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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023057
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】加工装置、及び加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20230209BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20230209BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20230209BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20230209BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20230209BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20230209BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20230209BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230209BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20230209BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B55/02 D
B24B55/06
B24B27/06 M
B24B41/06 A
B23Q7/04 K
B23Q11/08 B
B23Q11/00 Q
B23Q11/10 A
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128234
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】深井 元樹
(72)【発明者】
【氏名】堀 聡子
(72)【発明者】
【氏名】坂上 雄哉
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
3C033
3C034
3C047
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C011BB06
3C011BB12
3C011BB14
3C011DD06
3C011EE02
3C016DA01
3C033BB04
3C033HH11
3C033HH27
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB81
3C034DD10
3C047FF06
3C047GG01
3C047HH11
3C158AA03
3C158AA18
3C158AB04
3C158AC04
3C158AC05
3C158CB05
3C158DA17
5F063AA24
5F063AA26
5F063DD06
5F063DD21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減しつつ、加工液の飛散を防止する加工装置及び加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】加工装置は、封止済基板Wを保持する加工テーブル2A、2Bと、封止済基板を加工テーブルに搬送するために保持する第1保持機構3、加工機構と、複数の製品が移される移載テーブルと、複数の製品を移載テーブルに搬送する第2保持機構と、第1保持機構及び第2保持機構を移動させるための共通のトランスファ軸71を有する搬送用移動機構と、加工機構を移動させる加工用移動機構と、加工液を噴射する加工液供給機構と、加工液の飛散を防止する加工液飛散防止機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を保持する加工テーブルと、
前記加工対象物を前記加工テーブルに搬送するために前記加工対象物を保持する第1保持機構と、
前記加工テーブルに保持された前記加工対象物を加工する加工機構と、
加工後の前記加工対象物が移される移載テーブルと、
加工後の前記加工対象物を前記加工テーブルから前記移載テーブルに搬送するために加工後の前記加工対象物を保持する第2保持機構と、
前記加工テーブル及び前記移載テーブルの配列方向に沿って延び、前記第1保持機構及び前記第2保持機構を移動させるための共通のトランスファ軸を有する搬送用移動機構と、
前記加工機構を水平面において前記トランスファ軸に沿った第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向それぞれに移動させる加工用移動機構と、
前記加工用移動機構により前記加工機構とともに移動し、加工送り方向の一方側から前記加工機構に加工液を噴射する加工液供給機構と、
前記加工機構に対して前記加工送り方向の他方側に設けられるとともに、前記加工テーブルの上面よりも下側の位置から上方を覆い、前記加工液の飛散を防止する加工液飛散防止機構とを備える、加工装置。
【請求項2】
前記加工液飛散防止機構は、
前記加工機構の移動に伴って伸縮し、前記加工送り方向に直交する上方及び側方を覆う蛇腹部材と、
前記蛇腹部材における前記加工送り方向の後端部が接続され、前記加工送り方向の後方を覆うシャッタ部材とを有する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記加工機構による前記加工対象物の加工時において前記シャッタ部材を前記加工テーブルに対して固定する固定部を有している、請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記加工テーブルを複数備えており、
前記固定部は、前記複数の加工テーブルそれぞれに対応して設けられている、請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記加工用移動機構は、前記シャッタ部材を複数の前記固定部それぞれに移動させる、請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記シャッタ部材は、その下端部が前記加工テーブルの上面よりも上側に位置する上昇位置と、前記下端部が前記加工テーブルの上面よりも下側に位置する下降位置との間で移動可能であり、
前記下降位置において前記固定部により固定される、請求項3乃至5の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項7】
前記加工用移動機構は、前記加工機構を前記第1方向であるX方向に直線移動させるX方向移動部と、前記加工機構を前記第2方向であるY方向に直線移動させるY方向移動部とを備え、
前記X方向移動部は、前記加工テーブルを挟んでX方向に沿って設けられた一対のX方向ガイドレールと、当該一対のX方向ガイドレールに沿って移動するとともに、前記Y方向移動部を介して前記加工機構を支持する支持体とを有している、請求項1乃至6の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項8】
前記X方向に沿って一方を向く方向が前記加工送り方向であり、
前記支持体においてX方向に沿った一方側に前記加工機構及び前記加工液供給機構が設けられており、
前記支持体においてX方向に沿った他方側に前記加工液飛散防止機構が設けられている、請求項7に記載の加工装置。
【請求項9】
前記支持体においてX方向に沿った一方側に前記加工機構及び前記加工液供給機構を収容するカバー部材が設けられている、請求項8に記載の加工装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の加工装置を用いて加工品を製造する加工品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置、及び加工品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、切断システムにおいて、ストリップピッカーがX軸方向に移動して半導体ストリップをオンロード装置から切断装置のチャックテーブルに移送し、チャックテーブルが半導体ストリップを吸着してY軸方向でシステム後方に移動した後に、半導体ストリップをスピンドルにより半導体パッケージに切断する構成のものが考えられている。また、チャックテーブルは、ボールスクリュー(ボールねじ機構)を用いてY軸方向に移動される構成としてある。
【0003】
しかしながら、上記の切断システムでは、ボールスクリューを用いてチャックテーブルを移動して切断を行うことから、ボールスクリューを加工水や加工屑から保護する蛇腹部材を設け、さらに蛇腹部材を保護するために蛇腹部材上に複数のプレート部材を設ける必要がある。その結果、装置構成が複雑になってしまう。
【0004】
また、上記の切断システムでは、半導体ストリップをX軸方向に移送するだけでなく、半導体ストリップを切断するためにY軸方向でシステム後方に移送するので、装置のフットプリントが大きくなってしまう。
【0005】
一方で、特許文献2に示すように、切削手段を加工送り手段でX軸方向に加工送りするとともに、位置固定的なチャックテーブルに切り込み送り手段でZ軸方向に切り込み送りさせて、チャックテーブル上に保持された被加工物の切削加工を行う加工装置が考えられている。この加工装置では、加工送りに伴う切削水に対する防水として、チャックテーブル周りの水平配設の蛇腹構造による防水手段に不要にしている。
【0006】
ところが、この加工装置では、チャックテーブル周りの水平配設の蛇腹構造による防水手段を不要にできるものの、切削加工において切削水が周囲の構成要素に飛散してしまい、不具合となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007-536727号公報
【特許文献2】特開2008-140981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減しつつ、加工液の飛散を防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る加工装置は、加工対象物を保持する加工テーブルと、前記加工対象物を前記加工テーブルに搬送するために前記加工対象物を保持する第1保持機構と、前記加工テーブルに保持された前記加工対象物を加工する加工機構と、加工後の前記加工対象物が移される移載テーブルと、加工後の前記加工対象物を前記加工テーブルから前記移載テーブルに搬送するために加工後の前記加工対象物を保持する第2保持機構と、前記加工テーブル及び前記移載テーブルの配列方向に沿って延び、前記第1保持機構及び前記第2保持機構を移動させるための共通のトランスファ軸を有する搬送用移動機構と、前記加工機構を水平面において前記トランスファ軸に沿った第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向それぞれに移動させる加工用移動機構と、前記加工用移動機構により前記加工機構とともに移動し、加工送り方向の前側から前記加工機構に加工液を噴射する加工液供給機構と、前記加工機構に対して前記加工送り方向の後側に設けられるとともに、前記加工テーブルの上面よりも下側の位置から上方を覆い、前記加工液の飛散を防止する加工液飛散防止機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減しつつ、加工液の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置の構成を模式的に示す図である。
図2】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造を模式的に示す斜視図である。
図3】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造の構成を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
図4】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
図5】同実施形態の第1保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
図6】同実施形態の第1保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すX方向から見た図(側面図)である。
図7】同実施形態のラックアンドピニオン機構の構成を模式的に示す断面図である。
図8】同実施形態の第2保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
図9】同実施形態の加工用移動機構及びカバー部材の構成を模式的に示すX方向から見た断面図である。
図10】同実施形態の加工用移動機構、カバー部材及び切削水飛散防止機構の構成を模式的に示すY方向から見た断面図である。
図11】同実施形態の加工用移動機構、カバー部材及び切削水飛散防止機構の構成を模式的に示すY方向から見た断面図である。
図12】同実施形態の切削水飛散防止機構におけるシャッタ部材の(a)上昇位置、及び、(b)下降位置を示す模式図である。
図13】同実施形態の切削水飛散防止機構の動作を示す模式図である。
図14】同実施形態の切削水飛散防止機構の動作を示す模式図である。
図15】同実施形態の切断装置の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0013】
本発明の加工装置は、前述のとおり、加工対象物を保持する加工テーブルと、前記加工対象物を前記加工テーブルに搬送するために前記加工対象物を保持する第1保持機構と、前記加工テーブルに保持された前記加工対象物を加工する加工機構と、加工後の前記加工対象物が移される移載テーブルと、加工後の前記加工対象物を前記加工テーブルから前記移載テーブルに搬送するために加工後の前記加工対象物を保持する第2保持機構と、前記加工テーブル及び前記移載テーブルの配列方向に沿って延び、前記第1保持機構及び前記第2保持機構を移動させるための共通のトランスファ軸を有する搬送用移動機構と、前記加工機構を水平面において前記トランスファ軸に沿った第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向それぞれに移動させる加工用移動機構と、前記加工用移動機構により前記加工機構とともに移動し、加工送り方向の前側から前記加工機構に加工液を噴射する加工液供給機構と、前記加工機構に対して前記加工送り方向の後側に設けられるとともに、前記加工テーブルの上面よりも下側の位置から上方を覆い、前記加工液の飛散を防止する加工液飛散防止機構とを備えることを特徴とする。
この加工装置であれば、加工テーブル及び移載テーブルの配列方向に沿って延びる共通のトランスファ軸により第1保持機構及び第2保持機構を移動させる構成とし、加工用移動機構により加工機構を水平面においてトランスファ軸に沿った第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向それぞれに移動させるので、加工テーブルを第1方向及び第2方向に移動させることなく、加工対象物を加工することができる。このため、加工テーブルをボールねじ機構により移動させることなく、ボールねじ機構を保護するための蛇腹部材及び当該蛇腹部材を保護するためのカバー部材を不要にすることができる。その結果、加工装置の装置構成を簡素化することができる。また、加工テーブルが水平面上において第1方向及び第2方向に移動しない構成となるので、加工テーブルの移動スペース及びその周辺の無駄なスペースを削減することができ、加工装置のフットプリントを低減することができる。
特に本発明では、加工送り方向の前側から加工機構に加工液を噴射する構成において、加工機構に対して加工送り方向の後側に、加工テーブルの上面よりも下側の位置から上方を覆う加工液飛散防止機構を設けているので、加工液の飛散を防止することができる。
【0014】
加工用移動機構による加工機構の移動に追従しつつ加工液の飛散を防止するためには、前記加工液飛散防止機構は、前記加工機構の移動に伴って伸縮し、前記加工送り方向に直交する上方及び側方を覆う蛇腹部材と、前記蛇腹部材における前記加工送り方向の後端部が接続され、前記加工送り方向の後方を覆うシャッタ部材とを有することが望ましい。
加工機構による加工対象物の加工時にシャッタ部材が移動すると、加工液の飛散を確実に防止できない可能性がある。この問題を解決するためには、加工装置は、前記加工機構による前記加工対象物の加工時において前記シャッタ部材を固定する固定部を有していることが望ましい。
【0015】
1つの加工装置において加工対象物の処理能力を上げるためには、本発明の加工装置は、前記加工テーブルを複数備えていることが望ましい。
ここで、前記固定部は、前記複数の加工テーブルそれぞれに対応して設けられていることが望ましい。この構成であれば、蛇腹部材を1つの加工テーブルに対応した長さにすることができ、縮んだ状態の蛇腹部材の寸法を小さくすることができる。また、各加工テーブルに応じてシャッタ部材を固定し、1つの加工テーブルを蛇腹部材で覆う構成にすることができ、加工していない加工テーブルに対して加工前の加工対象物を搬入することができるし、加工後の加工対象物を搬出することができる等の処理能力を上げることができる。
【0016】
複数の加工テーブルに対応した複数の固定部にシャッタ部材を移動させるためには、前記加工用移動機構は、前記シャッタ部材を複数の前記固定部それぞれに移動させることが望ましい。
この構成であれば、シャッタ部材を移動させる移動機構を別途設ける必要がなく、シャッタ部材を移動させる構成を簡略化することができる。
【0017】
シャッタ部材の下端部が加工テーブルの上面よりも低い位置に設けられていることから、シャッタ部材を加工テーブルに干渉することなく移動させる必要がある。このため、前記シャッタ部材は、その下端部が前記加工テーブルの上面よりも上側に位置する上昇位置と、前記下端部が前記加工テーブルの上面よりも下側に位置する下降位置との間で移動可能であり、前記下降位置において前記固定部により固定されることが望ましい。
【0018】
前記加工用移動機構は、いわゆるガントリ機構と呼ばれるものである。具体的に前記加工用移動機構は、前記加工機構を前記第1方向であるX方向に直線移動させるX方向移動部と、前記加工機構を前記第2方向であるY方向に直線移動させるY方向移動部とを備え、前記X方向移動部は、前記加工テーブルを挟んでX方向に沿って設けられた一対のX方向ガイドレールと、当該一対のX方向ガイドレールに沿って移動するとともに、前記Y方向移動部を介して前記加工機構を支持する支持体とを有していることが望ましい。この構成において、共通のトランスファ軸は、支持体の上方において当該支持体を横切るように配置され、共通のトランスファ軸及び支持体は互いに交差する位置関係となる。
このようにX方向に沿って設けられる一対のX方向ガイドレールが加工テーブルを挟んで設けられるので、一対のX方向ガイドレールのピッチ(間隔)を大きくすることができる。その結果、X方向ガイドレール同士の上下方向の位置ずれが加工に与える影響を小さくすることができる。つまり、加工機構(例えばブレードなどの回転工具)と加工テーブルの直交度のズレを小さくすることができ、加工精度を向上させることができる。また、X方向ガイドレールに従来よりも低スペックのものを用いることができる。
【0019】
上記の加工用移動機構においては、前記X方向に沿って一方を向く方向が前記加工送り方向であり、前記支持体においてX方向に沿った一方側に前記加工機構及び前記加工液供給機構が設けられており、前記支持体においてX方向に沿った他方側に前記加工液飛散防止機構が設けられていることが望ましい。この構成であれば、支持体の下側を通過した加工液が支持体のX方向に沿った他方側で飛散することを防止することができる。
【0020】
支持体のX方向に沿った一方側における加工液の飛散を防止するためには、前記支持体のX方向に沿った一方側に前記加工機構及び前記加工液供給機構を収容するカバー部材が設けられていることが望ましい。
【0021】
また、上記の加工装置を用いて加工品を製造する加工品の製造方法も本発明の一態様である。
【0022】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る加工装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0023】
<加工装置の全体構成>
本実施形態の加工装置100は、加工対象物である封止済基板Wを切断することによって、複数の製品Pに個片化する切断装置である。
【0024】
ここで、封止済基板Wとは、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子が接続された基板に対して、少なくとも電子素子を樹脂封止するように樹脂成形したものである。封止済基板Wを構成する基板としては、リードフレーム、プリント配線板を用いることができ、これら以外にも、半導体製基板(シリコンウェーハ等の半導体ウェーハを含む)、金属製基板、セラミック製基板、ガラス製基板、樹脂製基板等を用いることができる。また、封止済基板Wを構成する基板には、配線が施されていても施されていなくてもよい。
【0025】
また、本実施形態の封止済基板W及び製品Pは、一方の面が後に実装される実装面となる。本実施形態の説明では、後に実装される一方の面を「実装面」と記載し、その反対側の面を「反対面」と記載する。
【0026】
具体的に切断装置100は、図1に示すように、封止済基板Wを保持する2つの切断用テーブル(加工テーブル)2A、2Bと、封止済基板Wを切断用テーブル2A、2Bに搬送するために封止済基板Wを保持する第1保持機構3と、切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wを切断する切断機構(加工機構)4と、複数の製品Pが移される移載テーブル5と、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから移載テーブル5に搬送するために複数の製品Pを保持する第2保持機構6と、第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるための共通のトランスファ軸71を有する搬送用移動機構7と、切断機構4を切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wに対して移動させる切断用移動機構(加工用移動機構)8とを備えている。なお、第1保持機構3及び搬送用移動機構7により封止済基板Wを搬送する搬送機構(ローダ)が構成され、第2保持機構6及び搬送用移動機構7により複数の製品Pを搬送する搬送機構(アンローダ)が構成される。
【0027】
以下の説明において、切断用テーブル2A、2Bの上面に沿った平面(水平面)内で互いに直交する方向をそれぞれ第1方向であるX方向及び第2方向であるY方向、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向とする。具体的には、図1の左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。後述するが、X方向は、支持体812の移動方向であり、また、門型の支持体812における一対の脚部を架け渡される梁部(ビーム部)の長手方向(梁部の延びる方向)に直交する方向である(図2及び図3参照)。
【0028】
<切断用テーブル2A、2B>
2つの切断用テーブル2A、2Bは、X方向、Y方向及びZ方向に固定して設けられている。なお、切断用テーブル2Aは、切断用テーブル2Aの下に設けられた回転機構9Aによってθ方向に回転可能である。また、切断用テーブル2Bは、切断用テーブル2Bの下に設けられた回転機構9Bによってθ方向に回転可能である。
【0029】
これら2つの切断用テーブル2A、2Bは、水平面上においてX方向に沿って設けられている。具体的には、2つの切断用テーブル2A、2Bは、それらの上面が同一の水平面上に位置する(Z方向において同じ高さ位置する)ように配置されるとともに(図4参照)、それらの上面の中心(具体的には回転機構9A、9Bによる回転中心)がX方向に延びる同一直線上に位置するように配置されている(図2及び図3参照)。
【0030】
また、2つの切断用テーブル2A、2Bは、封止済基板Wを吸着保持するものであり、図1に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bに対応して、吸着保持するための2つの真空ポンプ10A、10Bが配置されている。各真空ポンプ10A、10Bは、例えば水封式真空ポンプである。
【0031】
ここで、切断用テーブル2A、2BがXYZ方向に固定されているため、真空ポンプ10A、10Bから切断用テーブル2A、2Bに接続される配管(不図示)を短くすることができ、配管の圧力損失を低減して、吸着力の低下を防止することができる。その結果、例えば1mm角以下の極小パッケージであっても確実に切断用テーブル2A、2Bに吸着することができる。また、配管の圧力損失による吸着力の低下を防止できるので、真空ポンプ10A、10Bの容量を小さくすることができ、小型化やコストダウンにもつながる。
【0032】
<第1保持機構3>
第1保持機構3は、図1に示すように、封止済基板Wを基板供給機構11から切断用テーブル2A、2Bに搬送するために封止済基板Wを保持するものである。この第1保持機構3は、図5及び図6に示すように、封止済基板Wを吸着保持するための複数の吸着部311が設けられた吸着ヘッド31と、当該吸着ヘッド31の吸着部311に接続された真空ポンプ(不図示)とを有している。そして、吸着ヘッド31が、後述する搬送用移動機構7などにより所望の位置に移動されることにより、封止済基板Wを基板供給機構11から切断用テーブル2A、2Bに搬送する。
【0033】
基板供給機構11は、図1に示すように、複数の封止済基板Wが外部から収容される基板収容部111と、当該基板収容部111に収容された封止済基板Wを第1保持機構3により吸着保持される保持位置RPに移動させる基板供給部112とを有している。この保持位置RPは、2つの切断用テーブル2A、2BとX方向において同列となるように設定されている。なお、基板供給機構11は、第1保持機構3により吸着される封止済基板Wを柔軟な状態として、吸着を容易とするために加熱する加熱部113を有していても良い。
【0034】
<切断機構4>
加工機構である切断機構4は、図1図2及び図3に示すように、ブレード41A、41B及び2つのスピンドル42A、42Bからなる2つの回転工具40を有するものである。2つのスピンドル42A、42Bは、それらの回転軸がY方向に沿うように設けられており、それらに取り付けられるブレード41A、41Bが互いに対向するように配置される(図3参照)。スピンドル42Aのブレード41A及びスピンドル42Bのブレード41Bは、X方向とZ方向とを含む面内において回転することによって各切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wを切断する。なお、本実施形態の切断装置100には、図4に示すように、ブレード41A、41Bによって発生する摩擦熱を抑えるために加工液である切削水を噴射する切削水供給機構(加工液供給機構)12が設けられている。この切削水供給機構12については、後述する。
【0035】
<移載テーブル5>
本実施形態の移載テーブル5は、図1に示すように、後述する検査部13により検査された複数の製品Pが移されるテーブルである。この移載テーブル5は、いわゆるインデックステーブルといわれるものであり、複数の製品Pを各種トレイ21に仕分けする前に、複数の製品Pが一時的に載置される。また、移載テーブル5は、2つの切断用テーブル2A、2Bと水平面上においてX方向に沿って一列に配置される。移載テーブル5に載置された複数の製品Pは、検査部13による検査結果(良品、不良品など)に応じて、仕分け機構20によって各種トレイ21に仕分けされる。
【0036】
なお、各種トレイ21は、トランスファ軸71に沿って移動するトレイ搬送機構22により所望の位置に搬送され、仕分け機構20によって仕分けられる製品Pが載置される。仕分けされた後に各種トレイ21は、トレイ搬送機構22によりトレイ収容部23に収容される。
【0037】
<検査部13>
ここで、検査部13は、図1に示すように、切断用テーブル2A、2Bと移載テーブル5との間に設けられ、第2保持機構6に保持された複数の製品Pを検査するものである。本実施形態の検査部13は、製品Pの反対面を検査する第1検査部131と、製品Pの実装面を検査する第2検査部132とを有している。第1検査部131は、反対面を検査するための光学系を有する撮像カメラであり、第2検査部132は、実装面を検査するための光学系を有する撮像カメラである。なお、第1検査部131及び第2検査部132を共通としても良い。
【0038】
また、検査部13により複数の製品Pの両面を検査可能にするために、複数の製品Pを反転させる反転機構14が設けられている(図1参照)。この反転機構14は、複数の製品Pを保持する保持テーブル141と、当該保持テーブル141を表裏逆となるように反転させるモータなどの反転部142とを有している。
【0039】
第2保持機構6が加工テーブル2A、2Bから複数の製品Pを保持した際には、製品Pの反対面が下側を向いている。この状態で、加工テーブル2A、2Bから反転機構14に複数の製品Pを搬送する途中で、第1検査部131により製品Pの反対面が検査される。その後、第2保持機構6に保持された複数の製品Pが反転機構14により反転されて、その後、反転機構14が移載テーブル5の位置まで移動する。この移動の間に、第2検査部132により下側を向いている製品Pの実装面が検査される。その後、製品Pが移載テーブル5に受け渡される。
【0040】
<第2保持機構6>
第2保持機構6は、図1に示すように、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから反転機構14に搬送するために複数の製品Pを保持するものである。この第2保持機構6は、図8に示すように、複数の製品Pを吸着保持するための複数の吸着部611が設けられた吸着ヘッド61と、当該吸着ヘッド61の吸着部611に接続された真空ポンプ(不図示)とを有している。そして、吸着ヘッド61が、後述する搬送用移動機構7などにより所望の位置に移動されることにより、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから保持テーブル141に搬送する。
【0041】
<搬送用移動機構7>
搬送用移動機構7は、図1に示すように、第1保持機構3を少なくとも基板供給機構11と切断用テーブル2A、2Bとの間で移動させるとともに、第2保持機構6を少なくとも切断用テーブル2A、2Bと保持テーブル141との間で移動させるものである。
【0042】
そして、搬送用移動機構7は、図1に示すように、2つの切断用テーブル2A、2B及び移載テーブル5の配列方向(X方向)に沿って一直線に延び、第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるための共通のトランスファ軸71を有する。
【0043】
このトランスファ軸71は、第1保持機構3が基板供給機構11の基板供給部112の上方に移動できるとともに、第2保持機構6が移載テーブル5の上方に移動できる範囲で設けられている(図1参照)。また、このトランスファ軸71に対して、第1保持機構3、第2保持機構6、切断用テーブル2A、2B及び移載テーブル5は、平面視において同じ側(手前側)に設けられている。その他、検査部13、反転機構14、各種トレイ21、トレイ搬送機構22、トレイ収容部23、後述する第1クリーニング機構18及び第2クリーニング機構19、回収容器172も、トランスファ軸71に対して同じ側(手前側)に設けられている。
【0044】
さらに搬送用移動機構7は、図5図6及び図8に示すように、トランスファ軸71に沿ってX方向に第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるメイン移動機構72と、トランスファ軸71に対して第1保持機構3及び第2保持機構6をZ方向に昇降移動させる昇降移動機構73と、トランスファ軸71に対して第1保持機構3及び第2保持機構6をY方向に水平移動させる水平移動機構74とを有している。
【0045】
メイン移動機構72は、図5図8に示すように、トランスファ軸71に設けられ、第1保持機構3及び第2保持機構6をガイドする共通のガイドレール721と、当該ガイドレール721に沿って第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるラックアンドピニオン機構722とを有している。
【0046】
ガイドレール721は、トランスファ軸71に沿ってX方向に一直線に延びており、トランスファ軸71と同様に、第1保持機構3が基板供給機構11の基板供給部112の上方に移動できるとともに、第2保持機構6が移載テーブル5の上方に移動できる範囲で設けられている。このガイドレール721には、昇降移動機構73及び水平移動機構74を介して第1保持機構3及び第2保持機構6が設けられるスライド部材723がスライド可能に設けられている。ここで、ガイドレール721は第1保持機構3及び第2保持機構6に共通するが、昇降移動機構73、水平移動機構74及びスライド部材723は、第1保持機構3及び第2保持機構6のそれぞれに対して個別に設けられている。
【0047】
ラックアンドピニオン機構722は、第1保持機構3及び第2保持機構6に共通のカムラック722aと、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに設けられ、アクチュエータ(不図示)により回転するピニオンギア722bとを有している。カムラック722aは、共通のトランスファ軸71に設けられており、複数のカムラック要素を連結することにより、種々の長さに変更することができるものである。また、ピニオンギア722bは、スライド部材723に設けられ、いわゆるローラピニオンと呼ばれるものであり、図7に示すように、モータの回転軸とともに回転する一対のローラ本体722b1と、当該一対のローラ本体722b1の間において周方向に等間隔に設けられ、ローラ本体722b1に対して転動可能に設けられた複数のローラピン722b2とを有するものである。本実施形態のラックアンドピニオン機構722は、上記のローラピニオンを用いているので、カムラック722aに対して2つ以上のローラピン722b2が接触することになり、正逆方向にバックラッシが発生せず、第1保持機構3及び第2保持機構6をX方向に移動させる際に位置決め精度が良くなる。
【0048】
昇降移動機構73は、図5及び図8に示すように、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに対応して設けられている。第1保持機構3の昇降移動機構73は、図5及び図6に示すように、トランスファ軸71(具体的にはメイン移動機構72)と第1保持機構3との間に介在して設けられており、Z方向に沿って設けられたZ方向ガイドレール73aと、当該Z方向ガイドレール73aに沿って第1保持機構3を移動させるアクチュエータ部73bとを有している。なお、アクチュエータ部73bは、例えばボールねじ機構を用いたものであっても良いし、エアシリンダを用いたものであっても良いし、リニアモータを用いたものであっても良い。なお、第2保持機構6の昇降移動機構73の構成は、図8に示すように、第1保持機構3の昇降移動機構73と同様である。
【0049】
水平移動機構74は、図5及び図8に示すように、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに対応して設けられている。第1保持機構3の水平移動機構74は、図5及び図6に示すように、トランスファ軸71(具体的には昇降移動機構73)と第1保持機構3との間に介在して設けられており、Y方向に沿って設けられたY方向ガイドレール74aと、第1保持機構3に対してY方向ガイドレール74aの一方側に力を付与する弾性体74bと、第1保持機構3をY方向ガイドレール74aの他方側に移動させるカム機構74cとを有する。ここで、カム機構74cは、偏心カムを用いたものであり、当該偏心カムをモータ等のアクチュエータで回転させることにより、第1保持機構3のY方向への移動量を調整することができる。
【0050】
なお、第2保持機構6の水平移動機構74の構成は、図8に示すように、第1保持機構3の昇降移動機構73と同様である。また、第2保持機構6には水平移動機構74を設けない構成としても良いし、第1保持機構3及び第2保持機構6の両方に水平移動機構74を設けない構成としても良い。さらに、水平移動機構74は、昇降移動機構73と同様に、カム機構74cを用いることなく、例えばボールねじ機構を用いたものであっても良いし、エアシリンダを用いたものであっても良いし、リニアモータを用いたものであっても良い。
【0051】
<切断用移動機構8(加工用移動機構)>
切断用移動機構8は、2つのスピンドル42A、42Bそれぞれを、X方向、Y方向及びZ方向の各方向に直線移動させるものである。
【0052】
具体的に切断用移動機構8は、図2図4図9図11に示すように、スピンドル32A、32BをX方向に直線移動させるX方向移動部81と、スピンドル32A、32BをY方向に直線移動させるY方向移動部82と、スピンドル32A、32BをZ方向に直線移動させるZ方向移動部83とを備えている。本実施形態では、この切断用移動機構8による切断機構4の加工送り方向SDは、X方向に沿って一方を向く方向(X方向に沿って他方側から一方側を向く方向である(図3等参照)。
【0053】
X方向移動部81は、2つの切断用テーブル2A、2Bで共通のものであり、特に図2及び図3に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bを挟んでX方向に沿って設けられた一対のX方向ガイドレール811と、当該一対のX方向ガイドレール811に沿って移動するとともに、Y方向移動部82及びZ方向移動部83を介してスピンドル32A、32Bを支持する支持体812とを有している。一対のX方向ガイドレール811は、X方向に沿って設けられた2つの切断用テーブル2A、2Bの側方に設けられている。また、支持体812は、例えば門型のものであり、Y方向に延びる形状を有している。具体的に支持体812は、一対のX方向ガイドレール811から上方に延びる一対の脚部と、当該一対の脚部に架け渡される梁部(ビーム部)とを有し、当該梁部がY方向に延びている。この支持体812において、X方向に沿った一方側(加工送り方向SDを向く側)に切断機構4のスピンドル32A、32Bが設けられている。
【0054】
そして、支持体812は、例えば、X方向に延びるボールねじ機構813により、一対のX方向ガイドレール811上をX方向に沿って直線的に往復移動する。このボールねじ機構813はサーボモータ等の駆動源(不図示)により駆動される。その他、支持体812は、リニアモータ等の他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0055】
Y方向移動部82は、特に図3に示すように、支持体812においてY方向に沿って設けられたY方向ガイドレール821と、当該Y方向ガイドレール821に沿って移動するY方向スライダ822とを有している。なお、Y方向移動部82は、支持体812において、X方向に沿った一方側(加工送り方向SDを向く側)に設けられている。Y方向スライダ822は、例えばリニアモータ823により駆動されるものであり、Y方向ガイドレール821上を直線的に往復移動する。本実施形態では、2つのスピンドル32A、32Bに対応して2つのY方向スライダ822が設けられている。これにより、2つのスピンドル32A、32Bは互いに独立してY方向に移動可能とされている。その他、Y方向スライダ822は、ボールねじ機構を用いた他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0056】
Z方向移動部83は、図9図11に示すように、各Y方向スライダ822においてZ方向に沿って設けられたZ方向ガイドレール831と、当該Z方向ガイドレール831に沿って移動するとともにスピンドル32A、32Bを支持するZ方向スライダ832とを有している。つまり、Z方向移動部83は、各スピンドル32A、32Bに対応して設けられている。Z方向スライダ832は、例えば、偏心カム機構(不図示)により駆動されるものであり、Z方向ガイドレール831上を直線的に往復移動する。その他、Z方向スライダ832は、ボールねじ機構等の他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0057】
この切断用移動機構8とトランスファ軸71との位置関係は、図1及び図4に示すように、トランスファ軸71が、切断用移動機構8の上方において切断用移動機構8を横切るように配置されている。具体的にトランスファ軸71は、支持体812の上方において当該支持体812を横切るように配置され、トランスファ軸71及び支持体812は互いに交差する位置関係となる。
【0058】
<カバー部材15>
上記の切断用移動機構8において支持体812には、図3図4図9図11に示すように、2つのスピンドル32A、32Bを収容するカバー部材15が設けられている。なお、図2においてカバー部材15は省略している。このカバー部材15は、支持体812においてX方向に沿った一方側(加工送り方向SDを向く側)に設けられており、噴射ノズル121から噴射される切削水が周囲に飛び散らないように切断機構4の2つのスピンドル32A、32Bだけでなく切削水供給機構12の噴射ノズル121を収容するものである。
【0059】
具体的にカバー部材15は、図9図11に示すように、下面にブレード41A、41Bを露出するための開口部15aが形成されている。また、カバー部材15の上面にはスピンドル42A、42Bや切断用移動機構8の移動を邪魔しないように開口部15bが形成されている。この上面の開口部15bは、蛇腹部材16により閉じられており、スピンドル42A、42Bの移動に伴って蛇腹部材16が伸縮するように構成されている。これらカバー部材15及び蛇腹部材16により、支持体812におけるX方向に沿った一方側(加工送り方向SDを向く側)は、スピンドル42A、42BのX方向の両側、Y方向の両側及び上側が覆われる構成となり、噴射ノズル121から噴射される切削水が飛び散る範囲が制限される。また、カバー部材15の手前側(支持体812とは反対側)の側壁には、カバー部材15の内部を視認可能な窓151が形成されている(図10図11参照)。さらに、このカバー部材15の内部を排気機構(不図示)により排気することによって、効果的に液滴(ミスト)を外部に排出することができる。
【0060】
<加工屑収容部17>
また、本実施形態の切断装置100は、図1に示すように、封止済基板Wの切断により生じた端材などの加工屑Sを収容する加工屑収容部17をさらに備えている。
【0061】
この加工屑収容部17は、図2図4に示すように、切断用テーブル2A、2Bの下方に設けられており、平面視において切断用テーブル2A、2Bを取り囲む上部開口171Xを有する案内シュータ171と、当該案内シュータ171によりガイドされた加工屑Sを回収する回収容器172とを有している。加工屑収容部17を切断用テーブル2A、2Bの下方に設けることによって、加工屑Sの回収率を向上することができる。
【0062】
案内シュータ171は、切断用テーブル2A、2Bから飛散又は落下した加工屑Sを回収容器172に導くものである。本実施形態は、案内シュータ171の上部開口171Xが切断用テーブル2A、2Bを取り囲むように構成されているので(図3参照)、加工屑Sを取りこぼしにくくなり、加工屑Sの回収率を一層向上することができる。また、案内シュータ171は、切断用テーブル2A、2Bの下に設けられた回転機構9A、9Bを取り囲むように設けられており(図4参照)、加工屑S及び切削水から回転機構9A、9Bを保護するように構成されている。
【0063】
本実施形態では、加工屑収容部17は2つの切断用テーブル2A、2Bに共通のものとされているが、切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられても良い。
【0064】
回収容器172は、案内シュータ171を自重により通過した加工屑Sを回収するものであり、本実施形態では、図4等に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられている。そして、2つの回収容器172は、トランスファ軸の手前側に配置されており、それぞれ独立して切断装置100の手前側から取り外すことができるように構成されている。この構成により、加工屑Sの廃棄等のメンテナンス性を向上することができる。なお、回収容器172は、封止済基板Wのサイズや、加工屑Sのサイズ及び量、作業性などを考慮して、全ての切断用テーブルの下全体に1つ設けて良いし、3つ以上で設けても良い。
【0065】
また、加工屑収容部17は、図4等に示すように、切削水と加工屑とを分離する分離部173を有している。この分離部173の構成としては、例えば、回収容器172の底面に切削水を通過させる多孔板等のフィルタを設けることが考えられる。この分離部173により、回収容器172に切削水を溜めることなく、加工屑Sを回収することができる。
【0066】
<第1クリーニング機構18>
また、本発明の切断装置100は、図1及び図5に示すように、切断用テーブル2A、2Bに保持された複数の製品Pの上面側(実装面)をクリーニングする第1クリーニング機構18をさらに備えている。この第1クリーニング機構18は、切断用テーブル2A、2Bに保持された複数の製品Pの上面に洗浄液及び/又は圧縮空気を噴射する噴射ノズル18a(図5参照)によって、製品Pの上面側をクリーニングするものである。
【0067】
この第1クリーニング機構18は、図5に示すように、第1保持機構3とともにトランスファ軸71に沿って移動可能に構成されている。ここでは、第1クリーニング機構18は、トランスファ軸71に設けられるガイドレール721をスライドするスライド部材723に設けられている。ここで、第1クリーニング機構18及びスライド部材723の間には、第1クリーニング機構18をZ方向に昇降移動するための昇降移動機構181が設けられている。この昇降移動機構181は、例えばラックアンドピニオン機構を用いたもの、ボールねじ機構を用いたもの、又はエアシリンダを用いたもの等が考えられる。
【0068】
<第2クリーニング機構19>
さらに、本発明の切断装置100は、図1に示すように、第2保持機構6に保持された複数の製品Pの下面側(反対面)をクリーニングする第2クリーニング機構19をさらに備えている。この第2クリーニング機構19は、切断用テーブル2Bと検査部13との間に設けられており、第2保持機構6に保持された複数の製品Pの下面に洗浄液及び/又は圧縮空気を噴射することによって、製品Pの下面側をクリーニングする。つまり、第2保持機構6がトランスファ軸71に沿って移動される途中において、第2クリーニング機構19は製品Pの下面側をクリーニングする。
【0069】
<加工液供給機構12(切削水供給機構)及び加工液飛散防止機構24(切削水飛散防止機構)>
本実施形態では、上述したように、切断機構4の加工送り方向SDは、X方向に沿った一方を向く方向(図3においては紙面上から下に移動する方向、図4においては、紙面右から左に移動する方向)となるように構成されている。
【0070】
そして、本実施形態の切断装置100は、図3図4図10及び図11に示すように、切断用移動機構8により切断機構4とともに移動する切削水供給機構12と、切削水の飛散を防止する切削水飛散防止機構24とを備えている。
【0071】
ここで、支持体812においてX方向に沿った一方側(加工送り方向SDを向く側)に切断機構4及び切削水供給機構12が設けられており、支持体812のX方向に沿った他方側(加工送り方向SDとは反対側)に切削水飛散防止機構24が設けられている。
【0072】
切削水供給機構12は、図10及び図11に示すように、加工送り方向SDの前側から切断機構4のブレード41A、41Bに切削水を噴射する噴射ノズル121を有しており、この噴射ノズル121は、例えばZ方向移動部83に支持されている。具体的には、噴射ノズル121は、切断機構4のブレード41A、41Bに対して、支持体812とは反対側から、切断機構4のブレード41A、41Bに向けて切削水を噴射する。
【0073】
切削水飛散防止機構24は、切断機構4に対して加工送り方向SDの後側に設けられるとともに、切断用テーブル2A、2Bの上面よりも下側の位置から上方を覆う構成を有している。
【0074】
具体的に切削水飛散防止機構24は、図3図4図10及び図11に示すように、切断機構4の移動に伴って伸縮する蛇腹部材241と、蛇腹部材241における加工送り方向SDの後端部が接続されたシャッタ部材242とを有している。
【0075】
蛇腹部材241は、加工送り方向SDに直交する上方及び側方を覆うものである。具体的に蛇腹部材241は、側方を覆う一対の側壁部と、当該一対の側壁部の上端に連続して設けられ、上方を覆う上壁部とを有している。また、蛇腹部材241の加工送り方向SDの前端部は、支持体812の側面(加工送り方向SDとは反対側の面)に接続されている。また、シャッタ部材242は、加工送り方向SDの後方を覆うものである。これら蛇腹部材241及びシャッタ部材242により、支持体812の下方(具体的には支持体812の梁部の下方)を通過して、支持体812に対して加工送り方向SDとは反対側に飛び散った切削水は、蛇腹部材241及びシャッタ部材242に囲まれた空間に閉じ込められる。ここで、加工屑収容部17の案内シュータ171の内部を排気機構(不図示)により排気することによって、効果的に液滴(ミスト)を外部に排出することができる。
【0076】
また、切削水飛散防止機構24は、図3図4図10及び図11に示すように、切断機構4による封止済基板Wの切断時において、シャッタ部材242を切断用テーブル2A、2Bに対して固定する固定部243A、243Bを有している。本実施形態では、2つの切断用テーブル2A、2Bを有していることから、固定部243A、243Bは、2つの切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられている。具体的に各固定部243A、243Bは、各切断用テーブル2A、2Bに対して、加工送り方向SDの後側に設けられている。また、各固定部243A、243Bは、シャッタ部材242のY方向における両端部を固定するためにY方向に沿って2つ設けられている(図3参照)。
【0077】
そして、シャッタ部材242は、切断用移動機構8のX方向移動部81によって、2つの切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられた固定部243A、243Bそれぞれに移動される。
【0078】
ここで、シャッタ部材242の下端部は、切断機構4による封止済基板Wの切断時において、各切断用テーブル2A、2Bの上面よりも低い位置にある。このため、本実施形態のシャッタ部材242は、図10図11及び図12に示すように、その下端部が切断用テーブル2A、2Bの上面よりも上側に位置する上昇位置U(図10図12(a)参照)と、下端部が切断用テーブル2A、2Bの上面よりも下側に位置する下降位置D(図11図12(b)参照)との間で移動可能に構成されている。なお、蛇腹部材241の一対の側壁部の下端部を各切断用テーブル2A、2Bの上面よりも低い位置となるように配置しても良い。
【0079】
そして、シャッタ部材242は、図11及び図12(b)に示すように、下降位置Dにおいて固定部243A、243Bにより固定される。具体的には、シャッタ部材242の側面に設けられた第1突出部242aが、固定部243A、243Bの凹部に嵌合することによって、シャッタ部材242が下降位置Dにおいて固定される。
【0080】
また、シャッタ部材242は、蛇腹部材241の後端部に昇降移動可能に接続されており、シャッタ部材242は、図3図4図10図12に示すように、支持体812に設けられた昇降移動機構244により昇降移動する。
【0081】
昇降移動機構244は、図10図12に示すように、シャッタ部材242を保持するシャッタ保持部244aと、当該シャッタ保持部244aを支持体812に対して上下方向(Z方向)にガイドするガイドレール244bと、シャッタ保持部244aをガイドレール244bに沿って移動させる例えばエアシリンダ等の駆動部244cとを有している。本実施形態では、シャッタ保持部244aは、シャッタ部材242の側面に設けられた第2突出部242bに嵌合する凹部を有している。
【0082】
駆動部244cによりシャッタ保持部244aを上昇させることによって、シャッタ保持部244aの凹部が第2突出部242bに嵌合し、シャッタ保持部244aがシャッタ部材242を持ち上げ、シャッタ部材242が上昇位置Uに移動する(図10図12(a)参照)。なお、上昇位置Uは、シャッタ保持部244aがシャッタ部材242を保持した状態であり、固定部243A、243Bによるシャッタ部材242の固定は解除される。
【0083】
<切削に伴う切削水飛散防止機構24の動作>
次に、図4の左側の切断用テーブル2Aで封止済基板Wを切断する場合を考えて、切削水飛散防止機構24の動作について、図10図14を参照して説明する。
【0084】
まず、昇降移動機構244のシャッタ保持部244aを上昇させて、シャッタ保持部244aをシャッタ部材242の第2突出部242bに嵌合させて、シャッタ部材242を上昇位置Uに上昇させる(図10図12(a)、図13(a)参照)。また、搬送用移動機構7により封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2Aに移動させて、封止済基板Wを切断用テーブル2Aに載置する(図13(a)参照)。この状態で、切断用移動機構8の支持体812をX方向に沿った一方側に移動させ、シャッタ部材242を左側の切断用テーブル2Aに対応した固定部243Aの上方まで移動させる。この位置において、昇降移動機構244のシャッタ保持部244aを下降させると、シャッタ部材242が下降位置Dに下降して、固定部243Aに嵌合して固定される(図12(b)、図13(b)参照)。なお、シャッタ部材242を下降位置Dにすると、シャッタ保持部242aによるシャッタ部材242の保持は解除される。
【0085】
シャッタ部材242が固定部243Aによって固定された後に、切削水供給機構12の噴射ノズル121から切削水を噴射しつつ、切断用移動機構8により切断機構4を加工送り方向SDに移動させながら、封止済基板Wを切断する(図11図13(c)参照)。この切断動作中、切断機構4及び支持体812の移動に伴って、蛇腹部材241の後端部がシャッタ部材242に固定された状態で、蛇腹部材241は伸縮する。これにより、支持体812の下方を通過して飛散した切削水は、蛇腹部材241及びシャッタ部材242に遮られて、右側の切断用テーブル2B等に切削水が飛散することが防止される。
【0086】
封止済基板Wの切断が終了すると、切断用移動機構8の支持体812を固定部243Aの近傍まで移動させ、シャッタ保持部244aがシャッタ部材242の第2突出部242bに嵌合できる位置に移動させる。この状態で、昇降移動機構244のシャッタ保持部244aを上昇させて、シャッタ保持部244aを第2突出部242bに嵌合させるとともに、シャッタ部材242を上昇位置Uに移動させる(図12(a)、図14(d)参照)。これにより、固定部243Aによるシャッタ部材242の固定が解除される。そして、切断用移動機構8の支持体812を、複数の製品Pの搬送を邪魔しない位置に移動させる。この状態で、搬送用移動機構7は第2保持機構6を切断後の切断用テーブル2Aに移動させ、第2保持機構6は複数の製品Pを吸着保持し、複数の製品Pは、切断用テーブル2Aから搬送される(図14(e)参照)。
【0087】
その後、右側の切断用テーブル2Bにおいて封止済基板Wを切断する場合には、切断用テーブル2Bに封止済基板Wを載置した後に(図14(f)参照)、切断用移動機構8の支持体812をX方向に沿った他方側に移動させ、シャッタ部材242を右側の切断用テーブル2Bに対応した固定部243Bの上方まで移動させる。その後の動作は、上述した動作と同様である。
【0088】
<切断装置の動作の一例>
次に、切断装置100の動作の一例を説明する。図15には、切断装置10の動作における第1保持機構3の移動経路、及び、第2保持機構6の移動経路を示している。なお、本実施形態においては、切断装置100の動作、例えば封止済基板Wの搬送、封止済基板Wの切断、切削水飛散防止機構24の動作、製品Pの検査など、すべての動作や制御は制御部CTL(図1参照)により行われる。
【0089】
基板供給機構11の基板供給部112は、第1保持機構3により保持される保持位置RPに向けて、基板収容部111に収容された封止済基板Wを移動させる。
【0090】
次に、搬送用移動機構7は第1保持機構3を保持位置RPに移動させ、第1保持機構3は封止済基板Wを吸着保持する。その後、搬送用移動機構7は、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2A、2Bに移動させて、第1保持機構3は吸着保持を解除して、封止済基板Wを切断用テーブル2A、2Bに載置する。このとき、メイン移動機構72により封止済基板WのX方向の位置を調整し、水平移動機構74により封止済基板WのY方向の位置を調整する。そして、切断用テーブル2A、2Bは、封止済基板Wを吸着保持する。
【0091】
ここで、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2Bに移動させる場合には、昇降移動機構73が第1保持機構3を切断用移動機構8(支持体812)に物理的に干渉しない位置まで上昇させる。なお、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2Bに移動させる際に、支持体812を切断用テーブル2Bから移載テーブル5側に退避させる場合には、上記のように第1保持機構3を昇降させる必要はない。
【0092】
この状態で、切断用移動機構8が2つのスピンドル42A、42BをX方向及びY方向に順次移動させるとともに、切断用テーブル2A、2Bが回転することによって、封止済基板Wを格子状に切断して個片化する。封止済基板Wを格子状に切断するあたり、切削水飛散防止機構24は、上述した<切削に伴う切削水飛散防止機構24の動作>に説明した動作を行う。
【0093】
切断後に、搬送用移動機構7は第1クリーニング機構18を移動させて、切断用テーブル2A、2Bに保持されている複数の製品Pの上面側(実装面)をクリーニングする。このクリーニングの後、搬送用移動機構7は、第1保持機構3及び第1クリーニング機構18を所定の位置に退避させる。
【0094】
次に、搬送用移動機構7は第2保持機構6を切断後の切断用テーブル2A、2Bに移動させ、第2保持機構6は複数の製品Pを吸着保持する。その後、搬送用移動機構7は、複数の製品Pを保持した第2保持機構6を第2クリーニング機構19に移動させる。これにより、第2クリーニング機構19が、第2保持機構6に保持されている複数の製品Pの下面側(反対面)をクリーニングする。
【0095】
クリーニングの後、第2保持機構6に保持された複数の製品Pは、検査部13及び反転機構14により、両面検査が行われる。その後、搬送用移動機構7は、第2保持機構6を移載テーブル5に移動させて、第2保持機構6は吸着保持を解除して、複数の製品Pを移載テーブル5に載置する。移載テーブル5に載置された複数の製品Pは、検査部13による検査結果(良品、不良品など)に応じて、仕分け機構20によって各種トレイ21に仕分けされる。
【0096】
なお、両面検査については、例えば、まず、第2保持機構6により吸着保持した状態で製品Pの一方の面を検査する。次に、第2保持機構6から反転機構14の保持テーブル141に製品Pを移載して、反転後の保持テーブル141により吸着保持した状態で製品Pの他方の面を検査することにより、両面検査を実行することができる。そして、この後の反転テーブル14から移載テーブル5への製品Pの搬送は、保持テーブル141から第2保持機構6に移載することにより行うことができる。また、保持テーブル141をX方向に移動可能な構成とし、保持テーブル141又は移載テーブル5の少なくとも一方をZ方向に移動可能な構成として、保持テーブル141を移載テーブル5の上方に移動させることにより、製品Pを移載テーブル5に搬送して移載することもできる。
【0097】
<本実施形態の効果>
本実施形態の切断装置100によれば、切断用テーブル2A、2B及び移載テーブル5の配列方向に沿って延びる共通のトランスファ軸71により第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させる構成とし、切断用移動機構8により切断機構4を水平面においてトランスファ軸71に沿ったX方向及びX方向に直交するY方向それぞれに移動させるので、切断用テーブル2A、2BをX方向及びY方向に移動させることなく、封止済基板Wを加工することができる。このため、切断用テーブル2A、2Bをボールねじ機構により移動させることなく、ボールねじ機構を保護するための蛇腹部材及び当該蛇腹部材を保護するためのカバー部材を不要にすることができる。その結果、切断装置100の装置構成を簡素化することができる。また、切断用テーブル2A、2BをX方向及びY方向に移動しない構成にすることができ、切断装置100のフットプリントを低減することができる。
【0098】
また、本実施形態では、加工送り方向SDの前側から切断機構4に切削水を噴射する構成において、切断機構4に対して加工送り方向SDの後側に、切断用テーブル2A、2Bの上面よりも下側の位置から上方を覆う切削液飛散防止機構24を設けているので、切削水の飛散を防止することができる。特に本実施形態では、支持体812のX方向に沿った一方側に切断機構4及び切削水供給機構12が設けられた構成において、支持体812のX方向に沿った他方側に切削水飛散防止機構24を設けているので、支持体812の下側を通過した切削水が支持体812のX方向に沿った他方側で飛散することを防止することができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、切削水飛散防止機構24が蛇腹部材241を用いて構成されているので、切断用移動機構8による切断機構4の移動に追従しつつ切削水の飛散を防止することができる。ここで、蛇腹部材241における加工送り方向SDの後端部にシャッタ部材242を接続し、当該シャッタ部材242を固定部243A、243Bにより固定しているので、封止済基板Wの加工時に蛇腹部材241及びシャッタ部材242によって取り囲む空間を固定することができ、切削水の飛散を確実に防止することができる。
【0100】
また、2つ以上の切断用テーブル2A、2BがX方向に沿って設けられるとともに、スピンドル42A、42Bを支持する支持体812をX方向に沿って移動させる構成のため、一方の切断用テーブル2Aで封止済基板Wを処理している際に、他方の切断用テーブル2Bにおいて搬送などの別の処理を行うことができる。そして、本実施形態では、シャッタ部材を固定する固定部243A、243Bを切断用テーブル2A、2B毎に設けているので、蛇腹部材241を1つの切断用テーブル2A、2Bに対応した長さにすることができ、縮んだ状態の蛇腹部材241の寸法を小さくすることができる。また、各切断用テーブル2A、2Bに応じてシャッタ部材242を固定し、1つの切断用テーブル2A、2Bを蛇腹部材241で覆う構成であり、加工していない切断用テーブル2A、2Bに対して加工前の封止済基板Wを搬入することができるし、複数の製品Pを搬出することができる等の処理能力を上げることができる。
【0101】
本実施形態では、X方向に設けられる一対のX方向ガイドレール811が切断用テーブル2A、2Bを挟んで設けられるので、一対のX方向ガイドレール811のピッチを大きくすることができる。その結果、X方向ガイドレール811同士のZ方向の位置ずれが加工に与える影響を小さくすることができる。さらに、一対のガイドレール811のピッチが大きくなることでX方向移動部81の直進性が向上し、その結果、ブレード41A、41Bの刃先のブレが小さくなり、切断の際の切削抵抗などが小さくなって、加工精度を向上させることができる。また、Y方向ガイドレール811を従来よりも低スペックのものを用いることができる。
【0102】
本実施形態では、2つ以上の切断用テーブル2A、2Bが切断時にY方向に移動しないため、2つ以上の切断用テーブル2A、2Bに対する移動機構8(X方向移動部81)のX方向の平行度を一挙に調整することができる。すなわち、切断時に切断用テーブルが移動する従来の装置に切断用テーブルを2つ設ける場合、2つの切断用テーブルのX方向の平行度を調整し、さらにこの調整したX方向の平行度とブレードのX方向の平行度を調整する必要があった(具体的には、2回の調整が必要であった)が、本実施形態では、2つの切断用テーブル2A、2Bは切断時にX方向に移動しないため、ブレード41A、41BのX方向の平行度を調整するだけでよい(具体的には、1回の調整で済む)。
【0103】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0104】
例えば、前記実施形態では、ツインカットテーブル方式であって、ツインスピンドル構成の切断装置を説明したが、これに限らず、シングルカットテーブル方式であって、シングルスピンドル構成の切断装置や、シングルカットテーブル方式であって、ツインスピンドル構成の切断装置などであってもよい。また、切断用テーブルを3つ以上有する構成であっても良い。この場合であっても3つ以上の切断用テーブルそれぞれに対応して3つ以上の固定部を有する構成となる。
【0105】
また、前記実施形態の移載テーブル5は、各種トレイ21に仕分ける前に一時的に載置されるインデックステーブルであったが、移載テーブル5を反転機構14の保持テーブル141としても良い。
【0106】
さらに、前記実施形態では、移載テーブル5からトレイ21に仕分ける構成(「トレイ収容」とも呼ばれる。)であったが、複数の製品Pを粘着面を有する貼付部材に貼り付けて収容(「リング収容」とも呼ばれる。)する構成であっても良いし、複数の製品Pを収容ボックスに落下させてばらばらの状態で収容(「バルク収容」とも呼ばれる。)する構成であっても良いし、複数の製品Pを筒状容器の一端開口部から挿入して収容(「チューブ収容」とも呼ばれる。)する構成であっても良い。
【0107】
その上、前記実施形態の構成において、切断用テーブル2A、2Bにおいて封止済基板を切断することなく、溝を形成する構成としても良い。この場合、例えば、切断用テーブル2A、2Bで溝加工が施された封止済基板Wは、第1保持機構3及び搬送用移動機構7によって、基板供給部112に戻す構成としても良い。また、この基板供給部112に戻された封止済基板Wを基板収容部111に収容する構成としても良い。
【0108】
また、トランスファ軸71を構成するカムラック要素は複数を連結して構成することができるので、例えば、切断装置(加工装置)100を、第2クリーニング機構19と検査部13との間で分離及び連結可能(着脱可能)なモジュール構成とすることができる。この場合、例えば、第2クリーニング機構19側のモジュールと、検査部13側のモジュールとの間に、検査部13での検査とは異なる種類の検査を行うモジュールを追加することができる。なお、ここに例示した構成以外にも、切断装置(加工装置)100をどこで分離及び連結可能(着脱可能)なモジュール構成としてもよく、追加するモジュールを検査以外の様々な機能のモジュールとしてもよい。
【0109】
また、本発明の加工装置は、切断以外の加工を行うものであってもよく、例えば切削や研削などのその他の機械加工を行うものであってもよい。
【0110】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0111】
100・・・切断装置(加工装置)
W・・・封止済基板(加工対象物)
P・・・製品(加工後の加工対象物)
SD・・・加工送り方向
2A、2B・・・切断用テーブル(加工テーブル)
3・・・第1保持機構
4・・・切断機構(加工機構)
5・・・移載テーブル
6・・・第2保持機構
7・・・搬送用移動機構
71・・・共通のトランスファ軸
8・・・切断用移動機構(加工用移動機構)
81・・・X方向移動部
811・・・一対のX方向ガイドレール
812・・・支持体
82・・・Y方向移動部
12・・・切削水供給機構(加工液供給機構)
15・・・カバー部材
24・・・切削水飛散防止機構(加工液飛散防止機構)
241・・・蛇腹部材
242・・・シャッタ部材
243A、243B・・・固定部
U・・・上昇位置
D・・・下降位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15