(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023251
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】処理システム、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 11/02 20100101AFI20230209BHJP
G07C 9/00 20200101ALI20230209BHJP
G01S 3/46 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G01S11/02
G07C9/00 Z
G01S3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128572
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 清規
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA01
3E138JB03
3E138JB14
3E138JC05
(57)【要約】
【課題】携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図る。
【解決手段】処理システム100は、状態取得部11と、水平距離取得部12と、処理部13と、を備える。状態取得部11は、受信部10が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得する。受信部10は、固定端末2及び携帯端末3(31,32・・・)の一方に設けられ、固定端末2及び携帯端末3(31,32・・・)の他方が送信する前記無線信号を受信する。水平距離取得部12は、前記状態情報に基づいて、固定端末2と携帯端末3(31,32・・・)との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する。処理部13は、前記水平距離情報を利用して携帯端末3(31,32・・・)に関する処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端末及び携帯端末の一方に設けられ、前記固定端末及び前記携帯端末の他方が送信する無線信号を受信する受信部、が受信した前記無線信号の状態に関する状態情報を取得する状態取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する水平距離取得部と、
前記水平距離情報を利用して前記携帯端末に関する処理を行う処理部と、を備える、
処理システム。
【請求項2】
前記水平距離取得部は、
前記状態情報を基に、前記固定端末と前記携帯端末との間の直線距離を計測する計測部と、
前記状態情報を基に、前記直線距離に対応する直線の方向を検知する検知部と、
前記直線距離及び前記方向を基に前記水平距離を算出する算出部と、を備える、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記受信部は、前記固定端末に設けられ、複数の携帯端末の各々が送信した無線信号を受信し、
前記状態取得部は、前記受信部が受信した前記複数の無線信号の各々の状態に関する状態情報を取得し、
前記水平距離取得部は、前記状態取得部が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、前記固定端末と前記複数の携帯端末の各々との間の水平距離を示す水平距離情報を取得し、
前記処理部は、前記水平距離取得部が取得した複数の水平距離情報に基づいて、前記複数の携帯端末のうち一の携帯端末に関する処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記受信部は、複数の携帯端末の各々に設けられ、前記固定端末が送信した無線信号を受信し、
前記状態取得部は、複数の受信部の各々が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得し、
前記水平距離取得部は、前記状態取得部が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、前記固定端末と前記複数の携帯端末の各々との間の水平距離を示す水平距離情報を取得し、
前記処理部は、前記水平距離取得部が取得した複数の水平距離情報に基づいて、前記複数の携帯端末のうち一の携帯端末に関する処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記複数の携帯端末のうち、前記水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、がただ一つである場合に、前記ただ一つの携帯端末を前記処理の対象に決定し、
前記複数の携帯端末のうち、前記水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、が2つ以上である場合に、前記水平距離が予め決められた閾値以下である2つ以上の携帯端末のうち、予め決められた条件を満たす一の携帯端末を前記処理の対象に決定する、
請求項3又は4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記予め決められた条件は、前記2つ以上の携帯端末に対応する2つ以上の水平距離のうち、最も短い水平距離、に対応する携帯端末である、という距離条件を含む、
請求項5に記載の処理システム。
【請求項7】
前記複数の携帯端末の各々には、携帯端末の属性に関する情報であり、優先順位が設定された属性情報、が対応付いており、
前記予め決められた条件は、前記2つ以上の携帯端末に対応する2つ以上の属性情報のうち、最も高い優先順位、に対応する携帯端末である、という順位条件を更に含み、
前記処理部は、前記距離条件を満たす携帯端末が前記順位条件を満たさない場合には、前記順位条件を満たす携帯端末を前記処理の対象に決定する、
請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記処理は、前記無線信号に基づく認証処理を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項9】
前記認証処理は、前記携帯端末のユーザの所定の領域への進入を許可するための進入認証処理を含む、
請求項8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記処理は、前記携帯端末に対する情報の送信を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項11】
固定端末及び携帯端末の一方に設けられ、前記固定端末及び前記携帯端末の他方が送信する無線信号を受信する受信部、が受信した前記無線信号の状態に関する状態情報を取得する状態取得ステップと、
前記状態情報に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する水平距離取得ステップと、
前記水平距離情報を利用して前記携帯端末に関する処理を行う処理ステップと、を含む、
処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の処理方法を1つ以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理システム、処理方法及びプログラムに関し、より詳細には、携帯端末との間の距離を基に、携帯端末に関する処理を行う処理システム、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドアの施解錠等を行う制御装置、及び、ユーザのICカードに記憶された個人IDを近距離無線通信で読み取り、制御装置に送信して認証情報を得る管理端末、等を備えた入退室管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のように、ユーザが携帯しているICカード等の携帯端末から、個人ID等の情報を近距離無線通信で読み取る方式では、一般に、直線距離が最短(例えば、受信強度が最大)の携帯端末から読み取られた情報が採用される。
【0005】
しかし、例えば、複数のユーザが列をなしている状態では、必ずしも、先頭のユーザの携帯端末が、管理端末からの直線距離が最短であるとは限らない。このため、携帯端末との間の距離として直線距離を用いると、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる処理システム、処理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る処理システムは、状態取得部と、水平距離取得部と、処理部と、を備える。前記状態取得部は、受信部が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得する。前記受信部は、固定端末及び携帯端末の一方に設けられ、前記固定端末及び前記携帯端末の他方が送信する前記無線信号を受信する。前記水平距離取得部は、前記状態情報に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する。前記処理部は、前記水平距離情報を利用して前記携帯端末に関する処理を行う。
【0008】
本開示の一態様に係る処理方法は、状態取得ステップと、水平距離取得ステップと、処理ステップと、を含む。前記状態取得ステップでは、受信部が受信した無線信号の状態に関する状態情報が取得される。前記受信部は、固定端末及び携帯端末の一方に設けられ、前記固定端末及び前記携帯端末の他方が送信する前記無線信号を受信する。水平距離取得ステップでは、前記状態情報に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との間の水平距離を示す水平距離情報が取得される。前記処理ステップでは、前記水平距離情報を利用して前記携帯端末に関する処理が行われる。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記処理方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の処理システム、処理方法及びプログラムは、水平距離を用いることで、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る処理システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の処理システムを構成する固定端末及び携帯端末、が存在する空間の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の固定端末及び同上の携帯端末の間の位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、同上の処理システムを構成する処理装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、同上の処理装置による水平距離取得処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の処理装置による水平距離利用処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、同上の処理システムの変形例1を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、同上の処理システムの変形例2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)処理システム
(1-1)概要
本開示の実施形態に係る処理システム100は、
図1に示すように、受信部10と、状態取得部11と、水平距離取得部12と、処理部13と、を備える。
【0014】
処理システム100は、例えば、ユーザの、所定の領域への進入、を管理する進入管理システムである。所定の領域は、例えば、部屋の内部であり、所定の領域への進入は、例えば、部屋への入室である。ただし、所定の領域は、建物の内部、敷地内等でもよい。
【0015】
受信部10は、固定端末2及び携帯端末3(31,32・・・)の一方に設けられ、固定端末2及び携帯端末3(31,32・・・)の他方が送信する無線信号を受信する。
【0016】
固定端末2は、例えば、所定の領域への入口の近傍に固定される。携帯端末3(31,32・・・)は、ユーザによって携帯される。
【0017】
本実施形態では、受信部10は、固定端末2に設けられる。固定端末2は、具体的には、例えば、タグリーダ、ビーコン受信器等である。
【0018】
本実施形態では、携帯端末3(31,32・・・)が、無線信号を単一のアンテナで送信し、受信部10は、携帯端末3(31,32・・・)からの無線信号を、3つ以上のアンテナで受信する。
【0019】
3つ以上のアンテナは、例えば、3つ以上のアンテナ素子を規則的に配列したアレイアンテナである。アレイアンテナは、例えば、3つ以上のアンテナ素子を、一の直線に沿って等間隔で配列したものでもよい。
【0020】
なお、単一のアンテナと、3つ以上のアンテナ(アレイアンテナ)との配置は、上記とは逆でもよい。すなわち、携帯端末3(31,32・・・)が、無線信号を3つ以上のアンテナで送信し、受信部10は、携帯端末3(31,32・・・)からの無線信号を、単一のアンテナで受信してもよい。
【0021】
ただし、受信部10は、携帯端末3(31,32・・・)に設けられてもよい(変形例1参照)。この場合、例えば、固定端末2が、無線信号を単一のアンテナ(又は3つ以上のアンテナ)で送信し、受信部10は、固定端末2からの無線信号を、3つ以上のアンテナ(又は単一のアンテナ)で受信する。
【0022】
(1-2)状態情報の取得
状態取得部11は、状態情報を取得する。状態情報とは、受信部10が受信した無線信号の状態に関する情報である。
【0023】
状態は、例えば、位相差又は位相である。ただし、状態は、強度差又は強度でもよいし、時間差又は時間であってもよい。なお、時間は、例えば、遅延時間であり、時間差は、例えば、遅延時間の差分である。
【0024】
状態情報は、例えば、3つ以上のアンテナに対応する3つ以上の位相、の間の位相差に関する位相差情報であるが、当該3つ以上の位相を示す位相情報であってもよい。または、状態情報は、3つ以上のアンテナに対応する3つ以上の強度、の間の強度差に関する強度差情報でも、当該3つ以上の強度を示す強度情報であってもよい。または、状態情報は、3つ以上のアンテナに対応する3つ以上の遅延時間、の間の時間差に関する時間差情報でも、当該3つ以上の遅延時間を示す時間情報であってもよい。
【0025】
(1-3)水平距離の取得
水平距離取得部12は、状態取得部11が取得した状態情報に基づいて、水平距離情報を取得する。水平距離情報とは、固定端末2と携帯端末3(31,32・・・)との間の水平距離(h1,h2・・・:
図3参照)を示す情報である。
【0026】
水平距離は、例えば、固定端末2及び携帯端末3に対して、鉛直方向に進む平行光線を照射した場合に、水平面上に投影される2つの影(正射影)、の間の距離である。鉛直方向とは、重力の方向である。重力の方向は、例えば、固定端末2が有する加速度センサ(図示しない)で検知されてもよい。本実施形態における鉛直方向は、例えば、
図2に示すZ軸の方向である。水平面とは、鉛直方向に対して垂直な平面である。本実施形態における水平面は、例えば、
図2に示すX軸及びY軸を含む平面、又は当該平面と平行な平面である。
【0027】
なお、上述した3つ以上のアンテナは、一の水平面内(例えば、X軸及びY軸を含む平面)に配置されてもよい。具体的には、例えば、アンテナアレイを構成する3つ以上のアンテナ素子が、このような水平面内の一の直線(例えば、Y軸)に沿って配列されてもよい。
【0028】
例えば、3つ以上のアンテナの間の位置関係(例えば、アレイアンテナを構成するアンテナ素子間の距離、相対座標等)に関するアンテナ情報が、メモリに格納されている。なお、メモリは、通常、処理システム100内のメモリであるが、処理システム100の外部のメモリでもよく、処理システム100のコンピュータがアクセス可能であれば、その所在は問わない。
【0029】
水平距離取得部12は、例えば、メモリ内の上記アンテナ情報と、状態取得部11が取得した位相差情報とに基づいて、上記水平距離を算出し、算出結果を示す水平距離情報を取得する。ただし、位相差情報に代えて、強度差情報又は時間差情報が用いられてもよいし、位相情報、強度情報又は時間情報が用いられても、水平距離の算出は可能である。
【0030】
なお、水平距離取得部12が算出する「水平距離」の「水平」とは、必ずしも水平方向(水平面に対して平行な方向)と一致しているものに限らず、水平面に対して多少傾いているものでもよい。携帯端末3に関する処理を的確に行うために、本実施形態では、このような「水平」方向の水平面に対する傾きは、例えば、±10度以内であり、より好ましくは、±5度以内である。
【0031】
詳しくは、水平距離取得部12は、
図1に示すように、計測部121と、検知部122と、算出部123と、を備える。
【0032】
計測部121は、状態取得部11が取得した状態情報を基に、固定端末2と携帯端末3(31,32・・・)との間の直線距離(d1,d2・・・:
図3参照)を計測する。
【0033】
検知部122は、状態取得部11が取得した状態情報を基に、計測部121が計測した直線距離(d1,d2・・・)に対応する直線の方向を検知する。方向は、例えば、水平面に対する上記直線の角度(θ1,θ2・・・:
図3参照)である。
【0034】
算出部123は、計測部121が計測した直線距離(d1,d2・・・)及び検知部122が検知した方向(θ1,θ2・・・)を基に、上記水平距離(h1,h2・・・)を算出する。
【0035】
例えば、固定端末2と携帯端末31との間の水平距離h1は、固定端末2と携帯端末31との間の直線距離d1に“cos(θ1)”を乗算することによって算出される。また、固定端末2と携帯端末32との間の水平距離h2は、固定端末2と携帯端末32との間の直線距離d2に“cos(θ2)”を乗算することによって算出される。
【0036】
こうして、状態情報を基に、直線距離及び方向を求め、直線距離及び角度から水平距離を算出できる。
【0037】
(1-4)水平距離を利用した処理
処理部13は、水平距離取得部12が取得した水平距離を利用して、携帯端末3(31,32・・・)に関する処理を行う。
【0038】
携帯端末3(31,32・・・)に関する処理は、例えば、認証処理である。本実施形態における認証処理は、携帯端末3(31,32・・・)を携帯しているユーザが所定の領域に進入すること、を許可するための処理である。認証処理は、例えば、携帯端末3(31,32・・・)を識別する端末識別子(aaa,bbb・・・)、携帯端末3(31,32・・・)のユーザを識別するユーザ識別子(AA,BB・・・)、予め登録されたパスワード、等を用いて行われる。
【0039】
水平距離を利用した処理は、具体的には、例えば、“水平距離<閾値”の状態で所定の操作(所定の領域への入口に設けられた扉に手をかざす等)が行われた場合に、所定の領域への進入を許可(扉のロックを解除)する処理であってもよい。この場合、所定の操作を検知するセンサ(赤外線センサ、カメラ等)が、扉の近傍に設けられる。
【0040】
または、処理は、携帯端末3(31,32・・・)に情報を送信する処理であってもよい。情報は、例えば、所定の領域に関する情報であるが、これに限らない。
【0041】
こうして水平距離を用いることで、携帯端末3(31,32・・・)に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0042】
(2)処理システムの実現手段
上記のような処理システム100は、例えば、
図1に示したように、処理装置1と、固定端末2と、1つ以上の携帯端末3(31,32・・・)と、で実現される。
【0043】
処理装置1は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット、通信回線網、等のネットワーク200を介して、固定端末2、及び1つ以上の携帯端末3(31,32・・・)、の各々と通信可能に接続される。
【0044】
なお、携帯端末3(31,32・・・)の数は、通常、2つ以上であるが、1つでもよい。本実施形態では、携帯端末3(31,32・・・)の数を2つ以上とする。2つ以上の携帯端末3(31,32・・・)を互いに区別する場合は、携帯端末31,携帯端末32・・・のように記す。
【0045】
(2-1)処理装置
処理装置1は、プロセッサ及びメモリと、第1通信モジュール(図示しない)とを有する。メモリには、プロブラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内のプロブラム及び各種の情報に基づいて動作することにより、処理装置1の各種の機能が実現される。なお、プロブラム、各種の情報、各種の機能等については、後述する。また、以下では、各種の機能を実現するプロセッサ及びメモリを「コンピュータ」と称する場合がある。第1通信モジュールは、コンピュータの制御下で、ネットワーク200を介した通信(ネットワーク通信)を実現する。
【0046】
本実施形態における処理装置1は、サーバ(図示しない)である。ただし、処理装置1は、例えば、固定端末2と一体化されていてもよい(変形例2参照)。
【0047】
(2-2)固定端末
固定端末2は、例えば、
図2に示すように、所定の領域301(例えば、部屋の内部)への入口に設けられた扉302、の近傍に固定される。扉302は、処理装置1からの制御信号に応じて自動的に開閉する。
【0048】
近傍とは、例えば、扉302の直ぐ上である。ただし、近傍は、例えば、扉302の直ぐ左、直ぐ右、直ぐ下等でもよい。固定端末2が固定される位置は、扉302の直ぐ近くであれば、どこでもよい。本実施形態において、近傍(直ぐ近く)とは、近距離無線通信が可能な距離である。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)であるが、その方式は問わない。
【0049】
固定端末2は、具体的には、
図2に示したように、所定の領域301への入口が形成された壁面の、扉302の直上の位置、に設けられる。
【0050】
固定端末2は、プロセッサ及びメモリ(コンピュータ)と、第1通信モジュール及び第2通信モジュール(いずれも図示しない)と、を有する。メモリには、プロブラム及び各種の情報が格納され、プロセッサがメモリ内のプロブラム及び各種の情報に基づいて動作することにより、固定端末2の機能が実現される。第2通信モジュールは、コンピュータの制御下で近距離無線通信を実現する。
【0051】
なお、固定端末2は、加速度センサ及びディスプレイ(いずれも図示しない)を更に有していてもよい。加速度センサで重力の方向が検知され、その検知結果に基づく情報(例えば、傾きを示す数値など)がディスプレイに表示されてもよい。これによって、ユーザは、固定端末2を的確な(例えば、アレイアンテナが水平になるような)姿勢で固定できる。
【0052】
本実施形態における固定端末2は、例えば、スキャナ、タグリーダ、ビーコン受信器等(いずれも図示しない)であるが、そのタイプは問わない。
【0053】
なお、処理装置1の各種の機能を固定端末2が有していてもよい(変形例2参照)。
【0054】
(2-3)携帯端末
携帯端末3(31,32・・・)は、ユーザによって携帯される。携帯端末3(31,32・・・)は、ユーザの手で把持されてもよいし、ポケットやバッグ等に収納されていてもよい。
【0055】
携帯端末3は、プロセッサ及びメモリと、第1通信モジュール及び第2通信モジュールと、を有する。
【0056】
本実施形態における携帯端末3は、例えば、スマートフォン、ICタグ、ビーコン送信器等であるが、そのタイプは問わない。
【0057】
なお、受信部10は、携帯端末3が備えていてもよい(変形例1参照)。この場合、固定端末2は、無線信号を送信する送信器(ビーコン送信器等)である。携帯端末3を構成する受信部10が、固定端末2からの無線信号を受信する。
【0058】
(3)具体的な水平距離の取得方法
(3-1)座標系
本実施形態では、
図2に示されるように、壁面上の固定端末2の位置(例えば、固定端末2が有する第2通信モジュール用のアンテナ、に対して所定の位置)を原点Oとして、原点Oから鉛直下方に延びる軸をZ軸、原点Oから壁面に対して垂直に伸びる軸をX軸、原点OからX軸及びZ軸に対して垂直(本実施形態では、扉302に向かって左向き)に伸びる軸をY軸、と定義する。
【0059】
(3-2)直線距離と水平距離の関係
いま、所定の領域301に進入しようとする複数のユーザ(例えば、携帯端末31を携帯したユーザAA、携帯端末31を携帯したユーザBB・・・)が、扉302の前に列をなしている。列は、扉302の正面(Z軸の位置)から、扉302の法線方向(X軸の方向)に延びている。従って、複数のユーザは、X軸及びZ軸を含む平面(鉛直面)内に存在する。
【0060】
複数のユーザのうち先頭のユーザAAは、携帯端末31を、肘から下げたハンドバッグの中に収納している。ユーザAAの直後のユーザBBは、携帯端末32を手で把持して顔に近付け、携帯端末32の画面を見ている。
【0061】
このとき、固定端末2と、携帯端末31及び携帯端末32の各々との位置関係は、
図3のようになる。
図3には、扉302に向かって左側から右側(Y軸とは逆方向)を見た場合の位置関係が模式的に示される。
【0062】
図3における水平面は、
図2において、X軸及びY軸を含む平面(水平面)に対応する。
図3における鉛直下方は、
図2におけるZ軸の方向に対応する。
【0063】
θ1は、固定端末2と、前方のユーザAAの携帯端末31と、を通る直線の、水平面に対する角度である。θ2は、固定端末2と、後方のユーザBBの携帯端末32と、を通る直線の、水平面に対する角度である。
図3において、これら2つの角度の大小関係は、θ1<θ2である。
【0064】
d1は、固定端末2と携帯端末31との間の直線距離である。d2は、固定端末2と携帯端末32との間の直線距離である。
図3において、これら2つの直線距離の大小関係は、d1>d2である。
【0065】
h1は、固定端末2と携帯端末31との間の水平距離であり、θ1とは、h1=sin(θ1)の関係にある。h2は、固定端末2と携帯端末32との間の水平距離であり、θ2とは、h2=sin(θ2)の関係にある。
図3において、これら2つの水平距離の大小関係は、h1<h2である。
【0066】
固定端末2と、携帯端末31及び携帯端末32の各々とが、
図3に示すような位置関係にある場合、先頭のユーザAAの携帯端末32よりも、後方のユーザBBの携帯端末32の方が、固定端末2に近い(直線距離がd1>d2の関係にある)。
【0067】
この場合に、処理対象を直線距離d1,d2で判断したのでは、先頭のユーザAAに関する認証処理が、後方のユーザBBの携帯端末32からの情報を基に行われる結果となるため、ユーザAAの携帯端末31に関する処理を的確に行えない可能性がある。
【0068】
これに対して、水平距離に基づく処理では、固定端末2と、携帯端末31及び携帯端末32の各々とが、
図3に示すような位置関係にあっても、先頭のユーザAAに関する認証処理は、先頭のユーザAAの携帯端末31からの情報を基に行われ、後方のユーザBBの携帯端末32からの情報を基に行われることはないため、ユーザAAの携帯端末31に関する処理を的確に行えない可能性を低減できる。
【0069】
(3-3)複数の携帯端末に対応する複数の水平距離
受信部10は、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の各々が送信した無線信号を受信する。
【0070】
状態取得部11は、受信部10が受信した複数の無線信号の各々の状態に関する状態情報を取得する。
【0071】
水平距離取得部12は、状態取得部11が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、固定端末2と、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の各々と、の間の水平距離を取得する。
【0072】
処理部13は、水平距離取得部12が取得した複数の水平距離に基づいて、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち一の携帯端末3に関する処理を行う。
【0073】
処理の対象となる一の携帯端末3は、例えば、最短の水平距離に対応する携帯端末である。
【0074】
すなわち、処理部13は、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち、最短の水平距離に対応する携帯端末3を、処理の対象となる一の携帯端末3に決定し、当該決定した一の携帯端末3に関する処理を実行する。
【0075】
なお、処理の対象となる一の携帯端末3を決定する際に、処理部13は、水平距離以外の条件も考慮してもよい。
【0076】
水平距離以外の条件は、例えば、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の間の優先順位に関する条件である。複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の間の優先順位に関する条件は、例えば“保護者の携帯端末と、当該保護者の子供の携帯端末との間では、保護者の携帯端末を優先する”といった条件である。
【0077】
例えば、メモリに、複数の携帯端末に対応する複数の端末識別子が格納されている。これら複数の端末識別子のうち、保護者の携帯端末を識別する端末識別子には、当該保護者の子供の携帯端末を識別する端末識別子、が対応付けられてもよい。保護者の携帯端末を識別する端末識別子には、保護者を示すフラグが、子供の携帯端末を識別する端末識別子には、子供を示すフラグが、それぞれ付されてもよい。
【0078】
処理部13は、メモリ内の上記各種の情報を利用して、処理対象の携帯端末3を決定してもよい。
【0079】
こうして、複数の携帯端末に対応する複数の水平距離を用いることで、複数の携帯端末のうち一の携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0080】
(3-4)処理対象の具体的な決定方法
処理部13は、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、がただ一つである場合に、当該ただ一つの携帯端末を処理対象に決定する。
【0081】
また、処理部13は、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、が2つ以上である場合には、当該2つ以上の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32)のうち、予め決められた条件を満たす一の携帯端末を処理対象に決定する。
【0082】
なお、以下で「2つ以上の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)」とは、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち、水平距離が予め決められた閾値以下である2つ以上の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)である。2つ以上の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)は、通常、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の一部であるが、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の全部でもよい。
【0083】
こうして、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末がただ一つの場合、及び、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末が2つ以上の場合、のいずれの場合にも、処理の対象を決定できる。
【0084】
予め決められた条件は、例えば、距離条件を含む。距離条件とは、固定端末2と携帯端末3(31,32・・・)との間の距離に関する条件である。
【0085】
本実施形態における距離条件は、固定端末2と携帯端末3(31,32・・・)との間の水平距離に関する条件である。水平距離に関する距離条件は、例えば、“2つ以上の携帯端末に対応する2つ以上の水平距離のうち、最も短い水平距離、に対応する携帯端末である”という条件である。
【0086】
具体的には、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)のうち、2つの携帯端末31及び32が、固定端末2との間の水平距離が予め決められた閾値以下であるとする。そして、
図3に示されるように、固定端末2と携帯端末31との間の直線距離をd1、固定端末2と携帯端末32との間の直線距離をd2、固定端末2と携帯端末31との間の水平距離をh1、固定端末2と携帯端末32との間の水平距離をh2として、d1>d2,h1<k2である場合、直線距離が短い携帯端末31ではなく、水平距離が短い携帯端末32が、処理対象に決定される。
【0087】
こうして、処理の対象を、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)に対応する複数の水平距離を用いて決定できる。
【0088】
また、予め決められた条件は、順位条件を更に含んでもよい。順位条件とは、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の間の優先順位に関する条件である。順位条件は、例えば、“2つ以上の携帯端末に対応する2つ以上の属性情報のうち、最も高い優先順位、に対応する携帯端末である”、という条件である。
【0089】
順位条件は、具体的には、例えば、“2つ以上の携帯端末のうち、一の携帯端末が保護者の端末であり、他の1つ以上の携帯端末の各々が当該保護者の子供の端末である場合は、保護者の端末、に対応する携帯端末を優先する”、という条件であってもよい。
【0090】
詳しくは、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の各々には、属性情報が対応付いている。属性情報とは、携帯端末3(31,32・・・)の属性に関する情報である。属性は、例えば、“保護者の端末”,“当該保護者の子供の端末”等であってもよい。
【0091】
また、属性情報には、優先順位が設定されている。優先順位は、例えば、“第1位”,“第2位”等である。優先順位が設定された属性情報は、例えば、“保護者の端末:第1位”,“当該保護者の子供の端末:第2位”等であってもよい。
【0092】
処理部13は、距離条件を満たす携帯端末が順位条件を満たさない場合には、順位条件を満たす携帯端末を処理対象に決定する。これによって、例えば、水平距離が最も短い携帯端末が子供の端末、水平距離が2番目に短い携帯端末が保護者の端末、である場合には、保護者の端末に対応する携帯端末が、処理の対象に決定される。
【0093】
具体的には、例えば、前述した
図3の例において、直線距離が短い携帯端末31が保護者の端末、水平距離が短い携帯端末32が子供の端末、である場合、距離条件を満たす携帯端末32は、順位条件を満たさない。このため、順位条件を満たす携帯端末31が、処理対象に決定される。こうして、処理の対象を、優先順位も考慮して決定できる。
【0094】
(3-5)処理の内容
処理は、無線信号に基づく認証処理を含む。認証処理とは、携帯端末3(31,32)を携帯しているユーザが所定の行動を行うこと、を許可するための処理である。所定の行動は、例えば、所定の領域への進入である。
【0095】
本実施形態における認証処理は、進入認証処理を含む。進入認証処理とは、携帯端末3(31,32)を携帯しているユーザが所定の領域(例えば、室内301)に進入すること、を許可するための処理である。
【0096】
本実施形態では、水平距離を用いることで、進入許可のための認証処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0097】
詳しくは、例えば、メモリに、複数の携帯端末3(31,32・・・)に対応する複数の端末識別子(aaa,bbb・・・)、が格納されている。処理部13は、例えば、無線信号に含まれる端末識別子が、メモリに格納されている複数の端末識別子のいずれか1つと一致するか否かを判断し、一致する場合に、当該端末識別子で識別される携帯端末の携帯しているユーザが所定の領域に進入することを許可する。
【0098】
または、メモリには、上記複数の端末識別子(aaa,bbb・・・)の各々に対応付けて、ユーザ識別子およびパスワードの組、が更に格納されていてもよい。処理部13は、例えば、無線信号に含まれる端末識別子が、メモリに格納されている複数の端末識別子のいずれか1つと一致する場合、当該端末識別子で識別される携帯端末3に、ユーザ識別子及びパスワードの組を要求する。
【0099】
処理部13は、要求に応じて携帯端末3から送信されるユーザ識別子及びパスワードの組を受信し、当該受信したユーザ識別子及びパスワードの組が、当該端末識別子に対応付けてメモリに格納されているユーザ識別子およびパスワードの組、と一致するか否かを判断する。そして、一致する場合に、当該端末識別子で識別される携帯端末3(31,32)のユーザが所定の領域に進入することを許可する。
【0100】
本実施形態では、水平距離を用いることで、認証処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0101】
処理は、携帯端末3(31,32)に対する情報の送信、を更に含む。情報は、例えば、上述したような、ユーザ識別子及びパスワードの組の要求、である。
【0102】
または、情報は、例えば、所定の領域に関する情報である。所定の領域に関する情報は、例えば、所定の領域内で展示されている物品、販売される商品、提供されるサービス、等に関する情報でもよい。
【0103】
本実施形態では、水平距離を用いることで、携帯端末3(31,32)への情報の送信処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0104】
(4)処理システムの動作
処理システム100を構成する処理装置1は、
図4のフローチャートに従う処理を実行する。なお、
図4の処理は、処理装置1の起動に応じて開始され、処理装置1の停止に応じて終了される。
【0105】
また、
図4の処理は、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)の各々について実行される。例えば、メモリに、複数の携帯端末3(携帯端末31,携帯端末32・・・)に対応する複数の端末識別子が格納されている。処理部13は、例えば、格納されている複数の端末識別子を順番に選択していき、現在選択中の端末識別子で識別される携帯端末3について、以下の処理を実行する。
【0106】
最初、処理部13は、受信部10が携帯端末3からの無線信号を受信したか否かを判断する(ステップS1)。受付部が携帯端末3からの無線信号を受信したと判断された場合、処理はステップS1に進む。携帯端末3からの無線信号は受信されていないと判断された場合、処理はステップS1に戻る。
【0107】
状態情報取得部11は、ステップS1で受信された無線信号の状態(強度、位相、時間等)に関する状態情報を取得する(ステップS2)。取得された状態情報は、現在選択中の端末識別子に対応付けて、メモリに格納される。
【0108】
検知部122は、ステップS2で取得された状態情報を基に、固定端末2と携帯端末3との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する(ステップS3)。なお、ステップS3の処理(水平距離取得処理)については、
図5を用いて説明する。取得された水平距離情報は、現在選択中の端末識別子に対応付けて、メモリに格納される。
【0109】
処理部13は、ステップS33で取得された水平距離情報を利用した処理(認証処理、情報送信処理等)を行う(ステップS4)。なお、ステップS4の処理(水平距離利用処理)については、
図6を用いて説明する。その後、処理はステップS1に戻る。
【0110】
ステップS3の水平距離取得処理は、例えば、
図5のフローチャートに従って実行される。
【0111】
計測部121は、ステップS2で取得された状態情報を基に、固定端末2と携帯端末3との間の直線距離を計測し、計測結果を示す直線距離情報を取得する(ステップS31)。取得された直線距離情報は、現在選択中の端末識別子に対応付けて、メモリに格納される。
【0112】
検知部122は、ステップS2で取得された状態情報を基に、上記直線距離に対応する直線(固定端末2と携帯端末3とを通る直線)の方向(受信角度θ1,θ2等)を検知し、検知結果を示す方向情報を取得する(ステップS32)。取得された方向情報は、現在選択中の端末識別子に対応付けて、メモリに格納される。
【0113】
算出部123は、ステップS31で計測された直線距離、及びステップS32で検知された方向、を基に、上記水平距離を算出することにより、上記水平距離情報をする(ステップS33)。その後、処理は上位のフローチャート(
図4参照)にリターンする。
【0114】
ステップS4の水平距離利用処理は、例えば、
図6のフローチャートに従って実行される。
図6の処理は、例えば、定期的又は不定期に実行されてもよいし、所定の領域に進入するための所定の操作(扉302に手をかざす等)に応じて実行されてもよい。
【0115】
なお、
図6のフローチャートに従う処理が開始される時点で、メモリには、複数の端末識別子の各々に対応付けて、状態情報、直線距離情報、方向情報、水平距離情報が格納されているものとする。
【0116】
処理部13は、ステップS3で取得された水平距離が閾値以下の携帯端末3、があるか否かを、複数の端末識別子に対応付いた複数の水平距離情報の各々が示す水平距離を閾値と比較することにより、判断する(ステップS41)。水平距離が閾値以下の携帯端末3があると判断された場合、処理はステップS42に進む。水平距離が閾値以下の携帯端末3はないと判断された場合、処理は上位のフローチャートにリターンする。
【0117】
処理部13は、水平距離が閾値以下の携帯端末3はただ一つか否かを判断する(ステップS42)。水平距離が閾値以下の携帯端末3はただ一つでない(2つ以上ある)と判断された場合、処理はステップS43に進む。水平距離が閾値以下の携帯端末3はただ一つと判断された場合、処理はステップS44に進む。
【0118】
処理部13は、水平距離が閾値以下である2つ以上の携帯端末3のうち、予め決められた条件(例えば、水平距離が最短であること)を満たす位置の携帯端末3を選択し、選択結果に対応する端末識別子を取得する(ステップS43)。
【0119】
処理部13は、ステップS42でただ一つと判断された携帯端末3、又はステップS43で選択された一の携帯端末3、に関する処理を実行する(ステップS44)。例えば、ただ一つと判断された携帯端末3、又選択された一の携帯端末3、に対応する端末識別子、等を用いた認証処理が実行される。その後、処理は上位のフローチャート(
図4参照)にリターンする。
【0120】
(5)処理システムの変形例
(5-1)変形例1
変形例1では、受信部10は、
図7に示すように、携帯端末3(31,32・・・)に設けられる。
【0121】
すなわち、固定端末2が無線信号を送信し、携帯端末3(31,32・・・)に設けられた受信部10は、固定端末2が送信した無線信号を受信する。固定端末2は、具体的には、例えば、ビーコン送信器である。
【0122】
受信部10は、通常、複数の携帯端末3(31,32・・・)の各々に設けられ、固定端末2が送信した無線信号を受信する。状態取得部11は、複数の携帯端末3(31,32・・・)に対応する複数の受信部10、の各々が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得する。
【0123】
水平距離取得部12は、状態取得部11が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、複数の携帯端末3(31,32・・・)の各々と固定端末2との間の水平距離を取得する。処理部13は、実施形態における処理部13と同様、水平距離取得部12が取得した複数の水平距離に基づいて、複数の携帯端末3(31,32・・・)のうち一の携帯端末に関する処理を行う。
【0124】
(5-2)変形例2
変形例2では、処理装置1は、固定端末2と一体化される。すなわち、固定端末2が、処理装置1の各種の機能を有する。
【0125】
変形例2における固定端末2は、
図8に示すように、受信部10、及び処理装置1を備える。この場合、固定端末2及び携帯端末3(31,32・・・)の各々は、ネットワーク200に接続されていなくてよい。
【0126】
(6)処理方法及びプログラム
なお、上記実施形態に係る処理システム100と同様の機能は、処理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。なお、処理方法は、上記各種ステップのうち、少なくとも、ステップS2(状態取得ステップ)、ステップS3(水平距離取得ステップ)、及びステップS3(処理ステップ)を含む方法である。また、プログラムは、同上の処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0127】
なお、本開示における処理システム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0128】
また、処理システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは処理システム100に必須の構成ではなく、処理システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、処理システム100の少なくとも一部の機能、例えば、処理装置1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。同様に、処理装置1の複数の機能が1つの筐体内に集約される必要はなく、処理装置1の構成要素は、複数の装置(処理装置1、固定端末2、携帯端末3)に分散して設けられてもよい。
【0129】
反対に、実施形態において、複数の装置に分散されている処理システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、処理装置1と固定端末2と携帯端末3とに分散されている処理システム100の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0130】
(7)まとめ
第1の態様に係る処理システム(100)は、状態取得部(11)と、水平距離取得部(12)と、処理部(13)と、を備える。状態取得部(11)は、受信部(10)が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得する。受信部(10)は、固定端末(2)及び携帯端末(3:31,32・・・)の一方に設けられ、固定端末(2)及び携帯端末(3:31,32・・・)の他方が送信する前記無線信号を受信する。水平距離取得部(12)は、前記状態情報に基づいて、固定端末(2)と携帯端末(3:31,32・・・)との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する。処理部(13)は、前記水平距離情報を利用して携帯端末(3:31,32・・・)に関する処理を行う。
【0131】
この態様によれば、水平距離を用いることで、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0132】
第2の態様に係る処理システム(100)では、第1の態様において、水平距離取得部(12)は、計測部(121)と、検知部(122)と、算出部(123)と、を備える。計測部(121)は、前記状態情報を基に、固定端末(2)と携帯端末(3:31,32・・・)との間の直線距離を計測する。検知部(122)は、前記状態情報を基に、前記直線距離に対応する直線の方向を検知する。算出部(123)は、前記直線距離及び前記方向を基に前記水平距離を算出する。
【0133】
この態様によれば、状態情報を基に直線距離及び角度を求め、直線距離及び角度から水平距離を算出できる。
【0134】
第3の態様に係る処理システム(100)は、第1又は第2の態様において、受信部(10)は、固定端末(2)に設けられ、複数の携帯端末(31,32・・・)の各々が送信した無線信号を受信する。状態取得部(11)は、受信部(10)が受信した前記複数の無線信号の各々の状態に関する状態情報を取得する。水平距離取得部(12)は、状態取得部(11)が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、前記固定端末(2)と前記複数の携帯端末(31,32・・・)の各々との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する。前記処理部(13)は、前記水平距離取得部(12)が取得した複数の水平距離情報に基づいて、前記複数の携帯端末(31,32・・・)のうち一の携帯端末に関する処理を行う。
【0135】
この態様によれば、複数の携帯端末に対応する複数の水平距離を用いることで、複数の携帯端末のうち一の携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0136】
第4の態様に係る処理システム(100)は、第1又は第2の態様において、受信部(10)は、複数の携帯端末(31,32・・・)の各々に設けられ、前記固定端末(2)が送信した無線信号を受信する。状態取得部(11)は、複数の受信部(10)の各々が受信した無線信号の状態に関する状態情報を取得する。水平距離取得部(12)は、状態取得部(11)が取得した複数の状態情報の各々に基づいて、固定端末(2)と複数の携帯端末(31,32・・・)の各々との間の水平距離を示す水平距離情報を取得する。処理部(13)は、水平距離取得部(12)が取得した複数の水平距離情報に基づいて、複数の携帯端末(31,32・・・)のうち一の携帯端末に関する処理を行う。
【0137】
この態様によれば、複数の携帯端末に対応する複数の水平距離を用いることで、複数の携帯端末のうち一の携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0138】
第5の態様に係る処理システム(100)は、第3又は第4の態様において、処理部(13)は、複数の携帯端末(31,32・・・)のうち、前記水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、がただ一つである場合に、前記ただ一つの携帯端末を前記処理の対象に決定し、複数の携帯端末(31,32・・・)のうち、前記水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末、が2つ以上である場合に、前記水平距離が予め決められた閾値以下である2つ以上の携帯端末のうち、予め決められた条件を満たす一の携帯端末を前記処理の対象に決定する。
【0139】
この態様によれば、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末がただ一つの場合に、処理の対象を決定できる。また、水平距離が予め決められた閾値以下である携帯端末が2つ以上の場合にも、処理の対象を決定できる。
【0140】
第6の態様に係る処理システム(100)は、第5の態様において、前記予め決められた条件は、2つ以上の携帯端末(31,32・・・)に対応する2つ以上の水平距離のうち、最も短い水平距離、に対応する携帯端末である、という距離条件を含む。
【0141】
この態様によれば、処理の対象を水平距離により決定できる。
【0142】
第7の態様に係る処理システム(100)は、第6の態様において、複数の携帯端末(31,32・・・)の各々には、携帯端末の属性に関する情報であり、優先順位が設定された属性情報、が対応付いている。前記予め決められた条件は、2つ以上の携帯端末(31,32・・・)に対応する2つ以上の属性情報のうち、最も高い優先順位、に対応する携帯端末である、という順位条件を更に含む。処理部(13)は、前記距離条件を満たす携帯端末が前記順位条件を満たさない場合には、前記順位条件を満たす携帯端末を前記処理の対象に決定する。
【0143】
この態様によれば、処理の対象を、優先順位も考慮して決定できる。
【0144】
第8の態様に係る処理システム(100)は、第1~第7のいずれかの態様において、前記処理は、前記無線信号に基づく認証処理を含む。
【0145】
この態様によれば、水平距離を用いることで、認証処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0146】
第9の態様に係る処理システム(100)では、第8の態様において、前記認証処理は、携帯端末(3:31,32・・・)のユーザの所定の領域(301)への進入を許可するための進入認証処理を含む。
【0147】
この態様によれば、水平距離を用いることで、進入許可のための認証処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0148】
第10の態様に係る処理システム(100)では、第1~第9のいずれかの態様において、前記処理は、携帯端末(3:31,32・・・)に対する情報の送信を含む。
【0149】
この態様によれば、水平距離を用いることで、情報の送信を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0150】
第11の態様に係る処理方法は、状態取得ステップ(S2)と、水平距離取得ステップ(S3)と、処理ステップ(S4)と、を含む。状態取得ステップ(S2)では、受信部(10)が受信した無線信号の状態に関する状態情報が取得される。受信部(10)は、固定端末(2)及び携帯端末(3:31,32・・・)の一方に設けられ、固定端末(2)及び携帯端末(3:31,32・・・)の他方が送信する前記無線信号を受信する。水平距離取得ステップ(S3)では、前記状態情報に基づいて、前記固定端末(2)と前記携帯端末(31,32・・・)との間の水平距離を示す水平距離情報が取得される。処理ステップ(S4)では、前記水平距離情報を利用して前記携帯端末(3:31,32・・・)に関する処理が行われる。
【0151】
この態様によれば、水平距離を用いることで、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【0152】
第12の態様に係るプログラムは、第11の態様に係る処理方法を1つ以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0153】
この態様によれば、水平距離を用いることで、携帯端末に関する処理を的確に行えない可能性の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0154】
100 処理システム
1 処理装置
2 固定端末
3,31,32 携帯端末
10 受信部
11 状態取得部
12 水平距離取得部
13 処理部
121 計測部
122 検知部
123 算出部