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特開2023-23369ボンベ、その管理方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023369
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ボンベ、その管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128830
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚哉
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC04
3E172CA13
3E172DA90
3E172KA02
3E172KA30
3E172KA36
(57)【要約】
【課題】ボンベの位置を確実に管理するための技術を提供すること。
【解決手段】ボンベ500は、充填施設300において、ガス(液化ガス)を充填され、車両200に搭載された状態で充填施設300から顧客400まで移送され、そして、顧客400に納品される。顧客400においてボンベ500内のガスが消費されると、ボンベ500は充填施設300に返却される。充填施設300では、ボンベ500にガスが再度充填され、その後、ボンベ500は顧客400へと再度納品される。ボンベ500には、GPSロガーが備えられる。GPSロガーは、情報処理装置100に、ボンベ500の位置情報を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベであって、
タンクと、
前記タンクの外周に形成された繊維強化プラスティック層と、を備え、
前記繊維強化プラスティック層は、前記タンクに巻回された繊維と、前記繊維に含浸された樹脂とを含み、
前記ボンベは、
前記繊維とともに前記タンクに巻回された、前記タンクの位置情報を送信する通信装置をさらに備える、ボンベ。
【請求項2】
前記通信装置は、前記タンクの肩部に配置されている、請求項1に記載のボンベ。
【請求項3】
前記通信装置は、バッテリと、前記バッテリの無線充電用のコイルとを含む、請求項1または請求項2に記載のボンベ。
【請求項4】
前記タンクに収容された液体の残量を計測する計測器をさらに備え、
前記通信装置は、さらに前記計測器の前記残量を送信する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のボンベ。
【請求項5】
前記タンクの固有情報を書き換え可能に格納する記憶装置をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のボンベ。
【請求項6】
コンピュータによって実行される方法であって、
1以上のボンベのそれぞれに取り付けられた通信装置から、当該通信装置が取り付けられたボンベの位置情報を取得するステップと、
前記1以上のボンベのそれぞれの位置の許容範囲を格納するメモリーにアクセスすることにより、取得した前記位置情報が前記許容範囲外にあるか否かを判断するステップと、
前記位置情報が前記許容範囲外にあると判断したことに応じて、警報を出力するステップとを備える、ボンベの管理方法。
【請求項7】
前記通信装置から位置情報を取得する予定時刻が到来したか否かを判断するステップと、
前記予定時刻が到来したと判断したときに前記位置情報を取得していないことに応じて、警報を出力するステップと、をさらに備える、請求項6に記載のボンベ管理方法。
【請求項8】
前記ボンベの位置情報を取得するステップは、前記ボンベの固有情報を取得することを含み、
前記メモリーは、前記1以上のボンベのそれぞれの位置の許容範囲を前記固有情報に関連付けて格納している、請求項6または請求項7に記載のボンベ管理方法。
【請求項9】
前記1以上のボンベのそれぞれに取り付けられた送信部から、当該送信部が取り付けられたボンベに収容された液体の残量を取得するステップと、
前記1以上のボンベのそれぞれに関連付けられた閾値を格納するメモリーにアクセスすることにより、取得した前記残量が前記閾値以下にあるか否かを判断するステップと、
前記残量が前記閾値以下であると判断したことに応じて、前記残量に対応するボンベの交換が必要であることを報知するステップとをさらに備える、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載のボンベ管理方法。
【請求項10】
前記残量が前記閾値以下であると判断したボンベの引き取りのための配送経路を提供するステップをさらに備える、請求項9に記載のボンベ管理方法。
【請求項11】
コンピュータによって実行されることにより、前記コンピュータに、請求項6~請求項10のいずれか1項に記載の方法を実施させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボンベの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガスなどの流体を充填されたボンベは、流体のメーカから客先に出荷され、使用場所(家庭、事業所、工場、あるいは工事現場など)に配送される。ボンベに充填された流体が使用されると、当該ボンベはメーカによって回収され、客先には新たなボンベが客先に出荷される。すなわち、客先では、ボンベが交換される。
【0003】
このようなボンベの管理に関し、従来、種々の技術が開示されている。たとえば、特表2013-520742号公報(特許文献1)は、ボンベ(ガスシリンダ)にマークを付し、当該マークにボンベの識別情報を関連付け、製造工程などにおいてマークを読み取り、読み取ったマークに基づいて各ボンベを識別することにより、ボンベの追跡情報を作成する方法を開示している。
【0004】
また、特開2020-056416号公報(特許文献2)は、現在地を示す信号を送信する送信機を装着されたバルブをボンベに取り付け、当該送信機からの信号を取得するサーバによって、ボンベの位置を管理するシステムを開示している。
【0005】
また、特開2020-159389号公報(特許文献3)は、ユーザに販売するボンベに、ボンベに、測位部を含むボンベ管理装置を、施錠した上で装着し、そして、測位部からの位置情報を利用してボンベの位置を管理する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013-520742号公報
【特許文献2】特開2020-056416号公報
【特許文献3】特開2020-159389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されるように、ボンベの管理に、ボンベに刻印やシールなどとして付されたマークが利用される場合、刻印の劣化やシールの汚れによってマークの読み取りが困難になり、ボンベの追跡が困難になる場合があり得る。一方、特許文献2または特許文献3に記載されるように、ボンベの管理に、ボンベに装着された送信機または測位部が利用される場合、ボンベからバルブや測位部が取り外された場合、ボンベの追跡が困難になる事態が想定される。したがって、確実にボンベを追跡し、これにより、ボンベの位置を確実に管理するための技術が求められている。
【0008】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ボンベの位置を確実に管理するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に従うと、タンクと、タンクの外周に形成された繊維強化プラスティック層と、を備えるボンベが提供される。繊維強化プラスティック層は、タンクに巻回された繊維と、繊維に含浸された樹脂とを含む。ボンベは、繊維とともにタンクに巻回された、タンクの位置情報を送信する通信装置をさらに備える。
【0010】
通信装置は、タンクの肩部に配置されていてもよい。
通信装置は、バッテリと、バッテリの無線充電用のコイルとを含んでいてもよい。
【0011】
ボンベは、タンクに収容された液体の残量を計測する計測器をさらに備えていてもよい。通信装置は、さらに計測器の残量を送信してもよい。
【0012】
ボンベは、タンクの固有情報を書き換え可能に格納する記憶装置をさらに備えていてもよい。
【0013】
本開示の他の局面に従うと、コンピュータによって実行される方法であって、1以上のボンベのそれぞれに取り付けられた通信装置から、当該通信装置が取り付けられたボンベの位置情報を取得するステップと、1以上のボンベのそれぞれの位置の許容範囲を格納するメモリーにアクセスすることにより、取得した位置情報が許容範囲外にあるか否かを判断するステップと、位置情報が許容範囲外にあると判断したことに応じて、警報を出力するステップとを備える、ボンベの管理方法が提供される。
【0014】
ボンベ管理方法は、通信装置から位置情報を取得する予定時刻が到来したか否かを判断するステップと、予定時刻が到来したと判断したときに位置情報を取得していないことに応じて、警報を出力するステップと、をさらに備えていてもよい。
【0015】
ボンベの位置情報を取得するステップは、ボンベの固有情報を取得することを含んでいてもよい。メモリーは、1以上のボンベのそれぞれの位置の許容範囲を固有情報に関連付けて格納していてもよい。
【0016】
ボンベ管理方法は、1以上のボンベのそれぞれに取り付けられた送信部から、当該送信部が取り付けられたボンベに収容された液体の残量を取得するステップと、1以上のボンベのそれぞれに関連付けられた閾値を格納するメモリーにアクセスすることにより、取得した残量が閾値以下にあるか否かを判断するステップと、残量が閾値以下であると判断したことに応じて、残量に対応するボンベの交換が必要であることを報知するステップとをさらに備えていてもよい。
【0017】
残量が閾値以下であると判断したボンベの引き取りのための配送経路を提供するステップをさらに備えていてもよい。
【0018】
本開示のさらに他の局面に従うと、コンピュータによって実行されることにより、コンピュータに、上記ボンベ管理方法を実施させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本開示のある局面によれば、ボンベにおいて、位置情報を送信する通信装置が、強化プラスティック層において繊維とともにタンクに巻回される。これにより、ボンベ表面が汚れても、ボンベからバルブが取り外されても、通信装置は、ボンベから外れることがなく、これにより、ボンベの位置情報を送信できる。したがって、ボンベから離間して設置された情報処理装置によって、ボンベの位置がより確実に管理され得る。
【0020】
本開示の他の局面によれば、ボンベの管理方法において、ボンベが当該ボンベについて設定された許容範囲外に位置したときに警報が出力される。これにより、ボンベの位置がより確実に管理され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ボンベ管理システムの構成を概略的に説明するための図である。
図2】ボンベ500の出荷および返却を管理する方法を概略的に説明するための図である。
図3】ボンベ500の構造を説明するための図である。
図4】ボンベ500における機器の位置の具体例を説明するための図である。
図5】ボンベ500の製造工程の一部を模式的に示す図である。
図6】情報端末250において表示される配送ルートの表示画面の一例を示す図である。
図7】情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図8】情報端末250のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図9】IC(Integrated Circuit)タグリーダ350のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10】GPS(Global Positioning System)ロガー510のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図11】残量計測器530のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図12】GPSロガー510に格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図13】残量計測器530に格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図14】情報処理装置100に基本情報テーブル121として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図15】情報処理装置100にボンベ管理情報122として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図16】情報処理装置100に位置管理情報123として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図17】情報処理装置100に残量管理情報124として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図18】情報処理装置100に顧客管理情報125として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図19図18で示された状態から、1本のボンベの残量が変化した状態を表す図である。
図20】情報処理装置100において作成される配送予定表のデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図21】情報処理装置100において作成される配送ルートのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
図22】ボンベの納品を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。
図23】ボンベの返却を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。
図24】ボンベの位置を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。
図25】ボンベの残量を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。
図26】顧客へのボンベの納品のための配送ルートを作成するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。
図27】配送予定表の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0023】
[ボンベ管理システムの構成]
図1は、ボンベ管理システムの構成を概略的に説明するための図である。図1に示されるボンベ管理システムは、ボンベ500の位置などの情報を管理するためのシステムである。
【0024】
ボンベ500は、充填施設300において、ガス(液化ガス)を充填される。その後、ボンベ500は、充填施設300から出荷され、車両200に搭載された状態で充填施設300から顧客400まで移送され、そして、顧客400に納品される。顧客400においてボンベ500内のガスが消費されると、ボンベ500は充填施設300に返却される。充填施設300では、ボンベ500にガスが再度充填され、その後、ボンベ500は顧客400へと再度納品される。
【0025】
ボンベ管理システムは、ボンベの位置などの情報を管理する情報処理装置100を含む。情報処理装置100は、汎用のコンピュータであってもよく、充填施設300におけるボンベ500に関する情報(ボンベ500へのガスの充填、顧客400に向けた出荷、等)を管理する。情報処理装置100は、たとえば、ボンベ500に充填されたガスを顧客に提供する者(ガスのメーカなど)によって管理される。情報処理装置100は、種々の情報をディスプレイ150に表示してもよい。
【0026】
車両200には、情報端末250が搭載される。情報端末250は、車載の汎用コンピュータであってもよいし、ドライバが携帯するスマートフォン等の情報端末であってもよい。
【0027】
情報処理装置100は、車両200が2以上の顧客400へボンベ500を配送する場合に、配送ルートを作成して情報端末250へ送信してもよい。情報端末250は、送信された配送ルートを表示してもよい。これにより、車両200のドライバーは、表示された配送ルートに従った順序で、2以上の顧客400のそれぞれにボンベ500を配送できる。
【0028】
ボンベ500には、図3等を参照して後述するように、ボンベ500の位置情報を送信する機器、および、ボンベ500におけるガスの残量を管理する機器が埋め込まれていてもよい。ボンベ500は、顧客400に納品された後、当該ボンベ500の位置情報およびガスの残量を情報処理装置100へ発信してもよい。これにより、情報処理装置100は、ボンベ500が顧客400の敷地内に位置する状態でも、ボンベ500の位置情報およびガスの残量を管理し得る。
【0029】
また、情報処理装置100は、ボンベ500の位置情報を利用して当該ボンベ500が顧客400の敷地まで搬送されたことを検出すると、顧客400へのボンベ500の納品書を作成してもよい。
【0030】
図2は、ボンベ500の出荷および返却を管理する方法を概略的に説明するための図である。ボンベ500には、ボンベ500のIDを格納するIC(Integrated Circuit)タグが埋め込まれていてもよい。図2に示されるように、充填施設300には、出荷側ゲートと返却側ゲートのそれぞれに、ICタグリーダ350が設置されていてもよい。
【0031】
各ボンベ500の出荷は以下のように管理され得る。すなわち、車両200が出荷側ゲートを通過すると、車両200に搭載されたボンベ500に埋め込まれたICタグ(後述するICタグ520)がICタグリーダ350に接近し、これにより、ICタグリーダ350はボンベ500のICタグからボンベ500のIDを読み出す。ICタグリーダは、読み出したIDを情報処理装置100へ向けて送信する。情報処理装置100は、受信したIDに対応するボンベ500が出荷されることを認識する。
【0032】
各ボンベ500の返却は以下のように管理され得る。すなわち、ボンベ500を乗せた車両200が返却側ゲートを通過すると、ボンベ500に埋め込まれたICタグがICタグリーダ350に接近し、これにより、ICタグリーダ350はボンベ500のICタグからボンベ500のIDを読み出す。ICタグリーダ350は、読み出したIDを情報処理装置100へ向けて送信する。情報処理装置100は、受信したIDに対応するボンベ500が返却されたことを認識する。
【0033】
[ボンベの構成]
図3図5を参照して、ボンベ500の構成について説明する。図3は、ボンベ500の構造を説明するための図である。
【0034】
図3には、ガス(液化ガス)を収容するタンク501が示されている。タンク501には、図5を参照して後述されるように、その表面にらせん状に繊維(ガラス繊維、カーボン繊維、等)が巻き付けられる。その後、当該繊維に合成樹脂が含浸され、乾燥されることにより、ボンベ500が構成される。すなわち、ボンベ500は、タンク501の表面にFRP(繊維強化プラスティック)層が形成されることによって構成される。
【0035】
ボンベ500は、出荷時には、その上方にバルブ590が装着され、また、搬送等における衝撃の軽減のために、その外周にカバー591が装着される。カバー591は、たとえば合成樹脂で構成される。
【0036】
図4は、ボンベ500における各種の機器の位置の具体例を説明するための図である。図4では、ボンベ500における、肩部500X、胴部500Y、および底部500Zが示されている。胴部500Yはボンベ500の中央に位置し、胴部500Yではボンベ500の径は一定である。肩部500Xは胴部500Yより上方に位置し、肩部500Xではボンベ500の径は上方ほど短くなるように変化する。底部500Zは胴部500Yより下方に位置し、底部500Zの底面は曲面で構成されている。
【0037】
図4に示されるように、肩部500Xには、GPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530が配置されている。複数のボンベ500が隣接して配置された場合、胴部500Yは隣接するボンベ500の胴部500Yに接触し得ても、肩部500Xは、隣接するボンベ500の肩部500Xに接触しない。GPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530は、肩部500Xに配置されることにより、複数のボンベ500が隣接して配置された場合でも、隣のボンベ500との接触におよる破損されることが回避され得る。
【0038】
図5は、ボンベ500の製造工程の一部を模式的に示す図である。図5を参照して、GPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530をボンベ500へ埋め込む手順の一例を説明する。
【0039】
図5に示されるように、タンク501に繊維502が巻き付けられる。このとき、タンク501において肩部500Xに相当する部分にGPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530に配置され、GPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530の上から繊維502が巻き付けられる。その後、繊維502に合成樹脂が含浸され、乾燥される。これにより、ボンベ500のFRP層にGPSロガー510、ICタグ520、および残量計測器530が埋め込まれる。
【0040】
なお、底部500Zには、超音波センサ536が収容されている。超音波センサ536は、図11等を参照して後述されるように、残量計測器530の構成要素である。
【0041】
[配送ルート]
図6は、情報端末250において表示される配送ルートの表示画面の一例を示す図である。表示画面600では、地図の上にアイコン611,612,613,614,620が示されている。アイコン620は、情報端末250が搭載される車両の位置を表す。アイコン611,612,613,614のそれぞれは、ボンベの配達先である4件の顧客のそれぞれの位置を表す。表示画面600では、アイコン611,612,613,614のそれぞれに、それぞれの顧客の名称(CL(1)、CL(2)、CL(3)、CL(4))が付記されている。
【0042】
表示画面600では、ルート610がさらに示されている。ルート610は、情報処理装置100によって作成された配送ルートを表す。図6の例では、ルート610は、アイコン620から、アイコン611、アイコン612、および、アイコン613を順に経由して、アイコン614へと到達するルートを表す。
【0043】
[ハードウェア構成:情報処理装置100]
図7は、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図7を参照して、情報処理装置100は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0044】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0045】
制御装置101は、プログラムを実行することで情報処理装置100の動作を制御する。一実現例では、これらのプログラムは記憶装置120に格納されている。これらのプログラムの少なくとも一つは、外部のサーバに格納されていてもよく、制御装置101は、API(Application Programming Interface)を利用してこれらのプログラムを実行してもよい。
【0046】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。情報処理装置100は、通信インターフェイス104を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。情報処理装置100は、通信インターフェイス104を介してサーバから各種のプログラムをダウンロードできるように構成されていてもよい。
【0047】
表示インターフェイス105には、ディスプレイ150が接続される。表示インターフェイス105は、制御装置101などからの指令に従って、ディスプレイ150に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ150は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。ディスプレイ150は、情報処理装置100と一体的に構成されてもよいし、情報処理装置100とは別に構成されてもよい。
【0048】
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。入力デバイス108は、情報処理装置100と一体的に構成されてもよいし、情報処理装置100とは別に構成されてもよい。
【0049】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、各種のプログラムおよび当該プログラムの実行に利用されるデータを格納する。これらのプログラムおよび/またはデータの格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバ)であってもよい。
【0050】
図7の例では、記憶装置120には、ボンベ管理システムを管理するためのデータとして、基本情報テーブル121、ボンベ管理情報122、位置管理情報123、残量管理情報124、および、顧客管理情報125が格納されている。これらの情報の内容については、図14図18等を参照して後述する。記憶装置120には、さらに、プログラム126、および、プログラムの実行に利用される変数などの各種データが格納されている。
【0051】
[ハードウェア構成:情報端末250]
図8は、情報端末250のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図8を参照して、情報端末250は、制御装置201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス220に接続される。
【0052】
制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0053】
制御装置201は、プログラムを実行することで情報端末250の動作を制御する。一実現例では、これらのプログラムは記憶装置220に格納されている。これらのプログラムの少なくとも一つは、外部のサーバに格納されていてもよく、制御装置201は、APIを利用してこれらのプログラムを実行してもよい。
【0054】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。情報端末250は、通信インターフェイス204を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。情報端末250は、通信インターフェイス204を介してサーバから各種のプログラムをダウンロードできるように構成されていてもよい。
【0055】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御装置201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。
【0056】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、タッチパネル等の、ユーザの操作を受け付けることが可能なその装置である。
【0057】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、各種のプログラムおよび当該プログラムの実行に利用されるデータを格納する。
【0058】
[ハードウェア構成:ICタグリーダ350]
図9は、ICタグリーダ350のハードウェア構成の一例を示す図である。図9には、参考として、ICタグリーダ350の通信相手であるICタグ520がさらに示されている。ICタグ520は、パッシブタグであってもよいし、アクティブタグであってもよいし、セミアクティブタグであってもよい。
【0059】
図9を参照して、ICタグリーダ350は、コントローラ351と、アンテナ352とを含む。ICタグリーダ350において、コントローラ351は、ICタグ520がアンテナ352から予め定められた距離以下の範囲に位置すると、ICタグ520に格納されたボンベ500のIDを読み出す。コントローラ351は、アンテナ352を介して、または、図示せぬICタグリーダ350の通信装置を利用して、読み出したIDを情報処理装置100へ向けて送信する。
【0060】
図9を参照して説明されたような、ICタグリーダ350がICタグ520から取得したIDを情報処理装置100に向けて送信することは、ボンベ管理システムにおいて、ICタグリーダ350の設置箇所を通過するボンベ500のIDを情報処理装置100が取得することの一具体例にすぎない。ボンベ管理システムにおいて、ボンベ500のIDは、ボンベ500本体またはボンベ500に取り付けられた要素からのバーコードの読み取りなど、他の態様で取得されてもよい。
【0061】
[ハードウェア構成:GPSロガー510]
図10は、GPSロガー510のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図10を参照して、GPSロガー510は、制御装置511と、バッテリ510Aと、通信インターフェイス514と、記憶装置515と、GPS部516と、入力インターフェイス517と、表示インターフェイス518とを含む。これらのコンポーネントは、バスに接続される。
【0062】
バッテリ510Aは、GPSロガー510の各要素に電力を供給する。充填施設300には、バッテリ510Aを非接触で充電する充電装置が設けられていてもよい。GPSロガー510には、無線充填用のコイルが設けられていてもよく、バッテリ510Aは、当該コイルを利用して、上記充電装置で充電されてもよい。GPSロガー510は、太陽光パネルを含んでいてもよく、バッテリ510Aは、当該太陽光パネルにおいて生じた起電力によって充電されてもよい。さらに、GPSロガー510において、バッテリ510A以外の各要素(制御装置511等)も太陽光パネルに接続されていてもよく、太陽光パネルにおいて生じた起電力が直接各要素によって消費されてもよい。
【0063】
制御装置511は、少なくとも1つの集積回路(少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせ)によって構成され得る。制御装置511は、プログラムを実行することでGPSロガー510の動作を制御する。これらのプログラムは記憶装置515に格納されていてもよいし、外部のサーバに格納されていてもよい。制御装置511は、APIを利用してこれらのプログラムを実行してもよい。
【0064】
通信インターフェイス514には、LANやアンテナなどが接続される。GPSロガー510は、通信インターフェイス514を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。
【0065】
記憶装置515は、フラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置515は、各種のプログラムおよび当該プログラムの実行に利用されるデータを格納する。
【0066】
GPS部516は、通信インターフェイス514を介して取得したGPS衛星からの信号から、GPSロガー510の位置情報を作成する。
【0067】
入力インターフェイス517には、入力デバイス517Aが接続される。入力デバイス517Aは、タッチパネル等の、ユーザの操作を受け付けることが可能なその装置である。
【0068】
表示インターフェイス518には、ディスプレイ518Aが接続される。表示インターフェイス518は、制御装置511などからの指令に従って、ディスプレイ518Aに対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ518Aは、有機ELディスプレイ等の表示機器である。
【0069】
記憶装置515は、GPSロガー510のIDを格納する。制御装置511は、記憶装置515に格納されるIDと、GPS部516によって作成された位置情報とを、通信インターフェイス514を介して発信する。
【0070】
[ハードウェア構成:残量計測器530]
図11は、残量計測器530のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図11を参照して、残量計測器530は、制御装置531と、バッテリ530Aと、通信インターフェイス534と、記憶装置535と、超音波センサ536と、入力インターフェイス537と、表示インターフェイス538とを含む。これらのコンポーネントは、バスに接続される。
【0071】
バッテリ530Aは、残量計測器530の各要素に電力を供給する。充填施設300には、バッテリ530Aを非接触で充電する充電装置が設けられていてもよい。残量計測器530には、無線充填用のコイルが設けられていてもよく、バッテリ530Aは、当該コイルを利用して、上記充電装置で充電されてもよい。残量計測器530は、太陽光パネルを含んでいてもよく、バッテリ530Aは、当該太陽光パネルにおいて生じた起電力によって充電されてもよい。さらに、残量計測器530において、バッテリ530A以外の各要素(制御装置531等)も太陽光パネルに接続されていてもよく、太陽光パネルにおいて生じた起電力が直接各要素によって消費されてもよい。
【0072】
制御装置531は、少なくとも1つの集積回路(少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせ)によって構成され得る。制御装置531は、プログラムを実行することで残量計測器530の動作を制御する。これらのプログラムは記憶装置535に格納されていてもよいし、外部のサーバに格納されていてもよい。制御装置531は、APIを利用してこれらのプログラムを実行してもよい。
【0073】
通信インターフェイス534には、LANやアンテナなどが接続される。残量計測器530は、通信インターフェイス534を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。
【0074】
記憶装置535は、フラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置535は、各種のプログラムおよび当該プログラムの実行に利用されるデータを格納する。
【0075】
超音波センサ536は、図4を参照して説明されたように、ボンベ500の底部500Zに配置される。より具体的には、超音波センサ536は、ボンベ500内のタンク501の底部に配置される。
【0076】
入力インターフェイス537には、入力デバイス537Aが接続される。入力デバイス537Aは、タッチパネル等の、ユーザの操作を受け付けることが可能なその装置である。
【0077】
表示インターフェイス538には、ディスプレイ538Aが接続される。表示インターフェイス538は、制御装置531などからの指令に従って、ディスプレイ538Aに対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ538Aは、表示機器であり、たとえば有機ELディスプレイによって実現されるがこれに限定されない。
【0078】
超音波センサ536は、タンク501に収容されるガス(液化ガス)に向けて超音波を発信する。制御装置531は、超音波センサ536が超音波を発信してから、超音波センサ536が液化ガスの液面からの反射波の受信するまでの、時間の長さに基づいてガスの残量を導出する。記憶装置535は、残量計測器530のIDを格納する。制御装置531は、記憶装置535に格納されるIDと、上記のように導出された残量とを、通信インターフェイス534を介して発信する。制御装置531は、ディスプレイ538Aに残量を表示してもよい。なお、ディスプレイ538Aに表示される値は、「残量」の値そのものであってもよいし、「残量」の値に応じたピクトグラムなどの画像であってもよいし、「残量」の値および充填質量の値から算出される使用量の値であってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0079】
[データ構成:(GPSロガー)位置情報]
図12は、GPSロガー510に格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。図12に示されるように、GPSロガー510の記憶装置515には、GPSロガー510において検出されたGPSロガー510の位置情報の履歴が格納される。より具体的には、記憶装置515には、GPSロガー510のID(GPS_ID)とともに、検出された位置と、当該位置が検出された時刻とが格納される。
【0080】
図12の例は、GPSロガー510のIDとして「GP(1)」を含み、また、位置と時刻の組合せとして、「PS(1)」と「2020/9/16 10:30」とを含む。PS(1)は、緯度と経度のそれぞれの値の組合せであってもよい。「2020/9/16 10:30」は、2020年9月16日の10時30分を表す。
【0081】
[ICタグ520に格納されるデータ]
ICタグ520には、当該ICタグ520を識別する情報(タグID)が格納される。ICタグリーダ350は、ICタグ520が接近すると、当該ICタグ520に格納されたタグIDを読み出す。
【0082】
[データ構成:(残量計測器)残量情報]
図13は、残量計測器530に格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。図13に示されるように、残量計測器530の記憶装置535には、残量計測器530において検出されたガス(液化ガス)の残量の履歴が格納される。より具体的には、記憶装置535には、残量計測器530のID(計測器ID)とともに、残量が計測された日付と、計測された残量とが格納される。
【0083】
図13の例は、残量計測器530のIDとして「MT(1)」を含み、また、日付と残量の組合せとして、「2020/9/14」と「RQ(11)」とを含む。「RQ(11)」は、ガスの残量(容積等)の具体的な数値であってもよい。一実現例では、残量計測器530では、各日の所定の時刻(たとえば、午後4時)に残量の検出が実行され、そのときに検出された残量が当該日の残量として格納される。なお、残量の検出のタイミングは、1日1回である必要はなく、さらに高い頻度で、またはさらに低い頻度で、検出されてもよい。検出された残量は、検出のたびに記憶装置535に格納されてもよい。
【0084】
[データ構成:(情報処理装置)基本情報テーブル]
図14は、情報処理装置100に基本情報テーブル121として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。基本情報テーブル121は、1本のボンベ500において、ボンベ500と、当該ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510とICタグ520と残量計測器530とを関連付ける。
【0085】
より具体的には、図14に示されるように、基本情報テーブル121は、4個の項目(ボンベID、タグID、GPS_ID、計測器ID)のデータを互いに関連付ける。図14の例では、たとえば、ボンベID「CY(1)」で規定されるボンベ500に、タグID「TG(1)」で規定されるICタグ520、GPS_ID「GP(1)」で規定されるGPSロガー510、および、計測器ID「MT(1)」で規定される残量計測器530が関連付けられている。
【0086】
[データ構成:(情報処理装置)ボンベ管理情報]
図15は、情報処理装置100にボンベ管理情報122として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。ボンベ管理情報122は、各ボンベ500に関する情報を含む。
【0087】
より具体的には、ボンベ管理情報122は、11個の項目(ボンベID、製造日、充填日、ガス種類、充填施設、充填圧力、充填質量、出荷日時/場所、納品日時/場所、回収日時/場所、返却日時/場所)のデータを互いに関連付ける。「出荷」は、顧客への納品に向けてボンベが充填施設から送り出されることを意味してもよい。「納品」は、ボンベが納品先の顧客に受け渡されたことを意味してもよい。「回収」は、ボンベが、返却のために、顧客から受け渡されたことを意味してもよい。「返却」は、ボンベが充填施設に戻されたことを意味してもよい。
【0088】
ボンベ管理情報において、ボンベIDは、各ボンベ500を識別する。製造日は、各ボンベ500が製造された日付を規定する。充填日は、ボンベ500にガスが充填された日を規定する。ガス種類は、ボンベ500に充填されたガスの種類を規定する。充填施設は、ボンベ500にガスが充填された場所(充填施設)を規定する。充填圧力および充填質量のそれぞれは、ボンベ500に充填されたガスの圧力および質量のそれぞれを規定する。
【0089】
ボンベ管理システムでは、新たなボンベ500が導入されると、作業員は、情報処理装置100に、当該ボンベ500のボンベIDおよび製造日を登録する。作業員は、また、ボンベ500にガスが充填されるたびに、充填日、ガス種類、充填施設、充填圧力、および、充填質量を登録する。すなわち、ボンベ管理情報122は、各ボンベ500の「履歴書」のような情報を含む。
【0090】
図15の例では、ボンベID「CY(1)」で規定されるボンベは、2018年12月3日(2018/12/3)に製造されたことが示される。このボンベには、2020年6月29日に「ST(1)」で規定される充填施設で酸素が充填された。このときの充填圧力はP(11)であり、充填質量はM(11)であった。また、このボンベには、2020年8月3日に「ST(1)」で規定される充填施設で酸素が充填された。このときの充填圧力はP(12)であり、充填質量はM(12)であった。さらに、このボンベには、2020年9月1日に「ST(1)」で規定される充填施設で酸素が充填された。このときの充填圧力はP(13)であり、充填質量はM(13)であった。
【0091】
ボンベ管理情報において、出荷日時/場所は、ボンベ500が出荷された日時と場所とを規定する。納品日時/場所、回収日時/場所、および、返却日時/場所のそれぞれは、ボンベ500の、納品、回収、および、返却のそれぞれについての日時と場所を規定する。
【0092】
出荷日時/場所は、ボンベ500が出荷側ゲートのICタグリーダ350を通過したことに応じて登録される。より具体的には、ICタグリーダ350は、タグIDを読み出すと、当該タグIDを情報処理装置100に向けて通知する。情報処理装置100は、出荷側ゲートのICタグリーダ350からタグIDを受信すると、受信した日時と、当該タグIDを送信したICタグリーダ350を特定する出荷場所とを、ボンベ管理情報122に、出荷日時/場所として登録する。
【0093】
納品日時/場所は、出荷されたボンベ500が顧客の受け渡し場所に位置したことに応じて登録される。より具体的には、情報処理装置100は、出荷日時/場所を登録されたボンベ500について、一定時間ごとに、当該ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510から送信される位置情報を、ボンベ500が納品されるべき顧客の受け渡し場所の位置情報と比較する。そして、情報処理装置100は、GPSロガー510からの位置情報がボンベ500が納品されるべき顧客の受け渡し場所に対応すること(一致する、位置情報が受け渡し場所に含まれる、等)を検出すると、そのような位置情報を受信した日時と、受け渡し場所とを、ボンベ管理情報122に、納品日時/場所として登録する。
【0094】
回収日時/場所は、ボンベ500が顧客に納品された後、当該ボンベ500が顧客の受け渡し場所に位置したことに応じて登録される。より具体的には、情報処理装置100は、納品日時/場所を登録されたボンベ500について、一定時間ごとに、当該ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510から送信される位置情報を、ボンベ500が納品された顧客の受け渡し場所の位置情報と比較する。そして、情報処理装置100は、GPSロガー510からの位置情報がボンベ500が納品されるべき顧客の受け渡し場所に対応すること(一致する、位置情報が受け渡し場所に含まれる、等)を検出すると、そのような位置情報を受信した日時と、受け渡し場所とを、ボンベ管理情報122に、納品日時/場所として登録する。
【0095】
返却日時/場所は、ボンベ500が返却側ゲートのICタグリーダ350を通過したことに応じて登録される。情報処理装置100は、返却側ゲートのICタグリーダ350からタグIDを受信すると、受信した日時と、当該タグIDを送信したICタグリーダ350を特定する返却場所とを、ボンベ管理情報122に、返却日時/場所として登録する。
【0096】
たとえば、図15の例は、ボンベID「CY(1)」が、2020年7月1日の14時00分に「ST(1)」で規定される充填施設から出荷され、同日の14時10分に「PL(1)」で規定される顧客に納品され、さらに、2020年7月21日の10時15分に「PL(1)」で規定される顧客から回収され、同日の10時26分に「ST(1)」で規定される充填施設に返却されたことを表す。
【0097】
以上説明された、出荷日時/場所、納品日時/場所、回収日時/場所、および、返却日時/場所のそれぞれの登録の手順は、単なる一例である。これらの情報は、ボンベの出荷、納品、回収、および、返却のそれぞれが他の態様で検出されることによって登録されてもよい。
【0098】
[データ構成:(情報処理装置)位置管理情報]
図16は、情報処理装置100に位置管理情報123として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。位置管理情報123は、各ボンベ500の位置情報を含む。
【0099】
より具体的には、位置管理情報123は、3個の項目(GPS_ID、位置、時刻)のデータを互いに関連付ける。情報処理装置100は、各ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510から位置情報を受信すると、GPSロガー510のID(GPS_ID)と、受信した位置情報と、当該位置情報を受信した時刻とを、位置管理情報123に登録する。一例では、位置管理情報123には、各ボンベ500の最新の位置情報のみが登録される。
【0100】
図16の例は、GPS_ID「GP(1)」から受信した最新の位置情報として、2020年9月16日の11時30分の位置「PS(14)」を含む。
【0101】
[データ構成:(情報処理装置)残量管理情報]
図17は、情報処理装置100に残量管理情報124として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。残量管理情報124は、各ボンベ500の残量を含む。
【0102】
より具体的には、残量管理情報124は、3個の項目(計測器ID、残量、時刻)のデータを互いに関連付ける。情報処理装置100は、各ボンベ500に埋め込まれた残量計測器530から残量を受信すると、ICタグ520のID(計測器ID)と、受信した残量と、当該残量を受信した時刻とを、残量管理情報124に登録する。一例では、残量管理情報124には、各ボンベ500の最新の残量のみが登録される。
【0103】
図17の例は、計測器ID「MT(1)」から受信した最新の残量として、2020年9月15日の16時00分の残量「RQ(12)」を含む。
【0104】
[データ構成:(情報処理装置)顧客管理情報]
図18は、情報処理装置100に顧客管理情報125として格納される情報のデータ構造の一例を模式的に示す図である。顧客管理情報125は、各顧客400へのボンベ500の納品を管理する。
【0105】
より具体的には、顧客管理情報125は、7個の項目(顧客ID、場所、閾値、出荷済ボンベ、交換フラグ、許容範囲、出荷予定ボンベ)のデータを互いに関連付ける。
【0106】
顧客IDは、各顧客400を識別する。場所は、各顧客400について予め定められた受け渡し場所を規定する。閾値は、当該顧客に納品されたボンベ500について、交換のための残量の閾値を表す。出荷済ボンベは、各顧客400に出荷(納品)されているボンベ500のそれぞれを識別する。交換フラグは、出荷(納品)されているボンベ500のそれぞれについて交換が必要であるか否かを表す。交換が必要であれば交換フラグの値はONにセットされ、未だ交換が必要なければ交換フラグの値はOFFにセットされる。
【0107】
許容範囲は、ボンベ500が位置することを許容される範囲を表す。許容範囲は、たとえば、ボンベ500を出荷する者(液化ガスのメーカなど)と顧客との間で取り決められ、作業員によって登録されてもよい。許容範囲は、ボンベ500ごとに設定され得る。たとえば、同じ顧客に納品された10本のボンベのうち、6本は当該顧客の1つの研究所でのみ使用することを許容され、残りの4本は2つの研究所で使用することを許容される場合、上記6本の許容範囲は上記1つの研究所のみに対応する範囲であってもよく、そして、上記4本の許容範囲は上記2つの研究所に対応する範囲であってもよい。
【0108】
出荷予定ボンベは、交換が必要とされたボンベ(交換フラグをONされたボンベ)の代わりに出荷される予定のボンベを識別する。
【0109】
図18の例では、「CL(1)」で識別される顧客に3本のボンベ(CY(11)、CY(12)、CY(13))が出荷(納品)されている。当該顧客では、ボンベ内のガスの残量が「TH1以下」になると、交換が必要であると判断される。上記3本のボンベのいずれについても、交換フラグの値はOFFである。上記3本のボンベに対する許容範囲としてAR(11)で表される領域が規定されている。
【0110】
図19は、図18で示された状態から、1本のボンベの残量が変化した状態を表す図である。図18の「CY(11)」で識別されるボンベの残量がTH1以下となると、顧客管理情報125は、図19に示された状態へと更新される。図19の状態では、「CY(11)」について交換フラグの値がONへと変更されている。また、出荷予定ボンベとして、「CY(15)」で識別されるボンベが登録されている。図19の状態では、「CL(1)」で識別される顧客は、ボンベ「CY(15)」についての「納品されるべき顧客」である。
【0111】
[データ構成:配送予定表]
図20は、情報処理装置100において作成される配送予定表のデータ構造の一例を模式的に示す図である。図20に示されるように、配送予定表は、3個の項目(配送日、顧客、内容)のデータを互いに関連付ける。より具体的には、配送予定表は、1日ごとに、ボンベの配送先である顧客を規定し、さらに、各顧客での作業内容として、引き取るボンベのIDと引き渡すボンベのIDとを規定する。
【0112】
図20の例は、たとえば、2020年10月14日における、4件の顧客(CL(1)、CL(4)、CL(5)、CL(8))での作業を規定する。このうち、CL(1)で識別される顧客に関する作業内容として、CY(11)で識別されるボンベを引き取り、および、CY(15)で識別されるボンベを引き渡しを規定する。
【0113】
[データ構成:配送ルート]
図21は、情報処理装置100において作成される配送ルートのデータ構造の一例を模式的に示す図である。図21に示されるように、配送ルートでは、図20に示された配送予定表に含まれる顧客が、訪問すべき順に並べられている。たとえば、2020年10月14の配送ルートでは、配送予定表において同日の配送先として規定される4件の顧客が、CL(1)、CL(8)、CL(4)、CL(5)の順で並べられている。図21では図示を省略されているが、配送ルートは、地図情報などに基づいて規定された配送の道順をさらに含む。
【0114】
[処理の流れ:納品管理]
図22は、ボンベの納品を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。図22の処理は、たとえば制御装置101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0115】
図22を参照して、ステップS102にて、情報処理装置100は、出荷側ゲートのICタグリーダ350からタグIDを受信したか否かを判断する。情報処理装置100は、タグIDを受信したと判断するまで所定時間ごとにステップS102の制御を繰り返し(ステップS102にてNO)、タグIDを受信したと判断すると(ステップS102にてYES)、ステップS104へ進める。
【0116】
ステップS104にて、情報処理装置100は、基本情報テーブル121を参照して、受信したタグIDをボンベIDに変換する。
【0117】
ステップS106にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122に、ステップS104において取得したボンベIDについて、出荷日時/場所を登録する。これにより、出荷日時として、タグIDを取得した日時が登録され、出荷場所として、タグIDの送信元のICタグリーダ350に関連付けられた充填施設300が登録される。
【0118】
ステップS108にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122において、出荷日時/場所を登録された後、納品日時/場所を登録されていないボンベ500が顧客に対応する場所に位置するか否かを判断する。情報処理装置100は、ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510から受信した位置情報が、当該ボンベ500が納品されるべき顧客について規定された「場所」(図19)に対応する位置を指し示す場合、ボンベ500が顧客に対応する場所に位置すると判断し、そうでなければ、ボンベ500が納品されるべき顧客に対応する場所に位置しないと判断する。
【0119】
情報処理装置100は、ボンベ500が納品されるべき顧客に対応する場所に位置すると判断するまで所定時間ごとにステップS108の制御を繰り返し(ステップS108にてNO)、ボンベ500が納品されるべき顧客に対応する場所に位置すると判断すると(ステップS108にてYES)、ステップS110へ制御を進める。
【0120】
ステップS110にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122に、ステップS108における処理対象のボンベ500について、納品日時/場所を登録する。これにより、納品日時として、ステップS108でのYESの判断の元となった位置情報を情報処理装置100が受信した時刻が登録され、納品場所として、ボンベ500が納品されるべき顧客に関連付けられた場所(たとえば、図18の「場所」)が登録される。
【0121】
ステップS112にて、情報処理装置100は、ステップS110において納品日時/場所を登録したボンベ500について納品書を作成する。
【0122】
ステップS114にて、情報処理装置100は、ステップS112において作成した納品書のデータを顧客に送信する。
【0123】
以上、図22を参照して説明された処理では、情報処理装置100は、ボンベ500の出荷および納品のそれぞれを検出し、それらの日時と場所をボンベ管理情報122に登録する。
【0124】
情報処理装置100は、また、ボンベ500の納品の検出に応じて、当該ボンベ500の納品書を作成し、作成した納品書のデータを顧客へ送信する。これにより、作業員による、顧客に納品書を手渡す作業が省略され得る。なお、情報処理装置100は、所与の条件に応じて、2以上のボンベ500の納品について一括して納品書を作成してもよい。たとえば、ステップS112にて、情報処理装置100は、ステップS110において納品日時/場所を登録したボンベ500について、納品書の作成が可能であることを表すフラグをONにしてもよい。そして、情報処理装置100は、各日の特定の時刻に、顧客ごとに、納品書の作成が可能であることを表すフラグがONにされているボンベについて一括して納品書を作成してもよい。
【0125】
[処理の流れ:返却管理]
図23は、ボンベの返却を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。図23の処理は、たとえば制御装置101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0126】
図23を参照して、ステップS202にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122において納品日時/場所を登録され回収日時/場所を未だ登録されていないボンベ500について、当該ボンベ500がその納品先である顧客に対応する場所に位置するか否かを判断する。情報処理装置100は、たとえば、当該ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510から取得した位置情報と、顧客に対応する場所(図18の「場所」)によって規定される位置情報とを比較し、両者が同一であるか、または、前者が後者に含まれる場合に、上記ボンベ500が上記顧客に対応する場所に位置するとし、そうでなければ、上記ボンベ500が上記顧客に対応する場所には位置しないと判断する。
【0127】
情報処理装置100は、上記ボンベ500が上記顧客に対応する場所に位置すると判断するまで所定時間ごとにステップS202の制御を繰り返し(ステップS202にてNO)、上記ボンベ500が上記顧客に対応する場所に位置すると判断すると(ステップS202にてYES)、ステップS204へ制御を進める。
【0128】
ステップS204にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122において、ステップS202で上記顧客に対応する場所に位置すると判断されたボンベ500について、回収日時/場所を登録する。これにより、回収日時として、ステップS202において顧客に対応する場所であると判断された位置情報を情報処理装置100が受信した時刻が登録される。また、回収場所として、上記顧客に関連付けられた場所(たとえば、図18の「場所」)が登録される。
【0129】
ステップS206にて、情報処理装置100は、ステップS204にて回収日時/場所を登録されたボンベ500について、当該ボンベ500に埋め込まれたICタグのタグIDを返却側ゲートのICタグリーダ350から受信したか否かを判断する。情報処理装置100は、上記ICタグのタグIDを受信したと判断するまで所定時間ごとにステップS206の制御を繰り返し(ステップS206にてNO)、上記ICタグのタグIDを受信したと判断すると(ステップS206にてYES)、ステップS208へ制御を進める。
【0130】
ステップS208にて、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122に、ステップS204にて回収日時/場所を登録されたボンベ500について、返却日時/場所を登録する。これにより、返却日時として、ステップS206において情報処理装置100がタグIDを取得した日時が登録され、出荷場所として、タグIDの送信元のICタグリーダ350に関連付けられた充填施設300が登録される。
【0131】
以上、図23を参照して説明された処理では、情報処理装置100は、ボンベ500の回収および返却のそれぞれを検出し、それらの日時と場所をボンベ管理情報122に登録する。
【0132】
[処理の流れ:位置管理]
図24は、ボンベの位置を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。図24の処理は、たとえば制御装置101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0133】
図24を参照して、ステップS302にて、情報処理装置100は、図24の処理において対象とするボンベIDを設定する。情報処理装置100は、顧客に納品されているボンベ500のそれぞれについて、順に、図25の処理を実行してもよい。すなわち、情報処理装置100は、ステップS402において設定するボンベIDを、納品日時/場所を登録され、回収日時/場所を未だ登録されていないボンベIDの中から、ステップS402の制御を実行するたびに選択して設定してもよい。
【0134】
ステップS304にて、情報処理装置100は、ステップS302において設定されたボンベ500について、位置情報を受信することが予定されているタイミングが到来しているか否かを判断する。
【0135】
ボンベ管理システムでは、各ボンベについて、10分ごと、1時間ごと、等、位置情報を受信することが予定されるタイミングが設定されていてもよい。位置情報を受信することが予定されるタイミングは、ボンベごとに設定されていてもよいし、すべてのボンベについて一律に設定されていてもよい。
【0136】
情報処理装置100は、上記タイミングが到来していると判断すると(ステップS304にてYES)、ステップS306へ制御を進め、そうでなければ(ステップS306にてNO)、ステップS302へ制御を戻す。
【0137】
ステップS306にて、情報処理装置100は、ステップS302において設定されたボンベIDに関連付けられたGPSロガー510からの位置情報を受信したか否かを判断する。情報処理装置100は、当該位置情報を受信したと判断すると(ステップS306にてYES)、ステップS310へ制御を進め、そうでなければ(ステップS306にてNO)、ステップS308へ制御を進める。
【0138】
ステップS308にて、情報処理装置100は、処理対象として設定されているボンベ500の位置情報が受信できないことを報知して、ステップS302へ制御を戻す。報知は、ディスプレイ150における表示であってもよいし、音声の出力であってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0139】
ステップS310にて、情報処理装置100は、処理対象として設定されているボンベ500に関連付けられている許容範囲(図18)を読み出す。
【0140】
ステップS312にて、情報処理装置100は、ステップS306にて受信したと判断した位置情報が、ステップS310にて読み出された許容範囲内にあるか否かを判断する。情報処理装置100は、上記位置情報が上記許容範囲内にあると判断すると(ステップS312にてYES)、ステップS316へ制御を進め、そうでなければ(ステップS312にてNO)、ステップS314へ制御を進める。
【0141】
ステップS314にて、情報処理装置100は、処理対象として設定されているボンベ500が許容されていない場所に位置していることを報知して、ステップS302へ制御を戻す。
【0142】
ステップS316にて、情報処理装置100は、処理対象として設定されているボンベ500について、位置管理情報(図16)を更新して、ステップS302へ制御を戻す。
【0143】
以上、図24を参照して説明された処理では、情報処理装置100は、あるボンベ500について、当該ボンベ500の位置情報を取得すべきタイミングに位置情報を取得できない場合、ステップS308にてそのことを報知する。これにより、作業員は、ボンベ500に埋め込まれたGPSロガー510が位置情報を送信できない状態にあることを認識でき、当該ボンベ500の納品先である顧客に当該ボンベ500の所在の確認等の対応を取ることができる。したがって、ボンベ500の所在が不明になるという局面が発生した後、当該局面が長期間放置され、これによりボンベ500の捜索が困難となる、という事態が生じることが極力回避され得る。
【0144】
また、情報処理装置100は、あるボンベ500が許容されていない場所に位置することが検出された場合、ステップS314にてそのことを報知する。これにより、作業員は、ボンベ500が許容されていない場所に位置することを認識でき、当該ボンベ500の納品先である顧客に当該ボンベ500の位置を許容されている場所に戻すことを要請する等の対応を取ることができる。したがって、ボンベ500が顧客から持ち出されるようとしている局面が発生しても、作業員がいち早く当該局面を打開する対応を取ることができ、これにより、当該局面が長期間放置されてボンベ500が行方不明になるような事態の発生が極力回避され得る。
【0145】
[処理の流れ:残量管理]
図25は、ボンベの残量を管理するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。図25の処理は、たとえば制御装置101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0146】
図25を参照して、ステップS402にて、情報処理装置100は、図25の処理において対象とするボンベIDを設定する。情報処理装置100は、顧客に納品されているボンベ500のそれぞれについて、順に、図25の処理を実行してもよい。すなわち、情報処理装置100は、ステップS402において設定するボンベIDを、納品日時/場所を登録され、回収日時/場所を未だ登録されていないボンベIDの中から、ステップS402の制御を実行するたびに選択して設定してもよい。
【0147】
ステップS404にて、情報処理装置100は、ステップS402において設定されたボンベ500について、残量を受信することが予定されているタイミングが到来しているか否かを判断する。情報処理装置100は、当該タイミングが到来していると判断すると(ステップS404にてYES)、ステップS406へ制御を進め、そうでなければ(ステップS404にてNO)、ステップS402へ制御を戻す。
【0148】
ボンベ管理システムでは、各ボンベについて、1日の所定時刻、1時間ごと、等、残量を受信することが予定されるタイミングが設定されていてもよい。残量を受信することが予定されるタイミングは、ボンベごとに設定されていてもよいし、すべてのボンベについて一律に設定されていてもよい。
【0149】
ステップS406にて、情報処理装置100は、ステップS402において設定されたボンベIDに関連付けられた計測器IDで識別される残量計測器530からの残量を受信したか否かを判断する。情報処理装置100は、当該残量を受信したと判断すると(ステップS406にてYES)、ステップS410へ制御を進め、そうでなければ(ステップS406にてNO)、ステップS408へ制御を進める。
【0150】
ステップS408にて、情報処理装置100は、ステップS402において設定されたボンベIDについて残量が受信できないことを報知する。これにより、作業員は、処理対象のボンベ500について、ガスの残量を取得できないことを認識することができ、当該ボンベ500の交換の要否を積極的に顧客に問合せるなどのサービスを提供することができる。その後、情報処理装置100は、ステップS402へ制御を戻す。
【0151】
ステップS410にて、情報処理装置100は、ステップS406にて受信したと判断された残量が閾値(図18)以下であるか否かを判断する。情報処理装置100は、当該残量が閾値以下であると判断すると(ステップS410にてYES)、ステップS414へ制御を進め、そうでなければ(ステップS410にてNO)、ステップS412へ制御を進める。
【0152】
ステップS412にて、情報処理装置100は、残量管理情報124において、処理対象のボンベIDに対応する計測器IDの残量を受信した残量へと更新し、さらに、ステップS406にて残量を受信したと判断した時刻を更新後の残量に対応する時刻として登録して、ステップS402へ制御を戻す。
【0153】
ステップS414にて、情報処理装置100は、顧客管理情報125において、処理対象のボンベIDの交換フラグの値をOFFからONへ変更する。さらに、情報処理装置100は、処理対象のボンベIDのボンベ500と交換して顧客に納品するボンベのボンベIDを、出荷予定ボンベ(図19)として登録してもよい。たとえば、情報処理装置100は、ボンベ管理情報122において、充填が完了された後、出荷日時/場所を登録されていないボンベIDであって、処理対象のボンベIDが充填されていたのと同じ種類のガスを充填されているボンベのボンベIDから、出荷予定ボンベとして登録するボンベIDを選択する。
【0154】
ステップS416にて、情報処理装置100は、残量管理情報124において、処理対象のボンベIDに対応する計測器IDの残量を受信した残量へと更新し、さらに、ステップS406にて残量を受信したと判断した時刻を更新後の残量に対応する時刻として登録して、ステップS402へ制御を戻す。
【0155】
以上、図25を参照して説明された処理では、情報処理装置100は、ガスの納品のために顧客に納品されているボンベ500について、残量を管理し、残量が閾値以下となった場合に、当該ボンベ500の交換のための制御(交換フラグをOFFする、出荷予定ボンベを登録する、等)を実施し得る。
【0156】
[処理の流れ:配送ルートを作成]
図26は、顧客へのボンベの納品のための配送ルートを作成するために、情報処理装置100において実行される処理のフローチャートである。図26の処理は、たとえば制御装置101が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0157】
図26を参照して、ステップS502にて、情報処理装置100は、配送予定表の作成の要求を取得したか否かを判断する。情報処理装置100は、入力インターフェイス107または通信インターフェイス104を介して、配送予定用の作成の要求を取得する。
【0158】
作業員は、顧客へのボンベの配送作業の開始時に、情報端末250に表示された特定のボタンを操作してもよく、情報端末250は、当該特定のボタンが操作されたことに応じて、情報処理装置100に配送予定表の作成の要求を送信してもよい。
【0159】
情報処理装置100は、各日の所与の時刻に、翌日の配送についての配送予定表の作成要求フラグをONに設定してもよく、ステップS502では当該作成要求フラグがONに設定されていることに応じて上記要求を取得したと判断してもよい。当該作成要求フラグの値は、後述するステップS504にて配送予定表が作成されると、OFFへと戻されてもよい。
【0160】
情報処理装置100は、配送予定表の作成の要求を取得したと判断するまで一定時間ごとにステップS502の制御を繰り返し(ステップS502にてNO)、上記要求を取得したと判断すると(ステップS502にてYES)、ステップS504へ制御を進める。
【0161】
ステップS504にて、情報処理装置100は、配送予定表を作成する。配送予定表は、作業員の1回の配送作業において配送されるボンベのリストであってもよい。
【0162】
ステップS506にて、情報処理装置100は、ステップS504において作成された配送予定表を出力する。配送予定表は、情報端末250へと送信されることによって出力されてもよいし、ディスプレイ150で表示されることによって出力されてもよいし、紙に印刷されることによって出力されてもよい。情報端末250は、受信した配送予定表をディスプレイ206に表示してもよい。
【0163】
図27は、配送予定表の表示画面の一例を示す図である。図27の画面2700は、2020年10月14日の配送予定表を示す。画面2700は、配送先の顧客を示すテーブルを含む。当該テーブルには、4件の顧客(CL(1)、CL(4)、CL(5)、CL(8))が示され、また、各顧客について、引き取られるボンベと引き渡されるボンベのそれぞれのボンベIDが示されている。
【0164】
情報処理装置100は、配送予定表を、顧客管理情報125(図19)に基づいて作成してもよい。より具体的には、情報処理装置100は、交換フラグの値としてONを含む顧客について、交換フラグの値がONである出荷済ボンベを「引き取られるボンベ」として設定し、出荷予定ボンベを「引き渡されるボンベ」として設定することによって、配送予定表を作成してもよい。
【0165】
ステップS508にて、情報処理装置100は、ステップS506にて出力された配送予定表が確定されたか否かを判断する。情報処理装置100は、当該配送予定表が確定されたと判断すると(ステップS508にてYES)、ステップS510へ制御を進め、そうでなければ(ステップS508にてNO)、ステップS504へ制御を戻す。
【0166】
作業員は、各顧客に、ステップS506にて出力された配送予定表に記載された通りのボンベの引き取り/引き渡しに同意するか否かを問合せてもよい。顧客が配送予定表に記載されたボンベの引き取り/引き渡しの変更を希望した場合、作業員は、情報処理装置100に変更内容を入力する。これにより、情報処理装置100は、ステップS508からステップS504へ制御を戻し、入力された変更内容に従って配送予定表を再度作成する。
【0167】
すべての顧客の同意が得られると、作業員は、情報処理装置100に配送予定表を確定することを表す情報を入力する。情報処理装置100は、当該情報の入力を受け付けると、当該配送予定表が確定されたと判断する。これにより、制御はステップS510へと進められる。
【0168】
ステップS510にて、情報処理装置100は、配送予定表に含まれる(2以上の)顧客についての配送ルートを取得する。より具体的には、情報処理装置100は、配送予定表に登録された(2以上の)顧客をルート作成用の地図アプリに入力する。これに応じて、地図アプリは、上記顧客(のそれぞれに対応する場所)を経由する車両200の移動のルートを作成する。情報処理装置100は、地図アプリから、当該地図アプリが作成したルートを、配送ルートとして取得する。地図アプリは、情報処理装置100にインストールされていてもよいし、ネットワーク上の他の機器にインストールされていてもよい。
【0169】
ステップS512にて、情報処理装置100は、ステップS510にて取得した配送ルートを情報端末250へ送信する。その後、情報処理装置100はステップS502へ制御を戻す。
【0170】
情報処理装置100からの配送ルートの送信に応じて、情報端末250は、情報処理装置100から送信された配送ルートを、図6を参照して説明されたようにディスプレイ206に表示してもよい。情報処理装置100から情報端末250への配送ルートの送信は、残量が閾値以下であると判断されたボンベの引き取りのための配送経路を提供の一例である。
【0171】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0172】
100 情報処理装置、121 基本情報テーブル、122 ボンベ管理情報、123 位置管理情報、124 残量管理情報、125 顧客管理情報、200 車両、250 情報端末、300 充填施設、350 ICタグリーダ、400 顧客、500 ボンベ、500X 肩部、500Y 胴部、500Z 底部、501 タンク、530 残量計測器、536 超音波センサ、590 バルブ、591 カバー、600 表示画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27