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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023168
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20230209BHJP
   B43K 7/12 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B43K3/00 H
B43K7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128442
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】早川 尚利
(72)【発明者】
【氏名】飯島 達也
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350KC08
2C350NC04
2C350NC11
(57)【要約】
【課題】筆記体の軸筒内でのガタつきを抑制する効果を維持することができ、また、筆記体を交換する場合に、ユーザーが環状部材を外す必要がなく、環状部材の紛失を防止する。
【解決手段】前端に開口を有する軸筒と、軸筒に収容された筆記体と、軸筒の内面に装着された環状部材と、を備える。筆記体は、ペン先と、インキを内部に収容したインキ収容管を備える。軸筒は、少なくとも、ペン先が突出される開口を備えた前軸と、該前軸に着脱自在に螺着される後軸と、からなる。環状部材は、前軸の後部に装着されており、筆記体は、環状部材に遊貫して設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に開口を有する軸筒と、
前記軸筒に収容された筆記体と、
前記軸筒の内面に装着された環状部材と、を備え、
前記筆記体は、ペン先と、インキを内部に収容したインキ収容管を備え、
前記軸筒は、少なくとも、前記ペン先が突出される前記開口を備えた前軸と、該前軸に着脱自在に螺着される後軸と、からなり、
前記環状部材は、前記前軸の後部に装着されており、
前記筆記体は、前記環状部材に遊貫して設けられる筆記具。
【請求項2】
前記筆記具は、前記筆記体を前記軸筒内に前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体を後方に付勢する弾発体を前記前軸内に収容し、前記弾発体の後方付勢に抗して前記筆記体を前方移動させることにより前記ペン先を前記開口から突出状態にする出没機構を備えた出没式筆記具である請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記インキ収容管は金属製パイプからなる請求項1又は2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記環状部材は、前記前軸の後端内面と嵌合する前軸嵌合部を備える請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具。
【請求項5】
前記環状部材は、前後方向に貫通する貫通孔と、前記前軸の後端に当接する鍔部と、を備え、前記貫通孔の後方端には面取り領域が設けられている請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
前記環状部材は、前記後軸の内面と嵌合する後軸嵌合部を備える請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具。
【請求項7】
前記環状部材は、前後方向に貫通する貫通孔を備え、前記貫通孔の少なくとも一方の端部には面取り領域が設けられている請求項6に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。詳細には、筆記具の軸筒に筆記体を収容した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸筒と、軸筒内に収容可能なレフィルと、軸筒とレフィルとの間に組み付けられる支持部材と、該支持部材よりも後方に配置され、レフィルを後方に向けて付勢するリターンスプリングと、を備え、支持部材は、該支持部材に片持ち支持されたレフィルの前部が所定の外力により振動した際に、該レフィルの前部が軸筒の内周面又は先端開口に衝突することがない前後方向の所定の位置に組み付けられた、ことを特徴とする筆記具が開示されている。
【0003】
当該筆記具によれば、外部から加えられるレフィルへの衝撃を従来よりも低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-142369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成では、支持部材(本願の環状部材に相当)は、レフィル(本願の筆記体に相当)に側方(径方向)から取り付けることができると共に、その軸線方向の取り付け位置を調節可能である。すなわち、支持部材は、その軸線方向における配置位置をユーザーが容易に調整することができるものである。このため、筆記具の使用中などに支持部材が前後方向に予期せず動いてしまい、レフィルへの衝撃を低減する所望の効果を維持することが困難となるおそれがある。
【0006】
また、特許文献1に開示された構成では、支持部材をレフィルに容易に組み付けることができ、また、レフィルを交換する場合にも、支持部材を容易に組み替えることができる。このため、レフィルを交換する場合には、ユーザーが支持部材を外す必要があり、その際に、支持部材を紛失してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は以上のような知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環状部材が前後方向に予期せず動くことがなく、筆記体の軸筒内でのガタつきを抑制する効果を維持することができ、また、筆記体を交換する場合に、ユーザーが環状部材を外す必要がなく、環状部材の紛失を防止することができる筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の筆記具は、前端に開口を有する軸筒と、前記軸筒に収容された筆記体と、前記軸筒の内面に装着された環状部材と、を備え、前記筆記体は、ペン先と、インキを内部に収容したインキ収容管を備え、前記軸筒は、少なくとも、前記ペン先が突出される前記開口を備えた前軸と、該前軸に着脱自在に螺着される後軸と、からなり、前記環状部材は、前記前軸の後部に装着されており、前記筆記体は、前記環状部材に遊貫して設けられる。
【0009】
本発明によれば、環状部材は、前軸の後部に装着されており、筆記体は、環状部材に遊貫して設けられることから、環状部材が前後方向に予期せず動くことがなく、筆記体の軸筒内でのガタつきを抑制する効果を維持することができる。また、筆記体を交換する場合に、ユーザーが環状部材を外す必要がなく、環状部材の紛失を防止することができる。
【0010】
好ましくは、前記筆記具は、前記筆記体を前記軸筒内に前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体を後方に付勢する弾発体を前記前軸内に収容し、前記弾発体の後方付勢に抗して前記筆記体を前方移動させることにより前記ペン先を前記開口から突出状態にする出没機構を備えた出没式筆記具である。
【0011】
本発明においては、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具や、筆記体が軸筒内を前後方向に移動し、軸筒の前端開口から出没する出没式筆記具など、筆記具の構造は問わない。しかし、特に出没式筆記具であることで、より本発明の前記効果を享受することができる。
【0012】
好ましくは、前記インキ収容管は金属製パイプからなる。これにより、インキ収容管の肉厚を薄くすることができ、より多くのインキを収容することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、環状部材が前後方向に予期せず動くことがなく、筆記体の軸筒内でのガタつきを抑制する効果を維持することができる。また、筆記体を交換する場合に、ユーザーが環状部材を外す必要がなく、環状部材の紛失を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における筆記具の概略縦断面図である。
図2図1の要部拡大縦断面図である。
図3】前軸の後端に環状部材が装着されている状態を示す斜視図である。
図4図4(a)は、図1の筆記具の環状部材の正面図である。図4(b)は、図4(a)の環状部材の下面図である。図4(c)は、図4(a)の環状部材の斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態における筆記具の要部拡大縦断面図であり、後軸の内面に装着されている環状部材を示す図である。
図6図6(a)は、第2実施形態の環状部材の正面図である。図6(b)は、図6(a)の環状部材の下面図である。図6(c)は、図6(a)の環状部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の2つ実施の形態について説明する。なお、本実施形態の筆記具10において、「前」又は「下」とは筆記具10におけるペン先121側を指し、「後」又は「上」とはその反対側を指す。
【0016】
<第1実施形態>
図1乃至図4に本発明の第1実施形態を示す。図1は、本発明の第1実施形態における筆記具10の概略縦断面図であって、ペン先121が突出していない状態(ペン先没入状態)を示す図である。なお、本実施形態においては、筆記具10は、筆記体が軸筒11内を前後方向に移動し、軸筒11の前端開口からペン先121が出没する出没式筆記具であるが、本発明は、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具にも適用可能である。
【0017】
図2は、図1の環状部材13が装着されている部分の拡大縦断面図である。図3は、前軸111の後端に環状部材13が嵌着されている状態を示す斜視図である。言い換えれば、図3は筆記体を交換するために後軸114から分離した前軸111の状態を示す図である。図4(a)は、図1の筆記具10の環状部材13の正面図である。図4(b)は、図4(a)の環状部材13の下面図である。図4(c)は、図4(a)の環状部材13の斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の筆記具10は、前端に開口を有する軸筒11と、軸筒11に収容された筆記体と、軸筒11の内面に装着された環状部材13と、軸筒11の側面に設けられたペン先121の出没操作のための操作部16と、筆記体を後方に付勢する弾発体14と、を備える。
【0019】
また、筆記体は、ペン先121と、インキを内部に収容したインキ収容管122と、ペン先121とインキ収容管122とを接続するホルダー123と、を備える。また、軸筒11は、ペン先121が突出される開口を備えた前軸111と、前軸111に着脱自在に螺着される後軸114と、からなる。また、本実施形態の筆記具10は、後軸114の後部に装着される頭冠と、頭冠に挿着された軟質部材15を備える。環状部材13は、前軸111の後部に装着されており、筆記体は、環状部材13に遊貫して設けられる。
【0020】
・出没式筆記具
図1に示すように、本実施形態の筆記具10は、筆記体を軸筒11内に前後方向に移動可能に収容し、筆記体を後方に付勢する弾発体14を前軸111内に収容し、弾発体14の後方付勢に抗して筆記体を前方移動させることによりペン先121を開口から突出状態にする出没機構を備えた出没式筆記具である。
【0021】
本実施形態の出没式筆記具の出没機構は、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構である。後軸114内面に形成されたカム部と、該カム部に係合し且つ筆記体の後端に当接する回転部材と、該回転部材に係合し且つ後軸114側面のスライド孔より径方向外方に突出する操作部16と、軸筒11内に収容され且つ筆記体12を後方に付勢する弾発体14(例えば圧縮コイルスプリング)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもが操作部16を前方にスライド操作するダブルノック式である。
【0022】
・軸筒
図1乃至3に示すように、軸筒11は、前端にペン先121が突出される開口を備えた前軸111と、前軸111に着脱自在に螺着される後軸114と、からなる。本実施形態においては、前軸111と後軸114は、両端が開口された、合成樹脂の射出成形または押出成形により製造される円筒体である。
【0023】
前軸111は、前端にペン先121が突出される開口と、後部に後軸114の雌ねじ部115と螺合する雄ねじ部112と、を備える。また、前軸111の後端に、後述する環状部材13が装着(嵌着)される嵌合部113を備える。該嵌合部113は、前軸111後端の内面に設けられ、環状部材13の前軸嵌合部131と圧入係止(嵌合)される。本実施形態においては、該嵌合部113には、周状の平滑な嵌合面が設けられているが、周状の内向突起又は凹溝が設けられてもよい。
【0024】
なお、前軸111の嵌合部113は前軸111後端の外面に設けられてもよい。その場合は、環状部材13の前軸嵌合部131は環状部材13の内面に設けられる。前軸111の嵌合部113が前軸111後端の外面に設けられた場合にも、嵌合部113には周状の平滑な嵌合面が設けられてもよいし、周状の外向突起又は凹溝が設けられてもよい。
【0025】
・環状部材
本実施形態の環状部材13は、前軸111の後端内面と嵌合する前軸嵌合部131と、該前軸嵌合部131の前方に案内部134と、を備える。また、環状部材13は、前後方向に貫通する貫通孔133と、前軸111の後端に当接する鍔部135と、を備え、貫通孔133の後方端には面取り領域132が設けられている。
【0026】
また、本実施形態の筆記具10において、該貫通孔133に筆記体12が遊貫して設けられる。すなわち、貫通孔133の内径よりも筆記体12の外径が小さい。本実施形態においては、筆記体12(インキ収容管122)の外径はφ6.1mmであり、環状部材13の貫通孔133の内径はφ6.3である。
【0027】
本実施形態の環状部材13の前軸嵌合部131には、周状の平滑な嵌合面が設けられているが、周状の外向突起又は内孔突起が設けられてもよい。なお、前軸111の嵌合部113が前軸111後端の外面に設けられている場合は、環状部材13の前軸嵌合部131は環状部材13の内面に設けられる。この場合、環状部材13の前軸嵌合部131には、周状の平滑な嵌合面が設けられてもよいし、周状の内孔突起又は凹溝が設けられてもよい。また、前軸111と環状部材13は接着や二色成形により一体に形成されてもよい。
【0028】
また、本実施形態の環状部材13においては、図2に示すように、貫通孔133の後方端の全周に、面取り領域132が設けられている。面取り領域132は、径方向幅が0.1mm~2.0mmの範囲であって、貫通孔133の中心軸を含む断面における傾斜角度θが10°~60°の範囲であることが好ましい。本実施形態では、径方向幅が0.6mm、傾斜角度θが30°である。
【0029】
本実施形態の環状部材13は、ポリプロピレン製である。ただし、本発明に用いられる環状部材13の材料は、樹脂製(例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレン)に限らず、金属製(例えば真鍮、ステンレス)であってもよい。
【0030】
・筆記体
本実施形態の筆記体12は、ペン先121と、インキを内部に収容したインキ収容管122と、ペン先121とインキ収容管122とを接続するホルダー123と、該インキ収容管122内に充填される熱変色性インキと、該熱変色性インキの後端に充填され且つ該熱変色性インキの消費に伴い前進する追従体(例えば高粘度流体)を備える。
【0031】
ペン先121は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンチップからなる。また、インキ収容管122の後端開口部に、インキ収容管122と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓が取り付けられる。ペン先121の内部には、前端のボールを前方に押圧するスプリングが収容される。スプリングは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、ロッド部の前端がボール後面に接触している。非筆記時、スプリングの前方付勢によりボールがボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接され、ペン先121の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
【0032】
本実施形態のインキ収容管122は、ステンレス(具体的にはSUS304)を用いた金属製パイプからなる。また、本発明に用いられるインキ収容管122の材料は金属製に限らず、樹脂製(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン製)でもよい。
【0033】
・軟質部材
図1に示すように、筆記具10は、内部に熱変色性インキを備える熱変色性筆記具であった場合、更に、軟質部材15を備えてもよい。軟質部材15は、熱変色性インキの筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で熱変色性インキの筆跡を熱変色させることができる。
【0034】
軟質部材15を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)ではなく、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0035】
軟質部材15を構成する弾性材料は、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)又は2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物等が挙げられる。
【0036】
・インキ
本実施形態において、筆記体12(インキ収容管122)に収容されているインキは熱変色性インキである。熱変色性インキは、可逆熱変色性インキであることが好ましい。可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0037】
可逆熱変色性インキに含有される色材としては、例えば、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び、(ハ)前記両者が化学的に結びつく反応(呈色反応)の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
【0038】
なお、本発明に用いられるインキは熱変色性インキに限られず、熱変色性インキ以外の他のインキ組成物を用いることも可能である。例えば、筆記用インキや修正液、あるいは液状糊や化粧液など、液体吐出具としての用途に応じて適宜選定すればよい。筆記用インキにおいては、油性インキや水性インキなど特に限定されない。
【0039】
<第2実施形態>
図5及び図6に本発明の第2実施形態を示す。図5は、本発明の第2実施形態における筆記具の要部拡大縦断面図であり、後軸114の内面に嵌着されている環状部材23を示す図である。図6(a)は、第2実施形態の環状部材23の正面図である。図6(b)は、図6(a)の環状部材23の下面図である。図6(c)は、図6(a)の環状部材23の斜視図である。
【0040】
本実施の形態の筆記具は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態と異なる点は、環状部材23が後軸114に嵌合する点と該環状部材23の形状が異なる点である。第2実施形態の他の構成は、第1実施の形態と略同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0041】
・環状部材
本実施形態の環状部材23は、後軸114の内面と嵌合する後軸嵌合部231と、該後軸嵌合部231の軸方向外方に案内部234と、を備える。該後軸嵌合部231及び案内部234は、環状部材23の少なくとも一方の外側面に設けられる。また、環状部材23は、前後方向に貫通する貫通孔233を備え、該貫通孔233の少なくとも一方の端部には面取り領域232が設けられている。すなわち、後軸嵌合部231及び面取り領域232が環状部材23の両端に設けられる場合は、前後対称形状とすることができる。これにより部品の方向性がなくなり、組立性が向上する。
【0042】
本実施形態の後軸嵌合部231には、周状に形成された凹溝が設けられているが、周状に設けられた外向突起又は周状の平滑面であってもよい。なお、本実施形態における後軸114の嵌合部116は周状に形成された内向突起である。該内孔突起は、出没機構の回転部材が後軸114から抜け落ちるのを防止する機能も兼ねている。
【0043】
以上のような構成の筆記具10は、以下のように作用する。
【0044】
本実施形態によれば、環状部材13は、前軸111の後部に圧入係止(嵌着、嵌合)されており、筆記体12は、環状部材13に遊貫して設けられる。これにより、環状部材13は前軸111の後部に確実に固定されるため前後方向に予期せず動くことがない。また、これにより、筆記体12の軸筒11内でのガタつきを抑制する効果を維持することができる。また、筆記体12を交換する場合に、ユーザーが環状部材13を外す必要がなく、環状部材13の紛失を防止することができる。
【0045】
また、本実施形態の筆記具10は、出没式筆記具である。本実施形態によれば、筆記体12は、環状部材13に遊貫して設けられることより、出没式筆記具の筆記体12が軸筒11内で前後方向に移動しても、環状部材13は、前軸111の後部に圧入係止(嵌着、嵌合)されているため前後方向に動くことがない。すなわち、本発明を出没式筆記具に適用することは、より顕著に本発明の前記効果を享受することができる。ただし、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具であっても同様の作用及び効果を奏する。
【0046】
また、一般的には、金属製パイプからなるインキ収容管は、インキ収容管の肉厚を薄くすることができる。その結果、金属製パイプからなるインキ収容管122は、樹脂製パイプからなるインキ収容管に比べて、より多くのインキを収容することができる。(インキ収容管の外径が略同一の場合)
【0047】
その反面、金属製パイプからなるインキ収容管122を用いることで収容するインキ量を増やすことは、同一外径の樹脂製パイプからなるインキ収容管を備えた筆記体に比べると、相対的に筆記体12の重量が増加することになる。
【0048】
これにより、金属製パイプからなるインキ収容管122を備えた筆記体12は、外部からの振動により、筆記体12がより大きく振動しやすくなり、軸筒11内で大きくガタつくおそれがある。
【0049】
そこで、本発明をインキ収容管122が金属製パイプである筆記体12を備えた筆記具に本発明を適用することは、重量の重い筆記体12を用いた場合でも、より顕著に本発明の前記効果を享受することができる。ただし、インキ収容管が樹脂製のパイプであっても同様の作用及び効果を奏する。
【0050】
また、本実施形態の一態様では、環状部材13は、前軸111の後端内面と嵌合する前軸嵌合部131を備える。これにより、前軸111の内径を小さくする必要がないため前軸111内面の抜き勾配を設けやすくなり、前軸111の成形が容易になる。
【0051】
また、環状部材13は、前後方向に貫通する貫通孔133と、前軸111の後端に当接する鍔部135と、を備える。これにより、環状部材13の前軸111への取付を容易且つ確実に行うことができる。その結果、筆記体12の軸筒11内でのガタつきを確実に抑制することができる。
【0052】
また、貫通孔133の後方端には面取り領域132が設けられている。これにより、筆記体12を交換する場合に、環状部材13の端面(鍔部135)にペン先121が当たることによるペン先121の損傷を防ぐことができる。また、前軸111(環状部材13)に筆記体12を挿入することが容易になる。また、環状部材13は、該前軸嵌合部131の前方に案内部134を備えることによって、環状部材13を前軸111に挿着することが容易になり、組立性が向上する。
【0053】
また、本実施形態の一態様では、環状部材23は、後軸114の内面と嵌合する後軸嵌合部231を備える。すなわち、環状部材23は後軸114の内面に収容されている。これにより、筆記体12を交換する際に、ユーザーが環状部材23に接触することがないため、環状部材23が外れて紛失することを防止できる。
【0054】
また、環状部材23は、前後方向に貫通する貫通孔233を備え、該貫通孔233の少なくとも一方の端部には面取り領域232が設けられている。すなわち、後軸嵌合部231及び面取り領域232が環状部材23の両端に設けられる場合は、前後対称形状とすることができる。これにより、部品の方向性がなくなり、組立性が向上する。また、筆記体12を交換する際に、後軸114(環状部材23)に筆記体12を挿入することが容易になる。また、環状部材23は、該後軸嵌合部231の軸方向外方に案内部234を備えることによって、環状部材23を後軸114に挿入することが容易になり、組立性が向上する。
【符号の説明】
【0055】
10 筆記具
11 軸筒
111 前軸
112 雄ねじ部
113 嵌合部
114 後軸
115 雌ねじ部
116 嵌合部
12 筆記体
121 ペン先
122 インキ収容管
123 ホルダー
13 環状部材
131 前軸嵌合部
132 面取り領域
133 貫通孔
134 案内部
135 鍔部
14 弾発体
15 軟質部材
16 操作部
23 環状部材
231 後軸嵌合部
232 面取り領域
233 貫通孔
234 案内部
図1
図2
図3
図4
図5
図6