(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023262
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ペプチド含有抗アレルギー用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/05 20060101AFI20230209BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230209BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20230209BHJP
A61K 35/60 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
A61K38/05
A61P37/08
A23L33/18
A61K35/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128586
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(71)【出願人】
【識別番号】591141050
【氏名又は名称】仙味エキス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097825
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 久紀
(74)【代理人】
【識別番号】100137925
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 紀一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】筬島 克裕
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD20
4B018MD74
4B018ME07
4B018MF01
4B018MF07
4B018MF10
4B018MF12
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084CA45
4C084CA59
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZB131
4C084ZB132
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA04
4C087AA05
4C087BB29
4C087CA06
4C087CA24
4C087CA38
4C087CA44
4C087CA45
4C087CA46
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB13
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を効果的に緩和させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心な機能性食品、医薬品等を提供することを目的とする。
【解決手段】食経験が豊富な煮干し粉砕品を各種処理することによっても取得可能な、グルタミン酸を含むジペプチド等を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、好塩基球の脱顆粒抑制などの作用によってアレルギー症状を効果的に緩和することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルタミン酸を含むジペプチドを有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項2】
グルタミン酸-アスパラギン酸又はアスパラギン酸-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項3】
グルタミン酸-セリン又はセリン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項4】
グルタミン酸-スレオニン又はスレオニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項5】
グルタミン酸-グリシン又はグリシン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項6】
グルタミン酸-アラニン又はアラニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項7】
グルタミン酸-リジン又はリジン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項8】
ヒスチジン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項9】
グルタミン酸-アルギニン又はアルギニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項10】
グルタミン酸-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項11】
煮干し粉砕品酵素処理液を遠心処理し、不溶物を除去して得られた上清を、分子量500以下の分子を除去することによって得られたサンプルを、アセトニトリル処理した上清画分を、逆相クロマトグラフィー処理して得た非吸着画分を有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
【請求項12】
アレルギー症状緩和剤が、脱顆粒抑制剤であること、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を緩和させるための経口剤等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、日本人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していると言われており、これは従前の統計より増加している。アレルギー疾患の代表例としては、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、食物アレルギーなどが挙げられ、例えば、花粉症は日本人の3分の1が罹患するいわば国民病である。
【0003】
花粉症は、I型アレルギーに分類され、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどと同様に、体内のIgE抗体が好塩基球やマスト細胞に結合し、ここにアレルゲンが反応することによって症状が発症する。アレルゲンによる刺激がなされると、好塩基球やマスト細胞は細胞内に保持していた顆粒を細胞外に放出し、この顆粒中にはヒスタミンやロイコトリエンといったアレルギー症状を誘発する物質が含まれており、この結果、花粉症特有の目や鼻の症状が発症する。
【0004】
このようなアレルギー症状を緩和するためには抗ヒスタミン薬などを用いることが多いが、副作用や継続使用による効果の大幅な低減など問題も多い。したがって、多くの人は、食経験の少ない医薬成分の服用よりはむしろ、アレルギー症状緩和効果のある食品成分の摂取により症状を和らげたいと考えている。このようなことから、食経験が豊富な食品由来成分を用いた抗アレルギー食品や抗アレルギー薬の研究・開発もいくつか進められている。
【0005】
このような食品由来成分としては、例えば、牛乳の主要タンパク質であるβ-ラクトグロブリンと柑橘フラボノイドであるノビレチンを併用したもの(特許文献1)、茶葉抽出物を利用したもの(特許文献2)、イモ焼酎粕を利用したもの(特許文献3)などが提案されているが、いまだ十分とは言えないのが現状である。
【0006】
以上のような技術背景の中、当業界においては、食経験が豊富な食品由来成分を用いた抗アレルギー食品や抗アレルギー薬、特に好塩基球やマスト細胞の脱顆粒などを効果的に抑制できるような食品由来成分を用いた剤などのさらなる開発が引き続き求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-036369号公報
【特許文献2】特開2014-114303号公報
【特許文献3】特開2011-093815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を効果的に緩和させることが可能な、経口用剤として用いても安全・安心なアレルギー症状緩和剤(機能性食品、医薬品等)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達するため、本発明者らは鋭意検討の結果、食経験が豊富な煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液(煮干し粉砕品酵素処理液)又はその乾燥物等を得、これをさらに遠心処理し、得られた上清を一定の透析膜で透析した後、フィルター滅菌したものを得た(これを以後EDSEという)。そして、このEDSEを複数濃度でアセトニトリル処理した上清画分を、一定条件下で逆相クロマトグラフィーにより分画し、クロマトチャートを得た。検出されたピークに従って、フラクションを回収し、評価したところ、グルタミン酸が全ての活性フラクションに高含量であることを見出し、本発明に至った。
【0010】
以下、本発明の実施形態を例示すると、次のとおりである。本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において、様々な変形が可能である。
【0011】
(1)グルタミン酸を含むジペプチドを有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
(2)グルタミン酸-アスパラギン酸又はアスパラギン酸-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(3)グルタミン酸-セリン又はセリン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(4)グルタミン酸-スレオニン又はスレオニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(5)グルタミン酸-グリシン又はグリシン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(6)グルタミン酸-アラニン又はアラニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(7)グルタミン酸-リジン又はリジン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(8)ヒスチジン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(9)グルタミン酸-アルギニン又はアルギニン-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(10)グルタミン酸-グルタミン酸であるジペプチドを有効成分とする、アレルギー症状緩和剤。
(11)煮干し粉砕品酵素処理液を遠心処理し、不溶物を除去して得られた上清を、分子量500以下の分子を除去することによって得られたサンプルを、アセトニトリル処理した上清画分を、逆相クロマトグラフィー処理して得た非吸着画分を有効成分とする、アレルギー症状緩和剤又はその製造方法。
(12)アレルギー症状緩和剤が、脱顆粒抑制剤であることを特徴とする、(1)~(11)のいずれかひとつに記載の剤又はその製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヒトなどのアレルギー症状を緩和するための安全・安心な経口剤等の提供が可能となり、また、この剤等の経口投与により好塩基球の脱顆粒抑制やマクロファージのサイトカイン産生促進などが行われ、アレルギー症状を効果的に緩和できる。そして、この結果として、アレルギー患者などの生活の質(QOL)をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、当該効果を奏する活性物質自体を特定できた点にも技術的意義があるものであり、当該活性物質を直接、有効成分とすることが可能となる。これにより、より剤の効能を上昇させることが可能となるし、精製等が容易となる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】EDSEの脱顆粒抑制活性を測定したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図2】EDSEをアセトニトリル80%溶液で処理し、得られた上清画分を逆相クロマトグラフィー処理して得られたデータである。
【
図3】
図2で得られた逆相クロマトグラフィーのフラクションの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印1個は、p<0.05、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図4】各種アミノ酸の脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印1個は、p<0.05、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図5】グルタミン酸多量体の脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図6】各種ジペプチドの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印1個は、p<0.05、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図7】Glu-AspおよびAsp-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図8】Glu-SerおよびSer-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印1個は、p<0.05、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図9】Glu-ThrおよびThr-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印1個は、p<0.05、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図10】Glu-GlyおよびGly-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図11】Glu-AlaおよびAla-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図12】Glu-LysおよびLys-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図13】Glu-HisおよびHis-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【
図14】Glu-ArgおよびArg-Gluの脱顆粒抑制活性を示したグラフである。図中、米印2個は、p<0.01vs controlを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、アレルギー症状緩和剤等の有効成分として、ジペプチド、特にグルタミン酸を含むジペプチドを使用する。
【0016】
上記ジペプチドを取得する方法としては、例えば下記のように行うことができる。まず、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物を取得する。この煮干し粉砕品は、カタクチイワシなどの子魚を煮てから干した乾物を粉砕したものを意味し、特に、カタクチイワシの煮干しを粉砕機、ハンマーミル等で処理して細粉砕したものを用いることが好ましい。
【0017】
そして、この煮干し粉砕品をプロテアーゼ処理する。使用するプロテアーゼは、微生物から得られた、作用最適pHが酸性域(例えばpH2~6など)の食品用プロテアーゼが好ましく、特に、糸状菌Aspergillus属由来の酸性プロテアーゼを用いるのが好適である。市販品としては、デナプシン2P(Aspergillus niger由来、ナガセケムテックス株式会社製品)などが例示される。
【0018】
プロテアーゼ処理は、例えば次のようにして行う。まず、煮干し粉砕品に1~10倍量(好ましくは3~5倍量)加水し、必要に応じてpH2~6に調整を行ってから酵素を0.05~3.0%(好ましくは0.1~1.0%添加して、使用酵素の至適温度である20~55℃(好ましくは30~50℃)で0.5~30時間(好ましくは1~20時間)反応を行う。なお、酵素反応は攪拌しながら行うのが好ましいが、酵素反応を円滑に進める手段を行うのであればこれに限定されるものではない。
【0019】
プロテアーゼ処理後は、必要であれば中和処理を行い、70℃以上(好ましくは90~100℃)の温度に2~60分間(好ましくは5~30分間)保持して酵素失活を行う。このようにして得た煮干し酵素処理液について、不溶性固形分除去処理を行う。この煮干し粉砕品酵素処理液を例えば70krpm、20minの条件で遠心処理し、不要物を除去する。得られた上清を脱塩のために例えば分子量100~500カットオフの透析膜で透析した後、フィルター滅菌してサンプルとした(上述のEDSE)。
【0020】
次に、EDSEからさらに夾雑物を排除する。EDSEを例えば80%アセトニトリルで処理し、上清画分を取得する。このEDSE80%アセトニトリル上清画分を、逆相クロマトグラフィーにより分画する。アセトニトリル80%上清画分をカラムにチャージした後、アセトニトリル0%(超純水)をカラムに流し、その後、アセトニトリル濃度を20、40、60%と段階的にステップワイズで上昇させる。その結果、クロマトチャートを得、検出されたピークに従って、フラクションを回収する。
これにより、所望のジペプチドを取得することができる。
また、所望のジペプチドであれば、本願発明の効果を奏することができるため、その製造・取得の方法は問わない。例えば、化学合成等により得られたものでもよい。
【0021】
上記のようにして得られたジペプチドは、必要に応じて濃縮処理、滅菌、殺菌処理、粉末化(乾燥化)処理などを行っても良い。なお、粉末化は、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥などの定法により行うことができる。これにより、粉末剤形態の製剤などを得ることができる。
【0022】
本発明の形態は、上記のような粉末剤のみならず、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散財、スティック剤、液剤、ゲル剤、ペースト剤、シロップ剤などでも良く、経口投与可能な形態であれば特段の限定はない。そして、本発明品では、有効成分の効果を妨げない範囲で、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤の1種又は2種以上を適宜組み合わせて配合した製剤とすることもできる。そして、形態、組成等を勘案し、原料の段階から製品が完成するまでの工程で本発明の有効成分と補助剤等を適宜配合して製造すればよい。
【0023】
本発明のアレルギー症状緩和剤の用法ないし用量については、使用目的(予防、治療、又は保健の用途)、被検者の年齢、剤形等に応じて適宜定めればよく、0.1~50mg/kg/日、好ましくは1.0~30mg/kg/日のジペプチド等をヒトなどに対して例えば30日間以上経口投与するのが好適である。しかしながら、本有効成分は安全性については全く問題がないので、上記範囲よりも多量使用しても一向にさしつかえない。
【0024】
なお、本発明は、特にグルタミン酸を含有するジペプチド等を有効成分とするアレルギー症状緩和剤をヒトなどに経口投与してアレルギー症状を緩和させるものであるが、これは医薬品(医薬剤)だけでなく、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の、特定の機能及び形態を有し、健康維持などを目的として摂取され、有効成分の用量(有効量)や用法が規定され且つ単位包装当たりでその用量が摂取できる。単に食品としてのみ利用されるものとは明確に区別される食品組成物(医薬部外品を含む)も含まれる。
【0025】
このようにして、ジペプチド等を有効成分としてなるアレルギー症状緩和剤等を使用し、これをアレルギー患者などに経口投与することで、安全に且つ効果的にアレルギー症状を緩和させることが可能となる。
【0026】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
【実施例0027】
(煮干し粉砕品酵素処理液の製造)
以下の方法で、本発明品の前提となる、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した液(煮干し粉砕品酵素処理液)を製造した。
【0028】
煮干し粉砕品に、その重量に対して3.7倍量の水を添加し、pH調整(pH3.3~4.3)を行ってから、0.3%のプロテアーゼ(デナプシン2P:ナガセケムテック株式会社製品)を添加し、酵素の至適温度(40~50℃)で15~20時間処理した。その後、中和処理(pH5.2~5.6に調整)を行い、加熱処理(97~99℃で30分間加熱)により酵素を失活させ、当該煮干し粉砕品酵素処理液を得た。
【0029】
(サンプル(EDSE)の製造)
続いて、本願発明及び試験に用いるサンプルである、EDSEを以下の方法で製造した。
【0030】
上記で得られた煮干し粉砕品酵素処理液を70krpm、20minの条件で遠心処理し、不溶物を除去した。得られた上清を脱塩のために透析した。透析条件は、24h、4℃にて、分子量100~500カットオフ(分子量カット:100~500Da)の透析膜にて透析した。その後、フィルター滅菌してサンプルとした。これがEDSEである。
【0031】
(ジペプチド及びアミノ酸の分離)
次に、EDSEを処理して、所望のジペプチド及びアミノ酸を下記の方法にて得た。
【0032】
EDSEをアセトニトリル80%上清画分の逆相クロマトグラフィーにより分画した。具体的には、下記の条件で、EDSEアセトニトリル80%上清画分を、逆相クロマトグラフィーにより分画した。
カラム:YMC-Pack ODS-AQカラム(6.0mm ID×150mm,S 5μm,12nm)
移動相:0、20、40、60%アセトニトリル/超純水
(ステップワイズによる段階的アセトニトリル濃度の上昇)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
サンプルインジェクション量:100μL
【0033】
アセトニトリル80%上清画分をカラムにチャージした後、アセトニトリル0%(超純水)をカラムに流し、その後、アセトニトリル濃度を20、40、60%と段階的にステップワイズで上昇させた。その結果、
図2に示したクロマトチャートが得られた。そして、検出されたピークに従って、フラクションを回収することによって、所望のジペプチドやアミノ酸を得ることができた。