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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023051
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電気化学反応単セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1213 20160101AFI20230209BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20230209BHJP
   H01M 8/0215 20160101ALI20230209BHJP
   C25B 9/63 20210101ALI20230209BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20230209BHJP
   H01M 8/1286 20160101ALI20230209BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230209BHJP
【FI】
H01M8/1213
H01M8/0228
H01M8/0215
C25B9/63
C25B9/23
H01M8/1286
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128227
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸輔
(72)【発明者】
【氏名】松田 和幸
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA02
4K021CA04
4K021DB40
4K021DB43
4K021DB48
4K021DB53
4K021DC03
4K021EA03
4K021EA04
4K021EA05
5H126AA02
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE11
5H126GG12
5H126JJ00
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】電気化学反応単セルにおいて、金属支持体からの特定電極の剥離を抑制する。
【解決手段】電気化学反応単セルは、燃料極と空気極との一方(特定電極)に対して電解質層とは反対側に位置する金属支持体を備える。電気化学反応単セルの断面において、金属支持体の貫通孔を画定する1対の輪郭線の一方のうち、特定電極側の端を含む第1部分の表面粗さをA1(μm)とし、金属支持体の対向面の輪郭線のうち、特定電極の基部が接する部分の表面粗さをA2(μm)としたときに、数式(1):A1>A2を満たし、かつ、特定電極の孔内部(金属支持体の貫通孔内に位置する部分)は、金属支持体の第1部分の少なくとも一部に接している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と、
前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する燃料極および空気極と、
前記燃料極と前記空気極との一方である特定電極に対して前記電解質層とは反対側に位置する金属支持体であって、前記特定電極に対して前記第1の方向に対向する表面である対向面が前記特定電極に接しており、前記第1の方向視で前記特定電極と重なる位置において前記第1の方向に貫通する複数の貫通孔を有する金属支持体と、を備える電気化学反応単セルにおいて、
前記特定電極は、前記対向面に接する基部と、前記複数の貫通孔の少なくとも1つである特定貫通孔内に位置する孔内部と、を備え、
前記金属支持体のうち、前記特定電極に接する前記対向面の少なくとも一部は、酸化被膜によって構成され、
前記電気化学反応単セルの前記第1の方向に沿った少なくとも1つの断面である特定断面において、
前記金属支持体の前記特定貫通孔を画定する1対の輪郭線の一方のうち、前記特定電極側の端を含む第1部分の表面粗さをA1(μm)とし、前記金属支持体の前記対向面の輪郭線のうち、前記特定電極の前記基部が接する部分の表面粗さをA2(μm)としたときに、
数式(1):A1>A2を満たし、かつ、
前記特定電極の前記孔内部は、前記金属支持体の前記第1部分の少なくとも一部に接している、
ことを特徴とする電気化学反応単セル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学反応単セルであって、
A1/A2をA3としたときに、
数式(2):A3≧1.2を満たす、
ことを特徴とする電気化学反応単セル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単セルであって、
前記特定電極の前記孔内部に接する前記酸化被膜の厚さのばらつきをTV1とし、前記特定電極の前記基部に接する前記酸化被膜の厚さのばらつきをTV2としたときに、
数式(3):TV1>TV2を満たす、
ことを特徴とする電気化学反応単セル。
【請求項4】
請求項3に記載の電気化学反応単セルであって、
TV1/TV2をA4としたときに、
数式(4):A4≧1.2を満たす、
ことを特徴とする電気化学反応単セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電気化学反応単セルに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という。)は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という。)に互いに対向する燃料極および空気極とを備える。
【0003】
単セルの一形態として、金属支持型(メタルサポート型)の単セルが知られている(例えば、特許文献1参照)。金属支持型の単セルは、燃料極と空気極との一方(以下、「特定電極」という。)に対して電解質層とは反対側に配置された金属支持体を備え、金属支持体によって単セルにおける他の部分(電解質層等)を支持する。一般に、金属支持型の単セルは、他のタイプ(例えば燃料極支持型)の単セルと比較して、熱衝撃による割れが生じにくく、また起動性が高い。
【0004】
金属支持型の単セルでは、金属支持体に、発電に供される反応ガスを通過させるために、金属支持体の一方の表面から他方の表面まで貫通する複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔は、第1の方向視で特定電極と重なるように位置している。従来の金属支持型の単セルでは、金属支持体の表面(金属支持体の貫通孔を画定する表面を含む)の表面粗さは均一であり、特定電極の貫通孔内に位置する部分(以下、「孔内部」という。)は、このような表面粗さを有する金属支持体表面に接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-93262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の金属支持型の単セルでは、金属支持体と特定電極とを引き離す力(第1の方向に略平行な力)が作用したときに、金属支持体からの特定電極の剥離が生じるおそれがある。
【0007】
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解単セルにも共通の問題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて、電気化学反応単セルと呼ぶ。
【0008】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
(1)本明細書に開示される電気化学反応単セルは、電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する燃料極および空気極と、前記燃料極と前記空気極との一方である特定電極に対して前記電解質層とは反対側に位置する金属支持体であって、前記特定電極に対して前記第1の方向に対向する表面である対向面が前記特定電極に接しており、前記第1の方向視で前記特定電極と重なる位置において前記第1の方向に貫通する複数の貫通孔を有する金属支持体と、を備える電気化学反応単セルにおいて、前記特定電極は、前記対向面に接する基部と、前記複数の貫通孔の少なくとも1つである特定貫通孔内に位置する孔内部と、を備え、前記金属支持体のうち、前記特定電極に接する前記対向面の少なくとも一部は、酸化被膜によって構成され、前記電気化学反応単セルの前記第1の方向に沿った少なくとも1つの断面である特定断面において、前記金属支持体の前記特定貫通孔を画定する1対の輪郭線の一方(以下、「特定輪郭線」という。)のうち、前記特定電極側の端を含む第1部分の表面粗さをA1(μm)とし、前記金属支持体の前記対向面の輪郭線のうち、前記特定電極の前記基部が接する部分の表面粗さをA2(μm)としたときに、数式(1):A1>A2を満たし、かつ、前記特定電極の前記孔内部は、前記金属支持体の前記第1部分の少なくとも一部に接している。
【0011】
本電気化学反応単セルでは、数式(1):A1>A2を満たすことにより、A1とA2が同等である構成と比較して、金属支持体と特定電極とを引き離す力(第1の方向に略平行な力)が作用したときに、特定電極の孔内部が金属支持体の特定輪郭線の第1部分に係合してアンカーとして効果的に機能する。そのため、本電気化学反応単セルでは、A1とA2が同等である構成と比較して、特定電極と金属支持体とにおける相対的な第1の方向(より詳細には、第1の方向のうち、特定電極と金属支持体とが離れる方向)の位置ずれを抑制することができ、ひいては、金属支持体からの特定電極の剥離を抑制することができる。
【0012】
ところで、本電気化学反応単セルでは、上述したように、金属支持体のうち、特定電極に接する対向面の少なくとも一部は、酸化被膜によって構成されている。このような電気化学反応単セルにおいて、A2が大きい(換言すれば、金属支持体の上記対向面のうち、特定電極の基部が接する部分の表面粗さが大きい)と、金属支持体と特定電極とが接触する接触部の分布が不均一となり、これにより、電流集中や、局所的に金属支持体と特定電極との間での元素拡散が生じやすいといった問題が生じやすい。
【0013】
本電気化学反応単セルでは、数式(1):A1>A2を満たすことにより、A1とA2が同等である構成と比較して、電流集中や、局所的な金属支持体と特定電極との間での元素拡散を抑制することができる。
【0014】
以上の説明から明らかなように、本電気化学反応単セルによれば、A1とA2が同等である構成と比較して、金属支持体からの特定電極の剥離を抑制することができ、かつ、電流集中や、局所的な金属支持体と特定電極との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、電気化学反応単セルの性能を向上させることができる。
【0015】
(2)上記電気化学反応単セルにおいて、A1/A2をA3としたときに、数式(2):A3≧1.2を満たす構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、A3<1.2を満たす構成と比較して、より効果的に、金属支持体からの特定電極の剥離を抑制することができ、かつ、電流集中や、局所的な金属支持体と特定電極との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、電気化学反応単セルの性能を向上させることができる。
【0016】
(3)上記電気化学反応単セルにおいて、前記特定電極の前記孔内部に接する前記酸化被膜の厚さのばらつきをTV1とし、前記特定電極の前記基部に接する前記酸化被膜の厚さのばらつきをTV2としたときに、数式(3):TV1>TV2を満たす構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、TV1とTV2が同等である構成と比較して、より効果的に、電流集中や、局所的な金属支持体と特定電極との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、電気化学反応単セルの性能を向上させることができる。
【0017】
(4)上記電気化学反応単セルにおいて、TV1/TV2をA4としたときに、数式(4):A4≧1.2を満たす構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、A4<1.2を満たす構成と比較して、より効果的に、電流集中や、局所的な金属支持体と特定電極との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、電気化学反応単セルの性能を向上させることができる。
【0018】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単セル(燃料電池単セルまたは電解単セル)、電気化学反応単セルの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
図2図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図3図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図
図4図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図5図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図
図6】単セル110の一部分(図5のX1部)のYZ断面構成を拡大して示す説明図である。
図7】性能評価結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.実施形態:
A-1.燃料電池スタック100の構成:
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
【0021】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態ではZ軸方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。上記配列方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における第1の方向の一例である。
【0022】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、Z軸方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士がZ軸方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたってZ軸方向に延びる貫通孔108を構成している。以下の説明では、貫通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、貫通孔108と呼ぶ場合がある。
【0023】
各貫通孔108にはZ軸方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ナット24と各エンドプレート104,106(または後述するガス通路部材27)との間には、絶縁シート26が介在している。
【0024】
各ボルト22の軸部の外周面と各貫通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、1つのボルト22(ボルト22A)と当該ボルト22Aが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOG(例えば空気)が導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の空気室166に供給するガス流路である空気極側ガス供給マニホールド161として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22B)と当該ボルト22Bが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する空気極側ガス排出マニホールド162として機能する。また、図1および図3に示すように、他の1つのボルト22(ボルト22D)と当該ボルト22Dが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFG(例えば水素リッチなガス)が導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の燃料室176に供給する燃料極側ガス供給マニホールド171として機能し、他の1つのボルト22(ボルト22E)と当該ボルト22Eが挿通された貫通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料極側ガス排出マニホールド172として機能する。
【0025】
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の本体部28の孔は、各ガス通路部材27の設置位置に設けられた各マニホールド161,162,171,172に連通している。
【0026】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、当該発電単位102と電気的に接続されている。他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置され、当該発電単位102と電気的に接続されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0027】
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
【0028】
図4および図5に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、セパレータ120と、空気極側フレーム部材130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム部材140と、燃料極側集電体144と、一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム部材130、燃料極側フレーム部材140、インターコネクタ150の周縁部には、上述したボルト22が挿通される貫通孔108に対応する孔が形成されている。
【0029】
インターコネクタ150は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
【0030】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを備える。単セル110は、さらに、燃料極116(より詳細には、後述する燃料極116の基部117)に対して電解質層112とは反対側(下側)に配置された金属支持体180を備える。
【0031】
金属支持体180は、Z軸方向に略直交する平板形状の導電性部材であり、金属(例えばステンレス)により形成されている。金属支持体180は、単セル110における他の構成要素(電解質層112等)を支持している。このように、本実施形態の単セル110は、金属支持体180によって単セル110の機械的強度を確保する、いわゆる金属支持型(メタルサポート型)の単セルである。金属支持型の単セルは、他のタイプ(例えば燃料極支持型)の単セルと比較して、熱衝撃による割れが生じにくく、また起動性が高い。金属支持体180には、燃料ガスFGを通過させるための複数の貫通孔50が形成されている(図6参照)。この複数の貫通孔50は、金属支持体180の上面(後述する上面S11)から下面(後述する下面S22)までZ軸方向に貫通している。
【0032】
電解質層112は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、緻密な層である。本実施形態では、電解質層112は、燃料極116における上側の表面と、金属支持体180における上側の表面の内、燃料極116に覆われていない領域とを連続的に覆うように形成されている。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))により形成されている。燃料極116は、Z軸方向に略直交する平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。本実施形態では、燃料極116は、特許請求の範囲における特定電極に相当する。
【0033】
セパレータ120は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。セパレータ120における孔121を取り囲む部分は、例えばロウ材を含む接合部124により、単セル110(電解質層112)の周縁部と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画される。
【0034】
空気極側フレーム部材130は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えばマイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム部材130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム部材130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。空気極側フレーム部材130には、空気極側ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する空気極側ガス供給連通流路132と、空気室166と空気極側ガス排出マニホールド162とを連通する空気極側ガス排出連通流路133とが形成されている。
【0035】
燃料極側フレーム部材140は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側フレーム部材140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム部材140には、燃料極側ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料極側ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料極側ガス排出マニホールド172とを連通する燃料極側ガス排出連通流路143とが形成されている。
【0036】
空気極側集電体134は、空気室166内に配置された複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、空気極114と上側のエンドプレート104とを電気的に接続する(図2および図3参照)。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として構成されていてもよい。
【0037】
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置された複数の略四角柱状の集電体要素145から構成されており、例えばステンレスにより形成されている。燃料極側集電体144は、金属支持体180とインターコネクタ150とを電気的に接続する。ただし、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における燃料極側集電体144は、金属支持体180と下側のエンドプレート106とを電気的に接続する(図2および図3参照)。なお、燃料極側集電体144とインターコネクタ150とが一体の部材として構成されていてもよい。
【0038】
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガスOGは、空気極側ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、当該ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して空気極側ガス供給マニホールド161に供給され、空気極側ガス供給マニホールド161から各発電単位102の空気極側ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から、当該ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料極側ガス供給マニホールド171に供給され、燃料極側ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料極側ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
【0039】
各発電単位102において、空気室166に供給された酸化剤ガスOGが多孔質な空気極114内に進入し、かつ、燃料室176に供給された燃料ガスFGが金属支持体180に形成された複数の貫通孔50を通って多孔質な燃料極116内に進入すると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は、空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は、金属支持体180および燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0040】
図2および図4に示すように、各発電単位102の空気室166から空気極側ガス排出連通流路133を介して空気極側ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、空気極側ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)から燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図3および図5に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料極側ガス排出連通流路143を介して燃料極側ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)から燃料電池スタック100の外部に排出される。
【0041】
A-3.単セル110の詳細構成:
図6は、単セル110の一部分(図5のX1部)のYZ断面構成を拡大して示す説明図である。図6に示す断面は、特許請求の範囲における特定断面の一例である。
【0042】
(金属支持体180)
上述したように、金属支持体180には、燃料ガスFGを通過させるための複数の貫通孔50が形成されている。金属支持体180において、各貫通孔50は、燃料極116(より詳細には、後述する基部117)に接する上面S11から、上面S11とは反対側の下面S22まで、Z軸方向に貫通している。各貫通孔50は、Z軸方向視で燃料極116と重なるように位置している。
【0043】
金属支持体180は、2枚の板状部材(第1の金属部材181および第2の金属部材182)がZ軸方向に積層された構成を有している。第2の金属部材182は、第1の金属部材181の下側に配置されており、例えば溶接によって第1の金属部材181と接合されている。第1の金属部材181の厚さと第2の金属部材182の厚さとは、略同一である。
【0044】
金属支持体180に形成された各貫通孔50は、金属支持体180の上面S11における開口53を含む上側部51を有している。各貫通孔50の上側部51は、金属支持体180を構成する第1の金属部材181に形成されている。各上側部51は、第1の金属部材181における燃料極116に接する上面S11から、上面S11とは反対側の下面S12まで貫通している。
【0045】
また、金属支持体180に形成された各貫通孔50は、上側部51に加えて、上側部51に連通する下側部52を有している。下側部52は、金属支持体180の下面(後述する第2の金属部材182の下面S22)における開口54を含む部分である。各下側部52は、第2の金属部材182における第1の金属部材181に接する上面S21から、上面S21とは反対側の下面S22まで貫通している。Z軸方向視において下側部52の輪郭線は上側部51の輪郭線と重なっている。すなわち、各貫通孔50は、上側部51と下側部52とから構成されている。
【0046】
以下、単セル110のZ軸方向に沿った断面(例えば、図6に示す断面)において、金属支持体180の貫通孔50を画定する1対の輪郭線の一方を輪郭線501といい、他方を輪郭線502という。
【0047】
金属支持体180の輪郭線501のうち、第1の金属部材181により形成された部分を第1部分5011といい、第2の金属部材182により形成された部分を第2部分5012という。換言すれば、輪郭線501の第1部分5011は、輪郭線501のうち、燃料極116側の端を含む部分であり、輪郭線501の第2部分5012は、輪郭線501のうち、燃料極116とは反対側において第1部分5011と連続する部分である。なお、第2部分5012は、輪郭線501のうち、燃料極116とは反対側の端部を構成している。
【0048】
金属支持体180の表面は、酸化被膜(本実施形態では、酸化クロム被膜)によって構成されている。なお、金属支持体180の表面の全体が酸化被膜によって構成されていてもよいが、金属支持体180の表面の一部のみが酸化被膜によって構成されていてもよい。このように表面が酸化被膜によって構成される金属支持体180は、例えば、金属部材の表面に熱処理を施すことにより酸化被膜を形成することにより得ることができる。
【0049】
単セル110のZ軸方向に沿った断面において下記の数式(1)~(4)を満たす。なお、単セル110のZ軸方向に沿った任意の断面において下記の数式(1)~(4)を満たしていてもよいが、単セル110のZ軸方向に沿った少なくとも1つの断面において下記の数式(1)~(4)を満たしていればよい。
【0050】
金属支持体180の貫通孔50を画定する1対の輪郭線(501,502)の一方である輪郭線501の第1部分5011の表面粗さをA1(μm)とし、金属支持体180のうち、燃料極116に対してZ軸方向に対向する表面である上面S11(以下、「対向面S11」という。)の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さをA2(μm)としたときに、数式(1):A1>A2を満たしている。A1やA2の有効数字は3桁である。
【0051】
更に、A1/A2をA3としたときに、数式(2):A3≧1.2を満たしている。
【0052】
また、もう一方の輪郭線502の構成についても、上述した輪郭線501の構成と同様である。すなわち、もう一方の輪郭線502の構成は以下の通りである。
【0053】
金属支持体180の貫通孔50を画定する1対の輪郭線(501,502)の他方である輪郭線502の第1部分5021の表面粗さをA1(μm)としたときに、数式(1):A1>A2を満たしている。A2は、上記と同様、金属支持体180の対向面S11の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さ(μm)である。A1やA2の有効数字は3桁である。更に、A1/A2をA3としたときに、数式(2):A3≧1.2を満たす。
【0054】
更に、金属支持体180のうち、燃料極116の孔内部118に接する酸化被膜の厚さのばらつきをTV1とし、金属支持体180のうち、燃料極116の基部117に接する酸化被膜の厚さのばらつきTV2としたときに、数式(3):TV1>TV2を満たしている。TV1やTV2の有効数字は3桁である。
【0055】
更に、TV1/TV2をA4としたときに、数式(4):A4≧1.2を満たしている。
【0056】
金属支持体180の輪郭線(第1部分5011,5021や、燃料極116の基部117が接する部分503など)の表面粗さの特定は、例えば次のように行う。まず、単セル110におけるZ軸方向に平行な断面(但し、金属支持体180の貫通孔50、燃料極116が表れる位置)を任意に設定し、当該断面における任意の位置(但し、金属支持体180の輪郭線501が表れる位置)で、燃料極116が写ったSEM(加速電圧15kV)におけるSEM画像(例えば1000倍)を得る。なお、レーザー顕微鏡における画像を用いてもよい。
【0057】
上記SEM画像において、金属支持体180の輪郭線501の第1部分5011の画像解析を行うことにより輪郭線501の第1部分5011における算術平均粗さRaに相当する表面粗さの値を算出する。なお、もう一方の輪郭線502の第1部分5021の表面粗さや、金属支持体180の対向面S11の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さの特定についても同様である。
【0058】
金属支持体180の輪郭線501の第1部分5011,5021の表面粗さの調整は、例えば、エッチングを行うことにより金属支持体180に貫通孔50を形成する際に、エッチングの条件(エッチング液の種類など)を適宜変更することにより、実現することができる。すなわち、金属支持体180の輪郭線501の第1部分5011,5021の表面粗さを適宜変更することにより、金属支持体180の対向面S11の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さとの差を調整することができる。
【0059】
金属支持体180の酸化被膜の各部(孔内部118に接する部分や、燃料極116の基部117に接する部分)の厚さのばらつきの特定は、例えば次のように行う。酸化被膜の各部における何れかの10箇所の厚さを測定し、その厚さの最大値と最小値の差を算出することにより、金属支持体180の酸化被膜の各部の厚さのばらつきを特定することができる。上記の10箇所は、酸化被膜の各部における特定箇所に限られないものであることが特に好ましいが、特定箇所に限られるものであってもよい。なお、金属支持体180のうち、金属支持体180の酸化被膜の厚さのばらつきは、上述した金属支持体180の輪郭線の表面粗さとある程度の相関性がある。具体的には、金属支持体180の酸化被膜の厚さのばらつきは、基本的には、金属支持体180の輪郭線の表面粗さが大きいほど大きくなる。この点を考慮し、金属支持体180の輪郭線の表面粗さに基づいて金属支持体180の酸化被膜の厚さのばらつきを推定するようにしてもよい。
【0060】
金属支持体180の酸化被膜の各部(孔内部118に接する部分や、燃料極116の基部117に接する部分)の厚さのばらつきの調整は、例えば次のように行う。金属支持体180の酸化被膜の各部の厚さのばらつきは、焼成温度と焼成時間を適宜変更することにより、調整することができる。なお、上述したように、金属支持体180の酸化被膜の厚さのばらつきは、金属支持体180の輪郭線の表面粗さとある程度の相関性がある。この点を考慮し、金属支持体180の輪郭線の表面粗さに基づいて金属支持体180の酸化被膜の厚さのばらつきを調整するようにしてもよい。
【0061】
(燃料極116等)
燃料極116は、平板形状である基部117と、複数の孔内部118とを備える。各孔内部118は、基部117に連なり、かつ、金属支持体180の各貫通孔50内に位置している。
【0062】
燃料極116の各孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021に接している。なお、図6では、燃料極116の孔内部118の略全体が、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021に接しているが、燃料極116の孔内部118の少なくとも一部が、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021に接していればよい。また、燃料極116が有する複数の孔内部118のうちのいずれかのみにおいて、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021に接している、という態様であってもよい。
【0063】
各貫通孔50は、燃料極116の孔内部118のZ軸方向の電解質層112とは反対側に空間SPを有する。
【0064】
なお、上記のような態様に換えて、燃料極116の各孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021と第2部分5012,5022との両方に接している態様であってもよく、また、上記空間SPを有さない態様(孔内部118が貫通孔50の全体に充填されている態様)であってもよい。
【0065】
本実施形態では、複数の貫通孔50は、Z軸方向視において金属支持体180と燃料極116とが重なる範囲の略全体にわたって配置されている。また、単セル110のXY断面における各貫通孔50の形状は、円形である。各貫通孔50の径は、金属支持体180の上面(対向面)S11における開口53の位置から下面S22における開口54の位置にわたって略一定である。また、複数の貫通孔50の径は、互いに略同一である。
【0066】
燃料室176に供給された反応ガス(燃料ガスFG)は、各貫通孔50(空間SP)内を進行し、さらに燃料極116の孔内部118や基部117の空隙内を進行して、反応場に供給される。
【0067】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する単セル110は、電解質層112と、燃料極116および空気極114と、金属支持体180とを備える。燃料極116および空気極114は、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向している。金属支持体180は、燃料極116に対して電解質層112とは反対側に位置している。金属支持体180のうち、燃料極116に対してZ軸方向に対向する表面である対向面S11は、燃料極116に接している。金属支持体180は、Z軸方向に貫通する複数の貫通孔50を有する。各貫通孔50は、Z軸方向視で燃料極116と重なるように位置している。燃料極116は、金属支持体180の対向面S11に接する基部117と、貫通孔50内に位置する孔内部118とを備える。金属支持体180のうち、燃料極116に接する対向面S11の少なくとも一部は、酸化被膜によって構成されている。単セル110のZ軸方向に沿った少なくとも1つの断面(以下、「特定断面」という。)において、金属支持体180の貫通孔50を画定する1対の輪郭線(501,502)の一方である輪郭線501のうち、燃料極116側の端を含む第1部分5011の表面粗さをA1(μm)とし、金属支持体180の対向面S11の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さをA2(μm)としたときに、数式(1):A1>A2を満たし、かつ、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501の第1部分5011の少なくとも一部に接している。
【0068】
本実施形態の単セル110では、数式(1):A1>A2を満たすことにより、A1とA2が同等である構成と比較して、金属支持体180と燃料極116とを引き離す力(Z軸方向に略平行な力)が作用したときに、燃料極116の孔内部118が金属支持体180の輪郭線501の第1部分5011に係合してアンカーとして効果的に機能する。そのため、本実施形態の単セル110では、A1とA2が同等である構成と比較して、燃料極116と金属支持体180とにおける相対的なZ軸方向(より詳細には、Z軸方向のうち、燃料極116と金属支持体180とが離れる方向)の位置ずれを抑制することができ、ひいては、金属支持体180からの燃料極116の剥離を抑制することができる。
【0069】
ところで、本実施形態の単セル110では、上述したように、金属支持体180のうち、燃料極116に接する対向面S11の少なくとも一部は、酸化被膜によって構成されている。このような単セル110において、A2が大きい(換言すれば、金属支持体180の対向面S11のうち、燃料極116の基部117が接する部分の表面粗さが大きい)と、金属支持体180と燃料極116とが接触する接触部の分布が不均一となり、これにより、電流集中や、局所的に金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散が生じやすいといった問題が生じやすい。
【0070】
本実施形態の単セル110では、数式(1):A1>A2を満たすことにより、A1とA2が同等である構成と比較して、電流集中や、局所的な金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散を抑制することができる。
【0071】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の単セル110によれば、A1とA2が同等である構成と比較して、金属支持体180からの燃料極116の剥離を抑制することができ、かつ、電流集中や、局所的な金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、単セル110の性能を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態の単セル110では、A1/A2をA3としたときに、数式(2)A3≧1.2を満たす。本実施形態の単セル110によれば、A3<1.2を満たす構成と比較して、より効果的に、金属支持体180からの燃料極116の剥離を抑制することができ、かつ、電流集中や、局所的な金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、単セル110の性能を向上させることができる。
【0073】
上記では、本発明を、輪郭線501に関する構成に適用した部分による効果を説明したが、輪郭線502に関する構成に適用した部分についても同様の効果が得られる。
【0074】
また、本実施形態の単セル110では、金属支持体180のうち、燃料極116の孔内部118に接する酸化被膜の厚さのばらつきをTV1とし、金属支持体180のうち、燃料極116の基部に接する酸化被膜の厚さのばらつきTV2としたときに、数式(3):TV1>TV2を満たす。本実施形態の単セル110によれば、TV1とTV2が同等である構成と比較して、より効果的に、電流集中や、局所的な金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、単セル110の性能を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態の単セル110では、TV1/TV2をA4としたときに、数式(4):A4≧1.2を満たす。本実施形態の単セル110によれば、A4<1.2を満たす構成と比較して、より効果的に、電流集中や、局所的な金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散を抑制することができ、これにより、単セル110の性能を向上させることができる。
【0076】
A-5.性能評価:
次に、本実施形態の性能評価について説明する。各特性が互いに異なる複数の単セル110のサンプルを作製し、当該サンプル(「単セル110の発電性能についての評価」については後述するボタンセル)を用いて性能評価を行った。図7は、性能評価結果を示す説明図である。
【0077】
図7に示すように、本性能評価には、単セル110の4個のサンプル(サンプルSA1~SA4)が用いられた。
【0078】
以下、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の表面粗さをまとめて「A1」(μm)という。各サンプルは、特性が互いに異なっている。具体的には、各サンプルは、燃料極116の孔内部118の有無(図7の「孔内部118の有無」欄を参照)と、A1(金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の表面粗さA1)(μm)と、A2(金属支持体180の対向面S11の輪郭線のうち、燃料極116の基部117が接する部分503の表面粗さ)(μm)との大小関係(図7の「A1とA2の大小関係」欄を参照)と、A1/A2≧1.2を満たすか否かの成否(図7の「A1/A2≧1.2」欄を参照)とのいずれかが互いに異なっている。
【0079】
なお、金属支持体180の輪郭線501,502の第2部分5012,5022の表面粗さは、第1部分5011,5021の表面粗さA1(μm)と同等である。また、いずれのサンプルにおいてもA2の値は同一である。また、金属支持体180の表面のうち、輪郭線501,502の第1部分5011,5021以外の部分の表面粗さは、基本的にA2(μm)である。また、燃料極116の孔内部118が「有り」である各サンプルは、「燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している」という条件を満たしている。
【0080】
(燃料極116と金属支持体180との接合強度についての評価)
各サンプル(単セル110)について、燃料極116の表面に粘着テープを貼り、粘着テープを剥がす際の燃料極116と金属支持体180との剥離の有無を確認した。粘着テープを剥がした後に粘着テープに付着している燃料極116の量(面積)が所定の判定閾値(以下、「第1の判定閾値」という。)以下であったサンプルを「特に良い(◎)」と評価した。粘着テープに付着している燃料極116の量が、第1の判定閾値より大きく、かつ、第1の判定閾値よりも大きい所定の判定閾値(以下、「第2の判定閾値」という。)以下であったサンプルを「良い(〇)」と評価した。粘着テープに付着している燃料極116の量が第2の判定閾値より大きかったサンプルを「不合格(×)」と評価した。なお、第1の判定閾値として、燃料極116の表面のうち、粘着テープが貼られた部分の面積の10%の値を用い、第2の判定閾値として、燃料極116の表面のうち、粘着テープが貼られた部分の面積の30%の値を用いた。その評価結果は、図7の「燃料極116と金属支持体180との接合強度」欄に示されている通りである。
【0081】
図7に示すように、サンプルSA1では、粘着テープに付着した燃料極116の量が第1の判定閾値以下であったため、「特に良い」と評価した。また、サンプルSA2では、粘着テープに付着した燃料極116の量が第1の判定閾値より大きく、かつ、第2の判定閾値以下であったため、「良い」と評価した。これに対し、サンプルSA3,SA4では、粘着テープに付着した燃料極116の量が第1の判定閾値より大きかったため、「不合格」と評価した。
【0082】
ここで、サンプルSA1,SA2では、燃料極116の孔内部118が「有り」(かつ、料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している)であり、かつ、A1>A2である。一方、サンプルSA3では、燃料極116の孔内部118が「有り」であるが、A1=A2である(つまり、A1>A2を満たしていない)。サンプルSA3では、A1>A2であるが、燃料極116の孔内部118が「無し」である(つまり、「燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している」という条件を満たしていない)。以上の結果から、燃料極116の孔内部118が「有り」(かつ、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している)であり、かつ、A1>A2を満たす構成においては、粘着テープに付着する燃料極116の量が少なくなり、すなわち、燃料極116と金属支持体180との接合強度が高い単セル110が得られることが確認された。
【0083】
また、サンプルSA1では、A1/A2≧1.2を満たす一方で、サンプルSA2では、A1/A2≧1.2を満たしていない。以上の結果から、A1/A2≧1.2を満たす構成においては、粘着テープに付着する燃料極116の量が特に少なくなり、すなわち、燃料極116と金属支持体180との接合強度が特に高い単セル110が得られることが確認された。
【0084】
(単セル110の発電性能についての評価)
本評価では、上記の単セル110の4個のサンプル(サンプルSA1~SA4)に換えて、上述した単セル110の製造方法に倣って作製した4個のボタンセルが用いられた。各サンプル(ボタンセル)は、上述した特性(「A1とA2の大小関係」など)が上記の単セル110の各サンプルと同様であるものであり、上下方向視で25mmの辺を有する四角形をなす燃料極116および電解質層112を備える積層体の上に、上下方向視で直径13mmの円形をなす空気極114が形成されたものである。下記において、便宜上、上記の単セル110のサンプルと特性(「A1とA2の大小関係」など)が同一であるボタンセルのサンプルを同じ符号を付して呼ぶ(例えばサンプルSA1)。
【0085】
各サンプル(単セル110)について、約700(℃)で空気極114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55A/cmのときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値が所定の判定閾値(以下、「第3の判定閾値」という。)以上であったサンプルを「合格(〇)」と評価し、測定値が第3の判定閾値より低かったサンプルを「不合格(×)」と評価した。その評価結果は、図7の「発電性能」欄に示されている通りである。
【0086】
図7に示すように、サンプルSA1,SA2では、測定値(単セル110の出力電圧)が第3の判定閾値以上であったため、「合格」と評価した。これに対し、サンプルSA3,SA4では、測定値が第3の判定閾値より低かったため、「不合格」と評価した。
【0087】
ここで、上述したように、サンプルSA1,SA2では、燃料極116の孔内部118が「有り」(かつ、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している)であり、かつ、A1>A2である。一方、サンプルSA3では、燃料極116の孔内部118が「有り」であるが、A1=A2である(つまり、A1>A2を満たしていない)。サンプルSA3では、A1>A2であるが、燃料極116の孔内部118が「無し」である(つまり、「料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している」という条件を満たしていない)。以上の結果から、燃料極116の孔内部118が「有り」(かつ、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している)であり、かつ、A1>A2を満たす構成においては、発電性能が特に高い単セル110が得られることが確認された。
【0088】
以上の評価により、燃料極116の孔内部118が「有り」(かつ、燃料極116の孔内部118は、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021の少なくとも一部に接している)であり、かつ、A1>A2(数式(1))を満たす構成が優れた効果を奏することが確認された。また、金属支持体180の2つの輪郭線501,502の一方のみがこのような表面粗さの条件を満たす構成においては、効果の程度がいくらか劣ることになる可能性があるものの、同様の効果(特に「燃料極116と金属支持体180との接合強度」および「発電性能」についての効果)が得られると考えられる。
【0089】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0090】
上記実施形態における燃料電池スタック100や単セル110の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、金属支持体180に形成された各貫通孔50が、上側部51と下側部52とから構成されているが、貫通孔50の構成は、金属支持体180のZ軸方向の一方の面から他方の面まで貫通する限りにおいて、必ずしもこれに限られない。例えば、金属支持体180に形成された貫通孔50が、Z軸方向に直交する方向に延伸する部分を含んでいてもよい。
【0091】
上記実施形態(または変形例、以下同様)では、単セル110のXY断面における金属支持体180の各貫通孔50形状は、円形であるが、円形以外の形状(例えば矩形)であってもよい。また、上記実施形態では、各貫通孔50の径は、金属支持体180の上面(対向面)S11における開口53の位置から下面S22における開口54の位置にわたって略一定であるが、いずれかの位置で異なっていてもよい。また、上記実施形態では複数の貫通孔50の構成は同様であるが、いずれかの貫通孔の構成が他の貫通孔の構成と異なっていてもよい。例えば、複数の貫通孔50の径は、互いに略同一であるが、互いに異なっていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、金属支持体180の表面は、酸化クロム被膜によって構成されているが、金属支持体180の表面は、酸化クロム被膜以外の酸化被膜によって構成されていてもよい。金属支持体180の表面が酸化クロム被膜以外の酸化被膜によって構成されている態様においても、上記実施形態と同様に、上述した問題(電流集中や、局所的に金属支持体180と燃料極116との間での元素拡散)に対し、数式(1):A1>A2を満たすことにより当該問題の発生を抑制することができる。
【0093】
上記実施形態では、金属支持体180が、Z軸方向に積層された第1の金属部材181および第2の金属部材182から構成されているが、金属支持体180の構成はこれに限られない。例えば、金属支持体180が、1枚の板状部材から構成されていてもよいし、Z軸方向に積層された3枚以上の板状部材から構成されていてもよい。また、金属支持体180の輪郭線501,502の第1部分5011,5021や第2部分5012,5022が複数の板状部材に跨って形成されていてもよい。また、金属支持体180がZ軸方向に積層された複数の板状部材から構成されている場合、各板状部材の厚さは互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0094】
上記実施形態では、金属支持体180の輪郭線501,502の第2部分5012,5022は、輪郭線501,502のうち、燃料極116とは反対側の端部を構成しているが、第2部分5012,5022は、輪郭線501,502のうち、燃料極116とは反対側の端部でない、としてもよい。すなわち、第2部分5012,5022は、第1部分5011,5021と、燃料極116とは反対側の端部との間を構成する部分であるとしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、金属支持体180は、数式(2):A3≧1.2を満たしているが、数式(1):A1>A2を満たす限りにおいて、数式(2):A3≧1.2を満たしていないとしてもよい。
【0096】
上記実施形態では、輪郭線501と輪郭線502との両方が上記数式(1)~(4)の全部または一部を満たしているが、輪郭線501と輪郭線502との一方のみが上記数式(1)~(4)の全部または一部を満たしている、としてもよい。
【0097】
上記実施形態において、必ずしも燃料電池スタック100に含まれる全ての単セル110において、上述した構成が実現されている必要はなく、燃料電池スタック100に含まれる少なくとも1つの単セル110において、上述した構成が実現されていればよい。例えば、上記実施形態では各単セル110が備える金属支持体180の構成は同様であるが、いずれかの単セルが備える金属支持体の構成が異なっていてもよい。また、上記実施形態では各単セル110が備える燃料極116の構成は同様であるが、いずれかの単セルが備える燃料極の構成が異なっていてもよい。
【0098】
上記実施形態では、金属支持体180に形成された全ての貫通孔50(および、貫通孔50内に位置する燃料極116の孔内部118)について、本発明の特徴的構成をなす(数式(1):A1>A2を満たす、等)としているが、金属支持体180に形成された全ての貫通孔50(および、貫通孔50内に位置する燃料極116の孔内部118)のうちのいずれかのみが本発明の特徴的構成をなしているとしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、金属支持体180が燃料極116に対して電解質層112とは反対側に位置する部材である燃料電池スタック100に本発明を適用したものである。また、金属支持体が空気極114に対して電解質層112とは反対側に位置する部材である燃料電池スタックに本発明を適用してもよい。なお、このような構成において、空気極114は、特許請求の範囲における特定電極の一例である。
【0100】
上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。また、上記実施形態における単セル110の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0101】
上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う固体酸化物形燃料電池(SOFC)を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルおよび複数の電解単セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016-81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、貫通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、貫通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解単セルにおいても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0102】
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
22(22A~22E): ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 50:貫通孔 51:(貫通孔の)上側部 52:(貫通孔の)下側部 53,54:開口 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:貫通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 117:(燃料極の)基部 118:(燃料極の)孔内部 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム部材 131:孔 132:空気極側ガス供給連通流路 133:空気極側ガス排出連通流路 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム部材 141:孔 142:燃料極側ガス供給連通流路 143:燃料極側ガス排出連通流路 144:燃料極側集電体 145:集電体要素 150:インターコネクタ 161:空気極側ガス供給マニホールド 162:空気極側ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料極側ガス供給マニホールド 172:燃料極側ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:金属支持体 181:第1の金属部材 182:第2の金属部材 501,502:輪郭線 503:金属支持体180の対向面S11の輪郭線の部分 5011,5021:第1部分 5012,5022:第2部分 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス S11:(第1の金属部材の)上面(対向面) S12:(第1の金属部材の)下面 S21:(第2の金属部材の)上面 S22:(第2の金属部材の)下面 SP:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7