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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023099
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】車両の下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B62D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128310
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 郁生
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正芳
(72)【発明者】
【氏名】丸山 慧
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB03
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB34
3D203BB35
3D203CB09
3D203CB30
3D203DA05
3D203DA15
3D203DB07
3D203DB09
(57)【要約】
【課題】車両の通常走行時には、ファンからの熱風が発熱体上部に導風されることを阻止し、床下走行風にて発熱体をその上面まで冷却し、一方で、車両停止時には、床下走行風がなくてもファンの風を発熱体に当てて、発熱体を冷却する車両の下部構造を提供する。
【解決手段】発熱体42の前方において、熱源部材13を冷却しアンダカバー50とフロアパネル16との間の空間53に後方向に向かう風を発生させるファン14とを備え、アンダカバー50は、車両走行時、アンダカバー50下の走行風を発熱体42より前方位置から導入する穴部54と、穴部54の前端部54aから後方ほど上方に向かうスロープ部55と、を有し、スロープ部55が設けられる前後方向領域において、発熱体42の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材56を備え、スロープ部55の上端部と壁部材56の下端との間に、ファン14からの風の流入を許容する空間部57を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネル下方に設けられる発熱体と、
車体に固定され上記発熱体の下方に設けられるアンダカバーと、
上記発熱体の前方において、熱源部材を冷却し上記アンダカバーと上記フロアパネルとの間の空間に後方向に向かう風を発生させるファンと、を備える車両の下部構造であって、
上記アンダカバーは、
車両走行時、当該アンダカバー下の走行風を上記発熱体よりも前方位置から導入する穴部と、
上記穴部の前端部から後方ほど上方に向かうスロープ部と、を有し、
上記スロープ部が設けられる車両前後方向領域において、上記発熱体の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材を備え、
上記スロープ部の上端部と上記壁部材の下端との間に、上記ファンからの風の流入を許容する空間部を備えたことを特徴とする
車両の下部構造。
【請求項2】
上記穴部の後端部から上方に延びる開口抑制部を備えた
請求項1に記載の車両の下部構造。
【請求項3】
上記スロープ部の後端と上記開口抑制部の前端とは、車両前後方向において略同じ位置に配設された
請求項2に記載の車両の下部構造。
【請求項4】
上記穴部の車幅方向両サイドにおいて、上記スロープ部と上記開口抑制部とを連結する連結壁部を備えた
請求項2または3に記載の車両の下部構造。
【請求項5】
上記開口抑制部は、車両前方ほど上方に傾斜する
請求項2~4の何れか一項に記載の車両の下部構造。
【請求項6】
上記スロープ部は平面視で車両後方ほど末広がり形状に形成された
請求項1~5の何れか一項に記載の車両の下部構造。
【請求項7】
上記穴部の側方で、かつ、上記発熱体の車幅方向両側には壁部が設けられ、上記壁部は上記スロープ部の設けられる前後方向領域に設けられた
請求項1~6の何れか一項に記載の車両の下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のフロアパネル下方に設けられる発熱体をファンからの風や床下走行風にて冷却するような車両の下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアパネル下方にDC-DCコンバータ(直流電圧変換器)のような発熱体を設け、当該発熱体の下方には車体に固定されたアンダカバーを設け、上記発熱体の前方においてラジエータ等の熱源部材を冷却しアンダカバーとフロアパネルとの間の空間に車両後方に向かう風を発生させるファン(ラジエータファン参照)を備えた車両の下部構造が知られている。
【0003】
アイドル時等の車両停止時においては、上記ファンからの風により上記発熱体の冷却を適確に行なうことができるが、例えば、自車両の後方にトレーラヒッチを介してレジャー用のボート等をトーイング(towing)する場合には、走行時の負荷が大きくなり、上記ファンから発生する風が熱風となるので、この熱風では上記発熱体を冷却することが困難であった。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されているように、上記アンダカバーに穴部を開口形成し、当該穴部から流入する床下走行風を利用して上記発熱体を冷却する構造が既に発明されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来構造においては、ファンから生じる車両後方へ流れる熱風により、穴部から流入する床下走行風が阻止(いわゆるブロック)されて、発熱体の上部まで上記床下走行風を導入することができず、発熱体の充分な冷却を行なうことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-58383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、車両の通常走行時には、ファンからの熱風が発熱体上部に導風されることを阻止し、床下走行風にて発熱体をその上面まで冷却することができ、一方、車両停止時には、床下走行風がなくてもファンの風を発熱体に当てて、当該発熱体を冷却することができる車両の下部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両のフロアパネル下方に設けられる発熱体と、車体に固定され上記発熱体の下方に設けられるアンダカバーと、上記発熱体の前方において、熱源部材を冷却し上記アンダカバーと上記フロアパネルとの間の空間に後方向に向かう風を発生させるファンと、を備える車両の下部構造であって、上記アンダカバーは、車両走行時、当該アンダカバー下の走行風を上記発熱体よりも前方位置から導入する穴部と、上記穴部の前端部から後方ほど上方に向かうスロープ部と、を有し、上記スロープ部が設けられる車両前後方向領域において、上記発熱体の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材を備え、上記スロープ部の上端部と上記壁部材の下端との間に、上記ファンからの風の流入を許容する空間部を備えたことを特徴とする車両の下部構造である。
【0009】
上述の発熱体は、例えば、DC-DCコンバータ(direct current to direct current converter、直流電圧変換器)などの電気制御部品または、ディファレンシャルなどの駆動系部品であってもよい。
また、上述の熱源部材は、例えば、ラジエータなどの内燃機関の空冷要素であってもよく、電気自動車の場合にはモータの空冷要素であってもよい。
【0010】
この発明により、車両の通常走行時においては、ファンからの風(熱風)が発熱体上部に導風されることを、上記壁部材にて阻止し、床下走行風を穴部からスロープ部下面に沿って発熱体の上部まで誘導することで、発熱体の下面は勿論のこと、発熱体の上面まで冷却することができる。
【0011】
一方で、車両の停止時においては、上記空間部から流入するファンからの風が発熱体に当たるので、走行風がなくても当該発熱体を冷却することができる。
なお、上記スロープ部により、当該スロープ部下面に沿って流れる空気の粘性により、床下走行風の流れを乱すことなく、外気を引き込むことができる。
【0012】
この発明の態様として、上記穴部の後端部から上方に延びる開口抑制部を備えてもよい。
この発明により、車輪により路面から巻き上げられる水や、泥水に含まれる水分が上記穴部から侵入するのを、上記開口抑制部にて抑制し、発熱体の被水を抑制することができる。
【0013】
この発明の態様として、上記スロープ部の後端と上記開口抑制部の前端とは、車両前後方向において略同じ位置に配設されてもよい。
この発明により、上述の穴部の開口面積を必要最小限にしつつ、上記被水を抑制することができる。
【0014】
この発明の態様として、上記穴部の車幅方向両サイドにおいて、上記スロープ部と上記開口抑制部とを連結する連結壁部を備えてもよい。
この発明により、上記穴部の車幅方向両サイドから水や泥水が侵入しようとするのを、上記連結壁部にて遮断することができると共に、床下走行風を上記連結壁部にて案内するので、発熱体をより一層良好に冷却することができる。
【0015】
この発明の態様として、上記開口抑制部は、車両前方ほど上方に傾斜していてもよい。
この発明により、上述の傾斜構造の開口抑制部にて、水や泥水の侵入経路を遮蔽することができる。
【0016】
この発明の態様として、上記スロープ部は平面視で車両後方ほど末広がり形状に形成されてもよい。
この発明により、上記穴部を設ける面積を最小限にし、アンダカバー機能を阻害しない構造でありながら、発熱体をより効果的に冷却するための導風形状を確保することができる。
【0017】
この発明の態様として、上記穴部の側方で、かつ、上記発熱体の車幅方向両側には壁部が設けられ、上記壁部は上記スロープ部の設けられる前後方向領域に設けられてもよい。
この発明により、車両の通常走行時において、ファンからの風(熱風)が発熱体に導風されるのを、上記壁部にて抑制し、穴部からスロープ部下面に沿って誘導される床下走行風(冷却風)を発熱体に集中させることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、車両の通常走行時には、ファンからの熱風が発熱体上部に導風されることを阻止し、床下走行風にて発熱体をその上面まで冷却することができ、一方、車両停止時には、床下走行風がなくてもファンの風を発熱体に当てて、当該発熱体を冷却することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両の下部構造を示す底面図。
図2図1のA-A線矢視断面図。
図3図1のB-B線に沿う要部の矢視断面図。
図4図1のC-C線に沿う要部の矢視断面図。
図5図1のD-D線に沿う車両左側の矢視断面図。
図6】アンダカバーを取外した状態で車両の下部構造を示す要部の底面図。
図7】発熱体近傍におけるアンダカバー構造を示す上面斜視図。
図8】発熱体に対する床下走行風および熱風の流れを示す作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
車両の通常走行時には、ファンからの熱風が発熱体上部に導風されることを阻止し、床下走行風にて発熱体をその上面まで冷却することができ、一方、車両停止時には、床下走行風がなくてもファンの風を発熱体に当てて、当該発熱体を冷却するという目的を、車両のフロアパネル下方に設けられる発熱体と、車体に固定され上記発熱体の下方に設けられるアンダカバーと、上記発熱体の前方において、熱源部材を冷却し上記アンダカバーと上記フロアパネルとの間の空間に後方向に向かう風を発生させるファンと、を備える車両の下部構造であって、上記アンダカバーは、車両走行時、当該アンダカバー下の走行風を上記発熱体よりも前方位置から導入する穴部と、上記穴部の前端部から後方ほど上方に向かうスロープ部と、を有し、上記スロープ部が設けられる車両前後方向領域において、上記発熱体の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材を備え、上記スロープ部の上端部と上記壁部材の下端との間に、上記ファンからの風の流入を許容する空間部を備えるという構成にて実現した。
【実施例0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の下部構造を示し、図1は当該車両の下部構造を示す底面図、図2図1のA-A線矢視断面図、図3図1のB-B線に沿う要部の矢視断面図、図4図1のC-C線に沿う要部の矢視断面図、図5図1のD-D線に沿う車両左側の矢視断面図である。
【0022】
また、図6はアンダカバーを取外した状態で車両の下部構造を示す要部の底面図、図7は発熱体近傍におけるアンダカバー構造を示す上面斜視図である。
この発明は電気自動車にも適用することができるが、以下の実施例においては、車両の前部に搭載したエンジンで後輪を駆動する方式、すなわち、FR(front engine rear wheel drive)方式の車両に採用した構造について説明する。
【0023】
図2に示すように、エンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設けている。上述のダッシュロアパネル3の前面下部にはダッシュクロスメンバ4を接合固定すると共に、ダッシュロアパネル3の前面上部にはカウルレインフォースメント5を接合固定している。
上述のダッシュロアパネル3の前面とダッシュクロスメンバ4との間には車幅方向に延びるダッシュクロス閉断面6を形成している。
【0024】
上述のダッシュロアパネル3は、車両上下方向に延びる左右一対のヒンジピラー7,7間に横架されており、該ダッシュロアパネル3から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム8,8を設けている。これらの各フロントサイドフレーム8に対して車両上方で、かつ、車幅方向外側には車体強度部材であるエプロンレインフォースメント9が左右一対設けられている。
【0025】
そして、上側に位置するエプロンレインフォースメント9と下側に位置するフロントサイドフレーム8との間には、サスペンションハウジング10が設けられている。上述のエプロンレインフォースメント9の前端と、フロントサイドフレーム8の前端部との間は、連結部材11で上下方向に連結されている。
上述のエンジンルーム1の前端部には、エンジン空冷用の熱交換器ユニット12が配設されている。
【0026】
この熱交換器ユニット12は、熱源部材としてのラジエータ13と、ファンとしてのラジエータファン14と、ラジエータカウリング15とを備えている。上述のラジエータ13は走行風およびラジエータファン14の風を利用して、エンジン冷却水を空冷する熱交換器である。また、上述のラジエータファン14はラジエータ13の後方部に設けられており、当該ラジエータファン14は、後述する発熱体としてのDC-DCコンバータ42の車両前方において、熱源部材であるラジエータ13を冷却し、アンダカバー49~52とフロントフロアパネル16との間の空間53(図2参照)に後方向に向かう風を発生させるファンである。
【0027】
一方、上述のダッシュロアパネル3の下部後端には、フロアパネルとしてのフロントフロアパネル16を設けている。このフロントフロアパネル16はダッシュロアパネル3の下部後端から車両後方に延びており、当該フロントフロアパネル16は車室2の床面を構成している。このフロントフロアパネル16の車幅方向中央には、図1図5に示すように車室2側へ突出して、車両の前後方向に延びるトンネル部17が一体または一体的に形成されている。
【0028】
上述のトンネル部17の下端部とフロントフロアパネル16の車幅方向内端部との間のコーナ部には、図2図5に示すように、車両前後方向に延びるトンネルサイドフレーム18が設けられており、上記コーナ部とトンネルサイドフレーム18との間には、車両の前後方向に延びるトンネルサイド閉断面19が形成されている。
【0029】
図3図4に示すように、上述のフロントフロアパネル16の後端には上方に立上がる折曲げ部16aが一体形成されており、この折曲げ部16aにはキックアップ部材20が取付けられている。このキックアップ部材20は上下方向に延びるキックアップ部20aと、該キックアップ部20aの上端から後方に延びる後方延出部20bと、を備えている。
【0030】
上述のキックアップ部材20におけるキックアップ部20aの下端部と後方延出部20bとの間に跨がってクロスメンバ21(いわゆるNo.3クロスメンバ)が接合固定されており、キックアップ部材20とクロスメンバ21との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ閉断面22が形成されている。
【0031】
図2に示すように、フロントフロアパネル16の車両前後方向中間部には、前後方向に間隔を隔ててシート取付けブラケット23,24が設けられている。これらの各シート取付けブラケット23,24のうち車両後方側のシート取付けブラケット24と上述のキックアップ部材20におけるキックアップ部20aとの車両前後方向中間部には、フロントフロアパネル16上部に車幅方向に延びるクロスメンバ25(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)が接合固定されている。
【0032】
図3図4図5にも示すように、上述のクロスメンバ25とフロントフロアパネル16との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ閉断面26が形成されていて、下部車体剛性の向上を図るように構成している。
【0033】
図1図5に示すように、上述のフロントフロアパネル16の車幅方向左右両端部には、車両前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル27が設けられている。このサイドシル27は、図1に示すサイドシルアウタ28と、図2図5に示すサイドシルインナ29とを接合して、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えている。
【0034】
図5に示すように、サイドシルインナ29は、車幅方向内側に位置する内壁29aと、内壁29aの上下両端部から車幅方向外側に延びる上壁29bおよび下壁29cと、上壁29bの車幅方向外端から上方に延びる上側の接合フランジ部29dと、下壁29cの車幅方向外端から下方に延びる下側の接合フランジ部29eと、を備えている。なお、図3図4においては説明の便宜上、サイドシルインナ29の車両上下方向のエリアE29を矢印にて示している。また、図5に示すように、サイドシルインナ29の車両前後方向の中間部には節部材30が設けられている。
【0035】
図5に示すように、上述のクロスメンバ25の車幅方向内側上部とトンネル部17のスカート部とに跨がって、シート取付けブラケット31が設けられると共に、上述のクロスメンバ25の車幅方向外側上部とサイドシルインナ29の上壁29bとに跨がって、シート取付けブラケット32が設けられている。
【0036】
図3図5に示すように、フロントフロアパネル16の車幅方向外側下面と、サイドシルインナ29の内壁29aとに跨がって車両前後方向に延びるフロアフレーム33を設け、該フロアフレーム33とフロントフロアパネル16との間には、車両前後方向に延びるフロアフレーム閉断面34を形成している。
【0037】
上述のフロアフレーム33は、底壁33aと、底壁33aの車幅方向内外両端部から上方に立上がる内壁33bおよび外壁33cと、内壁33bの上端から車幅方向内方に延びる接合フランジ部33dと、を有して、断面略U字形状に形成されている。
図5に示すように、フロアフレーム33の接合フランジ部33dはフロントフロアパネル16の下面に接合固定されており、フロアフレーム33の外壁33cはサイドシルインナ29の内壁29aに接合固定されている。
【0038】
一方、図1に示すように、フロントサスペンションアームを介して車体に懸架された左右一対の前輪35,35を設けている。上記前輪35の上側過半部を離間囲繞するホイールハウスの前輪対向面には、前部マッドガード36と後部マッドガード37と、を設けている。
【0039】
図1に示すように、前部マッドガード36の下端部前側には、車両前方に突出する底面視略三角形状のフロントサイドアンダカバー38が設けられている。
なお、図中、39はリヤフロアパネル、40は後輪である。
【0040】
図5に示すように、車両のフロントフロアパネル16の下方には発熱体支持ブラケット41を介して発熱体としてのDC-DCコンバータ(直流電圧変換器)42を設けている。
【0041】
図5図6に示すように、上述の発熱体支持ブラケット41は、車幅方向内側に位置するトンネルサイドフレーム18のブラケット取付け部18aと、車幅方向外側に位置するフロアフレーム33の底壁33aとの間にわたる車幅方向の長さを有している。そして、当該発熱体支持ブラケット41は、その車幅方向内外両端部に車体に対する取付け部41a,41bを備えている。
【0042】
図5図6に示すように、発熱体支持ブラケット41の車幅方向内側の取付け部41aは、ボルト43、ナット等の締結部材を用いてトンネルサイドフレーム18のブラケット取付け部18aに固定されている。発熱体支持ブラケット41の車幅方向外側の取付け部41bは、ボルト44、ナット45等の締結部材を用いてフロアフレーム33の底壁33aに固定されている。
【0043】
図2図3図4に示すように、上述の発熱体支持ブラケット41はフロントフロアパネル16の下部において、クロスメンバ25とキックアップ部材20との間に位置するように設けられている。
発熱体としてのDC-DCコンバータ42は、ボルト、ナット等による複数組の締結部材46を用いて、上記発熱体支持ブラケット41のブラケット本体41cに取付けられている。
【0044】
ところで、図1図2に示すように、車体の下方には複数のアンダカバー47~52が設けられている。
アンダカバー47は、車両前後方向において熱交換器ユニット12の直下方からエンジンルーム1の前後方向中間部下方までを覆い、車幅方向においては、カバー前部がフロントサイドアンダカバー38,38間を覆い、カバー後部がフロントサイドフレーム8,8間を覆うフロントアンダカバーである。
【0045】
アンダカバー48は、車両前後方向においてエンジンルーム1の前後方向中間部下方からダッシュロアパネル3の下方部までを覆い、車幅方向においては、カバー前部がフロントサイドフレーム8,8間を覆い、カバー後部が後部マッドガード37,37間を覆うインタミディエートアンダカバーである。
【0046】
アンダカバー49は、車両前後方向においてダッシュロアパネル3の下方部からフロントフロアパネル16の前後方向中間部下方までを覆い、車幅方向においては、トンネル部17の車幅方向中間部下方から車両左側のサイドシルインナ29下方までを覆う第1アンダカバーである。
【0047】
アンダカバー50は、車両前後方向においてフロントフロアパネル16の前後方向中間部下方からリヤフロアパネル39の後方部下方までを覆い、車幅方向においては、トンネルサイドフレーム18の下方から車両左側のサイドシルインナ29下方までを覆う第2アンダカバーである。
【0048】
アンダカバー51は、車両前後方向においてダッシュロアパネル3の下方部からフロントフロアパネル16の前後方向中間部下方までを覆い、車幅方向においては、トンネル部17の車幅方向中間部下方から車両右側のサイドシルインナ29下方までを覆う第3アンダカバーである。
【0049】
アンダカバー52は、車両前後方向においてフロントフロアパネル16の前後方向中間部下方からリヤフロアパネル39の後方部下方までを覆い、車幅方向においては、トンネルサイドフレーム18の下方から車両右側のサイドシルインナ29下方までを覆う第4アンダカバーである。
【0050】
図1図2に示すように、上述の各アンダカバー47~52の下面は略フラットに形成されると共に、これらの各アンダカバー47~52は車体に固定されている。
上記各アンダカバー47~52のうちの第2アンダカバー50は、図2に示すように、発熱体であるDC-DCコンバータ42の下方に設けられている。また、上述の第1乃至第4の各アンダカバー49~52とフロントフロアパネル16との間には、ラジエータファン14および車両走行風による風を後方向に流すための空間53が形成されている。
【0051】
すなわち、この実施例においては、DC-DCコンバータ42の車両前方において、ラジエータ13を冷却し上述のアンダカバー49~52とフロントフロアパネル16との間の空間53に後方向に向かう風を発生させるファンとしてのラジエータファン14を備えている。
上述の第1乃至第4の各アンダカバー49~52のうちの第2アンダカバー50は、図1図7に示すように構成している。
【0052】
つまり、該第2アンダカバー50は、その下面が略フラット形状に形成されたアンダカバー本体50aと、このアンダカバー本体50aの車幅方向外側端部から上方に立上がって車両前後方向に延びる縦壁部50bと、この縦壁部50bの上端部から車幅方向外方に延びる上壁部50cと、を備えている。なお、図3図4においては説明の便宜上、第2アンダカバー50の車両上下方向のエリアE50を矢印にて示している。
【0053】
また、上述の第2アンダカバー50のアンダカバー本体50aには、当該アンダカバー本体50aから上方に立上がって任意方向に延びる複数のリブ50dが一体形成されており、第2アンダカバー50の剛性向上を図るように構成している。
さらに、図1図7に示すように、上述の第2アンダカバー50のアンダカバー本体50aにおける前部、かつ、トンネル部17寄りの位置には開口部50eが開口形成されている。
【0054】
図4に示すように、上記第2アンダカバー50には、車両走行時に、当該第2アンダカバー50下の走行風、すなわち、床下走行風e1(図8参照)を発熱体であるDC-DCコンバータ42よりも車両前方位置から導入する穴部54が開口形成されている。図4においては説明の便宜上、穴部54の車両前後方向のエリアE54を矢印にて示している。
【0055】
また、上述の第2アンダカバー50には、上記穴部54の前端部54aから後方ほど上方に向かうスロープ部55を設けている。この実施例では、当該スロープ部55の傾斜角度を25度に設定しているが、傾斜角度の数値は、これに限定されるものではない。
【0056】
さらに、上述のスロープ部55が設けられる車両前後方向領域(つまり、スロープ部55の前後方向の範囲内)において、DC-DCコンバータ42の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材56を備えている。
【0057】
この実施例においては、上記壁部材56は、発熱体支持ブラケット41のブラケット本体41cの前端から前方ほど下方に向かうように傾斜状に形成されている。つまり、当該壁部材56は発熱体支持ブラケット41と一体形成されている。
【0058】
ここで、上述の壁部材56は発熱体支持ブラケット41のブラケット本体41cに対して約60度の傾斜角度を有して前低後高状に形成されているが、この傾斜角度の数値に限定されるものではない。
図5に示すように、上述の壁部材56は車両正面視においてDC-DCコンバータ42の上部における車幅方向略全体とオーバラップするように設けられている。
【0059】
さらにまた、図4に示すように、上述のスロープ部55の傾斜上端部と壁部材56の傾斜下端部との間には、ラジエータファン14からの風の流入を許容する空間部57を備えている。
【0060】
要するに、上述の第2アンダカバー50は、車両走行時、当該第2アンダカバー50下の走行風を上記DC-DCコンバータ42よりも前方位置から導入する穴部54と、上記穴部54の前端部54aから後方ほど上方に向かうスロープ部55と、を有し、上記スロープ部55が設けられる車両前後方向領域において、上記DC-DCコンバータ42の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材56を備え、上記スロープ部55の上端部と上記壁部材56の下端との間に、上記ラジエータファン14からの風の流入を許容する空間部57を備えたものである。
【0061】
これにより、図8に示すように、車両の通常走行時においては、ラジエータファン14からの風(熱風)e2がDC-DCコンバータ42上部に導風されることを、上述の壁部材56にて阻止し、床下走行風e1を上記第2アンダカバー50の穴部54からスロープ部55下面に沿ってDC-DCコンバータ42の上部まで誘導することで、DC-DCコンバータ42の下面は勿論、当該DC-DCコンバータ42の上面まで冷却するように構成している。
【0062】
一方で、車両の停止時(この実施例では、エンジンを無負荷で空転させている状態であるアイドリング時)においては、上述の空間部57から流入するラジエータファン14からの風がDC-DCコンバータ42に当たることで、床下走行風e1がなくても当該DC-DCコンバータ42を冷却し得るように構成している。
【0063】
また、図4に示すように、上述の穴部54の後端部54bから上方に延びる開口抑制部としての遮水板部58を備えている。この実施例では、当該遮水板部58は車両前方ほど上方に傾斜するように形成されている。
【0064】
詳しくは、上記遮水板部58は、第2アンダカバー50のアンダカバー本体50aに対して約25度の傾斜角を有して前高後低状に傾斜している。また、当該遮水板部58の前端は、スロープ部55の後端位置よりも低い位置に形成されており、スロープ部55の後端と遮水板部58の前端との間には、床下走行風導入孔59が開口形成されている。上述の遮水板部58の傾斜角度の数値は、例示した25度に限定されるものではない。
【0065】
このように、上述の穴部54の後端部54bから上方に延びる開口抑制部としての遮水板部58を設けることで、図1に示す前輪35により路面から巻き上げられる水や、泥水に含まれる水分e3(図8参照)が上述の穴部54からDC-DCコンバータ42側へ侵入するのを、遮水板部58にて抑制し、DC-DCコンバータ42の被水を抑制するように構成している。
【0066】
また、上述の遮水板部58を、車両前方ほど上方に傾斜させることで、水や泥水の侵入経路を遮蔽するように構成している。
さらに、図4に示すように、上述のスロープ部55の傾斜後端と、上述の遮水板部58の傾斜前端とは、車両前後方向において略同じ位置に配設されている。これにより、上記穴部54の開口面積を必要最小限にしつつ、DC-DCコンバータ42に対する被水を抑制するように構成している。
【0067】
さらにまた、図3図7に示すように、上述の穴部54の車幅方向左右両サイドにおいて、上記スロープ部55と上記遮水板部58とを連結する連結壁部60,61を備えている。
【0068】
スロープ部55側の連結壁部60は車両側面視で直角三角形状に形成されていて、その底辺は穴部54前側口縁のアンダカバー本体50aに連結されており、斜辺はスロープ部55の車幅方向端部に連結されており、対辺は遮水板部58側の連結壁部61における対辺に連結されている。
【0069】
遮水板部58側の連結壁部61は車両側面視で直角三角形状に形成されていて、その底辺は穴部54後側口縁のアンダカバー本体50aに連結されており、斜辺は遮水板部58の車幅方向端部に連結されており、対辺はスロープ部55側の連結壁部60における対辺に連結されている。
【0070】
これにより、上述の穴部54の車幅方向両サイドから水や泥水が侵入しようとするのを、上記連結壁部60,61にて遮断すると共に、床下走行風e1を左右の連結壁部60,61にて案内することで、DC-DCコンバータ42をより一層良好に冷却すべく構成している。
【0071】
加えて、図5図7に示すように、上述のスロープ部55は車両平面視で車両後方ほど末広がり形状に形成されている。すなわち、当該スロープ部55はその前端部の車幅方向の寸法が相対的に小さく、後端側ほど車幅方向の寸法が相対的に大きくなるように形成されている。
【0072】
これにより、上述の穴部54を設ける面積を最小限にし、アンダカバー機能を阻害しない構造でありながら、発熱体としてのDC-DCコンバータ42をより効果的に冷却するための導風形状を確保するように構成している。
【0073】
さらには、図5図7に示すように、上述の穴部54の側方で、かつ、上記DC-DCコンバータ42の前側における車幅方向両側には、壁部としての縦壁62が設けられている。この実施例においては、図7に示すように、床下走行風導入孔59の車幅方向左右両側において前側の連結壁部60と後側の連結壁部61との境界部から車幅方向の内外に延びるように上記縦壁62,62が左右一対設けられている。
上述の縦壁62は上記スロープ部55の設けられる前後方向領域に設けられている。
【0074】
これにより、車両の通常走行時において、ラジエータファン14からの風(熱風)がDC-DCコンバータ42に導風されるのを、上述の縦壁62により抑制し、穴部54からスロープ部55下面に沿って誘導される床下走行風(冷却風)e1(図8参照)を上記DC-DCコンバータ42に集中させるように構成している。
【0075】
図8は発熱体としてのDC-DCコンバータ42に対する床下走行風e1およびラジエータファン14からの風(熱風)e2の流れを示す作用説明図である。
上記のように構成した車両の下部構造の作用を、図8を参照して以下に説明する。
【0076】
車両の通常走行時においては、ラジエータファン14からの風(熱風)e2が空間53を介して車両前方から車両後方に向けて流れ、この風(熱風)e2がDC-DCコンバータ42の上部に導風されようとするのを、発熱体支持ブラケット41と一体の壁部材56にて阻止する。
【0077】
したがって、ラジエータファン14からの風(熱風)e2は壁部材56に沿って上方かつ後方に流れた後に、発熱体支持ブラケット41の上方側を車両後方に向けて流れることになる。
特に、自車両の後方にトレーラヒッチを介してボート等をトーイング(towing)する場合には、走行時のエンジン負荷がさらに大きくなり、ラジエータファン14から発生する風が熱風となるので、上記壁部材56により熱風e2を発熱体支持ブラケット41の上方に逸らすことで、DC-DCコンバータ42に対する熱影響の低減を図ることができる。
【0078】
上述の通常の車両走行時には床下走行風e1が発生するので、この床下走行風e1を第2アンダカバー50の穴部54からスロープ部55下面、および床下走行風導入孔59を介して、DC-DCコンバータ42の配置空間に導入する。
【0079】
床下走行風導入孔59からDC-DCコンバータ42の配置空間に導入された床下走行風e1は、図8に矢印で示すように、DC-DCコンバータ42上部を流れる風と、DC-DCコンバータ42下部を流れる風とに分流され、これにより、DC-DCコンバータ42をその下面から上面にかけて冷却することができる。
【0080】
一方で、車両の停止時には、床下走行風e1は発生しない。このような車両の停止時においては、ラジエータファン14からの風がアンダカバー49~52とフロントフロアパネル16との間の空間53、並びに、スロープ部55の上端部と壁部材56の下端との間の空間部57を介してDC-DCコンバータ42に当たり、当該DC-DCコンバータ42を冷却する。
【0081】
上述の車両走行時において、前輪35が路面からの水や泥水に含まれる水分e3を巻き上げた場合には、斯る水や水分e3は床下走行風e1と共に第2アンダカバー50の下面に沿って後方へ流れるが、穴部54の形成範囲から後方かつ上方へ流れる水や水分e3は、図8に矢印で示すように、一旦、遮水板部58に当たった後に、この遮水板部58で下方へ向けて跳ね返る。よって、DC-DCコンバータ42に対する被水を抑制することができる。
【0082】
なお、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0083】
以上のように、上記実施例に係る車両の下部構造は、車両のフロアパネル(フロントフロアパネル16)下方に設けられる発熱体(DC-DCコンバータ42)と、車体に固定され上記発熱体(DC-DCコンバータ42)の下方に設けられるアンダカバー(第2アンダカバー50)と、上記発熱体(DC-DCコンバータ42)の前方において、熱源部材(ラジエータ13)を冷却し上記アンダカバー(第2アンダカバー50)と上記フロアパネル(フロントフロアパネル16)との間の空間53に後方向に向かう風を発生させるファン(ラジエータファン14)と、を備える車両の下部構造であって、上記アンダカバー(第2アンダカバー50)は、車両走行時、当該アンダカバー(第2アンダカバー50)下の走行風を上記発熱体(DC-DCコンバータ42)よりも前方位置から導入する穴部54と、上記穴部54の前端部54aから後方ほど上方に向かうスロープ部55と、を有し、上記スロープ部55が設けられる車両前後方向領域において、上記発熱体(DC-DCコンバータ42)の上部と車両正面視で重複して設けられる壁部材56を備え、上記スロープ部55の上端部と上記壁部材56の下端との間に、上記ファン(ラジエータファン14)からの風の流入を許容する空間部57を備えたことを特徴とする(図2図4図8参照)。
【0084】
このような車両の下部構造によれば、車両の通常走行時においては、ファン(ラジエータファン14)からの風(熱風)e2が発熱体(DC-DCコンバータ42)上部に導風されることを、上記壁部材56にて阻止し、床下走行風e1を穴部54からスロープ部55下面に沿って発熱体(DC-DCコンバータ42)の上部まで誘導することで、発熱体(DC-DCコンバータ42)の下面は勿論のこと、発熱体(DC-DCコンバータ42)の上面まで冷却することができる。
【0085】
一方で、車両の停止時においては、上記空間部57から流入するファン(ラジエータファン14)からの風が発熱体(DC-DCコンバータ42)に当たるので、走行風がなくても当該発熱体(DC-DCコンバータ42)を冷却することができる。
なお、上記スロープ部55により、当該スロープ部55下面に沿って流れる空気の粘性により、床下走行風e1の流れを乱すことなく、外気を引き込むことができる。
【0086】
また、かかる車両の下部構造においては、上記穴部54の後端部54bから上方に延びる開口抑制部(遮水板部58)を備えている(図4参照)。
このような車両の下部構造によれば、車輪(前輪35)により路面から巻き上げられる水や、泥水に含まれる水分が上記穴部54から侵入するのを、上記開口抑制部(遮水板部58)にて抑制し、発熱体(DC-DCコンバータ42)の被水を抑制することができる。
【0087】
さらに、かかる車両の下部構造においては、上記スロープ部55の後端と上記開口抑制部(遮水板部58)の前端とは、車両前後方向において略同じ位置に配設されている(図4参照)。
このような車両の下部構造によれば、上述の穴部54の開口面積を必要最小限にしつつ、上記発熱体(DC-DCコンバータ42)に対する被水を抑制することができる。
【0088】
さらにまた、かかる車両の下部構造においては、上記穴部54の車幅方向両サイドにおいて、上記スロープ部55と上記開口抑制部(遮水板部58)とを連結する連結壁部60,61を備えている(図3図7参照)。
このような車両の下部構造によれば、上記穴部54の車幅方向両サイドから水や泥水が侵入しようとするのを、上記連結壁部60,61にて遮断することができると共に、床下走行風e1を上記連結壁部60,61にて案内するので、発熱体(DC-DCコンバータ42)をより一層良好に冷却することができる。
【0089】
加えて、かかる車両の下部構造においては、上記開口抑制部(遮水板部58)は、車両前方ほど上方に傾斜している(図4参照)。
このような車両の下部構造によれば、上述の傾斜構造の開口抑制部(遮水板部58)にて、水や泥水の侵入経路を遮蔽することができる。
【0090】
また、かかる車両の下部構造においては、上記スロープ部55は平面視で車両後方ほど末広がり形状に形成されている(図5図7参照)。
このような車両の下部構造によれば、上記穴部54を設ける面積を最小限にし、アンダカバー50の機能を阻害しない構造でありながら、発熱体(DC-DCコンバータ42)をより効果的に冷却するための導風形状を確保することができる。
【0091】
さらに、かかる車両の下部構造においては、上記穴部54の側方で、かつ、上記発熱体(DC-DCコンバータ42)の車幅方向両側には壁部(縦壁62)が設けられ、上記壁部は上記スロープ部55の設けられる前後方向領域に設けられている(図7参照)。
【0092】
このような車両の下部構造によれば、車両の通常走行時において、ファン(ラジエータファン14)からの風(熱風)e2が発熱体(DC-DCコンバータ42)に導風されるのを、上記壁部(縦壁62)にて抑制し、穴部54からスロープ部55下面に沿って誘導される床下走行風(冷却風)e1を発熱体(DC-DCコンバータ42)に集中させることができる。
【0093】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の熱源部材は、実施例のラジエータ13に対応し、
以下同様に、
ファンは、ラジエータファン14に対応し、
フロアパネルは、フロントフロアパネル16に対応し、
発熱体は、DC-DCコンバータ42に対応し、
アンダカバーは、第2アンダカバー50に対応し、
開口抑制部は、遮水板部58に対応し、
壁部は、縦壁62に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0094】
例えば、上記実施例においては発熱体として電気制御部品であるDC-DCコンバータ42を例示したが、発熱体は駆動系部品としてのディファレンシャルであってもよい。
【0095】
また、上記実施例においては、熱源部材として内燃機関の空冷要素であるラジエータ13を例示したが、本発明を電気自動車に採用する場合には、熱源部材はモータであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明は、車両のフロアパネル下方に設けられる発熱体と、車体に固定され上記発熱体の下方に設けられるアンダカバーと、上記発熱体の前方において、熱源部材を冷却し上記アンダカバーと上記フロアパネルとの間の空間に後方向に向かう風を発生させるファンと、を備える車両の下部構造について有用である。
【符号の説明】
【0097】
13…ラジエータ(熱源部材)
14…ラジエータファン(ファン)
16…フロントフロアパネル(フロアパネル)
42…DC-DCコンバータ(発熱体)
50…第2アンダカバー(アンダカバー)
53…空間
54…穴部
55…スロープ部
56…壁部材
57…空間部
58…遮水板部(開口抑制部)
60,61…連結壁部
62…縦壁(壁部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8