着部250は、少なくとも1つの吸盤を有している。本実施の形態においては、各吸着部250は、1つの吸盤253である。吸盤253は、例えば樹脂により構成されており、吸着対象面との間にある空気を外に押し出すようにして変形することで吸着対象面に吸い付くことができるように構成されている。また、吸盤253は、吸着対象面に吸着している状態において、吸着対象面との間に空気が導入されることにより、吸着対象面から離れるように構成されている。すなわち、組付具251は、上皿11の底面15と下皿21の上面23とのそれぞれに、くっつき、かつ、はがすことができるように構成されている。すなわち、吸着部250は、上皿11の底面15と下皿21の上面23とのそれぞれに着脱可能に付着する付着手段であるといえる。また、組付具251は、上皿11と下皿21とに付着可能な付着手段を有しているといえる。
【0062】
ここで、本実施の形態において、組付具251は、上方から下方に向けて、上側の吸盤253(吸着部250)、接続部255、及び下側の吸盤253(吸着部250)を備えている。接続部255は、上下の吸盤253が固定されている、例えば樹脂製の部材である。
【0063】
なお、組付具251の上下方向の寸法は、下皿21に上皿11を重ねた状態における、組付具251が配置される部位の底面15と上面23との間の上下方向の寸法よりも大きいことが望ましい。換言すると、組付具251の上下方向の厚みは、上皿11の下端部18が下皿21の上面23に接触している場合における上皿11の皿板12と下皿21の皿板22との間の上下方向の寸法よりも大きいことが望ましい。このように構成されていることにより、上皿11と下皿21との間に組付具251を挟んで、組付具251を上下方向において圧縮させることにより、両吸着部250を確実に皿板12,22に吸着させて皿組付構造200を構成することができる。なお、この場合、吸盤253が弾性変形することにより、吸盤253と皿板12,22との間の空気が排出される。すなわち、組付具251は、上下方向において弾性変形可能に構成されているといえる。
【0064】
このように、実施の形態2においても、組付具251に上皿11及び下皿21がそれぞれ付着していることにより、上皿11と下皿21とが組付具251により一体に組み付けられる。組付具251は、比較的コンパクトに構成可能であるので、組付具251の保管場所や置き場所などに場所をとられないようにすることができる。皿組付構造200を製造するには、上皿11と下皿21との間に組付具251を挟んで組付具251を上下方向において圧縮させたり、上皿11又は下皿21に組付具251を吸着させたうえで他方の皿を組付具251に吸着させたりすればよい。容易に行うことができる作業により、皿組付構造200を製造することができる。また、組付具251は低コストで製造することができるので、皿組付構造200の製造コストを低く抑えることができる。
【0065】
なお、皿組付構造200において、上皿11と下皿21とを引き離す力を加えることにより、吸着部250による皿板12,22への吸着を解除し、上皿11と下皿21と組付具251とを容易に分離させることができる。例えば、上皿11に対して下皿21が垂直軸周りに回転するように各皿11,21を捻ることにより、容易に、吸着を解除して各部材を分離させることができる。したがって、上皿11や下皿21を単体の収容皿として容易に再利用することができる。
【0066】
なお、吸盤である付着手段を有する組付具は、上述のように構成された組付具251に限られない。例えば、上皿11にくっつく吸着部に2以上の吸盤が設けられていてもよいし、下皿21にくっつく吸着部に2以上の吸盤が設けられていてもよい。すなわち、吸着部のうち少なくとも1つは、2以上の吸盤を有していてもよい。
【0067】
図8は、実施の形態2の一変形例に係る組付具351の斜視図である。
【0068】
図8においては、本実施の形態の一変形例に係る組付具351の構造が示されている。すなわち、組付具351において、接続部255の上下に、それぞれ吸着部350が設けられている。各吸着部350には、2以上の吸盤353が設けられている。図に示される例では、例えば、各吸着部350には、4つの吸盤353が設けられている。各吸着部350は、4つの吸盤353のそれぞれが皿板12,22に吸着することにより、上皿11と下皿21とに付着するように構成されている。
【0069】
このように構成されている組付具351を用いても、上述の実施の形態2と同様の効果を得ることができる。各吸着部350に2以上の吸盤353が設けられており、それぞれの吸盤353が皿板12,22に吸着可能である。したがって、いずれかの吸盤353の吸着が意図せず解除された場合においても、他の吸盤353による吸着が維持され、上皿11や下皿21に対して組付具351が付着している状態がより確実に維持される。また、吸盤353として比較的大きさが小さいものを用いつつ、吸着部350の全体として十分な吸着力が得られるように構成することができる。上皿11に対して下皿21を変位させることで各吸盤353の吸着を容易に解除することができるので、皿組付構造200を容易に分解させることができる。
【0070】
なお、上述の各実施の形態に係る皿組付構造100,101,200は、以下のようにして、飲食物800の提供に用いることができる。以下、皿組付構造100,101,200を用いた飲食物提供方法について説明する。なお、以下の説明においては、実施の形態1に係る皿組付構造100を例に挙げるが、他の皿組付構造101,200についても同様にすることができる。
【0071】
図9は、本発明の実施の形態の1つに係る飲食物提供方法について説明するフローチャートである。
【0072】
(ステップS1)まず、組付具51を用いて、皿組付構造100を用意する。すなわち、組付具51を介して、上皿11と下皿21とを組み付ける。これにより、上述のように、皿組付構造100が構成される。換言すると、
【0073】
(ステップS2)次に、皿組付構造100の上皿11の上に、飲食物800を配置する。
【0074】
(ステップS3)そして、飲食物800が配置された皿組付構造100を用いて、飲食物800を提供する。
【0075】
このようにして飲食物800を提供することにより、通常の収容皿を用いる場合と同様に、皿組付構造100を用いた飲食物800の提供を行うことができる。
【0076】
なお、ステップS1とステップS2とは、逆の順番で行われてもよい。すなわち、上皿11が組み付けられていない状態で上皿11に飲食物800を配置し、その後、上皿11と下皿21とを組付具51を介して組み付けてもよい。
【0077】
また、ステップS3により飲食物800が提供された後で、皿組付構造100を分解する工程が行われてもよい。分解工程では、例えば、飲食物800の提供に用いられた後の皿組付構造100が回収される。そして、手作業又は機械的動作により上皿11と下皿21とを引き離すなどし、組付具51による付着を解除して、上皿11、下皿21、及び組付具51を分解する。これにより、上皿11や下皿21のそれぞれが単体の収容皿として再び使用できるようになる。また、必要な場合には再び上皿11、下皿21、及び組付具51を用いて皿組付構造100を構成することができる。
【0078】
なお、上述の飲食物提供方法は、例えば飲食店などの店舗内において用いられる飲食物搬送装置7を用いた店舗システム1000などにおいて用いることが可能である。この場合、例えば、上述のステップS3を、ユーザ(飲食をする者)が使用するテーブル5の近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置7により駆動される搬送路7b上に、最も上にある上皿11の上に飲食物800が配置されている状態で皿組付構造100を配置するステップとしてもよい。
【0079】
図10は、同飲食物提供方法が使用されうる店舗システム1000の一例について説明する図である。
【0080】
図10に示されるように、店舗システム1000は、例えば飲食店などの店舗内において用いられるものである。図10には、その一部が示されている。飲食店は、例えばいわゆる回転寿司店である。
【0081】
本実施の形態において、店舗システム1000は、座席3、テーブル5、及び飲食物搬送装置7を備える。テーブル5及び座席3は、客であるユーザが飲食を行う店内において設けられている。飲食物搬送装置7は、店内と、図示しない厨房とにわたって設けられている。
【0082】
店舗システム1000において、一のテーブル5を利用するユーザが着席することができるように、座席3が配置されている。
【0083】
飲食物搬送装置7は、搬送路7b及び上側ユニット7cを有している。搬送路7bには、飲食物である寿司等が載った収容皿(上皿)11が乗せられる。搬送路7bは、ユーザが使用する各テーブル5の近傍を巡るように配置されている。搬送路7bは、各テーブル5の近傍において収容皿11が搬送されるように敷設されている。なお、搬送路7bは、例えば、上面がフラットに構成されたクレセントチェーンなどを用いて構成されているが、これに限られない。
【0084】
上側ユニット7cは、搬送路7bの上方に配置されている。上側ユニット7cは、照明手段を内蔵しており、搬送路7bを照らすように、下方に光を照射するように構成されている。上側ユニット7cは、例えば、ユーザが使用する食器やカトラリー等が上面に配置されるようにしてもよい。
【0085】
なお、飲食物搬送装置7は、上側ユニット7cを有していなくてもよい。上側ユニット7cなどに、載置された収容皿11を搬送可能に構成された搬送路が設けられていてもよい。また、搬送路は、客が飲食物800を観察することができるように収容皿11をゆっくりと搬送するように構成されているものに限られない。例えば、載置された収容皿11を所定の距離だけ搬送することにより指定したテーブル5の近傍に収容皿11を搬送可能に構成されている搬送路を用いてもよい。このような搬送路は、例えば、予め注文された飲食物800を注文したユーザに速やかに提供するために用いることができる。
【0086】
このように構成されている店舗システム1000において、最も上にある上皿11の上に飲食物800が配置されている状態の皿組付構造100を、搬送路7b上に配置することにより、ユーザに対して飲食物800を提供することができる。ユーザは、皿組付構造100を用いて提供された飲食物800を消費した後で、皿組付構造100を分解することができる。この場合、組付具51が分離されうるが、組付具51はコンパクトに保管可能であるので、テーブル5上などにおいて場所をとることがない。したがって、ユーザは、快適に飲食を楽しむことができる。
【0087】
(その他)
【0088】
上述の実施の形態においては、皿組付構造として2つの収容皿を用いたものを説明したが、皿組付構造は、3つ以上の収容皿が組み付けられているものであってもよい。この場合においても、いずれかの上下2枚の皿(上皿と下皿)と、その間の1つの組付具が用いられていればよい。また、組付具を2以上用いることにより、3以上の収容皿がひとまとまりに組み付けられていてもよい。この場合において、各組付具は、異なる構成を有しているものであってもよい。例えば、上から1枚目と2枚目の皿が実施の形態1に係る組付具51に付着しており、2枚目と3枚目の皿が実施の形態2に係る組付具251に付着していることにより、3枚の皿が組み付けられていてもよい。
【0089】
皿組付構造を構成する2以上の皿は、互いに異なる形状を有していてもよい。例えば、高台部を有しない上皿と高台部を有する下皿とが組付具により組み付けられて、皿組付構造が構成されていてもよい。
【0090】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0091】
上述の複数の実施の形態を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0092】
例えば、組付具のうち、上皿に付着する付着手段と、下皿に付着する付着手段とは、異なる構成を有していてもよい。例えば、一方の付着手段が粘着面であり、他方の付着手段が吸盤を用いた吸着部である組付具が用いられていてもよい。また、一方の吸着部が一の吸盤であり、他方の吸着部が2以上の吸盤を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明にかかる皿組付構造は、比較的コンパクトな組付具を用いて構成可能なものであり、皿組付構造等として有用である。
【符号の説明】
【0094】
3 座席
5 テーブル
7 飲食物搬送装置
7b 搬送路
7c 上側ユニット
12、22 皿板
11 上皿
13 上皿の上面
15 上皿の底面
17 上皿の高台部
18 上皿の下端部
21 下皿
23 下皿の上面
27 下皿の高台部
50 粘着面
51、151、251、351 組付具
52 上層
54 下層
55 中間層
100、101、200 皿組付構造
250、350 吸着部
253、353 吸盤
255 接続部
800 飲食物
1000 店舗システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10