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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023190
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】噴射ガン
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/02 20060101AFI20230209BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
B05B7/02
B05C5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128472
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】521344777
【氏名又は名称】株式会社黒川建装
(71)【出願人】
【識別番号】521344788
【氏名又は名称】鹿児島ビルド有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和久
(72)【発明者】
【氏名】西岡 利行
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 勇一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 正光
(72)【発明者】
【氏名】大薄 啓次
【テーマコード(参考)】
4F033
4F041
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB18
4F033QD02
4F033QE06
4F033QE09
4F033QE25
4F041AB01
4F041CB44
4F041CB47
(57)【要約】
【課題】吹付け対象物の周辺に障害物がある場合であっても、吹付け対象物に吹付け材料を容易に吹き付けることができる噴射ガンを提供することを目的とする。
【解決手段】噴射ガン10は、ガン本体12と、本体ノズル部56Aと、本体ノズル部56Aの先端に設けられ、該本体ノズル部56Aの中心軸C1に対して傾斜する傾斜ノズル部56Bを有し、中心軸C1を中心としてガン本体12に回転可能に取り付けられ、傾斜ノズル部56Bの先端から吹付け材料を噴射する噴射ノズル50と、ガン本体12に対する噴射ノズル50の回転を制限するロックキャップ60と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガン本体と、
本体ノズル部と、前記本体ノズル部の先端に設けられ、該本体ノズル部の中心軸に対して傾斜する傾斜ノズル部を有し、前記中心軸を中心として前記ガン本体に回転可能に取り付けられ、前記傾斜ノズル部の先端から吹付け材料を噴射する噴射ノズルと、
前記ガン本体に対する前記噴射ノズルの回転を制限するロック部材と、
を備える噴射ガン。
【請求項2】
前記中心軸に対する前記傾斜ノズル部の傾斜角度が、15度以上、35度以下とされる、
請求項1に記載の噴射ガン。
【請求項3】
前記噴射ノズルよりも後側に配置され、前記噴射ノズルに圧縮空気を供給する空気ホースが接続される空気ホース接続部と、
前記ガン本体に設けられ、前記空気ホースから前記噴射ノズルに供給される圧縮空気の流量を調整する流量調整部と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の噴射ガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
噴射口から洗浄剤を噴射するスプレーガンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、噴射口から塗料を噴射するスプレーガンが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、噴射口から断熱材としての発砲ウレタンを噴射する噴射ガンが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-061354号公報
【特許文献2】実開平7-74557号公報
【特許文献3】特開2012-024682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、噴射ガン(スプレーガン)には、塗料や防水材料等の吹付け材料を供給する材料ホースが接続される。そして、材料ホースから供給された吹付け材料が、噴射口から所定方向に向けて噴射され、吹付け面等の吹付け対象物に吹き付けられる。
【0007】
ここで、例えば、狭小スペース等のように、吹付け対象物の周辺に障害物が存在する場合、噴射ガンが障害物に干渉し、吹付け対象物に吹付け材料を吹き付け難くなる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、吹付け対象物の周辺に障害物がある場合であっても、吹付け対象物に吹付け材料を容易に吹き付けることができる噴射ガンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の噴射ガンは、ガン本体と、本体ノズル部と、前記本体ノズル部の先端に設けられ、該本体ノズル部の中心軸に対して傾斜する傾斜ノズル部を有し、前記中心軸を中心として前記ガン本体に回転可能に取り付けられ、前記傾斜ノズル部の先端から吹付け材料を噴射する噴射ノズルと、前記ガン本体に対する前記噴射ノズルの回転を制限するロック部材と、を備える。
【0010】
請求項1に係る噴射ガンによれば、ガン本体と、噴射ノズルと、ロック部材とを備える。噴射ノズルは、本体ノズル部と、傾斜ノズル部とを有する。傾斜ノズル部は、本体ノズル部の先端に設けられ、本体ノズル部の中心軸に対して傾斜する。この噴射ノズルは、本体ノズル部の中心軸を中心としてガン本体に回転可能に取り付けられ、傾斜ノズル部から吹付け材料を噴射する。また、ロック部材は、ガン本体に対する噴射ノズルの回転を制限する。
【0011】
ここで、例えば、狭小スペース等のように、吹付け対象物の周辺に障害物が存在する場合、傾斜ノズル部の先端が吹付け対象物を向くように、本体ノズル部の中心軸を中心として、噴射ノズルをガン本体に対して回転させる。この状態で、ロック部材によって、ガン本体に対する噴射ノズルの回転を制限する。これにより、噴射ガンが障害物に干渉する場合であっても、吹付け対象物に吹付け材料を吹き付けることができる。
【0012】
また、ロック部材による噴射ノズルの回転の制限を解除することにより、噴射ノズルが、本体ノズル部の中心軸を中心としてガン本体に対して回転可能になる。そのため、傾斜ノズル部の先端の向きを、容易に調整することができる。したがって、施工性が向上する。
【0013】
請求項2に記載の噴射ガンは、請求項1に記載の噴射ガンにおいて、前記中心軸に対する前記傾斜ノズル部の傾斜角度が、15度以上、35度以下とされる。
【0014】
請求項2に係る噴射ガンによれば、本体ノズル部の中心軸に対する傾斜ノズル部の傾斜角度が、15度以上、35度以下とされる。これにより、吹付け材料の噴射圧に対する影響を低減しつつ、吹付け材料の噴射方向を調整することができる。
【0015】
請求項3に記載の噴射ガンは、請求項1又は請求項2に記載の噴射ガンにおいて、前記噴射ノズルよりも後側に配置され、前記噴射ノズルに圧縮空気を供給する空気ホースが接続される空気ホース接続部と、前記ガン本体に設けられ、前記空気ホースから前記噴射ノズルに供給される圧縮空気の流量を調整する流量調整部と、を備える。
【0016】
請求項3に係る噴射ガンによれば、空気ホース接続部と、流量調整部とを備える。空気ホース接続部は、噴射ノズルよりも後側に配置される。この空気ホース接続部には、噴射ノズルに圧縮空気を供給する空気ホースが接続される。
【0017】
流量調整部は、ガン本体に設けられる。この流量調整部は、空気ホースから噴射ノズルに供給される圧縮空気の流量を調整する。
【0018】
ここで、ガン本体に流量調整部を設けることにより、作業者は、吹付け対象物に対するガン本体の吹付け距離や吹付け角度等に応じて、圧縮空気の流量(ガス圧)を手元で調整することができる。したがって、施工性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、吹付け対象物の周辺に障害物がある場合であっても、吹付け対象物に吹付け材料を容易に吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る噴射ガンを示す側面図である。
図2図1に示される噴射ガンを上から見た平面図である。
図3図1に示される噴射ノズル及びロックキャップを示す斜視図である。
図4図3に示される噴射ノズル及びロックキャップの分解斜視図である。
図5図3に示される噴射ノズル及びロックキャップを示す縦断面図である。
図6図3に示される噴射ノズル及びロックキャップの分解断面図である。
図7図5に示される噴射ノズルを示す縦断面図である。
図8図1に示される噴射ガンの使用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る噴射ガンについて説明する。
【0022】
(噴射ガン)
図1には、本実施形態に係る噴射ガン10が示されている。噴射ガン10は、例えば、圧縮空気及び吹付け材料を混合させて霧化し、吹付け対象物に吹き付けるスプレーガンとされる。この噴射ガン10は、例えば、超速硬化型塗膜防水等のウレタンゴム複合系塗膜防水の施工に用いられる。
【0023】
噴射ガン10は、ガン本体12と、噴射ヘッド20と、トリガ14とを備えている。ガン本体12は、側面視にて、全体としてL字形状に形成されている。また、ガン本体12は、作業者が把持するグリップ部12Gを有している。このガン本体12には、噴射ヘッド20及びトリガ14が設けられている。
【0024】
(噴射ヘッド)
噴射ヘッド20は、グリップ部12Gの前方、かつ、上方に配置されている。この噴射ヘッド20は、後述する空気ホース32及び一対の材料ホース44から供給された圧縮空気及び吹付け材料を混合させる図示しない混合チャンバを内部に有している。また、噴射ヘッド20の先端部には、後述する噴射ノズル50が取り付けられる。この噴射ノズル50から、混合チャンバで混合された圧縮空気及び吹付け材料が霧状に噴射される。
【0025】
(空気ホースコネクタ)
図2に示されるように、噴射ヘッド20には、空気ホースコネクタ30が設けられている。空気ホースコネクタ30は、例えば、金属製のホース継手とされている。なお、空気ホースコネクタ30は、空気ホース接続部の一例である。
【0026】
空気ホースコネクタ30は、噴射ヘッド20の後方に配置されている。また、空気ホースコネクタ30は、噴射ガン10の前後方向(矢印X方向)に沿って配置されるとともに、接続口30Aを噴射ガン10の後方に向けて配置されている。この空気ホースコネクタ30には、噴射ガン10の後方から空気ホース32が接続されている。
【0027】
空気ホース32には、圧縮空気を生成する図示しないエアコンプレッサが接続されている。このエアコンプレッサから、空気ホース32、及び空気ホースコネクタ30を介して噴射ヘッド20に圧縮空気が供給される。
【0028】
空気ホースコネクタ30には、流量調整バルブ34が設けられている。この流量調整バルブ34によって、空気ホース32から噴射ヘッド20に供給される圧縮空気の流量が調整可能とされている。
【0029】
(材料ホースコネクタ)
図1及び図2に示されるように、噴射ヘッド20には、一対の材料ホースコネクタ40が設けられている。一対の材料ホースコネクタ40は、例えば、金属製のホース継手とされている。なお、材料ホースコネクタ40は、材料ホース接続部の一例である。
【0030】
図1に示されるように、一対の材料ホースコネクタ40は、噴射ヘッド20よりも後側に配置されている。各材料ホースコネクタ40は、L字形状の管継手42を介して、噴射ヘッド20に接続されている。
【0031】
管継手42には、当該管継手42を開閉するバルブ46が設けられている。このバルブ46によって管継手42を開けることにより、噴射ヘッド20に吹付け材料が供給される。一方、バルブ46によって管継手42を閉じることにより、噴射ヘッド20に対する吹付け材料の供給が停止される。
【0032】
各材料ホースコネクタ40は、噴射ガン10の上下方向(矢印Z方向)に沿って配置されるとともに、接続口40Aを噴射ヘッド20の下方に向けて配置されている。これらの材料ホースコネクタ40には、材料ホース44がそれぞれ接続されている。
【0033】
一対の材料ホース44は、一対の材料ホースコネクタ40からガン本体12のグリップ部12Gの左右方向(矢印Y方向)の両側を通って下方へ延出される。この一対の材料ホース44には、吹付け材料を供給する図示しない材料供給装置が接続されている。なお、一対の材料ホース44は、例えば、空気ホース32よりも硬く、曲げ難い硬質材料によって形成されている。
【0034】
材料供給装置には、異なる吹付け材料を貯留する一対のタンクが接続されている。一方のタンクには、例えば主剤が貯留され、他方のタンクには、例えば硬化剤が貯留される。この材料供給装置は、吹付け材料を送り出すポンプ等を有し、このポンプ等を作動することにより、一対のタンクから一対の材料ホース44を介して噴射ヘッド20に吹付け材料が供給される。
【0035】
(トリガ)
ガン本体12には、トリガ14が設けられている。トリガ14は、グリップ部12Gの前方に配置されており、その上部がガン本体12に回転可能に取り付けられている。このトリガ14を作業者が操作することにより、すなわちトリガ14を作業者が引くことにより、噴射ヘッド20に設けられた図示しないバルブが開き、一対の材料ホース44から噴射ヘッド20に吹付け材料が供給される。
【0036】
なお、本実施形態では、トリガ14の操作によって、噴射ヘッド20に対する吹付け材料の供給及び停止が制御されるが、噴射ヘッド20に対する圧縮空気の供給及び停止は制御されない。噴射ヘッド20に対する圧縮空気の供給及び停止は、流量調整バルブ34によって制御される。つまり、流量調整バルブ34が開いた状態では、トリガ14の操作有無に関わらず、噴射ノズル50から圧縮空気が噴射される。
【0037】
(噴射ノズル)
図3及び図4に示されるように、噴射ヘッド20の前端部には、噴射ノズル50が着脱可能に取り付けられる。具体的には、図5及び図6に示されるように、噴射ヘッド20の前端部に形成された開口22内に、接続スリーブ24が配置されている。
【0038】
接続スリーブ24は、円筒状に形成されており、噴射ガン10の前後方向に沿って配置されている。また、接続スリーブ24は、前述した噴射ヘッド20内の混合チャンバに接続されている。この接続スリーブ24の先端部に、噴射ノズル50が着脱可能、かつ、回転可能(図5の矢印R方向)に取り付けられる。
【0039】
なお、接続スリーブ24の先端部における外周面には、後述するロックキャップ60が締め込まれる雄ネジ部26が設けられている。
【0040】
噴射ノズル50は、挿入部52と、フランジ部54と、ノズル部56とを有している。挿入部52は、円筒状に形成されている。この挿入部52は、接続スリーブ24の先端部内に、抜き差し可能に挿入された状態(嵌め込まれた状態)で、接続スリーブ24と接続される。この挿入部52の一端部(前端部)には、フランジ部54が設けられている。
【0041】
フランジ部54は、円板状に形成されており、挿入部52の一端部から鍔状に張り出している。このフランジ部54は、接続スリーブ24の先端部内に挿入部52を挿入した状態で、接続スリーブ24の端面24Eに接触される。これにより、接続スリーブ24に対して、噴射ノズル50が軸方向に位置決められる。
【0042】
なお、フランジ部54の外形は、接続スリーブ24の雄ネジ部26の外形よりも小さくされている。これにより、後述するロックキャップ60が、接続スリーブ24の雄ネジ部26に締め込み可能とされている。
【0043】
フランジ部54には、ノズル部56が設けられている。ノズル部56は、円筒状に形成されている。また、ノズル部56は、フランジ部54から挿入部52と反対側に突出している。このノズル部56は、フランジ部54に形成された図示しない貫通孔を介して挿入部52と通じている。
【0044】
ノズル部56は、本体ノズル部56Aと、傾斜ノズル部56Bとを有している。本体ノズル部56Aは、フランジ部54から直線状に突出している。また、本体ノズル部56Aは、挿入部52及び接続スリーブ24と同軸上に配置される。これらの本体ノズル部56A、挿入部52、及び接続スリーブ24は、例えば、噴射ガン10の前後方向に沿って配置されている。この本体ノズル部56Aの先端には、傾斜ノズル部56Bが設けられている。
【0045】
図7に示されるように、傾斜ノズル部56Bは、例えば、ノズル部56の先端側を屈曲させることにより形成される。この傾斜ノズル部56Bは、円筒状に形成されている。また、傾斜ノズル部56Bは、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対して傾斜されている。
【0046】
より具体的には、傾斜ノズル部56Bの中心軸C2は、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対して傾斜されている。これにより、傾斜ノズル部56Bの先端に形成された噴射口58が、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対して、傾斜する方向を向いている。この傾斜ノズル部56Bの噴射口58から、圧縮空気及び吹付け材料が霧状に噴射される。なお、本実施形態では、噴射口58が中心軸C2と直交している。
【0047】
ここで、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対する傾斜ノズル部56Bの中心軸C2の傾斜角度θが大きくなると、吹付け材料に対する傾斜ノズル部56Bの抵抗が大きくなり、噴射口58から所定の噴射圧で吹付け材料を噴射することができなくなる可能性がある。この場合、例えば、吹付け材料の硬化不良等が発生し易くなる。
【0048】
そのため、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対する傾斜ノズル部56Bの中心軸C2の傾斜角度θは、吹付け材料の噴射圧等に応じて適宜設定される。この傾斜角度θは、例えば、15度以上、かつ、35度以下に設置することが望ましく、25度以上、35以下に設定することがより好ましい。なお、本実施形態では、傾斜角度θが30度に設定されている。
【0049】
(ロックキャップ)
図5及び図6に示されるように、接続スリーブ24の先端部には、ロックキャップ60が着脱可能に取り付けられる。ロックキャップ60は、接続スリーブ24の先端部に被せられるキャップ状に形成されている。このロックキャップ60の内周面には、雌ネジ部62が設けられている。この雌ネジ部62を接続スリーブ24の雄ネジ部26に締め込むことにより、ロックキャップ60が接続スリーブ24に取り付けられる。
【0050】
また、ロックキャップ60の外周面には、環状溝66が形成されている。この環状溝66には、Oリング68が嵌め込まれる。このOリング68によって、ロックキャップ60と噴射ヘッド20との隙間が密閉される。なお、ロックキャップ60は、ロック部材の一例である。
【0051】
ロックキャップ60の底部60Aには、貫通孔64が形成されている。貫通孔64は、例えば、底部60Aを厚み方向に貫通する楕円形状の孔とされている。この貫通孔64には、ロックキャップ60を接続スリーブ24の先端部に取り付けた状態で、噴射ノズル50のノズル部56が挿入される。これにより、ノズル部56の傾斜ノズル部56Bが、貫通孔64を介してロックキャップ60の外側へ突出される。なお、貫通孔64は、楕円形状に限らず、円形状でも良い。
【0052】
また、図5に示されるように、接続スリーブ24の雄ネジ部26に対してロックキャップ60の雌ネジ部62を締め込むと、ロックキャップ60の底部60Aと接続スリーブ24の端面24Eとの間で噴射ノズル50のフランジ部54が挟持される。これにより、接続スリーブ24に噴射ノズル50が固定され、接続スリーブ24に対する噴射ノズル50の回転が制限される。
【0053】
ここで、噴射ノズル50による吹付け材料の噴射方向を調整する場合は、先ず、接続スリーブ24の雄ネジ部26に締め込まれたロックキャップ60を緩める。これにより、接続スリーブ24に対して噴射ノズル50が、本体ノズル部56Aの中心軸C1を中心として回転可能(図5の矢印R方向)になる。
【0054】
次に、ロックキャップ60の貫通孔64から突出する傾斜ノズル部56Bを把持して回転させ、傾斜ノズル部56Bの先端(噴射口58)を所定方向に向ける。この状態で、接続スリーブ24の雄ネジ部26にロックキャップ60を締め込むことにより、ロックキャップ60の底部60Aと接続スリーブ24の端面24Eとの間で噴射ノズル50のフランジ部54が固定される。
【0055】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0056】
図1に示されるように、本実施形態に係る噴射ガン10は、ガン本体12と、噴射ノズル50と、ロック部材の一例としての接続スリーブ24及びロックキャップ60とを備えている。噴射ノズル50は、本体ノズル部56Aと、傾斜ノズル部56Bとを有している。
【0057】
図7に示されるように、傾斜ノズル部56Bは、本体ノズル部56Aの先端に設けられ、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対して傾斜している。図5に示されるように、噴射ノズル50は、本体ノズル部56Aの中心軸C1を中心として、接続スリーブ24に回転可能(矢印R方向)に取り付けられ、傾斜ノズル部56Bから吹付け材料を噴射する。
【0058】
ここで、例えば、狭小スペース等のように、吹付け対象物の周辺に障害物が存在する場合、噴射ガン10が障害物に干渉し、吹付け対象物に吹付け材料を吹き付け難くなる可能性がある。
【0059】
具体的には、図8には、吹付け対象物の一例として、排水溝92が示されている。排水溝92は、底面92A及び一対の内側面92B,92Cを有し、外壁90の下端部に沿って形成されている。
【0060】
また、比較例として、噴射ノズル50に傾斜ノズル部56Bがない噴射ガン10では、矢印Pで示されるように、噴射ノズル50から吹付け材料が噴射される。この比較例に係る噴射ガン10によって、排水溝92における外壁90と反対側の内側面92Cに吹付け材料を吹き付ける場合、例えば、外壁90に噴射ガン10のバルブ46が干渉し、内側面92Cに、所定の吹付け距離及び吹付け角度で吹付け材料を吹き付けることができない可能性がある。
【0061】
これに対して本実施形態の噴射ガン10には、前述したように、噴射ノズル50に傾斜ノズル部56Bが設けられている。そのため、本実施形態では、噴射ノズル50の向きを調整し、傾斜ノズル部56Bの先端(噴射口58)を排水溝92の内側面92C側に向けることができる。
【0062】
具体的には、図5に示されるように、先ず、接続スリーブ24の雄ネジ部26に締め込まれたロックキャップ60を緩める。これにより、接続スリーブ24に対して噴射ノズル50が、本体ノズル部56Aの中心軸C1を中心として回転可能になる。
【0063】
次に、ロックキャップ60の貫通孔64から突出する傾斜ノズル部56Bを把持し、傾斜ノズル部56Bの先端(噴射口58)が排水溝92の内側面92C(図8参照)側を向くように、噴射ノズル50を回転させる。この状態で、接続スリーブ24の雄ネジ部26にロックキャップ60を締め込むことにより、ロックキャップ60の底部60Aと接続スリーブ24の端面24Eとの間で噴射ノズル50が固定される。
【0064】
これにより、図8に示されるように、噴射ガン10のバルブ46が外壁90に干渉する場合であっても、矢印Sで示されるように、排水溝92の内側面92Cに、所定の吹付け距離及び吹付け角度で吹付け材料を吹き付けることができる。したがって、施工性が向上する。
【0065】
また、前述したように、ロックキャップ60を緩めることにより、噴射ノズル50が、本体ノズル部56Aの中心軸C1を中心として噴射ヘッド20(接続スリーブ24)に対して回転可能になる。そのため、傾斜ノズル部56Bの先端(噴射口58)の向きを、容易に調整することができる。したがって、施工性がさらに向上する。
【0066】
さらに、図7に示されるように、本実施形態では、本体ノズル部56Aの中心軸C1に対する傾斜ノズル部56Bの傾斜角度θが、15度以上、35度以下とされている。これにより、吹付け材料の噴射圧に対する影響を低減しつつ、吹付け材料の噴射方向を調整することができる。
【0067】
また、図5及び図6に示されるように、噴射ノズル50は、噴射ヘッド20に着脱可能に取り付けられる。そのため、例えば、障害物がない広いスペースでは、噴射ノズル50を、傾斜ノズル部56Bがノズル部56にない通常の噴射ノズルに容易に交換することができる。
【0068】
また、噴射ヘッド20には、空気ホース32が接続される空気ホースコネクタ30が設けられている。この空気ホースコネクタ30には、空気ホース32から噴射ヘッド20に供給される圧縮空気の流量を調整する流量調整バルブ34が設けられている。
【0069】
これにより、作業者は、吹付け対象物に対する噴射ガン10の吹付け距離や吹付け角度等に応じて、圧縮空気の流量(ガス圧)を手元で調整することができる。したがって、施工性がさらに向上する。
【0070】
さらに、図1及び図2に示されるように、噴射ヘッド20には、一対の材料ホースコネクタ40が設けられている。一対の材料ホースコネクタ40は、噴射ヘッド20(噴射ノズル50)よりも後側に配置されている。また、図1に示されるように、材料ホースコネクタ40は、噴射ガン10の上下方向に沿って配置されており、接続口40Aが下方を向いている。この一対の材料ホースコネクタ40には、材料ホース44がそれぞれ接続される。
【0071】
ここで、材料ホースコネクタ40に対して噴射ヘッド20の後方から材料ホース44が接続される場合、狭小スペース等において、材料ホースが障害物に干渉し、吹付け対象物に対して吹付け材料を吹き付け難くなる可能性がある。
【0072】
これに対して本実施形態では、前述したように、材料ホースコネクタ40の接続口40Aが下方を向いている。そのため、材料ホースコネクタ40に対して、ガン本体12の下方から材料ホース44を接続することができる。この場合、一対の材料ホース44が、ガン本体12のグリップ部12Gの左右両側を通って噴射ガン10の下方に延出する。
【0073】
そのため、本実施形態では、材料ホースコネクタ40に対してガン本体12の後方から材料ホース44が接続される場合と比較して、狭小スペース等において、材料ホース44が障害物に干渉し難くなる。したがって、吹付け対象物に吹付け材料を吹き付け易くなるため、施工性がさらに向上する。
【0074】
なお、本実施形態では、空気ホースコネクタ30に、噴射ガン10の後方から空気ホース32が接続されており、空気ホース32が空気ホースコネクタ30から噴射ガン10の後方に延出している。しかし、空気ホース32は、一対の材料ホース44よりも柔らかく、曲げ易い軟質材料によって形成されている。そのため、狭小スペース等では、空気ホース32を曲げることにより、障害物に対する空気ホース32の干渉を容易に回避することができる。
【0075】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0076】
上記実施形態では、噴射ヘッド20に一対の材料ホースコネクタ40が設けられている。しかし、噴射ヘッド20(ガン本体12)には、少なくとも1つの材料ホースコネクタ40を設けることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、材料ホースコネクタ40が、噴射ガン10の下方を向いている。しかし、材料ホースコネクタ40の向きは、噴射ガン10の下方に限らず、例えば、噴射ガン10の後方でも良い。
【0078】
また、材料ホース接続部は、材料ホースコネクタ40に限らず、他の継手構造でも良い。これと同様に、空気ホース接続部は、空気ホースコネクタ30に限らず、他の継手構造でも良い。
【0079】
また、上記実施形態では、空気ホースコネクタ30に、流量調整部としての流量調整バルブ34が設けられている。しかし、流量調整部は、流量調整バルブ34に限らず、圧縮空気の流量を調整可能な他の流量調整機構でも良い。また、流量調整バルブ34は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
10 噴射ガン
12 ガン本体
30 空気ホースコネクタ(空気ホース接続部)
32 空気ホース
34 流量調整バルブ(流量調整部)
40 材料ホースコネクタ(材料ホース接続部)
44 材料ホース
50 噴射ノズル
56A 本体ノズル部
56B 傾斜ノズル部
60 ロックキャップ(ロック部材)
C1 中心軸(本体ノズル部の中心軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8