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特開2023-23366電子連動装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023366
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電子連動装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 19/06 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B61L19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128826
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】317005022
【氏名又は名称】独立行政法人自動車技術総合機構
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】森 崇
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智紀
(57)【要約】
【課題】多くの駅の連動機能を集約して処理できるようにする。
【解決手段】電子連動装置1は、信号機21及び転てつ機22並びに列車位置検知装置23を含む複数の現場機器2と接続される。電子連動装置1は、演算処理を行う連動処理部3を備える。連動処理部3は、順序論理部32を有する。順序論理部32は、進路鎖錠の処理を実行する。順序論理部32は、複数の比較関数Fと、複数の成立条件Cと、内部状態変数qと、内部状態関数Fとを有する。順序論理部32は、入力変数xが入力されて、入力変数x及び内部状態変数qが成立条件Cに合致するか否かを各比較関数Fで判別して、合致するとき、その成立条件Cに対応する出力変数zを出力する処理を周期的に繰り返す。内部状態関数Fは、入力変数x及び出力変数zが入力されて、次の周期の内部状態変数qを出力する。順序論理部32は、各周期内の処理において複数の比較関数Fを並列に演算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機及び転てつ機並びに列車位置検知装置を含む複数の現場機器と接続される電子連動装置であって、
演算処理を行う連動処理部と、
前記連動処理部と現場機器とを接続するインターフェースとを備え、
前記連動処理部は、進路鎖錠の処理を実行する順序論理部を有し、
前記順序論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件と、内部状態変数と、内部状態関数とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数及び内部状態変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力する処理を周期的に繰り返し、
前記内部状態関数は、前記入力変数及び出力変数が入力されて、次の周期の内部状態変数を出力し、
前記入力変数、内部状態変数、及び成立条件は、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルであり、
進路鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態及び列車位置を表すタプルであり、
内部状態変数は、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルであり、
成立条件は、進路鎖錠の条件を表すタプルであり、
出力変数は、転てつ機の進路鎖錠の状態を表し、
前記内部状態関数は、入力変数における列車位置を内部状態変数における列車位置に代入し、出力変数における転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数における進路鎖錠の状態に代入し、
複数の前記比較関数は、同一の関数であり、
前記順序論理部は、各周期内の処理において複数の前記比較関数を並列に演算することを特徴とする電子連動装置。
【請求項2】
前記順序論理部は、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有し、
接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数は、列車位置及び信号機の現示を表すタプルであり、
内部状態変数は、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルであり、
成立条件は、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルであり、
出力変数は、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表し、
前記内部状態関数は、出力変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を内部状態変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数の時素を1周期減算した値にすることを特徴とする請求項1に記載の電子連動装置。
【請求項3】
前記連動処理部は、信号制御及びてっ査鎖錠の処理を実行する組み合わせ論理部をさらに有し、
前記組み合わせ論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件とを有し、入力変数が入力されて、前期入力変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その判別結果を出力変数として出力し、
信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルであり、
成立条件は、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルであり、
出力変数は、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表し、
複数の前記比較関数は、同一の関数であり、
前記組み合わせ論理部は、複数の前記比較関数を並列に演算することを特徴とする請求項2に記載の電子連動装置。
【請求項4】
前記連動処理部は、複数の前記出力変数が入力される後処理部を有し、
前記後処理部は、複数の前記出力変数内の転てつ機の鎖錠の状態から各転てつ機ごとに論理和を作って、各転てつ機の鎖錠の有無として出力し、
前記論理和の演算において、転てつ機が鎖錠される側が論理変数の1とされることを特徴とする請求項3に記載の電子連動装置。
【請求項5】
前記連動処理部は、CPU及びGPUを有し、
前記GPUは、複数のコアを有し、
前記GPUのコアの各々が、前記比較関数の各々を並列に演算することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子連動装置。
【請求項6】
信号機及び転てつ機並びに列車位置検知装置を含む複数の現場機器に接続されるコンピュータに電子連動装置の演算処理を行わせるコンピュータプログラムであって、
進路鎖錠の処理をコンピュータに実行させる順序論理部を有し、
前記順序論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件と、内部状態変数と、内部状態関数とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数及び内部状態変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力する処理を周期的に繰り返し、
前記内部状態関数は、前記入力変数及び出力変数が入力されて、次の周期の内部状態変数を出力し、
前記入力変数、内部状態変数、及び成立条件は、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルであり、
進路鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態及び列車位置を表すタプルであり、
内部状態変数は、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルであり、
成立条件は、進路鎖錠の条件を表すタプルであり、
出力変数は、転てつ機の進路鎖錠の状態を表し、
前記内部状態関数は、入力変数における列車位置を内部状態変数における列車位置に代入し、出力変数における転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数における進路鎖錠の状態に代入し、
複数の前記比較関数は、同一の関数であり、
前記順序論理部は、各周期内の処理において複数の前記比較関数を並列にコンピュータに演算させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記順序論理部は、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有し、
接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数は、列車位置及び信号機の現示を表すタプルであり、
内部状態変数は、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルであり、
成立条件は、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルであり、
出力変数は、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表し、
前記内部状態関数は、出力変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を内部状態変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数の時素を1周期減算した値にすることを特徴とする請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
信号制御及びてっ査鎖錠の処理をコンピュータに実行させる組み合わせ論理部をさらに有し、
前記組み合わせ論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力し、
信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルであり、
成立条件は、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルであり、
出力変数は、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表し、
複数の前記比較関数は、同一の関数であり、
前記組み合わせ論理部は、複数の前記比較関数を並列にコンピュータに演算させることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
複数の前記出力変数が入力される後処理部を有し、
前記後処理部は、複数の前記出力変数内の転てつ機の鎖錠の状態から転てつ機ごとに論理和を作って、各転てつ機の鎖錠の有無として出力し、
前記論理和の演算において、転てつ機が鎖錠される側が論理変数の1とされることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータは、CPU及びGPUを有し、
前記GPUは、複数のコアを有し、
該コンピュータプログラムは、前記GPUのコアの各々に、前記比較関数の各々を並列に演算させることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道における電子連動装置、及びコンピュータに電子連動装置の演算処理を行わせるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道に関する技術上の基準を定める省令(国土交通省令)に「衝突及び脱線のおそれのある線路の交差又は分岐その他の箇所には、衝突の防止その他列車等の運転の安全を確保することができるよう、進路に支障を及ぼすおそれのある信号相互間及び信号とその進路内の転てつ機相互間その他これに類する相互間を連鎖させる装置を設けなければならない。」と規定されている(第五十六条参照)。その装置が鉄道における連動装置である。連動装置によって、進路の設定→転てつ機の転換→進路の確保→進路の保持→信号機の現示が矛盾無く行われる。日本産業規格によれば、連動装置とは、信号機、転てつ機などの相互の連鎖を行う装置の総称である(非特許文献1の番号5001参照)。連動装置には、継電連動装置や電子連動装置などがある。継電連動装置は、リレー群を用いて連鎖を電気的に行う連動装置である。電子連動装置は、マイクロコンピュータなどを用いて連鎖を行う連動装置である(非特許文献1参照)。
【0003】
連動装置が行う連鎖について、図2に例示する連動図表を参照して説明する。連動図表とは、連動装置の連鎖などの内容を、鉄道信号用文字記号、図記号などを用いて表した図表である(非特許文献1の番号1009参照)。連動図表は、どのような場合に信号機を現示できるか、進路はいつまで確保するかを定義したものであり、連動図といわれる配線略図(図2の上側)と、連動表といわれる動作定義表(図2の下側)から構成される。
【0004】
この例では、連動図には、線路配線と、下り場内信号機「1R」「2R」と、下り出発信号機「3R」「4R」と、転てつ機「11」「51」が記載されている。場内信号機は、停車場に進入する列車に対する信号機である(非特許文献1の番号2011参照)。出発信号機は、停車場から進出する列車に対する信号機である(非特許文献1の番号2012参照)。なお、場内信号機、出発信号機、転てつ機が設けられた駅は、停車場の定義に含まれる。
【0005】
一般的に、装置の常時の状態を定位といい、それ以外(反対)の状態を反位という(非特許文献1の番号1008参照)。転てつ機では、常時開通させておく方向を定位といい、それ以外の開通方向を反位という。連動図の矢羽根が向いている方向を転てつ機の定位、向いていない方向を反位、信号てこで進路設定していない状態を定位、進路設定している状態を反位と定義する。また、操作にかかわらず状態が変わらないように機械的に防護されている状態を鎖錠という。また、連動図表上で丸囲みの文字は、当該装置の反位を示す。
【0006】
連動表の番号欄には、操作できる要素が記載される。この例では、信号機の操作をする「信号てこ」と、転てつ機の操作をする「転てつてこ」が記載されている。連動表の鎖錠欄と、信号制御またはてっ査鎖錠欄は、番号欄の動作が実現できるかを表す。
【0007】
連動表の番号欄における「1R」、「2R」は信号てこであり、「11」、「51」は転てつてこである。
【0008】
例えば、「1R」の信号機の進行を指示する現示によって進入できる進路の設定、すなわち「1R」の進路設定をする場合、転てつ機「51」、「11」が定位鎖錠されており、線路の区間「51T」、「11T」、「1RT」、「BT」に他の列車がいないとき、列車を安全に進入させることができるため、「1R」の信号機に進行を指示する現示を点灯することができる。このような連鎖により、「1R」の進路設定がされる。なお、「BT」は、直接この進路上にないが、側面衝突の可能性があるため、連動表に挿入されている。
【0009】
同様に、「2R」の進路設定をする場合、転てつ機「51」が定位鎖錠、「11」が反位鎖錠されており(丸数字11)、線路の区間「51T」、「11T」、「BT」、「2RT」に他の列車がいないとき、「2R」の信号機に進行を指示する現示を点灯することができる。このような連鎖により、「2R」の進路設定がされる。
【0010】
「1R」の進路設定と同時に「2R」の進路設定をしようとした場合、「11」が反位鎖錠されていないため、「2R」の信号機は停止現示のままとなる。すなわち、「2R」の進路設定をすることができない。このような連鎖により、矛盾した操作が無効にされる。
【0011】
転てつ機「11」を転換したい場合、「11T」に列車がいないこと、かつ「1R」、「2R」により進路設定されていないとき、転てつ機「11」を転換することができる。連動表の「11」の鎖錠欄に「1R」、「2R」は記載されていないが、これは、「1R」、「2R」の鎖錠欄に転てつ機「11」が記載されているので、記載が省略されているからである。
【0012】
同様に、転てつ機「51」を転換したい場合、「51T」に列車がいないこと、かつ「1R」、「2R」により進路設定されていないとき、転てつ機「51」を転換することができる。連動表の「51」の鎖錠欄に「1R」、「2R」は記載されていないが、これは、「1R」、「2R」の鎖錠欄に転てつ機「51」が記載されているので、記載が省略されているからである。
【0013】
連動表の進路鎖錠欄と、接近鎖錠または保留鎖錠欄は、進路に関係する転てつ機を転換できないようにする鎖錠を表す。
【0014】
進路鎖錠欄は、列車が()内の区間を通過するまでは、その区間に存在する転てつ機を鎖錠し続けることを示す。例えば、列車が「1R」の信号機を通過後、「1R」の進路を取り消しても、「51T」を通過し終わるまでは、転てつ機「51」及び「11」を鎖錠し、「11T」を通過し終わるまでは、転てつ機「11」を鎖錠する。
【0015】
接近鎖錠または保留鎖錠欄は、進路を取り消しても、示された区間に列車が在線したときには、()内の指定秒数進路を保持し続けることを示す。進路を取り消しても列車は即座には停止できないからである。
【0016】
従来の電子連動装置は、連動図表に表された連鎖を大きく分けて2つの方式で実現してきた。一つは、連動図の方に着目し、連動図に表された出発点から到着点までの線路要素をチェックし、当該進路に影響のある要素を見出していく方式である。この方式は、出発点から到着点まで通り道を確保していくため「シュプール方式」と呼ばれる。もう一つは、連動表の方を重点的に着目し、連動表に表された連鎖をリレーロジックに変換し、それをデータ化したものを解釈し、実行する「結線データ方式」である。
【0017】
例えば、図2の例において、「1R」の進路は、出発点が「下1T」であり、到達点が「1RT」である。「シュプール方式」では、電子連動装置は、列車の進んでいく順序である「51T」、「11T」、「1RT」、「BT」の各要素を当該列車が占有できるかどうかを順次確認することにより、連動装置の機能を実現する。
【0018】
「結線データ方式」では、リレーロジックを電子連動の汎用ソフトウェアであるインタプリタで逐次解釈することにより、連動装置の機能を実現する。つまり、この方式は、継電連動装置のソフトウェアによる模倣(エミュレーション)である。
【0019】
これら2つの方式は、いずれもシングルスレッドによって連動装置の機能を実現する処理を行っている(順次確認または逐次解釈)。このため、このような処理を一台の計算要素で行う場合、計算量が増えると、処理周期が計算量に比例して長くなる。処理周期が長くなり過ぎると、処理のリアルタイム性が確保できない。
【0020】
従来から、連動装置は、各駅の機器室に設置されている。技術動向に目を向けると、高速な計算装置の実用化、高速大容量通信の発展など、計算資源が必ずしも現地になくてもよい時代になり、連動装置は、各駅の機器室に装置を設置することなく機能を果たすことができる技術要素がそろってきた。超高齢化社会の到来や人口減少に伴い、各鉄道会社の各駅に連動装置を設置するよりも、集中的な保守を行うことができるように装置を集約することが、保守の継続性の視点からも有利である。
【0021】
近年、複数の駅の連動論理処理を行う電子連動装置が提案されている(特許文献1参照)。この電子連動装置は、処理周期内で複数の駅の連動論理の処理を駅ごとに順次処理をしている(特許文献1の明細書段落0009及び図2(B)参照)。このため、駅の数が多くなると、駅の要求処理量が増えるので、電子連動装置の処理能力が不足する(同文献の段落0028参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2021-62852号公報
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】JIS E 3013:2001「鉄道信号保安用語」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、上記問題を解決するものであり、多くの駅の連動機能を集約して処理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の電子連動装置は、信号機及び転てつ機並びに列車位置検知装置を含む複数の現場機器と接続される電子連動装置であって、演算処理を行う連動処理部と、前記連動処理部と現場機器とを接続するインターフェースとを備え、前記連動処理部は、進路鎖錠の処理を実行する順序論理部を有し、前記順序論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件と、内部状態変数と、内部状態関数とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数及び内部状態変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力する処理を周期的に繰り返し、前記内部状態関数は、前記入力変数及び出力変数が入力されて、次の周期の内部状態変数を出力し、前記入力変数、内部状態変数、及び成立条件は、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルであり、進路鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態及び列車位置を表すタプルであり、内部状態変数は、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルであり、成立条件は、進路鎖錠の条件を表すタプルであり、出力変数は、転てつ機の進路鎖錠の状態を表し、前記内部状態関数は、入力変数における列車位置を内部状態変数における列車位置に代入し、出力変数における転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数における進路鎖錠の状態に代入し、複数の前記比較関数は、同一の関数であり、前記順序論理部は、各周期内の処理において複数の前記比較関数を並列に演算することを特徴とする。
【0026】
この電子連動装置において、前記順序論理部は、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有し、接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数は、列車位置及び信号機の現示を表すタプルであり、内部状態変数は、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルであり、成立条件は、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルであり、出力変数は、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表し、前記内部状態関数は、出力変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を内部状態変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数の時素を1周期減算した値にすることが好ましい。
【0027】
この電子連動装置において、前記連動処理部は、信号制御及びてっ査鎖錠の処理を実行する組み合わせ論理部をさらに有し、前記組み合わせ論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件とを有し、入力変数が入力されて、前期入力変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その判別結果を出力変数として出力し、信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルであり、成立条件は、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルであり、出力変数は、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表し、複数の前記比較関数は、同一の関数であり、前記組み合わせ論理部は、複数の前記比較関数を並列に演算することが好ましい。
【0028】
この電子連動装置において、前記連動処理部は、複数の前記出力変数が入力される後処理部を有し、前記後処理部は、複数の前記出力変数内の転てつ機の鎖錠の状態から各転てつ機ごとに論理和を作って、各転てつ機の鎖錠の有無として出力し、前記論理和の演算において、転てつ機が鎖錠される側が論理変数の1とされることが好ましい。
【0029】
この電子連動装置において、前記連動処理部は、CPU及びGPUを有し、前記GPUは、複数のコアを有し、前記GPUのコアの各々が、前記比較関数の各々を並列に演算することが好ましい。
【0030】
本発明のコンピュータプログラムは、信号機及び転てつ機並びに列車位置検知装置を含む複数の現場機器に接続されるコンピュータに電子連動装置の演算処理を行わせるコンピュータプログラムであって、進路鎖錠の処理をコンピュータに実行させる順序論理部を有し、前記順序論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件と、内部状態変数と、内部状態関数とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数及び内部状態変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力する処理を周期的に繰り返し、前記内部状態関数は、前記入力変数及び出力変数が入力されて、次の周期の内部状態変数を出力し、前記入力変数、内部状態変数、及び成立条件は、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルであり、進路鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態及び列車位置を表すタプルであり、内部状態変数は、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルであり、成立条件は、進路鎖錠の条件を表すタプルであり、出力変数は、転てつ機の進路鎖錠の状態を表し、前記内部状態関数は、入力変数における列車位置を内部状態変数における列車位置に代入し、出力変数における転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数における進路鎖錠の状態に代入し、複数の前記比較関数は、同一の関数であり、前記順序論理部は、各周期内の処理において複数の前記比較関数を並列にコンピュータに演算させることを特徴とする。
【0031】
このコンピュータプログラムにおいて、前記順序論理部は、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有し、接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数は、列車位置及び信号機の現示を表すタプルであり、内部状態変数は、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルであり、成立条件は、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルであり、出力変数は、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表し、前記内部状態関数は、出力変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を内部状態変数における進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数の時素を1周期減算した値にすることが好ましい。
【0032】
このコンピュータプログラムは、信号制御及びてっ査鎖錠の処理をコンピュータに実行させる組み合わせ論理部をさらに有し、前記組み合わせ論理部は、複数の比較関数と、複数の成立条件とを有し、入力変数が入力されて、前記入力変数が前記成立条件に合致するか否かを前記各比較関数で判別して、合致するとき、その成立条件に対応する出力変数を出力し、信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数は、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルであり、成立条件は、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルであり、出力変数は、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表し、複数の前記比較関数は、同一の関数であり、前記組み合わせ論理部は、複数の前記比較関数を並列にコンピュータに演算させることが好ましい。
【0033】
このコンピュータプログラムは、複数の前記出力変数が入力される後処理部を有し、前記後処理部は、複数の前記出力変数内の転てつ機の鎖錠の状態から転てつ機ごとに論理和を作って、各転てつ機の鎖錠の有無として出力し、前記論理和の演算において、転てつ機が鎖錠される側が論理変数の1とされることが好ましい。
【0034】
このコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータは、CPU及びGPUを有し、前記GPUは、複数のコアを有し、該コンピュータプログラムは、前記GPUのコアの各々に、前記比較関数の各々を並列に演算させることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の電子連動装置及びコンピュータプログラムによれば、連動処理部は、複数の比較関数を用いて連動の処理をし、その比較関数を並列に演算するので、処理対象の進路数が多くなっても演算時間の増加が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る電子連動装置のブロック構成図。
図2】連動図表の例。
図3】同電子連動装置における連動処理部のブロック構成図。
図4】同連動処理部における組み合わせ論理部の論理モデルを表すブロック図。
図5図2の例における進路鎖錠並びに接近鎖錠及び保留鎖錠の状態遷移図。
図6】同連動処理部における順序論理部の論理モデルを表すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る電子連動装置について図1乃至図6を参照して説明する。図1に示すように、電子連動装置1は、信号機21及び転てつ機22並びに列車位置検知装置23を含む複数の現場機器2と接続される。電子連動装置1は、それら複数の現場機器2の相互の連鎖を行う装置である。連鎖とは、二つ以上の信号機、転てつ機などの相互間で、その取扱いについて一定の順序及び制限をつけることである(非特許文献1の番号5006参照)。
【0038】
本実施形態では、列車位置検知装置23は、軌道回路である。軌道回路とは、列車又は車両を検知するためのレールを用いる電気回路である(非特許文献1の番号7001参照)。なお、列車位置検知装置23は、軌道回路に限られず、例えば、無線による列車検知又は軌道に設けられたループコイルによる車両検知を行う装置等であってもよい。
【0039】
電子連動装置1は、連動処理部3と、インターフェース4とを備える。連動処理部3は、演算処理を行う。連動処理部3は、コンピュータを用いて構成される。インターフェース4は、連動処理部3と現場機器2とを接続する。
【0040】
電子連動装置1は、駅20ごとに設けられたI/O端末5を有する。各I/O端末5は、それが設けられた駅20の現場機器2が接続される。インターフェース4は、連動処理部3とI/O端末5との間のデータ通信を行うためのデータ通信機能を有する。複数の駅20の連動機能を集約する場合、一つの連動処理部3が複数のI/O端末5を介して現場機器2と接続される。
【0041】
連動処理部3は、CPU6及びGPU7を有する。GPU7は、複数のコアを有する。GPU(Graphics Processing Unit)は、CPU(Central Processing Unit)を補助するマイクロプロセッサの一種であり、画像処理を高速に実行する機能を有する。GPUは、CPUのような汎用的な処理には不向きであるが、内部に多数のコア(演算器)を有し、比較的単純な計算を多数のデータに並列に繰り返し適用することに向いている。この特徴を活かして、GPUコンピューティングでは、画像処理以外の処理をGPUに高速に実行させる。連動処理部3は、CPU6及びGPU7のほかに、メモリ(記憶素子又は記憶装置)等を有する。
【0042】
図3に示すように、連動処理部3は、組み合わせ論理部31と、順序論理部32と、後処理部33と、前処理部34とを有する。それらは、CPU6等でプログラムを実行することによって機能する機能部分である。組み合わせ論理部31は、信号制御及びてっ査鎖錠の処理を実行する機能を有する。順序論理部32は、進路鎖錠の処理を実行する機能と、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能とを有する。後処理部33は、制御出力をインターフェース4に出力する。前処理部34は、インターフェース4から現場機器2の情報が入力される。
【0043】
上記のように構成された電子連動装置1における組み合わせ論理部31の動作原理について、モデル(例)を用いて説明する(図2参照)。なお、組み合わせ論理部31による連動処理の対象は、このモデル(図2の連動図表)に限定されない。
【0044】
図2の連動図表を構成する連動表において、番号欄の動作が成立するかどうかは、鎖錠欄の情報と、信号制御またはてっ査鎖錠欄の情報に依存する。その依存関係は、真理値表で表すことができる。
【0045】
【表1】
【0046】
表1は、図2の連動表に基づいた進路「1R」(信号機「1R」の進行を指示する現示によって進入できる進路)の真理値表である。ここで、鎖錠転てつ機の欄において、1は鎖錠されていることを、0は鎖錠されていないことを示す。列車非在線の欄において、1は当該区間に列車が在線していないことを、0は在線または不定を示す。
【0047】
真理値表に表される論理は、AND(論理積)、OR(論理和)、NOT(否定)を組み合わせた論理式で表すことができる。したがって、連動表において、番号欄の動作が成立するかは、鎖錠欄の情報と、信号制御またはてっ査鎖錠欄の情報に基づいて、組み合わせ論理で決定される。
【0048】
真理値表に基づく論理式は、論理関数で表現できる。表1の真理値表より、進路「1R」の論理関数は、数式1のように表現できる。
【0049】
【数1】
【0050】
同様に、進路「2R」の論理関数は、数式2のように表現できる。
【0051】
【数2】
【0052】
なお、論理変数x,…,xの1と0を逆にしても、同じ結果を導く論理関数を作ることができる(ド・モルガンの法則)。
【0053】
進路数が3以上であっても、同様であり、進路の真理値表を作って、その真理値表から論理関数を作ることができる。
【0054】
また、番号欄の転てつ機の転換ができるかについても、連動表に基づいて真理値表を同様に作り、その真理値表からその転てつ機(転てつてこ)の論理関数を作ることができる。
【0055】
このような論理関数は、入力変数と成立条件と比較関数とで表すことができる。
【0056】
例えば、数式1の論理関数では、入力変数xは、次式のような複数のデータ項目を有する。
【0057】
x=(x,x,x,x,x,x,x,x,x
【0058】
成立条件Cは、複数のデータ項目を有し、次式で表される。
【0059】
=(1,0,1,0,1,1,1,1,*)
【0060】
なお、成立条件において、*は、0と1のどちらでもいいことを表す。
【0061】
比較関数F(x,C)は、入力変数xと成立条件Cを比較し、入力変数xと成立条件Cが合致するか否かを判別する。合致するとき、F(x,C)=1であり、合致しないとき、F(x,C)=0である。これは、数式1の論理関数を直接演算するのと同じ結果を与える。
【0062】
同様に、数式2の論理関数では、成立条件Cは、次式で表される。
【0063】
=(1,0,0,1,1,1,1,*,1)
【0064】
比較関数F(x,C)は、入力変数xと成立条件Cを比較し、入力変数xと成立条件Cが合致するか否かを判別する。合致するとき、F(x,C)=1であり、合致しないとき、F(x,C)=0である。これは、数式2の論理関数を直接演算するのと同じ結果を与える。
【0065】
比較関数Fの演算は、時間的な前後関係に依存しないので、複数の比較関数Fの演算を並列処理することができる。
【0066】
比較関数Fは、進路、転てつ機(転てつてこ)にかかわらず同一の関数である。これは、図2で例示される連動表に限定されず、任意の連動表に基づく真理値表に表される論理は、どのような進路であっても同一の比較関数Fで演算されるので、同一の関数を並列処理することに長けるGPUにおいて期待の性能を得ることができる。
【0067】
上述した動作原理に基づき、組み合わせ論理部31の動作について説明する。図4は、組み合わせ論理部31の論理モデルを表す。組み合わせ論理部31は、この論理モデルに従って信号制御及びてっ査鎖錠の処理を実行する。
【0068】
組み合わせ論理部31は、複数の比較関数Fと、複数の成立条件C、C、…、Cとを有する。なお、成立条件C(j=1…m)は、連動処理部3のメモリに予め記憶されている。
【0069】
組み合わせ論理部31は、入力変数xが入力されて、入力変数xが成立条件Cに合致するか否かを各比較関数F(x,C)で判別して、合致するとき(x=C)、その判別結果を出力変数z(j=1…m)として出力する。
【0070】
入力変数x、及び成立条件Cは、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプル(taple)である。日本産業規格JIS X 25024:2018「システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価」には、タプルとは、フィールド又はデータ項目の集合であると記載されている。データ項目の集合は、データ項目が所定の順序で並んだ組で表される。タプルは、配列を扱うことができる。データベースにおけるレコードもタプルである。なお、本願において、タプルは、特定のプログラミング言語のタプルに限定されない。
【0071】
信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数xは、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルである。成立条件Cは、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルである。組み合わせ論理部31は、進路ごと及び転てつてこごとに成立条件Cを有する。出力変数zは、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表す。条件が満たされているとき、出力変数zは1であり、条件が満たされていないとき、出力変数zは0である。
【0072】
複数の比較関数Fは、同一の関数である。なお、各比較関数F(x,C)(j=1…m)に入力される入力変数xは同一とは限らず、成立条件Cは同一ではない。
【0073】
組み合わせ論理部31は、複数の比較関数Fを並列に演算する。
【0074】
本実施形態では、GPU7のコアの各々が、比較関数Fの各々を並列に演算する。
【0075】
このように、連動処理部3の組み合わせ論理部31は、複数の比較関数Fを並列に演算するので、処理対象の進路数が多くなっても演算時間の増加が抑えられる。
【0076】
また、連動処理部においてGPU7のコアの各々が、比較関数Fの各々を並列に演算するので、複数の進路の比較関数Fを高速に演算でき、処理対象の進路数が増えても演算時間の増加がいっそう抑えられる。
【0077】
次に、電子連動装置1における順序論理部32について説明する(図3参照)。
【0078】
例えば、図2の連動図表において、信号機「1R」の進路上に「51」、「11」の順に転てつ機が存在する。図5は、その進路の進路鎖錠並びに接近鎖錠及び保留鎖錠の状態遷移図の例を示す。なお、進路上の転てつ機の数が3以上の場合、状態遷移図における状態の数を増やせばよい。
【0079】
このような状態の遷移は、順序論理が適用され、単なる組み合わせ論理は適用できないため、入力変数と成立条件と比較関数だけでは表すことができない。本願の発明者は、転てつ機等から成る系の内部状態に着目することにより、進路鎖錠並びに接近鎖錠及び保留鎖錠の処理に比較関数を用いる電子連動装置1を発明するに至った。比較関数を用いることにより、進路鎖錠並びに接近鎖錠及び保留鎖錠の並列処理を可能とした。
【0080】
図6は、順序論理部32の論理モデルを表す。順序論理部32は、この論理モデルに従って進路鎖錠並びに接近鎖錠及び保留鎖錠の処理を実行する。
【0081】
順序論理部32は、複数の比較関数Fと、複数の成立条件C(k=1…n)と、内部状態変数qと、内部状態関数Fとを有する。成立条件C(k=1…n)は、連動処理部3のメモリに予め記憶されている。なお、順序論理部32の成立条件Cは、組み合わせ論理部の成立条件Cとは別の条件である。順序論理部32は、複数の内部状態変数q及び複数の内部状態関数Fを有してもよい。
【0082】
順序論理部32は、入力変数xが入力されて、入力変数x及び内部状態変数qが成立条件Cに合致するか否かを各比較関数F(x,C,q)で判別して、合致するとき、その成立条件Cに対応する出力変数zを出力する処理を周期的に繰り返す。
【0083】
内部状態関数Fは、入力変数x及び出力変数zが入力されて、次の周期の内部状態変数qを出力する。
【0084】
すなわち、順序論理部32の処理において、内部状態関数Fの出力が比較関数Fに周期的にフィードバックされる。このフィードバックによって、比較関数Fによる比較に内部状態が反映されるので、順序論理の処理が可能になる。
【0085】
入力変数x、内部状態変数q、及び成立条件Cは、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルである。
【0086】
順序論理部32における以上の構成は、進路鎖錠と、接近鎖錠または保留鎖錠に共通である。
【0087】
進路鎖錠の処理において、入力変数xは、進路設定状態及び列車位置を表すタプルである。内部状態変数qは、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルである。Cは、進路鎖錠の条件を表すタプルである。出力変数zは、転てつ機の進路鎖錠の状態を表す。
【0088】
内部状態関数F(x,q,z…z)は、入力変数xにおける列車位置を内部状態変数qにおける列車位置に代入し、出力変数zにおける転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数qにおける進路鎖錠の状態に代入する。
【0089】
順序論理部32は、上述した進路鎖錠の処理を実行する機能に加え、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有する。
【0090】
接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数xは、列車位置及び信号機の現示を表すタプルである。内部状態変数qは、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルである。成立条件C(k=1…n)は、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルである。出力変数zは、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表す。
【0091】
内部状態関数Fは、出力変数zにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を内部状態変数qにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数qの時素を1周期減算した値にする。
【0092】
複数の比較関数Fは、同一の関数である。なお、順序論理部32の比較関数Fは、組み合わせ論理部31の比較関数Fと同一であってもよい。各比較関数Fに入力される入力変数xは同一とは限らず、成立条件Cは同一ではない。
【0093】
順序論理部32は、各周期内の処理において複数の比較関数Fを並列に演算する。
【0094】
順序論理部32による進路鎖錠の連動処理について、図2の連動図表のモデルを用いてさらに詳述する。表2は、図2の連動表における進路鎖錠を表した論理表であり、転てつ機「51」の進路鎖錠について記載している。なお、転てつ機「11」等の進路鎖錠については、この論理表の「…」の列に記載してもよいが、転てつ機「51」と同様に作成されるので、この例では記載を省略している。順序論理部32による連動処理の対象は、このモデル(図2の連動図表)に限定されない。
【0095】
【表2】
【0096】
この論理表において、左欄は入力、中欄は内部状態、右欄は出力を表す。
【0097】
左欄は、区間「51T」の列車在線の有無x、すなわち、列車位置が区間「51T」にあるか否か、及び、進路「1R」又は「2R」の進路設定の有無δ1R or δ2Rを表す。なお、列車位置検知装置23に軌道回路を用いた場合、区間「51T」は、軌道「51T」とも呼ばれる。入力変数xは、次式のデータ項目を少なくとも有するタプルである。
【0098】
x=(x,δ1R or δ2R
【0099】
区間「51T」に列車が在線しているとき、x=1である。区間「51T」に列車が在線していないとき、x=0である。進路「1R」又は「2R」の進路設定がされているとき、δ1R or δ2R=1である。その進路設定がされていないとき、δ1R or δ2R=0である。なお、二値の1と0を、これらの逆に割り当てて論理表を作ってもよい。
【0100】
中欄は、1周期前の区間「51T」の列車在線の有無(x)、及び、1周期前の転てつ機「51」の進路鎖錠「51TRS」の状態(δ51TRS)を表す。このように、この括弧内は、1周期前のものを示している。内部状態変数qは、次式のデータ項目を少なくとも有するタプルである。
【0101】
q=((x),(δ51TRS))
【0102】
右欄は、転てつ機「51」の進路鎖錠「51TRS」の状態δ51TRSを表す。出力変数zは、次式で表される。
【0103】
z=δ51TRS
【0104】
転てつ機「51」を進路鎖錠するとき、δ51TRS=1である。転てつ機「51」を進路鎖錠しないとき、δ51TRS=0である。
【0105】
比較関数F(x,C,q)は、出力zを作るための関数である。
【0106】
成立条件Cは、進路鎖錠の条件を表し、次式のデータ項目を少なくとも比較対象とするタプルである。各成立条件Cは、論理表の各行に対応する。
【0107】
(x,δ1R or δ2R,(x),(δ51TRS))
【0108】
比較関数F(x,C,q)は、入力変数x及び内部状態変数qが成立条件Cに合致するか否かを判別し、合致するとき、順序論理部32は、その成立条件Cに対応する出力変数zを出力する。例えば、論理表のNo.4の行では、成立条件C=(0,0,1,1)に対応する出力変数は、z=δ51TRS=0であり、転てつ機「51」の解錠を表す。
【0109】
内部状態関数Fは、入力変数x及び出力変数zが入力されて、次の周期の内部状態変数qを出力する関数である。内部状態関数Fは、入力変数xにおけるxを内部状態変数における(x)に代入し、出力変数zにおけるδ51TRSを内部状態変数qにおける(δ51TRS)に代入する。例えば、論理表のNo.4の行では、内部状態変数q=(1,1)であり、入力変数xのx=0と、出力変数zのδ51TRS=0をそれぞれ、内部状態変数qに代入し、q=(0,0)となるので、論理表のNo.1の行に遷移する。
【0110】
列車が指定区間「51T」に進入したか、及びその区間から通過したかについては、入力変数xにおける列車在線の有無xと、内部状態変数qにおける1周期前の列車在線の有無(x)とを、成立条件Cと比較することによって判定している。なお、他の区間の進入及び通過も同様に判定される。
【0111】
この論理表の各行について説明する(表2のNo.1~No.16参照)。データ項目は、入力変数xに2つ、内部状態変数qに2つ、合計4つあり、論理表には2=16の状態が記載されている。
【0112】
No.1は、全く列車がおらずx=0,(x)=0、進路も設定されていない状態であるδ1R or δ2R=0。
【0113】
No.2は、進路が設定されていないのにδ1R or δ2R=0、進路鎖錠が落ちている状態である(δ51TRS)=1。これは、電子連動装置1の故障が検知された状態であり、安全側に遷移するδ51TRS=1。
【0114】
No.3は、当該進路「1R」又は「2R」と関係なく列車が在線していた状態である。
【0115】
No.4は、列車が区間「51T」を抜け、進路鎖錠を解錠してもよい状態である。
【0116】
No.5は、進路設定直後で、進路鎖錠の鎖錠を始める状態である。
【0117】
No.6は、進路が設定され、まだ列車が信号機を通過していない状態である。
【0118】
No.7は、進路を設定し続けているにもかかわらず、列車が区間「51T」を抜けたことにより進路鎖錠が解錠された状態である。これは、危険側故障のため安全側に遷移するδ51TRS=1。
【0119】
No.8は、列車が区間「51T」を抜けたが、継続して進路設定を行っている状態である。
【0120】
No.9は、進路と関係ない列車が区間「51T」に入ってきた状態である。
【0121】
No.10は、進路を取り消したが、列車が止まりきれず信号機の内方に進入を開始した状態である。
【0122】
No.11は、進路と関係ない列車が区間「51T」に列車が在線している状態である。
【0123】
No.12は、進路を定位にし、区間「51T」に列車が在線している状態である。
【0124】
No.13は、進路を設定しているにもかかわらず進路鎖錠されていないまま列車が区間「51T」に進入した状態である。これは、危険側故障のため安全側に遷移する。
【0125】
No.14は、進路を設定したまま列車が区間「51T」に進入した状態である。
【0126】
No.15は、進路を設定しているにもかかわらず進路鎖錠されていないまま列車が区間「51T」に在線中の状態である。これは、危険側故障のため安全側に遷移する。
【0127】
No.16は、進路を設定したまま列車が区間「51T」に在線した状態である。
【0128】
このような論理表の各行に基づいて進路鎖錠の成立条件Cが作成される。
【0129】
次に、順序論理部32による接近鎖錠または保留鎖錠の連動処理について、図2の連動図表のモデルを用いてさらに詳述する。表3は、図2の連動表における接近鎖錠または保留鎖錠を表した論理表であり、進路「1R」の接近鎖錠または保留鎖錠について記載している。なお、進路「2R」等の接近鎖錠または保留鎖錠については、この論理表の「…」の列に記載してもよいが、進路「1R」と同様に作成されるので、この例では記載を省略している。順序論理部32による連動処理の対象は、このモデル(図2の連動図表)に限定されない。
【0130】
【表3】
【0131】
この論理表において、左欄は入力、中欄は内部状態、右欄は出力を表す。
【0132】
左欄は、区間「51T」の列車在線の有無x、すなわち、列車位置が区間「51T」にあるか否か、及び、信号機「1R」の現示F1Rを表す。進路「1R」の進路設定の条件が満たされているとき、信号機「1R」に進行が現示される。信号機「1R」の現示F1Rは、組み合わせ論理部31の出力に含まれている。入力変数xは、次式のデータ項目を少なくとも有するタプルである。
【0133】
x=(x,F1R
【0134】
区間「51T」に列車が在線しているとき、x=1である。区間「51T」に列車が在線していないとき、x=0である。信号機「1R」の現示が進行現示であるとき、F1R=1である。信号機「1R」の現示が停止現示であるとき、F1R=0である。
【0135】
中欄は、1周期前の進路「1R」の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態(δ1R)、及び、1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素(δtml)を表す。内部状態変数qは、次式のデータ項目を少なくとも有するタプルである。
【0136】
q=((δ1R),(δtml))
【0137】
1周期前の進路「1R」の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠が鎖錠ありのとき、(δ1R)=1であり、鎖錠なしのとき、(δ1R)=0である。(δtml)>0のとき、接近鎖錠または保留鎖錠の指定時間(指定秒数)が経過しておらず、(δtml)≦0のとき、指定時間経過したことになる。
【0138】
中欄において、No.5の(δ1R)の*は、1と0のいずれでもよい(DC: Don't Care)。No.5~7の(δtml)の*は、「>0」と「≦0」のいずれでもよい。
【0139】
右欄は、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態δ1R、及び、1周期減算した値の時素δtml=(δtml)-Δを表す。δ1Rは、出力変数zである。δtmlは、内部状態関数Fの出力である。Δは、順序論理部32による周期的な繰り返し処理における1周期にかかる処理時間(処理周期時間)である。内部状態関数は、時素δtmlから処理周期時間Δを減算した値(1周期減算した値)を比較関数Fにフィードバックすることによって(図6参照)、時素δtmlを減算していく。
【0140】
比較関数F(x,C,q)は、出力zを作るための関数である。
【0141】
成立条件Cは、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表し、次式のデータ項目を少なくとも比較対象とするタプルである。各成立条件Cは、論理表の各行に対応する。
【0142】
(x,F1R,(δ1R),(δtml))
【0143】
比較関数F(x,C,q)は、入力変数x及び内部状態変数qが成立条件Cに合致するか否かを判別し、合致するとき、順序論理部32は、その成立条件Cに対応する出力変数z=δ1Rを出力する。
【0144】
例えば、No.1の行では、(x,F1R,(δ1R),(δtml))がC=(0,0,1,>0)に合致するとき、出力z=δ1R=1を出力する。すなわし、進路「1R」の転てつ機は鎖錠される。
【0145】
No.3及びNo.8の行は、本来あり得ないが、安全側遷移とするため、接近鎖錠δ1Rは設定する。
【0146】
内部状態関数Fは、入力変数x及び出力変数zが入力されて、次の周期の内部状態変数qを出力する関数である。内部状態関数Fは、出力変数zにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態δ1Rを内部状態変数qにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態(δ1R)に代入し、内部状態変数qの時素(δtml)を1周期減算した値δtml=(δtml)-Δにする。
【0147】
連動処理部3の後処理部33は、組み合わせ論理部31と順序論理部32の複数の出力変数zが入力される(図3参照)。後処理部33は、複数の出力変数z内の転てつ機22の鎖錠の状態から各転てつ機22ごとに論理和を作って、各転てつ機22の鎖錠の有無として出力する。この論理和の演算において、安全側、すなわち転てつ機22が鎖錠される側が論理変数(1又は0の二値)の1とされる。
【0148】
本実施形態では、連動処理部3の前処理部34は、インターフェース4から連動処理部3に入力される現場機器2の状態の情報を組み合わせ論理部31及び順序論理部32の入力変数xに割り当てる。
【0149】
以上、本実施形態に係る電子連動装置1によれば、連動処理部3は、複数の比較関数Fを用いて連動の処理をし、その比較関数Fを並列に演算するので、処理対象の進路数が多くなっても演算時間の増加が抑えられる。
【0150】
また、連動処理部3においてGPU7のコアの各々が、比較関数Fの各々を並列に演算するので、複数の進路の比較関数Fを高速に演算でき、処理対象の進路数が増えても演算時間の増加がいっそう抑えられる。
【0151】
連動処理部3は、コンピュータを用いて構成されることから、連動処理部3による上述した連動機能は、コンピュータにコンピュータプログラムを実行させることによって実現される。
【0152】
このコンピュータプログラムは、信号機21及び転てつ機22並びに列車位置検知装置23を含む複数の現場機器2に接続されるコンピュータに電子連動装置1の演算処理を行わせるものである(図1参照)。このコンピュータプログラムは、進路鎖錠の処理をコンピュータに実行させる順序論理部32を有する(図3参照)。順序論理部32は、複数の比較関数Fと、複数の成立条件Cと、内部状態変数qと、内部状態関数Fとを有する(図6参照)。順序論理部32は、入力変数xが入力されて、入力変数x及び内部状態変数qが成立条件Cに合致するか否かを各比較関数F(x,C,q)で判別して、合致するとき、その成立条件Cに対応する出力変数zを出力する処理を周期的に繰り返す。内部状態関数F(x,q,z)は、入力変数x及び出力変数zが入力されて、次の周期の内部状態変数qを出力する。入力変数x、内部状態変数q、及び成立条件Cは、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルである。進路鎖錠の処理において、入力変数xは、進路設定状態及び列車位置を表すタプルである。内部状態変数qは、1周期前の列車位置、及び1周期前の転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルである。成立条件Cは、進路鎖錠の条件を表すタプルである。出力変数zは、転てつ機の進路鎖錠の状態を表すタプルである。内部状態関数Fは、入力変数xにおける列車位置を内部状態変数qにおける列車位置に代入し、出力変数zにおける転てつ機の進路鎖錠の状態を内部状態変数qにおける進路鎖錠の状態に代入する。複数の比較関数Fは、同一の関数である。順序論理部32は、各周期内の処理において複数の比較関数Fを並列にコンピュータに演算させる。
【0153】
このコンピュータプログラムは、順序論理部32は、接近鎖錠または保留鎖錠の処理を実行する機能をさらに有する。接近鎖錠または保留鎖錠の処理において、入力変数xは、列車位置及び信号機の現示を表すタプルである。内部状態変数qは、1周期前の進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態、及び1周期前の接近鎖錠または保留鎖錠の時素を表すタプルである。成立条件Cは、接近鎖錠または保留鎖錠の条件を表すタプルである。出力変数zは、進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を表す。内部状態関数Fは、出力変数zにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態を、内部状態変数qにおける進路の転てつ機の接近鎖錠または保留鎖錠の状態に代入し、内部状態変数qの時素を1周期減算した値にする。
【0154】
このコンピュータプログラムは、信号制御及びてっ査鎖錠の処理をコンピュータに実行させる組み合わせ論理部31をさらに有する(図3参照)。組み合わせ論理部31は、複数の比較関数Fと、複数の成立条件Cとを有する(図4参照)。組み合わせ論理部31は、入力変数xが入力されて、入力変数xが成立条件Cに合致するか否かを各比較関数Fで判別して、合致するとき、その成立条件Cに対応する出力変数zを出力する。入力変数x、及び成立条件Cは、それぞれ、1つ以上のデータ項目が所定の順序で並んだ組であるタプルである。信号制御及びてっ査鎖錠の処理において、入力変数xは、進路設定状態又は転てつ機操作状態並びに列車在線位置を表すタプルである。成立条件Cは、信号制御及びてっ査鎖錠に定められた条件を表すタプルである。出力変数zは、進路設定又は転てつ機操作の条件が満たされているか否かを表す。複数の比較関数Fは、同一の関数である。組み合わせ論理部31は、複数の比較関数Fを並列にコンピュータに演算させる。
【0155】
このコンピュータプログラムは、複数の出力変数zが入力される後処理部33を有する(図3参照)。後処理部33は、複数の出力変数z内の転てつ機22の鎖錠の状態から転てつ機22ごとに論理和を作って、各転てつ機22の鎖錠の有無として出力する。この論理和の演算において、転てつ機22が鎖錠される側が論理変数の1とされる。
【0156】
このコンピュータプログラムを実行するコンピュータは、CPU6及びGPU7を有する(図1参照)。そのGPU7は、複数のコアを有し、このコンピュータプログラムは、GPU7のコアの各々に、比較関数Fの各々を並列に演算させる。
【0157】
なお、このコンピュータプログラムを実行するコンピュータは、電子連動装置専用のコンピュータに限定されない。
【0158】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、前処理部34の一部又は全部の機能をインターフェース4に含めてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 電子連動装置
3 連動処理部
31 組み合わせ論理部
32 順序論理部
33 後処理部
4 インターフェース
5 I/O端末
6 CPU
7 GPU
C 成立条件
比較関数
内部状態関数
q 内部状態変数
x 入力変数
z 出力変数
図1
図2
図3
図4
図5
図6