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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023058
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】流し台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/18 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
E03C1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128235
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祥馬
(72)【発明者】
【氏名】近岡 咲
(72)【発明者】
【氏名】萩原 健太
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061BA04
2D061BA08
2D061BB10
2D061BC06
2D061DA03
(57)【要約】
【課題】他の使用者の領域からの水の流れ込みを好適に防ぐことができ、I型キッチンやL型キッチンにおいても流し台を複数人で使用することが可能な流し台を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる流し台100の構成は、底面120に、底面120を幅方向で複数の作業領域(左側作業領域122および右側作業領域124)に区分する奥行方向の縦溝140と、底面120の奥側に配置されていて縦溝140と連通する排水口130と、が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に、該底面を幅方向で複数の作業領域に区分する奥行方向の縦溝と、該底面の奥側に配置されていて該縦溝と連通する排水口と、が形成されていることを特徴とする流し台。
【請求項2】
前記作業領域は流し台の手前側に傾斜していて、
前記底面の手前側の端には前記縦溝に連通する横溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流し台。
【請求項3】
前記作業領域は、それぞれ前記縦溝に向かって幅方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の流し台。
【請求項4】
前記作業領域ごとに水栓を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の流し台。
【請求項5】
当該流し台の手前側の辺は、平面視で前記縦溝の位置で屈曲していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の流し台。
【請求項6】
当該流し台の手前側の辺は、平面視で手前側に膨らむ方向に湾曲していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の流し台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンや洗面台、手洗い場等に設けられる流し台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、流し台(シンクとも称される)を複数人で使用可能なキッチンの需要が高まっている。そのようなキッチンとしては、例えば特許文献1のシステムキッチンのようなアイランドキッチンを挙げることができる。特許文献1のようなアイランドキッチンでは1つの流し台を複数人が対面で使用可能な構成となっている。また特に特許文献1のシステムキッチンでは、シンクに隣接して板の外側へ突出している棚部と、棚部に収納され棚部から水平方向に引き出される引出とを備えている。特許文献1によれば、棚部によって水仕事以外の作業が可能なドライエリアが形成され、且つ引出を収納として利用することでシステムキッチンの利便性を高めることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5147310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなアイランドキッチンは壁面に接していないため、上述したように複数人が流し台で作業することは比較的容易である。しかしながら、流し台、ワークスペースおよびコンロが1つの壁面に沿って配置されたI型キッチンや、それらが2つの壁面に沿って配置されたL型キッチンでは、複数人の使用者が流し台に対して横並びで作業することとなる。
【0005】
ここで特許文献1のシステムキッチンに限らず、流し台の底面は一般に排水口に向かってすり鉢状に傾斜していることが多い。このため、使用後の水は底面全体に広がりやすい。すると、複数人で流し台を使用した際に、1人の使用者が流し台を使用した際の水が他方の使用者の作業領域に流れこんでしまうことがあった。例えば1人が食器を洗っていて、洗った食器をシンク内に置いているときに、他の人が麺のゆで汁をシンクに流したりすると、せっかく洗った食器をまた汚してしまうといった事態が生じていた。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み、他の使用者の領域からの水の流れ込みを好適に防ぐことができ、I型キッチンやL型キッチンにおいても流し台を複数人で使用することが可能な流し台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる流し台の代表的な構成は、底面に、底面を幅方向で複数の作業領域に区分する奥行方向の縦溝と、底面の奥側に配置されていて縦溝と連通する排水口と、が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、流し台の底面が縦溝によって複数の作業領域に区分される。これにより、各作業領域に流れ落ちた水は縦溝を経由して排水口に流れる。このため、一人の使用者の作業スペースの水が他の使用者の作業領域に流れ込むことを好適に防ぐことができる。したがって、I型キッチンやL型キッチンにおいても流し台を複数人で使用することが可能となる。
【0009】
上記作業領域は流し台の手前側に傾斜していて、底面の手前側の端には縦溝に連通する横溝が形成されているとよい。かかる構成によれば、各作業領域に流れ落ちた水は、まず手前側の横溝に向かって流れ、縦溝を経由して排水口に流れる。これによりシンク内のゴミを排水口に流すことができると共に、上述した効果を得ることが可能となる。
【0010】
上記作業領域は、それぞれ縦溝に向かって幅方向に傾斜しているとよい。かかる構成によれば、各作業領域に流れ落ちた溝が縦溝に流れ込みやすくなる。これによりシンク内の水は最短距離で縦溝に落ちると共に、上述した効果を得ることが可能となる。
【0011】
上記作業領域ごとに水栓を備えているとよい。これにより、複数の使用者が各々水栓を使用することができるため、使用者の利便性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
当該流し台の手前側の辺は、平面視で縦溝の位置で屈曲しているとよい。これにより、流し台の手前側の辺が屈曲していない場合、すなわち一直線状である場合に比して辺長を長くすることができる。このため、複数の使用者が間隔に余裕をもった状態で作業を行うことが可能となる。また手前側の辺が屈曲している(屈曲点を有する)ことで、各人の作業領域の区分が明確になるため、使用者は自らの作業領域を感覚的に把握することができる。
【0013】
当該流し台の手前側の辺は、平面視で手前側に膨らむ方向に湾曲しているとよい。これによっても、流し台の手前側の辺の辺長が長くなるため、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、他の使用者の領域からの水の流れ込みを好適に防ぐことができ、I型キッチンやL型キッチンにおいても流し台を複数人で使用することが可能な流し台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態にかかる流し台を説明する図である。
図2】第2実施形態にかかる流し台を説明する図である。
図3】第3実施形態にかかる流し台を説明する図である。
図4】第4実施形態にかかる流し台を説明する図である。
図5】第5実施形態にかかる流し台を説明する図である。
図6】第6実施形態にかかる流し台を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
以下に説明する実施形態では、キッチン(全体は不図示)に設けられる流し台(シンク)を例示する。ただし、これに限定するものではなく、本発明は、洗面台や手洗い場等の他の設備に設けられる流し台にも適用することが可能である。また以下に説明する実施形態において、先に説明した実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を避ける。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる流し台100を説明する図である。図1(a)は流し台100の全体斜視図であり、図1(b)は流し台100の正面図である。図1(a)および(b)に示すように第1実施形態の流し台100は全体的に四角形状(長方形状)であり、手前側の辺102、奥側の辺104および2つの側辺106a・106bを有する。流し台100の奥側の辺104の近傍には水栓110a・110bが配置されている。
【0019】
流し台100の底面120の奥側には排水口130が配置されている。そして第1実施形態の特徴として、流し台100の底面120には、奥行き方向に延びて排水口130に連通する縦溝140が形成されている。かかる縦溝140により、流し台100の底面120は幅方向で複数(本実施形態では2つ)の作業領域(左側作業領域122および右側作業領域124)に区分される。以下、左側作業領域122および右側作業領域124を区別しない場合には単に作業領域と称する。
【0020】
第1実施形態の流し台100によれば、流し台100の底面120が縦溝140によって2つの作業領域である左側作業領域122および右側作業領域124に区分される。そして、各作業領域に流れ落ちた水は縦溝140を経由して排水口130に流れる。これにより、使用者P1の左側作業領域122で生じた水が使用者P2の右側作業領域124に流れ込むことを好適に防ぐことができる。したがって、I型キッチンやL型キッチンにおいても1つの流し台を複数人で使用することが可能となる。
【0021】
特に第1実施形態の流し台100では、底面120の手前側の端には縦溝140に連通する横溝150が形成されていて、左側作業領域122および右側作業領域124は流し台100の手前側に向かって傾斜している(図1の矢印参照)。これにより2つの作業領域に流れ落ちた水は、まず底面120を手前側の横溝150に向かって流れ、横溝150および縦溝140を経由して排水口130に流れる。このため、水が底面120(作業領域)に落ちている調理ゴミなどをさらって排水口に流れるため、ゴミを流す作業をすることなく常にきれいなシンクを保つことができる。
【0022】
また第1実施形態の流し台100では、作業領域ごとに水栓110a・110bが設けられている。すなわち左側作業領域122および右側作業領域124それぞれに対応するように水栓110a・110bが設けられている。これにより、2人の使用者P1・P2が各々水栓110a・110bを使用することができるため、使用者P1・P2の利便性の向上を図ることが可能となる。
【0023】
なお、第1実施形態では、2つの作業領域それぞれに対して水栓を設ける構成を例示したがこれに限定するものではない。作業領域の数と水栓の数は必ずしも一致していなくてもよく、作業領域が2つの場合であっても水栓は1つとしてもよい。ただし、この場合、2つの作業領域で作業を行う2人の使用者の使い勝手がよいように、水栓は2つの作業領域の間(幅方向で縦溝140の位置)に配置されることが好ましい。
【0024】
また水栓が1つである場合であっても、かかる水栓を必ずしも「2つの作業領域の間(幅方向で縦溝140の位置)に配置」する必要はない。例えば水栓にシャワーホースが接続されている場合には、水栓が「2つの作業領域の間(幅方向で縦溝140の位置)に配置」されていなくても、シャワーホースによって2つの作業領域すなわち流し台100の底面120の全域に水を流すことが可能な範囲であれば、左右いずれかに片寄った位置に配置してもよい。
【0025】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態にかかる流し台を説明する図である。図2(a)は流し台200の全体斜視図であり、図2(b)は流し台200の正面図である。第1実施形態の100では、底面120の手前側に横溝150が形成されていて、2つの作業領域(左側作業領域122および右側作業領域124)は流し台100の手前側すなわち横溝150に向かって傾斜していた。
【0026】
これに対し第2実施形態の流し台200では、縦溝140によって区分された2つの作業領域である左側作業領域222および右側作業領域224はそれぞれ縦溝140に向かって幅方向(左右方向)に傾斜している(図2の矢印参照)。かかる構成によれば、各作業領域に流れ落ちた水が最短距離で縦溝140に流れるため、水を効率的に排水口130に導くことが可能となる。
【0027】
なお、第1実施形態の流し台100および第2実施形態の流し台200では、1つの縦溝140によって底面120が2つの作業領域に区分される構成を例示したが、これに限定するものではない。流し台の底面120に形成される縦溝140の数によって底面120の区分数を変更することが可能である。
【0028】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態にかかる流し台300を説明する図である。第3実施形態の流し台300では、底面120に2つの縦溝340a・340bが形成されていて、かかる底面120は3つの作業領域(右側作業領域322、中央作業領域324、左側作業領域326)に区分されている。このように縦溝の数を増やすことにより底面120を更に多くの作業領域に区分することができる。したがって、1つの流し台300においてより多くの使用者P1・P2・P3が作業をすることが可能となる。
【0029】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態にかかる流し台400を説明する図である。第1実施形態の流し台100および第2実施形態の流し台200では、流し台の手前側の辺102は一直線状であった。これに対し第4実施形態の流し台400では、手前側の辺が、平面視で縦溝140の位置(屈曲点408)で屈曲している。換言すると、流し台400の手前側の辺は、屈曲点408より左側の辺402a、および屈曲点408より右側の辺402bによって構成されている。
【0030】
これにより、流し台400の手前側の辺の辺長を長くすることができる。したがって、2人の使用者P1・P2が間隔に余裕をもった状態で作業を行うことが可能となる。また手前側の辺が屈曲している(屈曲点408を有する)ことで、各人の作業領域の区分が明確になるため、使用者は自らの作業領域を感覚的に把握することができる。
【0031】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態にかかる流し台500を説明する図である。図4に示した第4実施形態の流し台400では、屈曲点408の両側の辺402a、402bが、両方とも手前側に傾斜していた。これに対し第5実施形態の流し台500では、手前側の辺のうち、左側の辺402aは奥側の辺104と平行である。一方、右側の辺402bは屈曲点408から側辺106bに向かって奥側に向かって傾斜している。すなわち、辺402a、402bは、屈曲点408が突き出るように角度を有している。このような構成によっても、第4実施形態の流し台400と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態にかかる流し台600を説明する図である。図6実施形態の流し台600は、手前側の辺602が、平面視で手前側に膨らむ方向(突き出る方向)に湾曲していて、湾曲の頂点は幅方向で縦溝140の位置となっている。かかる構成によっても、流し台600の手前側の辺602の辺長が長くなる。したがって、第4実施形態の流し台400と同様の効果を得ることが可能である。
【0033】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、キッチンや洗面台、手洗い場等に設けられる流し台に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
P1…使用者、P2…使用者、P3…作業者、100…流し台、102…手前側の辺、104…奥側の辺、106a…側辺、106b…側辺、110a…水栓、110b…水栓、120…底面、122…左側作業領域、124…右側作業領域、130…排水口、140…縦溝、150…横溝、200…流し台、222…左側作業領域、224…右側作業領域、300…流し台、322…右側作業領域、324…中央作業領域、326…左側作業領域、340a…縦溝、340b…縦溝、400…流し台、402a…左側の辺、402b…右側の辺、408…屈曲点、500…流し台、600…流し台、602…手前側の辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6