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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023201
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】運搬車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20230209BHJP
   B60R 11/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
B60R11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128487
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】笠 直亮
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昌之
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA15
3D020BB02
3D020BC19
3D020BD14
(57)【要約】
【課題】給排弁にアダプタを接続する際に、アダプタを運搬する手間を低減できる運搬車両を提供すること。
【解決手段】タンクローリ1には、液体用弁6a及び気体用弁6bが内部に格納される弁箱6内に、アダプタ7を格納する格納箱6dが設けられる。これにより、液体用弁6a及び気体用弁6bにアダプタ7を接続する場合に、格納されたアダプタ7を弁箱6の外側から運搬する必要がないので、その手間を低減させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体等の積載物を積載するタンクと、そのタンクへの前記積載物の供給または前記タンクからの前記積載物の排出を行う給排弁と、その給排弁が内部に格納される箱状の弁箱とを備えた運搬車両において、
前記弁箱内には、前記給排弁と前記積載物の供給元または排出先に着脱可能なアダプタを格納する格納部が設けられることを特徴とする運搬車両。
【請求項2】
前記格納部には、前記アダプタを前記格納部に固定する固定手段が設けられることを特徴とする請求項1記載の運搬車両。
【請求項3】
前記固定手段は、細長状に形成され、
細長状の前記固定手段を、前記格納部の載置面に載置された前記アダプタ上に架け渡すことで、前記アダプタが前記格納部に固定されることを特徴とする請求項2記載の運搬車両。
【請求項4】
前記格納部は、その載置面に壁が立設された箱状に形成され、
前記壁は、前記固定手段が架け渡された前記アダプタが前記載置面に対して相対移動しても、前記壁と前記アダプタとが接触しない位置に立設されることを特徴とする請求項3記載の運搬車両。
【請求項5】
前記格納部の載置面には、2の通し穴が形成され、
前記固定手段は、前記載置面の裏側から2の前記通し穴に挿通されることで前記載置面上に架け渡されることを特徴とする請求項3又は4に記載の運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクT2における側方の下部に、弁計器箱B1(弁箱)が設けられたタンクローリT1(運搬車両)が開示されている。弁計器箱B1には通気弁9及び液取出入弁10(いずれも給排弁)が設けられ、これら通気弁9及び液取出入弁10を介して、タンクT2への積載物の積載またはタンクT2からの積載物の払い出しが行われる。
【0003】
この際、通気弁9及び液取出入弁10と、積載物の供給元または払い出し先とが接続されるが、これらの接続口の形状や大きさ等が異なる場合がある。かかる場合に、通気弁9及び液取出入弁10と積載物の供給元または払い出し先との間に、特許文献2に開示される着脱可能なアダプタフランジAF1(アダプタ)が接続される。これにより、通気弁9及び液取出入弁10と、積載物の供給元または払い出し先との接続口の形状等が異なっても、タンクT2への積載物の積載またはタンクT2からの積載物の排出が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-067179号公報(例えば、段落0011-0013,図1~3)
【特許文献2】特開2004-083034号公報(例えば、段落0021-0023,図4~6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の運搬車両では、弁箱とは別に設けられた箱にアダプタが格納されていた。このため、アダプタを給排弁に接続する場合は、アダプタを箱から取り出して弁箱まで運搬する手間が必要となり、更にかかる運搬中にアダプタが落下すると作業者が負傷する虞があるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、給排弁にアダプタを接続する際に、アダプタを運搬する手間を低減できる運搬車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の運搬車両は、液体等の積載物を積載するタンクと、そのタンクへの前記積載物の供給または前記タンクからの前記積載物の排出を行う給排弁と、その給排弁が内部に格納される箱状の弁箱とを備え、前記弁箱内には、前記給排弁と前記積載物の供給元または排出先に着脱可能なアダプタを格納する格納部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の運搬車両によれば、弁箱内には、アダプタを格納する格納部が設けられるので、給排弁が格納される弁箱内にアダプタを格納できる。これにより、アダプタを給排弁に接続する際に、アダプタを弁箱外から持ってくる必要がないので、アダプタを運搬する手間を低減できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の運搬車両によれば、請求項1記載の運搬車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。格納部には、アダプタを格納部に固定する固定手段が設けられる。これにより、運搬車両の走行等による振動で、アダプタが格納部から離脱して散乱するのを抑制できるので、アダプタによって給排弁や弁箱内の他の機器を損傷するのを抑制できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の運搬車両によれば、請求項2記載の運搬車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。固定手段は細長状に形成され、細長状の固定手段を格納部の載置面に載置されたアダプタ上に架け渡すことで、アダプタが格納部に固定される。従って、1つのアダプタに固定手段を架け渡すことで格納部へ固定できるだけでなく、複数のアダプタに同一の固定手段を架け渡すことで、これらをまとめて格納部へ固定できる。これにより、格納部に格納されるアダプタ毎に、アダプタを固定する器具を設ける必要がないので、格納部のスペース効率を維持できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の運搬車両によれば、請求項3記載の運搬車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。格納部は、載置面に壁が立設された箱状に形成されるので、格納部の外部から飛散等して来たゴミや泥等が載置面上に侵入するのを格納部の載置面および壁によって抑制される。これにより、格納部に格納されたアダプタが損傷や汚染するのを抑制できるという効果がある。また、格納部の壁は、固定手段に架け渡されたアダプタが載置面に対して相対移動しても、壁とアダプタとが接触しない位置に立設される。これにより、格納部の壁によってアダプタが損傷するのを抑制できるという効果もある。
【0012】
請求項5記載の運搬車両によれば、請求項3又は4に記載の運搬車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。載置面には、2の通し穴が形成され、固定手段は、格納部の載置面の裏側から2の通し穴に挿通されることで格納部の載置面上に架け渡される。これにより、載置面上に固定手段を設けるための別途の器具(例えば固定手段を載置面に固定するためのもの)を設置することなく、固定手段を設けることができるという効果がある。また、固定手段は通し穴に挿通して設けられるので、損傷や劣化した固定手段を容易に交換できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、タンクローリの側面図であり、(b)は、弁箱の正面図である。
図2】(a)は、格納箱の正面図であり、(b)は、(a)の矢印IIb方向における格納箱の上面図である。
図3図2(a)のIII-III断面線における格納箱の断面図である。
図4】(a)は、変形例における載置面に穿孔した固定孔を表す図であり、(b)は、(a)の矢印IVb-IVb断面線における断面図であり、(c)は、変形例における載置面に設けた固定穴を表す図である。
図5】(a)は、変形例における水平方向に対向した板バネによる固定具を表す図であり、(b)は、(a)の固定具にアダプタを固定した場合を表す図であり、(c)は、変形例における下固定部および上固定部で構成される固定具を表す図であり、(d)は、(c)の固定具にアダプタを固定した場合を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態におけるタンクローリ1の構成を説明する。図1(a)は、タンクローリ1の側面図である。図1において、矢印U-Dはタンクローリ1の上下方向を、矢印F-Bは、タンクローリ1の前後方向を、矢印L-Rはタンクローリ1の左右方向を、それぞれ示しており、図2以降も同様とする。
【0015】
タンクローリ1は、LPG(液化石油ガス)等を液体として積載物を運搬する車両(運搬車両)であり、複数の車輪2と、それら複数の車輪2に支持されると共にタンクローリ1の前後方向に沿って延設されるシャシフレーム3と、シャシフレーム3上に設けられるサブフレーム4と、シャシフレーム3にサブフレーム4を介して架装され積載物を積載するタンク5と、弁箱6とを有する。弁箱6は、タンク5における側方の下部に設けられる直方体状かつ箱状の部材である。その弁箱6の正面には、開放可能な扉が設けられる。図1(b)を参照して弁箱6の内部を説明する。
【0016】
図1(b)は、弁箱6の正面図である。図1(b)では、図1(a)において弁箱6の扉を取り外した状態を表す。なお、本実施形態における弁箱6の正面視の方向は、タンクローリ1の側面視の方向と同一とされる。弁箱6内には主に、液体用弁6a及び気体用弁6bと、積載物の荷役作業時に操作される操作装置6cとが設けられる。
【0017】
液体用弁6aは、液体をタンク5へ供給し、または液体をタンク5から排出するもの(給排弁)であり、弁箱6内の下部に設けられる。気体用弁6bは、気体をタンク5へ供給し、または気体をタンク5から排出するもの(給排弁)であり、弁箱6内の下部であって液体用弁6aの正面視における右側(即ち矢印B方向側)に設けられる。タンク5への積載物の供給の際には、気体用弁6bからタンク5内の気体が排出され、またはタンク5からの積載物の払い出しの際には、気体用弁6bへ気体が供給される。
【0018】
液体用弁6a及び気体用弁6bには、それぞれ接続口6a1及び接続口6b1と、接続口6a1及び接続口6b1を保護するための着脱可能なカバー6a2及びカバー6b2とが設けられる。カバー6a2及びカバー6b2を接続口6a1及び接続口6b1から取り外し、接続口6a1及び接続口6b1と、積載物の供給元または払い出し先における接続口(図示せず)とを接続することで、タンク5への積載物の供給またはタンク5からの積載物の払い出しが行われる。
【0019】
ところで、これら接続口6a1,6b1と、積載物の供給元または払い出し先における接続口との形状や大きさ(例えば接続口の口径)が異なる場合がある。その場合、接続口6a1,6b1に接続口の形状等を変換するための着脱可能なアダプタ7(図2参照)が接続される。本実施形態において、弁箱6の正面視における気体用弁6bの右側には、そのアダプタ7を格納するための格納箱6dが設けられる。図2,3を参照して、アダプタ7及び格納箱6dの詳細を説明する。
【0020】
図2(a)は、格納箱6dの正面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向における格納箱6dの上面図であり、図3は、図2(a)のIII-III断面線における断面図である。
【0021】
図2(a),(b)に示すように、格納箱6dは、その上面が開放した箱状の部材(格納部)である。具体的に、格納箱6dは、その底面を形成しアダプタ7が載置される上面視において長方形状の載置面6d1と、その載置面6d1の端部に沿って立設される壁6d2とで構成される。壁6d2の高さは、アダプタ7のうち、第2フランジ部7cの直径が最も大きいアダプタ7(以下「最大径のアダプタ7」という)における第2フランジ部7cの半径よりも高く形成される。
【0022】
格納箱6dが箱状に形成され、壁6d2の高さが最大径のアダプタ7の第2フランジ部7cの半径よりも高く形成されることで、積載物の払い出し作業等で弁箱6の扉を開放中に格納箱6dの外部から飛散等して来たゴミや泥等が格納箱6dの内部、具体的にはアダプタ7が載置される載置面6d1上に侵入するのを、壁6d2によって抑制される。これにより、格納箱6dに格納されたアダプタ7が損傷や汚染するのを抑制できる。また、壁6d2が最大径のアダプタ7の第2フランジ部7cの半径よりも高く形成されるので、アダプタ7に固定された後述のベルト6d3が外れた場合でも、アダプタ7が格納箱6dから離脱するのを抑制できる。
【0023】
かかる格納箱6dに格納されるアダプタ7は、筒状のパイプ部7aと、そのパイプ部7aの両端に形成されるフランジ状の第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cとで構成される。また、第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cには、それぞれパイプ部7aと連通する第1接続口7b1及び第2接続口7c1がそれぞれ形成される。
【0024】
アダプタ7は、格納箱6dの載置面6d1上に、その第1接続口7b1及び第2接続口7c1をタンクローリ1の前後方向(水平方向)に向けた横置きに載置される。これにより、載置面6d1と第1接続口7b1及び第2接続口7c1とが接触し難くなるので、載置面6d1によって第1接続口7b1及び第2接続口7c1が損傷してしまうのを抑制できる。
【0025】
格納箱6dにおけるタンクローリ1の前後方向に対向する壁6d2の間隔は、アダプタ7のうち、全長が最も長いアダプタ7(以下「最大長のアダプタ7」という)の全長に、その最大長のアダプタ7の第1フランジ部7bと第2フランジ部7cとの間隔を加えた寸法より大きい間隔に設定される。
【0026】
また載置面6d1は、第1接続口7b1及び第2接続口7c1をタンクローリ1の前後方向に向けて横置きした最大径のアダプタ7を、タンクローリ1の左右方向に3つ並べて配置できるように形成される。これにより、1つの格納箱6dに最大3つのアダプタ7をまとめて配置できるので、アダプタ7毎に弁箱6に格納箱6dを設ける場合と比較して、格納箱6dを設けるためのコストや手間を低減できる。なお、載置面6d1に配置されるアダプタ7の最大数は3に限られず、3以上でも良いし、3以下でも良い。
【0027】
更に、載置面6d1にアダプタ7が第1接続口7b1及び第2接続口7c1をタンクローリ1の前後方向に向けて配置されることで、アダプタ7の第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cの転がり方向が、載置面6d1におけるタンクローリ1の左右方向、即ちタンクローリ1が直進する場合の進行方向と直交する方向と一致する。よって、タンクローリ1の直進または停止による慣性力で、第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cが載置面6d1上で転がるのを抑制できる。
【0028】
格納箱6dには、アダプタ7を固定するためのベルト6d3が設けられる。ベルト6d3は、帯状に形成されたポリプロピレン製の部材(固定手段)であり、載置面6d1に形成された2つの通し穴6d4に、載置面6d1の下面側から挿通されることで設けられる。かかるベルト6d3を載置面6d1に載置されたアダプタ7のパイプ部7a上に架け渡した上で、ベルト6d3でロックすることで、アダプタ7が格納箱6dに固定される。
【0029】
ベルト6d3が帯状に形成されるので、1つのアダプタ7を1つのベルト6d3で束ねて格納箱6dへ固定できるだけでなく、複数のアダプタ7を1つのベルト6d3で束ねてこれらをまとめて格納箱6dへ固定できる。よって、格納箱6dに格納されるアダプタ7毎に、アダプタ7を固定する器具を複数設ける必要がない。図2(b),図3では、隣り合うアダプタ7の間隔を空けた状態でベルト6d3でパイプ部7aを束ねた場合を表したが、これに限られず、隣り合うアダプタ7の第1フランジ部7b同士または第2フランジ部7c同士を接触させた状態で、ベルト6d3でこれらのパイプ部7aを束ねても良い。
【0030】
またアダプタ7は、ベルト6d3と格納箱6dの載置面6d1とによって、上下から挟み込んだ状態で固定されるので、タンクローリ1の走行等による上下方向の振動で、アダプタ7が格納箱6dから離脱するのを抑制できる。
【0031】
更にベルト6d3を帯状とすることで、紐状とした場合と比較して、ベルト6d3とアダプタ7とが接する面積を増大させることができるので、アダプタ7を格納箱6dへしっかりと固定できる。またベルト6d3は、通し穴6d4に挿通することで設けられるので、損傷や劣化したベルト6d3を容易に交換することができる。
【0032】
これら2つの通し穴6d4は、載置面6d1の左右方向における略中央に穿孔される。上記した通り、載置面6d1の左右方向に対向する壁6d2の間隔は、最大長のアダプタ7の全長に、その最大長のアダプタ7の第1フランジ部7bと第2フランジ部7cとの間隔を加えた寸法より大きい間隔に設定される。即ち通し穴6d4と、左右方向側の壁6d2との距離は、最大長のアダプタ7の全長に、その最大長のアダプタ7の第1フランジ部7bと第2フランジ部7cとの間隔を加えた寸法よりも離れている。
【0033】
このような位置に壁6d2及び通し穴6d4を設けることで、通し穴6d4に挿通されたベルト6d3を、パイプ部7aの第1フランジ部7b側または第2フランジ部7c側にズレた位置で束ねた場合や、ベルト6d3でパイプ部7aの中央を束ねたにもかかわらず、タンクローリ1の走行等による振動でアダプタ7が載置面6d1に対して相対移動した場合でも、第1フランジ部7b又は第2フランジ部7cを格納箱6dの壁6d2と接触し難くできる。よって、第1フランジ部7b又は第2フランジ部7cや、これらに形成される第1接続口7b1又は第2接続口7c1が壁6d2と接触し損傷するのを防止できる。
【0034】
また、パイプ部7aの両端に第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cが形成されるので、パイプ部7aに架け渡されたベルト6d3が第1フランジ部7b側または第2フランジ部7c側にズレても、ベルト6d3が第1フランジ部7b又は第2フランジ部に引っ掛かるように構成される。これにより、パイプ部7a及びアダプタ7がベルト6d3から離脱し難くできる。
【0035】
ベルト6d3の両端には、着脱可能なサイドリリース式のバックル6d5,6d6(固定部)が設けられる。バックル6d5とバックル6d6とを外した状態で、ベルト6d3をパイプ部7a上に架け渡した上でバックル6d5とバックル6d6とを嵌めることで、アダプタ7がベルト6d3に固定される。
【0036】
以上説明した通り、本実施形態のタンクローリ1には、液体用弁6a及び気体用弁6bが格納される弁箱6内に、アダプタ7を格納する格納箱6dが設けられる。これにより、液体用弁6a及び気体用弁6bにアダプタ7を接続する場合に、アダプタ7を弁箱6の外側から運搬する必要がないので、その手間を低減させることができる。
【0037】
その格納箱6dには、アダプタ7を固定するためのベルト6d3が設けられる。これにより、タンクローリ1の走行等による振動でアダプタ7が格納箱6dから離脱するのを抑制できるので、アダプタ7によって液体用弁6a及び気体用弁6bや操作装置6c等が損傷してしまうのを抑制できる。
【0038】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0039】
上記実施形態では、格納部として箱状の格納箱6dを例示した。しかし、これに限られず、例えば格納部を、格納箱6dから壁6d2の一部を省略して構成しても良いし、全ての壁6d2を省略し、載置面6d1のみで構成しても良い。
【0040】
上記実施形態では、固定手段としてベルト6d3を例示したが、固定手段を帯状に形成された他の部材、例えば合成ゴム製のバンドで構成しても良い。かかるバンドは弾性変形するので、バックル6d5における長さ調整する機構を省略してもベルト6d3の長さを調整できる。また、固定手段はベルト6d3及びバンドに限られず、ロープやテグス、或いは鉄等の金属による鎖やワイヤー等の紐状や細長状に形成された部材でも良い。
【0041】
また、固定手段を帯状または紐状で構成する代わりに、他の手段によってアダプタ7を格納箱6dに固定しても良い。例えば、図4(a),(b)に示すように、載置面6d1にアダプタ7の第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cの下部が嵌合可能な穴である固定孔6d30を穿孔し、該固定孔6d30に第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cを嵌め込むことでアダプタ7を固定孔6d30に固定しても良い。
【0042】
更に固定孔6d30の代わりに、図4(c)に示すように、載置面6d1に第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cの下部が嵌合可能な円弧状の窪みである固定穴6d31を形成し、該固定穴6d31に第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cに嵌め込むことで、アダプタ7を固定穴6d31に固定しても良い。
【0043】
これらの場合、固定孔6d30及び固定穴6d31の幅(図4(a)の上下方向の寸法)を、最大径のアダプタ7の第2フランジ部7cの幅よりも大きく設定し、固定孔6d30及び固定穴6d31の長手方向側の長さ(図4(a)の左右方向の寸法)を、アダプタ7のうち、第2フランジ部7cの直径が最も小さいアダプタ7の半径よりも小さく設定することが好ましい。
【0044】
また図5(a),(b)に示すように、載置面6d1上に、2つの板バネによる固定具6d32を設け、2つの板バネでアダプタ7を挟むことで、アダプタ7を格納箱6dに固定しても良い。具体的には、固定具6d32における2つの板バネのそれぞれの略中央部には、最大径のアダプタ7のパイプ部7aの外周の形状に沿って湾曲させた湾曲部6d32a,6d32bが形成され、これら湾曲部6d32a,6d32bの間に、アダプタ7のパイプ部7aを嵌合させることで、アダプタ7が固定具6d32に固定される。また、固定具6d32における2つの板バネの上端部には、それぞれ外側に屈曲させたガイド部6d32c,6d32dが形成される。かかるガイド部6d32c,6d32dによって、アダプタ7のパイプ部7aを容易に2つの板バネの間に挿入させることができる。
【0045】
更に図5(c),(d)に示す固定具6d33のように、載置面6d1上に、下部を構成する下固定部6d33aと上部を構成する上固定部6d33bとをヒンジ6d33cで接続した固定具6d33を設け、下固定部6d33aと上固定部6d33bとでパイプ部7aを挟むことで、アダプタ7を格納箱6dに固定しても良い。具体的に、下固定部6d33aと上固定部6d33bとのそれぞれの重なり部分には、最大径のアダプタ7のパイプ部7aの外周の形状に沿って形成された窪みである凹部6d33d,6d33eが形成され、凹部6d33d,6d33eでパイプ部7aを挟むことで、アダプタ7が固定具6d33に固定される。
【0046】
図5(a),(b)の固定具6d32における湾曲部6d32a,6d32bや、図5(c),(d)の固定具6d33における下固定部6d33a及び上固定部6d33bでアダプタ7のパイプ部7aを固定した場合に、第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cが載置面6d1と非接触となるように、それぞれ構成しても良い。これにより、載置面6d1によって第1フランジ部7b及び第2フランジ部7cが損傷してしまうのを抑制できる。
【0047】
また、ベルト6d3等の固定手段が劣化等で破損することで、壁6d2及びアダプタ7が損傷しないよう、壁6d2の内側に合成ゴムやスポンジ等の衝撃吸収材を貼り付けることが好ましい。
【0048】
上記実施形態では、ベルト6d3の固定部としてサイドリリース式のバックル6d5,6d6を例示したが、これに限られず、輪状のバックル等、他の方式のバックルを用いても良いし、バックル以外の固定機構を固定部として用いても良い。また、ベルト6d3からバックル6d5,6d6等の固定部を省略し、アダプタ7に架け渡して束ねたベルト6d3の両端を、作業員が縛って固定しても良い。
【0049】
上記実施形態では、載置面6d1に通し穴6d4を設け、通し穴6d4に帯状のベルト6d3を挿通させることで、載置面6d1にベルト6d3を設けた。しかし、これに限られず、例えば、通し穴6d4の代わりに、載置面6d1上にベルト6d3の端部を着脱可能に挟んで固定するクリップ等の固定具を設け、その固定具にベルト6d3の端部を挟むことで、載置面6d1にベルト6d3を設けても良い。また、ベルト6d3を、格納箱6dの壁6d2の上端を架け渡し、架け渡したベルト6d3でアダプタ7が格納箱6dから離脱しないように構成しても良い。
【0050】
上記実施形態では、3個の直線状のアダプタ7を、ベルト6d3で固定したが、アダプタ7の形状はこれに限られない。例えば、パイプ部7aの中央を90度に屈曲させたものをアダプタ7として用いても良いし、他の形状でも良い。また、ベルト6d3で固定するアダプタ7の個数は3個以下でも、3個以上でも良い。
【0051】
上記実施形態では、運搬車両として液体の積載物を運搬するタンクローリ1を用いて説明した。しかし、これに限られず、気体や固体を運搬するタンクローリに適用しても良いし、バルクローリ等の他の運搬車両もしくは車両に適用しても良い。
【0052】
上記実施形態に挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 タンクローリ(運搬車両)
5 タンク
6 弁箱
6a 液体用弁(給排弁)
6b 気体用弁(給排弁)
6d 格納箱(格納部)
6d1 載置面
6d2 壁
6d3 ベルト(固定手段)
6d30 固定孔(固定手段)
6d31 固定穴(固定手段)
6d32,6d33 固定具(固定手段)
6d4 通し穴
7 アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5