(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023093
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ブラシユニット
(51)【国際特許分類】
B24D 13/14 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B24D13/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128297
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小原 香雪
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA07
3C063AB05
3C063AB08
3C063BG10
3C063BH01
3C063FF30
(57)【要約】
【課題】線材の摩耗量に応じて、ブラシの軸線方向の位置を自動的に調整可能なブラシユニットを提供する。
【解決手段】ブラシユニット100は、シャンク1と、先端方向に開口し、シャンク1に沿って延びるシリンダ室4と、軸2と平行に延びるガイド穴5と、ガイド穴5から半径方向外側に延びる逃がし部25と、を有するシリンダ3と、シリンダ室4内を往復し、先端方向に開口し、軸2と平行に延びるブラシ保持穴9と、半径方向にピストン11を貫通する支持体保持穴7と、を有するピストン11と、ブラシ保持穴9に挿入され、凹部15を有するブラシボディ19と、線材21と、を有するブラシ17と、ピストン11を先端方向に押し出す第1弾性体13と、支持体保持穴7に支持され、ガイド穴5と凹部15との間で移動し、ブラシ17がブラシ保持穴9から引き抜かれるときに、逃がし部25に収容される支持体23と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクに接続されるシリンダであって、
先端方向に開口し、前記シャンクに沿って延びるシリンダ室と、
前記シリンダ室内で前記軸と平行に延びるガイド穴と、
前記ガイド穴から半径方向外側に延びる逃がし部と、
を有するシリンダと、
前記シリンダ室内を往復するピストンであって、
先端方向に開口し、前記軸と平行に延びるブラシ保持穴と、
半径方向に前記ピストンを貫通する支持体保持穴と、
を有するピストンと、
前記ブラシ保持穴に挿入されるブラシであって、
半径方向外側に配置された凹部を有するブラシボディと、
線材と、
を有するブラシと、
前記シリンダ室内に配置され、前記ピストンを先端方向に押し出す第1弾性体と、
前記支持体保持穴に支持され、前記ガイド穴と前記凹部との間で移動する支持体であって、前記ブラシが前記ブラシ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃がし部に収容される支持体と、
を有する、ブラシユニット。
【請求項2】
シリンダの先端に配置されるストッパであって、
前記ブラシよりも大きい内径であり、かつ、前記ピストンの外径よりも小さい内径を有する通過孔を底部に有するストッパ、
を更に有する、請求項1に記載のブラシユニット。
【請求項3】
前記ピストンは、外周側先端部に、摩耗量判断部を有する、
請求項1又は2に記載のブラシユニット。
【請求項4】
前記線材は、交換時期に到達していない加工時に、前記ストッパから一定の突出長さを有する、
請求項2又は3に記載のブラシユニット。
【請求項5】
前記凹部は、半球状、又は、円錐状である、
請求項1~4のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項6】
前記支持体は、ボールである、
請求項1~5のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項7】
前記支持体は、ピン部材である、
請求項1~5のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項8】
前記シリンダは、中空円筒状であり、
前記逃がし部は、半径方向の外側に延びる、
請求項1~7のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項9】
前記シリンダの外側に配置され、前記軸に沿って往復可能なカバーを更に有し、
前記ガイド穴は、前記シリンダを貫通し、
前記支持体は、前記カバーの内側を移動し、
前記逃がし部は、前記カバーに配置される、
請求項1~8のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項10】
前記シリンダと前記カバーの間に配置された弾性体室と、
前記弾性体室に配置され、前記カバーを前記シリンダに対して先端方向に押し出す第2弾性体と、を更に有する、
請求項1~9のいずれかに記載のブラシユニット。
【請求項11】
前記ブラシは、前記ブラシボディに保持される複数の前記線材を有する、
請求項1~10のいずれかに記載のブラシユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリ取りブラシユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
線状砥材が保持されたホルダと、ホルダを収容するブラシケースにおいて、ブラシケースに設けられた溝状の案内孔の外周側から、ホルダに設けられたねじ孔に向けてねじ止めし、ブラシの摩耗量に応じて、軸線方向にねじ止めの位置を調整する研磨機用ブラシが提案されている(特許第3975073号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、線材の摩耗量に応じて、ブラシの軸線方向の位置を自動的に調整可能なブラシユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの側面は、
軸に沿って延びるシャンクと、
前記シャンクに接続されるシリンダであって、
先端方向に開口し、前記シャンクに沿って延びるシリンダ室と、
前記シリンダ室内で前記軸と平行に延びるガイド穴と、
前記ガイド穴から半径方向外側に延びる逃がし部と、
を有するシリンダと、
前記シリンダ室内を往復するピストンであって、
先端方向に開口し、前記軸と平行に延びるブラシ保持穴と、
半径方向に前記ピストンを貫通する支持体保持穴と、
を有するピストンと、
前記ブラシ保持穴に挿入されるブラシであって、
半径方向外側に配置された凹部を有するブラシボディと、
線材と、
を有するブラシと、
前記シリンダ室内に配置され、前記ピストンを先端方向に押し出す第1弾性体と、
前記支持体保持穴に支持され、前記ガイド穴と前記凹部との間で移動する支持体であって、前記ブラシが前記ブラシ保持穴から引き抜かれるときに、前記逃がし部に収容される支持体と、
を有する、ブラシユニットである。
【0005】
ブラシユニットは、加工機に取り付けられ、切削加工でワークに発生したバリ取りを行う。加工機は、例えば、旋盤、マシニングセンタ、ターニングセンタである。バリ取りブラシユニットのシャンクは、工具主軸に装着され、バリ取りブラシユニット全体が工具主軸と共に回転する。
説明の都合上、ブラシが取り付けられる側を先端側、シャンクが配置された側を基端側と呼ぶ。
【0006】
シリンダ、ピストン、ブラシは、シャンクの中心軸であるシャンク軸上に配置される。シャンクから工作機械の動力が伝わる。シャンクの回転に伴い、シリンダに形成されたガイド穴も回転する。ガイド穴と支持体保持穴と凹部は、支持体を介して係合する。シリンダの回転により、ガイド穴が支持体を回転させる。そして、支持体は、ピストンとブラシを回転させる。
【0007】
第一弾性体が弾性変形し、第一弾性体の復元力によってピストンが先端方向へ押圧される。
【0008】
ガイド穴は、シャンク軸と平行にシリンダに形成される。ガイド穴は、シリンダの内周面に形成された溝、又はシリンダを貫通する長孔でも良い。ガイド穴がシリンダを貫通する場合、シリンダの外周面を覆うカバーを設けて良い。
ガイド穴の短手方向の幅は、シリンダの外周方向からシャンク軸に向かって支持体を見たときの支持体と同じ幅、または小さい幅である。
【0009】
一つ又は複数の凹部が、ブラシボディに配置される。凹部は、半径方向内側に進むにつれて、小さい断面形状を有する。複数の凹部は、円周上に等間隔に配置される。好ましくは、3個以上の凹部がブラシボディに配置される。凹部は、例えば、球面状や円錐状である。
【0010】
支持体は、好ましくは、ボールやピン部材である。ピン部材の支持体は、半径方向に延びる。支持体は、凹部と同数、又は凹部の数の自然数倍の数だけ配置される。ピン部材である支持体は、半径方向内側の形状は、凹部形状に対応する。
【0011】
ガイド穴を溝や長孔とすることにより、支持体は、ガイド穴に沿って上下方向に移動できる。ブラシ、支持体、及び、ピストンが一体となって、シャンク軸方向に往復する。
【0012】
線材は、あらかじめ定められた突出量だけシリンダから突出する。ブラシ、ピストン及び支持体は、第1弾性体に押圧される。ブラシがワークに接触すると、ブラシの軌跡に応じた突出量だけ線材がシリンダから突出した状態で、線材がワークに接触する。線材が摩耗したときも、線材のシリンダからの突出量は維持される。
【0013】
摩耗量判断部は、ピストンやブラシに配置される。線材の摩耗量が所定の量となると、摩耗量判断部がシリンダから露出する。これにより、作業者は、ブラシの交換時期を認識できる。摩耗量に応じた複数の摩耗量判断部を有しても良い。摩耗量判断部は、例えば、摩耗限界が近付いてきた場合を示す警告指示部と、交換時期を示す限界指示部とを有しても良い。警告指示部及び限界指示部は、異なる色を有しても良い。
【0014】
逃がし部は、支持体がブラシボディの凹部から離れ、ピストンの外周側に移動するために、シリンダ又はカバーに設けた空間である。シリンダ又はカバーの内周面に、開口部に拡径するテーパ形状、又は凹形状をえぐるように設けても良い。
カバー又はピストンがシリンダから脱落しないように、ストッパを設けてよい。
【0015】
ブラシボディをピストンに装着する場合、ブラシボディをピストンに押し込み、支持体を凹部に保持させる。
ブラシボディをピストンから脱着する場合、ブラシボディ又はカバーをスライドさせることで、支持体を逃がし部に移動させる。これにより、支持体の保持が解除され、ブラシボディをピストンから取り外す。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブラシユニットによれば、線材の摩耗量に応じて、ブラシの軸線方向の位置を自動的に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1のバリ取りブラシユニットの縦断面図
【
図2】実施形態1のバリ取りブラシユニットの斜視図
【
図4】(a)は、新品なブラシの未加工時の状態を示す。(b)は、新品なブラシの加工時の状態を示す。(c)は、摩耗限界に近付いたブラシの加工時の状態を示す。(d)は、交換時期に到達したブラシの加工時の状態を示す。
【
図5】実施形態2のバリ取りブラシユニットの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態のバリ取りブラシユニット100は、シャンク1と、シリンダ3と、ピストン11と、支持体23と、圧縮コイルばね(第1弾性体)13と、ブラシ17と、を有する。ここで、
図1の左半分は、ブラシ17が装着された非加工時の状態を示す。
図1の右半分は、ブラシ17をピストン11から取り外す途中の状態を示す。
【0019】
シャンク1は、シャンク軸2に沿って延びる。シリンダ3は、シャンク1に接続される。シリンダ3は、円筒形状で、内部にシリンダ室4を有する。シリンダ室4には、第1弾性体13と、ピストン11が配置される。
【0020】
シリンダ3は、シリンダ室4と、開口部6と、ガイド穴5と、逃がし部25と、を有する。シリンダ3は、雄ねじ32を有しても良い。雄ねじ32は、シリンダ3の先端部に配置される。シリンダ3は、中空円筒状である。シリンダ室4は、シリンダ3の内部空洞である。シリンダ室4は、先端に開口部6を有する。ガイド穴5は、シャンク軸2に平行に、シリンダ室4の内周面に延びる。逃がし部25は、ガイド穴5の先端部に配置される。
【0021】
ピストン11は、支持体保持穴7と、ブラシ保持穴9と、を有する。ピストン11は、全体として中空円筒状である。ピストン11は、シリンダ3内を往復する。ピストン11は、摩耗量判断部26を有しても良い。ブラシ保持穴9は、ピストン11の先端面に開口して配置される。ブラシ保持穴9は、軸方向に延びる。支持体保持穴7は、ピストン11の外周面からブラシ保持穴9まで、半径方向に貫通する。支持体保持穴7は、支持体23を保持する。
【0022】
摩耗量判断部26は、ピストン11の先端部に配置される。例えば、摩耗量判断部26は、警告指示部261と、限界指示部262と、を有する。警告指示部261と限界指示部262は、それぞれ円環状である。警告指示部261は、限界指示部262の先端側に配置される。例えば、警告指示部261は、黄色である。限界指示部262は、赤色である。例えば、線材21が摩耗すると、警告指示部261がシリンダ3の先端から出て来る。これは、ブラシ17の交換時期が近づいていることを示す。更に線材21が摩耗すると、限界指示部262がシリンダ3の先端から出て来る。これは、ブラシ17の交換時期を示す。
【0023】
シリンダ3の先端には、ストッパ28を設けてよい。
図2に示すように、ストッパ28は、雌ねじ34と、底部37と、通過孔39を有する。ストッパ28は、透明であって良い。ストッパ28は、確認窓30を有しても良い。ストッパ28は、例えば、中空円筒状の蓋部材である。ストッパ28は、シリンダ3の先端部に配置される。雌ねじ34は、ストッパ28の内周面に配置される。雌ねじ34は、雄ねじ32とねじ対偶を構成する。底部37は、ストッパ28の先端側に配置される。通過孔39は、底部37の中央に配置される。通過孔39は、ブラシ17よりも大きい内径を有する。また、通過孔39は、ピストン11の外径よりも小さい内径を有する。これにより、ブラシ17は、通過孔39を通過できる。また、ピストン11は、通過孔39を通過できない。底部37は、ピストン11の先端部分を押さえ、ピストン11の脱落を防止する。確認窓30は、ストッパ28の外周面に配置される。作業者は、確認窓30から摩耗量判断部26を視認できる。
【0024】
ブラシ17は、ブラシボディ19と、6つの凹部15と、線材21と、を有する。ブラシボディ19は、円筒状である。線材21は、ブラシボディ19の先端部に配置される。凹部15は、球面状であり、ブラシボディ19の外筒面に配置される。線材21は、例えば、研磨剤とプラスチックスの複合材料である。線材21は、ブラシボディ19の先端から、シャンク軸2と平行に延びる。
【0025】
支持体23は、ボールである。
図3に示すように、3つの支持体23は、それぞれ、ガイド穴5と、支持体保持穴7と、凹部15との間に保持される。支持体23は、ガイド穴5に沿って、ピストン11と、ブラシ17と一体に進退する。支持体23は、ガイド穴5と凹部15を介して、シャンク1の回転をブラシ17に伝達する。
【0026】
ブラシ17をバリ取りブラシユニット100から取り外すときは、
図1及び
図3の右側に示すように、作業者はストッパ28の締結を緩めて先端方向に移動させる。凹部15は、半径方向内側に進むにしたがって小径になる。また、ピストン11は、圧縮コイルばね13によって、先端方向に押圧されている。そのため、支持体23は、逃がし部25に押し出される。これにより、支持体23とブラシボディ19の保持が解除される。そして、作業者は、ブラシ17をピストン11から引き出すことができる。
【0027】
バリ取りブラシユニット100は、工具主軸に装着されて使用される。工具主軸(不図示)のトルクがシャンク1からバリ取りブラシユニット100に伝達される。ブラシ17が回転することで、ワーク40のバリを除去する。
図4(a)は、未加工時のブラシの状態を示す。
図4(b)は、新品なブラシの加工時の状態を示す。
図4(c)は、摩耗限界に近づいたブラシの加工時の状態を示す。
図4(d)は、交換時期に到達したブラシの加工時の状態を示す。
【0028】
図4(a)に示す未加工時において、ピストン11は、初期設定位置101に位置する。
図4(b)に示す新品なブラシは、加工時に線材21の突出長さ41を有する。ここで、突出長さ41は、ストッパ28からの線材21の突き出し量である。加工時においては、線材21は、ワーク40に衝突して、ピストン11が基端側に後退する。新品なブラシの線材21は長いため、支持体23は初期位置102に位置する。ブラシ17は、ばね13の復元力によってワーク40に押し付けられる。
【0029】
図4(c)に示すように、加工時間が長くなるにつれて、線材21が摩耗して短くなる。ピストン11は、ばね13によって押し出されて、線材21の長さが短くなるにつれて先端方向に前進する。線材21は、摩耗量に応じてピストン11が基端側に後退する。そのため、線材21の突出長さ41は保持される。線材21が摩耗限界に到達すると、支持体23が交換注意位置103に位置する。すると、摩耗量判断部26が徐々にシリンダ3から突出する。この時、作業者は、黄色の警告指示部261を視認できる。
図4(d)に示すように、更に加工時間が延びると、支持体23が交換位置104(初期設定位置101)まで移動する。すると、黄色の警告指示部261に加えて、赤色の限界指示部262がシリンダ3から突出する。
【0030】
図4(a)から
図4(d)で示されるように、線材21が摩耗して短くなっても、ピストン11の後退する量は、線材21の摩耗量に応じて変化する。具体的には、線材21が摩耗して短くなると、ピストン11の後退する量は小さくなる。そのため、線材21は、常に同じ突出長さ41でストッパ28から突出し、常にワーク40に接触する。この間、例えば、工具長補正量を変更して、主軸の位置を変更する必要はない。
また、バリ取り加工で線材21が摩耗することで、ピストン11の先端部に設けられた摩耗量判断部26がシリンダ3から出現する。これにより、作業者は、ブラシ17の交換時期を把握できる。
【0031】
線材21が研磨粒子とプラスチックの複合材料の場合には、シリンダ3から突出する線材21の長さが長いと、線材が折損する場合がある。発明者らの実験によれば、突出長さ41を短くすると加工能力が高くなる。しかし、突出長さ41を短くすると、ブラシの有効加工長が短くなる。ここで、有効加工長とは、一定の角速度で回転し、一定速度で送りをかけて加工したときに、線材21が摩耗して徐々に短くなり、加工できなくなるまでに加工した長さをいう。本実施形態によれば、線材21の摩耗に従って、ピストン11が先端方向に前進する。そのため、線材21の長さが長い場合においても、突出長さ41を短く設定できる。したがって、本実施形態によれば、有効加工長をより効果的に延長できる。
本実施形態のブラシユニットは、例えば、金属加工面のエッジのバリ取りに好適に利用できる。
【0032】
(実施形態2)
図5に示すように、本実施形態のバリ取りブラシユニット200は、シリンダ36と、カバー31と、弾性体室33と、圧縮コイルばね(第2弾性体)35と、ストッパ281と、を有する。弾性体室33は、シリンダ36とカバー31との間に設けられる。ここで、
図5の左半分は、ブラシ17が装着された非加工時の状態を示す。
図5の右半分は、ブラシ17をピストン11から取り外す途中の状態を示す。
【0033】
シリンダ36は、基端部36aと、先端部36bとを有する。シリンダ36は、全体として円筒状である。基端部36aの肉厚は、先端部36bの肉厚よりも厚い。基端部36aの長さは、先端部36bの長さよりも短い。
【0034】
カバー31は、基端部31aと、先端部31bとを有する。カバー31は、全体として中空円筒状である。カバー31は、シリンダ36の外周面を覆う。カバー31の基端部31aの内面は、シリンダ36の基端部36aの外面と摺動する。カバー31の先端部31bの内面は、シリンダ36の先端部36bの外面と摺動する。カバー31がストッパ281に突き当たるまで先端方向に移動させたときに、シリンダ36の基端部36aの先端は、カバー31の基端部31aの先端よりも基端側に位置する。すると、カバー31とシリンダ36との間に、弾性体室33である空間が形成される。
圧縮コイルばね35は、弾性体室33に収容される。
【0035】
ガイド穴5は、シリンダ36を半径方向に貫通する。
逃がし部25は、カバー31の先端部31bの内周面に位置し、先端面に開口する。
ストッパ281は、シリンダ36の先端部に配置され、カバー31の脱落を防止する。ストッパ281は、例えば、軸用止め輪である。
バリ取りブラシユニット200のその他の構成は、バリ取りブラシユニット100と同一である。
【0036】
ブラシ17をバリ取りブラシユニット200から取り外す場合は、カバー31を基端側に押し込み、逃がし部25を支持体23まで移動させる。ブラシ17を先端側に引くと、凹部15によって支持体23が逃がし部25に押し出される。これにより、支持体23によるブラシボディ19の保持が解除され、ブラシ17をバリ取りブラシユニット200から取り外し可能となる。
【0037】
なお、弾性体室33と圧縮コイルばね35を省き、シリンダ36に雄ねじを形成し、カバー31の内周面に雌ねじを形成して、カバー31とシリンダ36がねじ対偶を構成しても良い。
【0038】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
100、200 バリ取りブラシユニット
1 シャンク
3 シリンダ
4 シリンダ室
5 ガイド穴
7 支持体保持穴
9 ブラシ保持穴
11 ピストン
13 第1弾性体
15 凹部
17 ブラシ
19 ブラシボディ
21 線材
23 支持体
25 逃がし部