(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023207
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】空調ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20230209BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230209BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230209BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20230209BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20230209BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20230209BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20230209BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230209BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20230209BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20230209BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 B
F24F11/46
F24F11/89
F24F11/74
F24F11/52
B61B1/02
F24F110:10
F24F110:12
F24F120:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128509
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳志
(72)【発明者】
【氏名】古川 潤
(72)【発明者】
【氏名】福永 裕也
(72)【発明者】
【氏名】池田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 慎介
(72)【発明者】
【氏名】三家本 伊織
【テーマコード(参考)】
3D101
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3D101AB13
3D101AB17
3D101AB18
3D101AB19
3D101AB20
3D101AD20
3L056BA06
3L056BD07
3L056BE01
3L056BF06
3L058BB09
3L058BD06
3L058BE08
3L260AA14
3L260BA02
3L260BA07
3L260CA02
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA32
3L260FA07
3L260FC02
3L260FC04
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】駅の地下ホームの混雑状況等に応じた好適な給気を駅の地下ホームへ送出することができるようにすること。
【解決手段】空調ユニットは、駅の地下ホームに設置される床置き型の空調ユニットであって、吸気口および送出口を有する筐体と、吸気口から筐体の内部に取り込まれた給気を、送出口から地下ホームに送出する送風機と、地下ホームの画像を撮像する撮像装置と、撮像装置によって撮像された地下ホームの画像に基づいて、地下ホームに存在する人物を検出する人物検出部と、人物検出部による人物の検出結果に基づいて、送風機による給気の送出量を制御する送出量制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅の地下ホームに設置される床置き型の空調ユニットであって、
吸気口および送出口を有する筐体と、
前記吸気口から前記筐体の内部に取り込まれた給気を、前記送出口から前記地下ホームに送出する送風機と、
前記地下ホームの画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された前記地下ホームの画像に基づいて、前記地下ホームに存在する人物を検出する人物検出部と、
前記人物検出部による前記人物の検出結果に基づいて、前記送風機による前記給気の送出量を制御する送出量制御部と
を備えることを特徴とする空調ユニット。
【請求項2】
前記送出量制御部は、
前記地下ホームに存在する前記人物の人数が多いほど、前記送風機による前記給気の送出量を多くする
ことを特徴とする請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記地下ホームの気温を取得する気温取得部と、
前記気温取得部によって検出された前記地下ホームの気温に基づいて、前記吸気口からの前記給気の吸入量を制御する吸入量制御部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空調ユニット。
【請求項4】
前記吸入量制御部は、
前記地下ホームの気温が高いほど、前記吸気口からの前記給気の吸入量を多くする
ことを特徴とする請求項3に記載の空調ユニット。
【請求項5】
前記撮像装置は、
前記地下ホームに存在する前記人物の頭部よりも高い位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の空調ユニット。
【請求項6】
前記地下ホームの空調の状態に関する情報を前記地下ホームに存在する前記人物に呈示するディスプレイと、
前記ディスプレイの表示内容を制御する表示制御部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の空調ユニット。
【請求項7】
前記表示制御部は、
前記地下ホームにおける温度分布を前記ディスプレイに表示させる
ことを特徴とする請求項6に記載の空調ユニット。
【請求項8】
前記送出口は、
前記地下ホームに存在する前記人物の頭部よりも高い位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の空調ユニット。
【請求項9】
前記筐体は、
前記筐体の前方に向けて前記給気を送出する前記送出口と、
前記筐体の右斜め前方に向けて前記給気を送出する前記送出口と、
前記筐体の左斜め前方に向けて前記給気を送出する前記送出口と
を有することを特徴とする請求項8に記載の空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の地下ホームの空調システムにおいては、ホームの天井面に空調機を設ける構成が用いられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、駅の地下ホームの混雑状況等に応じた好適な給気を駅の地下ホームへ送出することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る空調ユニットは、駅の地下ホームに設置される床置き型の空調ユニットであって、吸気口および送出口を有する筐体と、吸気口から筐体の内部に取り込まれた給気を、送出口から地下ホームに送出する送風機と、地下ホームの画像を撮像する撮像装置と、撮像装置によって撮像された地下ホームの画像に基づいて、地下ホームに存在する人物を検出する人物検出部と、人物検出部による人物の検出結果に基づいて、送風機による給気の送出量を制御する送出量制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る空調ユニットによれば、駅の地下ホームの混雑状況等に応じた好適な給気を駅の地下ホームへ送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】一実施形態に係る空調ユニットが備える制御装置の機能構成を示すブロック図
【
図3】一実施形態に係る空調ユニットによる送風動作の概要を示す図
【
図4】一実施形態に係る空調システムのシステム構成の一例を示す図
【
図5】一実施形態に係る空調ユニットによる給気の送出量の制御の一例を示すグラフ
【
図6】一実施形態に係る空調ユニットによる給気の吸入量の制御の一例を示すグラフ
【
図7】一実施形態に係る空調ユニットが備えるディスプレイによる表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態を説明する。
【0009】
(空調ユニット100の構成)
図1は、一実施形態に係る空調ユニット100の三面図である。
図1に示すように、空調ユニット100は、筐体110、送風機121、撮像装置122、ディスプレイ123、および制御装置130を備える。
【0010】
<筐体110>
筐体110は、空調ユニット100の外形状をなす金属製且つ箱状の部材である。筐体110は、概ね上下方向(Z軸方向)を長手方向とする直方体形状を有する。
【0011】
筐体110の背面110B(X軸負側の面)の下部(Z軸負側の部分)には、第1吸気口111が設けられている。第1吸気口111は、空調ユニット100の外部に設けられている空調機12から供給された給気SA(Supply Air)を、駅の地下ホーム20の壁面24の裏側に設けられている給気ダクト14から、筐体110の内部に取り込む。
【0012】
筐体110の前面110A(X軸正側の面)の上部(Z軸正側の部分)には、複数の送出口112が設けられている。複数の送出口112は、送風機121によって風力が与えられた給気SAを地下ホーム20に向けて送出する。
【0013】
なお、筐体110の前面110Aの右側(Y軸正側)の端部は、右斜め前方を向いて傾いた右斜向面110Aaとなっている。また、筐体110の前面110Aの左側(Y軸負側)の端部は、左斜め前方を向いて傾いた左斜向面110Abとなっている。右斜向面110Aaおよび左斜向面110Abの各々の上部(Z軸正側の部分)には、複数の送出口112が設けられている。これにより、空調ユニット100は、右斜め前方および左斜め前方の各々に、送風機121によって風力が与えられた給気SAを送出することができる。
【0014】
筐体110の左側面110C、右斜向面110Aa、および左斜向面110Abの各々の下部には、第2吸気口113が設けられている。第2吸気口113は、駅の地下ホーム20から還気RA(Return Air)を取り込む。
【0015】
<送風機121>
送風機121は、筐体110の内部の上下方向(Z軸方向)における中央に設けられている。送風機121は、第1吸気口111から筐体110の内部に取り込まれた給気SAを、複数の送出口112から駅の地下ホーム20へ送出する。送風機121は、インバータ、モータ、羽根車等を有して構成されており、インバータから供給される駆動電力によって、モータが駆動されて羽根車が回転し、給気SAに風力を与えることにより、給気SAを送出する。送風機121は、筐体110の内部において上方に向けて給気SAを送出することにより、当該給気SAを、筐体110の上部に設けられている複数の送出口112から筐体110の前方へ送出する。送風機121は、制御装置130によってインバータ周波数(インバータから供給される駆動電力の周波数)が制御されることにより、給気SAの送出量を制御可能である。なお、
図1に示す例では、空調ユニット100は、筐体110の内部に、左右一対の送風機121を備える。
【0016】
<撮像装置122>
撮像装置122は、筐体110の前面110A(X軸正側の面)の上部(Z軸正側の部分)、且つ、左右方向(Y軸方向)における中央に設けられている。撮像装置122は、空調ユニット100の前方(X軸正方向)の画像(すなわち、駅の地下ホーム20の画像)を撮像する。特に、撮像装置122は、筐体110の前面110Aにおいて、駅の地下ホーム20の床面22からの高さが約2250mmとなる位置(前面110Aの上端部の近傍)に設けられている。これにより、撮像装置122は、駅の地下ホーム20に存在する人物の頭部よりも高い位置に設けられ、人物に遮られることなく、駅の地下ホーム20を俯瞰して、駅の地下ホーム20に存在する複数の人物を撮像できるようになっている。撮像装置122としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等が用いられる。
【0017】
<ディスプレイ123>
ディスプレイ123は、筐体110の前面110Aにおいて、上下方向(X軸方向)における中央、且つ、左右方向(Y軸方向)における中央に設けられている。ディスプレイ123は、各種情報を駅の地下ホーム20に存在する人物に呈示する。ディスプレイ123としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0018】
<制御装置130>
制御装置130は、筐体110の内部の下部に設けられている。制御装置130は、送風機121、撮像装置122、およびディスプレイ123の動作を制御する。
【0019】
なお、
図1に示すように、空調ユニット100は、筐体110の上面110Dに、ルータ126およびアンテナ127を備えている。これにより、制御装置130は、ルータ126およびアンテナ127を介して、外部機器(例えば、監視装置16)と無線通信を行うことができる。
【0020】
(制御装置130の機能構成)
図2は、一実施形態に係る空調ユニット100が備える制御装置130の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置130は、画像取得部131、人物検出部132、送出量制御部133、気温取得部134、吸入量制御部135、表示制御部136、および通信制御部137を備える。
【0021】
画像取得部131は、撮像装置122によって撮像された駅の地下ホーム20の画像を取得する。
【0022】
人物検出部132は、画像取得部131によって取得された駅の地下ホーム20の画像に基づいて、駅の地下ホーム20(撮像装置122による撮像範囲内)に存在する人物30を検出する。例えば、人物検出部132は、公知の画像認識処理を行うことにより、駅の地下ホーム20の画像から人物30を検出する。
【0023】
送出量制御部133は、人物検出部132による人物の検出結果に基づいて、インバータ周波数(送風機121のモータを駆動するための駆動電力の周波数)を制御することにより、送風機121による給気SAの送出量を制御する。例えば、送出量制御部133は、駅の地下ホーム20に存在する人物30の人数が多いほど、インバータ周波数を高めることにより、送風機121による給気SAの送出量を増やす。
【0024】
気温取得部134は、地下ホーム20に設けられている温度センサ125から、地下ホーム20の気温を取得する。
【0025】
吸入量制御部135は、気温取得部134によって検出された地下ホーム20の気温に基づいて、給気ダクト14に設けられているダンパ124の開度を制御することにより、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を制御する。例えば、吸入量制御部135は、駅の地下ホーム20の気温が高いほど、ダンパ124の開度を高めることにより、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を増やす。
【0026】
表示制御部136は、ディスプレイ123の表示内容を制御する。例えば、表示制御部136は、駅の地下ホーム20における温度分布をディスプレイ123に表示させる。また、例えば、表示制御部136は、送風機121の送出量(インバータ周波数)をディスプレイ123に表示させる。また、例えば、表示制御部136は、第1吸気口111における吸入量(ダンパ124の開度)をディスプレイ123に表示させる。また、例えば、表示制御部136は、人物検出部132による人物の検出人数をディスプレイ123に表示させる。
【0027】
通信制御部137は、ルータ126およびアンテナ127を介した、外部機器(監視装置16)との無線通信を制御する。
【0028】
なお、制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。上記した制御装置130の各機能は、例えば、制御装置130において、ROMに記憶されているプログラムを、CPUが実行することによって実現される。
【0029】
(空調ユニット100による送風動作)
図3は、一実施形態に係る空調ユニット100による送風動作の概要を示す図である。
【0030】
図3に示すように、空調ユニット100は、筐体110の背面110B(X軸負側の面)が駅の地下ホーム20の壁面24に密着するように、駅の地下ホーム20の床面22に床置き設置される。
【0031】
駅の地下ホーム20の壁面24の裏側には、給気ダクト14が設けられている。給気ダクト14は、空調機12に繋がっており、空調機12から給気SAが供給される。空調ユニット100は、筐体110の背面110Bの下部に第1吸気口111が設けられている。第1吸気口111は、壁面24の開口部24Aを通じて給気ダクト14に接続されることにより、空調機12から供給される給気SAを筐体110の内部に取り込むことができる。
【0032】
給気ダクト14には、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を調整するためのダンパ124が設けられている。空調ユニット100の制御装置130は、ダンパ124の開度を制御することにより、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を制御することができる。
【0033】
例えば、駅の地下ホーム20(筐体110の前方)には、駅の地下ホーム20の気温を検出する温度センサ125が設けられている。空調ユニット100の制御装置130は、温度センサ125によって検出された駅の地下ホーム20の気温に応じて、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を制御することができる。
【0034】
また、筐体110の前面110Aの下部には、第2吸気口113が設けられている。第2吸気口113は、駅の地下ホーム20から、還気RAを筐体110の内部に取り込むことができる。
【0035】
第1吸気口111から筐体110の内部に取り込まれた給気SAは、送風機121によって筐体110の内部の上方に向けて送出される。これにより、筐体110の内部に取り込まれた給気SAは、筐体110の内部に設けられている整流板114によって整流され、筐体110の上部に設けられている複数の送出口112から、筐体110の前方の地下ホーム20へ送出される。
【0036】
ここで、
図3に示すように、本実施形態の空調ユニット100は、複数の送出口112が筐体110の上部に設けられているため、筐体110の前方(X軸正方向)の広範囲に給気SAを送出することができる。また、本実施形態の空調ユニット100は、複数の送出口112が筐体110の上部に設けられているため、地下ホーム20に存在する複数の人物30の頭部に向けて、給気SAを送出することができる。なお、本実施形態の空調ユニット100は、送出口112を約1500mm~2200mmの高さ範囲に配置している。これにより、本実施形態の空調ユニット100は、人物30の頭部よりもわずかに高い位置あるいは同等の高さ位置から横向き又は斜め下向きに給気SAを送出することができる。このため、本実施形態の空調ユニット100は、例えば、地下ホーム20が混雑している場合であっても、地下ホーム20に存在する複数の人物30の頭部に空調空気(給気SA)を到達させることができるので、複数の人物30に冷涼感を感じさせることができる。
【0037】
また、筐体110の前面110Aの上部には、駅の地下ホーム20(筐体110の前方)の画像を撮像する撮像装置122が設けられている。空調ユニット100の制御装置130は、撮像装置122によって撮像された画像に基づいて、駅の地下ホーム20(筐体110の前方)に存在する人物30を検出することができる。そして、空調ユニット100の制御装置130は、駅の地下ホーム20(筐体110の前方)に存在する人物30の人数に応じて、送風機121による給気SAの送出量を制御することができる。
【0038】
(空調システム10のシステム構成の一例)
図4は、一実施形態に係る空調システム10のシステム構成の一例を示す図である。
【0039】
図4に示すように、駅の地下ホーム20は、Y軸方向を長手方向とする長手形状を有する。駅の地下ホーム20の後方には、壁面24が設けられている。
【0040】
図4に示すように、一実施形態に係る空調システム10は、壁面24に沿ってY軸方向に並べて設けられた、複数の空調ユニット100を有する。複数の空調ユニット100の各々は、
図3に示したとおり、筐体110の背面110B(X軸負側の面)が駅の地下ホーム20の壁面24に密着するように、駅の地下ホーム20の床面22に床置き設置される。
【0041】
また、
図4に示すように、駅の地下ホーム20の壁面24の裏側には、給気ダクト14が設けられている。給気ダクト14は、複数の空調ユニット100の各々と、空調機12とに繋がっている。空調機12は、外気OA(Outside Air)および還気RAを取り込んで、外気OAおよび還気RAを冷却または加熱することによって給気SAを生成し、生成された給気SAを送風機12Aによって給気ダクト14へ送出する装置である。これにより、一実施形態に係る空調システム10は、空調機12から送出された給気SAを、給気ダクト14を介して、複数の空調ユニット100の各々に供給することができる。
【0042】
そして、一実施形態に係る空調システム10は、複数の空調ユニット100によって、駅の地下ホーム20においてY軸方向に並んだ複数の空調エリア26に対して、給気SAを送出することができる。
【0043】
ここで、
図4に示すように、各空調ユニット100は、前方、右斜め前方、および左斜め前方の各々に給気SAを送出できるため、空調エリア26に対して、左右方向(Y軸方向の広範囲に給気SAを送出することができる。
【0044】
ここで、
図4に示すように、給気ダクト14には、空調ユニット100毎に、ダンパ124が設けられている。これにより、一実施形態に係る空調システム10は、空調ユニット100毎に、給気SAの吸入量を制御することができる。また、
図4に示すように、駅の地下ホーム20には、空調エリア26毎に、温度センサ125が設けられている。これにより、一実施形態に係る空調システム10は、空調ユニット100毎に、当該空調ユニット100に対応する空調エリア26の気温に応じて、当該空調ユニット100に対応するダンパ124の開度を制御することにより、給気SAの吸入量を制御することができる。
【0045】
例えば、各空調ユニット100は、当該空調ユニット100に対応する空調エリア26の気温が高いほど、当該空調ユニット100に対応するダンパ124の開度を高めることにより、給気SAの吸入量を多くする。これにより、一実施形態に係る空調システム10は、気温が高い空調エリア26ほど、空調ユニット100から送出される給気SAの温度が低くなるように、複数の空調ユニット100から送出される給気SAの温度を制御することができる。
【0046】
なお、各空調ユニット100は、所定のサンプリング周期で、温度センサ125によって空調エリア26の気温を検出することができる。これにより、各空調ユニット100は、空調エリア26の気温の変動に応じて、給気SAの吸入量をリアルタイムに制御することができる。
【0047】
また、一実施形態に係る空調システム10は、各空調エリア26に、複数の温度センサ125が設けられてもよい。この場合、各空調ユニット100は、空調エリア26に設けられている複数の温度センサ125の検出値の平均値に基づいて、給気SAの吸入量を制御してもよい。
【0048】
また、各空調ユニット100は、前方(空調エリア26)の画像を撮像する撮像装置122を備えており、撮像装置122によって撮像された前方(空調エリア26)の画像から、空調エリア26に存在する人物30を検出することができる。そして、各空調ユニット100は、検出された空調エリア26に存在する人物30の人数に応じて、送風機121のインバータ周波数を制御することにより、送風機121による空調エリア26への給気SAの送出量を制御することができる。
【0049】
例えば、各空調ユニット100は、当該空調ユニット100に対応する空調エリア26に存在する人物30の人数が多いほど、送風機121のインバータ周波数を高めることにより、送風機121による空調エリア26への給気SAの送出量を多くする。これにより、一実施形態に係る空調システム10は、人数が多い空調エリア26ほど、空調ユニット100から送出される給気SAの送出量が多くなるように、複数の空調ユニット100から送出される給気SAの送出量を制御することができる。
【0050】
なお、各空調ユニット100は、所定のサンプリング周期で、空調エリア26に存在する人物30を検出することができる。これにより、各空調ユニット100は、空調エリア26に存在する人物30の人数の変動に応じて、給気SAの送出量をリアルタイムに制御することができる。
【0051】
図4に示す例では、空調エリア26-1~26-3の気温が低温となっており、空調エリア26-4~26-6の気温が高温となっている。
【0052】
これに応じて、空調エリア26-1~26-3に対応するダンパ124は、閉状態となっており、空調ユニット100から送出される給気SAにおける冷気(すなわち、空調機から供給される給気SA)の割合が小さくなっている。
【0053】
一方、空調エリア26-4~26-6に対応するダンパ124は、開状態となっており、空調ユニット100から送出される給気SAにおける冷気(すなわち、空調機から供給される給気SA)の割合が大きくなっている。
【0054】
また、
図4に示す例では、空調エリア26-2,26-4,26-6には人物30が存在し、空調エリア26-1,26-3,26-5には人物30が存在しない。
【0055】
これに応じて、空調エリア26-2,26-4,26-6に対応する空調ユニット100は、インバータ周波数が比較的大きい「通常運転」となっており、空調ユニット100から送出される給気SAの送出量が比較的大きくなっている。
【0056】
一方、空調エリア26-1,26-3,26-5に対応する空調ユニット100は、インバータ周波数が最低周波数である「最低周波数運転」となっており、空調ユニット100から送出される給気SAの送出量が最低量となっている。
【0057】
また、各空調ユニット100は、監視装置16と無線通信を行うことができる。例えば、監視装置16は、各空調ユニット100との無線通信を介して、各空調ユニット100の状態を監視したり、各空調ユニット100に対する各種設定を行ったり、各空調ユニット100の動作を制御したりすることができる。
【0058】
また、例えば、監視装置16は、複数の空調ユニット100の各々から、ダンパ124の開度情報またはインバータ周波数を取得し、複数の空調ユニット100のダンパ124の開度、または、複数の空調ユニット100のインバータ周波数に基づいて、空調機12が備える送風機12Aの送出量を、複数の空調ユニット100によって必要とされる送出量に制御することができる。
【0059】
また、例えば、監視装置16は、空調機12との無線通信を介して、空調機12の状態を監視したり、空調機12に対する各種設定を行ったり、空調機12の動作を制御したりすることができる。
【0060】
また、例えば、監視装置16は、監視画面からの発停操作により、空調機12の発停制御を行うことができる。 また、監視装置16は、火災警報発生時に自動的に空調機12を停止させることができる。また、監視装置16は、火災警報復帰時において、監視画面から再度発停操作があった場合に空調機12を再起動することができる。
【0061】
また、例えば、監視装置16は、走行中の列車から混雑状況の情報を取得し、当該列車が地下ホーム20に到着する前に、混雑状況に応じて、各空調ユニット100の送出量および開度を予め制御し、地下ホーム20の気温を予め調整しておいてもよい。
【0062】
(送出量制御の一例)
図5は、一実施形態に係る空調ユニット100による給気SAの送出量の制御の一例を示すグラフである。
【0063】
図5に示すように、一実施形態に係る空調ユニット100は、制御装置130の送出量制御部133により、空調エリア26に存在する人物30の人数に応じて、送風機121のインバータ周波数を制御することにより、送風機121による空調エリア26への給気SAの送出量を制御することができる。
【0064】
例えば、
図5に示す例では、送出量制御部133は、空調エリア26に存在する人物30の人数が、第1人数閾値TH11未満の場合は、送風機121のインバータ周波数を、最低周波数に制御する。
【0065】
また、送出量制御部133は、空調エリア26に存在する人物30の人数が、第1人数閾値TH11以上第2人数閾値TH12未満の場合は、人数が多いほどインバータ周波数が高くなるように、送風機121のインバータ周波数を、最低周波数以上最高周波数未満に制御する。
【0066】
そして、送出量制御部133は、空調エリア26に存在する人物30の人数が、第2人数閾値TH12以上の場合は、送風機121のインバータ周波数を、最高周波数に制御する。
【0067】
なお、送出量制御に用いられる最低周波数、最高周波数、第1人数閾値TH11、および第2人数閾値TH12は、監視装置16から、無線通信を介して、任意の値を設定することが可能である。
【0068】
なお、
図5に示す例では、送出量制御部133は、空調エリア26に存在する人物30の人数が0の場合は、送風機121のインバータ周波数を、最低周波数に制御するようにしているが、これに限らない。例えば、送出量制御部133は、空調エリア26に存在する人物30の人数が0の場合、送風機121の駆動を停止してもよい。
【0069】
(吸入量制御の一例)
図6は、一実施形態に係る空調ユニット100による給気SAの吸入量の制御の一例を示すグラフである。
【0070】
図6に示すように、一実施形態に係る空調ユニット100は、制御装置130の吸入量制御部135により、空調エリア26の気温に応じて、ダンパ124の開度を制御することにより、空調ユニット100への給気SAの吸入量を制御することができる。
【0071】
例えば、
図6に示す例では、吸入量制御部135は、空調エリア26の気温が、第1気温閾値TH21未満の場合は、ダンパ124の開度を、最小開度に制御する。
【0072】
また、吸入量制御部135は、空調エリア26の気温が、第1気温閾値TH21以上第2気温閾値TH22未満の場合は、気温が高いほど開度が大きくなるように、ダンパ124の開度を、最小開度以上最大開度未満に制御する。
【0073】
そして、吸入量制御部135は、空調エリア26の気温が、第2気温閾値TH22以上の場合は、ダンパ124の開度を、最大開度に制御する。
【0074】
なお、吸入量制御に用いられる最小開度、最大開度、第1気温閾値TH21、および第2気温閾値TH22は、監視装置16から、無線通信を介して、任意の値を設定することが可能である。
【0075】
(ディスプレイ123による表示例)
図7は、一実施形態に係る空調ユニット100が備えるディスプレイ123による表示例を示す図である。
図7に示す表示画面700は、制御装置130が備える表示制御部136の制御により、ディスプレイ123に表示される表示画面の一例である。
【0076】
図7に示すように、表示画面700は、第1表示領域710、第2表示領域720、および第3表示領域730を有する。
【0077】
第1表示領域710には、駅の地下ホーム20の一部における温度分布が表示される。具体的には、第1表示領域710には、駅の地下ホーム20の一部における複数の空調エリア26の各々について、シンボル711が表示される。
【0078】
第2表示領域720には、駅の地下ホーム20の全体における温度分布が表示される。具体的には、第2表示領域720には、駅の地下ホーム20の全体における複数の空調エリア26の各々について、シンボル721が表示される。
【0079】
シンボル711,721は、円形状を有しており、表示位置およびサイズによって空調エリア26の範囲を示し、色によって空調エリア26の気温を示す。例えば、シンボル711,721は、気温が低いほど寒色の度合いが強くなり、気温が高いほど暖色の度合いが強くなるように、空調エリア26の気温を色別表示する。これにより、シンボル711,721は、表示画面700(第1表示領域710および第2表示領域720)を見た人物30に対して、空調エリア26毎の現在の気温を直感的に把握させることができる。
【0080】
例えば、空調ユニット100は、駅の地下ホーム20の温度分布の情報を、監視装置16から取得することができる。
【0081】
第3表示領域730には、空調ユニット100が取り扱う各種パラメータの状態が示される。具体的には、第3表示領域730には、いずれも円形状の、第1表示部732、第2表示部731、第3表示部733を有する。
【0082】
第1表示部732には、第1吸気口111における給気SAの吸入量(ダンパ124の開度)を示すシンボル732Aが表示される。シンボル732Aは、給気SAの吸入量(ダンパ124の開度)に応じて図柄(葉の枚数)が変化する。これにより、シンボル732Aは、表示画面700(第3表示領域730)を見た人物30に対して、給気SAの給気SAの吸入量(ダンパ124の開度)を直感的に把握させることができる。
【0083】
第2表示部731には、送風機121による給気SAの送出量(インバータ周波数)を示すシンボル731Aが表示される。シンボル731Aは、給気SAの送出量(インバータ周波数)に応じて図柄(羽根の枚数)が変化する。これにより、シンボル731Aは、表示画面700(第3表示領域730)を見た人物30に対して、給気SAの送出量(インバータ周波数)を直感的に把握させることができる。
【0084】
第3表示部733には、制御装置130によって検出された空調エリア26の人数を示すシンボル733Aが表示される。シンボル733Aは、給気SAの送出量(インバータ周波数)に応じて図柄(人の数)および数値が変化する。これにより、シンボル732Aは、表示画面700(第3表示領域730)を見た人物30に対して、空調エリア26の人数を直感的に把握させることができる。
【0085】
(効果)
以上説明したように、一実施形態に係る空調ユニット100は、駅の地下ホーム20に設置される床置き型の空調ユニット100であって、第1吸気口111および送出口112を有する筐体110と、第1吸気口111から筐体110の内部に取り込まれた給気SAを、送出口112から地下ホーム20に送出する送風機121と、地下ホーム20の画像を撮像する撮像装置122と、撮像装置122によって撮像された地下ホーム20の画像に基づいて、地下ホーム20に存在する人物30を検出する人物検出部132と、人物検出部132による人物30の検出結果に基づいて、送風機121による給気SAの送出量を制御する送出量制御部133とを備える。
【0086】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、駅の地下ホーム20の混雑状況等に応じた好適な送出量の給気SAを、駅の地下ホーム20へ送出することができる。
【0087】
一実施形態に係る空調ユニット100において、送出量制御部133は、地下ホーム20に存在する人物30の人数が多いほど、送風機121による給気SAの送出量を多くする。
【0088】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、駅の地下ホーム20に存在する人物30の人数に応じた好適な送出量の給気SAを、駅の地下ホーム20へ送出することができる。
【0089】
また、一実施形態に係る空調ユニット100は、地下ホーム20の気温を取得する気温取得部134と、気温取得部134によって検出された地下ホーム20の気温に基づいて、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を制御する吸入量制御部135とをさらに備える。
【0090】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、駅の地下ホーム20の気温に応じた好適な温度の給気SAを、駅の地下ホーム20へ送出することができる。
【0091】
また、一実施形態に係る空調ユニット100において、吸入量制御部135は、地下ホーム20の気温が高いほど、第1吸気口111からの給気SAの吸入量を多くする。
【0092】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、駅の地下ホーム20の気温に応じた好適な温度の給気SAを、駅の地下ホーム20へ送出することができる。
【0093】
また、一実施形態に係る空調ユニット100において、撮像装置122は、地下ホーム20に存在する人物30の頭部よりも高い位置に設けられている。
【0094】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、撮像装置122によって地下ホーム20を俯瞰して広範囲に撮像することができ、よって、地下ホーム20に存在する複数の人物30の検出精度を高めることができる。
【0095】
また、一実施形態に係る空調ユニット100は、地下ホーム20の空調の状態に関する情報を地下ホーム20に存在する人物30に呈示するディスプレイ123と、ディスプレイ123の表示内容を制御する表示制御部136とをさらに備える。
【0096】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、地下ホーム20に存在する人物30に対して、地下ホーム20の空調の状態を容易に把握させることができる。
【0097】
また、一実施形態に係る空調ユニット100において、表示制御部136は、地下ホーム20における温度分布をディスプレイ123に表示させる。
【0098】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、地下ホーム20に存在する人物30に対して、地下ホーム20の温度分布を容易に把握させることができる。このため、一実施形態に係る空調ユニット100は、例えば、人物30にとって好適な気温のエリアに人物30を誘導することができる。
【0099】
また、一実施形態に係る空調ユニット100において、送出口112は、地下ホーム20に存在する人物30の頭部よりも高い位置に設けられている。
【0100】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、地下ホーム20に比較的広範囲に給気SAを送出することができ、且つ、地下ホーム20に存在する複数の人物30の頭部に向けて給気SAを送出することができる。
【0101】
また、一実施形態に係る空調ユニット100において、筐体110は、筐体110の前方に向けて給気SAを送出する送出口112と、筐体110の右斜め前方に向けて給気SAを送出する送出口112と、筐体110の左斜め前方に向けて給気SAを送出する送出口112とを有する。
【0102】
これにより、一実施形態に係る空調ユニット100は、筐体110の前方の広範囲に給気SAを送出することができる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0104】
例えば、上記一実施形態では、空調ユニット100の正面方向が、地下ホーム20の短手方向と平行になるように、空調ユニット100を地下ホーム20に設置しているが、これに限らない。例えば、空調ユニット100の正面方向が、地下ホーム20の長手方向と平行になるように、空調ユニット100を地下ホーム20に設置してもよい。この場合、空調ユニット100から送出される給気SAの気流が地下ホーム20の長手方向に沿った向きになるため、1台の空調ユニット100で地下ホーム20内の広範囲を効率的に空調することが可能となる。
【符号の説明】
【0105】
10 空調システム
12 空調機
12A 送風機
14 給気ダクト
16 監視装置
20 地下ホーム
22 床面
24 壁面
24A 開口部
26 空調エリア
30 人物
100 空調ユニット
110 筐体
110A 前面
110Aa 右斜向面
110Ab 左斜向面
110B 背面
110C 左側面
111 第1吸気口
112 送出口
113 第2吸気口
114 整流板
121 送風機
122 撮像装置
123 ディスプレイ
130 制御装置
131 画像取得部
132 人物検出部
133 送出量制御部
134 気温取得部
135 吸入量制御部
136 表示制御部
137 通信制御部
700 表示画面
710 第1表示領域
720 第2表示領域
730 第3表示領域
731 第1表示部
732 第2表示部
733 第3表示部
711,721,731A,732A,733A シンボル
OA 外気
RA 還気
SA 給気