(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023261
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】情報端末用タッチペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/044 20060101AFI20230209BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G06F3/044 B
G06F3/03 400D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128585
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】508180091
【氏名又は名称】小山 啓一
(72)【発明者】
【氏名】川田 崚太
(72)【発明者】
【氏名】小山 啓一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】情報端末用の静電容量方式のタッチパネルの操作において、電気的な仕組みにより、入力している状態と、入力していない非入力状態との切替えを、自動で繰り返すことを可能とする情報端末用タッチペンを提供する。
【解決手段】情報端末用タッチペン1は、通電状態と非通電状態の切替えを自動で行えるように、電子制御回路の制御によりスイッチングを行う為の回路を有している。情報端末側に組み込まれたゲーム及びアプリケーションの仕様においてユーザーに求められる、入力又は非入力の切替えをする場合、入力パターンをプログラム化し、電子制御回路内のメモリーに格納することで、メモリーからの情報がスイッチングを行う為の回路を制御し、ゲーム及びアプリケーションに最適な通電状態と非通電状態との切替えを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルに、パネル接触部となるペン先を接触させて電気信号を入力する、情報端末用タッチペンであって、筒状の筐体、前記情報端末用タッチペンの前記筐体の先端部に配置された、導電性のある樹脂により電気信号を発するパネル接触部、電気の通電状態を切り替えるスッチング回路、前記スイッチング回路を制御する電子制御回路、操作を切り替えるスイッチからなる情報端末用タッチペン。
【請求項2】
前記電子制御回路からの命令によって制御され、前記パネル接触部に通電している状態と、非通電状態を交互に発生させる前記スイッチング回路を有する請求項1記載の情報端末用タッチペン。
【請求項3】
前記電子制御回路内に組込まれたメモリー内の情報により、前記スイッチング回路の制御を行う電子制御回路を有する請求項1ないし2記載の情報端末用タッチペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチパネルに、ペン先となるパネル接触部を接触させて入力を行なう情報端末用タッチペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今において一般に普及している例えば、スマートフォンやタブレットなどの携帯型情報端末機器には、指先の接触にて入力ができるタッチパネルが採用されている。タッチパネルは液晶パネルと一体化させることで、タッチスクリーンを構成し、タッチスクリーン上の表示画像を指先や情報端末用タッチペンなどにより触れることで入力を可能にしている。
【0003】
タッチパネルには静電容量方式が多く採用されている。(例えば特許文献1参照)静電容量方式によるタッチパネルへの入力では、主に指先が使われるが、手書き文字や絵画などの微細な表現の入力を必要とする場合、サインペンの形状を模した棒状の情報端末用タッチペンを用いる。情報端末用タッチペンは人の持つ静電気を導電し、パネル接触部となるペン先から放出するものと、情報端末用タッチペンに電源を設け、電気をパネル接触部となるペン先へ導電し、タッチパネルに入力する二つの方法が普及している。(例えば特許文献2参照)
【0004】
電子機器において通電、非通電の切替えを行う際、トランジスタやFET回路を利用する。FET回路は3つの端子からなり、中間に位置する端子であるゲートに電圧を加えることにより、通電、非通電の状態のスイッチングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-261929
【特許文献2】特開2011-048692
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報端末に組み込まれたソフトウェアの要求により、タッチパネルに表示されるスイッチを何度も続けて繰り返し押す(連打)入力を行う場合、特許文献1のように筆記具の使用方法を踏襲した従来の情報端末用タッチペンでは、タッチパネルを指もしくは情報端末用タッチペンで触れる、離すを何度も繰り返し行うことになり、手首や指にストレスを受け疲労を生じ、情報端末用タッチペンを使う場合は、情報端末と情報端末用タッチペンへ連続的な衝撃により、回路や部品の破損を誘発する場合がある。
【0007】
情報端末に組み込まれたアプリケーションの仕様により要求される、入力の時間の間隔、速度、回数が異なる為、情報端末に組み込まれた様々なアプリケーションの仕様に応じて入力することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
静電容量方式のタッチパネルに、パネル接触部となるペン先を接触させて電気信号を入力する、情報
端末用タッチペンであって、筒状の筐体、前記情報端末用タッチペンの前記筐体先端部に配置され、導電性のある樹脂により電気信号を発するパネル接触部、電気の発信状態を切り替えるスッチング回路、スイッチング回路を制御する電子制御回路、操作を切り替えるスイッチからなる情報端末用タッチペン。
【0009】
前記電子制御回路からの命令によって制御され、前記パネル接触部に通電している状態と、非通電となる状態を交互に発生させる前記スイッチング回路を有する情報端末用タッチペン。
【0010】
前記電気制御回路内に組込まれたメモリーの情報により、スイッチング回路の制御を行う、情報端末用タッチペン。
【発明の効果】
【0011】
従来の情報端末用タッチペンは、人の静電気を利用した場合、電源を用いた場合のいずれも、使用時は常に、パネル接触部となるペン先に通電している。この為、ユーザーが情報端末のタッチパネルに対し、連続してタッチ入力を繰り返す(連打)場合、タッチパネルに対し、前記パネル接触部となるペン先を物理的に接触させる、離す、を繰り返し連続して行うことになる。本発明の情報端末用タッチペンでは、パネル接触部であるペン先を、通電した状態と、非通電の状態とを自動的に予め設定された時間間隔で切替えることが可能である。これにより、情報端末用タッチペンのパネル接触部となるペン先をタッチパネルに接触させたまま、手やペンを動かさなくとも前記の連続したタッチ(連打)入力と同等の入力
が可能となる。従来の情報端末用タッチペンや、指先を使って連続したタッチ(連打)入力を実行する際に生ずる、物理的な機器同士の接触による劣化、ユーザーの疲労を軽減し、情報端末が要求する時間間隔での連続した入力や、パターン入力に対し、高い精度での入力が可能となる。
【0012】
情報端末に連続したタッチ(連打)入力をし続ける必要がある場合、本発明の情報端用タッチペンでは、パネル接触部となるペン先を情報端末のタッチパネルに接させた状態で、金具、接着剤、紐などにより固定することで、人手による固定を必要とせず、無人での自動的な入力が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る情報端末用タッチペンの全体構成を示し、(A)は、正面図(B)は、中央断面図(C)は、右側面図(D)は、情報端末用タッチペンのパネル接触部とホルダーを外した状態の拡大図。
【
図2】本発明におけるタッチパネル内臓の情報端末と情報端末用タッチペンの使用状態を示した図。
【
図4】電子制御回路内で行われる動作切替えの流れを説明するフローチャート。
【
図5】導電体に伝わる電気信号のパターン図(A)は、連続通電した電気信号(B)は、通電と非通電を連続して切替える電気信号(C)は、メモリーからの情報による通電と非通電を連続して切替える電気信号の例1(D)は、メモリーからの情報による通電と非通電を連続して切替える電気信号の例2。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、各図面を参照しながら説明する。実施の形態を説明するための全図において、同一の構成要素には同一符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、この発明に係る情報端末用タッチペン1の実施例における。情報端末用タッチペン1の全体構成を示す
図1(A)において軸筒3と軸筒3の先端部に取り付けられた円錐形状のホルダー4、軸筒3の胴体部に、電源オン、オフ、通電状態を切り換えるスイッチ5、ホルダー4の先端部にペン先となる、パネル接触部2が取り付けられている。
【0016】
図1(B)に示す基盤12には電源10、充電コネクター11、LED13、スイッチ回路8、導電体7、電子制御回路9、充電制御回路6、電気のスイッチングを行うFET回路15が配置され、それぞれの部品を繋ぐ導電線が印刷されている。FET回路15は電圧によって電気を通す、通さない、の切替をするスイッチング回路であり、トランジスタを使用することも可能である。
【0017】
本実施例における電源10は、充電機能を有するリチウムイオンポリマー二次電池電池であり、USBコネクター11より外部から供給された電気は、充電制御回路6によって電圧、電流、温度が監視及び制御がなされ、電源10へと蓄電される。充電時は通電状態を充電制御回路6が検知し、LED13を点灯させ、充電している状態をユーザーに示す。なお、電源は充電機能を伴わないアルカリ乾電池などの一次電池や、ソーラー電池、外部からの導電線による供給も可能である。
【0018】
図1(A)、(B)に示される充電コネクター11は、USB規格タイプのコネクターである。
【0019】
電源10から発した電気は、FET回路15を経由し、基盤の一方に取り付けられた、導電体7を通じタッチパネル接触部2へ伝わる。パネル接触部に通電した電気は、
図2のように、情報端末200のタッチパネル100にパネル接触部2が触れた状態で情報端末200が電気を感知し、信号として入力される。また、電源10からは、スイッチ回路8を経由しグランド16へ流れる。また、電源10から電子制御回路9、充電制御回路6、LED13を駆動する為に配線されている。
【0020】
基盤12から、電気をパネル接触部2へ伝える導電体7の素材は、導電性と強度を有する棒状の銅であり、亜鉛、鉄、アルミでも可能である。導電体7は基板12から情報端末用タッチペン1の先端に向かって突起し、パネル接触部2に接する。筒軸3Aと筒軸3Bを固定具よって勘合し固定する際、同時に導電体7を挟み込み固定する。これにより、導電体7を固定する為の固定具を必要としない。
図1(D)
のように、筒軸3Aと筒軸3Bに施された凹形状15によって、導電体7を情報端末用タッチペン1の中心位置に正確に固定することができる。筒軸3Aと筒軸3Bの勘合、固定は接着剤、爪により引掛け構造、紐、溶着によっても可能である。
【0021】
本実施例におけるパネル接触部2としてのペン先は、導電性を有し、摩耗性、耐久性に優れたカーボン樹脂素材である。パネル接触部2は、情報端末用タッチペン1の先端に配されたホルダー4に設けられた開口に挿入することで、導電体7に勘合し、情報端末用タッチペン1に取り付けられる。パネル接触部2は交換が可能な脱着式である。パネル接触部2の先端部の形状は、携帯電話、タブレット等の情報端末200のタッチパネル100との接点を取りやくする為に半球形状である。
【0022】
スイッチ5は基盤12上に配されたスイッチ回路8のボタンを押す。
【0023】
基盤12に配置された電子制御回路9、FET回路15、スイッチ回路8を簡略化して示した
図3にて情報端末200のタッチパネル100に対し、連続した入力状態と非入力状態の切替えを発生させる仕組みについて説明する。
【0024】
電源10から、電子制御回路9、スイッチ回路8、導電体7へと電気が通電、供給される。
【0025】
電源10と導電体7との中間にFET回路15が設けられている。電源10から導電体7へ電気が通電し、導電体7及びパネル接触部2が電荷することで、タッチパネル100よりも高い電位が生じ、タッチパネル100への入力が行われる。前記の状態にて、電子制御回路9からFET回路15のゲートに対して電圧を加えることで、電源10と導電体7との間の通電状態が遮断され、導電体7及び、パネル接触部2の電荷が解かれ、タッチパネル100と同電位となり、非入力状態となる。電源10との通電が断たれ、電荷が解かれたタッチパネル100への非入力状態と、通電して、電荷している入力状態を、電子制御回路9によるFET回路15の制御により交互に発生させる。既存の情報端末用タッチペンのように、常に情報端末200に入力が行われている状態は、電子制御回路9からFET回路15のゲートに電圧を加えていない状態を保つことで実現できる。
【0026】
図3にて、常に通電している状態と、通電と非通電を連続して切替えている状態との切替えについて説明する。本実施例において、ユーザーがスイッチ5を押すと、スイッチ回路8は電源10からグランド16への接続を行い、電源10からグランド16への通電がされる。スイッチ回路8につながった電子制御回路9は、電源10からグランド16へ通電がされたことを感知し、連続して3秒以上通電されたか、否かを測定する。情報端末用タッチペン1が情報端末200に入力可能な使用状態において、ユーザーがスイッチ5を3秒以下の時間で押すと、電子制御回路9はこれを感知、測定し、常に通電している状態と、通電と非通電を連続して切替えている状態との切替えを行う。
【0027】
フローチャート
図4にて、本実施例を使用する操作手順により、電子制御回路9内で実行される切替え流れを説明する。連続して通電している状態を通常モードとする。
【0028】
S101にて、電源10から電子制御回路9に電気が通電している状態を検出し、電子制御回路9内における
図4のフローが開始される。前記の通電状態とは、USBコネクター11に外部から充電ケーブルが接続され、電子制御回路9が電気の供給を受けている状態、もしくは、スイッチ5が連続して3秒以上押され、電源10から電子制御回路9に電気が供給されている状態であり、このいずれかを検出すると、S102に移行する。S102では、電子制御回路9の内部の不具合を解消する為に、電子制御回路9の初期化を行う。
【0029】
本実施例において、S103では、S102での初期化が、USBコネクター11を通じて外部からの電気の供給がされた為に起きたと判断された場合は、N1を出てS103へ戻る、を繰返し、フローは止まる。スイッチ5が3秒以上押されたことにより、電源から電子制御回路9に電気が通電したと判断した場合はY1から出て、S104に移行し、通常モード状態である連続通電した電気信号をパネル接触部2から発信する状態となり、S105にて、LED13は通常モードの状態を示す点灯を行う。
【0030】
S105から、S106に移行する。S106にて、ユーザーがスイッチ5を3秒以内で押したことを感知すると、通常モードから、通電と非通電を連続して切替えるモードへ切替えが起こり、N2を出て、S107へ移行し切り替わったモードを実行する。S108にてLED13は、切替わったモードの状態を示す点灯を行う。
【0031】
S109にて、スイッチ5が連続して3秒以上押されたことが検出されない限り、N3を出てS106へ戻る。S106にてスイッチ5が3秒以下で押された事を検出すると、通電と非通電を連続して切替えるモードから通常モードに切替り、S108にて、LED13は、切替わった状態を示す点灯を行う。
【0032】
S106は設定された2つないし複数のモードを順に切替える機能を示し、S107はS106により切替わったモードを実行することを示している。
【0033】
電子制御回路9にて、通常モード、もしくは通電と非通電を連続して切替えるモードのいずれの状態にあっても、S109にて、ユーザーがスイッチ5を3秒以上押し続けられ、動作終了と判断されると、Y3から出て、S110にて導電体7、及びパネル接触部への通電が停止される。S111は、
図4のフローチャートの終了を示す。
【0034】
図5は、電子制御回路9とFET回路15との連携にて生成される電気信号のパターンを説明するため、通電している状態を上側の点線、非通電状態を下側の点線で示し、左から右へ時間の経過を示している。
【0035】
図5(A)は、
図3にて説明した電子制御回路9からFET回路15のゲートに対して電圧が加わっておらず、常にパネル接触部2が通電している状態を示している。従来の情報端末用タッチペンと同様の機能として、タッチパネル100に絵や文字を手書き入力することを可能とする。
【0036】
図5(B)は、パネル接触部2にて、通電状態と非通電状態の切替えが連続して起こっている状態であり、タッチパネル100への入力と非入力が交互に行われている状態である。
図5(B)は、同じ長さの通電時間(i)、同じ長さの非通電時間(ii)で構成された単一なセグメント(M)の繰り返しを行う電気信号のパターンであり、IC回路、トランジスタ回路の応用によって実現が可能である。
【0037】
図5(C)は、情報端末200に対し、3度連続して入力と非入力を交互に行った後に、通電されていない非入力の状態(IV)を保ち、4度連続して入力と非入力を交互に行った後、非通電の状態(IV)を保つ電気信号のパターンを示している。
図5(C)の電気信号のパターンをプログラム化し、電子制御回路9の内部メモリーに取込み、メモリーからの情報によってFET回路15の制御することで、前記の電気信号のパターンを情報端末に入力することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 情報端末用タッチペン
2 パネル接触部
3 筒軸
4 ホルダー
5 スイッチ
6 充電制御回路
7 導電体
8 スイッチ回路
9 電子制御回路
10 電源
11 充電コネクター
12 基盤
13 LED
14 軸筒に施された形状の詳細
15 FET回路
16 グランド
100 タッチパネル
200 情報端末
S101 開始
S102 初期化
S103 通電理由による切替
S104 通常モードを稼働
S105 通常モードのLED点灯
S106 モード切替
S107 切替ったモードの稼働
S108 切替ったモードのLED点灯
S109 電源ON/OFF切替
S110 電源を切る
S111 終了
S112 電源がOFFされない場合の遷移先