(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023337
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】折り畳み式焚き火台
(51)【国際特許分類】
F24C 1/16 20210101AFI20230209BHJP
F24B 1/18 20060101ALI20230209BHJP
F24B 13/02 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F24C1/16 A
F24B1/18 P
F24B13/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128776
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】500010967
【氏名又は名称】株式会社ニューテックジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100125313
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】白石 徳宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】持ち運びに優れ、組み立てが容易でありながら、野外での使用において十分な強度を有する折り畳み式の焚き火台を提供する。
【解決手段】2枚の底板部材2,3が互いの一縁を軸線4として回動可能に連結することにより形成される底部5と、前記軸線と交差する底部の側縁に前記底板部材の回動展開にともない起立する起立機構を備えた側壁部6,7と、を備えることにより、火床部8を容易に組み立て、あるいは収納することができる折り畳み式焚き火台1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の底板部材が互いの一縁を軸線として回動可能に連結することにより形成される底部と、前記軸線と交差する底部の側縁に前記底板部材の回動展開にともない起立する起立機構を備えた側壁部と、を備えた火床部を設けたことを特徴とする折り畳み式焚き火台。
【請求項2】
回動の軸線と交差する底部の側縁を略くの字状に切り欠くことにより形成される、隣り合う2枚の底板部材の傾斜した側縁に、側壁部の下縁を回動可能に連結することにより、底板部材の回動にともない側壁部が起立することを特徴とする請求項1記載の折り畳み式焚き火台。
【請求項3】
側壁部の下縁は、底板部材の傾斜した側縁に沿ってスライド可能に連結することを特徴とする請求項2記載の折り畳み式焚き火台。
【請求項4】
側壁部は、2枚の側壁板部材を底板部材が回動する軸線上で回動可能に連結することにより形成されることを特徴とする請求項2又は3記載の折り畳み式焚き火台。
【請求項5】
2枚の側壁板部材は、所定の角度範囲で回動するための回動制御手段を備えることを特徴とする請求項4記載の折り畳み式焚き火台。
【請求項6】
回動の軸線と略平行の底部の側縁に板材を回動可能に連結したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の折り畳み式焚き火台。
【請求項7】
2枚の底板部材を回動展開して形成される底部の下面に複数の脚部材を設けるとともに、底板部材が回動する軸線を挟んで対向する位置にある底部下面の2つの脚部材を相互に離間するための離間付勢手段と、回動の軸線となる底板部材の一縁側から反対縁側へ移動可能に脚部材を底板部材に連結するための移動連結手段と、を備えることにより、底板部材を回動して底部を展開すると、底板部材の回動にともない脚部材が底部の下面に沿って左右に展開することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の折り畳み式焚き火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部と側壁部からなる火床部を備えた折り畳み可能な焚き火台に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプ等のアウトドアレジャーにおいては、躰を温めたり、調理を行うための道具として、薪等の燃料や、木の枝や落ち葉を集めて燃やすことができる焚き火台が使用される。通常、これらの道具は、金属製であり、しかも強度を備える必要から重く、大型であるため、持ち運びに不便なものが多い。
【0003】
このため、持ち運びが容易な焚き火台として、4枚の側板を組み合わせ、中央に底板を載置して組み立てる組み立て式の焚き火台(例えば、特許文献1)や、フレームを組み合わせて形成される支持台の上に火床を取り付けた折り畳み式の焚き火台(例えば、特許文献2)などが開発されている。
【0004】
しかしながら、これらの焚き火台は、分割して小さく収容することができるとしても、焚き火台を組み立て又は片づける際には、定まった手順に従い、複数の操作を行う必要があることから、屋外における組み立て等の作業が必ずしも容易であるとはいえなかった。
【0005】
また、部品点数が多くなると、一部の部品を紛失する危険性もあり、焚き火台を長期に亘り繰り返し使用することができないこともある。
【0006】
このため、屋外でのレジャーを快適に楽しめるよう、誰もが簡単に設置することができ、しかも、持ち運びや収納が容易な折り畳み式テーブルの開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-75270号公報
【特許文献2】特開2012-167920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、持ち運びに優れ、組み立てが容易でありながら、野外での使用において十分な強度を有する折り畳み式の焚き火台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明者が検討を行った結果、2枚の底板部材が互いの一縁を軸線として回動可能に連結することにより折り畳み自在に形成される底部と、前記軸線と交差する底部の側縁に前記底板部材の回動展開にともない起立する起立機構を備えた側壁部と、を備えることにより、火床部を容易に組み立て、あるいは収納することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、2枚の底板部材が互いの一縁を軸線として回動可能に連結することにより形成される底部と、前記軸線と交差する底部の側縁に前記底板部材の回動展開にともない起立する起立機構を備えた側壁部と、を備えた火床部を設けたことを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0011】
さらに本発明は、回動の軸線と交差する底部の側縁を略くの字状に切り欠くことにより形成される、隣り合う2枚の底板部材の傾斜した側縁に、側壁部の下縁を回動可能に連結することにより、底板部材の回動にともない側壁部が起立することを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0012】
さらに本発明は、側壁部の下縁は、底板部材の傾斜した側縁に沿ってスライド可能に連結することを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0013】
さらに本発明は、側壁部が、2枚の側壁板部材を底板部材が回動する軸線上で回動可能に連結することにより形成されることを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0014】
さらに本発明は、2枚の側壁板部材が、所定の角度範囲で回動するための回動制御手段を備えることを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0015】
さらに本発明は、底部の前端縁及び/又は後端縁に板材を回動可能に連結したことを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【0016】
さらに本発明は、2枚の底板部材を回動展開して形成される底部の下面に複数の脚部材を設けるとともに、底板部材が回動する軸線を挟んで対向する位置にある底部下面の2つの脚部材を相互に離間するための離間付勢手段と、回動の軸線となる底板部材の一縁側から反対縁側へ移動可能に脚部材を底板部材に連結するための移動連結手段と、を備えることにより、底板部材を回動して底部を展開すると、底板部材の回動にともない脚部材が底部の下面に沿って左右に展開することを特徴とする折り畳み式焚き火台である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の折り畳み式焚き火台によれば、底板部材を回動して底部を展開すると、底板部材の回動にともない側壁部が起立して火床部が形成され、焚き火台の組み立てを容易に行うことができる。
【0018】
また、底部の下面に離間付勢手段と移動連結手段を備え、脚部材を配置することにより、底板部材を回動して底部を展開すると、底板部材の回動にともない脚部材が底部の下面に沿って左右に展開するため、焚き火台の組み立てをさらに容易に行うことができる。
【0019】
一方、底板部材を回動して底部を折り畳むと、側壁部は倒れ、2つの底板部材とともに折り畳まれて収納(収容)される。また、脚部材は、2枚の底板部材間に脚部材が収容できるため、焚き火台の持ち運びを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】折り畳み式焚き火台の展開した状態の外観図((a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)側面図)(図面代用写真)
【
図2】折り畳み式焚き火台の展開した状態の外観図((a)上方斜視図、(b)下方斜視図)(図面代用写真)
【
図3】折り畳み式焚き火台の底部と側壁部との連結構造を示す図(図面代用写真)
【
図4】折り畳み式焚き火台の展開又は収束の動作を示す図((a)収束した状態、(b)乃至(d)展開又は収束途中の状態、(e)展開した状態)(図面代用写真)
【
図5】折り畳み式焚き火台の収束した状態の外観図((a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)側面図)(図面代用写真)
【
図7】離間付勢手段(第1実施形態)の構造を示す図((a)組み立てた状態、(b)分解した状態)
【
図8】離間付勢手段(第2実施形態)の構造を示す図((a)組み立てた状態、(b)分解した状態)
【
図9】離間付勢手段の動作を示す模式図((a)脚部材が展開した状態、(b)脚部材がやや収束した状態)
【
図10】脚部材の展開又は収束の動作を示す模式図((a)収束した状態、(b)乃至(d)展開又は収束途中の状態、(e)展開した状態)
【0021】
本発明の折り畳み式焚き火台について、図を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、実施するための形態として例示したものに限定されるものではない。また、本発明における構成部材の連結あるいは取り付けは、直接的な連結等だけでなく、他の部材を介した間接的な連結等も含むもので、対象となる2つの部材の取り付け部位の相対的な位置関係を略一定に保持するものであれば、特に断りがない限り、全てがこれに含まれる。
【0022】
本発明の折り畳み式焚き火台は、
図1に示すように、2枚の底板部材2,3が互いの一縁を軸線4として回動可能に連結することにより折り畳み自在に形成される底部5と、軸線と交差する底部の側縁に底板部材の回動展開にともない起立する起立機構9を備えた側壁部6,7と、を設けた火床部8を備えることを特徴とする。
【0023】
図1には、2枚の底板部材を連結して形成された底部と、底部の左右に側壁部を1つずつ配置することにより形成された火床部を例示するが、側壁部は必ずしも2つ配置するとは限らず、焚き火台の用途や形状に応じて、左右のいずれか一方にのみ配置することもできる。また、底板部材は、2枚に限らず、3枚以上配置し、隣り合う底板部材を回動可能に連結して底部を形成することもできる。この場合、隣り合う2枚の底板部材ごとに、回動する軸線と交差する位置に起立機構を備えた側壁部を設けることもできる。
【0024】
側壁部に設ける起立機構は、特に限定されるものではなく、例えば、底部と側壁部とを弾性体で連結し、弾性体による弾性力を利用して、底板部材の回動展開した際に側壁部を起立させることができる。また、側壁部の一部に弾性素材を用いることにより、底板部材の回動にともない起立させることも可能である。
【0025】
起立機構9は、
図3に示すような、底板部材の形状、側壁部の形状及び底板部材と側壁部との連結手段によって形成することができる。すなわち、回動の軸線と交差する底部の側縁を略くの字状に切り欠くことにより形成される、隣り合う2枚の底板部材の傾斜した側縁に、側壁部の下縁を回動可能に連結することにより、底板部材の回動にともない側壁部が起立させることができる。
【0026】
図4は、折り畳み式焚き火台の展開あるいは収束の動作を示すが、
図3に示す起立機構9を備えた側壁部7においては、隣り合う2枚の底板部材が下方から徐々に左右に回動展開し、2枚の底板部材が180度の角度をなす位置に達した状態(c)から、さらに上方に回動した状態(d)になると、側壁部は上方に立ち上がる。
【0027】
底板部材と側壁部との連結は、側壁部の下縁が、底板部材の傾斜した側縁に沿ってスライド可能に連結することができる。
図3に示すように、側壁部7の下縁は、底板部材2,3の傾斜した側縁に回動可能に連結されているが、底板部材の傾斜した側縁に沿ってスライド可能に連結することにより、底板部材の回動が円滑となり、側壁部を容易に立ち上げることが可能となる。
【0028】
側壁部7は、2枚の側壁板部材10,11を底板部材が回動する軸線4上で回動可能に連結することにより形成することができる。このような側壁部によれば、折り畳み式焚き火台は、
図4に示すように、2枚の底板部材を下方に回動し収束した状態(a)では、側壁部は、底板部材が回動する軸線4上で2つに折り曲がり、小さく収納することができる(
図5)。一方、折り畳み式焚き火台が展開した状態では、略くの字状に切り欠いた底部に沿って、側壁部を略垂直に立ち上げることが可能となる(
図2)。
【0029】
連結する2枚の側壁板部材は、所定の角度範囲で回動するための回動制御手段を備えることができる。
図4に示すように、2枚の底板部材を収束した状態(a)から徐々に上方に回動すると、底板部材が180度に展開する状態(c)まで、2枚の側壁板部材も底板部材とともに上方に回動する。そして、さらに底板部材が上方に回動すると、2枚の側壁板部材は、180度の位置から上方には回動せず、側壁部が立ち上がるとともに、略くの字状に切り欠いた底部の側縁に沿うように回動する。このため、2枚の側壁板部材には、底板部材の回動とは異なる回動を行うため、所定の角度範囲で回動するための回動制御手段を設ければ、側壁板部材が円滑に動作し、側壁部を容易に立ち上げることが可能となる。例えば、2枚の側壁部材には、180度に展開した後、さらに上方に回動することを防ぐための回動制御手段を備えることができる。
【0030】
回動制御手段は、2枚の側壁板部材が所定の角度範囲で回動するよう制御するものであれば、特に限定されるものではなく、あらゆる手段を採用することができるが、例えば、2枚の側壁板部材を繋ぐ蝶番の切り欠き幅を所定の範囲に限定し、回動する角度範囲を制限する手段(図示せず)や2枚の側壁板部材が連結する箇所付近に突起を設け、かかる突起が邪魔となり回動する範囲を制限する手段(図示せず)など、幅広く採用することができる。回動する2枚の側壁板部材のなす角度範囲としては、0~170度とすることが好ましい。
【0031】
また、所定の角度範囲で回動するよう2枚の側壁板部材をバネ等の弾性体で連結すると、側壁板部材は弾性体の付勢力を受けながら略くの字状に切り欠いた底部の側縁に沿うよう円滑に回動して立ち上がることができる(図示せず)。
【0032】
図4には、隣り合う2枚の底板部材を下方から徐々に左右に回動展開し、2枚の底板部材が180度の角度に達した状態(c)から、さらに上方に回動した状態(d)とすることにより、側壁部が立ち上がり火床部を形成する態様を示すが、逆に、隣り合う2枚の底板部材を垂直上方に回動して閉じた状態とし、この閉じた状態から2枚の底板部材を徐々に下方に回動し左右に展開しても、
図4(d)に示す形態となり、側壁部を起立して火床部を形成することが可能である(図示せず)。この場合、焚き火台が収束した状態では、側壁部は、2枚の底板部材の間に折り畳まれて収容されるか、
図5(b)のような形態で2枚の底板部材から突出することとなる。
【0033】
図1に示すように、回動する軸線4と略平行な底部5の側縁には、板材12,13を回動可能に連結することができる。折り畳み式焚き火台は、使用後には、底板部材を回動して収束し収納するが(
図4)、底板部材を収束した際には、薪等を燃焼した底部の上面が、収束した底板部材の外側面として露出することとなる。このため、底部の前端縁と後端縁に、板材12,13を設け、収納するときは、まず、底板部材を回動して底部の上面を覆い、次に、底板部材を収束すれば、底板部材を把持する手を汚すことがなく、持ち運びが容易となる。また、このような板材は、
図2に示すように、略垂直に立てた状態で折り畳み式焚き火台を使用するが、このような形態にすることにより、横風を受けても安全に焚き火を行うことができるとともに、板材の上縁に網などを載置すれば、その上で食品を調理することもできる。
【0034】
板材は、通常、底部の前端縁と後端縁に設けるが、焚き火台の大きさや形状によっては、底部の前端縁あるいは後端縁のいずれかで一方に取り付けても良い。
【0035】
図1に示すように、折り畳み式焚き火台1は、2枚の底板部材2,3を回動展開して形成される底部5の下面に複数の脚部材を設けるとともに、底板部材2,3が回動する軸線4を挟んで対向する位置にある底部下面の2つの脚部材14,15を相互に離間するための離間付勢手段16と、回動の軸線となる底板部材の一縁側から反対縁側へ移動可能に脚部材を底板部材に連結するための移動連結手段17と、を備えることもできる。このような脚部材、離間付勢手段、移動連結手段を備えた構造は、特許第6141698号公報の折り畳み式テーブルにも採用されている。尚、
図1には、4つの脚部材を備えた焚き火台を例示するが、これに限定されるものではなく、底部5の大きさにより適切な数の脚部材を配置することができる。
【0036】
離間付勢手段16で、底板部材2,3が回動する軸線4を挟んで対向する位置にある2つの脚部材14,15を相互に離間するよう付勢し、移動連結手段17で、回動の軸線4となる底板部材の一縁側から反対縁側へ移動可能に脚部材を底板部材に連結することにより、底板部材2,3を回動して底部5を展開すると、底板部材2,3の回動にともない、付勢された2つの脚部材14,15は、底部5下面を連結位置を移動させながら左右に展開し、折り畳み式焚き火台を展開設置することができる。また、底板部材2,3を回動して底部5を折り畳むと、2枚の底板部材の下面により左右から押圧された2つの脚部材は付勢する力に抗しながら中央に収束し、2枚の底板部材2,3間に収容することができ、折り畳み式焚き火台を収納することができる(
図10(a)乃至(e))。
【0037】
離間付勢手段16は、2つの脚部材14,15を相互に離間して左右に展開するよう付勢する機能を備えるものであれば、その形状あるいは材質は特に限定されるべきものではない。したがって、離間付勢手段16としては、例えば、2つの脚部材14,15を弾性体で連結し、かかる弾性体の弾性力で2つの脚部材を相互に離間するなどの手段を採用することも可能ではあるが、弾性体で形成した2つの脚部材の一部を互いに連結し、かかる弾性体の弾性力で2つの脚部材を相互に離間するなどの手段を採用すれば、離間付勢手段を脚部材とともに一体的に形成することができ、部品数を少なくすることができる。これにより、強度にすぐれ、しかも重量が軽く携帯性にすぐれた折り畳み式焚き火台とすることができる。
【0038】
また離間付勢手段16は、
図7に示すように、2つの脚部材14,15を形成する棒状弾性体(例えば、弾性を有する金属棒)の両端を屈曲し、一方の脚部材14の下端14bから延び出る下端延出部14dの先端と他方の脚部材15の上端15aから延び出る上端延出部15cの先端とを水平回動可能に連結した第1回動連結部18と、一方の脚部材14の上端14aから延び出る上端延出部14cの先端と他方の脚部材15の下端15bから延び出る下端延出部15dの先端とを水平回動可能に連結した第2回動連結部19とを、底板部材2,3が回動する軸線4に沿って離れて配置することができる(
図6)。
【0039】
第1回動連結部18と第2回動連結部19には、
図7(b)に示すように、円筒形状のパイプを使用することができ、第1回動連結部18の両端開口に、上端延出部15cの屈曲させた先端と下端延出部14dの屈曲させた先端を上下方向から挿入し、第2回動連結部19の両端開口に上端延出部14cの屈曲させた先端と下端延出部15dの屈曲させた先端を上下方向から挿入することにより、上端延出部15cと下端延出部14d、上端延出部14cと下端延出部15dをそれぞれ水平方向に回動可能に連結することができる。
【0040】
このような離間付勢手段16においては、
図9に示すように、2つの脚部材14,15が互いに近づくと第1回動連結部18と第2回動連結部19とが近接するとともに、脚部材の両端にある上端延出部と下端延出部との相対位置が変化することで棒状弾性体(例えば、弾性を有する金属棒)に弾性力(もとの位置に戻ろうとする反発力)が発生し、かかる弾性力で2つの脚部材14,15を相互に離間することが可能となる。ここで、2つの脚部材14,15が近づくことにより発生する主な弾性力(反発力)は、脚部材14に着目すると、脚部材14の軸心を中心として上端延出部14cと下端延出部14dが相対的に回動することによる、棒状弾性体に与えられるねじり動作に抗して生じるものといえる。
【0041】
また
図7では、一方の脚部材14の下端14bから延び出る下端延出部14dの先端と他方の脚部材15の上端15aから延び出る上端延出部15cの先端とを水平回動可能に連結して第1回動連結部18とし、一方の脚部材14の上端14aから延び出る上端延出部14cの先端と他方の脚部材15の下端15bから延び出る下端延出部15dの先端とを水平回動可能に連結して第2回動連結部19とした態様を例示するが、
図8に示すように、2つの脚部材14,15の上端14a,15aから延び出る上端延出部14c,15cの先端どうしを水平回動可能に連結して第1回動連結部とし、2つの脚部材14,15の下端14b,15bから延び出る下端延出部14d,15dの先端どうしを水平回動可能に連結して第2回動連結部とし、第1回動連結部と第2回動連結部とを底板部材2,3が回動する軸線4に沿って離れて配置しても、脚部材を離間するよう付勢するための弾性力を得ることができる。
【0042】
移動連結手段17としては、
図6に示すように、底板部材2,3の下面に、回動の軸線4となる底板部材の一縁側から反対縁側へ延び、底部5の下表面と略垂直の開口面を有する貫通孔20,22を備えたガイド部材21,23を設けることができる。ガイド部材21,23の貫通孔20,22に脚部材14,15の上端14a,15aから延び出る上端延出部14c,15cを挿通することにより、回動の軸線4となる底板部材の一縁側から反対縁側へ移動可能に脚部材を底板部材に連結することが可能となる。
【0043】
ガイド部材は、ガイド部材に設けた貫通孔に脚部材の上端延出部を挿通することで、脚部材を底板部材の下面に沿って移動可能に連結するものであるため、貫通孔は各脚部材ごとに少なくとも一つ必要なものであるが、脚部材の上端延出部の異なる箇所をガイド部材に設けた複数の貫通孔に挿通することで、上端延出部の移動する方向をより確実に規制することが可能となる。
図6に示すガイド部材21では、貫通孔20のほかに貫通孔28が設けられ、脚部材14の上端延出部14cをこれらの貫通孔20,28に挿通することにより、上端延出部14cが底板部材の下面に沿いながら、確実に水平展開することを可能としている。
【0044】
このような移動連結手段17を備えることにより、底板部材2,3を回動して底部5を展開すると、底板部材2,3の回動にともない、付勢された2つの脚部材14,15は、ガイド部材21,23の貫通孔20,22を通る上端延出部14c,15cを移動させながら左右に展開し、折り畳み式焚き火台を設置することができる(
図10(a)乃至(e))。また、底板部材2,3を回動して底部5を折り畳むと、2枚の底板部材の下面により左右から押圧された2つの脚部材14,15は離間付勢手段16の力に抗しながら、上端延出部14c,15cが貫通孔20,22内を移動して中央に収束され、2枚の底板部材2,3間に収容されることで、折り畳み式焚き火台を小さく折り畳むことができる。
【0045】
2枚の底板部材2,3は、蝶番などの連結器具を取り付けて連結したり、連結する2枚の底板部材のそれぞれの辺部分に筒状部を設置し、かかる筒状部に軸芯部材を挿通して蝶番構造を形成するなどして回動可能に連結することができるが、回動する2枚の底板部材2,3に軸線4を挟んで設けた2つのガイド部材21,23の近接する対向部分を回動可能に連結することにより、2枚の底板部材の下面側を対面させて底部5を折り畳み自在とすることもできる。
【0046】
このように底板部材2,3に設置したガイド部材21,23を利用して、2枚の底板部材を回動自在に連結すれば、部品数を少なくできることから、強度にすぐれ、しかも重量を軽くすることで携帯性にもすぐれたものとすることができる。
【0047】
底板部材2,3の下面には、回動する底板部材の軸線4となる一縁と反対縁に沿って側壁24,25,26,27を設け、底板部材の下面に側壁とガイド部材で囲まれた浅い凹部を形成することができる。このように底板部材の下面に浅い凹部29を形成すれば、底板部材の強度が向上するため、底板部材を肉薄にして重量を軽くし、持ち運びにすぐれたテーブルを得ることができる(
図2)。
【0048】
また、底板部材2,3の下面に、回動の軸線4とは反対側の縁に沿って側壁25,27を設けることにより、2枚の底板部材2,3を回動して底部を折り畳むと、2つの底板部材2,3と側壁25,27により囲まれた空間内に脚部材14,15、離間付勢手段16及び移動連結手段17を収容することができ、さらに持ち運びが容易な焚き火台となる。
【符号の説明】
【0049】
1 折り畳み式焚き火台
2 底板部材
3 底板部材
4 軸線
5 底部
6 側壁部
7 側壁部
8 火床部
9 起立機構
10 側壁板部材
11 側壁板部材
12 板材
13 板材
14 脚部材
14a 上端
14b 下端
14c 上端延出部
14d 下端延出部
15 脚部材
15a 上端
15b 下端
15c 上端延出部
15d 下端延出部
16 離間付勢手段
17 移動連結手段
18 第1回動連結部
19 第2回動連結部
20 貫通孔
21 ガイド部材
22 貫通孔
23 ガイド部材
24 側壁
25 側壁
26 側壁
27 側壁
28 貫通孔
29 凹部
F 弾性力(反発力)