IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社グリーンエースの特許一覧

<>
  • 特開-支圧面形成用型枠 図1
  • 特開-支圧面形成用型枠 図2
  • 特開-支圧面形成用型枠 図3
  • 特開-支圧面形成用型枠 図4
  • 特開-支圧面形成用型枠 図5
  • 特開-支圧面形成用型枠 図6
  • 特開-支圧面形成用型枠 図7
  • 特開-支圧面形成用型枠 図8
  • 特開-支圧面形成用型枠 図9
  • 特開-支圧面形成用型枠 図10
  • 特開-支圧面形成用型枠 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023322
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】支圧面形成用型枠
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
E02D17/20 104C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128738
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】505077297
【氏名又は名称】株式会社グリーンエース
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花本 武史
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DC14
(57)【要約】
【課題】施工性の向上と製造コストの低減とを実現可能な支圧面形成型枠を提供する。
【解決手段】支圧面形成型枠(50)は、アンカーの支圧面を形成するために用いられる型枠であって、法面上に組まれた複数の鉄筋(31~34)により四方が囲まれたアンカー挿入空間(S)の上方に配置されるフレーム部(51)と、フレーム部の縦方向両端部のそれぞれから下方に延び、法面に対するアンカーの挿入角度に応じて長さを異ならせた上側脚部(52)および下側脚部(53)と、上側脚部および下側脚部の下方端部を、複数の鉄筋のうち少なくとも互いに対向する一対の鉄筋(33,34)に係合させることによって、当該型枠を取り付けるための取付け部(54)とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーの支圧面を形成するために用いられる型枠であって、
法面上に組まれた複数の鉄筋により四方が囲まれたアンカー挿入空間の上方に配置されるフレーム部と、
前記フレーム部の縦方向両端部のそれぞれから下方に延び、法面に対するアンカーの挿入角度に応じて長さを異ならせた上側脚部および下側脚部と、
前記上側脚部および前記下側脚部の下方端部を、前記複数の鉄筋のうち少なくとも互いに対向する一対の鉄筋に係合させることによって、当該型枠を取り付けるための取付け部とを備える、支圧面形成用型枠。
【請求項2】
前記上側脚部および前記下側脚部の少なくとも一方が、曲げ弾性を有する部材により構成されており、
前記取付け部は、前記上側脚部および前記下側脚部の少なくとも一方の復元力によって、前記一対の鉄筋のそれぞれに押し付けられて係合する第1および第2の係合部を含む、請求項1に記載の支圧面形成用型枠。
【請求項3】
前記第1の係合部が、前記上側脚部の下方端部に設けられた上側係合部であり、前記第2の係合部が、前記下側脚部の下方端部に設けられた下側係合部であり、
前記上側脚部または前記下側脚部は、取付け状態において、互いに離れる方向に付勢され、
前記上側係合部および前記下側係合部はそれぞれ、法面の左右方向に延びる一対の横鉄筋の内側面に係合する、請求項2に記載の支圧面形成用型枠。
【請求項4】
前記第1の係合部が、前記上側脚部の下方端部に設けられた上側係合部であり、前記第2の係合部が、前記下側脚部の下方端部に設けられた下側係合部であり、
前記上側脚部または前記下側脚部は、取付け状態において、互いに近付く方向に付勢され、
前記上側係合部および前記下側係合部はそれぞれ、法面の左右方向に延びる一対の横鉄筋の外側面に係合する、請求項2に記載の支圧面形成用型枠。
【請求項5】
前記上側係合部および前記下側係合部の少なくとも一方は、前記横鉄筋と縦鉄筋とが交差する交差部に引っ掛けられる屈曲部を含む、請求項3または4に記載の支圧面形成用型枠。
【請求項6】
前記上側係合部および前記下側係合部の少なくとも一方は、前記横鉄筋を受け入れるC字状の湾曲部と、前記湾曲部の下方端に連続して斜め下方に延びるガイド部とを含む、請求項3~5のいずれかに記載の支圧面形成用型枠。
【請求項7】
前記上側脚部を構成する一対の上側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の前記上側係合部が設けられるとともに、前記下側脚部を構成する一対の下側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の前記下側係合部が設けられており、
前記フレーム部の一対の縦棒、前記一対の上側線材、前記一対の下側線材、前記一対の上側係合部、および前記一対の下側係合部が、2本の線状部材を左右対称に折り曲げることによって形成されている、請求項3~6のいずれかに記載の支圧面形成用型枠。
【請求項8】
前記上側脚部を構成する一対の上側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の上側係合部が設けられるとともに、前記下側脚部を構成する一対の下側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の下側係合部が設けられており、
前記一対の上側係合部および前記一対の下側係合部のうちの左右方向一方側の組が前記第1の係合部として機能し、前記一対の上側係合部および前記一対の下側係合部のうちの左右方向他方側の組が前記第2の係合部として機能する、請求項2に記載の支圧面形成用型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支圧面形成用型枠に関し、特に、アンカーの支圧面を形成するために用いられる型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
法面保護工の一つに、法面上に格子状の法枠を構築する法枠工法がある。また、法枠を確実に法面に固定するために、法枠の交差部にロックボルト等のアンカーを施工することが、従来から行われている。
【0003】
このような法枠工とアンカー工との併用工法において、アンカーの頭部を定着する法枠の支圧面は、支圧面への負荷を均等に分散させるために、アンカーと直交するように形成される。アンカーの設置角度(挿入角度)は、法面勾配に適した角度が選択されるため、施工現場において手作業で型枠を作って支圧面を形成する作業を行っていた。
【0004】
これに対し、特開平5-302332号公報(特許文献1)には、コンクリート法枠のアンカー支圧面を形成する際に使用する型枠において、面対向させて立ち上げた二枚の側板と、これらの側板間に配置した支圧面形成板と背面形成板とよりなり、支圧面形成板と背面形成板との一端部側は突き合わせ、かつ他端部側は前記側板に軸支し、両板を略ヘの字状に配置し、支圧面形成板と背面形成板との傾斜角度を調整可能に構成したことを特徴とするアンカー支圧面形成用型枠が開示されている。
【0005】
また、特開平6-128966号公報(特許文献2)には、脚によって支えられた外枠体の内部に、一端側で前記外枠体に対して軸支され、傾動自在に支持された内枠体を備えるとともに、前記内枠体の内方には、支持部材を介して削孔用ガイド管が設けられたことを特徴とする法枠構築用アンカー台座装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-302332号公報
【特許文献2】特開平6-128966号公報(特許第2892890号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の型枠は、部品点数が多く、設置に手間がかかる。また、特許文献2の型枠は、法枠の型枠板としてのパンチングメタルに、外枠体の脚を接続させる必要があるため、金網フレームを用いる一般的な法枠工法に、特許文献2の型枠を適用することができない。また、支圧面形成型枠は埋め殺しされるため、より安価な支圧面形成用型枠が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施工性の向上と製造コストの低減とを実現可能な支圧面形成型枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従う支圧面形成型枠は、アンカーの支圧面を形成するために用いられる型枠であって、法面上に組まれた複数の鉄筋により四方が囲まれたアンカー挿入空間の上方に配置されるフレーム部と、フレーム部の縦方向両端部のそれぞれから下方に延び、法面に対するアンカーの挿入角度に応じて長さを異ならせた上側脚部および下側脚部と、上側脚部および下側脚部の下方端部を、複数の鉄筋のうち少なくとも互いに対向する一対の鉄筋に係合させることによって、当該型枠を取り付けるための取付け部とを備える。
【0010】
好ましくは、上側脚部および下側脚部の少なくとも一方が、曲げ弾性を有する部材により構成されており、取付け部は、上側脚部および下側脚部の少なくとも一方の復元力によって、一対の鉄筋のそれぞれに押し付けられて係合する第1および第2の係合部を含む。
【0011】
より好ましくは、第1の係合部が、上側脚部の下方端部に設けられた上側係合部であり、第2の係合部が、下側脚部の下方端部に設けられた下側係合部である。この場合、上側脚部または下側脚部は、取付け状態において、互いに離れる方向に付勢され、上側係合部および下側係合部はそれぞれ、法面の左右方向に延びる一対の横鉄筋の内側面に係合することが望ましい。
【0012】
あるいは、第1の係合部が、上側脚部の下方端部に設けられた上側係合部であり、第2の係合部が、下側脚部の下方端部に設けられた下側係合部である場合、上側脚部または下側脚部は、取付け状態において、互いに近付く方向に付勢され、上側係合部および下側係合部はそれぞれ、法面の左右方向に延びる一対の横鉄筋の外側面に係合するように構成されていてもよい。
【0013】
好ましくは、上側係合部および下側係合部の少なくとも一方は、横鉄筋と縦鉄筋とが交差する交差部に引っ掛けられる屈曲部を含む。
【0014】
また、上側係合部および下側係合部の少なくとも一方は、横鉄筋を受け入れるC字状の湾曲部と、湾曲部の下方端に連続して斜め下方に延びるガイド部とを含むことも望ましい。
【0015】
好ましくは、上側脚部を構成する一対の上側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の上側係合部が設けられるとともに、下側脚部を構成する一対の下側線材の下方端部のそれぞれに連続して一対の下側係合部が設けられている。
【0016】
上記の構成の場合、フレーム部の一対の縦棒、一対の上側線材、一対の下側線材、一対の上側係合部、および一対の下側係合部が、2本の線状部材を左右対称に折り曲げることによって形成されている。
【0017】
上記のような構成の場合、一対の上側係合部および一対の下側係合部のうちの左右方向一方側の組が第1の係合部として機能し、一対の上側係合部および一対の下側係合部のうちの左右方向他方側の組が第2の係合部として機能してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現場での施工性を向上させることができる。また、簡易な構造であるため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る法面補強構造の俯瞰図である。
図2図1のII-II線に沿う法面補強構造の断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る支圧面形成用型枠の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る支圧面形成用型枠の側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る支圧面形成用型枠が上段の鉄筋に取り付けられた状態を模式的に示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る法面補強構造の施工手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態に係る支圧面形成用型枠の取り付け方法を模式的に示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る支圧面形成用型枠を用いて、法枠および台座が構築された状態を模式的に示す斜視図である。
図9】支圧面形成用型枠の他の構成例を模式的に示す図である。
図10】支圧面形成用型枠のさらに他の構成例を模式的に示す図である。
図11】支圧面形成用型枠のさらに他の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0021】
本実施の形態では、法枠工とアンカー工との併用工法によって構築される法面補強構造に、支圧面形成用型枠を用いる例について説明する。
【0022】
(法面補強構造の概略)
はじめに、図1および図2を参照して、法面90に構築された法面補強構造1の概略について説明する。図1は、法面補強構造1の俯瞰図である。図2は、図1のII-II線に沿う法面補強構造1の断面図である。図面上において、法面90の勾配方向における下側(傾斜方向)を矢印A1で表わし、法面90の左右方向を矢印A2で表わしている。また、法面90を基準とした高さ方向(法面90に垂直な方向)における上方を矢印A3で表わしている。なお、以下の説明において、法面90の勾配方向を「縦方向」、法面90の左右方向を「横方向」ともいう。また、以下の説明において「上方」および「下方」という表現は、特に断りがない限り、高さ方向における上方および下方を表わすものとする。
【0023】
法面補強構造1は、主に、格子状の法枠10とアンカー補強部20とにより構成されている。法枠10の基本的な構成については、図5をさらに参照しながら説明する。図5では、法枠10の交差部10Cにおける構造物(骨組み)が模式的に示されている。
【0024】
法枠10は、縦方向および横方向に沿って格子状に配置された金網フレーム100内に、モルタルなどのセメント材料を吹き付けて形成されている。法枠10を形成するセメント材料の内部には、金網フレーム100に沿って、複数段(典型的には2段)の鉄筋30が配されている。
【0025】
法枠10の交差部10Cでは、4つの金網フレーム100が十字状に連結されるので、各段(上段・下段)において、縦方向に延在する2本の鉄筋30(以下、これらを「縦鉄筋31,32」という)と、横方向に延在する2本の鉄筋30(以下、これらを「横鉄筋33,34」という)とが交差した状態で組まれている。縦鉄筋31は縦鉄筋32よりも相対的に左側に位置し、横鉄筋33は横鉄筋34よりも相対的に勾配方向上側に位置しているものとする。なお、金網フレーム100に沿って各段に配される鉄筋30の本数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。
【0026】
図1および図2に示されるように、アンカー補強部20は、法枠10の交差部10Cに位置し、地盤に打ち込まれるアンカー21と、アンカー21の頭部に設けられる定着具22とを含む。アンカー21は、鋼材からなる補強材であり、図5に示した4本の鉄筋31~34によって四方が囲まれた空間Sを通るように設けられている。定着具22は、アンカー21に直交して配置されるアンカープレート23、および、アンカープレート23から上方に突出するアンカー21の頭部に被せられるキャップ24を含む。なお、上記空間Sを以下「アンカー挿入空間S」という。
【0027】
図2に示すように、本実施の形態における法面90は、比較的緩やかな勾配である。具体的には、水平線B1に対する法面90の傾斜角度、すなわち法面勾配θaが、たとえば10°~30°程度である。このような場合、アンカー21は、法面90に対して(直角ではなく)斜めに配置される。図2の例では、アンカー21は、法面90に垂直な垂線B2に対して、角度θxだけ傾いて配置される。この角度θxは、法面90に対するアンカー21の挿入角度を表わしており、法面勾配θaに応じて施工現場ごとに定められる。
【0028】
このように、アンカー21が法面90に対して斜めに配置される場合、図2に示されるように、アンカー21に直交して配置されるアンカープレート23の下方には、アンカー21の支圧面を形成する台座部40が、法枠10と一体的に設けられる。本実施の形態では、このような台座部40を形成するために、すなわちアンカー21の支圧面を形成するために、図5に示すような専用の型枠(以下「支圧面形成用型枠」という)50が用いられている。支圧面形成用型枠50は、法枠10の交差部10Cにおいて、鉄筋30とともに埋め殺しされる。
【0029】
支圧面形成用型枠50は、主に、法面90上に組まれた複数の鉄筋30(31~34)により四方が囲まれたアンカー挿入空間Sの上方に配置されるフレーム部51と、フレーム部51の縦方向両端部のそれぞれから下方に延び、アンカー21の挿入角度θaに応じて長さを異ならせた上側脚部52および下側脚部53と、上側脚部52および下側脚部53の下方端部を、複数の鉄筋30のうち少なくとも互いに対向する一対の鉄筋に係合させることによって、当該型枠50を取り付けるための取付け部54とを備えている。
【0030】
このように、支圧面形成用型枠50の上側脚部52および下側脚部53の長さは、製造段階で予め調整されているので、現場での角度調整が不要である。また、支圧面形成用型枠50は、一体物であり、法枠10の構造物である鉄筋30に(係合によって)取り付けるように構成されている。したがって、支圧面形成用型枠50を用いることにより、現場での施工性を向上させることができる。また、支圧面形成用型枠50は簡易な構造であるため、取り扱いが容易であるだけでなく、製造コストを低減することも可能である。
【0031】
法面90がたとえば盛土によって人工的に形成されているケースでは、法面90に大きな凹凸がなく勾配角度θaは略一定となるので、支圧面形成用型枠50は、このようなケースにおいて特に有用である。つまり、同じ構造の支圧面形成用型枠50を、交差部10Cの個数分、準備することにより、各交差部10Cにおいて簡易にアンカー21の支圧面を形成することができる。
【0032】
以下に、支圧面形成用型枠50の具体的な構成、および、支圧面形成用型枠50を用いた法面補強構造1の施工方法について、詳細に説明する。
【0033】
(支圧面形成用型枠の構成例)
図3図5を参照して、支圧面形成用型枠50の具体的な構成例について説明する。図3は、支圧面形成用型枠50の斜視図であり、図4は、図3のIV方向から見た支圧面形成用型枠50の側面図である。図5は、支圧面形成用型枠50が上段の鉄筋30(31~34)に取り付けられた状態を模式的に示す斜視図である。
【0034】
支圧面形成用型枠50は、上述のように、フレーム部51と、上側脚部52および下側脚部53と、取付け部54とを主に備えている。図3および図5に示されるように、フレーム部51は、典型的には矩形枠形状であり、互いに間隔をあけて配置される一対の縦棒61a,61bと、一対の縦棒61a,61bの端部同士を連結する一対の横棒62a,62bとを含む。フレーム部51を構成する縦棒61a,61bおよび横棒62a,62bは、典型的には金属の線状部材により形成されている。縦棒61a,61bおよび横棒62a,62bは各々、真っ直ぐ直線状に延びている。フレーム部51に囲まれた矩形形状の開口面(仮想面)60が、アンカー支圧面の型となる。
【0035】
上側脚部52は、上端がフレーム部51の縦方向一方端部(勾配方向上側端部)に連結された2本の直線状の線状部材(以下「上側線材」という)52a,52bを含む。下側脚部53は、上端がフレーム部51の縦方向他方端部(勾配方向下側端部)に連結された2本の直線状の線状部材(以下「下側線材」という)53a,53bを含む。上側線材52a,52bおよび下側線材53a,53bは各々、ある程度の曲げ弾性を有している。
【0036】
本実施の形態では、横方向一方側(左側)の上側線材52aおよび下側線材53aが、縦棒61aと共通の線状部材によって一体的に設けられ、横方向他方側(右側)の上側線材52bおよび下側線材53bが、縦棒61bと共通の線状部材によって一体的に設けられている。
【0037】
図4に示されるように、上側脚部52(上側線材52a,52b)の長さL2は、下側脚部53(下側線材53a,53b)の長さL1よりも長い。主に、上側脚部52と下側脚部53との長さの差(L2-L1)によって、法面90に対するフレーム部51(具体的には縦棒61a,61b)の傾斜度合が定まるため、下側脚部53の長さL1は施工現場に関わらず(法面勾配θaに関わらず)一定とされるのに対し、上側脚部52の長さL2は施工現場ごとに(法面勾配θaに応じて)調整されている。
【0038】
短い方の下側脚部53の長さL1は、取り付け状態においてフレーム部51の全体が金網フレーム100(金網11,12)の上端高さH1よりも上方となるように定められている。また、図示されるように、上側脚部52および下側脚部53が完全な平行状態でなくてもよく、この場合には、両者の傾きを考慮して上側脚部52の長さL2が調整されていることが望ましい。
【0039】
なお、上側脚部52の長さL2を一定とし、下側脚部53の長さL1を調整してもよい。
【0040】
取付け部54は、一対の上側線材52a,52bの下方端部にそれぞれ設けられた一対の上側係合部55a,55b、および、一対の下側線材53a,53bの下方端部にそれぞれ設けられた一対の下側係合部56a,56bを含む。上側係合部55a,55bはそれぞれ、上側線材52a,52bの自由端側を延伸させた延伸部分を屈曲させることによって形成されている。同様に、下側係合部56a,56bは、下側線材53a,53bの自由端側を延伸させた延伸部分を屈曲させることによって形成されている。なお、以下の説明において、左右の上側係合部55a,55bを区別する必要がない場合には、これらを上側係合部55と称し、左右の下側係合部56a,56bを区別する必要がない場合には、これらを下側係合部56と称する。
【0041】
各上側係合部55は、たとえば、下側係合部56側(矢印A1方向)に向かって略C字状に湾曲し、横鉄筋33を受け入れる湾曲部71を含む。略C字状とは、C字状である形態に限定されず、U字状等であってもよいことを示す。上側係合部55は、湾曲部71の下方端に連続して斜め下方に延びるガイド部76をさらに含むことが望ましい。これにより、上側係合部55の湾曲部71に横鉄筋33を嵌め入れ易くなる。
【0042】
下側係合部56は、たとえば、左右方向外側に向かって折り曲げられた屈曲部72により構成されている。屈曲部72は、より具体的には、下側線材53aまたは53bと連続する結合部73と、結合部73の下方端から横方向外側に延びる横張出し部74と、横張出し部74の先端から上側係合部55とは反対側(矢印A1方向)に向かって下方側に延びる縦張出し部75とを有している。下側係合部56の屈曲部72が、横鉄筋34と縦鉄筋31または32との交差部に引っ掛けられる。なお、屈曲部72の形状は、各部が直線状である例に限定されず、各部が境目なく滑らかに湾曲した形状であってもよい。
【0043】
図4の実線で示されるように、フリーの状態(取り付け前の状態)において、上側脚部52の下方端(上側係合部55との境界部)と下側脚部53の下方端(下側係合部56との境界部)との間隔L3が、互いに対向する一対の横鉄筋33,34間の間隔L11よりも大きい。上側脚部52としての上側線材52a,52bおよび下側脚部53としての下側線材53a,53bは、曲げ弾性を有しているので、図4の想像線で示されるように、取り付け時には間隔L3を縮めるように弾性変形させることにより、上側係合部55および下側係合部56を、一対の横鉄筋33,34のそれぞれに、上方かつ内側から(アンカー挿入空間S側から)係合させることができる。
【0044】
また、取り付け状態においては、上側脚部52または下側脚部53(上側脚部52および下側脚部53の少なくとも一方)が、互いに離れる方向に付勢されるので、上側脚部52または下側脚部53の復元力によって、上側係合部55および下側係合部56が、一対の横鉄筋33,34の内側面(アンカー挿入空間S側の面)にそれぞれ押し付けられて係合する。すなわち、本実施の形態の支圧面形成用型枠50は、上側係合部55および下側係合部56のそれぞれが、一対の横鉄筋33,34の内側面に弾性的に押し付けられることによって、結束バンド等を用いることなく法枠10の構造物に取り付けられる。
【0045】
ここで、本実施の形態では、フレーム部51の一対の縦棒61a,61b、一対の上側線材52a,52b、一対の下側線材53a,53b、一対の上側係合部55a,55b、および一対の下側係合部56a,56bが、2本の線状部材を左右対称に折り曲げることによって形成されている。そのため、一対の縦棒61a,61b間に2本の横棒62a,62bを掛け渡すだけで、支圧面形成用型枠50が完成する。したがって、本実施の形態によれば、支圧面形成用型枠50の製作を容易かつ低コストで実現することができる。
【0046】
なお、支圧面形成用型枠50は、図3に示されるように、一対の上側線材52a,52b間に、両者の間隔を保持するための間隔保持部58をさらに備えていてもよい。これにより、支圧面形成用型枠50の姿勢の崩れを防止することができる。また、その結果、横鉄筋33への一対の上側係合部55a,55bの係合作業を円滑に行うことができる。
【0047】
(法枠補強構造の施工方法)
図5および図6を参照して、法面補強構造1の施工方法について説明する。図6は、法面補強構造1の施工手順を示すフローチャートである。
【0048】
施工現場では、まず、法面90にラス網(図示せず)を施工した後、金網フレーム100および鉄筋30を設置する(工程P1)。金網フレーム100は、たとえば、図5に示されるように、法面90に立設される一対の金網11,12と、鉄筋支持部13とがユニット化された部材である。鉄筋支持部13は、一対の金網11,12間に掛け渡される上段棒材131および下段棒材132と、これらの棒材131,132に交差して高さ方向に延びる2本の棒材133,134とを含んでおり、上段棒材131と棒材133,134との交差部、および、下段棒材132と棒材133,134との交差部のそれぞれに、鉄筋30が取り付けられる。なお、図5では、図面が煩雑になるのを避けるために、1つの金網フレーム100を除き、鉄筋支持部13の図示を省略している。
【0049】
金網フレーム100および鉄筋30を含む法枠10の構造物が法面90上に構築されると、これらの位置固定のために、鉄筋30の延在方向に沿って複数のアンカーピン(図示せず)を地盤に打ち込む(工程P2)。
【0050】
法枠10の構造物の位置固定が完了すると、この段階で、アンカー挿入空間Sを取り囲む上段の複数の鉄筋30(縦鉄筋31,32および横鉄筋33,34)に、支圧面形成用型枠50を取り付ける(工程P3)。支圧面形成用型枠50の取り付け方法の詳細については、図7を参照して説明する。図7(A)は、支圧面形成用型枠50の下側係合部56a,56bのみを係合させた状態を示す斜視図であり、図7(B)は、図7(A)のVIIB部分を拡大して示す平面図である。なお、図7(A)では、間隔保持部58の図示を省略している。
【0051】
作業者はまず、フレーム部51が高さ方向に略起立した状態となるように支圧面形成用型枠50を傾けて把持し、図7(A)に示されるように、一対の下側係合部56a,56bを、一対の縦鉄筋31,32と横鉄筋34との交差部の外側に上方からそれぞれ引っ掛ける。より具体的には、図7(B)に拡大して示すように下側係合部56aの縦張出し部75を縦鉄筋31の外側の空間(アンカー挿入空間Sの右側の空間)Saに上方から差し込むとともに、下側係合部56bの縦張出し部75を縦鉄筋32の外側の空間(アンカー挿入空間Sの左側の空間)Sbに上方から差し込む。その状態で、支圧面形成用型枠50の姿勢を戻しながら勾配方向下側へずらして、縦張出し部75を横鉄筋34の内側面に当接または近接させる。
【0052】
下側脚部53としての一対の下側線材53a,53b間の間隔は、一対の縦鉄筋31,32間の間隔よりも若干短く、左右の縦張出し部75間の間隔は、一対の縦鉄筋31,32間の間隔よりも若干長い。そのため、下側係合部56a,56bの横張出し部74は一対の縦鉄筋31,32に載せられ、縦張出し部75は一対の縦鉄筋31,32の外側面(空間Sa,Sb側の面)に当接または近接した状態となるので、この段階において、支圧面形成用型枠50の左右方向の位置決めと、法枠10の構造物への仮置きとを同時に実現できる。このように、屈曲部72の一部が、左右方向の位置ずれ防止手段を構成している。
【0053】
続いて、作業者は、上側脚部52としての上側線材52a,52bを両手で把持し、把持した上側線材52a,52bを、下側線材53a,53b側(図7の矢印M1で示す方向)に引きつけながら、すなわち下側脚部53a,53bとの間隔が縮まるよう弾性的に曲げながら、下方(図7の矢印M2で示す方向)へ降ろす。
【0054】
一対の上側線材52a,52b間の間隔は、一対の下側線材53a,53b間の間隔と同等であって、一対の縦鉄筋31,32間の間隔よりも若干短い。そのため、作業者は、一対の上側係合部55a,55bの先端部に設けられたガイド部76をアンカー挿入空間Sに挿入して、横鉄筋33が湾曲部71に嵌まり込むまで上側線材52a,52bを下方に押し下げる。
【0055】
湾曲部71に横鉄筋33が嵌まり込んだ状態においても、上側線材52a,52bには元の状態に戻ろうとする弾性力(復元力)が働いている。なお、この状態において、下側線材53a,53bも弾性的に曲げられて、復元力が働くケースもある。そのため、少なくとも上側線材52a,52bの復元力によって、上側係合部55a,55bの湾曲部71と下側係合部56a,56bの屈曲部72の少なくとも一部(たとえば結合部73および縦張出し部75)とが、横鉄筋33,34の内側面にそれぞれ押し付けられて係合する。これにより、支圧面形成用型枠50は、高さ方向、勾配方向、および左右方向に全方向においてずれることなく、横鉄筋33,34に確りと固定される。
【0056】
支圧面形成用型枠50が上段の横鉄筋33,34に取り付けられると、次に、塩ビパイプなどの箱抜き管(図示せず)を、フレーム部51の開口およびアンカー挿入空間Sに挿入する(工程P4)。箱抜き管の傾きを、フレーム部51の開口面60と直交するように調整した後、法枠10の型枠である金網フレーム100、および、支圧面形成用型枠50(箱抜き管の内部を除く)に、モルタルを吹き付ける(工程P5)。モルタルが固化して、法枠10および台座部40が構築された状態を、図8に示す。
【0057】
工程P5において支圧面形成用型枠50にモルタルを吹き付ける際、台座部40の上面41がフレーム部51の開口面60と略一致し(平行であり)、一対の上側線材52a,52bおよび一対の下側線材53a,53bが台座部40の4つの側面42~45のコーナー部を構成するように、モルタルの表面を整える。これにより、台座部40の上面41が、後に施工するアンカー21の支圧面としての機能を発揮する。
【0058】
図8に示されるように、台座部40の上面41には、箱抜き管14により形成された開口46が露出しており、この開口46を介して地盤を削孔する(工程P6)。箱抜き管14は、台座部40の上面41(支圧面)に直交した状態で配置されているため、箱抜き管14に削孔装置を挿入することにより、適切な角度で、地盤にアンカー挿入孔を形成することができる。また、台座部40の上面41の開口46からアンカー21を挿入することにより、所望な角度で、つまり図2に示した角度θxで、アンカー21を設置することができる(工程P7)。つまり、台座部40の上面41(支圧面)に直交した状態で、アンカー21を配置することができる。
【0059】
その後、台座部40の上面41の開口46を介してアンカー21の周りにグラウトを注入して、アンカー21を地盤に固定するとともに、台座部40の上面41と面一状となるように開口46を塞ぐ(工程P8)。これにより、台座部40の上面41からアンカー21の頭部のみが露出した状態となる。グラウトが固化すると、アンカー21の頭部(頂部)に、定着具22としてのアンカープレート23およびキャップ24を取り付ける(工程P9)。これにより、図2に示すような法面補強構造1が完成する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上側脚部52(一対の上側線材52a,52b)と下側脚部53(一対の53a,53b)との間隔を縮めることで、下側係合部56および上側係合部55を横鉄筋34,33のそれぞれに係合可能としている。これにより、上側脚部52または下側脚部53は、取り付け状態において、互いに離れる方向に付勢され、下側係合部56および上側係合部55は、上側脚部52または下側脚部53の復元力によって一対の横鉄筋33,34のそれぞれに押し付けられて係合する。したがって、本実施の形態によれば、上側係合部55および下側係合部56を一対の横鉄筋33,34にそれぞれ係合させるだけで、支圧面形成用型枠50をアンカー挿入空間S上に取り付け固定することができる。その結果、支圧面形成用型枠50の取り付け作業を簡素化できるので、施工性を大幅に向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、下側係合部56a,56bが、一対の縦鉄筋31,32の外側に差し込まれる縦張出し部75をそれぞれ有しているため、支圧面形成用型枠50の左右方向の位置ずれを防止することもできる。これにより、アンカー挿入空間S上の適切な位置に支圧面形成用型枠50が配置されるので、台座部40を所望の位置に形成することができる。
【0062】
なお、支圧面形成用型枠50の構成は、図3および図4に示したような例に限定されない。以下に、支圧面形成用型枠50の他の構成例について説明する。
【0063】
(支圧面形成用型枠の他の構成例)
本実施の形態では、各上側係合部55が湾曲部71およびガイド部76を含み、各下側係合部56が屈曲部72により構成されていることとしたが、これらが逆であってもよい。この場合であっても、上側係合部55および下側係合部56の横鉄筋33,34への係合順序を逆にするだけで、上記と同様に、アンカー挿入空間S上に支圧面形成用型枠50を設置することができる。
【0064】
あるいは、上側係合部55および下側係合部56が異なる形状を有している例に限定されず、たとえば、上側係合部55および下側係合部56の双方が、湾曲部71とガイド部76とを含む構成であってもよい。この場合、左右方向の位置ずれを防止する観点から、一対の下側線材53a,53b間の間隔、および、一対の下側線材53a,53b間の間隔の少なくとも一方を、一対の縦鉄筋31,32間の間隔よりも若干長くして、図9の支圧面形成用型枠50Aのように、上側係合部55および下側係合部56の少なくとも一方のガイド部76が、一対の縦鉄筋31,32の外側面(アンカー挿入空間Sの反対側の面)に接するように構成されていてもよい。このように、上側係合部55および下側係合部56の少なくとも一方のガイド部76が、左右方向の位置ずれ防止手段を構成してもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、取り付け状態において、上側脚部52(上側線材52a,52b)を勾配方向上側に付勢させることによって、上側係合部55a,55bおよび下側係合部56a,56bを一対の横鉄筋33,34の内側面に押し付けて係合させることとしたが、このような例に限定されない。たとえば、図10の支圧面形成用型枠50Bのように、取り付け状態において、左側の上側線材52aおよび下側線材53aと右側の上側線材52bおよび下側線材53bとを互いに離れる方向(左右方向)に付勢させることにより、左側の上側係合部55aおよび下側係合部56aの組と右側の上側係合部55bおよび下側係合部56bの組とを、一対の縦鉄筋31,32の内側面にそれぞれ押し付けて係合させることとしてもよい。この場合、一例として、左側の上側係合部55aおよび下側係合部56aが、勾配方向の位置ずれ防止手段としての機能を有する屈曲部72により構成され、右側の上側係合部55bおよび下側係合部56bが、湾曲部71およびガイド部76により構成されている。
【0066】
また、上側脚部52および下側脚部53の各々が、2本の線状部材により構成されることが望ましいものの、限定的ではない。たとえば、上端がフレーム部51(横棒であってもよい)に連結された1本または3本以上の線状部材により構成されていてもよい。
【0067】
また、上側係合部55および下側係合部56は、上側脚部52および下側脚部53を構成する線状部材と一体的に(同じ数だけ)設けられていることが望ましいものの、限定的ではない。たとえば図11の支圧面形成用型枠50Cのように、2本の上側線材52a,52bの下方端部を連結する間隔保持部58に、1つの上側係合部55(湾曲部71およびガイド部76)が設けられているような構成であってもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、取り付け状態において、上側脚部52と下側脚部53とが互いに離れる方向に付勢されることによって上側係合部55および下側係合部56を横鉄筋33,34の内側面(アンカー挿入空間S側の面)に係合させる例について説明したが、反対に、上側脚部52と下側脚部53とが互いに近付く方向に付勢され、上側係合部55および下側係合部56を横鉄筋33,34の外側面(アンカー挿入空間Sとは反対側の面)に係合させてもよい。この場合、湾曲部71および屈曲部72の形状を、勾配方向(縦方向)に沿って反転させればよい。
【0069】
また、本実施の形態では、上側脚部52および下側脚部53の双方が、曲げ弾性を有する部材(典型的には線状部材)により構成されているものとして説明したが、これらのうちの一方(たとえば下側脚部53)は曲げ弾性を有していなくてもよい。あるいは、これらの双方とも曲げ弾性を有していなくてもよい。
【0070】
また、フレーム部51は、縦棒61a,61bおよび横棒62a,62bにより構成されていることとしたが、一定の幅を有する縦板および横板により構成されていてもよい。また、フレーム部51の形状は矩形形状である例に限定されず、たとえば楕円形状などであってもよい。
【0071】
(他の変形例)
本実施の形態では、法枠工とアンカー工との併用工法に支圧面形成用型枠50を適用する例について説明したが、法面90上に設置された一対の縦鉄筋31,32と一対の横鉄筋33,34とに囲まれたアンカー挿入空間Sに、アンカー21を施工する工法であれば、他の工法にも適用可能である。
【0072】
また、本実施の形態に係る支圧面形成用型枠50は、施工現場においてアンカー21を挿入する際(具体的には、箱抜き管14を設置する際)のガイドとしても機能することから、支圧面形成用型枠50を、アンカー21の挿入角度を規定するための角度調整治具として活用することも可能である。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 法面補強構造、10 法枠、10C 交差部、11,12 金網、20 アンカー補強部、21 アンカー、30,31~34 鉄筋、40 台座部、50,50A,50B,50C 支圧面形成用型枠、51 フレーム部、52 上側脚部、52a,52b 上側線材、53 下側脚部、53a,53b 側線材、54 取付け部、55,55a,55b 上側係合部、56,56a,56b 下側係合部、58 間隔保持部、71 湾曲部、72 屈曲部、76 ガイド部、90 法面、100 金網フレーム、S アンカー挿入空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11