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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023227
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20230209BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B60C11/13 B
B60C11/03 100A
B60C11/03 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128531
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】横山 瑛紀
(72)【発明者】
【氏名】上田平 沙也
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC44
3D131EB11X
3D131EB18V
3D131EB23V
3D131EB23X
3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB31X
3D131EB32X
3D131EB43X
3D131EB44X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両走行時における気柱共鳴音を低減することができる、タイヤを提供する。
【解決手段】本発明のタイヤは、トレッド踏面1に、複数の周方向主溝2を有するタイヤであって、複数の周方向主溝2のうち、タイヤ幅方向において両側のトレッド端にそれぞれ最も近接して配置された一対の周方向主溝をショルダ主溝21a及び21bと称するとき、少なくとも一方のショルダ主溝は、溝深さ方向において最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみであるように構成された、通常主溝であり、少なくとも一方のショルダ主溝以外の少なくとも1本の周方向主溝は、溝深さ方向において少なくとも1つの最大溝幅位置がトレッド踏面位置よりも溝底側の位置であるように構成された、拡幅主溝であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド踏面に、タイヤ周方向に延びるとともにタイヤ接地時に両側壁が互いに接触しない溝幅を有する、複数の周方向主溝を有するタイヤであって、
前記複数の周方向主溝のうち、タイヤ幅方向において両側のトレッド端にそれぞれ最も近接して配置された一対の周方向主溝をショルダ主溝と称するとき、
少なくとも一方の前記ショルダ主溝は、溝深さ方向において最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみであるように構成された、通常主溝であり、
前記少なくとも一方のショルダ主溝以外の少なくとも1本の周方向主溝は、溝深さ方向において少なくとも1つの最大溝幅位置がトレッド踏面位置よりも溝底側の位置であるように構成された、拡幅主溝であることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記ショルダ主溝以外の周方向主溝をセンタ主溝と称するとき、
前記周方向主溝は、前記一対のショルダ主溝と少なくとも1本の前記センタ主溝とを含み、
前記一対のショルダ主溝は前記通常主溝であり、前記センタ主溝は前記拡幅主溝である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記通常主溝の本数に対する前記拡幅主溝の本数の比は、1/1~3/2である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記拡幅主溝は、トレッド踏面側から溝底側に向かって溝幅が漸増する部分を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記周方向主溝は、最小溝幅が1.5mm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記通常主溝である前記ショルダ主溝に連通し、タイヤ幅方向に延びて、トレッド端に開口する、幅方向溝を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記幅方向溝は、トレッド踏面における溝幅が、前記通常主溝である前記ショルダ主溝に連通する側よりもトレッド端側において大きくなっている、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行中の自動車から生じる騒音においては、車両の静粛化に伴って、タイヤの負荷転動に起因する騒音の寄与が大きくなりその低減が求められている。中でも、気柱共鳴音による騒音は、タイヤから発生する車外騒音の主たる原因となっている。気柱共鳴音とは、トレッド踏面の周方向に連続して延びる周方向溝と路面とによって囲繞される、管内の空気の共鳴により発生する騒音である。
【0003】
ここで、気柱共鳴音の低減を所期したタイヤとして、例えば、複数の周方向主溝によって区分される陸部に、陸部の内部で実質的に密閉されかつ長さ方向の両端部が陸部の内部で途切れる空洞部、空洞部と周方向主溝を連通する連通孔及びサイプによって構成される、ヘルムホルツ型の共鳴器を設けたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-116195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、より簡素な構成等で気柱共鳴音を低減することが求められている。
【0006】
そこで、この発明の目的は、車両走行時における気柱共鳴音を低減することができる、タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、以下のとおりである。
トレッド踏面に、タイヤ周方向に延びるとともにタイヤ接地時に両側壁が互いに接触しない溝幅を有する、複数の周方向主溝を有するタイヤであって、
前記複数の周方向主溝のうち、タイヤ幅方向において両側のトレッド端にそれぞれ最も近接して配置された一対の周方向主溝をショルダ主溝と称するとき、
少なくとも一方の前記ショルダ主溝は、溝深さ方向において最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみであるように構成された、通常主溝であり、
前記少なくとも一方のショルダ主溝以外の少なくとも1本の周方向主溝は、溝深さ方向において少なくとも1つの最大溝幅位置がトレッド踏面位置よりも溝底側の位置であるように構成された、拡幅主溝であることを特徴とするタイヤ。
本発明のタイヤによれば、車両走行時における気柱共鳴音を低減することができる。
【0008】
本発明のタイヤにおいては、
前記ショルダ主溝以外の周方向主溝をセンタ主溝と称するとき、
前記周方向主溝は、前記一対のショルダ主溝と少なくとも1本の前記センタ主溝とを含み、
前記一対のショルダ主溝は前記通常主溝であり、前記センタ主溝は前記拡幅主溝であると好適である。
これにより、車両走行時における気柱共鳴音の周波数をバランス良く分散させて、車両走行時における気柱共鳴音をより効果的に低減することができる。
【0009】
本発明のタイヤにおいては、
前記通常主溝の本数に対する前記拡幅主溝の本数の比は、1/1~3/2であることが好適である。
これにより、車両走行時における気柱共鳴音の周波数をバランス良く分散させて、車両走行時における気柱共鳴音をより効果的に低減することができる。
【0010】
本発明のタイヤにおいては、
前記拡幅主溝は、トレッド踏面側から溝底側に向かって溝幅が漸増する部分を有していることが好適である。
これにより、摩耗進展時における排水性の低下を長期的に抑制することができる。
【0011】
本発明のタイヤにおいては、
前記周方向主溝は、最小溝幅が1.5mm以上であることが好適である。
これにより、車両走行時における気柱共鳴音を効果的に低減することができるともに、新品時及び摩耗進展時の双方において、十分な排水性を確保することができる。
【0012】
本発明のタイヤにおいては、
前記通常主溝である前記ショルダ主溝に連通し、タイヤ幅方向に延びて、トレッド端に開口する、幅方向溝を有することが好適である。
これにより、車両走行時における気柱共鳴音をより効率的に低減することができる。
【0013】
本発明のタイヤにおいては、
前記幅方向溝は、トレッド踏面における溝幅が、前記通常主溝である前記ショルダ主溝に連通する側よりもトレッド端側において大きくなっていることが好適である。
これにより、車両走行時における気柱共鳴音をさらに低減することができるともに、十分な排水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、車両走行時における気柱共鳴音を低減することができるタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るタイヤの、トレッド踏面を模式的に示す、部分展開図である。
図2図1のタイヤの一部を図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。
図3A図2に示すタイヤの一部を拡大して模式的に示す、タイヤ幅方向部分断面図である。
図3B図2に示すタイヤの一部を拡大して模式的に示す、タイヤ幅方向部分断面図である。
図4】気柱共鳴音の周波数について説明するための図である。
図5】拡幅主溝の他の例を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るタイヤの、トレッド踏面を模式的に示す、部分展開図である。
図7】気柱共鳴音の周波数について説明するための図である。
図8図6に示すトレッド踏面の一部を拡大して模式的に示す、部分展開図である。
図9】幅方向溝の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るタイヤは、任意の種類のタイヤに利用できるものであるが、好適には乗用車用タイヤに利用できるものである。
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0017】
本明細書で説明する各実施形態のタイヤは、任意の内部構成を備えてよい。本明細書で説明する各実施形態のタイヤは、例えば、一対のビード部に設けられた一対のビードコア(図示せず)と、ビードコアのタイヤ径方向外側に位置する一対のビードフィラ(図示せず)と、カーカス70(図2)と、ベルト60(図2)と、トレッドゴム80(図2)と、を備えることができる。カーカス70は、一対のビードコアどうしの間に、トロイド状に延在する。カーカス70は、少なくとも一層(図の例では1層)のカーカスプライを含む。カーカス70のカーカスプライは、例えば、スチール製又は有機繊維製等のコードがゴムにより被覆された構成を有することができる。カーカス70は、例えば、一対のビードコアどうしの間をトロイド状に延びる本体部と、タイヤ赤道面CLに対する両側のそれぞれにおいて、本体部のタイヤ径方向最内端から、ビードコアの周りでタイヤ幅方向外側に向けて折り返された、一対の折り返し部と、を含むことができる。ベルト60は、トレッド部90における、カーカス70のクラウン域よりもタイヤ径方向外側に配置される(図2)。ベルト60は、少なくとも一層(図の例では2層)のベルト層からなる。ベルト層は、例えば、スチール製又は有機繊維製等のコードがゴムにより被覆された構成を有することができる。トレッドゴム80は、ベルト60のタイヤ径方向外側に配置される。
【0018】
本明細書において、「トレッド踏面(1)」とは、リムに組み付けるとともに所定の内圧を充填したタイヤを、最大負荷荷重を負荷した状態で転動させた際に、路面と接触することになる、タイヤの全周に亘る外周面を意味する。
本明細書において、「トレッド端(TE)」とは、トレッド踏面(1)のタイヤ幅方向端を意味する。
また、本明細書において、「接地長」とは、タイヤと路面との接地面における、タイヤ周方向に沿う長さを意味し、「接地面」とは、リムに組み付けるとともに所定の内圧を充填したタイヤを、最大負荷荷重を負荷した状態で接地させた際に、路面と接触する、タイヤの外周面を意味する。
ここで、「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(すなわち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「所定の内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスその他に置換することも可能である。
【0019】
本明細書では、特に断りのない限り、溝や陸部等の各要素の寸法、接地幅(TW)等は、後述の「基準状態」で測定されるものとする。
本明細書において、「基準状態」とは、タイヤをリムに組み付け、上記所定の内圧を充填し、無負荷とした状態を指す。
【0020】
また、本明細書において、「周方向主溝の溝幅」とは、上記基準状態で測定した、周方向主溝の延在方向に直交する向きの長さをいうものとする。同様に、「幅方向溝の溝幅」とは、基準状態で測定した、幅方向溝の延在方向に直交する向きの長さをいうものとする。
【0021】
[第1の実施形態]
以下、図1図2図3A及び図3Bを参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係るタイヤについて、説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタイヤ10の、トレッド踏面1を模式的に示す、部分展開図である。図2は、図1のタイヤ10の一部を図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。図3Aは、図2に示すタイヤの一部を拡大して模式的に示す、タイヤ幅方向部分断面図であり、図3Bは、図2に示すタイヤの一部を拡大して模式的に示す、タイヤ幅方向部分断面図である。
【0022】
図1に示すように、第1の実施形態のタイヤ10は、トレッド踏面1に、複数の周方向主溝2を有している。各周方向主溝2は、タイヤ周方向に延びている。各周方向主溝2は、図1に示すように、周方向に沿って直線状に延びていてもよく、ジグザグ状又は波状等に周方向に延びていてもよい。これら複数本の周方向主溝2のうち、タイヤ幅方向において両側のトレッド端TEにそれぞれ最も近接して配置された一対の周方向主溝を、一対のショルダ主溝21a及び21bと称する。さらに、これら一対のショルダ主溝21a及び21bよりもタイヤ幅方向内側に位置する周方向主溝を、センタ主溝22と称する。
なお、周方向主溝2の本数は、本実施形態のように3本以上(本実施形態では3本)であると、排水性の観点から好適であるが、2本でもよい。
【0023】
各周方向主溝2は、タイヤ接地時に両側壁が互いに接触しない溝幅を有する。即ち、タイヤをリムに組み付け、所定の内圧を充填して最大負荷荷重を負荷した際の、荷重直下位置で、互いに対向する一対の溝壁同士が接触しないように構成されている。
【0024】
また、第1の実施形態のタイヤ10のトレッド踏面1には、ショルダ主溝21a及び21b、センタ主溝22、並びにトレッド端TEによって、4つの陸部31a、31b、32a及び32bが区画されている。トレッド端TEと、ショルダ主溝21a及び21bとによって、タイヤ幅方向外側にショルダ陸部31a及び31bが区画され、センタ主溝22と、ショルダ主溝21a及び22bとによって、陸部31a及び31aよりもタイヤ幅方向内側に、センタ陸部32a及び32bが区画されている。
【0025】
図2及び図3Aに示すように、少なくとも一方のショルダ主溝、第1の実施形態では一対のショルダ主溝21a及び21bの両方は、溝深さ方向において最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみであるように構成された、通常主溝である。すなわち、ショルダ主溝21a及び21bは、基準状態において、トレッド踏面1の位置での溝幅w1が最大幅であり、トレッド踏面1よりもタイヤ径方向内側、即ち溝底側においては、いずれの位置においても、溝幅w1よりも小さい溝幅を有している。本実施形態のタイヤ10では、トレッド踏面1における溝幅w1側から、タイヤ径方向内側に向かって溝幅が漸減して、溝底における溝幅w2が最小溝幅となっている。なお、「通常主溝」は、最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみにあれば良く、最小溝幅位置が溝底以外の位置にあってもよい。
ここで、「漸減」とは、溝幅が常に減っていくことを意味する。
【0026】
また、図2及び図3Bに示すように、少なくとも一方のショルダ主溝以外の少なくとも1本の周方向主溝、本実施形態ではセンタ主溝22は、溝深さ方向において少なくとも1つの最大溝幅位置が、トレッド踏面位置よりも溝底側の位置であるように構成された、拡幅主溝である。本例において、センタ主溝22は、基準状態において、溝底における溝幅w4が最大幅であり、溝底よりもタイヤ径方向外側、即ちトレッド踏面1側においては、いずれの位置においても、溝幅w4より小さい溝幅を有している。本実施形態において、溝底における溝幅w4側から、タイヤ径方向外側に向かって溝幅が漸減して、トレッド踏面1における溝幅w3が最小溝幅となっている。なお、「拡幅主溝」は、溝深さ方向において最大溝幅位置の少なくとも1つがトレッド踏面位置よりも溝底側にあればよく、「拡幅主溝」には、溝深さ方向において最大溝幅位置が複数ある構成や、溝深さ方向において溝幅が一定である構成も含むものとする。ただし、後述の気柱共鳴音低減効果等をより効果的に得る観点からは、「拡幅主溝」は、溝深さ方向において溝幅が一定ではないこと、ひいては、溝深さ方向においてすべての最大溝幅位置がトレッド踏面よりも溝底側にあることが好ましい。
【0027】
以下、第1の実施形態のタイヤの構成による作用効果について、図4を参照しながら説明する。
【0028】
図4は、周方向主溝の気柱共鳴音の周波数について説明するための図である。図4では、通常主溝における気柱共鳴音及び拡幅主溝における気柱共鳴音の、音圧と周波数の関係について示している。
通常主溝は、最大溝幅位置がトレッド踏面位置のみにあることから、路面や空気と接する溝の開口が、いわば開いた形状となっている。これに対し、拡幅主溝は、最大溝幅位置がトレッド踏面位置よりも溝底側にあることから、路面や空気と接する溝の開口が、通常主溝と比べて、いわば閉じた形状となっている。このとき、拡幅主溝は、開口端補正によって、同一断面積の通常主溝よりも相対的に「長い」管として振る舞う。このように、管の長さが相対的に長いものとして振る舞うと、車両走行時に周方向主溝に生じる気柱共鳴音の周波数が相対的に低くなる。このため、拡幅主溝では、通常主溝よりも音圧レベルのピークを低周波側にシフトさせることができる。
このように、車両走行中に周方向主溝に生じる気柱共鳴音のピーク時における周波数を、通常主溝と拡幅主溝との間でずらすことによって、これらの音圧の和のピーク値を低くすることができるので、気柱共鳴音を低減し、タイヤ全体の騒音を緩和する(耳障りに感じさせ難くする)ことができる。
【0029】
また、本実施形態のタイヤによれば、センタ主溝22の最大溝幅位置がトレッド踏面位置よりも溝底であるように構成されているので、タイヤの摩耗進展時に、溝幅が大きい部分がトレッド踏面1に露出し、センタ主溝22の最大溝幅位置がトレッド踏面位置にある場合に比べて、摩耗進展時の排水性を向上させることができ、摩耗進展時においても排水性の低下を抑制することができる。センタ主溝22は、ショルダ主溝21a及び21bよりもタイヤ幅方向内側に位置することから、タイヤ直進時におけるタイヤ幅方向の接地圧が、ショルダ主溝側よりも相対的に高まる傾向にあり、とりわけ、摩耗進展時における直進走行時の十分な排水性の確保に有効である。
【0030】
以下、第1の実施形態のタイヤにおける、好適な構成や変形例等について、説明する。
【0031】
第1の実施形態のタイヤ10において、通常主溝と拡幅主溝は、それぞれ1本以上であれば、本数は特に限定されないが、周方向主溝2は、一対のショルダ主溝21a及び21bと少なくとも1本のセンタ主溝22とを含み、一対のショルダ主溝21a及び21bは通常主溝であり、センタ主溝22は拡幅主溝であることが好適である。
ここで、一般に、タイヤの接地長は、トレッド端TE側よりもタイヤ赤道面CL側が長く、ひいては、一般に、周方向主溝の接地長も、トレッド端TE側の周方向主溝よりもタイヤ赤道面CL側の周方向主溝の方が長い。一方、気柱共鳴音の音圧ピークの周波数は、同一断面形状・寸法の周方向主溝で比較した場合に、接地長の長い周方向主溝の方が、接地長の短い周方向主溝よりも低く、よって、一般に、トレッド端TE側の周方向主溝よりもタイヤ赤道面CL側の周方向主溝の方が、気柱共鳴音の音圧ピークの周波数が低い。
したがって、トレッド端TE側の周方向主溝を、通常主溝とし、タイヤ赤道面CL側の周方向主溝を、前述のとおり通常主溝よりも音圧ピークの周波数が低くなる拡幅主溝とすることにより、トレッド端TE側の周方向主溝とタイヤ赤道面CL側の周方向主溝との音圧ピークの周波数の差をさらに大きくすることができ、ひいては、これらの音圧の和のピーク値をさらに低くすることができる。
すなわち、上記のような構成によれば、車両走行時における気柱共鳴音の周波数をバランス良く分散させて、気柱共鳴音をより効果的に低減させ、タイヤ全体の騒音を緩和する(耳障りに感じさせ難くする)ことができる。
【0032】
第1の実施形態のタイヤ10において、拡幅主溝であるセンタ主溝22の本数は1本であり、通常主溝であるショルダ主溝21a及び21bは2本であることから、通常主溝の本数に対する拡幅主溝の本数の比(拡幅主溝の本数/通常主溝の本数)は、1/2であるが、通常主溝の本数に対する拡幅主溝の本数の比は特に限定されない。
第1の実施形態のタイヤ10において、通常主溝の本数に対する拡幅主溝の本数の比は、1/1~3/2であることが好ましい。このような構成によれば、車両走行時における気柱共鳴音の周波数をバランス良く分散させて、気柱共鳴音をより効果的に低減させ、タイヤ全体の騒音を緩和する(耳障りに感じさせ難くする)ことができる。
【0033】
第1の実施形態のタイヤ10において、拡幅主溝であるセンタ主溝22は、トレッド踏面1側から溝底側に向かって、溝幅が漸増する部分を有していることが好ましい。このような構成によれば、摩耗進展時における排水性の低下を長期的に抑制することができる。より好ましくは、トレッド踏面1から溝底まで溝幅が漸増している。このような構成によれば、より効果的に、摩耗進展時における排水性の低下を長期的に抑制することができる。
【0034】
第1の実施形態のタイヤにおいて、各周方向主溝2は、タイヤ接地時に両側壁が互いに接触しない溝幅を有していればよいが、最小溝幅(図3A及び図3Bの例では、溝幅w2及び溝幅w3)が1.5mm以上であることが好ましい。このような構成によれば、車両走行時に、気柱共鳴音を確実に低減することができるともに、新品時及び摩耗進展時の双方において、十分な排水性を確保することができる。
【0035】
各周方向主溝2の溝深さ(図3A及び図3Bの例では、溝深さd1及びd2)は、3.0mm以上であることが好適である。これにより、十分な排水性を確保することができる。タイヤ10の剛性の観点からは、各周方向主溝2の溝深さ(図3A及び図3Bの例では、溝深さd1及びd2)は、20mm以下であると好適である。より好ましくは、各周方向主溝2の溝深さは、十分な排水性を確保する観点からは、3.0mm以上であり、タイヤ10の剛性の観点からは、15mm以下である。
【0036】
第1の実施形態1のタイヤにおいて、通常主溝であるショルダ主溝21a及び21bを構成する側壁211及び222の傾斜角度θ1及びθ2は、剛性確保の観点から91°以上であることが好ましい。また、傾斜角度θ1及びθ2は、十分な排水性を確保する観点から、150°以下であることが好ましい。より好ましくは、傾斜角度θ1及びθ2は、剛性確保の観点から、100°以上であり、十分な排水性確保の観点から、130°以下である。
なお、ここで「通常主溝であるショルダ主溝21a及び21bを構成する側壁211及び222の傾斜角度」とは、タイヤ幅方向断面図において、ショルダ主溝21a及び21bのそれぞれの開口端における、トレッド踏面1と側壁211、トレッド踏面1と側壁222が、それぞれなす角度を意味する。
【0037】
第1の実施形態のタイヤにおいて、拡幅主溝であるセンタ主溝22を構成する側壁221及び222の傾斜角度θ3及びθ4は、接地時におけるトレッド踏面1での開口端のもげを防ぐため、30°以上であることが好ましい。また、傾斜角度θ3及びθ4は、摩耗進展時における排水性の低下を長期的に抑制するため、89°以下であることが好ましい。より好ましくは、傾斜角度θ3及びθ4は、接地時におけるトレッド踏面1での開口端のもげを効果的に防ぐ観点から、50°以上であり、より効果的に、摩耗進展時における排水性の低下を長期的に抑制する観点から、85°以下である。
なお、ここで「拡幅主溝であるセンタ主溝22を構成する側壁221及び222の傾斜角度」とは、センタ主溝22の開口端における、トレッド踏面1と側壁221、トレッド踏面1と側壁222がそれぞれなす角度を意味する。
【0038】
また、第1の実施形態のタイヤ10において、図3Bに示す例では、拡幅主溝であるセンタ主溝22を構成する側壁221と溝底223、側壁222と溝底223は、溝の延在方向に直交する断面において、それぞれ直線状に構成されているが、図5に示すように、側壁221と溝底223の境界及び側壁222と溝底223の境界を、曲率半径R1及びR2を有する弧状の側壁及び溝底としてもよい。
このような構成によれば、拡幅主溝であるセンタ主溝22の耐久性を高めることができる。
【0039】
第1の実施形態のタイヤ10において、曲率半径R1及びR2の値は特に限定されないが、曲率半径R1及びR2は、0.5mm以上とすることが好ましい。このような構成によれば、側壁221又は側壁222と、溝底223との境界におけるクラックを効果的に防止し、センタ主溝22の耐久性をより高めることができる。また、排水性の観点から、曲率半径R1及びR2は、5.0mm以下とすることが好ましい。より好ましくは、曲率半径R1及びR2は、センタ主溝22の耐久性をより高める観点からは、1mm以上であり、排水性の観点からは、3.0mm以下である。
【0040】
本実施形態において、センタ主溝22は、その全体がセンタ領域Cに位置し、ショルダ主溝21a及び21bは、それぞれその全体がショルダ領域Sに位置していることが好ましい。ここで、センタ領域Cは、トレッド踏面1のうち、タイヤ赤道面CLを中心とするとともに、タイヤ幅方向の幅が接地幅TWの50パーセントであるような領域を指すものとする。一方、ショルダ領域Sは、トレッド踏面1のうち、センタ領域Cよりもタイヤ幅方向外側に位置する一対の領域を指すものとする。
このような構成によれば、気柱共鳴音をより効果的に低減させるとともに、十分な排水性を確保することができる。
【0041】
また、第1の実施形態のタイヤ10において、タイヤ10の接地長は、トレッド端TE側よりもタイヤ赤道面CL側が長いことが好適である。また、第1の実施形態のタイヤ10において、周方向主溝2の接地長は、ショルダ主溝21a及び21bよりもセンタ主溝22が長いことが好適である。
前述のとおり、このような構成によれば、車両走行中に周方向主溝に生じる気柱共鳴音のピーク時における周波数を、確実に通常主溝と拡幅主溝との間でずらすことができ、気柱共鳴音を低減して、タイヤ全体の騒音を緩和する(耳障りに感じさせ難くする)ことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係るタイヤについて、図6を参照しながら説明する。第2の実施形態のタイヤ11は、通常主溝に連通する幅方向溝を有する以外は、第1の実施形態のタイヤ10と同様の構成であり、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るタイヤ11の、トレッド踏面を模式的に示す、部分展開図である。
【0044】
第2の実施形態のタイヤ11は、通常主溝であるショルダ主溝21a及び21bに連通し、タイヤ幅方向に(本実施形態では、タイヤ幅方向に対して0°を超える所定の角度で)延びて、トレッド端TEに開口する、幅方向溝4を有している。
【0045】
第2の実施形態のタイヤ11において、幅方向溝4は、ショルダ陸部31a及び31bに配置され、それぞれ、ショルダ主溝21a又は21bに連通し、タイヤ幅方向に延びて、トレッド端TEに開口している。
【0046】
幅方向溝4は、タイヤ赤道面CLに対して線対称又は点対称のいずれかとすることができ、また、タイヤ赤道面CLに対して線対称又は点対称のいずれでなくてもよい。図6の例では、ショルダ陸部31aに配置された幅方向溝4と、ショルダ陸部31bに配置された幅方向溝4とが、タイヤ赤道面CLに対して点対称の状態から、タイヤ周方向にずれた配置となっている。
【0047】
第2の実施形態のタイヤ11の構成による作用効果について、図7を参照しながら説明する。
【0048】
図7は、周方向主溝の気柱共鳴音の周波数について説明するための図である。図7では、通常主溝(幅方向溝あり)、通常主溝(幅方向溝なし)及び拡幅主溝における気柱共鳴音の、音圧と周波数の関係について示している。
ここで、「通常主溝(幅方向溝あり)」とは、通常主溝に連通し、タイヤ幅方向に延びて、トレッド端TEに開口する幅方向溝を有する通常主溝を指し、「通常主溝(幅方向溝なし)」とは、幅方向溝を有しない通常主溝を指すものとする。
【0049】
通常主溝に、通常主溝とトレッド端TEとをつなぐ幅方向溝を設けることによって、通常主溝における気柱共鳴音は、幅方向溝を有しない通常主溝より、気柱共鳴音の周波数が相対的に高くなる。このため、幅方向溝を有する通常主溝は、幅方向溝を有しない通常主溝よりも音圧レベルのピークを高周波側にシフトさせることができる。
また、第1の実施形態のタイヤ10の拡幅主溝と同様に、第2の実施形態におけるタイヤ11においても、拡幅主溝では、幅方向溝を有しない通常主溝よりも音圧レベルのピークを低周波側にシフトさせることができる。
そうすると、幅方向溝を有する通常主溝と、拡幅主溝とは、車両走行時に周方向主溝に生じる気柱共鳴音のピーク時における周波数を、より大きくずらすことができ、ひいては、これらの音圧の和のピーク値をより低くすることができるので、気柱共鳴音をより効率的に低減することができる。
【0050】
以下、図6及び図8を参照して、幅方向溝4の好適な構成や変形例等について、説明する。図8は、図6のトレッド踏面の一部を拡大して模式的に示す、部分展開図である。ただし、説明の便宜上、図8図6とは若干縮尺が異なるように描かれている。
【0051】
幅方向溝4については、ショルダ陸部31a及び31bにそれぞれ配置されているが、上述のとおり、図6の例では、タイヤ赤道面CLに対して点対称の状態から、タイヤ周方向にずれた配置となっている以外は同様の構成を有することから、ショルダ陸部31aに配置された幅方向溝4を典型例として、以下に説明する。
【0052】
幅方向溝4は、トレッド踏面1における溝幅が一定の形状であってもよく、溝幅がタイヤ幅方向の途中で変化する形状であってもよい。幅方向溝4は、トレッド踏面1における溝幅が、通常主溝であるショルダ主溝21aに連通する側よりも、トレッド端TE側に開口する側において大きくなっていることが好ましい。図8に示すように、幅方向溝4は、ショルダ主溝21aに連通する第1幅方向溝部分4aと、第1幅方向溝部分4aのトレッド端TE側に隣接して連なり、トレッド端TEに開口している、第2幅方向溝部分4bとを備えている。第2幅方向溝部分4bのトレッド踏面1における溝幅w6は、第1幅方向溝部分4aのトレッド踏面1における溝幅w5よりも大きい。
このような構成によれば、ショルダ主溝21aに連通する狭幅の第1幅方向溝部分4aから広幅の第2幅方向溝部分4bに空気の流れを形成することによって、タイヤ幅方向外側への空気の流れを促進し、気柱共鳴音をさらに低減させることができる。また、狭幅の第1幅方向溝部分4aから広幅の第2幅方向溝部分4bに水分が流入しやすく、トレッド端TE側への排水を促進することができ、タイヤの十分な排水性を確保することができる。
【0053】
また、幅方向溝4において、ショルダ主溝21aに連通する第1幅方向溝部分4aの溝幅w5は、第2幅方向溝部分4bの溝幅w6よりも1mm以上狭い溝幅を有していることが好ましい。このような構成によれば、気柱共鳴音の低減効果をより高めることができる。
【0054】
第2の実施形態のタイヤ11において、第1幅方向溝部分4aのトレッド踏面1における溝幅w5は、0.3mm以上であることが好ましい。このような構成によれば、ショルダ主溝21aから第1幅方向溝部分4aに十分な空気を流入させることができ、気柱共鳴音の低減機能をより発揮できる。より好適には、0.4mm以上である。
【0055】
幅方向溝4において、トレッド端TEに開口する第2幅方向溝部分4bのトレッド踏面1における溝幅w6は、タイヤ接地時に両側壁が互いに接触しない溝幅を有していればよいが、1.5mm以上の溝幅を有していることがより好ましい。このような構成によれば、気柱共鳴音の低減効果を効果的に実現できるとともに、十分な排水性を確保することができる。
【0056】
幅方向溝4の第1幅方向溝部分4aの溝深さは、第2幅方向溝部分4bの溝深さと同程度とすることが好ましい。このような構成によれば、摩耗後のタイヤにおいても、排水性を維持し、気柱管共鳴音の低減をすることができるためである。
【0057】
また、幅方向溝4において、第2幅方向溝部分4bの溝深さは、ショルダ主溝21aと同程度の深さとすることが好ましい。より具体的には、第2幅方向溝部分4bの溝深さは、3.0mm以上とすることが好適である。これにより、十分な排水性確保することができる。タイヤ11の剛性の観点からは、第2幅方向溝部分4bの溝深さは、20mm以下であると好適である。より好ましくは、第2幅方向溝部分4bの溝深さは、十分な排水性を確保する観点からは、5.0mm以上であり、タイヤ10の剛性の観点からは、15mm以下である。
【0058】
幅方向溝4は、図6及び図8の例においては、第1幅方向溝部分4aの延在方向に沿う長さL1が、第2幅方向溝部分4bの延在方向に沿う長さL2よりも短くなっているが、このような構成に限られず、図9に示すように、第1幅方向溝部分4aの延在方向に沿う長さL1が、第2幅方向溝部分4bの延在方向の沿う長さL2よりも長くなっていてもよい。ただし、長さL1が長さL2よりも短い方が、第1幅方向溝部分4aと第2幅方向溝部分4bの体積差を設け、気柱管共鳴音を低減するという観点において好ましい。
【0059】
幅方向溝4は、トレッド踏面1において、タイヤ幅方向に対する傾斜角度θ5が、0°~20°であることが好ましい。傾斜角度を0°以上20°以下とすることによって、幅方向溝4のショルダ主溝21aに対する開口端部における偏摩耗を防止しつつ、気柱共鳴音を低減することができるとともに、他のノイズの発生も抑制することができる。傾斜角度θ5は、より好ましくは、偏摩耗の防止及び他のノイズの発生抑制の観点から、5°~15°である。
【0060】
第2の実施形態において、幅方向溝4は、タイヤ11の接地面内における本数が、接地面の両端部で4~10本となるように、接地面の両端部に配置されることが好ましい。ここで、「接地面内における本数」とは、幅方向溝4の一部でも接地面内に位置していれば、接地面内に位置しているものとする。
このような構成によれば、より効果的に気柱共鳴音を低減させるとともに、十分な排水性を確保することができる。
【0061】
より具体的には、幅方向溝4は、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド端TEの一方側において、タイヤ周方向に10~40mmの間隔で配置されることが好ましい。このような構成によれば、より効果的に気柱共鳴音を低減させるとともに、十分な排水性を確保することができる。より好ましくは、タイヤ周方向に20~30mmの間隔で配置される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに利用できるものであるが、好適には乗用車用空気入りタイヤに利用できるものである。
【符号の説明】
【0063】
1:トレッド踏面、 2:周方向主溝、 4:幅方向溝、 4a:第1幅方向溝部分、 4b:第2幅方向溝部分、 10、11:タイヤ、 21a、21b:ショルダ主溝、 22:センタ主溝、 31a、31b:ショルダ陸部、 32a、32b:センタ陸部、 60:ベルト、 70:カーカス、 80:トレッドゴム、 90:トレッド部、 211、212、221、222:側壁、 213、223:溝底、 S:ショルダ部、 C:センタ部、 CL:タイヤ赤道面、 TE:トレッド端
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9