(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023131
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230209BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20230209BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230209BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20230209BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230209BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20230209BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/55
G03B17/02
H04N5/232 480
H04N5/225 400
H04N5/225 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128368
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H100
2H104
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H104CC00
2K005CA04
2K005CA34
2K005CA44
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA03
5C122EA41
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE18
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】可動体の回転時に、放熱部材を介して撮像素子の側に負荷がかかることがない振れ補正機能付き光学ユニットを提供すること。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2およびホルダ50を備える可動体5と、可動体5を光軸L回りに回転させる回転支持機構15を有する。カメラモジュール2は、撮像素子12と、撮像素子12が実装された基板13を備える。基板13は、カメラモジュールから露出する露出部分13aを備える。回転支持機構15は、第1部材51と、揺動支持機構16により第1軸回りに回転可能に支持される第2部材87と、第1部材51と第2部材87とを光軸L回りに相対回転可能とする回転機構88と、を備える。第1部材51は、ホルダ50に固定されており、放熱部材53は基板13の露出部分13aと第1部材51とに接触する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュール、および前記カメラモジュールを保持するホルダを備える可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心として回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記回転支持機構を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する支持体と、を有し、
前記カメラモジュールは、撮像素子と、前記撮像素子が実装された基板と、前記撮像素子および前記基板を収容するケースと、を備え、
前記回転支持機構は、前記ホルダに固定された第1部材と、前記揺動支持機構により前記第1軸回りに回転可能に支持される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを前記光軸回りに相対回転可能とする回転機構と、を備え、
前記第1部材は、金属製であり、
前記基板は、前記ケースから外側に露出する露出部分を備え、
前記可動体は、前記基板の露出部分および前記第1部材に接触する放熱部材を備え、
前記撮像素子からの熱は、前記基板から前記放熱部材を介して、前記第1部材に伝導することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記基板と前記第1部材との間に塗布された金属ペーストであることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記基板と前記第1部材との間に配置されて当該前記基板および当該ホルダに当接する金属部材であることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記ホルダは、前記カメラモジュールを径方向外側から囲む枠部を備え、
前記第1部材は、前記光軸を囲み、前記光軸方向から見た場合に前記カメラモジュールと重なる第1環状板部と、前記カメラモジュールの径方向外側に位置する延設部と、を備え、
前記第2部材は、前記第1環状板部と前記光軸方向で対向し、前記光軸方向で前記第1環状板部と前記カメラモジュールとの間に配置された第2環状板部を備え、
前記回転機構は、第1環状板部に設けられた第1環状溝と、前記第2環状板部に設けられて前記光軸方向で前記第1環状溝に対向する第2環状溝と、前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記第1環状板部と前記第2環状板部との間で転動する複数の転動体と、を備え、
前記延設部は、前記ホルダに固定され、
前記放熱部材は、前記延設部に接触することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記枠部は、前記延設部が前記光軸方向から挿入される固定穴と、前記枠部の内周面に設けられて前記固定穴に挿入された前記延設部の一部分を径方向内側に露出させる開口部と、を備え、
前記基板の露出部分は、前記開口部と対向し、
前記放熱部材は、前記開口部を介して、前記延設部に接触することを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記枠部は、前記光軸方向に貫通する固定穴を備え、
前記延設部は、前記固定穴を貫通する貫通部分と、前記貫通部分の前記第1環状板部とは反対側の端から径方向内側に屈曲して前記光軸方向から見た場合に前記カメラモジュールと重なる屈曲部分と、を備え、
前記基板の露出部分は、前記屈曲部分と対向し、
前記放熱部材は、前記屈曲部分に接触することを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記可動体を前記第1軸回りまたは前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記支持体は、前記ホルダを径方向外側から囲む支持体側枠部を備え、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記支持体側枠部に固定された駆動コイルと、前記可動体に保持されて前記駆動コイルと対向する駆動マグネットと、を備え、
前記第1部材は、前記光軸回りにおいて前記延設部とは異なる角度位置において前記カメラモジュールの径方向外側に位置する第2の延設部、を備え、
前記駆動マグネットは、前記第2の延設部に固定され、
前記第2の延設部は、前記ホルダに固定され、前記駆動マグネットの前記駆動コイルとは反対側に位置することを特徴とする請求項4から6のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記基板は、前記撮像素子が実装された基板本体と、前記基板本体に固定された放熱板と、を備え、
前記放熱部材は、前記放熱板に接触することを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを光軸回りに回転させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールを、光軸回り、光軸と交差する第1軸回り、並びに光軸および第1軸と交差する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、撮像素子を有するカメラモジュールと、カメラモジュールを径方向外側から囲む枠形状の支持体と、支持体の内周側に配置されて、第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能な状態で支持体に支持されたジンバルフレームと、カメラモジュールを光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、を有する。ジンバルフレームは、回転支持機構を介して、カメラモジュールを支持する。
【0004】
同文献において、ジンバルフレームは、カメラモジュールの径方向外側を光軸方向に延設された4本の支持部用延設部を備える。回転支持機構は、カメラモジュールとジンバルフレームとを接続する金属製のローリングフレームを備える。ローリングフレームは、撮像素子を囲む矩形枠状部と、矩形枠状部から光軸方向に突出して撮像素子のランドにはんだ付けされる突出部と、矩形枠状部の4隅から外側に延びる4つの延設部と、4つの延設部をジンバルフレームの4本の支持部用延設部にそれぞれ接続する接続部と、を備える。接続部は、延設部に固定される固定部と、略U字形状のU字形状部と、支持部用延設部の先端部分に係合する係合部と、を備える。U字形状部は、薄板形状であり、変形することによってジンバルフレームに対するカメラモジュールの光軸回りの回転を許容する。ローリングフレームは、撮像素子で発生する熱を放出する放熱部材を兼ねる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、カメラモジュールが光軸回りに回転する際に、ローリングフレームが変形する。言い換えれば、カメラモジュールが光軸回りに回転する際に、撮像素子に接触する放熱部材が変形する。従って、カメラモジュールが回転した時に放熱部材で発生する応力が撮像素子に負荷をかける可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、カメラモジュールを光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構から撮像素子で発生する熱を放出する構成を採用したときに、回転支持機構の側から放熱部材を介して撮像素子の側に負荷がかかることがない振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール、および前記カメラモジュールを保持するホルダを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心として回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転
支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記回転支持機構を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する支持体と、を有し、前記カメラモジュールは、撮像素子と、前記撮像素子が実装された基板と、前記撮像素子および前記基板を収容するケースと、を備え、前記回転支持機構は、前記ホルダに固定された第1部材と、前記揺動支持機構により前記第1軸回りに回転可能に支持される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを前記光軸回りに相対回転可能とする回転機構と、を備え、前記第1部材は、金属製であり、前記基板は、前記ケースから外側に露出する露出部分を備え、前記可動体は、前記基板の露出部分および前記第1部材に接触する放熱部材を備え、前記撮像素子からの熱は、前記基板から前記放熱部材を介して、前記第1部材に伝導することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、回転支持機構は、カメラモジュールを保持するホルダに固定された第1部材と、揺動支持機構により第1軸回りに回転可能に支持される第2部材と、第1部材と第2部材とを光軸回りに相対回転可能とする回転機構と、を備える。放熱部材は、光学素子が実装された基板の露出部分と回転支持機構の第1部材とに接触しており、撮像素子からの熱は、基板から放熱部材を介して第1部材に伝導する。ここで、放熱部材が接触する回転支持機構の第1部材は、カメラモジュールを保持するホルダに固定されている。従って、可動体が光軸回りに回転したときに、第1部材はカメラモジュールと一体に回転し、相対回転することはない。よって、回転支持機構に熱を逃がす構成を採用しても、可動体の回転時に、放熱部材を介して、撮像素子の側に力が加わることがない。
【0010】
本発明において、前記放熱部材は、前記基板と前記第1部材との間に塗布された金属ペーストであるものとすることができる。このようにすれば、放熱部材を、基板および第1部材の双方に接触させやすい。
【0011】
本発明において、前記放熱部材は、前記基板と前記第1部材との間に配置されて当該前記基板および当該ホルダに当接する金属部材であるものとすることもできる。
【0012】
本発明において、前記ホルダは、前記カメラモジュールを径方向外側から囲む枠部を備え、前記第1部材は、前記光軸を囲み、前記光軸方向から見た場合に前記カメラモジュールと重なる第1環状板部と、前記カメラモジュールの径方向外側に位置する延設部と、を備え、前記第2部材は、前記第1環状板部と前記光軸方向で対向し、前記光軸方向で前記第1環状板部と前記カメラモジュールとの間に配置された第2環状板部を備え、前記回転機構は、第1環状板部に設けられた第1環状溝と、前記第2環状板部に設けられて前記光軸方向で前記第1環状溝に対向する第2環状溝と、前記第1環状溝および前記第2環状溝に挿入されて前記第1環状板部と前記第2環状板部との間で転動する複数の転動体と、を備え、前記延設部は、前記ホルダに固定され、前記放熱部材は、前記延設部に接触するものとすることができる。かかる構成を採用すれば、回転支持機構を構成する第1部材を可動体のホルダに固定できる。
【0013】
本発明において、前記枠部は、前記延設部が前記光軸方向から挿入される固定穴と、前記枠部の内周面に設けられて前記固定穴に挿入された前記延設部の一部分を径方向内側に露出させる開口部と、を備え、前記基板の露出部分は、前記開口部と対向し、前記放熱部材は、前記開口部を介して、前記延設部に接触するものとすることができる。このようにすれば、放熱部材を、ホルダに固定された第1部材の延設部と、カメラモジュールの基板の双方に接触させることが容易である。
【0014】
本発明において、前記枠部は、前記光軸方向に貫通する固定穴を備え、前記延設部は、前記固定穴を貫通する貫通部分と、前記貫通部分の前記第1環状板部とは反対側の端から
径方向内側に屈曲して前記光軸方向から見た場合に前記カメラモジュールと重なる屈曲部分と、を備え、前記基板の露出部分は、前記屈曲部分と対向し、前記放熱部材は、前記屈曲部分に接触するものとすることができる。このようにしても、放熱部材を、基板と、第1部材との双方に接続することが容易となる。
【0015】
本例において、前記可動体を前記第1軸回りまたは前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記支持体は、前記ホルダを径方向外側から囲む支持体側枠部を備え、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記支持体側枠部に固定された駆動コイルと、前記可動体に保持されて前記駆動コイルと対向する駆動マグネットと、を備え、前記第1部材は、前記光軸回りにおいて前記延設部とは異なる角度位置において前記カメラモジュールの径方向外側に位置する第2の延設部、を備え、前記駆動マグネットは、前記第2の延設部に固定され、前記第2の延設部は、前記ホルダに固定され、前記駆動マグネットの前記駆動コイルとは反対側に位置するものとすることができる。このようにすれば、回転支持機構を構成する金属製の第1部材は、撮像素子からの熱を放出するとともに、駆動マグネットのバックヨークとして機能する。また、駆動マグネットが固定された第2の延設部は、放熱部材が接触する放熱部材とは離間するので、撮像素子からの熱が、駆動マグネットに伝わることを防止或いは抑制できる。
【0016】
本発明において、前記基板は、前記撮像素子が実装された基板本体と、前記基板本体に固定された放熱板と、を備え、前記放熱部材は、前記放熱板に接触するものとすることができる。このようにすれば、撮像素子からの熱は、基板の放熱板から放熱部材を介して第1部材に伝わる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像素子からの熱を回転支持機構に伝導させる放熱部材は、撮像素子が実装された基板と回転支持機構の第1部材とに接触する。第1部材は、カメラモジュールを保持するホルダに固定されているので、回転支持機構に支持された可動体が光軸回りに回転したときに、カメラモジュールと一体に回転し、相対回転することはない。従って、可動体の回転時に放熱部材を介して撮像素子の側に負荷がかかることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図3】カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。
【
図4】カバーとベースを外した振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
【
図6】
図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
【
図7】可動体、回転支持機構、揺動支持機構の分解斜視図である。
【
図8】可動体および回転支持機構の分解斜視図である。
【
図10】
図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
【
図11】変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2は、振れ補正機能付き光
学ユニットの分解斜視図である。
図3は、カバーを外した振れ補正機能付き光学ユニットを被写体側から見た平面図である。
図4は、カバーとベースを外した振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図5は、
図3のA-A位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図6は、
図3のB-B位置で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図7は、可動体、回転支持機構、揺動支持機構の分解斜視図である。
【0021】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備える可動体5と、可動体5を外周側から囲む支持体6と、を備える。支持体6は、可動体5を外周側から囲むフレーム7と、フレーム7に被写体側から固定されるカバー8と、フレーム7に反被写体側から固定されて可動体5を反被写体側から覆うベース9と、を備える。フレーム7は樹脂製である。カバー8およびベース9は、非磁性の金属板である。また、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5から引き出されるフレキシブルプリント基板10と、フレーム7の外周面に沿って引き回されるフレキシブルプリント基板11と、を備える。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール2の傾きを補正する。
【0023】
カメラモジュール2は、レンズ2aを備える。また、カメラモジュール2は、
図5、
図6に示すように、内部に、撮像素子12を備える。撮像素子12は、基板13に実装された状態で、レンズ2aの光軸L上に配置される。振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2aの光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール2を回転させて振れ補正を行う。
【0024】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。Z軸方向は、カメラモジュールの光軸Lに沿った光軸方向である。-Z方向は、カメラモジュール2の反被写体側であり、+Z方向は、カメラモジュール2の被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回り(光軸回り)で、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0025】
図4に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5をZ軸回りに回転可能に支持する回転支持機構15を有する。また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、回転支持機構15を第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、回転支持機構15を第2軸R2回りに回転可能に支持する揺動支持機構16を有する。可動体5は、回転支持機構15および揺動支持機構16を介して、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能な状態で支持体6に支持される。
【0026】
図3に示すように、揺動支持機構16は、ジンバルフレーム17と、ジンバルフレーム17と回転支持機構15とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構18を備える。第1接続機構18は、ジンバルフレーム17の第1軸R1方向の両側に設けられる。また、揺動支持機構16は、ジンバルフレーム17と支持体6とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構19を備える。第2接続機構19は、ジンバルフレーム1
7の第2軸R2方向の両側に設けられる。
【0027】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構20を備える。
図3に示すように、振れ補正用磁気駆動機構20は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構21と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構22と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構21と第2振れ補正用磁気駆動機構22とは、Z軸回りの周方向に配列されている。本例では、第1振れ補正用磁気駆動機構21は、カメラモジュール2の-Y方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構22は、カメラモジュール2の-X方向に配置される。
【0028】
可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに回転する。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1は、X軸回りのピッチング補正、およびY軸回りのヨーイング補正を行う。
【0029】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5をZ軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構29を有する。本例では、ローリング補正用磁気駆動機構29は、カメラモジュール2の-Y方向に配置されている。また、ローリング補正用磁気駆動機構29は、第1振れ補正用磁気駆動機構21の周方向の両側に配置されている。
【0030】
(支持体)
図2に示すように、フレーム7は、可動体5および回転支持機構15を外周側から囲むフレーム枠部23(支持体側枠部)と、フレーム枠部23の+X方向に設けられた矩形の配線収容部24と、を備える。
図4に示すように、フレーム枠部23は、X方向で対向する第1側板部25および第2側板部26と、Y方向で対向する第3側板部27および第4側板部28を備える。第1側板部25は第2側板部26の-X方向に位置する。第3側板部27は、第4側板部28の-Y方向に位置する。第2側板部26には、-Z方向の端縁を切り欠いた切欠き部26aが設けられている。可動体5の-Z方向の端部分からは、基板13を介して撮像素子12に接続されるフレキシブルプリント基板10が+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板10は、切欠き部26aを介してフレーム枠部23から+X方向に引き出され、配線収容部24に収容される。
【0031】
図1、
図2に示すように、カバー8は、フレーム7の+Z方向の端に固定される。カバー8は、Z軸方向から見た場合にフレーム枠部23と重なる位置に開口部8aを備える。カメラモジュール2は、開口部8aの内側に位置する。ベース9は、フレーム7の-Z方向の端に固定される。ベース9は、フレーム枠部23および配線収容部24を-Z方向から塞ぐ。
【0032】
ここで、
図4に示すように、フレーム7の第3側板部27には、第1コイル固定穴27aが設けられている。第1コイル固定穴27aには、第1コイル31(駆動コイル)と、一対の第3コイル33と、が保持される。一対の第3コイル33は、第1コイル31の周方向の両側に位置する。フレーム7の第1側板部25には、第2コイル固定穴25aが設けられている。第2コイル固定穴25aには、第2コイル32(駆動コイル)が保持される。第1コイル31および第2コイル32は、周方向に長い長円形の空芯コイルである。第3コイル33は、Z軸方向に長い長円形の空芯コイルである。第1コイル31、第2コイル32、および第3コイル33は、フレーム枠部23の外周面に沿って引き回されたフレキシブルプリント基板11に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板11はフレーム7に固定される。
【0033】
(揺動支持機構)
ジンバルフレーム17は、金属製の板バネからなる。
図7に示すように、ジンバルフレーム17は、中央にZ軸方向に貫通する開口部35aを有するジンバルフレーム本体部35を備える。また、
図4に示すように、ジンバルフレーム17は、ジンバルフレーム本体部35から第1軸R1方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第1ジンバルフレーム延設部36と、ジンバルフレーム本体部35から第2軸R2方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第2ジンバルフレーム延設部37と、を備える。ジンバルフレーム本体部35は、フレーム7の+Z方向に位置する。一対の第1ジンバルフレーム延設部36および一対の第2ジンバルフレーム延設部37は、可動体5の径方向外側をZ軸方向に延びる。また、一対の第1ジンバルフレーム延設部36および一対の第2ジンバルフレーム延設部37は、フレーム7におけるフレーム枠部23の径方向内側に位置する。
【0034】
図3、
図5に示すように、第1接続機構18は、可動体5に対して第1軸R1方向の両側に設けられる。
図7に示すように、第1接続機構18は、可動体5の第1軸R1方向の両側で回転支持機構15に固定される一対の第1ジンバルフレーム受け部材41を備える。
図5に示すように、各第1ジンバルフレーム受け部材41は、第1球体42と、第1球体42が固定される第1スラスト受け部材43と、を備える。各第1スラスト受け部材43は、回転支持機構15に固定されている。第1スラスト受け部材43が回転支持機構15に固定されたときに、第1球体42は第1軸R1上で可動体5の側を向く。
【0035】
また、第1接続機構18は、各第1ジンバルフレーム延設部36の-Z方向の端部分に設けられた第1凹曲面36aを備える。第1凹曲面36aは、第1軸R1方向を可動体5の側に窪む。揺動支持機構16を組み立てる際には、回転支持機構15に固定された一対の第1ジンバルフレーム受け部材41の内周側にジンバルフレーム17を挿入して、第1軸R1上で各第1ジンバルフレーム延設部36の第1凹曲面36aを各第1球体42に点接触させる。これにより、第1接続機構18が構成されるので、回転支持機構15は、第1軸R1回りに回転可能な状態でジンバルフレーム17に支持される。
【0036】
図3、
図6に示すように、第2接続機構19は、フレーム枠部23の第2軸R2方向の対角位置に設けられる。第2接続機構19は、フレーム枠部23の第2軸R2方向の対角位置にそれぞれ固定された第2ジンバルフレーム受け部材45を備える。第2ジンバルフレーム受け部材45は、第2球体46と、第2球体46が固定される第2スラスト受け部材47を備える。第2スラスト受け部材47は、フレーム枠部23の対角位置に固定される。
図6に示すように、第2ジンバルフレーム受け部材45がフレーム枠部23の対角位置に固定されたときに、第2球体46は、第2スラスト受け部材47から第2軸R2上を可動体5の側に突出する。
【0037】
また、第2接続機構19は、各第2ジンバルフレーム延設部37の-Z方向の端部分に設けられた第2凹曲面37aを備える。第2凹曲面37aは、第2軸R2方向を可動体5の側に窪む。揺動支持機構16を組み立てる際には、フレーム枠部23に固定された一対の第2ジンバルフレーム受け部材45の内周側にジンバルフレーム17を挿入して、第2軸R2上で第2凹曲面37aを第2球体46に点接触させる。これにより、第2接続機構19が構成されるので、ジンバルフレーム17は、第2軸R2回りに回転可能な状態でフレーム枠部23(支持体6)に支持される。
【0038】
(可動体)
図8は、可動体5および回転支持機構15の分解斜視図である。
図9は、ホルダの斜視図である。
図10は、
図3のC-C線断面図である。
図8に示すように、可動体5は、カメラモジュール2と、カメラモジュール2を保持する枠状のホルダ50と、ホルダ50に固定される第1部材51と、を備える。第1部材51は、回転支持機構15の構成の一部
を兼ねる。また、可動体5は、カメラモジュール2と第1部材51との間に位置する2つの放熱部材53を備える。各放熱部材53は、直方体形状の金属部材である。ホルダ50は樹脂製である。第1部材51は、磁性金属製である。各放熱部材53は、カメラモジュール2の撮像素子12からの熱を、回転支持機構15の側に伝道して、放出する。
【0039】
カメラモジュール2は、+Z方向から見た場合の輪郭形状が略8角形のモジュールケース55(ケース)と、モジュールケース55の中央から+Z方向に突出する鏡筒56と、を備える。鏡筒56にはレンズ2aが収容されている。
図5、
図6に示すように、モジュールケース55内には、基板13と、基板13に実装された撮像素子12とが、収容されている。基板13は、厚み方向をZ軸方向に向け、光軸Lと垂直に配置されている。基板13の+Z方向を向く基板表面には、撮像素子12が固定されている。撮像素子12は、光軸L上に位置する。
図8に示すように、基板13の+Y方向の端面は、モジュールケース55から径方向外側に露出する。すなわち、モジュールケース55は、+Y方向の側壁に基板13の厚みに対応する幅のスリット状の開口部55aを備える。基板13の+Y方向の端部は開口部55aに嵌合し、基板の+Y方向の端面が開口部55aから外部に露出する。基板の+Y方向の端面は、モジュールケース55から外側に露出する基板13の露出部分13aである。
【0040】
ホルダ50は、モジュールケース55を径方向外側から囲む枠部57を備える。枠部57は、+Z方向から見た場合の輪郭形状が略8角形である。
図8、
図9に示すように、枠部57は、Y方向に平行に延びる第1側壁61および第2側壁62と、X方向に平行に延びる第3側壁63および第4側壁64を備える。第1側壁61は、第2側壁62の-X方向に位置する。第3側壁63は、第4側壁64の-Y方向に位置する。また、枠部57は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁65および第6側壁66と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁67および第8側壁68を備える。第5側壁65は、第6側壁66の-X方向に位置する。第7側壁67は、第8側壁68の-Y方向に位置する。
【0041】
第1側壁61は、-X方向を向く端面に、周方向に長い長方形形状の第1凹部71を備える。第1凹部71は、-X方向および+Z方向に開口する。第2側壁62は、+Z方向を向く端面に、-Z方向に延びる第1固定穴72を備える。第1固定穴72は、Y軸方向に長く延びるスリット状である。
図8に示すように、第2側壁62の-Z方向の端縁には、切欠き部73が設けられている。基板13を介して撮像素子12に接続されるフレキシブルプリント基板10は、カメラモジュール2の-Z方向の端部から、切欠き部73を通って可動体5の+X方向へ引き出される。
【0042】
図9に示すように、第3側壁63は、-Y方向を向く端面の中央に、周方向に長い矩形の第2凹部74を備える。第2凹部74は、-Y方向および+Z方向に開口する。また、第3側壁63は、周方向における第2凹部74の両側に、Z軸方向に長い矩形の第3凹部75を備える。各第3凹部75は、それぞれ-Y方向および+Z方向に開口する。
図8、
図9に示すように、第4側壁64は、+Z方向を向く端面に、第2固定穴76を備える。第2固定穴76は、X軸方向に長く延びるスリット状である。
【0043】
図8に示すように、第1部材51は、中央に貫通孔70aを備える第1環状板部70を備える。カメラモジュール2の鏡筒56は、貫通孔70aを貫通して第1環状板部70から+Z方向に突出する。Z軸方向から見た場合に、第1環状板部70は、モジュールケース55と重なる。また、第1環状板部70は、光軸Lを囲む。
図5、
図6に示すように、第1環状板部70の-Z方向を向く端面には、円形の第1環状溝70bが設けられている。
【0044】
また、
図8に示すように、第1部材51は、第1環状板部70からX軸方向の両側に突
出する第1延設部77(第2の延設部)および第2延設部78と、Y軸方向の両側に突出する第3延設部79(第2の延設部)および第4延設部80(延設部)とを備える。さらに、第1部材51は、第1環状板部70から第1軸R1方向の両側および第2軸R2方向の両側に突出する4つの第1突出板部89を備える。
【0045】
第1延設部77は、第1環状板部70から-X方向へ突出し、カメラモジュール2の外周側において-Z方向へ屈曲する。第1延設部77は、-Z方向の端部分に周方向に広がる幅広部分77aを備える。第1延設部77は、幅広部分77aが第1凹部71に挿入されて、ホルダ50に固定される。
図4に示すように、第1延設部77の幅広部分77aには、第2マグネット83(駆動マグネット)が固定される。これにより、第2マグネット83は、第1凹部71に収容された状態でホルダ50に固定される。第2マグネット83は、Z軸方向に2極着磁されている。第2マグネット83の着磁分極線は、周方向に延びる。
【0046】
第2延設部78は、第1環状板部70から+X方向へ突出し、カメラモジュール2の外周側において-Z方向へ屈曲する。第4延設部80の-Z方向の端部分は、第1固定穴72に挿入されて、ホルダ50に固定される。
【0047】
第3延設部79は、第1環状板部70から-Y方向へ突出し、カメラモジュール2の外周側において-Z方向へ屈曲する。第3延設部79の-Z方向の端部分は、第2凹部74に挿入されて、ホルダ50に固定される。第3延設部79の-Z方向の端部分には、第1マグネット82(駆動マグネット)が固定される。第1マグネット82は、第2凹部74に収容された状態でホルダ50に固定される。第1マグネット82は、Z軸方向に2極着磁されている。第1マグネット82の着磁分極線は、周方向に延びる。ここで、第1部材51は、磁性金属からなるので、第1マグネット82および第2マグネット83に対するヨークとして機能する。
【0048】
なお、第3側壁63の各第3凹部75には第3マグネット84が収容される。第3マグネット84は、周方向に2極着磁されている。第3マグネット84の着磁分極線は、Z軸方向に延びる。本例では、第3マグネット84は、磁性材料からなる金属板85を介して、第3側壁63に固定される。金属板85は、第3マグネット84に対するヨークとして機能する。
【0049】
図8に示すように、第4延設部80は、第1環状板部70から+Y方向に延びる第1部分80aと、第1部分80aの先端から-Z方向に延びる第2部分80bと、第1延設部77分の+Z方向の端から周方向の両側に広がる幅広の第3部分80cと、第3部分80cの周方向の一方側の端部分および他方側の端部分からそれぞれ-Z方向に延びる一対の第4部分80dと、を備える。
【0050】
ここで、
図8、
図9に鎖線で示すように、第4延設部80が固定される第4側壁64の第2固定穴76は、第4延設部80の第3部分80cおよび一対の第4部分80dに対応する形状を備える。すなわち、第2固定穴76は、第3部分80cを受け入れる幅広の第1穴部分76aと、第1穴部分76aの周方向の一方側の端部分および他方側の端部分からそれぞれ-Z方向に延びる一対の第2穴部分76bと、を備える。各第2穴部分76bの-Z方向の端は、第4延設部80の-Z方向の端面に開口する。すなわち、第2固定穴76は第4側壁64をZ軸方向に貫通している。
図7に示すように、第4延設部80は、第3部分80cおよび一対の第4延設部80が第2固定穴76に挿入されて、ホルダ50に固定される。
【0051】
また、第4側壁64は、
図9に示すように、内周面の周方向で離間する2か所に開口部
86を備える。各開口部86は、一対の第2穴部分76bにそれぞれ連通する。従って、各開口部86は、第2固定穴76に挿入された第4延設部80の第4部分80dの一部を径方向内側に露出させる。各開口部86は、ホルダ50がカメラモジュール2を保持したときに、径方向で基板13の露出部分13aと対向した状態となる。
【0052】
ここで、
図10に示すように、各放熱部材53は、径方向で、カメラモジュール2と第4延設部80との間に設置される。各放熱部材53のカメラモジュール2の側の端は、基板13の露出部分13aに接触する。各放熱部材53のカメラモジュール2とは反対側は、各開口部86を介して、第4延設部80の第4部分80dに接触する。
【0053】
(回転支持機構)
図8に示すように、回転支持機構15は、カメラモジュール2を保持するホルダ50に固定された第1部材51と、揺動支持機構16により第1軸回りに回転可能に支持された第2部材87と、第1部材51と第2部材87とを光軸L回りに相対回転可能とする回転機構88と、を備える。第2部材87は、第1部材51の第1環状板部70とZ軸方向で対向する第2環状板部90を備える。第2環状板部90は、Z軸方向において、第1環状板部70とモジュールケース55との間に位置する。また、第2部材87は、第2環状板部90から第1軸R1方向の両側に突出する一対の延設部91と、第2環状板部90から第2軸R2方向の両側に突出する一対の第2突出板部92と、を備える。
【0054】
一対の延設部91は、それぞれ、第2環状板部90から第1軸R1方向に延びる第1部分91aと、可動体5の外周側をZ軸方向に延びる第2部分91bを備える。
図5に示すように、第2部分91bは、可動体5の第1軸R1方向の外側で、僅かな隙間を開けて可動体5と対向する。
図5、
図8に示すように、各第2部分91bには、可動体5とは反対側の面に第1ジンバルフレーム受け部材41が固定される。
【0055】
図8に示すように、回転機構88は、第1部材51の第1環状板部70に設けられた第1環状溝70bと、第2環状板部90に設けられて第1環状溝70bとZ軸方向で対向する第2環状溝93と、を備える。また、回転機構88は、第1環状溝70bおよび第2環状溝93に挿入されて第1環状板部70と第2環状板部90との間で転動する複数の転動体94と、第1環状板部70と第2環状板部90との間で転動体94を転動可能に保持する環状のリテーナ95と、を備える。さらに、回転機構88は、第1環状溝70bと第2環状溝93とをZ軸方向で接近させる力を付与する与圧機構96を備える。
【0056】
与圧機構96は、第2部材87の光軸L周りの4箇所に配置される与圧用磁石97と、第1部材51の光軸L周りの4箇所に設けられた第1突出板部89と、を備える。第2部材87に配置される4つの与圧用磁石97のそれぞれは、可動体5と回転支持機構15とを組み立てたときに、可動体5に設けられた4箇所の第1突出板部89と光軸L方向に重なる。
【0057】
第1突出板部89は、磁性金属からなる。従って、与圧用磁石97の磁気吸引力により、各与圧用磁石97と光軸L方向で重なる第1突出板部89が与圧用磁石97の側に吸引される。これにより、与圧機構96は、光軸L回りの等角度間隔の4か所で、第1環状溝70bと第2環状溝93とをZ軸方向で接近させる力を付与する。可動体5は、与圧機構96の磁気吸引力によって第2部材87に吸引され、Z軸回りに回転可能な状態で、第2部材87に支持される。
【0058】
(磁気駆動機構)
ここで、
図4から分かるように、可動体5が回転支持機構15および揺動支持機構16を介して支持体6に支持されたときに、支持体6の第3側板部27に保持された第1コイ
ル31と、可動体5の-Y方向の側面に保持された第1マグネット82とはY軸方向で対向する。第1コイル31と第1マグネット82とは、第1振れ補正用磁気駆動機構21を構成する。また、支持体6の第1側板部25に保持された第2コイル32と、可動体5の-X方向の側面に保持された第2マグネット83とはX軸方向で対向する。第2コイル32と第2マグネット83とは、第2振れ補正用磁気駆動機構22を構成する。さらに、支持体6の第3側板部27に保持された一対の第3コイル33と、可動体5の-Y方向の側面に保持された一対の第3マグネット84とはY軸方向で対向する。一対の第3コイル33と一対の第3マグネット84とは、ローリング補正用磁気駆動機構29を構成する。
【0059】
(作用効果)
本例では、回転支持機構15は、カメラモジュール2を保持するホルダ50に固定された第1部材51と、揺動支持機構16により第1軸回りに回転可能に支持される第2部材87と、第1部材51と第2部材87とを光軸L回りに相対回転可能とする回転機構88と、を備える。放熱部材53は、撮像素子12が実装された基板13の露出部分13aと回転支持機構15の第1部材51とに接触する。撮像素子12からの熱は、基板13から放熱部材53を介して第1部材51に伝導する。ここで、放熱部材53が接触する金属製の第1部材51は、カメラモジュール2を保持するホルダ50に固定されている。従って、回転支持機構15に支持された可動体5が光軸L回りに回転したときに、第1部材51はカメラモジュール2と一体に回転し、相対回転することはない。従って、回転支持機構15に熱を逃がす構成を採用しても、可動体5の回転時に、放熱部材53を介して、撮像素子12の側に力が加わることがない。
【0060】
本例において、放熱部材53は、基板13と第1部材51との間に配置されて当該基板13および当該ホルダ50に当接する金属部材であるものとすることもできる。
【0061】
本例において、ホルダ50は、カメラモジュール2を径方向外側から囲む枠部57を備える。第1部材51は、光軸Lを囲み、光軸L方向から見た場合にカメラモジュール2と重なる第1環状板部70と、カメラモジュール2の径方向外側に位置する第1延設部77第4延設部80、第3延設部79および第4延設部80を備える。第2部材87は、第1環状板部70とZ軸方向で対向し、Z軸方向で第1環状板部70とカメラモジュール2との間に配置された第2環状板部90を備える。回転機構88は、第1環状板部70に設けられた第1環状溝70bと、第2環状板部90に設けられてZ軸方向で第1環状溝70bに対向する第2環状溝93と、第1環状溝70bおよび第2環状溝93に挿入されて第1環状板部70と第2環状板部90との間で転動する複数の転動体94と、を備える。第1延設部77および第4延設部80は、ホルダ50に固定され、放熱部材53は、第4延設部80に接触する。かかる構成により、回転支持機構15を構成する第1部材51を、可動体5と一体に構成できる。
【0062】
本例において、ホルダ50の枠部57は、第4延設部80がZ軸方向から挿入される第2固定穴76と、枠部57の内周面に設けられて第2固定穴76に挿入された第4延設部80の一部分を径方向内側に露出させる開口部86と、を備える。基板13の露出部分13aは、開口部86と対向し、放熱部材53は、開口部86を介して、第4延設部80に接触する。従って、放熱部材53を、ホルダ50に固定された第1部材51の第4延設部80と、カメラモジュール2の基板13の双方に接触させることが容易である。
【0063】
また、本例では、第1延設部77に第2マグネット83が固定され、第3延設部79に第1マグネット82が固定される。第1部材51は、磁性金属からなるので、第1マグネット82および第2マグネット83に対するヨークとして機能する。よって、回転支持機構15を構成する第1部材51が、撮像素子12からの熱を放出するとともに、各マグネット82、83のバックヨークとして機能する。ここで、本例では、第1部材51におい
て、放熱部材53が接触する第4延設部80は、マグネットが固定される第1延設部77および第3延設部79とは異なる角度位置に設けられている。従って、放熱部材53を介して第1部材51に熱が加わった場合でも、この熱が各マグネット82、83に伝わることを防止或いは抑制できる。
【0064】
ここで、放熱部材53は、基板13と第1部材51との間に塗布された金属ペーストとしてもよい。このようにすれば、放熱部材53を、基板13および第1部材51の双方に接触させやすい。
【0065】
なお、放熱部材53は、第1部材51においてマグネットが固定される第1延設部77または第3延設部79と基板13とに接触してもよい。例えば、第1部材51において、放熱部材53が接触する第4延設部80に、第1マグネット82が固定されていてもよい。
【0066】
(変形例)
図11は、変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図11では、変形例の振れ補正機能付き光学ユニット1Aを
図3のC-C線と対応する位置で切断している。なお、変形例の振れ補正機能付き光学ユニット1Aは、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1と対応する構成を備えるので、相違する構成のみを説明する。
【0067】
図11に示すように、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Aでは、カメラモジュール2の基板13が、撮像素子12が実装された基板本体98と、基板本体98の-Z方向の裏面に固定された放熱板99と、を備える。また、カメラモジュール2のモジュールケース55は、-Z方向に位置する底板の+Y方向の端部分に2つの開口部55aを備える。開口部55aは、X方向で離間する2か所に設けられている。開口部55aからは、基板13の一部分が露出する。本例では、開口部55aから放熱板99の一部分が露出する。放熱板99において開口部55aを介して目視できる部分は、基板13の露出部分13aである。
【0068】
次に、可動体5の一部分および回転支持機構15の一部分を構成する第1部材51は、第4延設部80が各第4部分80dの先端から径方向内側に屈曲する屈曲部分80eを備える。ここで、第1部材51がホルダ50に固定される前の状態では、各屈曲部分80eは各第4部分80dに連続してZ軸方向に直線状に延びている。屈曲部分80eは、第1部材51のホルダ50への固定に際して第4延設部80が第2固定穴76を貫通した後に、径方向内側に折り曲げられる。これにより、各屈曲部分80eは、Z軸方向から見た場合に、カメラモジュール2と重なる位置まで延びる。第4延設部80の第3部分80cおよび各第4部分80dは、第2固定穴76を貫通する貫通部分80fである。
【0069】
各屈曲部分80eの先端部分は、Z軸方向において、モジュールケース55に設けられた各開口部55aと対向する。従って、各屈曲部分80eの先端部分は、各開口部55aを介して、基板13の露出部分13aと対向した状態となる。
【0070】
ここで、2つの放熱部材53は、それぞれ、Z軸方向でカメラモジュール2と第4延設部80の各屈曲部分80eとの間に設置される。各放熱部材53のカメラモジュール2の側の端は、モジュールケース55の開口部55aを介して基板13の露出部分13aに接触する。本例では、基板13の露出部分13aは、放熱板99の一部分である。各放熱部材53のカメラモジュール2とは反対側は、第4延設部80の各屈曲部分80eに接触する。
【0071】
このようにしても、放熱部材53を、基板13および第1部材51の双方に接続できる
。また、このようにすれば、撮像素子12からの熱は、基板13が備える放熱板99および放熱部材53を介して、第1部材51に伝導する。
【符号の説明】
【0072】
1・1A…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カメラモジュール、2a…レンズ、5…可動体、6…支持体、7…フレーム、8…カバー、8a…開口部、9…ベース、10…フレキシブルプリント基板、11…フレキシブルプリント基板、12…撮像素子、13…基板、13a…露出部分、15…回転支持機構、16…揺動支持機構、17…ジンバルフレーム、18…第1接続機構、19…第2接続機構、20…振れ補正正用磁気駆動機構、21…第1振れ補正用磁気駆動機構、22…第2振れ補正用磁気駆動機構、23…フレーム枠部、24…配線収容部、25…第1側板部、25a…第2コイル固定穴、26…第2側板部、26a…切欠き部、27…第3側板部、27a…第1コイル固定穴、28…第4側板部、29…ローリング補正用磁気駆動機構、31…第1コイル、32…第2コイル、33…第3コイル、35…ジンバルフレーム本体部、35a…開口部、36…第1ジンバルフレーム延設部、36a…第1凹曲面、37…第2ジンバルフレーム延設部、37a…第2凹曲面、41…第1ジンバルフレーム受け部材、42…第1球体、43…第1スラスト受け部材、45…第2ジンバルフレーム受け部材、46…第2球体、50…ホルダ、51…第1部材、53…放熱部材、55…モジュールケース、55a…開口部、56…鏡筒、57…枠部、61…第1側壁、62…第2側壁、63…第3側壁、64…第4側壁、65…第5側壁、66…第6側壁、67…第7側壁、68…第8側壁、70…第1環状板部、70a…貫通孔、70b…第1環状溝、71…第1凹部、72…第1固定穴、73…切欠き部、74…第2凹部、75…第3凹部、76…第2固定穴、76a…第1穴部分、76b…第2穴部分、77…第1延設部、77a…幅広部分、78…第2延設部、79…第3延設部、80…第4延設部、80a…第1部分、80b…第2部分、80c…第3部分、80d…第4部分、80e…屈曲部分、80f…貫通部分、82…第1マグネット、83…第2マグネット、84…第3マグネット、85…金属板、86…開口部、87…第2部材、88…回転機構、89…第1突出板部、90…第2環状板部、91…延設部、91a…第1部分、91b…第2部分、92…第2突出板部、93…第2環状溝、94…転動体、95…リテーナ、96…与圧機構、97…与圧用磁石、98…基板本体、99…放熱板、R1…第1軸、R2…第2軸