(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023385
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】エレベータのドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B66B13/30 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128876
(22)【出願日】2021-08-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307AA02
3F307CA21
3F307CD32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドアが開閉不良を起こすことを抑制できるエレベータのドア開閉装置を提供する。
【解決手段】エレベータのドア開閉装置は、ドアを開閉方向に移動させる駆動装置と、前記ドアの下方に位置し、前記かご及び前記乗場の間に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる走行ガイド部14と、を備えたエレベータのドア開閉装置であって、走行ガイド部14は、略水平方向に延びる板状の天板部21と、天板部21の下方に設けられ、ドアの開閉方向に延びる係合部15(第一側板部22)と、を備え、ドアは、開口部及び乗場の間を開閉するドア本体10と、ドア本体10の下方に設けられる案内部15と、を備え、案内部15は、係合部に係合し、係合部によってドア本体10を開閉方向に移動するようにガイドされるよう構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は荷物を載せて移動するかごと、前記かごに人が出入り可能又は荷物を出し入れ可能な複数の乗場と、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドアと、を備えたエレベータに設けられ、
前記ドアを開閉方向に移動させる駆動装置と、前記ドアの下方に位置し、前記かご及び前記乗場の間に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる走行ガイド部と、を備えたエレベータのドア開閉装置であって、
前記走行ガイド部は、略水平方向に延びる板状の天板部と、前記天板部の下方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる係合部と、を備え、
前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドア本体と、前記ドア本体の下方に設けられる案内部と、を備え、
前記案内部は、前記係合部に係合し、前記係合部によって前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされるよう構成されるエレベータのドア開閉装置。
【請求項2】
前記走行ガイド部は、前記天板部から下方に向かって立設される板状の第一側板部を備え、
前記係合部は、前記第一側板部として構成され、
前記案内部は、前記第一側板部の一面に接して前記ドアの開閉方向に移動するガイド本体部と、前記第一側板部の前記ガイド本体部が接する面と反対側の面である他面側に設けられる規制部と、を備え、
前記ガイド本体部は、前記第一側板部に沿って移動して、前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされ、
前記ガイド本体部及び前記規制部は、前記第一側板部に当接して、前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向への移動を規制するよう構成される請求項1に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項3】
前記走行ガイド部は、前記天板部及び前記第一側板部で、前記ドアの開閉方向に直交する断面が略L字を形成するように構成され、
前記ガイド本体部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の内側に配置され、
前記規制部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の外側に配置されるよう構成される請求項2に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項4】
前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉方向に移動する第一ドアと、前記かご及び前記乗場の間を開閉方向に移動し、前記第一ドアと開く方向及び閉じる方向が同じ第二ドアと、を備え、
前記案内部は、前記第一ドアに設けられ、
前記第一ドア及び前記第二ドアの一方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる凹部が形成された規制レールと、他方に設けられ、前記規制レールの前記凹部に嵌合して、前記ドアの開閉方向に移動可能な嵌合部と、を有するドア離間規制手段を備える請求項2又は3に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項5】
前記エレベータは、扉開時に前記ドアを内部に格納する戸袋を備え、
前記ドアは、扉閉時に前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向で前記戸袋と重なる部分である戸袋重合部を有する端部ドアを備え、
前記戸袋又は前記端部ドアの一方に設けられる規制レールと、他方に設けられる嵌合部と、を有する戸袋離間規制手段を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエレベータのドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのドア開閉装置として、特許文献1に記載のエレベータのドア開閉装置が知られている。エレベータのドア開閉装置は、エレベータのかご室の出入口に設けられ、上面に溝が形成されたかご側敷居と、かご室の出入り口を開閉するかご側戸と、を備える。かご側戸は、下端部がかご側敷居の溝に係合し、溝に沿って移動するように設けられ、かご室の上部に設けられる開閉装置によって電動で開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなエレベータのドア開閉装置では、かご側敷居の溝に塵やごみなどが堆積し、かご側戸の下端部とかご側敷居の溝とが係合不良を起こすことで、かご側戸が開閉不良を起こすことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ドアが開閉不良を起こすことを抑制できるエレベータのドア開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータのドア開閉装置は、人又は荷物を載せて移動するかごと、前記かごに人が出入り可能又は荷物を出し入れ可能な複数の乗場と、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドアと、を備えたエレベータに設けられ、前記ドアを開閉方向に移動させる駆動装置と、前記ドアの下方に位置し、前記かご及び前記乗場の間に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる走行ガイド部と、を備えたエレベータのドア開閉装置であって、前記走行ガイド部は、略水平方向に延びる板状の天板部と、前記天板部の下方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる係合部と、を備え、前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドア本体と、前記ドア本体の下方に設けられる案内部と、を備え、前記案内部は、前記係合部に係合し、前記係合部によって前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされるよう構成される。
【0007】
かかる構成によれば、係合部が天板部の下方に設けられるので、塵やごみなどが係合部に堆積しづらくなるため、係合部と案内部との係合不良により、ドアが開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0008】
また、前記走行ガイド部は、前記天板部から下方に向かって立設される板状の第一側板部を備え、前記係合部は、前記第一側板部として構成され、前記案内部は、前記第一側板部の一面に接して前記ドアの開閉方向に移動するガイド本体部と、前記第一側板部の前記ガイド本体部が接する面と反対側の面である他面側に設けられる規制部と、を備え、前記ガイド本体部は、前記第一側板部に沿って移動して、前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされ、前記ガイド本体部及び前記規制部は、前記第一側板部に当接して、前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向への移動を規制するよう構成することもできる。
【0009】
かかる構成によれば、第一側板部とガイド本体部が当接して、ドア本体がドア本体の厚み方向の一方側(例えばドア本体から乗場側に向かう方向)へ移動することを規制し、第一側板部と規制部が当接してドア本体がドア本体の厚み方向の他方側(例えばドア本体からかご側に向かう方向)へ移動することを規制するので、ドア本体がドア本体の厚み方向の一方側又は他方側に移動することを抑制できる。
【0010】
また、前記走行ガイド部は、前記天板部及び前記第一側板部で、前記ドアの開閉方向に直交する断面が略L字を形成するように構成され、前記ガイド本体部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の内側に配置され、前記規制部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の外側に配置されるよう構成することもできる。
【0011】
かかる構成によれば、ガイド本体部は、天板部及び第一側板部によって形成されるL字の内側に配置されるので、ガイド本体部に塵やごみなどが堆積しづらくなる。よって、係合部(第一側板部)が天板部の下方に設けられることとガイド本体部がL字の内側に配置されることの相乗効果で、係合部とガイド本体部との係合不良により、ドアが開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0012】
また、前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉方向に移動する第一ドアと、前記かご及び前記乗場の間を開閉方向に移動し、前記第一ドアと開く方向及び閉じる方向が同じ第二ドアと、を備え、前記案内部は、前記第一ドアに設けられ、前記第一ドア及び前記第二ドアの一方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる凹部が形成された規制レールと、他方に設けられ、前記規制レールの前記凹部に嵌合して、前記ドアの開閉方向に移動可能な嵌合部と、を有するドア離間規制手段を備えるよう構成することもできる。
【0013】
かかる構成によれば、第一ドアはガイド本体部及び規制部によって前後方向への移動が規制され、第二ドアは、ドア離間規制手段によって前後方向への移動を規制されるので、開閉方向が同じ複数のドアを有するエレベータについて、ドアが前方向又は後方向に移動すること(揺れること)を抑制できる。
【0014】
また、前記エレベータは、扉開時に前記ドアを内部に格納する戸袋を備え、前記ドアは、扉閉時に前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向で前記戸袋と重なる部分である戸袋重合部を有する端部ドアを備え、前記戸袋又は前記端部ドアの一方に設けられる規制レールと、他方に設けられる嵌合部と、を有する戸袋離間規制手段を備えるよう構成することもできる。
【0015】
かかる構成によれば、端部ドアは、戸袋離間規制手段によって、戸袋に対して前後方向で接離する方向への移動が規制されるので、端部ドアが前後方向に移動すること(揺れること)を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドアが開閉不良を起こすことを抑制できるエレベータのドア開閉装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のエレベータのドア開閉装置が適用されるエレベータの概略図である。
【
図2】同エレベータのドア開閉装置の正面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態のエレベータのドア開閉装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るエレベータのドア開閉装置9について
図1乃至
図4を参照して説明する。また、説明の便宜上、上下方向は、エレベータ1の昇降方向に沿う方向を指し、左右方向は、エレベータ1のドア5の開閉方向に沿う方向を指し、前後方向は、エレベータ1のドア5の厚み方向に沿う方向を指すものとして説明する。
【0019】
初めにエレベータ1の概要について説明する。
図1に示すように、エレベータ1は、上下方向に延びる筒状の昇降路2の内部を人又は荷物を載せて移動する箱状のかご3と、昇降路2の内外を連通し、かご3に荷物を出し入れ可能な複数の乗場4と、備える。具体的に、かご3は、人又は荷物を出し入れ可能な開口部を備え、乗場4では、開口部を介してかご3に人又は荷物を出し入れ可能である。また、エレベータ1は、乗場4と開口部の間を開閉するドア5を備える。
【0020】
図1及び
図2に示すように、ドア5は、乗場4と開口部の間を開閉する板状のドア本体10と、ドア本体10の下方に設けられる、エレベータのドア開閉装置9としての案内部15と、を備える。本実施形態で、ドア5はいわゆるセンターオープン方式のドア5であり、扉閉時に右側に移動する右ドア5Rと扉閉時に左側に移動する左ドア5Lと、を有する。また、本実施形態の右ドア5R及び左ドア5Lは、それぞれ、開閉時に開閉方向に移動する速度が速いファストドアFDと、開閉方向に移動する速度がファストドアFDよりも遅いスロードアSDと、を有する。さらに、ドア5は、かご3に設けられるかごドア6と、乗場4に設けられる乗場ドア7と、によって構成されている。ドア5が開く際には、かごドア6と、かご3が位置する乗場4の乗場ドア7と、が両方開くことで、かご3の内部と乗場4とが連通する。本実施形態では、かごドア6と乗場ドア7とは連動して同時に開閉するように構成されている。具体的に、本実施形態では、かごドア6は後述する駆動装置13によって開閉方向に移動するよう構成され、乗場ドア7は、かごドア6に従動して開閉方向に移動するように構成される。また、ドア5は、上方から吊り下げられ支持される。具体的に、ドア5は、ドア5の上部に設けられるハンガーレール18(駆動装置13)によって上方から吊り下げられて支持される。
【0021】
ドア5は、扉閉時には、ドア本体10が乗場4と開口部の間を閉じる位置に位置し、扉開時には、乗場4と開口部の間を開く位置に位置する。扉閉時のドア5は、開口部の左右両端に設けられる戸袋8に格納される。
【0022】
戸袋8は、ドア5を内部に格納可能な格納空間8aを画定する部位である(
図4参照)。具体的に、戸袋8は、昇降路2の内壁のうち開口部が対向する部分、及び、かご3の外壁のうち開口部よりも左右両端に位置する部分によって構成される。即ち、戸袋8は、格納空間8aの後側の端(乗場4側の端)を画定する乗場側壁部11と、格納空間8aの前側の端(かご3側の端)を画定するかご側壁部12と、を備える。本実施形態で戸袋8は、扉開時に、ファストドアFD及びスロードアSDを内部に格納可能である。さらに、本実施形態の戸袋8の内壁及びスロードアSDは、後述する戸袋離間規制手段50が設けられる分だけ、前後方向に離間して設けられる。なお、本実施形態のように、戸袋離間規制手段50を設ける場合には、戸袋8とスロードアSD間に生じる前後方向の隙間を埋める隙間埋め部材(図示しない)を備えてもよい。
【0023】
図2に示すように、エレベータのドア開閉装置9は、ドア5を開閉するための装置である。エレベータのドア開閉装置9は、ドア5を開閉方向に移動させる駆動装置13と、ドア5の下方に位置し、かご3及び乗場4の間に設けられ、ドア5の開閉方向に延びる走行ガイド部14と、ドア本体10の下方に設けられる案内部15と、を備える。また、エレベータのドア開閉装置9は、ファストドアFDとスロードアSDが前後方向に離間することを規制するドア離間規制手段40と、スロードアSDと戸袋8が前後方向に離間することを規制する戸袋離間規制手段50と、を備える。
【0024】
駆動装置13は、かご3の上方に設けられ、かごドア6を支持し、かつ、かごドア6を開閉方向に移動させる。具体的に、駆動装置13は、ドア本体10の上部に連結される連結部16と、連結部16を開閉方向に移動させるための駆動本体部17と、連結部16を開閉方向に移動するようにガイドするハンガーレール18と、を備える。
【0025】
ハンガーレール18は、左右方向に延伸するレールである。また、ハンガーレール18は、連結部16及び連結部16に連結されたドア5を吊り下げて支持可能なレールである。本実施形態のハンガーレール18は、連結部16を左右方向にガイド可能に構成されている。
【0026】
連結部16は、ドア本体10の上部に連結され、ドア本体10と駆動本体部17とを連結する。また、連結部16は、駆動本体部17の駆動によって、ドア本体10に連結された状態で左右方向に移動可能である。さらに、連結部16は、ハンガーレール18に沿って移動可能に構成されている。具体的に、連結部16は、ハンガーレール18に係合して、ハンガーレール18に沿って転動する転動部161を備え、転動部161とハンガーレール18との係合によって、連結部16はハンガーレール18の延伸方向(左右方向)に移動するようにガイドされる。右ドア5RのファストドアFD、右ドア5RのスロードアSD、左ドア5LのファストドアFD、及び左ドア5LのスロードアSD、のそれぞれに1つの連結部16が連結される。即ち、右ドア5RのファストドアFD、右ドア5RのスロードアSD、左ドア5LのファストドアFD、及び左ドア5LのスロードアSD、のそれぞれは、連結部16に連結された状態で別々にハンガーレール18に吊り下げられる。
【0027】
駆動本体部17は、ドア5を左右方向に移動されることができる部位である。また、駆動本体部17は右ドア5Rと左ドア5Lを左右方向で逆向きに同時に移動させることができる。本実施形態の駆動本体部17は、連結部16を介してドア5を移動させる。即ち、駆動本体部17は、扉開時には、右ドア5Rを右に移動させつつ、左ドア5Lを左に移動させ、扉閉時には、右ドア5Rを左に移動させつつ、左ドア5Lを右に移動させることができる。また、駆動本体部17は、ファストドアFD及びスロードアSDが扉閉時には同時に閉じ、扉開時には同時に開くように、ファストドアFD及びスロードアSDを移動させる。本実施形態で、駆動本体部17は、ファストドアFDをスロードアSDの略2倍の速度で移動させる。本実施形態の駆動本体部17は、かご3の上部に設けられ、かごドア6を左右方向に移動させるように構成されている。また、本実施形態では、駆動本体部17がかごドア6を左右方向に移動させると、乗場ドア7がかごドア6に従動して左右方向に移動する。
【0028】
具体的に、駆動本体部17は、モータ等によって駆動する無端環状の駆動ベルト19と、駆動ベルト19に連結され、駆動ベルト19の駆動力を減速して伝達する減速手段20と、を備え、駆動ベルト19は、連結部16を介してファストドアFDに連結され、減速手段20は、連結部16を介してスロードアSDに連結される。このような構成によって、駆動本体部17は、ファストドアFDとスロードアSDの移動を同期させつつ、ファストドアFDをスロードアSDよりも速く移動させることができる。
【0029】
走行ガイド部14は、ドア本体10の下部に設けられる板状体である。また、走行ガイド部14は、かご3と乗場4の間に設けられる板状体で、かご3と乗場4の間の隙間を埋める部材である。具体的に、走行ガイド部14は、かご3に設けられ、乗場4側に延伸するかご側走行ガイド部141と、乗場4に設けられ、かご3側に向かって延伸する乗場側走行ガイド部(図示しない)と、を備える。かご側走行ガイド部141と乗場側走行ガイド部との間には、かご3が昇降路2に沿って昇降する際に、当接しない程度に隙間が形成される。
【0030】
図3に示すように、かご側走行ガイド部141は、乗場4側に向かって略水平方向に延びる天板部21と、天板部21の乗場4側の端部から下方に延びる第一側板部22と、天板部21のかご3側の端部から下方に延びる第二側板部24と、第一側板部22の下端部からかご3側に向かって略水平方向に延びる底板部23と、を備える。天板部21、第一側板部22、底板部23、及び、第二側板部24は、いずれも左右方向で、ドア5の可動域の全域に亘って延びている(
図4参照)。
【0031】
天板部21は、上面がかご3の底面と略面一になるように延びた板状体である。また、天板部21は、上面がドア本体10の下面から下方に離間して設けられる板状体である。さらに、天板部21は、第一側板部22の少なくとも一面の上方を覆うように設けられている。本実施形態の天板部21は、上面に凹凸が形成されていないフラットな形状である。また、本実施形態の天板部21は、前端部(乗場4側の端部)が、かごドア6の前端部よりも後方(かご3側)に位置するように配置されている。
【0032】
第一側板部22は、天板部21の乗場4側の端部から下方に延びる板状体である。本実施形態の第一側板部22は、天板部21から鉛直下向きに延びる板状体である。また、第一側板部22は、後述する案内部15と係合可能である。さらに、第一側板部22は、天板部21の延伸方向と略直交する方向に延びる。即ち、第一側板部22と天板部21は、ドア5の開閉方向に直交する断面が略L字を形成するように構成される。また、第一側板部22は、後述する案内部15と係合可能な係合部として構成される。
【0033】
底板部23は、第一側板部22の下端部から後方(かご3側)に延びる板状体である。底板部23は、前後方向の長さが天板部21よりも短い板状体である。また、本実施形態の底板部23の前後方向の長さは、後述する案内部15の前後方向の長さ(幅)よりも小さい。
【0034】
天板部21、第一側板部22、及び底板部23によって、囲まれる空間は、後述する案内部15のガイド本体部25が移動する移動空間14aである。移動空間14aは、左右方向で、ドア5の可動域の全域に亘って延びる空間である。
【0035】
第二側板部24は、天板部21の後端部から下方に延びる板状体である。また、第二側板部24は、天板部21から略鉛直下向きに延びる板状体である。即ち、第二側板部24は、第一側板部22からかご3側に離間して設けられ、第一側板部22と略平行に延びる板状体である。さらに、第二側板部24は、第一側板部22よりも下方まで延びる板状体である。
【0036】
本実施形態のかご側走行ガイド部141は、1枚の板状体を折り曲げて構成されているが、このような構成に限らず、複数の板状体を組み合わせて構成することもできる。
【0037】
乗場側走行ガイド部の構成は、かご側走行ガイド部141と同様の構成である。また、乗場側走行ガイド部は、かご側走行ガイド部141と前後対称に構成されている。具体的に、乗場側走行ガイド部は、乗場4からかご3側に向かって略水平方向に延びる天板部21と、天板部21のかご3側の端部から下方に延びる第一側板部22と、天板部21の乗場4側の端部から下方に延びる第二側板部24と、第一側板部22の下端部から乗場4側に向かって略水平方向に延びる底板部23と、を備える。
【0038】
案内部15は、ドア本体10に設けられ、走行ガイド部14と係合する部位である。また、案内部15は、走行ガイド部14と係合して、走行ガイド部14によって、開閉方向に移動するようにガイドされる部位である。具体的に、案内部15は、移動空間14aの内部に収容され、第一側板部22に係合するガイド本体部25と、ガイド本体部25を支持し、ドア本体10に連結するガイド支持部26と、を備える。本実施形態で、案内部15は、ファストドアFDのドア本体10にのみ設けられ、スロードアSDのドア本体10には設けられない。即ち、本実施形態で、案内部15は、かごドア6のファストドアFD及び乗場ドア7のファストドアFDに設けられる。以下説明では、かごドア6に設けられる案内部15について説明する。なお、乗場ドア7に設けられる案内部15は、かごドア6に設けられる案内部15と前後対称に設けられる。
【0039】
ガイド本体部25は、第一側板部22に当接して、第一側板部22に沿って移動可能である。本実施形態のガイド本体部25は、第一側板部22のうち、上方が天板部21に覆われている面に当接する。即ち、ガイド本体部25は、第一側板部22のかご3側の面に当接する。また、本実施形態のガイド本体部25は、第一側板部22の面上を転動するローラである。具体的に、ガイド本体部25は、周面が第一側板部22のかご3側の面に当接するローラである。また、本実施形態のガイド本体部25は、上下方向に延びる軸を中心として回動可能に構成されている。さらに、ガイド本体部25は、移動空間14aの内部に配置される。即ち、ガイド本体部25は、天板部21と第一側板部22で形成されるL字状の空間の内側に配置される。また、ガイド本体部25は、前後方向で、第一側板部22と第二側板部24の間に配置される。さらに、ガイド本体部25は、第二側板部24と前後方向で離間した位置に配置される。
【0040】
ガイド支持部26は、ドア本体10に連結される取付部27と、ガイド本体部25を支持する支持本体部28と、取付部27から支持本体部28に亘って延伸する延伸部29と、を備える。
【0041】
取付部27は、ドア本体10に連結可能に構成されている。本実施形態の取付部27は、ボルト・ナットのような締結具によってドア本体10に連結可能である。また、取付部27は、ドア本体10に連結可能な板状体である。本実施形態の取付部27は、ドア本体10に取り付けられた状態で、一面がドア本体10の前面に当接するように構成されている。さらに、取付部27は、ドア本体10の下端部に連結される。
【0042】
支持本体部28は、ガイド本体部25を、第一側板部22に接して回動可能な状態で支持する軸部30と、軸部30を支持する軸支持部31と、を備える。軸部30は、ガイド本体部25の軸心に挿通され、ガイド本体部25が軸部30に対して相対回動可能となるようにガイド本体部25を支持する。本実施形態の軸部30は、ベアリング(図示しない)を介してガイド本体部25を支持するよう構成される。また、本実施形態の軸部30は、ガイド本体部25に挿通される軸本体部32と、軸本体部32の上端部に設けられ、外径が軸本体部32よりも大きい軸頭部33と、軸本体部32の下端部に設けられ、ナットなどの締結具を装着可能な軸装着部34と、を備える。
【0043】
軸支持部31は、軸部30の上端部及び下端部を支持するように構成されている。具体的に、軸支持部31は、軸部30の上端部に連結されて、軸部30の上端部を支持する上部軸支持部35と、軸部30の下端部に連結されて、軸部30の下端部を支持する下部軸支持部36と、を備える。本実施形態で、上部軸支持部35に軸頭部33が係止することで、上部軸支持部35が軸部30の上端部を支持し、上部軸支持部35が軸部30の上端部を支持した状態で、下部軸支持部36の下方から軸部30(軸装着部34)に締結具(ナット)が装着(螺着)されることで、下部軸支持部36が軸部30の下端部を支持する。
【0044】
延伸部29は、取付部27と支持本体部28の間に亘って延びる部位である。具体的に、延伸部29は、取付部27から下方に向かって延びる前方延伸部37と、前方延伸部37の下端部からかご3側に向かって延びる横延伸部38と、横延伸部38のかご3側の端部から上方に延びる後方延伸部39と、を備える。また、本実施形態の延伸部29は、左右方向に一定の幅を有する板状体である。また、延伸部29は、取付部27から、第一側板部22及び底板部23の外方を回り込んで、移動空間14aまで延びる。
【0045】
前方延伸部37は、取付部27から底板部23よりも下方の位置まで延びる部位である。また、前方延伸部37は、第一側板部22と略平行に延びる。本実施形態の前方延伸部37は、第一側板部22と前後方向に離間して設けられる。さらに、前方延伸部37は、ドア本体10が前後に揺れた場合に、第一側板部22と当接するように構成されている。即ち、第一側板部22と前方延伸部37との前後方向の距離は、ドア本体10が前後に揺れた際に、前方延伸部37が第一側板部22に当接可能な程度の距離である。また、前方延伸部37は、第一側板部22のガイド本体部25が設けられる側の面(後面側)と反対側の面(前面側)に設けられる。本実施形態の前方延伸部37は、ドア5(かごドア6)の下端部が後方に移動するように揺れた場合に、第一側板部22に当接する。即ち、前方延伸部37は、ドア本体10の前後方向への移動を規制する規制部として構成される。
【0046】
横延伸部38は、前方延伸部37の下端部から前後方向で底板部23の後側の位置までに亘って延びる部位である。また、横延伸部38は、底板部23よりも下側で底板部23と略平行に延びる。さらに、横延伸部38は、前方延伸部37と直交する方向に延びる。
【0047】
後方延伸部39は、横延伸部38の後端部から上方に延びる部位である。また、後方延伸部39は、前方延伸部37及び第一側板部22と平行に延びる。さらに、後方延伸部39には、支持本体部28が設けられる。本実施形態で、後方延伸部39の上端部には、上部軸支持部35が連結され、上下方向の中途部分には下部軸支持部36が連結される。また、後方延伸部39は、第二側板部24と前後方向で離間した位置に配置される。具体的に、後方延伸部39は、前後方向における第一側板部22と前方延伸部37との間の距離以上に第二側板部24から離間して配置される。
【0048】
図3及び
図4に示すように、ドア離間規制手段40は、ファストドアFD(第一ドア)に対してスロードアSD(第二ドア)が前後方向に離間することを規制する手段である。本実施形態のドア離間規制手段40は、ファストドアFD及びスロードアSDのうち、一方に設けられ、左右方向に延びる凹部41aが形成された規制レール41と、他方に設けられ、規制レール41の凹部41aに嵌合して、左右方向に移動可能な嵌合部42と、を備える。本実施形態の嵌合部42は、ローラであり、前後方向に延びる軸を中心として回動可能である。
【0049】
嵌合部42は、ドア5が閉じた際に、前後方向でファストドアFDとスロードアSDが重なり合うドア重合部10aに設けられる。言い換えると、ドア重合部10aは、スロードアSD及びファストドアFDのうち扉閉時に前後方向で隣り合うように配置される部位である。即ち、ドア重合部10aは、ドア5の開閉方向で、ファストドアFDのドア本体10の閉じ方向の端部及びスロードアSDのドア本体10の開き方向の端部である。本実施形態で、嵌合部42は、左右方向で、ファストドアFDの閉じ方向側の端部に設けられている。また、嵌合部42は、ドア本体10の下端部に設けられている。さらに、嵌合部42は、ファストドアFD及びスロードアSDのうち、他方に設けられ、一方側に向かって延びるように構成されている。具体的に、嵌合部42は、ファストドアFD及びスロードアSDのうち、他方のドア本体10の下端部に連結され、一方のドア本体10に向かって延びる嵌合軸部43と、嵌合軸部43に連結され、規制レール41の凹部41aと嵌合可能な嵌合本体部44と、を備える。本実施形態の嵌合本体部44は、ローラであり、嵌合軸部43を軸心として、凹部41aに嵌合した状態で回動可能である。即ち、嵌合本体部44は、規制レール41に嵌合して転動可能である。
【0050】
規制レール41は、ドア本体10の下端部に設けられた、左右方向に延びるレールである。また、規制レール41は、ファストドアFD及びスロードアSDのうち、一方のドア本体10に設けられ、該ドア本体10の左右方向の略全範囲に亘って延びるレールである。さらに、規制レール41は、一方のドア本体10の内部に設けられる。具体的に、規制レール41は、ドア本体10に取り付け可能で、左右方向に延びる凹部41aが形成されたレール本体45と、凹部41aの左右の両端部を閉じる端壁部46と、を備える。本実施形態のレール本体45は、下端を構成するレール底部47と、レール底部47の前端部から上方に延出する前方壁部48と、レール底部47の後端部から上方に延出する後方壁部49と、を備える。端壁部46は、レール底部47の左右の両端部から上方に延出する壁である。また、レール本体45は、前後方向における前方壁部48及び後方壁部49の間の空間が凹部41aとして構成されている。本実施形態の規制レール41は、溶接によってドア本体10に取り付けられる。さらに、規制レール41は、レール底部47から上方に突出するよう設けられる突出部471を備える。突出部471は、前方壁部48から後方に嵌合本体部44の前後方向の厚み分だけ離間した位置に設けられる。
【0051】
戸袋離間規制手段50は、扉閉時に前後方向で戸袋8と重なる部分である戸袋重合部10bを有する端部ドア51と戸袋8が前後方向で離間することを抑制する部位である。言い換えると、戸袋離間規制手段50は、扉閉時にドア本体10の一部が戸袋8の内壁と対向するように配置される端部ドア51と戸袋8が前後方向で離間することを抑制する部位である。本実施形態で、端部ドア51は、スロードアSDである。戸袋離間規制手段50の構成は、前述のドア離間規制手段40の構成と同様である。具体的に、戸袋離間規制手段50は、戸袋8(かご側壁部12)又は端部ドア51の一方に設けられる規制レール41と、他方に設けられる嵌合部42と、を備える。本実施形態で、規制レール41は、戸袋8の内壁に設けられ、嵌合部42は、端部ドア51の戸袋重合部10bに設けられる。具体的に、規制レール41は、格納空間8aの外部に設けられる。さらに、本実施形態の戸袋離間規制手段50の規制レール41は、かご側壁部12の内部に設けられる。
【0052】
以上のようなエレベータのドア開閉装置9の動作について説明する。
【0053】
まず、ファストドアFDについて説明する。ドア5を開閉する場合には、駆動装置13がドア5を開閉方向に移動させる。開閉方向に移動させられたドア5は、ハンガーレール18及び連結部16によって、ドア本体10の上方で左右方向にガイドされ、かつ、ドア本体10の下方で第一側板部22及び案内部15によって左右方向にガイドされる。具体的に、ドア本体10の下方では、駆動装置13がドア本体10を左右に移動させた際に、ドア本体10に設けられる案内部15もドア本体10と一緒に左右に移動する。このとき、ガイド本体部25が第一側板部22にガイドされ、左右方向に移動するため、ドア5を上方の駆動装置13及び下方の走行ガイド部14で左右方向にガイドできる。
【0054】
また、ドア本体10に衝撃が加わった場合や、かご3の昇降に伴う振動や昇降路2内の風で、ドア本体10が前後方向に揺れる場合には、案内部15が第一側板部22に当接して、ドア5の揺れが抑制される。具体的に、ドア本体10は、上方から吊り下げられているため、特にドア本体10の下方は前後方向に揺れやすい。しかしながら、第一側板部22を前後に挟むように前方延伸部37(規制部)及びガイド本体部25が設けられるので、ドア本体10が揺れた場合に、前方延伸部37又はガイド本体部25が第一側板部22に当接するため、揺れ止めがされる。
【0055】
次にスロードアSDについて説明する。スロードアSDは、ドア離間規制手段40によって、左右方向のガイド及び前後への揺れ止めがされる。また、本実施形態のスロードアSDは端部ドア51であるので、スロードアSDは、戸袋離間規制手段50によっても左右方向のガイド及び前後への揺れ止めがされる。
【0056】
具体的に、ドア5を開閉する場合には、駆動装置13がドア本体10を開閉方向に移動させる。開閉方向に移動させられたドア5は、ハンガーレール18及び連結部16によって、ドア本体10の上方で左右方向にガイドされ、かつ、ドア本体10の下方でドア離間規制手段40としての規制レール41及び嵌合部42によって左右方向にガイドされる。具体的に、ドア本体10の下方では、駆動装置13がドア本体10を左右に移動させた際に、ドア本体10に設けられる嵌合部42もドア本体10と一緒に左右に移動する。このとき、嵌合部42が規制レール41に形成される凹部41aに沿って左右方向に移動するため、ドア5を上方の駆動装置13及び下方のドア離間規制手段40で左右方向にガイドできる。
【0057】
また、ドア本体10に衝撃が加わった場合や、かご3の昇降に伴う振動や昇降路2内の風で、スロードアSDのドア本体10が前後方向に揺れる場合には、ドア離間規制手段40によってスロードアSDの前後方向への移動が規制される。具体的に、スロードアSDのドア本体10が前後方向に移動しようとした場合に(揺れようとした場合に)、嵌合部42が規制レール41に嵌っているので、スロードアSDがファストドアFDに対して前後方向で接離する方向に移動することが規制される。また、ファストドアFDは、前述のように、走行ガイド部14及び案内部15によって前後方向への振れ止めがされている。よってスロードアSDが前後に移動しようとした場合には、ドア離間規制手段40によって、スロードアSDとファストドアFDが一緒に前後方向に移動しようとするが、ファストドアFDは走行ガイド部14及び案内部15によって前後方向への振れ止めがされているので、スロードアSDもファストドアFDと同様に前後に移動することが規制され、スロードアSD及びファストドアFDが前後に移動することが抑制される(振れ止めがされる)。
【0058】
さらに、端部ドア51(スロードアSD)が開閉する場合には、ハンガーレール18及び連結部16によって、ドア本体10の上方で左右方向にガイドされ、かつ、ドア本体10の下方で戸袋離間規制手段50としての規制レール41及び嵌合部42によって左右方向にガイドされる。具体的に、ドア本体10の下方では、駆動装置13がドア本体10を左右に移動させた際に、ドア本体10に設けられる嵌合部42もドア本体10と一緒に左右に移動する。このとき、嵌合部42が規制レール41に形成される凹部41aに沿って左右方向に移動するため、ドア5を上方の駆動装置13及び下方の戸袋離間規制手段50で左右方向にガイドできる。
【0059】
また、端部ドア51に衝撃が加わった場合や、かご3の昇降に伴う振動や昇降路2内の風で、ドア本体10が前後方向に移動しようとする(揺れようとする)場合には、嵌合部42が規制レール41に嵌合して、端部ドア51の戸袋8の内壁に対する前後方向の移動を規制するので、端部ドア51が前後に移動することが抑制される(揺れ止めがされる)。
【0060】
以上のような構成のエレベータのドア開閉装置9によれば、係合部(第一側板部22)が天板部21の下方に設けられるので、塵やごみなどが係合部に堆積しづらくなるため、係合部と案内部15との係合不良により、ドア5が開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0061】
また、第一側板部22とガイド本体部25が当接して、ドア本体10がドア本体10の厚み方向の一方側(例えばドア本体10から乗場4側に向かう方向)へ移動することを規制し、第一側板部22と規制部が当接してドア本体10がドア本体10の厚み方向の他方側(例えばドア本体10からかご3側に向かう方向)へ移動することを規制するので、ドア本体10がドア本体10の厚み方向の一方側又は他方側に移動することを抑制できる。
【0062】
さらに、ガイド本体部25は、天板部21及び第一側板部22によって形成されるL字の内側に配置されるので、ガイド本体部25に塵やごみなどが堆積しづらくなる。よって、係合部(第一側板部22)が天板部21の下方に設けられることとガイド本体部25がL字の内側に配置されることの相乗効果で、係合部とガイド本体部25との係合不良により、ドア5が開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0063】
また、ガイド本体部25は、天板部21、第一側板部22、及び、第二側板部24によって囲まれた空間内に配置されるので、塵やごみなどがガイド本体部25に堆積しづらくなる。よって、係合部とガイド本体部25との係合不良により、ドア5が開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0064】
さらに、案内部15は、第一側板部22によって左右方向にガイドされるガイド本体部25と、ガイド本体部25を支持する支持本体部28と、を備え、支持本体部28は、ガイド本体部25を上方及び下方から支持するよう構成されるので、ガイド本体部25が衝撃を受けた場合に、支持本体部28で該衝撃をしっかりと受けることができるため、案内部15の強度が高まる。
【0065】
また、ガイド本体部25は、上下方向を軸心として回動可能であり、周面で第一側板部22と接するように構成されるので、第一側板部22と接する周面に塵やごみなどが堆積しづらくなる。よって、ガイド本体部25と第一側板部22との係合不良により、ドア5が開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0066】
さらに、案内部15は、第二側板部24と前後方向に離間して設けられるので、ガイド本体部25が第一側板部22に沿って移動する際に、ガイド本体部25が抵抗などを受けたときに、ガイド本体部25が第二側板部24側に移動して抵抗を逃がすことができる。
【0067】
また、エレベータ1は、開口部及び乗場4の間を開閉方向に移動する第一ドア(ファストドアFD)と、開口部及び乗場4の間を開閉方向に移動し、第一ドアと開く方向及び閉じる方向が同じ第二ドア(スロードアSD)と、を備え、エレベータのドア開閉装置9は、第一ドア又は第二ドアの一方に設けられ、左右方向に延びる凹部41aが形成された規制レール41と、他方に設けられ、規制レール41の凹部41aに嵌合して、左右方向に移動可能な嵌合部42と、を有するドア離間規制手段40を備える。よって、第一ドアはガイド本体部25及び規制部によって前後方向への移動が規制され、第二ドアは、ドア離間規制手段40によって前後方向への移動を規制されるので、開閉方向が同じ複数のドア5を有するエレベータ1について、ドア5が前方向又は後方向に移動すること(揺れること)を抑制できる。
【0068】
さらに、エレベータ1は、扉開時にドア5を内部に格納する戸袋8を備え、ドア5は、扉閉時に前後方向で戸袋8と重なる部分である戸袋重合部10bを有するドア5である端部ドア51を備え、エレベータのドア開閉装置9は、戸袋8又は端部ドア51の一方に設けられる規制レール41と、他方に設けられる嵌合部42と、を有する戸袋離間規制手段50を備える。よって、端部ドア51は、戸袋離間規制手段50によって、戸袋8に対して前後方向で接離する方向への移動が規制されるので、端部ドア51が前後方向に移動すること(揺れること)を抑制できる。
【0069】
また、前記第二ドア(スロードアSD)は、戸袋重合部10bを有する端部ドア51として構成され、第二ドアの前方にはドア離間規制手段40が設けられ、後方には戸袋離間規制手段50が設けられる。よって、第二ドアは、前後から振れ止めがされるので、より確実に第二ドアの振れ止めをすることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0071】
例えば、エレベータ1は、右ドア5R及び左ドア5Lを有するいわゆるセンターオープン式である場合について説明したが、右ドア5R又は左ドア5Lのみを有するいわゆるサイドオープン式であってもよい、
【0072】
また、エレベータ1はファストドアFD及びスロードアSDを有する場合について説明したが、スロードアSDを有さない(開閉方向が同じドア5を1枚のみ有する)構成とすることもできる。
【0073】
さらに、かご3は直方体状である場合について説明したが、このような場合に限らず、円柱状や多角柱状など、種々の形状を採用できる。
【0074】
また、ドア5の開閉方向は、一直線状に延びる方向である場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば円弧状に延びる方向であってもよい。
【0075】
さらに、天板部21の上面には全く溝が形成されない場合について説明したが、このような場合に限らず、天板部21の上面に溝が形成されていてもよい。例えば、天板部21の上面に、スロードアSDを開閉方向にガイドする溝が形成されていてもよい。上記のような構成であっても、ファストドアFDが第一側板部22及び案内部15によって開閉方向にガイドされるので、ファストドアFDが開閉不良を起こすことを抑制できる。
【0076】
また、第一側板部22及び第二側板部24は、天板部21に直交するように延びる場合に限らず、上下方向から天板部21の開閉方向及び上下方向にずれた方向に延びるよう構成することもできる。
【0077】
さらに、案内部15は、ファストドアFDの前面に連結される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えばファストドアFDの下面に連結されていてもよい。
【0078】
また、走行ガイド部14は、底板部23を備える場合について説明したが、このような場合に限らず、
図5に示すように、底板部23を有しない構成とすることもできる。走行ガイド部14が底板部23を有しない場合、案内部15は、横延伸部38でガイド本体部25を支持するように構成することもできる。
【0079】
さらに、ガイド本体部25は、ローラである場合について説明したが、このような場合に限らず、回動せず、第一側板部22に接して左右方向に移動する部材を採用することもできる。
【0080】
また、ドア離間規制手段40は、規制レール41を備えず、ファストドアFD及びスロードアSDの一方に設けられた嵌合部42が他方のドア5に直接嵌合するように構成することもできる。
【0081】
さらに、レール本体45は、レール底部47を備える場合について説明したが、このような構成に限らず、嵌合部42が嵌合可能な凹部41aが形成されていればよく、底を備えないレールとして構成することもできる。
【0082】
また、案内部15、ドア離間規制手段40、及び、戸袋離間規制手段50は、かごドア6と乗場ドア7の両方に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、かごドア6又は乗場ドア7のいずれかにのみ設けるように構成することもできる。
【0083】
さらに、ガイド本体部25は、第一側板部22に当接して、前側への移動が規制される場合について説明したが、
図5に示すように、天板部21から、前後方向で第一側板部22と第二側板部24の間で、ガイド本体部25が配置される位置より後側で下側に延伸し、ガイド本体部25が当接可能な当接ブラケット52を備えるよう構成することもできる。このように構成する場合、ガイド本体部25が前方及び後方への移動を規制することができるので、確実にドア5の揺れ止めができる。
【符号の説明】
【0084】
1…エレベータ、2…昇降路、3…かご、4…乗場、5…ドア、5R…右ドア、5L…左ドア、6…かごドア、7…乗場ドア、8…戸袋、8a…格納空間、9…エレベータのドア開閉装置、10…ドア本体、10a…ドア重合部、10b…戸袋重合部、11…乗場側壁部、12…かご側壁部、13…駆動装置、14…走行ガイド部、141…かご側走行ガイド部、14a…移動空間、15…案内部、16…連結部、161…転動部、17…駆動本体部、18…ハンガーレール、19…駆動ベルト、20…減速手段、21…天板部、22…第一側板部、23…底板部、24…第二側板部、25…ガイド本体部、26…ガイド支持部、27…取付部、28…支持本体部、29…延伸部、30…軸部、31…軸支持部、32…軸本体部、33…軸頭部、34…軸装着部、35…上部軸支持部、36…下部軸支持部、37…前方延伸部、38…横延伸部、39…後方延伸部、40…ドア離間規制手段、41…規制レール、42…嵌合部、43…嵌合軸部、44…嵌合本体部、45…レール本体、46…端壁部、47…レール底部、471…突出部、48…前方壁部、49…後方壁部、50…戸袋離間規制手段、51…端部ドア、52…当接ブラケット
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は荷物を載せて移動するかごと、前記かごに人が出入り可能又は荷物を出し入れ可能な複数の乗場と、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドアと、を備えたエレベータに設けられ、
前記ドアを開閉方向に移動させる駆動装置と、前記ドアの下方に位置し、前記かご及び前記乗場の間に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる走行ガイド部と、を備えたエレベータのドア開閉装置であって、
前記走行ガイド部は、略水平方向に延びる板状の天板部と、前記天板部の下方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる係合部と、を備え、
前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉するドア本体と、前記ドア本体の下方に設けられる案内部と、を備え、
前記案内部は、前記係合部に係合し、前記係合部によって前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされ、
前記案内部は、前記係合部に当接して、前記係合部の面上を転動するガイド本体部と、該ガイド本体部を支持する支持本体部と、を備え、
前記支持本体部は、上下方向に延び、前記ガイド本体部を転動可能な状態で保持する軸部と、該軸部の上端部及び下端部を支持する軸支持部と、を備えるよう構成されるエレベータのドア開閉装置。
【請求項2】
前記走行ガイド部は、前記天板部から下方に向かって立設される板状の第一側板部を備え、
前記係合部は、前記第一側板部として構成され、
前記案内部は、前記第一側板部の一面に接して前記ドアの開閉方向に移動するガイド本体部と、前記第一側板部の前記ガイド本体部が接する面と反対側の面である他面側に設けられる規制部と、を備え、
前記ガイド本体部は、前記第一側板部に沿って移動して、前記ドア本体を開閉方向に移動するようにガイドされ、
前記ガイド本体部及び前記規制部は、前記第一側板部に当接して、前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向への移動を規制するよう構成される請求項1に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項3】
前記走行ガイド部は、前記天板部及び前記第一側板部で、前記ドアの開閉方向に直交する断面が略L字を形成するように構成され、
前記ガイド本体部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の内側に配置され、
前記規制部は、前記天板部及び前記第一側板部によって形成される略L字の外側に配置されるよう構成される請求項2に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項4】
前記ドアは、前記かご及び前記乗場の間を開閉方向に移動する第一ドアと、前記かご及び乗場の間を開閉方向に移動し、前記第一ドアと開く方向及び閉じる方向が同じ第二ドアと、を備え、
前記案内部は、前記第一ドアに設けられ、
前記第一ドア及び前記第二ドアの一方に設けられ、前記ドアの開閉方向に延びる凹部が形成された規制レールと、他方に設けられ、前記規制レールの前記凹部に嵌合して、前記ドアの開閉方向に移動可能な嵌合部と、を有するドア離間規制手段を備える請求項2又は3に記載のエレベータのドア開閉装置。
【請求項5】
前記エレベータは、扉開時に前記ドアを内部に格納する戸袋を備え、
前記ドアは、扉閉時に前記ドア本体の開閉方向及び上下方向に直交するドア本体の厚み方向で前記戸袋と重なる部分である戸袋重合部を有する端部ドアを備え、
前記戸袋又は前記端部ドアの一方に設けられる規制レールと、他方に設けられる嵌合部と、を有する戸袋離間規制手段を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエレベータのドア開閉装置。