IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐竹化学機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-撹拌装置 図1
  • 特開-撹拌装置 図2
  • 特開-撹拌装置 図3
  • 特開-撹拌装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022942
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 33/45 20220101AFI20230209BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20230209BHJP
   B01F 27/00 20220101ALI20230209BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20230209BHJP
【FI】
B01F13/08 Z
B01F15/00 C
B01F7/00 A
B01F7/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128061
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
【テーマコード(参考)】
4G036
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G036AC26
4G037DA23
4G037EA04
4G078BA05
4G078CA15
4G078CA19
4G078DA01
(57)【要約】
【課題】従来、撹拌装置内に設けた回転翼を、撹拌容器と非接触で浮遊させ、回転させる撹拌装置は、撹拌力を強くすることができない、という欠点があった。
【解決手段】本発明の撹拌装置は、被撹拌物が容れられる撹拌容器と、該撹拌容器内に垂下して固定された支持軸と、該支持軸に、軸回りに回転自在に設けられた回転軸と、該回転軸に設けられた撹拌翼と、前記回転軸に設けられた一方の磁石と、前記撹拌容器外に設けた、前記一方の磁石を軸周りに回転させる、回転手段により回転する他方の磁石とよりなり、前記回転軸は、該回転軸の上端面から軸方向下方に所望の長さに形成された、有底の孔を有し、前記支持軸は、前記回転軸の孔内に挿入されて、該回転軸は、前記孔内に設けられた摺動部を介して、回転自在に設けられることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撹拌物が容れられる撹拌容器と、
該撹拌容器内に垂下して固定された支持軸と、
該支持軸に、軸回りに回転自在に設けられた回転軸と、
該回転軸に設けられた撹拌翼と、
前記回転軸に設けられた一方の磁石と、
前記撹拌容器外に設けた、前記一方の磁石を軸周りに回転させる、回転手段により回転する他方の磁石とよりなり、
前記回転軸は、該回転軸の上端面から軸方向下方に所望の長さに形成された、有底の孔を有し、
前記支持軸は、前記回転軸の孔内に挿入されて、該回転軸は、前記孔内に設けられた摺動部を介して、回転自在に設けられることを特徴とする撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石を利用して撹拌容器内の回転翼(撹拌翼)を回転させる撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の一般的な撹拌装置を示し、1は、撹拌装置、2は、該撹拌装置1の撹拌容器を示し、該撹拌容器2は、例えば、天井板2aにより上端開口が塞がれた、有底の円筒状の密閉容器よりなる。
【0003】
また、3は、回転翼を示し、該回転翼3は、前記撹拌容器2の天井板2aを貫通して垂設された回転軸4の下端に設けられ、また、該回転軸4は、前記天井板2aに設けられたベアリングなどの摺動部5を貫通して、密閉状態で回転自在に設けられている。
【0004】
しかしながら、例えば、撹拌培養装置などの分野においては、前記回転軸4を支持する摺動部5からの削り粉等が、撹拌容器2内に入り込み、これがコンタミの原因となる。
【0005】
このコンタミを無くすために、摺動部を無くし、撹拌容器内の回転翼を磁力により浮遊させ、撹拌容器と回転翼とを非接触状態として、該回転翼を回転させる装置もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-13216号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、回転翼を、撹拌容器と非接触で浮遊させ、回転させる装置は、撹拌力を強くすることができず、また、コストが高くなるという欠点があった。
【0008】
本発明は、上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成すべく、本発明の撹拌装置は、被撹拌物が容れられる撹拌容器と、該撹拌容器内に垂下して固定された支持軸と、該支持軸に、軸回りに回転自在に設けられた回転軸と、該回転軸に設けられた撹拌翼と、前記回転軸に設けられた一方の磁石と、前記撹拌容器外に設けた、前記一方の磁石を軸周りに回転させる、回転手段により回転する他方の磁石とよりなり、前記回転軸は、該回転軸の上端面から軸方向下方に所望の長さに形成された、有底の孔を有し、前記支持軸は、前記回転軸の孔内に挿入されて、該回転軸は、前記孔内に設けられた摺動部を介して、回転自在に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、摺動部からの削り粉等が撹拌容器内の被撹拌物内に入り込むのを防ぐことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の撹拌装置の説明用縦断側面図である。
図2】本発明の撹拌装置の要部の拡大図である。
図3】本発明の撹拌装置の他の実施例の要部の説明図である。
図4】従来の撹拌装置の説明用縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例0013】
本発明の実施例1を図1及び図2によって説明する。
【0014】
本発明の撹拌装置6は、培養液などの被撹拌物が所望量、容れられた、密閉された撹拌容器7と、該撹拌容器7内に垂下して固定した支持軸8と、該支持軸8に、該軸周りに回転自在に垂設して設けた回転軸9と、該回転軸9に設けた回転翼10と、前記回転軸9の上部に設けた一方の磁石(被駆動側磁石)11と、前記撹拌容器7外に設けた、前記一方の磁石11を上方に吸引し、前記軸回りに回転させる、回転手段12により回転される他方の磁石(駆動側磁石)13とよりなる。
【0015】
なお、前記磁石11、13は、電磁石など全ての磁力手段を含む概念である。
【0016】
前記撹拌容器7は、例えば、有底の円筒状の容器本体7aと、該容器本体7aの上端開口部を気密、液密に密閉して塞ぐ天井板7bとよりなる密閉容器よりなる。
【0017】
また、前記天井板7bは、例えば、平板状に形成された板体の中央部を上方に凸状に突出させた突出室部14が設けられ、該突出部屋部14の上端の天井板部14aの上面、及び、下面は、それぞれ平坦状に形成される。
【0018】
また、前記支持軸8は、前記突出室部14の天井板部14aの下面中央に、下方に垂設して固定され、その下端は、例えば、円錐状に形成された尖り部8aが形成されている。
【0019】
また、前記回転軸9は、上端面中央から軸方向下方に延びる、所望の長さの有底の孔15が形成され、該孔15の底部中央には、前記尖り部8aの下端を受ける受け部15aが形成されている。
【0020】
そして、前記回転軸9の孔15内に、前記支持軸8が、上下方向に移動自在に挿入され、前記回転軸9が、前記支持軸8に対して、前記孔15内に設けられたベアリングや摺動材等の摺動部16を介して、軸周りに回転自在に設けられている。
【0021】
また、上記所望の長さは、前記回転軸9が磁力により上方に吸引され、前記回転軸9の下端の尖り部8aに前記受け部15aが当接するまで、上昇した時に、上記回転軸9の上端が、前記天井板部14aの下面に接触せず、近接する位置となる長さに形成される。
【0022】
なお、該回転軸9が、前記他方の磁石13により上方に吸引されている時の該回転軸9の下端は、例えば、前記撹拌容器7の底面の上方の、該底面に近接した位置になるように設けられ、前記回転軸9が、前記他方の磁石13により吸引されず下方に落ちたときでも、前記支持軸8が、前記孔15から抜け出ないように形成される。
【0023】
また、前記一方の磁石11は、例えば、前記回転軸9の上端に設けた、前記回転軸9の径よりも大きい、上面が平坦状の円板体17の上面の周辺部の軸心から離れた位置に、1又は、離間して複数、埋め込まれて設けられ、前記円板体17の上面は、前記突出室部14の天井板部14aの下面に、離間して平行に対向するように設けられる。
【0024】
また、前記他方の磁石13は、例えば、回転手段12としての回転軸12aの下端に設けた、下面が平坦状の円板体18の下面の周辺部の、前記一方の磁石11に対応する、軸心から離れた位置に、1又は、離間して複数、埋め込まれて設けられ、該円板体18の下面は、前記天井板部14aの上面に、離間して平行に対向するように設けられる。
【0025】
そして、前記回転軸12aが回転することにより、前記他方の磁石13が、前記回転軸12aを中心として回転し、該磁力により、前記一方の磁石11が、前記回転軸9を中心として回転するようになる。
【0026】
なお、前記一方の磁石11と前記他方の磁石13とは、上下に配置されたスラスト型であるが、例えば、一方の磁石11と他方の磁石13とをラジアル型の配置としてもよい。
【0027】
即ち、例えば、図3に示すように、一方の磁石11を、前記回転軸9の上部の外周面に、1又は、周方向に離間して複数、配置し、また、他方の磁石13を、例えば、回転手段12としての回転軸12aの下端に設けた、前記突出室部14を、上部から覆うように形成した凹状体19の内周壁に、前記一方の磁石11に対応する位置に、1又は、周方向に離間して配置し、設けるようにしてもよい。
【0028】
かかるラジアル型であっても、前記回転軸12aが回転することにより、前記他方の磁石13が、前記回転軸12aを中心として回転し、該磁力により、前記一方の磁石11が、前記回転軸9を中心として回転するようになる。
【0029】
なお、スラスト型、ラジアル型以外の方法で、前記一方の磁石11を、回転軸周りに回転させるようにしてもよい。
【0030】
また、前記支持軸8の下端に尖り部8aを形成する代わりに、図3に示すように、前記支持軸8の下端を、該支持軸8の径よりも大きい円柱部8bを形成すると共に、前記回転軸9の孔15を、径の異なる上部孔部20aと下部孔部20bとにより構成し、該上部孔部20aを、前記支持軸8を挿入可能で、かつ、前記円柱部8bの径より小さい径の孔に形成し、前記下部孔部20bを、前記円柱部8bの径より大きい径の孔に形成し、前記上部孔部20aに、前記支持軸8を挿入すると共に、前記径の大きい円柱部8bを、前記下部孔部20bに挿入させて、前記段部20cに、前記円柱部8bが当設して、前記回転軸9が落下するのを防止するようにしてもよい。
【0031】
なお、他の方法を用いて、前記回転軸9を前記支持軸8から落下するのを防止するようにしてもよい。
【0032】
なお、前記孔15を形成する回転軸9部分を摺動材よりなる摺動部16とし、例えば、SUS製の前記支持軸8を前記孔内15に接するように挿入して、前記回転軸9を前記支持軸8に摺動自在に回転するようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明の撹拌装置の作用と効果を説明する。
【0034】
前記撹拌容器7内の前記天井板7bよりも下方の位置まで、所望量の培養液等の被撹拌物が容れられる。
【0035】
そして、例えば、一方及び他方の磁石がスラスト型の場合、前記回転軸9は、前記他方の磁石13の吸引力により、前記支持軸8の下端の尖り部8aに前記孔15の受け部15aが当接するまで上昇し、前記回転軸9の上端(円板体17の上面)は、前記天井板部14aに、接触しないが、近接した状態となる。
【0036】
そして、前記他方の磁石13を、前記回転軸回りに回転させることにより、前記一方の磁石11が非接触で、前記回転軸回りを回転するようになる。
【0037】
また、前記支持軸8と前記回転軸9との間の摺動部16から削り粉等が生ずる場合があるが、前記摺動部16は、前記孔15内にあり、また、前記天井板部14aの下面と前記回転軸9の円板体17の上面との隙間は小さいので、該孔15内の摺動部16からの削り粉等は、前記孔15内にとどまり、撹拌容器7内の被撹拌物内に侵入するようなことがない。
【0038】
また、前記他方に磁石13を取り除いたときには、前記隙間が大きくなる場合があるが、削り粉等は、前記孔15の下方に貯まり、前記撹拌容器7内の被撹拌物内に削り粉が侵入することがなくなる。
【0039】
本発明によれば、磁石手段により、撹拌容器内を完全密閉とすることができると共に、容器内に設けた支持軸に、回転軸を回転させることにより、被撹拌物を強力に撹拌することができ、また、摺動部からの削り粉等が、被撹拌物内に侵入することを防止できるようになる。
【符号の説明】
【0040】
1 撹拌装置
2 撹拌容器
2a 天井板
3 回転翼
4 回転軸
5 摺動部
6 撹拌装置
7 撹拌容器
7a 容器本体
7b 天井板
8 支持軸
8a 尖り部
8b 円柱部
9 回転軸
10 回転翼
11 一方の磁石
12 回転手段
12a 回転軸
13 他方の磁石
14 突出室部
14a 天井板部
15 孔
15a 受け部
16 摺動部
17 円板体
18 円板体
19 凹状体
20a 上部孔部
20b 下部孔部
20c 段部
図1
図2
図3
図4