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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023104
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/06 20060101AFI20230209BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20230209BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H01F17/06 D
H01F27/28 152
H01F27/32 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128320
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝亮
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5E043BA03
5E044CA08
5E070AA01
5E070BA18
5E070CA15
5E070CA16
5E070CC04
(57)【要約】
【課題】インダクタンスを向上させることが可能な構造のコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品100は、コア成形体10と、第1実装端子部51と、第1電流経路42と、第2実装端子部55と、第2電流経路43と、第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42bである分岐部44から互いに分岐している第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36と、を有し、第1戻り電流経路31は、分岐部44に第1一端部32を有し、第1他端部33に向けて延びており、当該第1他端部33において、第2電流経路43における第1実装端子部51側の端部43aである合流部45に対して電気的に繋がっており、第2戻り電流経路36は、第2他端部38に向けて延びており、当該第2他端部38において、合流部45に対して電気的に繋がっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体材料によって形成されているコア成形体と、
第1実装端子部と、
前記第1実装端子部に繋がっている第1電流経路と、
第2実装端子部と、
前記第2実装端子部に対して繋がっているとともに前記第1電流経路に対して並列に延在している第2電流経路と、
前記第1電流経路における前記第1実装端子部側とは反対側の端部である分岐部から互いに分岐している第1戻り電流経路及び第2戻り電流経路と、
を有し、
前記第1戻り電流経路は、前記分岐部に第1一端部を有し、当該第1一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第1他端部に向けて延びており、当該第1他端部において、前記第2電流経路における前記第1実装端子部側の端部である合流部に対して電気的に繋がっており、
前記第2戻り電流経路は、前記分岐部に第2一端部を有し、当該第2一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第2他端部に向けて延びており、当該第2他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっているコイル部品。
【請求項2】
前記第1戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第1並列延在部を含み、
前記第2戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第2並列延在部を含み、
前記第1電流経路と前記第2電流経路との距離を第1距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第1並列延在部の近くに位置する方と、前記第1並列延在部と、の距離を第2距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第2並列延在部の近くに位置する方と、前記第2並列延在部と、の距離を第3距離とすると、
前記第2距離及び前記第3距離の双方が前記第1距離よりも大きい請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1電流経路と前記第2電流経路とは絶縁膜を介して相互に隣接している請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1実装端子部と前記第1電流経路とを有する第1導電部材と、
前記第2実装端子部と前記第2電流経路とを有する第2導電部材と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1戻り電流経路及び前記第2戻り電流経路は、前記第1導電部材及び前記第2導電部材とは別の導電部材により構成されている請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記別の導電部材として、前記第1戻り電流経路と前記第2戻り電流経路とを有する第3導電部材を備える請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第3導電部材は、リング状に形成されている導電リング部材である請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1電流経路と前記第2電流経路とは互いに横並びに配置されており、
前記導電リング部材は前記第1電流経路及び前記第2電流経路の上に重ねて配置されている請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記別の導電部材として、前記第1戻り電流経路を有する第3導電部材と、前記第2戻り電流経路を有する第4導電部材と、を備える請求項5に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1導電部材及び前記第2導電部材の各々は平角線により構成されている請求項4から9のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記分岐部から互いに分岐している第3戻り電流経路及び第4戻り電流経路を更に有し、
前記第3戻り電流経路は、前記分岐部に第3一端部を有し、当該第3一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第3他端部に向けて延びており、当該第3他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっており、
前記第4戻り電流経路は、前記分岐部に第4一端部を有し、当該第4一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第4他端部に向けて延びており、当該第4他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっている請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第3戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第3並列延在部を含み、
前記第4戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第4並列延在部を含み、
前記第1電流経路と前記第2電流経路との距離を第1距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第3並列延在部の近くに位置する方と、前記第3並列延在部と、の距離を第4距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第4並列延在部の近くに位置する方と、前記第4並列延在部と、の距離を第5距離とすると、
前記第4距離及び前記第5距離の双方が前記第1距離よりも大きい請求項11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記コア成形体は、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂とを含む材料を圧縮成形することにより形成された複合磁性体であり、
前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路を内包している請求項1から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記コア成形体は、相互に組み合わされた第1成形体及び第2成形体を含み、
前記第1成形体と前記第2成形体との間に、前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路が配置されている請求項1から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記コア成形体は、相互に組み合わされた第1成形体及び第2成形体を含み、
前記第1成形体と前記第2成形体との間に、前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路が配置されており、
前記第2成形体における前記第1成形体側の面には、前記第1成形体側に向けて凸の凸部が形成されており、
前記導電リング部材の中央の空隙部に前記凸部が挿入されている請求項7又は8に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記第1成形体における前記第2成形体側の面には溝部が形成されており、前記溝部に前記第1電流経路及び前記第2電流経路が配置されている請求項14又は15に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1のコイル部品は、コア成形体(同文献には、磁性コアと記載)と、端子部と、端子部と接続されている電流経路(同文献には、導体部と記載)と、を備えている。このうち電流経路は磁性コアに挿通されている挿通部を含み、挿通部は、第1部分と、第1部分の上に重ねて配置されている第2部分と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-198395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の検討によれば、特許文献1のコイル部品は、インダクタンスを向上させる観点で、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、インダクタンスを向上させることが可能な構造のコイル部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁性体材料によって形成されているコア成形体と、
第1実装端子部と、
前記第1実装端子部に繋がっている第1電流経路と、
第2実装端子部と、
前記第2実装端子部に対して繋がっているとともに前記第1電流経路に対して並列に延在している第2電流経路と、
前記第1電流経路における前記第1実装端子部側とは反対側の端部である分岐部から互いに分岐している第1戻り電流経路及び第2戻り電流経路と、
を有し、
前記第1戻り電流経路は、前記分岐部に第1一端部を有し、当該第1一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第1他端部に向けて延びており、当該第1他端部において、前記第2電流経路における前記第1実装端子部側の端部である合流部に対して電気的に繋がっており、
前記第2戻り電流経路は、前記分岐部に第2一端部を有し、当該第2一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第2他端部に向けて延びており、当該第2他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっているコイル部品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インダクタンスを向上させることが可能な構造のコイル部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図2】第1実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係るコイル部品の正面図である。
図4】第1実施形態に係るコイル部品の側面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は第1実施形態に係るコイル部品の平面図であり、このうち図5(b)においてはコア成形体の図示を省略している。
図6図6(a)は図5(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、図6(b)は図6(a)に示すA部の部分拡大図である。
図7図7(a)は図5(a)に示すB-B線に沿った断面図であり、図7(b)は図7(a)に示すA部の部分拡大図である。
図8】第2実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)は第2実施形態に係るコイル部品の平面図であり、このうち図9(b)においてはコア成形体の図示を省略している。
図10】第2実施形態に係るコイル部品の側面図である。
図11】第3実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図12】第3実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
図13図13(a)及び図13(b)は第3実施形態に係るコイル部品の平面図であり、このうち図13(b)においてはコア成形体の図示を省略している。
図14図14(a)は第3実施形態における第1導電部材の平面図であり、図14(b)は第3実施形態における第1導電部材の側面図であり、図14(c)は第3実施形態における第2導電部材の平面図であり、図14(d)は第3実施形態における第2導電部材の側面図である。
図15】第4実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図16】第4実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
図17】第5実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図18図18(a)及び図18(b)は第5実施形態に係るコイル部品の平面図であり、このうち図18(b)においてはコア成形体の図示を省略している。
図19】第6実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
図20図20(a)及び図20(b)は第6実施形態に係るコイル部品の平面図であり、このうち図20(b)においてはコア成形体の図示を省略している。
図21】第6実施形態に係るコイル部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1から図21を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図7(b)を用いて第1実施形態を説明する。
図1から図7(b)のいずれかに示すように、本実施形態に係るコイル部品100は、磁性体材料によって形成されているコア成形体10(図1等)と、第1実装端子部51(図4等)と、第1実装端子部51に繋がっている第1電流経路42(図5(a)及び図5(b)等)と、第2実装端子部55と、第2実装端子部55(図4等)に対して繋がっているとともに第1電流経路42に対して並列に延在している第2電流経路43(図5(a)及び図5(b)等)と、第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部43bである分岐部44から互いに分岐している第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36(図5(a)及び図5(b)等)と、を有する。
図1図5(a)及び図5(b)等に示すように、第1戻り電流経路31は、分岐部44に第1一端部32を有する。第1戻り電流経路31は、第1一端部32から第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部42aの近傍に位置する第1他端部33に向けて延びている。第1戻り電流経路31は、第1他端部33において、第2電流経路43における第1実装端子部51側の端部43aである合流部45に対して電気的に繋がっている。
第2戻り電流経路36は、分岐部44に第2一端部37を有する。第2戻り電流経路36は、第2一端部37から第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部42aの近傍に位置する第2他端部38に向けて延びている。第2戻り電流経路36は、第2他端部38において、合流部45に対して電気的に繋がっている。
なお、ここで、「並列」とは、必ずしも平行でなくともよく、第1電流経路42と第2電流経路43とは、互いに交差する方向に延在していてもよい。この場合、例えば、第1電流経路42と第2電流経路43とがなす角度は45度未満であるものとする。また、第1電流経路42と第2電流経路43とは、互いに同一平面上に配置されていてもよいし、ねじれの関係でもよい。第1電流経路42と第2電流経路43とがねじれの関係にある場合は、あらゆる方向から視たときに、第1電流経路42と第2電流経路43とがなす角度の最大値が45度未満である。
【0011】
本実施形態によれば、コイル部品100は、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々と電気的に繋がっている第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36を備えている。そして、第1戻り電流経路31は、第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42b(分岐部44)から分岐しており、第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部42aの近傍(第1他端部33)において、合流部45に対して電気的に繋がっている。同様に、第2戻り電流経路36は、第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42b(分岐部44)から分岐しており、第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部42aの近傍(第2他端部38)において、合流部45に対して電気的に繋がっている。
これにより、コイル部品100が第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36を備えていない場合と比較して、コイル部品100の電流経路の巻き数をより良好に確保することができる。より詳細には、第1実装端子部51から印加された電流は、第1電流経路42を通って分岐部44側(第1実装端子部51とは反対側)に向けて流れ、当該分岐部44において第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36にそれぞれ分岐する。そして、第1戻り電流経路31に分岐した電流と第2戻り電流経路36に分岐した電流は、それぞれ合流部45側(第1実装端子部51側)に向けて流れ、当該合流部45において互いに合流する。合流した電流は、第2電流経路43を通って、第2電流経路43における第1実装端子部51側とは反対側の端部43b(第2実装端子部55側)に向けて流れる。すなわち、第1実装端子部51から印加された電流が、第1実装端子部51側とは反対側に向けて流れた後に第1実装端子部51側に流れ、再び第1実装端子部51側とは反対側に向けて流れるようにコイル部品100は構成されている。このため、コイル部品100の電流経路の巻き数を十分(例えば、1ターンを超える)に確保することができるので、コイル部品100のインダクタンスを向上させることができる。
また、第1実装端子部51に印加された電流は、第1電流経路42において、第1実装端子部51側(端部42a側)から当該第1実装端子部51とは反対側(端部42b側)に向けて流れる。同様に、合流部45から第2電流経路43に流入した電流も、第1実装端子部51側(端部43a側)から当該第1実装端子部51とは反対側(端部43b側)に向けて流れる。つまり、互いに並列に延在している第1電流経路42及び第2電流経路43の各々を流れる電流の向きが略同一方向となるので、第1電流経路42の磁束ループと第2電流経路43の磁束ループが高め合う結果、第1電流経路42及び第2電流経路43の周囲に大きな磁束ループが形成されることとなる。よって、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、インダクタンスを向上させることが可能な構造のコイル部品100を実現することができる。
また、コイル用の巻き線を用いることなく、コイル部品100の電流経路の巻き数を十分に確保することができるので、コイル部品100の製造容易性を向上させることができる。
【0012】
以下の説明では、上下方向をZ方向と称する。下(下方)は、第1実装端子部51及び第2実装端子部55が配置されている側、すなわちコイル部品100の実装面側である。ただし、コイル部品100の製造時や使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係に限らない。
第1電流経路42は、Z方向に対して直交する方向に延在している。第1電流経路42の延在方向をY方向と称し、Y方向における一方を前(前方)、他方を後(後方)と称する。
また、Y方向とZ方向との双方に対して直交する方向をX方向と称し、X方向における一方を左(左方)、他方を右(右方)と称する。
これらの方向については、各図に示している。
更に、Y方向において、第1電流経路42の中心側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。同様に、X方向において、第1電流経路42の中心側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。
また、Z方向に対して直交する向き(方向)を水平(水平方向)と称し、Z方向に沿う向き(方向)を鉛直(鉛直方向)と称する。
また、コイル部品100の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、コイル部品100の各部が相互に組み付けられてコイル部品100が作製された状態での位置関係を説明したものである。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態の場合、コア成形体10は、例えば、略立方体形状に形成されている。より詳細には、コア成形体10は、前方を向いている前面12と、後方を向いている背面13と、それぞれ左方及び右方を向いている左右一対の側面14と、上方を向いている上面15と、下方を向いている下面16と、を有する。
コア成形体10は、例えば、左右対称で且つ前後対称な形状に形成されている。
また、図4に示すように、下面16には、例えば、前後一対の凹部17が形成されている。前後一対の凹部17は、下面16から上方に向けて僅かに窪んでいる。前後一対の凹部17の各々の底面は、例えば、平坦に形成されており、水平に配置されている。
【0014】
コア成形体10は、例えば、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂とを含む材料を圧縮成形することにより形成された複合磁性体であり、この複合磁性体によってコア成形体10の全体が一体成形されている。
このような構成によれば、コア成形体10の高い透磁率を実現することができるので、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
【0015】
本実施形態の場合、図1図2図5(a)及び図5(b)に示すように、コイル部品100は、例えば、第1実装端子部51と第1電流経路42とを有する第2導電部材72と、第2実装端子部55と第2電流経路43とを有する第2導電部材72と、を備えている。換言すると、第1実装端子部51と第1電流経路42とは、それぞれ第1導電部材71の一部分ずつによって構成されており、第2実装端子部55と第2電流経路43とは、第2導電部材72の一部分ずつによって構成されている。
これにより、コイル部品100の製造工程において、第1実装端子部51と第1電流経路42とを互いに接合(例えば、抵抗溶接、レーザー溶接など)する工程と、第2実装端子部55と第2電流経路43とを互いに接合(同上)する工程と、をそれぞれ省略することができる。よって、コイル部品100の製造容易性をより向上させることができる。
【0016】
より詳細には、図2及び図4に示すように、第1導電部材71は、第1実装端子部51及び第1電流経路42に加えて、第1実装端子部51と第1電流経路42との間に介在している第1外面配置部46を更に有する。すなわち、第1実装端子部51は、第1外面配置部46を介して第1電流経路42(第1部分71a)に対して接続されている。
同様に、第2導電部材72は、第2実装端子部55及び第2電流経路43に加えて、第2実装端子部55と第2電流経路43との間に介在している第2外面配置部47を更に有する。すなわち、第2実装端子部55は、例えば、第2外面配置部47を介して第2電流経路43(第1部分72a)に対して接続されている。
【0017】
本実施形態の場合、第1導電部材71と第2導電部材72とは、互いに同一形状及び同一寸法に形成されており、互いに前後及び左右反転した姿勢で配置されている。
そして、第1導電部材71は、例えば、前後方向に延在している平板状に形成されている第1部分71aと、第1部分71aと接続されている板状部であり、その板面が前後方向を向いている鉛直部と、当該鉛直部と接続されている板状部であり、その板面が上下方向を向いている水平部と、を有する。同様に、第2導電部材72は、例えば、前後方向に延在している平板状に形成されている第1部分72aと、鉛直部と、水平部と、を有する。
本実施形態の場合、一例として、第1導電部材71の第1部分71aが第1電流経路42を構成しており、第1導電部材71の鉛直部が第1外面配置部46を構成しており、第1導電部材71の水平部が第1実装端子部51を構成している。同様に、一例として、第2導電部材72の第1部分72aが第2電流経路43を構成しており、第2導電部材72の鉛直部が第2外面配置部47を構成しており、第2導電部材72の水平部が第2実装端子部55を構成している。
【0018】
第1電流経路42(第1部分71a)と第2電流経路43(第1部分72a)とは、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。第1電流経路42及び第2電流経路43の各々は、平面視において、前後方向に長尺な略矩形状に形成されている。第1電流経路42及び第2電流経路43は、平坦に形成されており、水平に配置されている。
第1実装端子部51と第2実装端子部55とは、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。第1実装端子部51及び第2実装端子部55の各々は、平面視において、左右方向に長尺な略矩形状に形成されている。第1実装端子部51及び第2実装端子部55の各々は、平坦に形成されており、水平に配置されている。
第1外面配置部46と第2外面配置部47とは、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。第1外面配置部46及び第2外面配置部47の各々は、それぞれ平坦に形成されており、鉛直に配置されている。
図3に示すように、第2外面配置部47の上端部の左右幅寸法は、第2電流経路43の左右幅寸法と同等の寸法に設定されており、第2外面配置部47の下端部は、第2電流経路43の左右幅寸法よりも大きい寸法に設定されている。したがって、第2外面配置部47の上端部の左右幅寸法は、第2外面配置部47の下端部の左右幅寸法よりも小さい。図3に示すように、上下方向における第2外面配置部47の中間部(上端部と下端部との間の部分)は、正面視において、下方に向けて片テーパー状に左右幅寸法が広がっている。より詳細には、第2外面配置部47の中間部の左側縁は、鉛直に延在している一方で、当該中央部の右側縁は下方に向けて右側に変位するように傾斜している。
同様に、第1外面配置部46の上端部の左右幅寸法は、第1外面配置部46の下端部の左右幅寸法よりも小さい。上下方向における第1外面配置部46の中間部(上端部と下端部との間の部分)は、平面視において、下方に向けて片テーパー状に左右幅寸法が広がっている。より詳細には、第1外面配置部46の中間部の右側縁は、鉛直に延在している一方で、当該中間部の左側縁は下方に向けて左側に変位するように傾斜している。また、第1外面配置部46と第2外面配置部47とは互いに対向しており、特に第1外面配置部46の下端部と第2外面配置部47の下端部とはその全体が互いに対向している。
【0019】
本実施形態の場合、図4に示すように、第1実装端子部51は、第1電流経路42の後端部側に配置されている。したがって、第1電流経路42の後端部が、当該第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部42aを構成しており、第1電流経路42の前端部が、当該第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42b(分岐部44)を構成している。また、一例として、第2電流経路43の後端部が、当該第2電流経路43における第1実装端子部51側の端部43a(合流部45)を構成しており、第2電流経路43の前端部が、当該第2電流経路43における第1実装端子部51側とは反対側の端部43bを構成している。
より詳細には、第1外面配置部46の上縁は、例えば、第1電流経路42の後縁に連接されており、当該後縁から下方に延出している。一方、第1外面配置部46の下縁は、第1実装端子部51の後縁に連接されている。同様に、第2外面配置部47の上縁は、例えば第2電流経路43の前縁に連接されており、当該前縁から下方に延出している。一方、第2外面配置部47の下縁は、第2実装端子部55の前縁に連接されている。
また、第1電流経路42と第1外面配置部46との境界部46aは、側面視において、弧状(後側上方に向けて凸の弧状)に湾曲している。同様に、第2外面配置部47は、第2電流経路43の前縁に連接されており、当該前縁から下方に延出している。また、第2電流経路43と第2外面配置部47との境界部47aは、側面視において、弧状(後側上方に向けて凸の弧状)に湾曲している。
【0020】
本実施形態の場合、一例として、第1外面配置部46の下端及び第2外面配置部47の下端の各々の左右寸法は、第1電流経路42の左右幅寸法と第2電流経路43の左右幅寸法との合計値よりも僅かに大きい寸法に設定されている。
また、第1外面配置部46の下端の左右幅寸法は、例えば、第1実装端子部51の左右幅寸法と同等の幅寸法に設定されている。同様に、第2外面配置部47の下端の左右幅寸法は、例えば、第2実装端子部55の左右幅寸法と同等の幅寸法に設定されている。
これにより、第1外面配置部46及び第2外面配置部47の各々の断面積を十分に確保できるので、第1外面配置部46及び第2外面配置部47における直流抵抗を抑制できる。また、第1外面配置部46及び第2外面配置部47の構造的強度を十分に確保することができる。
【0021】
また、本実施形態の場合、第1導電部材71及び第2導電部材72の各々は平角線により構成されている。
これにより、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の十分な断面積を容易に確保することができる。
更には、平角線を折り曲げ加工することによって、第1実装端子部51と第1電流経路42とを有する第1導電部材71を容易に形成することができる。本実施形態の場合は、第1実装端子部51、第1外面配置部46及び第1電流経路42を有する第1導電部材71を容易に形成することができる。同様に、平角線を折り曲げ加工することによって、第2実装端子部55と第2電流経路43とを有する第2導電部材72を容易に形成することができる。本実施形態の場合は、第2実装端子部55、第2外面配置部47及び第2電流経路43を有する第2導電部材72を容易に形成することができる。
より詳細には、第1導電部材71を構成している平角線は、例えば、第1実装端子部51と第1外面配置部46との境界において折り曲げられており(例えば90度折り曲げられており)、第1電流経路42と第1外面配置部46との境界においても折り曲げられている(例えば90度折り曲げられている)。これにより、第1電流経路42は、第1外面配置部46に対して直交しているとともに、第1実装端子部51に対して平行に配置されている構成となっている。
同様に、第2導電部材72を構成している平角線は、例えば、第2実装端子部55と第2外面配置部47との境界において折り曲げられており(例えば90度折り曲げられており)、第2外面配置部47と第2実装端子部55との境界においても折り曲げられている(例えば90度折り曲げられている)。これにより、第2電流経路43は、第2外面配置部47に対して直交しているとともに、第2実装端子部55に対して平行に配置されている構成となっている。
【0022】
上述のように、第1導電部材71及び第2導電部材72の各々は平角線によって構成されている。したがって、第1導電部材71の肉厚は、例えば、第1導電部材71の全体に亘って略均一となっている。同様に、第2導電部材72の肉厚は、例えば、その全体に亘って略均一となっている。更に、第1導電部材71と第2導電部材72とは、例えば、互いに同等の肉厚に形成されている。したがって、第1電流経路42の厚み寸法と第2電流経路43の厚み寸法とは互いに略同等の寸法となっている。
ただし、本発明はこの例に限らず、第1導電部材71の厚み寸法と第2導電部材72の厚み寸法とが互いに異なっていてもよい。すなわち、第1電流経路42の厚み寸法と第2電流経路43の厚み寸法とは互いに異なる寸法であってもよい。
【0023】
ここで、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43とは絶縁膜を介して相互に隣接している。
これにより、第1電流経路42と第2電流経路43とを互いに近接又は接触した状態に配置したとしても、第1電流経路42と第2電流経路43とが短絡してしまうことを抑制できる。
より詳細には、例えば、第1導電部材71の外表面において、分岐部44(第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42b)の少なくとも一部分を除いた全域に絶縁膜が施されている。換言すると、第1導電部材71において、分岐部44を構成している部分(端部42b)の少なくとも一部分は、絶縁膜の非形成領域となっている。
同様に、例えば、第2導電部材72の外表面において、合流部45(第2電流経路43における第1実装端子部51側の端部43a)の少なくとも一部分を除いた全域に絶縁膜が施されている。換言すると、第2導電部材72において、合流部45を構成している部分(端部43a)の少なくとも一部分は、絶縁膜の非形成領域となっている。
本実施形態の場合、第1電流経路42の端部42bの上面の全面が、絶縁膜の非形成領域となっており、第2電流経路43の端部43aの上面の全面が、絶縁膜の非形成領域となっている。
なお、本発明において、絶縁膜は、少なくとも第1電流経路42と第2電流経路43との各々の対向面に形成されていればよい。
また、図6(b)及び図7(b)に示すように、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)及び第2電流経路43の端部43a(合流部45)の各々の上面は、例えば、上方に向けて局所的に僅かに隆起している。
【0024】
図1及び図2に示すように、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36は、例えば、第2導電部材72及び第2導電部材72とは別の導電部材により構成されている。
これにより、各々の部材の形状をシンプルな形状とすることができる。
また、別の導電部材により構成されている第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々の断面積を大きくすることもでき、これにより、個々の第1電流経路42(第1導電部材71)、第2電流経路43(第2導電部材72)の肉厚を抑制しつつ電流経路の直流抵抗を低減することができる。このため、第1導電部材71及び第2導電部材72の折り曲げを容易に(軽い力で)行うことができる。よって、電流経路の直流抵抗を低減しつつ、コイル部品100の製造容易性を向上させることができる。
【0025】
図2図5(b)等に示すように、本実施形態の場合、コイル部品100は、別の導電部材として、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とを有する第3導電部材30を備えている。換言すると、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とは、それぞれ第3導電部材30の一部分ずつによって構成されている。
これにより、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とが同じ部材によって構成されているので、第3導電部材30を第1電流経路42及び第2電流経路43に組み付けることによって、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とを同時に第1電流経路42及び第2電流経路43に対して組み付けることができる。よって、コイル部品100の製造容易性を向上させることができる。
第3導電部材30は、一例として、リング状に形成されている導電リング部材である。
これにより、第3導電部材30の構造的強度を十分に確保することができる。
図5(a)及び図5(b)に示すように、リング導電部材(第3導電部材30)は、例えば、平面視において、角丸の略正方形状に形成されており、前後一対の辺状部と、左右一対の辺状部と、を含む。そして、第3導電部材30の中央部は、空隙部30aとなっている。
前後一対の辺状部は、例えば、それぞれ左右方向に延在しており、互いに平行に配置されている。左右一対の辺状部は、例えば、それぞれ前後方向に延在しており、互いに平行に配置されている。
なお、導電リング部材の平面形状は特に限定されず、例えば、矩形状以外の多角形状や円形状、及び楕円形状等であってもよい。
【0026】
本実施形態の場合、第3導電部材30、第1導電部材71及び第2導電部材72は、例えば、互いに同種の導電性材料(例えば、銅等)によって構成されている。ただし、上述のように、第1導電部材71と第2導電部材72には絶縁膜が形成されているので、第3導電部材30には、絶縁膜は形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。ただし、第1導電部材71及び第2導電部材72に絶縁膜が形成されていない場合は、第3導電部材30に絶縁膜が形成されている。この場合、当該絶縁膜は、第3導電部材30における分岐部44及び合流部45と対応した部位では非形成となっている。
【0027】
本実施形態の場合、第3導電部材30の肉厚は、例えば、その全体に亘って略均一に形成されている。したがって、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とは、例えば、互いに同等の厚み寸法に形成されている。ただし、本発明はこの例に限らず、第3導電部材30の厚みは、その延在方向において変化していて第1戻り電流経路31の厚み寸法と第2戻り電流経路36の厚み寸法とが互いに異なっていてもよい。
また、第3導電部材30の肉厚(第1戻り電流経路31の厚み寸法及び第2戻り電流経路36の厚み寸法)は、第1電流経路42の厚み寸法及び第2電流経路43の厚み寸法の各々よりも大きい寸法に設定されている。一方、第3導電部材30の幅寸法(水平方向且つ延在方向に対して直交する方向における寸法)は、例えば、第1電流経路42の左右幅寸法及び第2電流経路43の左右幅寸法の各々と略同等の寸法に設定されている。
これにより、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々の断面積を十分に確保できるので、コイル部品100の全体の電流経路の直流抵抗をより低減することができる。すなわち、電流経路の直流抵抗を低減しつつ、コイル部品100のインダクタンスを向上させることができる。
ただし、例えば、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々の断面積よりも、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の断面積の方が大きくてもよい。
【0028】
本実施形態の場合、第1戻り電流経路31の断面積は、例えば、第1電流経路42の断面積の0.5倍以上10倍以下であることが好ましく、より好ましくは0.5倍以上3倍以下である。
第2戻り電流経路36の断面積は、例えば、第2電流経路43の断面積の0.5倍以上10倍以下であることが好ましく、より好ましくは0.5倍以上3倍以下である。
【0029】
本実施形態の場合、コア成形体10は、例えば、第1電流経路42、第2電流経路43、第1戻り電流経路31、及び第2戻り電流経路36を内包している。
これにより、コイル部品100の漏れ磁束を抑制することができる。
より詳細には、図1図3図4及び図5(a)に示すように、第1電流経路42、第2電流経路43及び第3導電部材30の各々の全体(ただし、境界部46a、47aは除く)が、コア成形体10の内部に埋設されている。すなわち、コア成形体10は、当該コア成形体10の内部に第1電流経路42、第2電流経路43及び第3導電部材30の各々の全体が埋め込まれた態様で一体成形されている。
一方、第1外面配置部46、第2外面配置部47、第1実装端子部51及び第2実装端子部55の各々は、コア成形体10の外部に配置されている。
更に詳細には、第1外面配置部46の内方面(前面)は、例えば、コア成形体10の前面12に沿って鉛直に配置されている。同様に、第2外面配置部47の内方面(後面)は、例えば、コア成形体10の背面13に沿って鉛直に配置されている。
また、図4に示すように、第1実装端子部51は、前後一対の凹部17のうち後側の凹部17の底面に沿って水平に配置されている。上下方向において、第1実装端子部51の上面は、当該後側の凹部17の底面と対向しており、当該底面に対して近接又は当接(面接触)している。
同様に、第2実装端子部55は、前後一対の凹部17のうち前側の凹部17の底面に沿って水平に配置されている。上下方向において、当該前側の溝部の底面と第2実装端子部55の上面とは互いに対向しており、当該底面に対して近接又は当接(面接触)している。
第1実装端子部51と第2実装端子部55とは、互いに略同等の高さ位置に配置されている。
第1実装端子部51及び第2実装端子部55の下面の高さ位置は、コア成形体10の下面16の高さ位置よりも下方となっている。これにより、コイル部品100を基板等(不図示)に実装した際において、コア成形体10と基板等との干渉を抑制することができる。
【0030】
なお、第1外面配置部46及び第2外面配置部47は、例えば、それぞれコア成形体10の外面に対して接着固定されていてもよい。より詳細には、第1外面配置部46の内方面がコア成形体10の背面13に対して接着固定(面接合)されているとともに、第2外面配置部47の内方面がコア成形体10の前面12に対して接着固定(面接合)されていてもよい。
【0031】
本実施形態の場合、図5(a)及び図5(b)に示すように、第1電流経路42と第2電流経路43とは互いに横並びに配置されており、導電リング部材(第3導電部材30)は第1電流経路42及び第2電流経路43の上に重ねて配置されている。
これにより、第3導電部材30と第1電流経路42とが互いに重なっているとともに電気的に繋がっている部分において、電流経路の断面積(導電リング部材の断面積と第1電流経路42の断面積との合計値)を十分に確保することができる。同様に、第3導電部材30と第2電流経路43とが互いに重なっているとともに電気的に繋がっている部分において、電流経路の断面積(導電リング部材の断面積と第2電流経路43の断面積との合計値)を十分に確保することができる。
より詳細には、第1電流経路42と第2電流経路43とは、互いに略同等の高さ位置に配置されている。第1電流経路42の上面と第2電流経路43の上面とは、互いに面一に配置されており、第1電流経路42の下面と第2電流経路43の下面とは、互いに面一に配置されている。また、上述のように、第1電流経路42の延在方向は前後方向であり、第2電流経路43の延在方向も前後方向である。すなわち、第1電流経路42の延在方向と第2電流経路43の延在方向とは互いに同一方向であり、第1電流経路42と第2電流経路43とは互いに平行に延在している。第1電流経路42と第2電流経路43との並び方向は、水平方向であり、本実施形態の場合、左右方向である。図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43とは、左右方向において互いに僅かに離間して配置されている。ただし、上述のように、第1導電部材71及び第2導電部材72には絶縁膜が形成されているので、第1電流経路42と第2電流経路43とは、互いに接触して配置されていてもよい。
第3導電部材30は、例えば、第1電流経路42の上面及び第2電流経路43の上面において水平に配置されている。
【0032】
ここで、図5に示すように、一例として、第3導電部材30において、分岐部44から合流部45に反時計回りに至る部分は、第1戻り電流経路31であり、分岐部44から合流部45に時計回りに至る部分は、第2戻り電流経路36である。
より詳細には、上述のように、本実施形態の場合、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の上面が、絶縁膜の非形成領域となっており、第2電流経路43の端部43aの(合流部45)上面が、絶縁膜の非形成領域となっている。
そして、図6(a)から図7(b)に示すように、第3導電部材30の下面の一部分は、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の上面及び第2電流経路43の端部43a(合流部45)の上面の各々に対して面接触している。これにより、第3導電部材30ひいては第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々が、分岐部44において第1電流経路42と電気的に繋がっているとともに、合流部45において第2電流経路43と電気的に繋がっている。
本実施形態の場合、第3導電部材30と第1電流経路42とは、例えば、導電性の接合剤を介して接合されていてもよいし、抵抗溶接によって互いに接合されていてもよい。同様に、第3導電部材30と第2電流経路43とは、例えば、導電性の接合剤を介して接合されていてもよいし、抵抗溶接によって互いに接合されていてもよい。
【0033】
図4図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施形態の場合、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36との経路長が同じ長さとなる位置に、分岐部44と合流部45とが配置されるように、第3導電部材30に対する第1導電部材71及び第2導電部材72の位置が設定されている。また、上述のように、第3導電部材30の肉厚は、第3導電部材30の全体に亘って略均一となっている。
これにより、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とが、互いに同一の経路長及び断面積を有する構造となるので、第1実装端子部51に印加された電流が、第1電流経路42を通って、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36とに均等に分岐するようにできる。
【0034】
本実施形態の場合、平面視において、図5(a)及び図5(b)に示すように、例えば、第3導電部材30の左右方向における中央部が、第1電流経路42及び第2電流経路43と重なるように配置されている。
より詳細には、第3導電部材30の前側の辺状部の左右方向における中央部の一部分が、例えば、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の上面に面接触しており、第3導電部材30の後側の辺状部の左右方向における中央部の一部分が、例えば、第1電流経路42の端部42aと重なりあっている。また、第3導電部材30の後側の辺状部の左右方向における中央部の一部分が、例えば、第2電流経路43の端部43a(合流部45)の上面に面接触しており、第3導電部材30の前側の辺状部の左右方向における中央部の一部分が、例えば、第2電流経路43の端部43bと重なり合っている。
このような構成によれば、第3導電部材30における右側と左側との両方(第1電流経路42及び第2電流経路43の右方及び左方の両方)において、磁束ループを均等に高めることができる構造となるので、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
図4に示すように、第3導電部材30の前端面は、第1電流経路42の端部42bの前端面と略面一に配置されており、第3導電部材30の後端面は、第2電流経路43の端部43aの後端面と略面一に配置されている。
本実施形態の場合、第3導電部材30(リング導電部材)において、分岐部44及び合流部45の各々を基準として右側の部分が第1戻り電流経路31を構成しているとともに、左側の部分が第2戻り電流経路36を構成している。また、第3導電部材30において、例えば、分岐部44と重なり合っている部分が、第1一端部32及び第2一端部37を構成しており、合流部45と重なり合っている部分が、第1他端部33及び第2他端部38を構成している。
ただし、本発明はこの例に限らず、例えば、第3導電部材30において、分岐部44及び合流部45の各々を基準として右側の部分が第2戻り電流経路36を構成しているとともに、左側の部分が第1戻り電流経路31を構成していてもよい。
【0035】
更に、本実施形態の場合、図5(a)及び図5(b)に示すように、第1戻り電流経路31は、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して並列に延在している第1並列延在部34を含む。同様に、第2戻り電流経路36は、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して並列に延在している第2並列延在部39を含む。
これにより、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々を流れる電流が、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々を流れる電流とは反対方向に流れる構造となる。このため、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々の周囲に発生する磁束ループと、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の周囲に発生する磁束ループとが、互いに磁束を高め合う方向に流れるようにできる。
ここで、「並列」とは、必ずしも平行でなくともよく、第1並列延在部34と第2並列延在部39との各々は、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して交差する方向に延在していてもよい。この場合、例えば、第1並列延在部34と第2並列延在部39との各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがなす角度は45度未満であるものとする。また、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とは、互いに同一平面上に配置されていてもよいし、ねじれの関係でもよい。第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがねじれの関係にある場合は、あらゆる方向から視たときに、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがなす角度の最大値が45度未満である。
【0036】
より詳細には、一例として、第3導電部材30の右側の辺状部が第1並列延在部34を構成しており、第3導電部材30の左側の辺状部が第2並列延在部39を構成している。したがって、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々は、前後方向に延在している。そして、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々を流れる電流は、後方から前方(第1実装端子部51側から第1実装端子部51側とは反対側)に向けて流れる一方で、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々を流れる電流は、前方から後方(第1実装端子部51側とは反対側から第1実装端子部51側)に向けて流れる。
また、第1並列延在部34の左右幅寸法は、例えば、第1電流経路42の左右幅寸法と略同等の寸法に設定されており、第2並列延在部39の左右幅寸法は、第1電流経路42の左右幅寸法と略同等の寸法に設定されている。
【0037】
本実施形態の場合、第1実装端子部51から印加された電流は、第1電流経路42を通って分岐部44側(第1実装端子部51とは反対側)に向けて流れ、当該分岐部44において、端部42bの上面を介して第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36にそれぞれ分岐する。第1戻り電流経路31に分岐した電流は、第1一端部32、第1並列延在部34及び第1他端部33をこの順に通り、端部42bの上面を介して合流部45に流れる。第2戻り電流経路36に分岐した電流は、第2一端部37、第2戻り電流経路36及び第2他端部38をこの順に通り、端部43aの上面を介して合流部45に流れる。このように、第1戻り電流経路31に分岐した電流と、第2戻り電流経路36に分岐した電流とは、合流部45において互いに合流する。合流した電流は、第2電流経路43を通って、第2電流経路43における第1実装端子部51側とは反対側の端部43b(第2実装端子部55側)に向けて流れる。
【0038】
ここで、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43との距離を第1距離D1(図3参照)とし、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第1並列延在部34の近くに位置する方と、第1並列延在部34と、の距離を第2距離D2(図3参照)とし、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第2並列延在部39の近くに位置する方と、第2並列延在部39と、の距離を第3距離D3(図3参照)とする。そして、第2距離D2及び第3距離D3の双方が第1距離D1よりも大きい。
これにより、第1電流経路42と第2電流経路43との距離(第1距離D1)が小さくなるので、第1電流経路42の周囲に発生する磁束ループの向きと、第2電流経路43の周囲に発生する磁束ループの向きとが、互いに磁束を打ち消し合う方向となってしまうことを抑制できる。更には、第2距離D2及び第3距離D3の双方を大きく確保することができるので、第1並列延在部34及び第2並列延在部39の各々の周囲に発生する磁束ループと、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の周囲に発生する磁束ループとが、互いに磁束をより高め合うようにできる。したがって、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
より詳細には、本実施形態の場合、図3に示すように、第1電流経路42と第2電流経路43とのうち、第1電流経路42が右側に配置されており、第1並列延在部34は、第1電流経路42の右側に配置されている。したがって、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第1並列延在部34の近くに位置する方は、第1電流経路42である。よって、第1電流経路42と第1並列延在部34との並び方向は左右方向であり、第2距離D2は、第1電流経路42と第1並列延在部34との左右方向における離間距離である。
また、第1電流経路42と第2電流経路43とのうち、第2電流経路43が左側に配置されており、第2戻り電流経路36は、第2電流経路43の左側に配置されている。したがって、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第2並列延在部39の近くに位置する方は、第2電流経路43である。よって、第2電流経路43と第2並列延在部39との並び方向は左右方向であり、第3距離D3は、第2電流経路43と第2並列延在部39との左右方向における離間距離である。
【0039】
第1距離D1は、例えば、図3に示す寸法Xに対して、20%以上200%以下であることが好ましい。
第2距離D2は、例えば、図3に示す寸法Xに対して、20%以上200%以下であることが好ましい。
第3距離D3は、例えば、図3に示す寸法Xに対して、20%以上200%以下であることが好ましい。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、図8から図10を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係るコイル部品100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。なお、図8においては、便宜的にコア成形体10を2点鎖線で示している。
【0041】
本実施形態の場合、図8図9(a)及び図9(b)に示すように、コイル部品100は、第2導電部材72及び第2導電部材72とは別の導電部材として、第1戻り電流経路31を有する第3導電部材30と、第2戻り電流経路36を有する第4導電部材80と、を備えている。
このような構成によっても、インダクタンスを向上させることができる。
【0042】
より詳細には、図9(a)及び図9(b)に示すように、平面視において、第3導電部材30は、例えば、右方に向けて凸の略半環状に形成されており、前後一対の対向部と、当該前後一対の対向部どうしを相互に連結している連結部と、を含む。そして、前後一対の対向部のうち前側の対向部の左側端部が、第1戻り電流経路31の第1一端部32を構成しており、前後一対の対向部のうち後側の対向部の左側端部が第1戻り電流経路31の第1他端部33を構成している。また、第3導電部材30の連結部が、第1戻り電流経路31の第1並列延在部34を構成している。
前後一対の対向部は、左右方向に延在しており、互いに平行に対向している。第1並列延在部34は、前後方向に延在している。水平に配置されている。
後側の対向部の左右寸法は、例えば、前側の対向部の左右寸法よりも大きい寸法に設定されており、後側の対向部(左側端部)は、前側の対向部の先端部(左側端部)よりも左方に突出している。
【0043】
第4導電部材80は、例えば、第3導電部材30と同一形状及び同一寸法に設定されており、前後及び左右反転した姿勢で配置されている。したがって、第4導電部材80は、第3導電部材30と同様に、前後一対の対向部と、連結部と、を含む。前後一対の対向部のうち前側の対向部の右側端部が、第2戻り電流経路36の第2一端部37を構成しており、前後一対の対向部のうち後側の対向部の右側端部が第2戻り電流経路36の第2他端部38を構成している。第4導電部材80の連結部が、第2戻り電流経路36の第2並列延在部39を構成している。
そして、前側の対向部の左右寸法は、例えば、後側の対向部の左右寸法よりも大きい寸法に設定されており。前側の対向部の先端部(右側端部)は、後側の対向部の先端部(左側端部)よりも右方に突出している。
【0044】
図8及び図10に示すように、第1戻り電流経路31を有する第3導電部材30は、例えば、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々よりも下方に配置されており、第2戻り電流経路36を有する第4導電部材80は、例えば、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々よりも上方に配置されている。
より詳細には、本実施形態の場合、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の上面の全体と下面の全体との各々が、絶縁膜の非形成領域となっている。
そして、図9(a)、図9(b)及び図10に示すように、一例として、第1戻り電流経路31の第1一端部32の上面は、第1電流経路42の端部42bの下面と面接触しており、第2戻り電流経路36の第2一端部37の下面は、当該端部42bの上面と面接触している。これにより、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々は、分岐部44に対して電気的に繋がっているとともに、当該分岐部44を介して互いに電気的に繋がっている。
同様に、本実施形態の場合、第2電流経路43の端部43a(合流部45)の上面と下面の各々が、絶縁膜の非形成領域となっている。
そして、図9(a)、図9(b)及び図10に示すように、一例として、第1戻り電流経路31の第1他端部33の上面は、第2電流経路43の端部43aの下面と面接触しており、第2戻り電流経路36の第2他端部38の下面は、当該端部43aの上面と面接触している。これにより、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36の各々は、合流部45に対して電気的に繋がっているとともに、当該合流部45を介して互いに電気的に繋がっている。
【0045】
〔第3実施形態〕
次に、図11から図14(d)を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係るコイル部品100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0046】
本実施形態の場合、コイル部品100は、分岐部44から互いに分岐している第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96を更に有している。
第3戻り電流経路91は、分岐部44に第3一端部92を有している。第3戻り電流経路91は、第3一端部92から第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部43bの近傍に位置する第3他端部93に向けて延びており、当該第3他端部93において、合流部45に対して電気的に繋がっている。
同様に、第4戻り電流経路96は、分岐部44に第4一端部97を有している。第4戻り電流経路96は、第4一端部97から第1電流経路42における第1実装端子部51側の端部43bの近傍に位置する第4他端部98に向けて延びており、当該第4他端部98において、合流部45に対して電気的に繋がっている。
このような構成によっても、コイル部品100の電流経路の巻き数を十分に確保することができるので、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
【0047】
本実施形態の場合、コイル部品100は、第3導電部材30を備えていない。代わりに、第1導電部材71は、第1電流経路42、第1外面配置部46及び第1実装端子部51に加えて、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36を更に有する。換言すると、第1電流経路42、第1外面配置部46、第1実装端子部51、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36は、互いに一体成形されている。
これにより、コイル部品100を構成している部材の数を減らすことができるので、コイル部品100の製造容易性を向上させることができる。
【0048】
本実施形態の場合、第1導電部材71は、銅板によって構成されており、銅板を折り曲げ加工することによって、第1電流経路42、第1外面配置部46及び第1実装端子部51が形成されている。
また、図14(a)及び図14(b)に示すように、第1導電部材71は、例えば、第1電流経路42を構成している第1部分71aに加えて、第1戻り電流経路31を構成している第2部分71bと、第2戻り電流経路36を構成している第3部分71cと、を有する。
第2部分71bと第3部分71cとは、例えば、互いに左右対称形状に形成されている。より詳細には、平面視において、第2部分71bは、例えば、左方に向けて凸の略半環状に形成されており、第3部分71cは、例えば、右方に向けて凸の略半環状に形成されている。
第2部分71b及び第3部分71cの各々は、例えば、左右方向に延在している前後一対の対向部と、当該前後一対の対向部を連結しているとともに、前後方向に延在している連結部と、を含む。
【0049】
図14(a)に示すように、一例として、第2部分71bの前側の対向部の左側端部が、第1戻り電流経路31の第1一端部32を構成しており、第2部分71bの後側の対向部の左側端部が、第1戻り電流経路31の第1他端部33を構成しており、第2部分71bの連結部が、第1戻り電流経路31の第1並列延在部34を構成している。同様に、一例として、第3部分71cの前側の対向部の右側端部が、第2戻り電流経路36の第2一端部37を構成しており、第3部分71cの後側の対向部の右側端部が、第2戻り電流経路36の第2他端部38を構成しており、第3部分71cの連結部が、第2戻り電流経路36の第2並列延在部39を構成している。
第1戻り電流経路31の第1一端部32(第2部分71bの前側の対向部)は、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の右端と直に接続されており、第2戻り電流経路36の第2一端部37(第3部分71cの前側の対向部)は、当該端部42bの左端と直に接続されている。一方、第1戻り電流経路31の第1他端部33(第2部分72bの後側の対向部)は、第1電流経路42の第1実装端子部51側の端部42aの右端に対して僅かに離間しており、第2戻り電流経路36の第2他端部38(第3部分72cの後側の対向部)は、当該端部42aの左端に対して僅かに離間している。
図14(b)に示すように、第1電流経路42(第1部分71a)、第1戻り電流経路31(第2部分71b)及び第2戻り電流経路36(第3部分71c)は、互いに略同等の高さ位置に配置されている。また、第1電流経路42、第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36は、互いに略同等の厚みに設定されている。
【0050】
同様に、本実施形態の場合、第2導電部材72は、第2電流経路43、第2外面配置部47及び第2実装端子部55に加えて、第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96を更に有する。換言すると、第2電流経路43、第2外面配置部47、第2実装端子部55、第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96は、互いに一体成形されている。
また、第1導電部材71と同様に、第2導電部材72は、例えば、銅板によって構成されており、銅板を折り曲げ加工することによって、第2電流経路43、第2外面配置部47及び第2実装端子部55が形成されている。
図14(c)及び図14(d)に示すように、第2導電部材72は、例えば、第1導電部材71と同一形状及び同一寸法に設定されており、前後及び左右反転された姿勢で配置されている。
より詳細には、第2導電部材72は、例えば、第2電流経路43を構成している第1部分72aに加えて、第3戻り電流経路91を構成している第2部分72bと、第4戻り電流経路96を構成している第3部分72cと、を有する。そして、第2部分72b及び第3部分72cの各々は、第1導電部材71の第2部分71b及び第3部分71cと同様に、左右方向に延在している前後一対の対向部と、当該前後一対の対向部を連結しているとともに、前後方向に延在している連結部と、を含む。
一例として、第2部分72bの前側の対向部の左側端部が、第3戻り電流経路91の第3一端部92を構成しており、第2部分72bの後側の対向部の左側端部が、第3戻り電流経路91の第3他端部93を構成しており、第2部分72bの連結部が、第3戻り電流経路91の第3並列延在部94を構成している。同様に、一例として、第3部分72cの前側の対向部の右側端部が、第4戻り電流経路96の第4一端部97を構成しており、第3部分72cの後側の対向部の右側端部が、第4戻り電流経路96の第4他端部98を構成しており、第3部分72cの連結部が、第4戻り電流経路96の第4並列延在部99を構成している。
第3戻り電流経路91の第3他端部93(第2部分72bの後側の対向部)は、第2電流経路43の第1実装端子部51側の端部43a(合流部45)の右端と直に接続されており、第4戻り電流経路96の第4他端部98(第3部分72cの後側の対向部)は、当該端部43aの左端と直に接続されている。一方、第3戻り電流経路91の第3一端部92(第2部分72bの前側の対向部)は、第2電流経路43の第1実装端子部51側とは反対側の端部43bの右端に対して僅かに離間しており、第4戻り電流経路96の第4一端部97(第3部分72cの前側の対向部)は、当該端部43bの右端に対して僅かに離間している。
図14(d)に示すように、第2電流経路43、第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96は、互いに略同等の高さ位置に配置されている。また、第2電流経路43、第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96は、互いに略同等の厚みに設定されている。
また、本実施形態の場合、第1電流経路42(第1部分71a)の左右幅寸法は、第1外面配置部46の左右幅寸法及び第1実装端子部51の左右幅寸法の各々と同等の寸法に設定されており、第2電流経路43(第1部分72a)の左右幅寸法は、第2外面配置部47の左右幅寸法及び第2実装端子部55の左右幅寸法の各々と同等の寸法に設定されている。
【0051】
ここで、第3戻り電流経路91は、例えば、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して並列に延在している第3並列延在部94を含む。
同様に、第4戻り電流経路96は、例えば、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して並列に延在している第4並列延在部99を含む。
これにより、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々の周囲に発生する磁束ループと、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の周囲に発生する磁束ループとが、互いに磁束を高め合う方向に流れるようにできる。
より詳細には、図13(a)及び図13(b)に示すように、第3並列延在部94は、例えば、第2導電部材72の第2部分72bの連結部によって構成されており、第4並列延在部99は、例えば、第2導電部材72の第3部分72cの連結部によって構成されている。したがって、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々は、前後方向に延在しており、互いに平行に配置されている。
ここで、「並列」とは、必ずしも平行でなくともよく、第3並列延在部94と第4並列延在部99との各々は、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して交差する方向に延在していてもよい。この場合、例えば、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがなす角度は45度未満であるものとする。また、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とは、互いに同一平面上に配置されていてもよいし、ねじれの関係でもよい。第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがねじれの関係にある場合は、あらゆる方向から視たときに、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々と、第1電流経路42及び第2電流経路43とがなす角度の最大値が45度未満である。
【0052】
また、本実施形態の場合も、第1及び第2実施形態と同様に、第1導電部材71及び第2導電部材72の各々の肉厚は、例えば、その全体に亘って略均一に形成されているとともに、互いに同等の肉厚に形成されている。したがって、第1電流経路42、第2電流経路43及び第1戻り電流経路31~第4戻り電流経路96は、互いに同等の厚み寸法に設定されている。
ただし、図14(a)に示すように、第1電流経路42の左右幅寸法は、例えば、第1戻り電流経路31の幅寸法(水平方向且つ延在方向に対して直交する方向における寸法)及び第2戻り電流経路36の幅寸法(同上)よりも大きい寸法に設定されている。同様に、図14(b)に示すように、第2電流経路43の左右幅寸法は、例えば、第3戻り電流経路91の幅寸法(水平方向且つ延在方向に対して直交する方向における寸法)及び第4戻り電流経路96の幅寸法(同上)よりも大きい寸法に設定されている。
これにより、コイル部品100の電流経路の直流抵抗を低減することができる。
また、本実施形態の場合、一例として、第1戻り電流経路31~第4戻り電流経路96の各々の左右幅寸法は、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の左右幅寸法の約1/2の寸法に設定されている。すなわち、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の断面積の約1/2の断面積を有する戻り電流経路が4つある構成となるので、当該戻り電流経路の全体の断面積を、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の断面積の2倍とすることができる。よって、コイル部品100の電流経路における直流抵抗をより低減することができる。
【0053】
図11及び図12に示すように、本実施形態の場合、第1導電部材71と第2導電部材72とは、上下に互いに重ね合わされている。
より詳細には、第2電流経路43は、例えば、第1電流経路42の上に重ねて配置されている。したがって、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43との並び方向は上下方向である。また、第3戻り電流経路91は、第1戻り電流経路31の上に重ねて配置されており、第4戻り電流経路96は、第2戻り電流経路36の上に重ねて配置されている。
ここで、第1一端部32の左側端部の上面32aの全体と、第2一端部37の右側端部の上面37aの全体とは、それぞれ絶縁膜の非形成領域となっている。また、第3一端部92の右側端部の下面92aの全体と、第4一端部97の左側端部の下面97aの全体とは、それぞれ絶縁膜の非形成領域となっている。そして、第1一端部32の右側端部の上面32aは、第3一端部92の右側端部の下面92aと面接触しており、第2一端部37の左側端部の上面37aは、第4一端部97の左側端部の下面97aと面接触している。
同様に、第1他端部33の右側端部の上面33aの全体と、第2他端部38の左側端部の上面38aの全体とは、それぞれ絶縁膜の非形成領域となっている。また、第3他端部93の右側端部の下面93aの全体と、第4他端部98の左側端部の下面98aの全体とは、それぞれ絶縁膜の非形成領域となっている。そして、第1他端部33の右側端部の上面33aは、第3他端部93の右側端部の下面93aと面接触しており、第2他端部38の左側端部の上面38aは、第4他端部98の左側端部の下面98aと面接触している。
これにより、分岐部44の近傍及び合流部45の各々の近傍において、第1戻り電流経路31と第3戻り電流経路91(ひいては第4戻り電流経路96)とが互いに電気的に繋がっており、第2戻り電流経路36と第4戻り電流経路96(ひいては第3戻り電流経路91)とが互いに電気的に繋がっている。
本実施形態の場合、第1導電部材71と第2導電部材72とは、例えば、導電性の接合剤を介して接合されていてもよいし、抵抗溶接によって互いに接合されていてもよい。
【0054】
本実施形態の場合、第1実装端子部51から第1電流経路42を通って分岐部44に流入した電流の一部は、第1他端部33の上面33a及び第3他端部93の下面93aを介して第1戻り電流経路31及び第3戻り電流経路91にそれぞれ分岐する。第1戻り電流経路31に分岐した電流と、第3戻り電流経路91に分岐した電流とは、第1他端部33の上面33a及び第3他端部93の下面93aを介して合流部45に向かい、当該合流部45において合流する。
同様に、第1実装端子部51から第1電流経路42を通って分岐部44に流入した電流のその他は、第2一端部37の上面37a及び第4一端部97の下面97aを介して第2戻り電流経路36及び第4戻り電流経路96にそれぞれ分岐する。第2戻り電流経路36に分岐した電流と、第4戻り電流経路96に分岐した電流とは、第2他端部38の上面38a及び第4他端部98の下面98aを介して合流部45に向かい、当該合流部45において合流する。そして、合流部45に流入した電流は、第2電流経路43及び第2外面配置部47をこの順に通って第2実装端子部55に流れる。
【0055】
ここで、第1電流経路42と第2電流経路43との距離を第1距離とし、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第3並列延在部94の近くに位置する方と、第3並列延在部94と、の距離を第4距離とし、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第4並列延在部99の近くに位置する方と、第4並列延在部99と、の距離を第5距離とする。
そして、本実施形態の場合、図13(a)及び図13(b)に示すように、第4距離及び第5距離の双方が第1距離よりも大きい。
これにより、第4距離及び第5距離の双方を大きく確保することができるので、第3並列延在部94及び第4並列延在部99の各々の周囲に発生する磁束ループと、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の周囲に発生する磁束ループとが、互いに磁束をより高め合うようにできる。したがって、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
【0056】
より詳細には、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43との並び方向は上下方向であり、第1電流経路42の全体と第2電流経路43の全体とは互いに重なり合っている。したがって、第1電流経路42と第2電流経路43との距離(第1距離)は実質的に0に等しい値となっている。このため、第1電流経路42の周囲に発生する磁束ループの向きと、第2電流経路43の周囲に発生する磁束ループの向きとが、互いに磁束を打ち消し合う方向となってしまうことをより確実に抑制できる。
また、本実施形態の場合、第1電流経路42と第2電流経路43とのうち、第1電流経路42が右側に配置されており、第3並列延在部94は、第1電流経路42の右側に配置されている。したがって、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第3並列延在部94の近くに位置する方は、第1電流経路42である。よって、第1電流経路42と第3並列延在部94との並び方向は左右方向であり、第3距離は、第1電流経路42と第3並列延在部94との左右方向における離間距離である。
また、第1電流経路42と第2電流経路43とのうち、第2電流経路43が左側に配置されており、第2戻り電流経路36は、第2電流経路43の左側に配置されている。したがって、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち第4並列延在部99の近くに位置する方は、第2電流経路43である。よって、第2電流経路43と第4並列延在部99との並び方向は左右方向であり、第4距離は、第2電流経路43と第4並列延在部99との左右方向における離間距離である。
【0057】
更に、図13(a)及び図13(b)に示すように、本実施形態の場合、第1戻り電流経路31の全体と第3戻り電流経路91の全体とは互いに重なり合っている。
より詳細には、第1並列延在部34の全体と第3並列延在部94の全体とは、互いに重なり合っている。また、上述のように、第1並列延在部34と第3並列延在部94とは、それぞれ前後方向に延在している。つまり、第1並列延在部34の延在方向と第3並列延在部94の延在方向とは、互いに同一方向であり、第1並列延在部34と第3並列延在部94とは互いに平行(並列)に延在している。また、第1並列延在部34と第3並列延在部94との並び方向は、上下方向であり、第1並列延在部34と第3並列延在部94との距離は、例えば、実質的に0に等しい値となっている。そして、第1並列延在部34を流れる電流と、第3並列延在部94の流れる電流とは、互いに同一方向に流れるように構成されている。このため、第1戻り電流経路31及び第3戻り電流経路91の周囲に大きな磁束ループが形成されることとなる。
同様に、第2戻り電流経路36の全体と第4戻り電流経路96の全体とは互いに重なり合っている。
より詳細には、第2並列延在部39と第4並列延在部99とは互いに平行(並列)に延在しているとともに、第2並列延在部39と第4並列延在部99との並び方向は、上下方向であり、第2並列延在部39と第4並列延在部99との距離は、例えば、実質的に0に等しい値となっている。そして、第2並列延在部39を流れる電流と、第4並列延在部99の流れる電流とは、互いに同一方向に流れるように構成されている。このため、第2並列延在部39及び第4並列延在部99の周囲に大きな磁束ループが形成されることとなる。
このように、本実施形態によっても、コイル部品100のインダクタンスを向上させることができる。
【0058】
なお、本実施形態の場合、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36との組み合わせ、及び、第3戻り電流経路91と第4戻り電流経路96との組み合わせは上述の例に限定されず、例えば、第1導電部材71の第2部分71b、第3部分71c、並びに、第2導電部材72の第2部分72b、第3部分72cのうち任意の2つを第1戻り電流経路31及び第2戻り電流経路36とすることができる。そして、第2部分71b~第3部分72cのうち残りの任意の2つを、第3戻り電流経路91及び第4戻り電流経路96とすることができる。
また、上記においては、コイル部品100は、第1戻り電流経路31~第3戻り電流経路91の4つの戻り電流経路を備えている例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、コイル部品100が備えている戻り電流経路の数は、例えば、2つでもよいし、3つでもよい。
【0059】
〔第4実施形態〕
次に、図15及び図16を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係るコイル部品100は、以下に説明する点で、上記の第1~3実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1~3実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0060】
本実施形態の場合、コア成形体10は、相互に組み合わされた第1成形体11及び第2成形体21を含む。
そして、図15及び図16に示すように、第1成形体11と第2成形体21との間に、第1電流経路42、第2電流経路43、第1戻り電流経路31、及び第2戻り電流経路36が配置されている。
このような構成によれば、コア成形体10が2つに分割された構成となるので、個々のコア成形体(第1成形体11及び第2成形体21)の構造的強度を向上させることができる。よって、例えば、コア成形体10を構成する材料として、フェライトや金属磁性材料を用いたとしても、個々のコア成形体(第1成形体11及び第2成形体21)の構造的強度を十分に確保することができる。したがって、コイル部品100の製造コストを削減することができる。また、コイル部品100の製造容易性を向上させることができる。
【0061】
より詳細には、図16に示すように、コア成形体10は、例えば、上下2つの部材、すなわち下側の第1成形体11と上側の第2成形体21とを相互に積み重ねて組み付けることにより構成されている。
第1成形体11は、左右寸法及び前後寸法の各々よりも上下寸法が小さい扁平な直方体形状に形成されている。
第1成形体11は、前方を向いている前面12と、後方を向いている背面13と、それぞれ左方及び右方を向いている左右一対の側面14と、上方を向いている上面15と、下方を向いている下面16と、を有する。
第2成形体21は、板面が上下方向を向いた平板状に形成されており、平面視において、略矩形状に形成されている。
第2成形体21は、前方を向いている前端面22と、後方を向いている後端面23と、それぞれ左方及び右方を向いている左右一対の側端面24と、上方を向いている天面25と、下方を向いている下面26と、を有する。
【0062】
第1成形体11及び第2成形体21の各々は、例えば、フェライトなどの磁性材料によって一体成形されている。ただし、第1成形体11及び第2成形体21の各々は、例えば、金属磁性材料によって構成されていてもよい。
本実施形態の場合、第1成形体11の左右幅寸法は、第2成形体21の左右幅寸法よりも僅かに小さく、第1成形体11の前後幅寸法は、第2成形体21の前後幅寸法よりも僅かに小さい。また、第1成形体11の上下寸法は、例えば、第2成形体21の上下寸法よりも大きい。
【0063】
ここで、図16に示すように、第1成形体11における第2成形体21側の面には溝部18aが形成されている。
より詳細には、第1成形体11の上面15には下方に向けて窪んでいる溝部18a、前面12には内方向(後方)に向けて窪んでいる凹部19b、背面13には内方向(後方)に向けて窪んでいる凹部19b、下面16には上方に向けて窪んでいる第2溝部18b、がそれぞれ形成されている。
溝部18aは、第1成形体11の上面15の前端から後端に亘って形成されている。溝部18aは、前後方向に直線状に延在しており、下方に向けて窪んでいる。溝部18aは全体的に均一な深さに形成されており、溝部18aの底面は、全体的に平坦で且つ水平となっている。
第2溝部18bは、例えば、第1成形体11の下面16の前端から後端に亘って形成されている。第2溝部18bは、前後方向に直線状に延在しており、上方に向けて窪んでいる。
溝部18a及び第2溝部18bの各々は、例えば、左右方向において、互いに同等の位置に配置されている。より詳細には、一例として、溝部18aは、第1成形体11の上面15の左右方向における中央部に配置されており、第2溝部18bは、第1成形体11の下面16の左右方向における中央部に配置されている。
各凹部19a、19bの深さ(前後方向における寸法)は、全体的に均一となっている。よって、前側の凹部19aの底面は、Y方向に対して直交しているとともに前方を向く鉛直面となっており、後側の凹部19bの底面は、Y方向に対して直交しているとともに後方を向く鉛直面となっている。
前側の凹部19aは、溝部18aの前縁から第2溝部18bの前縁に亘って形成されている。同様に、後側の凹部19bは、溝部18aの後縁から第2溝部18bの後縁に亘って形成されている。
各凹部19a、19bは、正面視(又は背面視)において、略矩形状に形成されている。
【0064】
また、図16に示すように、第2成形体21における第1成形体11側の面には、第1成形体11側に向けて凸の凸部28が形成されている。
より詳細には、凸部28は、例えば、第2成形体21の下面26から下方に向けて突出している。凸部28は、例えば、平面視において、角丸の略矩形状に形成されている。凸部28の下面は、溝部18aの底面は、全体的に平坦で且つ水平となっている。
凸部28は、例えば、第2成形体21よりも一回り小さい寸法に設定されており、第2成形体21の下面26の中央部に配置されている。凸部28の上下寸法は、例えば、第2成形体21の上下寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0065】
本実施形態の場合、第1導電部材71及び第2導電部材72は、それぞれ第1及び第2実施形態と同様の形状及び寸法に設定されている。そして、第1導電部材71は、第1電流経路42(第1部分72a)と、第1外面配置部46と、第1実装端子部51と、を有する。同様に、第2導電部材72は、第2電流経路43(第1部分72a)と、第2外面配置部47と、第2実装端子部55と、を有する。
また、第3導電部材30は、例えば、第1実施形態と同様に、導電リング部材である。したがって、第3導電部材30(導電リング部材)は、前後一対の辺状部と、左右一対の辺状部と、空隙部30aと、を有する。
【0066】
ここで、本実施形態の場合、溝部18aに第1電流経路42及び第2電流経路43が配置されている。
より詳細には、第1導電部材71の第1部分71a(第1電流経路42)と、第2導電部材72の第1部分72a(第2電流経路43)とは、溝部18aに収容されており、溝部18aの底面に沿って水平に配置されている。
また、第1導電部材71の第1外面配置部46は、前側の凹部19bの底面に沿って鉛直に配置されており、好ましくは、第1外面配置部46の全体が前側の凹部19bに収容されている。第1導電部材71の第1実装端子部51は、第2溝部18bの底面に沿って水平に配置されている。
第2導電部材72の第2外面配置部47は、後側の凹部19bの底面31aに沿って鉛直に配置されており、好ましくは、第2外面配置部47の全体が後側の凹部19bに収容されている。第2導電部材72の第2実装端子部55は、第2溝部18bの底面に沿って水平に配置されている。
【0067】
本実施形態の場合、溝部18aの左右幅寸法は、例えば、第1電流経路42の左右幅寸法と第2電流経路43の左右幅寸法の合計値と略同等又は当該合計値よりも若干大きい寸法に設定されている。同様に、第2溝部18bの左右幅寸法は、例えば、第1電流経路42の左右幅寸法と第2電流経路43の左右幅寸法の合計値と略同等又は当該合計値よりも若干大きい寸法に設定されている。
また、凹部19a、19bの各々の左右幅寸法は、例えば、第1外面配置部46及び第2外面配置部47の各々の左右幅寸法と略同等又は当該寸法よりも大きい寸法に設定されている。
【0068】
更に、本実施形態の場合、図15に示すように、導電リング部材(第3導電部材30)の中央の空隙部30aに凸部28が挿入されている。
これにより、第2成形体21と第3導電部材30とを容易に相互に組み付けることができる。
より詳細には、平面視において、凸部の外形形状は、例えば、導電リング部材の空隙部30aの外周の形状(導電リング部材の内周の形状)と略同一の形状及び寸法に設定されている。このため、凸部28は、導電リング部材に対して良好に嵌入している。また、凸部28の下面は、例えば、第1成形体11の上面15に対して面接触している。
【0069】
図15及び図16に示すように、第1成形体11と第2成形体21とは、例えば、第1電流経路42、第2電流経路43及び第3導電部材30(導電リング部材)を間に挟み込んだ状態で、互いに固定されている。
第1成形体11と第2成形体21とを互いに固定する手法は特に限定されず、例えば、第1成形体11の第2成形体21側の面と第2成形体21の第1成形体11側の面との間に、粘着テープ(不図示)と接着剤(不図示)とのいずれか一方又は両方が介在していることによって固定(面接合)されていてもよいし、第1成形体11及び第2成形体21の各々の外周囲に固定テープ(不図示)を巻回することによって固定されていてもよい。
【0070】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0071】
例えば、上記においては、第1実装端子部51と第1電流経路42とが一の部材(第1導電部材71)の一部分ずつによって構成されている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、第1実装端子部51は第1電流経路42とは別部材により構成されていて間接又は直接に第1電流経路42に対して電気的(及び機械的)に接続されていてもよい。同様に、上記においては、第2実装端子部55と第2電流経路43とが一の部材(第2導電部材72)の一部分ずつによって構成されている例を説明したが、本発明は、この例に限らず、第2実装端子部55は第2電流経路43とは別部材により構成されていて間接又は直接に第2電流経路43に対して電気的(及び機械的)に接続されていてもよい。
【0072】
また、上記においては、電流が、第1実装端子部51から第1電流経路42及び第2電流経路43を通して、第2実装端子部55に流れる例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、電流は第2実装端子部55に印加され、第1実装端子部51に向けて流れるように構成されていてもよい。
【0073】
また、第4実施形態においては、第1電流経路42及び第2電流経路43を収容する溝部18aが第1成形体11と第2成形体21とのうち第1成形体11に選択的に形成されている例を説明したが、溝部18aは第2成形体21の下面26に形成されていてもよいし、第1成形体11の上面15と第2成形体21の下面26との双方に形成されていてもよい。
【0074】
また、例えば、上記においては、コイル部品100が、第1戻り電流経路31と第2戻り電流経路36との両方を備えている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、図17から図21に示すように、コイル部品100が備えている戻り電流流路の数は、1つであってもよい。
すなわち、本発明は、磁性体材料によって形成されているコア成形体10と、第1実装端子部51と、第1実装端子部51に繋がっている第1電流経路42と、第2実装端子部55と、第2実装端子部55に対して繋がっているとともに第1電流経路42に対して並列に延在している第2電流経路43と、第1電流経路42における第1実装端子部51側とは反対側の端部42bと、第2電流経路43における第1実装端子部側の端部43aと、を相互に繋いでいる戻り電流経路110と、を有するコイル部品であってもよい。
このような構成によっても、インダクタンスを向上させることが可能な構造のコイル部品100を実現することができる。
この場合、戻り電流経路110は、第1電流経路42及び第2電流経路43に対して並列に延在している並列延在部112を含み、第1電流経路42と第2電流経路43との距離を第1距離とし、第1電流経路42及び第2電流経路43のうち並列延在部112の近くに位置する方と、並列延在部112と、の距離を第2距離とすると、第2距離が第1距離よりも大きいことが好ましい。
このようにすることにより、一方、第2距離をより大きく確保することができるので、並列延在部112の周囲に発生する磁束ループと、第1電流経路42及び第2電流経路43の各々の周囲に発生する磁束ループとが、互いに磁束をより高め合うようにできる。したがって、コイル部品100のインダクタンスをより向上させることができる。
【0075】
コイル部品100が備えている戻り電流流路の数が1つである場合、図17図18(a)及び図18(b)に示すように、第3導電部材30は、例えば、平面視において、半環状に形成されている。そして、一例として、第3導電部材30は水平に配置されており、略半環状の第3導電部材30の一端部は、第1電流経路42の端部42b(分岐部44)の上面上に配置されており、当該第3導電部材30の他端部は、第2電流経路43の端部43a(合流部45)の上面上に配置されている。
もしくは、図19から図21に示すように、第3導電部材30は、例えば、側面視において、略半環状に形成されている。そして、一例として、第3導電部材30は鉛直に配置されている。この場合、図21に示すように、第1電流経路42は、例えば、端部42b(分岐部44)が上方に向けて起立した状態となるように折り曲げられており、第2電流経路43は、例えば、端部43a(合流部45)が上方に向けて起立した状態となるように折り曲げられている。そして、略半環状の第3導電部材30の一端部は、第1電流経路42の端部42aの前面と面接触しており、当該第3導電部材30の他端部は、第2電流経路43の端部43aの後面と面接触している。また、図20(a)及び図20(b)に示すように、第3導電部材30は、平面視において、例えば、分岐部44から合流部45に向けて右側に変位するように傾斜した形状となっている。
【0076】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)磁性体材料によって形成されているコア成形体と、
第1実装端子部と、
前記第1実装端子部に繋がっている第1電流経路と、
第2実装端子部と、
前記第2実装端子部に対して繋がっているとともに前記第1電流経路に対して並列に延在している第2電流経路と、
前記第1電流経路における前記第1実装端子部側とは反対側の端部である分岐部から互いに分岐している第1戻り電流経路及び第2戻り電流経路と、
を有し、
前記第1戻り電流経路は、前記分岐部に第1一端部を有し、当該第1一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第1他端部に向けて延びており、当該第1他端部において、前記第2電流経路における前記第1実装端子部側の端部である合流部に対して電気的に繋がっており、
前記第2戻り電流経路は、前記分岐部に第2一端部を有し、当該第2一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第2他端部に向けて延びており、当該第2他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっているコイル部品。
(2)前記第1戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第1並列延在部を含み、
前記第2戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第2並列延在部を含み、
前記第1電流経路と前記第2電流経路との距離を第1距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第1並列延在部の近くに位置する方と、前記第1並列延在部と、の距離を第2距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第2並列延在部の近くに位置する方と、前記第2並列延在部と、の距離を第3距離とすると、
前記第2距離及び前記第3距離の双方が前記第1距離よりも大きい(1)に記載のコイル部品。
(3)前記第1電流経路と前記第2電流経路とは絶縁膜を介して相互に隣接している(1)又は(2)に記載のコイル部品。
(4)前記第1実装端子部と前記第1電流経路とを有する第1導電部材と、
前記第2実装端子部と前記第2電流経路とを有する第2導電部材と、
を備える(1)から(3)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(5)前記第1戻り電流経路及び前記第2戻り電流経路は、前記第1導電部材及び前記第2導電部材とは別の導電部材により構成されている(4)に記載のコイル部品。
(6)前記別の導電部材として、前記第1戻り電流経路と前記第2戻り電流経路とを有する第3導電部材を備える(5)に記載のコイル部品。
(7)前記第3導電部材は、リング状に形成されている導電リング部材である(6)に記載のコイル部品。
(8)前記第1電流経路と前記第2電流経路とは互いに横並びに配置されており、
前記導電リング部材は前記第1電流経路及び前記第2電流経路の上に重ねて配置されている(7)に記載のコイル部品。
(9)前記別の導電部材として、前記第1戻り電流経路を有する第3導電部材と、前記第2戻り電流経路を有する第4導電部材と、を備える(5)に記載のコイル部品。
(10)前記第1導電部材及び前記第2導電部材の各々は平角線により構成されている(4)から(9)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(11)前記分岐部から互いに分岐している第3戻り電流経路及び第4戻り電流経路を更に有し、
前記第3戻り電流経路は、前記分岐部に第3一端部を有し、当該第3一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第3他端部に向けて延びており、当該第3他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっており、
前記第4戻り電流経路は、前記分岐部に第4一端部を有し、当該第4一端部から前記第1電流経路における前記第1実装端子部側の端部の近傍に位置する第4他端部に向けて延びており、当該第4他端部において、前記合流部に対して電気的に繋がっている(1)から(4)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(12)前記第3戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第3並列延在部を含み、
前記第4戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している第4並列延在部を含み、
前記第1電流経路と前記第2電流経路との距離を第1距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第3並列延在部の近くに位置する方と、前記第3並列延在部と、の距離を第4距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記第4並列延在部の近くに位置する方と、前記第4並列延在部と、の距離を第5距離とすると、
前記第4距離及び前記第5距離の双方が前記第1距離よりも大きい(11)に記載のコイル部品。
(13)前記コア成形体は、金属磁性粉末と熱硬化性樹脂とを含む材料を圧縮成形することにより形成された複合磁性体であり、
前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路を内包している(1)から(12)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(14)前記コア成形体は、相互に組み合わされた第1成形体及び第2成形体を含み、
前記第1成形体と前記第2成形体との間に、前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路が配置されている(1)から(12)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(15)前記コア成形体は、相互に組み合わされた第1成形体及び第2成形体を含み、
前記第1成形体と前記第2成形体との間に、前記第1電流経路、前記第2電流経路、前記第1戻り電流経路、及び前記第2戻り電流経路が配置されており、
前記第2成形体における前記第1成形体側の面には、前記第1成形体側に向けて凸の凸部が形成されており、
前記導電リング部材の中央の空隙部に前記凸部が挿入されている(7)又は(8)に記載のコイル部品。
(16)前記第1成形体における前記第2成形体側の面には溝部が形成されており、前記溝部に前記第1電流経路及び前記第2電流経路が配置されている(14)又は(15)に記載のコイル部品。
<1>磁性体材料によって形成されているコア成形体と、
第1実装端子部と、
前記第1実装端子部に繋がっている第1電流経路と、
第2実装端子部と、
前記第2実装端子部に対して繋がっているとともに前記第1電流経路に対して並列に延在している第2電流経路と、
前記第1電流経路における前記第1実装端子部側とは反対側の端部と、前記第2電流経路における前記第1実装端子部側の端部と、を相互に繋いでいる戻り電流経路と、
を有するコイル部品。
<2>前記戻り電流経路は、前記第1電流経路及び前記第2電流経路に対して並列に延在している並列延在部を含み、
前記第1電流経路と前記第2電流経路との距離を第1距離とし、
前記第1電流経路及び前記第2電流経路のうち前記並列延在部の近くに位置する方と、前記並列延在部と、の距離を第2距離とすると、
前記第2距離が前記第1距離よりも大きい<1>に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0077】
10 コア成形体
11 第1コア成形体
12 前面
13 背面
14 側面
15 上面
16 下面
17 凹部
18a 溝部
18b 第2溝部
19a、19b 凹部
21 第2コア成形体
22 前面
23 背面
24 側面
25 天面
26 下面
28 凸部
30 第3導電部材
31 第1戻り電流経路
32 第1一端部
33 第1他端部
34 第1並列延在部
36 第2戻り電流経路
37 第2一端部
38 第2他端部
39 第2並列延在部
42 第1電流経路
42a、42b 端部
43 第2電流経路
43a、42b 端部
44 分岐部
45 合流部
46 第1外面配置部
47 第2外面配置部
51 第1実装端子部
55 第2実装端子部
71 第1導電部材
71a 第1部分
71b 第2部分
71c 第3部分
72 第2導電部材
72a 第1部分
72b 第2部分
72c 第3部分
80 第4導電部材
91 第3戻り電流経路
92 第3一端部
93 第3他端部
94 第3並列延在部
96 第4戻り電流経路
97 第4一端部
98 第4他端部
99 第4並列延在部
100 コイル部品
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
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