(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023074
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20230209BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20230209BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20230209BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 A
F16C35/02 Z
F16C17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128266
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
【テーマコード(参考)】
3J011
3J027
3J117
5H607
【Fターム(参考)】
3J011AA02
3J011BA09
3J011KA03
3J027FB01
3J027GC03
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J117AA01
3J117AA02
3J117BA01
3J117CA04
3J117DA01
3J117DB10
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD04
5H607EE33
5H607EE36
5H607GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ100は、中空のモータシャフト23を有するモータ20と、モータシャフトに連結された伝達機構30と、伝達機構を介してモータシャフトの回転が伝達される出力シャフト46を備える。出力シャフトの少なくとも一部は、モータシャフトの内部に位置する。出力シャフトは、軸方向を向きモータシャフトの第1対向面23dと対向する第2対向面41fを有する。樹脂製の第1ワッシャ61と第2ワッシャ62とは、第1対向面と第2対向面との軸方向の間に位置し、かつ、互いに接触する。第1ワッシャは、モータシャフトと共に回転可能に第1対向面に取り付けられている。第2ワッシャは、出力シャフトと共に回転可能に第2対向面に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに連結された伝達機構と、
前記モータシャフトの軸方向に延び、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、
樹脂製の第1ワッシャと、
樹脂製の第2ワッシャと、
を備え、
前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、
前記モータシャフトは、軸方向を向く第1対向面を有し、
前記出力シャフトは、軸方向を向き前記第1対向面と対向する第2対向面を有し、
前記第1ワッシャと前記第2ワッシャとは、前記第1対向面と前記第2対向面との軸方向の間に位置し、かつ、互いに接触し、
前記第1ワッシャは、前記モータシャフトと共に回転可能に前記第1対向面に取り付けられ、
前記第2ワッシャは、前記出力シャフトと共に回転可能に前記第2対向面に取り付けられている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記モータシャフトと前記第1ワッシャとのうち一方は、軸方向に窪む第1凹部を有し、
前記モータシャフトと前記第1ワッシャとのうち他方は、前記第1凹部に嵌め合わされる第1凸部を有する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1凸部の軸方向の寸法は、前記第1凹部の軸方向の寸法よりも小さい、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1凸部および前記第1凹部は、径方向に延びている、請求項2または3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1凸部および前記第1凹部のそれぞれは、前記モータ軸を挟んで一対設けられている、請求項2から4のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1ワッシャが前記第1凸部を有する、請求項2から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記出力シャフトと前記第2ワッシャとのうち一方は、軸方向に窪む第2凹部を有し、
前記出力シャフトと前記第2ワッシャとのうち他方は、前記第2凹部に嵌め合わされる第2凸部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
樹脂製の第3ワッシャと、
樹脂製の第4ワッシャと、
を備え、
前記モータシャフトは、軸方向を向く第3対向面を有し、
前記出力シャフトは、軸方向を向き前記第3対向面と対向する第4対向面を有し、
前記第3ワッシャと前記第4ワッシャとは、前記第3対向面と前記第4対向面との軸方向の間に位置し、かつ、互いに接触し、
前記第3ワッシャは、前記モータシャフトと共に回転可能に前記第3対向面に取り付けられ、
前記第4ワッシャは、前記出力シャフトと共に回転可能に前記第4対向面に取り付けられ、
前記モータは、前記モータシャフトに固定されたロータ本体を有し、
前記第1ワッシャおよび前記第2ワッシャは、前記ロータ本体よりも軸方向一方側に位置し、
前記第3ワッシャおよび前記第4ワッシャは、前記ロータ本体よりも軸方向他方側に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記第1対向面は、前記モータシャフトの内周面に設けられた段差面であり、
前記第2対向面は、前記出力シャフトのうち前記モータシャフトの内部に位置する部分の外周面に設けられた段差面である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項10】
前記出力シャフトは、
軸方向に延びる出力シャフト本体と、
前記出力シャフト本体のうち前記モータシャフトの外部に位置する部分の外周面に固定され、前記モータシャフトの軸方向他方側に対向して配置された取付部材と、
を有し、
前記第3対向面は、前記モータシャフトの軸方向他方側の端面であり、
前記第4対向面は、前記取付部材に設けられている面である、請求項8に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
伝達機構によって連結されたモータシャフトと出力シャフトとを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、車両の自動変速機のシフトを切り替えるシフトバイワイヤシステムの動力源として適用される回転式アクチュエータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいては、モータシャフトと出力シャフトとの一方が他方に対して傾く恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結された伝達機構と、前記モータシャフトの軸方向に延び、前記伝達機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、樹脂製の第1ワッシャと、樹脂製の第2ワッシャと、を備える。前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置する。前記モータシャフトは、軸方向を向く第1対向面を有する。前記出力シャフトは、軸方向を向き前記第1対向面と対向する第2対向面を有する。前記第1ワッシャと前記第2ワッシャとは、前記第1対向面と前記第2対向面との軸方向の間に位置し、かつ、互いに接触する。前記第1ワッシャは、前記モータシャフトと共に回転可能に前記第1対向面に取り付けられている。前記第2ワッシャは、前記出力シャフトと共に回転可能に前記第2対向面に取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のモータシャフト、出力シャフト、第1ワッシャ、および第2ワッシャを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のモータシャフトの一部、出力シャフトの一部、第1ワッシャ、および第2ワッシャを示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のモータシャフト、出力シャフト、第3ワッシャ、および第4ワッシャを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のモータシャフトの一部、出力シャフトの一部、第3ワッシャ、および第4ワッシャを示す断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の伝達機構を上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ100は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ100は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
図1に示すように、電動アクチュエータ100は、ケース10と、モータ20と、伝達機構30と、出力部40と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、基板80と、回転センサ81と、センサマグネット45と、仕切部材90と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52、および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
【0012】
ケース10は、モータ20および伝達機構30を含む電動アクチュエータ100の各部を内部に収容している。ケース10は、ケース本体11と、カバー12と、を有する。ケース本体11は、上側に開口している。ケース本体11は、例えば、モータ軸J1を中心とする円筒状である。ケース本体11は、第1収容部11aと、第2収容部11bと、を有する。
【0013】
第1収容部11aは、例えば、ケース本体11の下側部分である。第1収容部11aは、下側に位置する底部11cと、底部11cの径方向外縁部から上側に延びる筒部11dと、を有する。底部11cは、底部11cを軸方向に貫通する孔部11eを有する。孔部11eは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。孔部11eの上側部分は、第1ベアリング51を内部に保持する第1ベアリング保持部11fを構成している。第1ベアリング51は、第1ベアリング保持部11fの内部に保持されることで、ケース本体11に保持されている。第1ベアリング51の外輪は、例えば、第1ベアリング保持部11fの内周面に嵌め合わされている。
【0014】
第2収容部11bは、例えば、ケース本体11の上側部分である。第2収容部11bは、第1収容部11aの上側に繋がっている。第2収容部11bは、上側に開口する筒状である。第2収容部11bの内径は、第1収容部11aの内径よりも大きい。第2収容部11bの外径は、第1収容部11aの外径よりも大きい。第2収容部11bの下端部は、例えば、筒部11dの上端部の径方向外縁部に繋がっている。第2収容部11bの内周面には、上側を向く段差面11gを有する段差が設けられている。段差面11gは、例えば、軸方向と直交する面である。
【0015】
段差面11gには、基板80が固定されている。基板80は、板面が軸方向を向く板状であり、径方向に広がっている。基板80の径方向外縁部は、例えば、段差面11gにネジで固定されている。基板80は、第2収容部11bの内部に収容されている。基板80は、後述するロータ本体24よりも上側に位置する。基板80は、基板80を軸方向に貫通する貫通孔80aを有する。貫通孔80aは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。貫通孔80aには、後述する出力シャフト46のうち上側の部分が軸方向に通されている。基板80の板面には、図示しないプリント配線が設けられている。図示は省略するが、基板80には、例えば、モータ20に電力を供給するインバータ回路が設けられている。
【0016】
基板80には、回転センサ81が取り付けられている。回転センサ81は、後述する出力シャフト46の回転を検出可能なセンサである。本実施形態において回転センサ81は、磁気センサである。回転センサ81は、例えば、ホールICなどのホール素子である。回転センサ81は、例えば、周方向に沿って複数ずつ設けられていてもよい。本実施形態において回転センサ81は、基板80の上側の面うち貫通孔80aの周縁部に取り付けられている。
【0017】
カバー12は、ケース本体11に固定されている。カバー12の径方向外縁部は、例えば、第2収容部11bの上側の端部にネジで固定されている。カバー12は、ケース本体11の上側の開口を塞いでいる。カバー12は、ケース本体11の上側の開口を覆うカバー本体12aと、カバー本体12aから下側に突出する第2ベアリング保持部12bと、を有する。第2ベアリング保持部12bは、例えば、モータ軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。第2ベアリング保持部12bの内部には、第2ベアリング52が保持されている。これにより、第2ベアリング52は、カバー12に保持されている。第2ベアリング52の外輪は、例えば、第2ベアリング保持部12bの内周面に嵌め合わされている。
【0018】
モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、モータシャフト23と、ロータ本体24と、を有する。つまり、モータ20は、モータシャフト23と、ロータ本体24と、を有する。モータシャフト23は、モータ軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト23は、中空シャフトである。モータシャフト23は、例えば、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。モータシャフト23は、軸方向の両側に開口している。モータシャフト23は、第1収容部11aの内部から上側に延びて、第2収容部11bの内部に突出している。モータシャフト23は、例えば、鉄などの金属製である。モータシャフト23は、本体部23aと、偏心軸部23bと、を有する。
【0019】
本体部23aは、ロータ本体24が固定された部分である。本体部23aの上側の端部は、モータシャフト23の上側の端部である。本体部23aの上側の端部は、第2収容部11bの内部に位置する。本体部23aのうち上側の端部を除いた部分は、第1収容部11aの内部に位置する。
【0020】
偏心軸部23bは、本体部23aの下側に繋がっている。偏心軸部23bは、第1収容部11aの内部に位置する。偏心軸部23bの下側の端部は、モータシャフト23の下側の端部である。偏心軸部23bは、モータ軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする部分である。偏心軸J2は、モータ軸J1と平行である。偏心軸部23bには、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定されている。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト23に固定されている。
【0021】
偏心軸部23bの内径は、本体部23aの内径よりも大きい。偏心軸部23bの内周面は、モータ軸J1を中心とする円筒状である。本体部23aの内周面と偏心軸部23bの内周面との間には、下側を向く段差面として第1対向面23dを有する段差が設けられている。つまり、モータシャフト23は、軸方向を向く第1対向面23dを有する。第1対向面23dは、モータシャフト23の内周面に設けられた段差面である。第1対向面23dは、モータ軸J1を囲む円環状の面である。本実施形態において第1対向面23dは、軸方向と直交する面である。
【0022】
第1対向面23dの径方向内縁部は、本体部23aの内周面の下端部と繋がっている。第1対向面23dの径方向外縁部は、偏心軸部23bの内周面の上端部と繋がっている。
図2および
図3に示すように、第1対向面23dには、軸方向に窪む第1凹部23cが設けられている。つまり、モータシャフト23は、第1凹部23cを有する。第1凹部23cは、第1対向面23dから上側に窪んでいる。第1凹部23cは、第1対向面23dの径方向内縁部から第1対向面23dの径方向外縁部まで径方向に延びている。本実施形態において第1凹部23cの周方向の寸法は、径方向の全体に亘って同じである。第1凹部23cは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。一対の第1凹部23cは、径方向に延びる同一直線上に配置されている。
【0023】
図1に示すように、本体部23aの上側の端面は、上側を向く第3対向面23fである。つまり、モータシャフト23は、軸方向を向く第3対向面23fを有する。また、第3対向面23fは、モータシャフト23の上側の端面である。第3対向面23fは、モータ軸J1を囲む円環状の面である。本実施形態において第3対向面23fは、軸方向と直交する面である。
【0024】
図4および
図5に示すように、第3対向面23fには、軸方向に窪む第3凹部23eが設けられている。つまり、モータシャフト23は、第3凹部23eを有する。第3凹部23eは、第3対向面23fから下側に窪んでいる。第3凹部23eは、第3対向面23fの径方向内縁部から第3対向面23fの径方向外縁部まで径方向に延びている。第3凹部23eは、モータシャフト23の上端部をモータシャフト23の内縁部からモータシャフト23の外縁部まで径方向に貫通している。本実施形態において第3凹部23eの周方向の寸法は、径方向の全体に亘って同じである。第3凹部23eは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。一対の第3凹部23eは、径方向に延びる同一直線上に配置されている。
【0025】
図1に示すように、ロータ本体24は、本体部23aの外周面、すなわちモータシャフト23の外周面に固定されている。ロータ本体24は、本体部23aの外周面における下側部分に固定されている。ロータ本体24は、第1収容部11aの内部に収容されている。ロータ本体24は、モータシャフト23の外周面に固定された円筒状のロータコア24aと、ロータコア24aに固定されたロータマグネット24bと、を有する。
【0026】
ステータ22は、ロータ21と隙間を介して径方向に対向している。ステータ22は、ロータ21の径方向外側に位置する。ステータ22は、第1収容部11aの内部に収容されている。ステータ22は、ロータ本体24の径方向外側を囲む環状のステータコア22aと、ステータコア22aに装着されたインシュレータ22bと、インシュレータ22bを介してステータコア22aに装着された複数のコイル22cと、を有する。ステータコア22aの外周面は、例えば、筒部11dの内周面に固定されている。
【0027】
伝達機構30は、第1収容部11aの内部においてロータ本体24およびステータ22の下側に位置する。本実施形態において伝達機構30は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト46に伝達する減速機構である。伝達機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力フランジ部42と、複数の突出部43と、を有する。
【0028】
外歯ギア31は、偏心軸部23bの偏心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に沿って広がる略円環板状である。
図6に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、複数の歯部31aによって構成された歯車部が設けられている。
図1に示すように、外歯ギア31は、偏心軸部23bに第3ベアリング53を介して連結されている。これにより、伝達機構30は、モータシャフト23の下側に連結されている。本実施形態において伝達機構30は、モータシャフト23の下側の端部に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング53の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト23と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0029】
外歯ギア31は、外歯ギア31の下側の面から上側に窪む複数の穴部31bを有する。本実施形態において穴部31bは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。
図6に示すように、複数の穴部31bは、モータ軸J1を囲んで配置されている。より詳細には、複数の穴部31bは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31bは、例えば、8つ設けられている。穴部31bの軸方向に沿って見た形状は、例えば、円形状である。穴部31bの内径は、突出部43のうち穴部31bに挿入された部分の外径よりも大きい。
【0030】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側を囲み、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32は、モータ軸J1を中心とする円環状である。
図1に示すように、本実施形態において内歯ギア32は、ケース10に固定されている。内歯ギア32の外周面は、第1収容部11aの内周面に嵌め合わされて固定されている。
図6に示すように、内歯ギア32の内周面には、複数の歯部32aを有する歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。より詳細には、内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と周方向の一部において噛み合っている。
【0031】
出力フランジ部42は、出力部40の一部である。
図1に示すように、出力フランジ部42は、外歯ギア31の下側に対向して配置されている。出力フランジ部42と外歯ギア31との軸方向の間には隙間が設けられている。出力フランジ部42は、例えば、モータ軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力フランジ部42は、後述する出力シャフト本体41のうちモータシャフト23よりも下側に位置する部分から径方向外側に広がっている。
【0032】
突出部43は、出力フランジ部42から外歯ギア31に向かって上側に突出している。本実施形態において突出部43と出力フランジ部42とは、同一の単一部材の一部である。
図6に示すように、複数の突出部43は、円柱状である。複数の突出部43は、モータ軸J1を囲んで配置されている。複数の突出部43は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。突出部43は、例えば、8つ設けられている。
【0033】
図1に示すように、複数の突出部43は、複数の穴部31bのそれぞれに下側から挿入されている。突出部43のうち穴部31b内に挿入された部分の外径は、穴部31bの内径よりも小さい。突出部43の外周面は、穴部31bの内周面と内接している。複数の突出部43は、穴部31bの内周面を介して、外歯ギア31をモータ軸J1回りに揺動可能に支持している。
【0034】
出力部40は、電動アクチュエータ100の駆動力を出力する部分である。出力部40には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が伝達される。出力部40は、出力シャフト46と、出力フランジ部42と、を有する。つまり、電動アクチュエータ100は、出力シャフト46と、出力フランジ部42と、を備える。本実施形態において出力シャフト46と出力フランジ部42とは、互いに別体である。なお、出力シャフト46と出力フランジ部42とは、同一の単一部材の一部であってもよい。
【0035】
出力シャフト46は、モータシャフト23の軸方向に延びている。出力シャフト46は、モータシャフト23と同軸に配置されている。つまり、出力シャフト46は、モータ軸J1を中心として回転可能である。出力シャフト46の少なくとも一部は、モータシャフト23の内部に位置する。本実施形態において出力シャフト46は、下側からモータシャフト23の内部に通されてモータシャフト23よりも上側に突出している。出力シャフト46は、モータシャフト23よりも軸方向両側に突出している。
【0036】
出力シャフト46は、軸方向に延びる出力シャフト本体41と、出力シャフト本体41の外周面に固定された取付部材44と、を有する。本実施形態において出力シャフト本体41と取付部材44とは、互いに別体である。なお、出力シャフト本体41と取付部材44とは、同一の単一部材の一部であってもよい。出力シャフト本体41は、第1ベアリング51および第2ベアリング52によって回転可能に支持されている。出力シャフト本体41は、例えば、鉄などの金属製である。出力シャフト本体41は、連結部41aと、延伸部41bと、を有する。
【0037】
連結部41aは、出力シャフト本体41の下側部分である。連結部41aの下側の端部は、出力シャフト本体41の下側の端部である。連結部41aの下側の端部は、孔部11eの内部に挿入されている。連結部41aの下側の端部は、例えば、孔部11eの下側の端部と同じ軸方向位置にある。連結部41aの上側の端部は、偏心軸部23bの内部に挿入されている。連結部41aの外径は、延伸部41bの外径よりも大きい。連結部41aは、第1ベアリング51によってモータ軸J1回りに回転可能に支持されている。これにより、第1ベアリング51は、出力シャフト46のうちモータシャフト23よりも下側に位置する部分を回転可能に支持している。
【0038】
連結部41aは、連結部41aの下側の端面から上側に窪む連結凹部41cを有する。連結凹部41cは、下側に開口し、ケース10の外部に露出している。連結凹部41cは、例えば、下側から見てモータ軸J1を中心とする円形状である。連結凹部41cが設けられていることで、連結部41aは、モータ軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状となっている。
【0039】
連結凹部41cの内周面には、スプライン溝が設けられている。連結凹部41cの内部には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。これにより、連結部41aには、被駆動シャフトDSが連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、連結凹部41cの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト本体41と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト本体41を介して電動アクチュエータ100の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ100は、被駆動シャフトDSをモータ軸J1回りに回転させる。
【0040】
延伸部41bは、出力シャフト本体41の上側部分である。延伸部41bの上側の端部は、出力シャフト本体41の上側の端部である。延伸部41bは、連結部41aの上側の端部における径方向の中央部から上側に延びている。延伸部41bは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部41bの軸方向の寸法は、連結部41aの軸方向の寸法よりも大きい。延伸部41bは、中空シャフトであるモータシャフト23の内部に通されている。延伸部41bは、モータシャフト23の下側からモータシャフト23の内部に挿入され、モータシャフト23よりも上側に突出している。延伸部41bは、基板80の貫通孔80aに軸方向に通されている。延伸部41bの上側の端部は、第2ベアリング52によってモータ軸J1回りに回転可能に支持されている。これにより、第2ベアリング52は、出力シャフト46のうちモータシャフト23よりも上側に位置する部分を回転可能に支持している。
【0041】
延伸部41bの外径は、例えば、モータシャフト23における本体部23aの内径よりも僅かに小さい。本実施形態において延伸部41bは、本体部23aの内部に隙間嵌めされている。延伸部41bと本体部23aとの径方向の隙間は、延伸部41bによってモータシャフト23をモータ軸J1回りに回転可能に支持できる程度に小さい。このように本実施形態において出力シャフト46は、延伸部41bによって、モータシャフト23を回転可能に支持している。出力シャフト46のうちモータシャフト23の内部に位置する部分、つまり延伸部41bの一部の外周面とモータシャフト23の内周面とは、径方向に対向しており、互いに接触可能である。モータシャフト23の内周面の一部が出力シャフト46の外周面に接触することで、モータシャフト23が径方向に支持される。出力シャフト46とモータシャフト23との径方向の隙間には、例えば、潤滑油が設けられていてもよい。
【0042】
図1に示すように、連結部41aの外周面と延伸部41bの外周面との軸方向の間には、上側を向く段差面として第2対向面41fを有する段差が設けられている。つまり、出力シャフト46は、軸方向を向く第2対向面41fを有する。第2対向面41fは、出力シャフト本体41の外周面に設けられた段差面である。第2対向面41fは、モータ軸J1を囲む円環状の面である。本実施形態において、第2対向面41fは、軸方向と直交する面である。第2対向面41fの径方向内縁部は、延伸部41bの外周面の下端部と繋がっている。第2対向面41fの径方向外縁部は、連結部41aの外周面の上端部と繋がっている。第2対向面41fは、第1対向面23dと軸方向に対向している。
【0043】
図2および
図3に示すように、第2対向面41fには軸方向に窪む第2凹部41dが設けられている。つまり、出力シャフト46は、第2凹部41dを有する。第2凹部41dは、第2対向面41fから下側に窪んでいる。第2凹部41dは、第2対向面41fの径方向内縁部から第2対向面41fの径方向外縁部まで径方向に延びている。第2凹部41dの径方向内側の端部は、例えば、延伸部41bの外周面から径方向外側に僅かに離れている。本実施形態において第2凹部41dの周方向の寸法は、径方向の全体に亘って同じである。第2凹部41dは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。一対の第2凹部41dは、径方向に延びる同一直線上に配置されている。
【0044】
図1に示すように、取付部材44は、延伸部41bのうちモータシャフト23よりも上側に位置する部分の外周面に固定されている。つまり、取付部材44は、出力シャフト本体41のうちモータシャフト23の外部に位置する部分の外周面に固定されている。取付部材44は、出力シャフト本体41にセンサマグネット45を取り付けるための部材である。取付部材44は、固定筒部44aと、対向部44bと、を有する。
【0045】
固定筒部44aは、モータ軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部44aは、延伸部41bの外周面に嵌め合わされて固定されている。固定筒部44aは、例えば、圧入により延伸部41bに固定されている。固定筒部44aの外周面には、センサマグネット45が固定されている。固定筒部44aの外周面には、モータ軸J1を囲む円環状の環状溝が設けられている。環状溝には、例えば、センサマグネット45を固定する接着剤が充填されている。
【0046】
センサマグネット45は、モータ軸J1を囲む円環状である。センサマグネット45は、固定筒部44aの外周面に嵌め合わされている。センサマグネット45は、例えば、接着剤によって固定筒部44aの外周面に固定されている。センサマグネット45の下側の面は、対向部44bの上側の面に接触している。センサマグネット45は、取付部材44よりも径方向外側に突出している。センサマグネット45の径方向外縁部は、回転センサ81の上側に対向して配置されている。センサマグネット45の磁界は、回転センサ81によって検出される。本実施形態において回転センサ81は、センサマグネット45の磁界を検出することでセンサマグネット45の回転を検出し、出力シャフト46の回転を検出する。
【0047】
対向部44bは、固定筒部44aの下側の端部から径方向外側に突出している。対向部44bは、モータシャフト23の上側に対向して配置されている。取付部材44は、モータシャフト23の上側に対向して配置されている。
【0048】
対向部44bには、下側を向く第4対向面44dが設けられている。すなわち、本実施形態において第4対向面44dは、取付部材44に設けられている面である。つまり、出力シャフト46は、軸方向を向く第4対向面44dを有する。第4対向面44dは、対向部44bの下側の面である。第4対向面44dは、モータ軸J1を囲む円環状の面である。本実施形態において第4対向面44dは、軸方向と直交する面である。第4対向面44dの径方向内縁部は、固定筒部44aの内周面の下端部と繋がっている。第4対向面44dは、第3対向面23fと軸方向に対向している。
【0049】
図4および
図5に示すように、第4対向面44dには、軸方向に窪む第4凹部44cが設けられている。つまり、出力シャフト46は、第4凹部44cを有する。第4凹部44cは、第4対向面44dから上側に窪んでいる。第4凹部44cは、第4対向面44dの径方向内縁部から第4対向面44dの径方向外縁部まで径方向に延びている。第4凹部44cは、取付部材44の下端部を取付部材44の内縁部から取付部材44の外縁部まで径方向に貫通している。本実施形態において第4凹部44cの周方向の寸法は、径方向の全体に亘って同じである。第4凹部44cは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。一対の第4凹部44cは、径方向に延びる同一直線上に配置されている。
【0050】
図1に示すように、電動アクチュエータ100は、第1ワッシャ61と、第2ワッシャ62と、第3ワッシャ63と、第4ワッシャ64と、を備える。第1ワッシャ61、第2ワッシャ62、第3ワッシャ63、および第4ワッシャ64は、樹脂製のワッシャである。各ワッシャを構成する樹脂は、特に限定されない。各ワッシャを構成する樹脂は、例えば、フッ素樹脂、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックなどである。第1ワッシャ61および第2ワッシャ62は、第1対向面23dと第2対向面41fとの軸方向の間に位置する。第3ワッシャ63および第4ワッシャ64は、第3対向面23fと第4対向面44dとの軸方向の間に位置する。第1ワッシャ61および第2ワッシャ62は、ロータ本体24よりも下側に位置する。第3ワッシャ63および第4ワッシャ64は、ロータ本体24よりも上側に位置する。
【0051】
本実施形態において、第1ワッシャ61、第2ワッシャ62、第3ワッシャ63、および第4ワッシャ64は、互いに同様の形状を有するワッシャである。第1ワッシャ61と第2ワッシャ62とは、軸方向において互いに逆向きに配置されている。第3ワッシャ63と第4ワッシャ64とは、軸方向において互いに逆向きに配置されている。第1ワッシャ61と第4ワッシャ64とは、軸方向において互いに同じ向きに配置されている。第2ワッシャ62と第3ワッシャ63とは、軸方向において互いに同じ向きに配置されている。以下、第2ワッシャ62、第3ワッシャ63、および第4ワッシャ64の説明においては、配置される位置および向きが異なる点を除いて第1ワッシャ61と同様の構成の説明を省略する場合がある。
【0052】
図2および
図3に示すように、第1ワッシャ61は、偏心軸部23bの径方向内側に位置する。第1ワッシャ61は、出力シャフト46の延伸部41bを囲む円環板状の部材である。第1ワッシャ61は、第1ワッシャ本体61bと、第1凸部61aと、を有する。本実施形態において、第1ワッシャ本体61bと第1凸部61aとは、同一の単一部材の一部である。なお、第1ワッシャ本体61bと第1凸部61aとは、互いに別体であってもよい。
【0053】
第1ワッシャ本体61bは、延伸部41bを囲む円環板状である。第1ワッシャ本体61bには、第1ワッシャ本体61bを軸方向に貫通する貫通孔61dが設けられている。貫通孔61dは、例えば、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。貫通孔61dには、延伸部41bが軸方向に通されている。貫通孔61dの内径は、延伸部41bの外径よりも大きい。貫通孔61dの内周面、すなわち第1ワッシャ61の内周面と延伸部41bの外周面との間には、隙間が設けられている。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対回転する際に、延伸部41bと第1ワッシャ61とが擦れることを抑制できる。第1ワッシャ本体61bの上側の面は、第1対向面23dに接触している。
【0054】
第1凸部61aは、第1ワッシャ本体61bから上側に突出している。第1凸部61aは、第1ワッシャ本体61bの径方向内縁部から第1ワッシャ本体61bの径方向外縁部まで径方向に延びている。本実施形態において、第1凸部61aの周方向の寸法は、径方向の全体に亘って同じである。第1凸部61aは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。一対の第1凸部61aは、径方向に延びる同一直線上に配置されている。第1凸部61aは、径方向に長い略直方体状である。
【0055】
一対の第1凸部61aのそれぞれは、第1対向面23dに設けられた一対の第1凹部23cのそれぞれに嵌め合わされている。これにより、第1凸部61aが第1凹部23cに周方向に引っ掛かり、モータシャフト23が回転すると第1ワッシャ61も回転する。このようにして、第1ワッシャ61は、モータシャフト23と共に回転可能に第1対向面23d取り付けられている。
【0056】
なお、本明細書において「或るワッシャが或る面に対して或るシャフトと共に回転可能に取り付けられている」とは、或るワッシャが或るシャフトと共に回転可能な状態となっているならば、或るワッシャが或る面に対して軸方向に固定されていなくてもよい。本実施形態において第1ワッシャ61は、第1対向面23dに対して軸方向に固定されていない。
【0057】
図3に示すように、第1凸部61aの軸方向の寸法は、第1凹部23cの軸方向の寸法よりも小さい。したがって、第1凸部61aの軸方向における先端面61eは、第1凹部23cの軸方向における底面23gと接触しない。先端面61eは、第1凸部61aの上側の面である。底面23gは、第1凹部23cの内側面のうち上側に位置する面である。第1ワッシャ61は、第2ワッシャ62と接触する第1接触面61gを有する。第1接触面61gは、第1ワッシャ本体61bの下側の面である。第1接触面61gは、軸方向と直交する平面である。第1ワッシャ61は、第1接触面61gにおいて、第2ワッシャ62の後述する第2接触面62gと接触する。
【0058】
図2および
図3に示すように、第2ワッシャ62は、第2ワッシャ本体62bと、第2ワッシャ本体62bから下側に突出する一対の第2凸部62aと、を有する。第2ワッシャ本体62bには、延伸部41bが軸方向に通された貫通孔62dが設けられている。一対の第2凸部62aのそれぞれは、一対の第2凹部41dのそれぞれと嵌め合わされている。これにより、第2凸部62aが第2凹部41dに周方向に引っ掛かり、出力シャフト46が回転すると第2ワッシャ62も回転する。このようにして、第2ワッシャ62は、出力シャフト46と共に回転可能に第2対向面41fに取り付けられている。本実施形態において第2ワッシャ62は、第2対向面41fに対して軸方向に固定されていない。
【0059】
図3に示すように、第2凸部62aの軸方向の寸法は、第2凹部41dの軸方向の寸法よりも小さい。したがって、第2凸部62aの軸方向における先端面62eは、第2凹部41dの軸方向における底面41iと接触しない。先端面62eは、第2凸部62aの下側の面である。底面41iは、第2凹部41dの内側面のうち下側に位置する面である。第2ワッシャ62は、第1ワッシャ61と接触する第2接触面62gを有する。第2接触面62gは、第2ワッシャ本体62bの上側の面である。第1接触面61gと第2接触面62gとが互いに接触していることで、第1ワッシャ61と第2ワッシャ62とは、互いに接触している。
【0060】
図4および
図5に示すように、第3ワッシャ63は、第3ワッシャ本体63bと、第3ワッシャ本体63bから下側に突出する一対の第3凸部63aと、を有する。第3ワッシャ本体63bには、延伸部41bが軸方向に通された貫通孔63dが設けられている。一対の第3凸部63aのそれぞれは、一対の第3凹部23eのそれぞれと嵌め合わされている。これにより、第3凸部63aが第3凹部23eに周方向に引っ掛かり、モータシャフト23が回転すると第3ワッシャ63も回転する。このようにして、第3ワッシャ63は、モータシャフト23と共に回転可能に第3対向面23fに取り付けられている。本実施形態において第3ワッシャ63は、第3対向面23fに対して軸方向に固定されていない。
【0061】
図5に示すように、第3凸部63aの軸方向の寸法は、第3凹部23eの軸方向の寸法よりも小さい。したがって、第3凸部63aの軸方向における先端面63eは、第3凹部23eの軸方向における底面23hと接触しない。先端面63eは、第3凸部63aの下側の面である。底面23hは、第3凹部23eの内側面のうち下側に位置する面である。第3ワッシャ63は、第4ワッシャ64と接触する第3接触面63gを有する。第3接触面63gは、第3ワッシャ本体63bの上側の面である。第3ワッシャは、第3接触面63gにおいて、第4ワッシャの後述する第4接触面64gと接触する。
【0062】
図4および
図5に示すように、第4ワッシャ64は、第4ワッシャ本体64bと、第4ワッシャ本体64bから上側に突出する一対の第4凸部64aと、を有する。第4ワッシャ本体64bには、延伸部41bが軸方向に通された貫通孔64dが設けられている。一対の第4凸部64aのそれぞれは、一対の第4凹部44cのそれぞれと嵌め合わされている。これにより、第4凸部64aが第4凹部44cに周方向に引っ掛かり、出力シャフト46が回転すると第4ワッシャ64も回転する。このようにして、第4ワッシャ64は、出力シャフト46と共に回転可能に第4対向面44dに取り付けられている。本実施形態において第4ワッシャ64は、第4対向面44dに対して軸方向に固定されていない。
【0063】
図5に示すように、第4凸部64aの軸方向の寸法は、第4凹部44cの軸方向の寸法よりも小さい。したがって、第4凸部64aの軸方向における先端面64eは、第4凹部44cの軸方向における底面44eと接触しない。先端面64eは、第4凸部64aの上側の面である。底面44eは、第4凹部44cの内側面のうち上側に位置する面である。第4ワッシャ64は、第3ワッシャ63と接触する第4接触面64gを有する。第4接触面64gは、第4ワッシャ本体64bの下側の面である。第3接触面63gと第4接触面64gとが互いに接触していることで、第3ワッシャ63と第4ワッシャ64とは、互いに接触している。
【0064】
モータ20に電力が供給されてモータシャフト23がモータ軸J1回りに回転されると、偏心軸部23bは、モータ軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部23bの公転は第3ベアリング53を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31bの内周面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト23の回転力が伝達される。
【0065】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32はケース10に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト23の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31bと突出部43とを介して、出力フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト本体41がモータ軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト46には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が伝達される。減速機構としての伝達機構30の構造が上述したような複数の突出部43を介して回転を伝達する構造となっていることで、モータシャフト23の回転に対する出力シャフト46の回転の減速比を比較的大きくできる。そのため、出力シャフト46の回転トルクを比較的大きくできる。
【0066】
本実施形態によれば、モータシャフト23は、中空シャフトであり、出力シャフト46の少なくとも一部は、モータシャフト23の内部に位置する。出力シャフト46は、モータシャフト23を回転可能に支持している。そのため、モータシャフト23が出力シャフト46に対して径方向に倒れようとしても、モータシャフト23が出力シャフト46によって支持される。これにより、モータシャフト23が出力シャフト46に対して傾くことが抑制される。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とが互いに傾くことを抑制できる。また、モータシャフト23を出力シャフト46によって支持できるため、モータシャフト23を回転可能に支持するベアリングを別途設ける必要がない。したがって、電動アクチュエータ100の部品点数を低減できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、樹脂製の第1ワッシャ61と、樹脂製の第2ワッシャ62とが、モータシャフト23の第1対向面23dと出力シャフト46の第2対向面41fとの軸方向の間に位置し、かつ、互いに接触している。そのため、モータシャフト23と出力シャフト46とは、互いに直接的には軸方向に接触せずに、樹脂製の第1ワッシャ61と樹脂製の第2ワッシャ62とを介して軸方向に接触する。これにより、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対回転する際に、樹脂製の第1ワッシャ61と樹脂製の第2ワッシャ62とが互いに擦れることとなり、例えば金属で構成されるモータシャフト23と出力シャフト46とが直接的に擦れる場合と比べて、周方向に生じる摩擦力を低減できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる損失を低減でき、回転の伝達効率をより向上できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、第1ワッシャ61は、モータシャフト23の第1対向面23dにモータシャフト23と共に回転可能に取り付けられている。そのため、モータシャフト23と第1ワッシャ61とがモータ軸J1回りに相対回転することが抑制されている。これにより、例えば金属製のモータシャフト23と樹脂製の第1ワッシャ61とが周方向に擦れることを抑制できる。また、第2ワッシャ62は、出力シャフト46の第2対向面41fに出力シャフト46と共に回転可能に取り付けられている。そのため、出力シャフト46と第2ワッシャ62とがモータ軸J1回りに相対回転することが抑制されている。これにより、例えば金属製の出力シャフト46と樹脂製の第2ワッシャ62とが周方向に擦れることを抑制できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる損失をより低減でき、回転の伝達効率をより向上できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、モータシャフト23に第1凹部23cが設けられ、樹脂製の第1ワッシャ61に、第1凹部23cに嵌め合わされる第1凸部61aが設けられている。そのため、第1凹部23cと第1凸部61aとを嵌め合わせて組付ける簡易な構成によって、第1ワッシャ61をモータシャフト23と共に回転可能に第1対向面23dに取り付けることができる。
【0070】
また、本実施形態では、樹脂製の第1ワッシャ61に第1凸部61aが設けられている。そのため、金属製のモータシャフト23に第1凸部を設ける場合よりも、第1凸部61aを容易に設けることができる。また、樹脂製の第1ワッシャ61に第1凹部を設ける場合と比較して、第1ワッシャ61の強度を確保しやすい。
【0071】
また、本実施形態によれば、第1凸部61aの軸方向の寸法は、第1凹部23cの軸方向の寸法よりも小さい。そのため、第1凸部61aの軸方向における先端面61eが、第1凹部23cの軸方向における底面23gと接触しない。これにより、先端面61eが底面23gに突き当たって、第1ワッシャ本体61bがモータシャフト23に対して浮き上がった状態となることを抑制できる。したがって、第1凸部61aおよび第1凹部23cの寸法のバラつきによらず、モータシャフト23に対して第1ワッシャ61を容易に取り付けることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、第1凸部61aおよび第1凹部23cは、径方向に延びている。そのため、第1凸部61aを第1凹部23cに対して安定して周方向に引っ掛けることができる。これにより、第1ワッシャ61をモータシャフト23と共に安定して回転させることができ、第1ワッシャ61とモータシャフト23とが周方向に擦れることをより抑制できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる損失をより低減でき、回転の伝達効率をより向上できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、第1凸部61aおよび第1凹部23cのそれぞれは、モータ軸J1を挟んで一対設けられている。そのため、一対の第1凸部61aと一対の第1凹部23cとを介して、モータシャフト23に対して第1ワッシャ61をより安定して取り付けることができる。これにより、第1ワッシャ61とモータシャフト23とが周方向に擦れることをより抑制できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、出力シャフト46に第2凹部41dが設けられ、樹脂製の第2ワッシャ62に、第2凹部41dに嵌め合わされる第2凸部62aが設けられている。そのため、第2凹部41dと第2凸部62aとを嵌め合わせて組付ける簡易な構成によって、第2ワッシャ62を出力シャフト46と共に回転可能に第2対向面41fに取り付けることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、樹脂製の第3ワッシャ63と、樹脂製の第4ワッシャ64とが、モータシャフト23の第3対向面23fと出力シャフト46の第4対向面44dとの軸方向の間に設けられている。第3ワッシャ63は、モータシャフト23の第3対向面23fにモータシャフト23と共に回転可能に取り付けられている。第4ワッシャ64は、出力シャフト46の第4対向面44dに出力シャフト46と共に回転可能に取り付けられている。そのため、第3ワッシャ63および第4ワッシャ64によっても、上述した第1ワッシャ61と第2ワッシャ62と同様にして、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対回転する際における周方向の摩擦力を低減できる。これにより、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる損失をより低減でき、回転の伝達効率をより向上できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、第1ワッシャ61および第2ワッシャ62は、ロータ本体24よりも下側、すなわち、軸方向一方側に位置する。第3ワッシャ63および第4ワッシャ64は、ロータ本体24よりも上側、すなわち、軸方向他方側に位置する。そのため、ロータ本体24を挟んだ軸方向両側において、モータシャフト23と出力シャフト46とが相対回転する際の周方向の摩擦力を低減できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる損失をより好適に低減でき、回転の伝達効率をより好適に向上できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、第1対向面23dは、モータシャフト23の内周面に設けられた段差面である。つまり、モータシャフト23に設けられた段差面を利用して第1対向面23dを設けることができる。第2対向面41fは、出力シャフト46のうちモータシャフト23の内部に位置する部分の外周面に設けられた段差面である。つまり、出力シャフト46に設けられた段差面を利用して第2対向面41fを設けることができる。そのため、他の部材を別途設けることなく、第1対向面23dおよび第2対向面41fを設けられる。したがって、電動アクチュエータ100の部品点数が増加することを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第3対向面23fは、モータシャフト23の上側の端面である。つまり、モータシャフト23の軸方向の端面を利用して第3対向面23fを設けることができる。第4対向面44dは、取付部材44に設けられている面である。つまり、センサマグネット45が取り付けられる取付部材44を利用して第4対向面44dを設けることができる。そのため、他の部材を別途設けることなく、第3対向面23fおよび第4対向面44dを設けられる。したがって、電動アクチュエータ100の部品点数が増加することを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、出力シャフト46のうちモータシャフト23の内部に位置する部分の外周面とモータシャフト23の内周面とは、径方向に対向しており、互いに接触可能である。そのため、モータシャフト23が出力シャフト46に対して径方向に倒れようとしても、出力シャフト46の外周面によって、モータシャフト23の内周面を直接的に支持することができる。これにより、モータシャフト23を支持する面積を大きくしやすく、出力シャフト46によってモータシャフト23をより安定して支持できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とが互いに傾くことをより抑制できる。また、モータシャフト23と出力シャフト46との径方向の間に他の部材が設けられる場合に比べて、電動アクチュエータ100の部品点数を低減できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、出力シャフト46は、モータシャフト23よりも下側からモータシャフト23の内部を通ってモータシャフト23よりも上側まで延びている。そのため、モータシャフト23の内部における軸方向の全体に亘って出力シャフト46を配置できる。これにより、出力シャフト46によってモータシャフト23をより好適に支持することができる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とが互いに傾くことをより抑制できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、出力シャフト46がモータシャフト23に対して軸方向両側に突出しているため、出力シャフト46の軸方向両側を支持する第1ベアリング51および第2ベアリング52をケース10に保持させやすい。したがって、ケース10の構造が複雑化することを抑制でき、かつ、第1ベアリング51および第2ベアリング52の組み付けを容易にできる。このように、出力シャフト46を第1ベアリング51および第2ベアリング52によって支持し、出力シャフト46によってモータシャフト23を支持する構造とすることで、例えばベアリングで支持されたモータシャフト23によって出力シャフト46を支持する構造に比べて、電動アクチュエータ100の構造が複雑化することを抑制でき、かつ、電動アクチュエータ100の組み立てを容易にできる。
【0082】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および方法を採用することもできる。第1ワッシャは、モータシャフトと共に回転可能に第1対向面に取り付けられるならば、どのように第1対向面に取り付けられてもよいし、どのような形状であってもよい。第2ワッシャは、出力シャフトと共に回転可能に第2対向面に取り付けられるならば、どのように第2対向面に取り付けられてもよいし、どのような形状であってもよい。第3ワッシャは、モータシャフトと共に回転可能に第3対向面に取り付けられるならば、どのように第3対向面に取り付けられてもよいし、どのような形状であってもよい。第4ワッシャは、出力シャフトと共に回転可能に第4対向面に取り付けられるならば、どのように第4対向面に取り付けられてもよいし、どのような形状であってもよい。第3ワッシャおよび第4ワッシャは、設けられなくてもよい。
【0083】
各ワッシャが凸部と凹部との嵌め合いによって各対向面に取り付けられる場合、モータシャフトもしくは出力シャフトと共に回転可能であれば、凸部および凹部はどのような形状でもよい。凸部は、例えば、軸方向に突出する円柱状等でもよい。各凸部および各凹部は、二対以上設けられてもよい。凹部がワッシャに設けられ、凸部がモータシャフトまたは出力シャフトに設けられてもよい。各ワッシャをモータシャフトまたは出力シャフトに接着して固定してもよい。この場合、凸部および凹部は、設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。また、各ワッシャは、互いに同一形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。各ワッシャが取り付けられる各対向面は、各シャフトに対してどのように設けられてもよい。
【0084】
伝達機構は、モータシャフトの回転を出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。伝達機構は、増速機構であってもよいし、モータシャフトの回転を変速しない機構であってもよい。伝達機構が減速機構である場合、減速機構の構造は、特に限定されない。複数の突出部は外歯ギアに設けられ、複数の穴部は出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、突出部は、外歯ギアから出力フランジ部に向かって突出し、穴部に挿入される。
【0085】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0086】
20…モータ、23…モータシャフト、23c…第1凹部、23d…第1対向面、23f…第3対向面、24…ロータ本体、30…伝達機構、41…出力シャフト本体、41d…第2凹部、41f…第2対向面、44…取付部材、44d…第4対向面、46…出力シャフト、61…第1ワッシャ、61a…第1凸部、62…第2ワッシャ、62a…第2凸部、63…第3ワッシャ、64…第4ワッシャ、100…電動アクチュエータ、J1…モータ軸