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  • 特開-流動層装置用目皿板および流動層装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002318
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】流動層装置用目皿板および流動層装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/44 20060101AFI20221227BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20221227BHJP
   B01J 2/16 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B01J8/44
B01J2/00 B
B01J2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103497
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】一色 利造
(72)【発明者】
【氏名】北原 淳平
【テーマコード(参考)】
4G004
4G070
【Fターム(参考)】
4G004BA02
4G004KA01
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA15
4G070CA19
4G070CB10
4G070DA02
(57)【要約】
【課題】従来品に比して、異物混入のリスクを大幅に低減し得る流動層装置用の目皿板およびそれを用いた流動層装置を提供する。
【解決手段】流動層装置1は、処理気体によって流動化される粉粒体が収容される処理容器2を備え、処理容器2の原料容器6の底部には、通気性を有する目皿板21が装着されている。目皿板21は、環状のフランジ22と金網23とから構成されている。金網23金網23は、フランジ22の中央空隙部25を塞ぐように配置されている。金網23は、接合部26にて、周縁部23a全周がフランジ22の一面側22a全体と拡散接合にて結合されており、フランジ22と金網23は、半田付け及び溶接の両方を何れも行うことなく接合され一体化されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が収容される処理容器を備え、前記処理容器内の前記被処理物が処理気体によって流動化される流動層装置に使用される目皿板であって、
環状のフランジ部材と、
前記フランジ部材に取り付けられ、該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材と、
前記網状部材と前記フランジが拡散接合によって結合されている接合部と、を有することを特徴とする流動層装置用目皿板。
【請求項2】
請求項1記載の流動層装置用目皿板において、
前記接合部にて、前記網状部材の周縁部と前記フランジ部材の一面側が拡散接合にて結合されることを特徴とする流動層装置用目皿板。
【請求項3】
請求項2記載の流動層装置用目皿板において、
前記接合部では、前記網状部材の周縁部全周が前記フランジ部材の一面側全体と拡散接合にて結合され、前記網状部材と前記フランジが一体化されていることを特徴とする流動層装置用目皿板。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の流動層装置用目皿板において、
前記網状部材は、半田付け及び溶接の両方を何れも行うことなく、前記フランジに結合されることを特徴とする流動層装置用目皿板。
【請求項5】
被処理物が収容される処理容器と、前記処理容器内に取り付けられる目皿板と、を有する流動層装置であって、
前記目皿板は、環状のフランジ部材と、前記フランジ部材に取り付けられ該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材と、前記網状部材と前記フランジが拡散接合によって結合されている接合部と、を有することを特徴とする流動層装置。
【請求項6】
請求項5記載の流動層装置において、
前記目皿板は、前記接合部にて、前記網状部材の周縁部と前記フランジ部材の一面側が拡散接合にて結合されることを特徴とする流動層装置。
【請求項7】
請求項6記載の流動層装置において、
前記接合部では、前記網状部材の周縁部全周が前記フランジ部材の一面側全体と拡散接合にて結合され、前記網状部材と前記フランジが一体化されていることを特徴とする流動層装置。
【請求項8】
請求項5~7の何れか1項に記載の流動層装置において、
前記網状部材は、半田付け及び溶接の両方を何れも行うことなく、前記フランジに結合されることを特徴とする流動層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の造粒、コーティング等の処理を行う流動層装置に関し、特に、装置内に設置される粉粒体保持用の目皿板に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品などの分野では、粉末や顆粒等の粉粒体を気体流によって流動化し、造粒、コーティング、混合、撹拌、乾燥等の処理を行う流動層装置が広く使用されている。流動層装置には、粉粒体(被処理物)が収容される円筒状の処理容器が設けられており、処理容器内の粉粒体は、装置下部から供給される処理気体によって流動化される。流動化した粉粒体には、容器内に配したスプレーノズルからバインダ液やコーティング液等が噴霧され、造粒やコーティング等の処理が実施される。
【0003】
また、流動層装置では、処理容器の下部に通気性の目皿板(スクリーンや分散板とも呼ばれる)が設けられている。目皿板の下方には、装置外から処理気体(多くの場合空気であり、エアと呼ぶこともある)が供給される吹込室が設けられており、この吹込室から目皿板を介して処理容器内に空気が供給される。その際、目皿板は、処理容器内の粉粒体が装置下部に落下するのを防止するとともに、吹込室から導入される空気を容器内に均一に分散させる役目を担っている。そして、これにより、処理容器内の粉粒体は、目皿板によって保持されつつ、処理気体によって流動化され、造粒やコーティング等の処理が行われる。
【0004】
一方、流動層装置用の目皿板は、一般に、環状のフランジと、フランジ内に張設された金網とよって構成されている。この場合、金網とフランジは、両者の間に粉粒体や異物が入り込まないよう、無鉛半田を用いた半田付けやスポット溶接、全周溶接によって結合され一体化されている。このような目皿板は、粉粒体の造粒・コーティング等の処理が終了すると、装置から取り外され、別途洗浄された後、改めて次の処理に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2010/016342号公報
【特許文献2】特開2007-245155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半田付けにて金網とフランジを結合させた目皿板は、粉粒体の処理中に半田そのものが剥離して粉粒体内に混ざり、異物混入という事態が生じてしまう恐れがあった。また、溶接にて両者を結合させたものでは、溶接箇所に粉粒体が溜まり、それを洗浄時に完全に除去できず残留物が生じてしまい、次回処理時に異物発生の原因となるおそれがあり、従来の目皿板では、異物混入のリスクが払拭できないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、従来品に比して、異物混入のリスクを大幅に低減し得る流動層装置用の目皿板およびそれを用いた流動層装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流動層装置用目皿板は、被処理物が収容される処理容器を備え、前記処理容器内の前記被処理物が処理気体によって流動化される流動層装置に使用される目皿板であって、環状のフランジ部材と、前記フランジ部材に取り付けられ該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材と、前記網状部材と前記フランジが拡散接合によって結合されている接合部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、流動層装置にて使用される目皿板に、フランジ部材と網状部材を拡散接合によって結合する接合部を設ける。これにより、半田付けや溶接を実施することなく、目皿板を形成できる。したがって、半田剥落による異物混入や、半田・溶接部への異物溜まりや洗浄残りを防止し、異物混入リスクの低減を図ることが可能となる。
【0010】
前記流動層装置用目皿板において、前記接合部にて、前記網状部材の周縁部と前記フランジ部材の一面側を拡散接合にて結合するようにしても良い。この場合、前記接合部にて、前記網状部材の周縁部全周を前記フランジ部材の一面側全体と拡散接合にて結合し、前記網状部材と前記フランジが一体化するようにしても良い。また、半田付け及び溶接の両方を何れも行うことなく、前記網状部材を前記フランジに結合するようにしても良い。
【0011】
一方、本発明の流動層装置は、被処理物が収容される処理容器と、前記処理容器内に取り付けられる目皿板と、を有する流動層装置であって、前記目皿板は、環状のフランジ部材と、前記フランジ部材に取り付けられ該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材と、前記網状部材と前記フランジが拡散接合によって結合されている接合部と、を有することを特徴とする
【0012】
本発明にあっては、流動層装置の目皿板として、フランジ部材と網状部材を拡散接合によって結合する接合部を設けたものを使用する。これにより、半田付けや溶接を実施することなく、目皿板を形成できる。したがって、半田剥落による異物混入や、半田・溶接部への異物溜まりや洗浄残りを防止し、異物混入リスクの低減を図ることが可能となる。
【0013】
前記流動層装置において、前記目皿板にて、前記網状部材の周縁部全周を前記フランジ部材の一面側全体に拡散接合にて結合するようにしても良い。また、半田付け及び溶接の両方を何れも行うことなく、前記網状部材を前記フランジに結合するようにしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の流動層装置用目皿板によれば、環状のフランジ部材と、フランジ部材に取り付けられ該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材とを有する流動層装置用の目皿板にて、フランジ部材と網状部材を拡散接合によって結合する接合部を設けたので、半田付けや溶接を実施することなく、目皿板を形成するこが可能となる。したがって、半田剥落による異物混入や、半田・溶接部への異物溜まりや洗浄残りを防止し、異物混入リスクの低減を図ることが可能となる。
【0015】
本発明の流動層装置によれば、環状のフランジ部材と、フランジ部材に取り付けられ該フランジ部材の中央空隙部を塞ぐように配置される網状部材と、を有する目皿板を備えた流動層装置用にて、フランジ部材と網状部材を拡散接合によって結合する接合部を設けたので、半田付けや溶接を実施することなく、目皿板を形成するこが可能となる。したがって、半田剥落による異物混入や、半田・溶接部への異物溜まりや洗浄残りを防止し、異物混入リスクの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である目皿板を用いた流動層装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態である目皿板の分解斜視図である。
図3】(a)は図2の目皿板の平面図、(b)は(a)のA-A線に沿った断面図である。
図4】流動層装置における目皿板の取付構造を示す説明図である。
図5】目皿板の取付部の構造を示す断面図である。
図6】本発明の目皿板の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態である目皿板を用いた流動層装置1の全体構成を示す説明図である。図1の流動層装置1は、例えば、顆粒状の医薬品の製造に使用され、装置内では、処理気体によって流動化された粉粒体にバインダ液やコーティング液が噴霧される。
【0018】
流動層装置1には、原料材となる粉粒体(被処理物)が収容され、所望の造粒コーティング処理等が行われる円筒状の処理容器2が設けられている。処理容器2はステンレス鋼にて形成されており、図1に示すように、支柱3によって支持されている。流動層装置1の処理容器2は、上から順に、フィルタ室4、噴霧室5、原料容器6、吹込室7の各ユニットを垂直方向に重ねて配置した構成となっている。フィルタ室4と噴霧室5の間など、各ユニット間は、粉粒体の処理時には環状のシール部材(図示せず)によって気密に締結される。
【0019】
フィルタ室4は、ブラケット11によって支柱3に固定支持されている。フィルタ室4の側面(背面側)には図示しない排気口が形成されており、この排気口には、排気ダクト12が接続されている。フィルタ室4の上端部には、放散扉13が開閉自在に設けられている。また、フィルタ室4内には、シェーキング式フィルタ14(以下、フィルタ14と略記する)が取り付けられている。フィルタ14としては、例えば、ポリエステル製の不織布を用いた円筒形状のものが使用される。フィルタ室4の中程にはフィルタ取付部15が設けられており、フィルタ14はこのフィルタ取付部15に吊設される形で設置される。
【0020】
噴霧室5内には、粉粒体にバインダ液やコーティング液を噴霧するためのスプレーノズル16が設けられている。スプレーノズル16には、図示しないチューブによって、装置外に設けられたポンプからバインダ液やコーティング液が供給される。噴霧室5内では、吹込室7から供給された処理気体によって粉粒体が流動化され、流動化された粉粒体には、スプレーノズル16からバインダ液等が噴霧され所望の造粒・コーティング処理が施される。
【0021】
噴霧室5の下方には、被処理物となる粉粒体が投入・収容される原料容器6が配置されている。原料容器6は、下方に向けて小径となった逆円錐台形状の円筒となっており、その内部は原料収容室17となっている。原料容器6には台車18が取り付けられており、原料容器6は、床面上を自在に移動できるようになっている。原料容器6の下部、すなわち、原料収容室17の底部には、通気性を有する目皿板21が設けられている。原料収容室17内に投入された粉粒体はこの目皿板21上にて支持される。
【0022】
原料容器6の下方には吹込室7が据え付けられている。吹込室7には、給気ダクト19が設けられている。給気ダクト19は、装置外に設けられた図示しないエア供給源に接続されている。吹込室7内には、この給気ダクト19を介して、粉粒体を流動化するための処理気体(流動エア)が供給される。
【0023】
このような流動層装置1では、給気ダクト19から吹込室7に流動エアを供給すると、このエアが目皿板21を通って原料収容室17に流入する。これにより、原料収容室17内の粉粒体が吹き上げられ、原料収容室17や噴霧室5内にて粉粒体が流動状態となる。この状態にて、スプレーノズル16から、適宜、バインダ液やコーティング液をスプレー状に噴霧することにより、粉粒体の造粒処理やコーティング処理が実行される。その際、粉粒体を流動状態とした気体は、微粉等の微細な粒子がフィルタ14によって除去されて清浄化される。フィルタ14を通った気体は、その後、排気ダクト12を通って装置外へと排出される。
【0024】
ここで、従来の目皿板は、前述のように、フランジと金網を半田付けやスポット溶接、全周溶接によって結合させた形態となっており、異物混入リスクを払拭できないという問題があった。そこで、本発明の流動層装置1では、結合部に起因する異物混入リスクを低減すべく、フランジと金網を拡散接合によって結合させる形で目皿板21を形成し、半田の剥離問題や溶接部への異物残留問題の解消を図っている。図2は目皿板21の分解斜視図、図3(a)は図2の目皿板の平面図、同図(b)は(a)のA-A線に沿った断面図である。
【0025】
図2,3に示すように、目皿板21は、環状に形成されたステンレス製のフランジ(フランジ部材)22と、フランジ22に取り付けられた細かい網目の金網(網状部材)23とから構成されている。フランジ22は、外径約550mm、内径約500mmのリング状部材となっており、周方向に沿って、目皿板固定用のボルト挿通孔24が複数個(ここでは12個)等分に設けられている。フランジ22の一面側には、フランジ全体を覆うように円形の金網23が張設されており、フランジ22の中央空隙部25全体が金網23によって塞がれている。金網23は、通気性を確保しつつ粉粒体が脱落しない程度の網目となっており、平畳織のメッシュ部材(例えば、42×175メッシュ)が用いられている。
【0026】
フランジ22と金網23は、接合部26にて一体化されている。接合部26では、金網23の周縁部23a全周が、フランジ22の一面側22a全体に拡散接合により固着状態に結合されている。なお、接合部26にも、金網23を貫通する形でボルト挿通孔24が形成されている。この場合、「拡散接合」とは、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」(JIS)である。ここでは、フランジ22と金網23は、両者を密着させつつ、それらの融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して接合されており、例えば、真空ホットプレス装置等により、フランジ22と金網23を高真空雰囲気中にて加圧して接合する。なお、「拡散接合」は「焼結」と呼ばれる場合もある(例えば、特許文献2)。
【0027】
目皿板21は、図4,5に示すような形で原料容器6の下端部に取り付けられる。図4は目皿板21の取付構造を示す説明図、図5は目皿板21の取付部の構造を示す断面図である。図4,5に示すように、目皿板21は、目皿補強板31と共に、環状の目皿板受け32と目皿押さえ33にて挟み込まれる形で原料容器6の下端部に装着される。
【0028】
目皿補強板31は、パンチングボード等のステンレス製多孔板で形成されており、目皿板21の下方に配置される。目皿板受け32と目皿押さえ33は、ステンレス鋼にてリング状に形成され、目皿板21と目皿補強板31を上下から挟むように配置される。目皿押さえ33の上方には、ゴム製のパッキン34(シール材)が密接状態で配設される。パッキン34は、原料収容室17の下端部外周に形成されたパッキン取付部35に収容される。一方、目皿板受け32には、周方向に沿って複数個の雌ねじ孔36が形成されている。雌ねじ孔36は、目皿板21のボルト挿通孔24と対応して12個設けられている。また、目皿補強板31と目皿押さえ33にも、雌ねじ孔36やボルト挿通孔24に対応してボルト挿通孔37,38がそれぞれ設けられている。
【0029】
目皿板21を取り付ける際は、雌ねじ孔36と各ボルト挿通孔37,24,38を合わせつつ、目皿板受け32、目皿補強板31、目皿板21、目皿押さえ33をこの順に積み重ねる。その後、目皿押さえ33側から、ボルト挿通孔38,24,37を介して皿ボルト39を雌ねじ孔36にねじ込み、目皿板21を目皿板受け32と目皿押さえ33にて挟持固定する。このようにして組み付けられた目皿板21は、原料容器6の下部に、気密用のパッキン34を介して取り付けられ、流動層装置1内に組み込まれる。
【0030】
このように、本発明による目皿板21は、半田付けや溶接を何れも実施することなく、接合部26にて、フランジ22と金網23を拡散接合(焼結)により結合する。すなわち、目皿板21は、異物発生原因となる結合処理を行わず、半田・溶接フリーの構造を実現している。このため、半田剥落による異物混入の心配がなく、半田結合部や溶接部のような不規則な凹凸部がなく洗浄性が良く、半田・溶接部への異物溜まりや洗浄残りを防止できる。したがって、従来品に比して、異物混入のリスクを大幅に低減することができ、造粒・コーティング処理等における不良発生が抑えられ、製品品質の向上を図ることが可能となる。
【0031】
また、目皿板21は、接合部26にて、金網23の周縁部23a全周が、フランジ22の一面側22a全体に結合される形で合体しているため、半田や溶接にて両者を結合させた従来の目皿板に比して、フランジ・金網間の結合強度(引張強度)が高く、目皿板自体の耐久性も向上する。
【0032】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、フランジ22の片面に金網23を結合させた形態の目皿板21を示したが、図6の目皿板41のように、上フランジ42aと下フランジ42bによって金網23を挟み込んで拡散接合により結合させたものも採用可能である。また、金網23には、平畳織以外の他の平織り金網を用いても良く、金網のメッシュサイズは被処理物によって適宜仕様変更可能である。また、前記フランジ寸法も一例であり、流動層装置のサイズに応じて適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、医薬品製造用の流動層装置のみならず、食品や肥料等を製造する流動層装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 流動層装置
2 処理容器
3 支柱
4 フィルタ室
5 噴霧室
6 原料容器
7 吹込室
11 ブラケット
12 排気ダクト
13 放散扉
14 シェーキング式フィルタ
15 フィルタ取付部
16 スプレーノズル
17 原料収容室
18 台車
19 給気ダクト
21 目皿板
22 フランジ(フランジ部)
22a 一面側
23 金網(網目部材)
23a 周縁部
24 ボルト挿通孔
25 中央空隙部
26 接合部
31 目皿補強板
32 目皿板受け
33 目皿押さえ
34 パッキン
35 パッキン取付部
36 雌ねじ孔
37 ボルト挿通孔
38 ボルト挿通孔
39 皿ボルト
41 目皿板
42a 上フランジ
42b 下フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6