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特開2023-23358メタリック調積層体およびそれを用いた加飾成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023358
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】メタリック調積層体およびそれを用いた加飾成形体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20230209BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230209BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/00 E
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128814
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕規
(72)【発明者】
【氏名】城 真司
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB10B
4F100AB10H
4F100AK03A
4F100AK03C
4F100AK15A
4F100AK25
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100AK45C
4F100AK46A
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK70A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA13A
4F100CA13B
4F100CB05
4F100DE02B
4F100EC182
4F100EH46B
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB41
4F100HB31B
4F100JB16C
4F100JK08A
4F100JK09C
4F100JL10A
4F100JL13
4F100JN01A
4F100JN21
4F100JN24B
4F100JN24H
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】本発明は、大きな延伸加工を施されてもひび割れ等を生じることがない、高い展延性と高い光輝性を持つメタリック調積層フィルムおよびそれを用いた加飾成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、透明基材フィルムの片面上に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂と、蒸着アルミニウム顔料とを含む第1の樹脂層が積層されてなり、第1の樹脂層の上に粘着性を有する第2の樹脂層が形成されてなるメタリック調積層体であって、蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)が好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、そして蒸着アルミニウム顔料の平均厚みが0.001μm以上0.05μm以下であるメタリック調積層体が提供される。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルムの片面上に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂と、蒸着アルミニウム顔料とを含む第1の樹脂層が積層されてなり、
前記第1の樹脂層の上に粘着性を有する第2の樹脂層が形成されてなるメタリック調積層体であって、
前記蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)が0.1μm以上50μm以下であり、前記蒸着アルミニウム顔料の平均厚みが0.001μm以上0.05μm以下であることを特徴とするメタリック調積層体。
【請求項2】
前記第1の樹脂層に含まれる前記蒸着アルミニウム顔料の含有率が40質量%以上90重量%以下である請求項1に記載のメタリック調積層体。
【請求項3】
前記透明基材フィルムが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂およびエチレン-アクリル共重合体樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載のメタリック調積層体。
【請求項4】
前記透明基材フィルムの厚みが25μm以上1000μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項5】
前記透明基材フィルムの波長400~800nmの領域における可視光線透過率が10%以上100%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項6】
前記透明基材フィルムが顔料または染料を含有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項7】
前記透明基材フィルムの温度70℃における伸び率が100%以上1000%以下であり、温度120℃における伸び率が100%以上1000%以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項8】
前記第2の樹脂層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項9】
前記第2の樹脂層の厚さが5μm~以上40μm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項10】
前記第1の樹脂層が積層された前記透明基材フィルムの片面とは反対側の面に、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含有する熱可塑性樹脂からなるハードコート層が積層されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のメタリック調積層体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のメタリック調積層体を成形基材に加飾してなることを特徴とする加飾成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工性および意匠性に優れたメタリック調積層体およびそれを用いた加飾成形体に関し、特に自動車部品、電化製品、電子部品または建材等の成形品に対してメタリック調の加飾を施すために用いられる、高い展延性と高い光輝性、高いフリップフロップ性を有するメタリック調積層フィルムおよびそれを用いた加飾成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車部品や電化製品、電子部品、建材等の成形品に意匠性や表面保護機能を付与するためにスプレー塗装が施されている。スプレー塗装は、複雑な形状を有する成形品における塗膜形成能力に優れており、塗膜形成効率にも優れていることから、幅広い分野で利用されている。
【0003】
しかし、近年の有機溶剤の排出に対する環境保護の観点や、焼付工程にかかる高いエネルギー負荷低減の観点などから、スプレー塗装に代わり、例えば特開2002-187238号公報(特許文献1)に記載されているように、塗膜を積層した着色シートを成形樹脂表面に密着させて配置し、該成形樹脂と一体的に成形することにより成形品に加飾を施す方法が利用されている。
【0004】
特に特許文献1に記載されている着色シートは、インキ中に顔料としてアルミニウム蒸着膜細片などの蒸着金属膜細片を配合することにより、一体的に成形した成形品にメタリック調の加飾を施すことができるというものであり、インキによる印刷層を2層以上設けること等により、成形後の加飾面の光沢ムラを減じるように工夫されている。
【0005】
しかし、鱗片状の蒸着金属膜細片を含むインキにより形成された塗膜や印刷層はメタリック調の高い光輝性を有しているものの、真空成型またはインモールド成型等の成形加工を施した場合、成形後の加飾面にひび割れなどの重大欠陥を生じ、十分な展延性や加工性を得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-275895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、真空成型またはインモールド成型等の高い展延性が求められる成形加工を施した後においても、加飾面にひび割れなどの重大欠陥を生じることがない、高い展延性と高い光輝性、高いフリップフロップ性を有する加工性および意匠性に優れたメタリック調積層フィルムおよびそれを用いた加飾成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、基材フィルム上に積層される樹脂層の組成や特に添加される顔料の性状などについて鋭意検討を重ねた結果、顔料として、所定の形状を有する鱗片状またはフレーク状の蒸着金属粉を用いることが極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、透明基材フィルムの片面上に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂と、蒸着アルミニウム顔料とを含む第1の樹脂層が積層されてなり、第1の樹脂層の上に粘着性を有する第2の樹脂層が形成されてなるメタリック調積層体であって、蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)が好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、そして蒸着アルミニウム顔料の平均厚みが0.001μm以上0.05μm以下であるメタリック調積層体が提供される。
【0010】
また、より優れた加工性および意匠性を付与するためには、第1の樹脂層に含まれる蒸着アルミニウム顔料の含有率が40質量%以上90重量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0011】
本発明によれば、メタリック調積層体は、大きく延伸してもひび割れ等の欠陥を生じることがなく、一様な金属光沢を放つことができる。その詳細なメカニズムは定かではないが、顔料として、特定の形状を有する鱗片状またはフレーク状の蒸着アルミニウム粉を用いた場合、基材フィルムの片面上に形成された樹脂層中の蒸着アルミニウム粉は、その平面部分が樹脂層の表面に沿って整列するように配向され、樹脂層の厚み方向には平面部分の全部または一部が重なり合うように配向される。このため、樹脂層中の蒸着アルミニウム粉は、メタリック調積層体が大きく延伸されても基本的に上述の配向、重なり合いを維持しながら相互にズレるのみであり、メタリック調積層体下の成形体の隠蔽性を低下させることがないことに拠るものと推測される。
【0012】
一方、形状等に特に限定のない従来の鱗片状またはフレーク状の蒸着アルミニウム粉を用いた場合は、樹脂層中の蒸着アルミニウム粉は、その平面部分が樹脂層の表面に対して傾いたり、或いは不規則に配向される結果、メタリック調積層体が大きく延伸されると相互の重なり合いを維持することができなくなり、メタリック調積層体下の成形体を露出させるようにひび割れ等を生じるものと推測される。
【0013】
本発明のメタリック調積層体において、高い展延性、優れた加工性を実現するためには、透明基材フィルムがポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂およびエチレン-アクリル共重合体樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂からなることが好ましく、また、透明基材フィルムの厚みとしては25μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましく、70μm以上400μm以下であることが特に好ましい。
【0014】
また、透明基材フィルムの温度70℃における伸び率としては100%以上1000%以下であることが好ましく、200%以上900%以下であることがより好ましく、300%以上800%以下であることが特に好ましい。同様に、透明基材フィルムの温度120℃における伸び率としては100%以上1000%以下であることが好ましく、200%以上900%以下であることがより好ましく、300%以上800%以下であることが特に好ましい。
【0015】
また、本発明のメタリック調積層体において、高い光輝性、高いフリップフロップ性を実現するためは、透明基材フィルムの波長400~800nmの領域における可視光線透過率が10%以上100%以下であることが好ましく、30%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることが特に好ましい。また、必要に応じて透明基材フィルムに顔料または染料を添加することも有効である。
【0016】
さらに、本発明においてより高度な加工性を実現するためには、メタリック調積層体を、加飾を目的とする成形前の成形樹脂と強固に密着させることが重要となる。このため、本発明において接着層として機能する第2の樹脂層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂からなることが好ましく、また、第2の樹脂層の厚みとしては5μm~以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがより好ましく、15μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0017】
また、成形後の本発明のメタリック調積層体のより高度な光輝性、フリップフロップ性を保持し、それらの優れた意匠性を発揮する蒸着アルミニウム粉が添加された第1の樹脂層を保護する観点からは、第1の樹脂層が積層された透明基材フィルムの片面とは反対側の面に、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含有する熱可塑性樹脂からなるハードコート層を積層することが効果的である。
【0018】
また、本発明において、上述したようなメタリック調積層体を用いて成形基材を加飾すると、ひび割れ等の欠陥がない、高い光輝性、高いフリップフロップ性を有する意匠性に優れた加飾成形体を成形することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、透明基材フィルムの片面上に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1または2以上の樹脂と、蒸着アルミニウム顔料とを含む第1の樹脂層が積層されてなり、第1の樹脂層の上に粘着性を有する第2の樹脂層が形成されてなるメタリック調積層体であって、蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)が0.1μm以上50μm以下であり、蒸着アルミニウム顔料の平均厚みが0.001μm以上0.05μm以下であるメタリック調積層体が提供される。
【0020】
その結果、本発明のメタリック調積層体は、大きく延伸してもひび割れ等の欠陥を生じることがなく一様な金属光沢を放つことができ、前記メタリック調積層体を用いて成形基材を加飾すると、ひび割れ等の欠陥がない、高い光輝性、高いフリップフロップ性を有する意匠性に優れた加飾成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】温度70℃の条件において伸び率300%まで引き延ばした実施例2の積層体の写真である。
図2】温度70℃の条件において伸び率300%まで引き延ばした比較例1の積層体の写真である。
図3図1に示された実施例2の積層体の表面を500倍に拡大した写真である。
図4図2に示された比較例1の積層体の表面を500倍に拡大した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るメタリック調積層体およびそれを用いた加飾成形体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0023】
<積層体>
本実施形態の積層体は、透明基材フィルムの片面に、メタリック調、めっき調の意匠性を付与する第1の樹脂層と、粘着性を有する第2の樹脂層が積層されたシート状の積層体である。また、目的に応じて本実施形態の効果を妨げない範囲でその他の層を積層させてもよい。例えば上述のような他の層の例として、ハードコート層や耐候性コート、撥水コートなどが挙げられる。また、ハードコート層などの他の層は、透明基材フィルムの第1の樹脂層および第2の樹脂層とは反対側の面に最外層として積層させると、傷付きを強力に防止できることから好ましい。
【0024】
<透明基材フィルム>
本実施形態で基材として用いる透明基材フィルムは、透明な樹脂フィルムであれば、公知のものを特に制限なく使用することができる。透明基材フィルムは、フィルム越しに見える輪郭線などをぼやけずに視認できるものであれば、顔料または染料で着色されていてもよい。このような着色された透明基材フィルムを用いると、メタリック調、めっき調の光沢と着色顔料の色調を併せ持つ優れた意匠性を備えた積層体を得ることができる。
【0025】
無色の透明樹脂フィルムとしては、例えば住友ベークライト株式会社製の品名「VSS6702」、三菱ケミカル株式会社製の品名「アクリプレン」(登録商標)などが挙げられる。着色された透明樹脂フィルムとしては、例えば森野化工株式会社製の品名「RM-1800」、三菱ケミカル株式会社製の品名「アクリプレン」(登録商標)などが挙げられる。
【0026】
透明基材フィルムの透明度としては、波長400~800nmにおける可視光透過率が10%以上100%以下であることが好ましく、30%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることが特に好ましい。透明基材フィルムの可視光透過率が10%以上100%以下であれば、十分なめっき調の光沢を得られる。なお、本実施形態における可視光透過率は、波長400nmから800nmまでの1nmごとの各波長における透過率を平均したものであり、日本分光株式会社製の品名「V-770」などの紫外可視分光光度計を用いて測定することができる。
【0027】
透明基材フィルムの材質としては、特に限定されず、公知の樹脂を使用することができる。中でも、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン-アクリル共重合体やこれらの複合物などが、透明性が高く、加熱条件下で容易に真空成型可能であることから好適に使用することができる。なお、ここでいう複合物とは、複数の樹脂を混合した混合物だけでなく、これらの樹脂やその混合物を複数積層させたものも含んでいる。
【0028】
透明基材フィルムの厚みは、特に限定されないが、25μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましく、70μm以上400μm以下であることが特に好ましい。透明基材フィルムの厚みが25μm以上であれば、樹脂層やハードコート層を形成する時、および真空成型を行う際の加熱条件下においてフィルムが破断するのを防ぐのに有利である。一方、透明基材フィルムの厚みが1000μm以下であれば、樹脂層やハードコート層の形成をロールtoロールで塗布することにより行うことができるようになる。
【0029】
透明基材フィルムは、70℃における伸び率が100%以上1000%以下であることが好ましく、200%以上900%以下であることがより好ましく、300%以上800%以下であることが特に好ましい。同様に、透明基材フィルムの120℃における伸び率が100%以上1000%以下であることが好ましく、200%以上900%以下であることがより好ましく、300%以上800%以下であることが特に好ましい。透明基材フィルムの伸び率が上述のような範囲にあれば、破断が起こり難く、インモールド成型や真空成型などにおいて好適に使用することができる。
【0030】
<第1の樹脂層>
本実施形態における第1の樹脂層は、蒸着アルミニウム顔料と樹脂とを含む、メタリック調、めっき調の意匠を付与するための樹脂組成物からなる層である。第1の樹脂層に使用する樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。これらの樹脂を用いると、第1の樹脂層は、延伸しても透明基材フィルムに追従して伸びることができる。
【0031】
第1の樹脂層の厚みとしては、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.3μm以上1μm以下であることがより好ましい。第1の樹脂層の厚みが上述のような範囲にあれば、第1の樹脂層は、延伸しても破断や色調の低下が起こり難くなる。
【0032】
第1の樹脂層を形成する方法としては、蒸着アルミニウム顔料を含むインキをグラビア印刷、フレキソ印刷等により透明基材フィルムに塗布する方法が挙げられる。塗布するインキは、本実施形態の効果を妨げない範囲で、蒸着アルミニウム顔料および樹脂の他に、硬化剤、溶剤や分散剤、粘度調整剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0033】
<蒸着アルミニウム顔料>
本実施形態に使用する蒸着アルミニウム顔料としては、特に制限なく公知の蒸着アルミニウム顔料を使用することができる。蒸着アルミニウム顔料の添加量としては、第1の樹脂層全体に対し40質量%以上90重量%であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。蒸着アルミニウム顔料の添加量が40質量%未満では、積層体の延伸により隠ぺい性が低下するおそれがある。また、蒸着アルミニウム顔料の添加量が90質量%を超えると、第1の樹脂層の強度が低下し、破断し易くなるおそれがある。
【0034】
蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)は特に限定されないが、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.1μm以上20μm以下であることがより好ましい。蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)が0.1μm以上50μm以下であれば良好なメタリック調、めっき調の外観が得られる。また、アルミニウム顔料の厚みは0.001μm以上0.05μm以下あることが好ましく、この範囲にある場合も、上述の粒子径による効果と同様に良好なメタリック調、めっき調の外観が得られる。通常、蒸着アルミニウム顔料の粒子径を小さくすると、第1の樹脂層は滑らかな鏡面調の表面となり好ましい結果となるが、蒸着アルミニウム顔料の粒子径を大きくすると、第1の樹脂層の表面はざらついた粒子感が強調されて鏡面調が薄らぐ傾向が強まることになる。
【0035】
なお、蒸着アルミニウム顔料の体積平均粒子径(D50)は、体積累積粒度分布曲線における体積平均粒子径50%での粒子径(μm)を示す。体積平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(機器名:マイクロトラック、マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定することができる。例えば体積平均粒子径(D50)は、縦軸が累積頻度(%)であり、横軸が粒子径(μm)である体積累積粒度分布曲線において、累積度50%の粒子径(μm)を意味する。
【0036】
また、蒸着アルミニウム顔料の平均厚みは、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ずアセトンで希釈した蒸着アルミニウム顔料をガラス基板上に数滴滴下し、自然乾固させる。次に、原子間力顕微鏡(商品名:「Nanopics 1000」、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いてこのガラス基板上に強制配向させた蒸着アルミニウム顔料を20点抽出し、タッピングモードによってそれぞれの厚みを測定する。そして、測定した20点の厚みのうち、上位値および下位値の各3点の厚みを除外した残りの14点の厚みの平均値を求め、その平均値を平均厚みとした。
【0037】
<第2の樹脂層>
本実施形態における第2の樹脂層は、粘着性を有する樹脂からなる樹脂層である。粘着性を有する樹脂であれば、特に制限なく公知のものを使用することができる。中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂がグラビア版等を用いた既知の方法で塗布するのに適しており、好適に使用することができる。
【0038】
第2の樹脂層の厚みとしては、5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがより好ましく、15μm以上30μm以下であることが特に好ましい。厚みが上述のよう範囲にあれば、成型後も粘着層の厚みと粘着性が保持される。また、第2の樹脂層を形成する方法としては、グラビア版等を用いて塗布する方法が挙げられる。
【0039】
<ハードコート層>
本実施形態のメタリック調積層体は、必要に応じてハードコート層を設けることができる。ハードコート層は表面の傷付き防止の目的から、物品に貼り合わせた際に最外層となるように積層されることが望ましい。そのため、ハードコート層は、透明基材フィルムの第1の樹脂層および第2の樹脂層を有する面とは反対側の面の最外層として形成されることが好ましい。
【0040】
ハードコート層に使用する樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂やこれらの混合物が挙げられる。ハードコート層に上述のような樹脂を用いると、透明基材フィルムに追従して容易に成形することができる。
【0041】
ハードコート層の厚みは、3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが特に好ましい。ハードコート層の厚みが1μm未満となると、成形の際に延伸される箇所にひび割れを生じるおそれがあり、ハードコート層の厚みが3μm以上あれば、傷付き防止の効果が十分となる。また、ハードコート層を形成する方法としては、例えばグラビア版等を用いて塗布する方法が挙げられる。
【実施例0042】
<積層体の作製>
[実施例1]
蒸着アルミニウム顔料50g(品名「TS-710PM」;東洋アルミニウム株式会社製、D50:10μm、不揮発分10%、)とウレタン樹脂ワニス5g(品名「ELURメジウム」;東洋インキ株式会社製)と希釈シンナー80g(品名「ELUR溶剤」;東洋インキ株式会社製)をディスパーで、10分間撹拌し、メタリックインキを作製した。
【0043】
次いで、得られたメタリックインキを、厚みが100μm、波長400~800nmにおける可視光透過率95%の透明塩化ビニルフィルム(品名「VSS6702」;住友ベークライト株式会社製)の片面に、バーコーターにて乾燥厚みが1μmとなるように塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥させて第1の樹脂層を形成した。さらに、第1の樹脂層の上にアクリル系粘着剤(品名「BPS5296」;トーヨーケム株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥させて離型フィルムと貼り合わせた後、オーブンで温度40℃の条件下で3日間硬化させて第2の樹脂層を形成した。
そして、第1の樹脂層および第2の樹脂層を形成した透明塩化ビニルフィルムの反対側の面に、アクリル系ハードコート剤(品名「Z292UR」;東洋インキ株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥、室温で3日間硬化させて実施例1の積層体を作製した。
【0044】
[実施例2]
基材フィルムとして、厚みが400μm、波長400~800nmにおける可視光透過率50%の赤色着色透明塩化ビニルフィルム(品名「RM-1600」;森野化工株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件にて、実施例2の積層体を作製した。
【0045】
[実施例3]
基材フィルムとして、厚みが75μm、波長400~800nmにおける可視光透過率50%の赤色着色透明エチレン-アクリル樹脂共重合体フィルム(品名「アクリプレン」(登録商標);三菱ケミカル株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件にて、実施例3の積層体を作製した。
【0046】
[実施例4]
基材フィルムとして、厚みが50μm、波長400~800nmにおける可視光透過率20%の黒色着色透明塩化ビニルフィルム(品名「TM-9000」;森野化工株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件にて、実施例4の積層体を作製した。
【0047】
[比較例1]
基材フィルムとして、厚みが400μm、波長400~800nmにおける可視光透過率50%の赤色着色透明塩化ビニルフィルム(品名「RM-1600」;森野化工株式会社製)の片面に、真空蒸着装置(品名「EX-200」;株式会社ULVAC製)を用いて、厚みが100nmのアルミニウム蒸着膜を形成するように蒸着処理を行った。さらに、アクリル系粘着剤(品名「BPS5296」;トーヨーケム株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥させて離型フィルムと貼り合わせた後、オーブンで温度40℃の条件下で3日間硬化させて比較例1の積層体を作製した。
【0048】
[比較例2]
基材フィルムとして、厚みが100μmの透明ポリ塩化ビニルフィルム(品名「VSS6702」;住友ベークライト株式会社製)の片面に、半透明インキ(品名「ACR192」;東洋インキ株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥させた。半透明インキを塗布したフィルムの400~800nmでの可視光透過率を測定した結果50%であった。半透明インキを塗布した面と反対側の面に実施例1と同じ条件にて第1の樹脂層および第2の樹脂層を形成した。さらに、半透明インキ層の上に、アクリル系ハードコート剤(品名「Z292UR」;東洋インキ株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥、室温で3日間硬化させて比較例2の積層体を作製した。
【0049】
[比較例3]
ボールミル粉砕のアルミニウムフレーク顔料1.25g(品名「MS-650」;東洋アルミニウム株式会社製、D50:10μm、不揮発分40%)とウレタン樹脂ワニス5g(品名「ELURメジウム」;東洋インキ株式会社製)と希釈シンナー80g(品名「ELUR溶剤」;東洋インキ株式会社)をディスパーで、10分間撹拌し、メタリックインキを作製した。
【0050】
次いで、得られたメタリックインキを、厚みが400μm、波長400~800nmにおける可視光透過率50%の赤色着色透明塩化ビニルフィルム(品名「RM-1600」;森野化工株式会社製)の片面に、バーコーターにて乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥させて、第1の樹脂層を形成した。次いで、実施例1と同様にして第2の樹脂層を形成した。さらに、第1の樹脂層、第2の樹脂層と反対面側にアクリル系ハードコート剤(品名「Z292UR」;東洋インキ株式会社製)をバーコーターにて乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、オーブンで温度100℃の条件下で20秒間乾燥、室温で3日間硬化させて比較例3の積層体を作製した。
【0051】
<積層体に用いる基材フィルムの性状>
[可視光線透過率]
各実施例、比較例で使用した基材フィルムの可視光線透過率は、紫外可視分光光度計(品名「V-770」;日本分光株式会社製)を用いて測定した。なお、本願明細書において「可視光線透過率」とは、波長400~800nmの分光透過率の平均値を意味し、その測定波長間隔は1nmである。
【0052】
[伸び率]
各実施例、比較例で使用した基材フィルムの温度70℃および120℃における伸び率は、東洋精機製作所製の品名「STROGRAPH VES5D」を用いて、JIS L1013:2010の「8.5章 引張強さ及び伸び率」により、試料長50mm、引張速度300mm/分の条件で1水準につき3回測定を行い、その算術平均値を求め伸び率(%)とした。
【0053】
各実施例、比較例で使用した基材フィルムについて、可視光線透過率および伸び率を測定した結果を表1に示す。
【表1】
【0054】
<積層体の評価>
[めっき調の評価]
実施例1~4および比較例1~2の各積層体を、布施真空株式会社製の品名「BVF-0710-PWB」を用いて、試料長250mm、幅180mmの矩形サンプルを、温度70℃の条件下で伸び率300%になるまで引き伸ばすことにより、積層体表面のめっき調の光沢の有無を目視により観察し、以下の基準により評価した。
「○」・・・めっき調あり。積層体の表面が全面的に滑らかな鋭いメタル調の光沢を放っている。
「×」・・・めっき調なし。鈍い光沢である。
【0055】
[鮮鋭性評価]
上記の引き伸ばされた実施例1~4および比較例1~2の各積層体表面の目視により鮮鋭性を観察し、以下の基準により評価した。
「○」・・・鮮鋭度が高く、反射像の輪郭(境界)が明瞭な線として認識できる。
「×」・・・反射像の輪郭(境界)が途切れる、または凹凸状に見える。
【0056】
各積層体について「めっき調の評価」および「鮮鋭性評価」を行った結果、めっき調あり「○」および鮮鋭性あり「○」と評価された実施例2のメタリック調積層体1の写真を図1に示し、その比較として、めっき調あり「○」だが鮮鋭性なし「×」と評価された比較例1の積層体2の写真を図2に示す。なお、図1および2において、定規は積層体1および2のサイズの指標として一緒に撮影されている。
【0057】
[ひび割れ評価]
実施例1~4および比較例1~2の各積層体を、温度70℃の条件下で伸び率が300%になるまで引き伸ばすことにより、積層体中のひび割れの有無を500倍の顕微鏡写真により観察し、以下の基準により評価した。
「○」・・・良好。積層体の伸び率が300%に至るまで、500倍の顕微鏡写真において、太さ、長さが不均一であって積層体の表面に偏在しているメタル調の光沢を放たないひび割れを確認することができない。
「×」・・・不良。積層体の伸び率が300%に至るまでに、500倍の顕微鏡写真において、太さ、長さが不均一であって積層体の表面に偏在しているメタル調の光沢を放たないひび割れを確認することができる。
【0058】
各積層体について「ひび割れ評価」を行った結果、良好「○」と評価された実施例2のメタリック調積層体1の500倍の顕微鏡写真を図3に示し、その比較として、不良「×」と評価された比較例1の積層体2の500倍の顕微鏡写真を図4に示す。
【0059】
[総合評価]
実施例1~4および比較例1~2の各積層体の上記「めっき調の評価」、「鮮鋭性評価」および「ひび割れ評価」に基づき、以下の基準により評価した。
「○」・・・「めっき調の評価」、「鮮鋭性評価」および「ひび割れ評価」のいずれの評価も「○」である。
「×」・・・「めっき調の評価」、「鮮鋭性評価」および「ひび割れ評価」のうち、少なくともいずれか1つの評価が「×」である。
【0060】
実施例1~4および比較例1~2の各積層体について、「めっき調の評価」、「鮮鋭性評価」、「ひび割れ評価」および「総合評価」を行った結果を表2に示す。
【表2】
【0061】
<考察>
表2の「めっき調の評価」、「鮮鋭性評価」および図1に示される実施例2のメタリック調積層体1の写真と図2に示される比較例1の積層体2の写真との比較により、実施例1~4のメタリック調積層体は、大きく延伸しても滑らかなメタル調の光沢を放っており、且つ鮮鋭度が高く、反射像の輪郭(境界)が明瞭な優れためっき調および鮮鋭性を有していることが判った。
【0062】
すわなち、図1に示されように、例えば実施例2のメタリック調積層体1は、積層体1の表面が滑らかな鋭いメタル調の光沢を放っており、鮮鋭度が高く、反射像の輪郭(境界)11を明瞭な線として認識することができる。一方、これに対して比較例1の積層体2は、図2に示されように、鋭い光沢を有するものの、積層体2の表面がざらついた凹凸のあるように見える。これはめっき調の意匠性を付与するアルミニウム蒸着層に、図4で示されるような、10μmを超える幅のひび割れが多く存在するためである。このひび割れた箇所では光を反射しないため、反射像の輪郭(境界)21が途切れ、凹凸状に認識される。このため、実施例2のメタリック調積層体1および同様の光沢を有する実施例1,3,4のメタリック調積層体はめっき調あり、輪郭(境界)が明瞭であると評価されるのに対して、比較例1の積層体2および輪郭(境界)が明瞭でなく、鋭度の低い光沢しか放つことができない比較例2~4の積層体はメタル調、めっき調なしと評価される。
【0063】
また、表2の「ひび割れ評価」、および図3に示される実施例2のメタリック調積層体1の500倍の顕微鏡写真と図4に示される比較例1の積層体2の500倍の顕微鏡写真との比較により、実施例1~4のメタリック調積層体は、大きく延伸してもひび割れ等の欠陥を生じることがなく一様な金属光沢を放つことができることが判った。
【0064】
すわなち、図3に示されように、例えば実施例2のメタリック調積層体1は、積層体1の伸び率が300%に至るまで、500倍の顕微鏡写真において、積層体1の表面に一様に分布している微細な隙間10を確認することができるのみであり、太さ、長さが不均一であって積層体1の表面に偏在しているメタル調の光沢を放たないひび割れを確認することができない。一方、これに対して比較例1の積層体2は、図4に示されように、積層体2の伸び率が300%に至るまでに、500倍の顕微鏡写真において、太さ、長さが不均一であって積層体2の表面に偏在しているメタル調の光沢を放たないひび割れ20を確認することができる。このため、実施例2のメタリック調積層体1および同様の表面性状を有する実施例1,3,4のメタリック調積層体はメタル調、ひび割れ評価が良好(ひび割れなし)と評価されるのに対して、比較例1の積層体2および同様の表面性状を有する比較例2~4の積層体はひび割れ評価が不良(ひび割れあり)と評価される。
【0065】
また、実施例1~4のメタリック調積層体と比較例2の積層体との比較により、基材フィルムとして、透光性インキを塗布したフィルムを用いるのでなく、着色透明フィルムを用いた方が、鮮鋭度の高いめっき調の外観を得られることが判った。この理由は、インキの塗布層に比べてフィルム層は厚くできるので、顔料または染料の濃度を低くしたり、透明性の高い顔料または染料を使用しても高い彩度が得られるためと推測される。
【0066】
以上の結果、実施例1~4のメタリック調積層体は、高い伸び率が与えられてもひび割れ等の欠陥を生じることがない、高い展延性、高い光輝性、高いフリップフロップ性を有していることが判った。また、実施例1~4のメタリック調積層体は、上述したように高い加工性、高い意匠性を有しているので、実施例1~4のメタリック調積層体を用いて成形基材を加飾しても、ひび割れ等の欠陥がない、意匠性に優れた加飾成形体を得られることが判った。
【符号の説明】
【0067】
1・・・・メタリック調積層体
10・・・微細な間隙
11・・・輪郭(境界)
2・・・・積層体
20・・・ひび割れ
21・・・輪郭(境界)

図1
図2
図3
図4