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特開2023-23428歯科技工作業箱、歯科技工作業箱キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023428
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】歯科技工作業箱、歯科技工作業箱キット
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20230209BHJP
   A61C 13/38 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A61C13/00 M
A61C13/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128961
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】520191329
【氏名又は名称】株式会社オール・デンタル・ジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】小林 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤木 雄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 浩行
(57)【要約】
【課題】比較的軽量で取り扱い易い歯科技工作業箱及びそれを組み立てるための歯科技工作業箱キットの提供。
【解決手段】多面体の本体10を備え、本体10は1方向にて順に隣接する第1面11、第2面12、第3面13及び第4面14と、前記の4つの面と直交する第1側面21及び第2側面22とを有し、第1面11、第2面12、第3面13、第4面14、第1側面21及び第2側面22は紙、合成紙及びプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成され、第1側面21及び第2側面22には本体10の内部に手を挿入するための挿入穴31,32を形成するための挿入穴形成部41,42がそれぞれ設けられ、第1面11、第2面12及び第3面13の少なくとも一面には任意の領域が切除され窓部となる窓形成部51,52,53が設けられ、第4面14には任意の領域が切除され吸引穴となる吸引穴形成部81が1つ以上設けられている歯科技工作業箱1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体の本体を備え、
前記本体は、1方向にて順に隣接する第1面、第2面、第3面および第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面および前記第4面と直交し、互いに離隔して対向する第1側面および第2側面と、を有し、
前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第1側面および前記第2側面は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成され、
前記第1側面および前記第2側面には、前記本体の内部に手を挿入するための挿入穴を形成するための挿入穴形成部がそれぞれ設けられ、
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも一面には、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられ、
前記第4面には、任意の領域が切除され吸引穴となる吸引穴形成部が1つ以上設けられている、歯科技工作業箱。
【請求項2】
前記第1面、前記第2面および前記第3面にそれぞれ設けられる窓形成部は相似形でかつ大きさが等しい、請求項1に記載の歯科技工作業箱。
【請求項3】
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも1面には、前記窓部が形成され、
前記窓部の少なくとも1つは、透明シートで覆われている、請求項1または2に記載の歯科技工作業箱。
【請求項4】
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも2面には、前記窓部が形成され、
前記窓部の1つには、前記本体の内部から外方に突出する袋部が設けられている、請求項3に記載の歯科技工作業箱。
【請求項5】
漏斗をさらに有し、
前記第4面には、1つの吸引穴が形成され、
前記吸引穴には、前記本体の内部から前記漏斗の管状部分が挿通されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱。
【請求項6】
前記第1面が前記本体の上面、前記第3面が前記本体の底面であり、
前記第1面および前記第3面に前記窓部が形成され、
前記第1面に形成された前記窓部が前記透明シートで覆われ、
前記第3面に形成された前記窓部に、前記袋部が設けられ、
前記本体の高さが、前記本体の幅よりも短くなるように配置される、請求項4に記載の歯科技工作業箱。
【請求項7】
前記第1面が前記本体の正面、前記第2面が前記本体の上面、前記第4面が前記本体の底面であり、
前記第1面および前記第2面に前記窓部が形成され、
前記第1面に形成された前記窓部が透明シートで覆われ、
前記第4面に形成された前記吸引穴に、前記本体の内部から前記漏斗の管状部分が挿通され、
前記本体の高さが、前記本体の幅よりも長くなるように配置される、請求項5に記載の歯科技工作業箱。
【請求項8】
前記挿入穴形成部の周縁に、前記挿入穴形成部から外方に向かって放射状に延びるスリットが複数形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱。
【請求項9】
前記挿入穴形成部の周縁に、前記第1側面および前記第2側面の隅に延びる開口部を形成するための開口部形成部が設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱。
【請求項10】
前記本体の内面に消臭抗菌加工が施された、請求項1~9のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱。
【請求項11】
前記多面体は、直方体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱。
【請求項12】
組み立てた時に多面体となる組立前本体と、透明シートと、枠体と、漏斗と、を備え、
前記組立前本体は、1方向にて順に連接する第1面、第2面、第3面および第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面および前記第4面が連接する方向と直交する方向に延在し、前記第3面の両端にそれぞれ連接する第1側面および第2側面とを有し、
前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第1側面および前記第2側面は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成され、
前記第1側面および前記第2側面には、前記組立前本体を組み立ててなる本体の内部に手を挿入するための挿入穴を形成するための挿入穴形成部がそれぞれ設けられ、
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも一面には、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられ、
前記第4面には、任意の領域が切除され吸引穴となる吸引穴形成部が1つ以上設けられ、
前記透明シートは、前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも1面に形成される前記窓部の少なくとも1つを覆う大きさであり、
前記枠体は、前記第1面、前記第2面および前記第3面のいずれかに形成される前記窓部の周縁に嵌合可能であり、
前記吸引穴は、前記漏斗の管状部分が挿通可能である、歯科技工作業箱キット。
【請求項13】
前記第1面の前記第2面と連接する側とは反対側の端縁と、前記第4面の前記第3面と連接する側とは反対側の端縁とが接合されている、請求項12に記載の歯科技工作業箱キット。
【請求項14】
前記第1面、前記第2面および前記第3面にそれぞれ設けられる窓形成部は相似形でかつ大きさが等しい、請求項12または13に記載の歯科技工作業箱キット。
【請求項15】
前記挿入穴形成部の周縁に、前記挿入穴形成部から外方に向かって放射状に延びるスリットが複数形成されている、請求項12~14のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱キット。
【請求項16】
前記挿入穴形成部の周縁に、前記第1側面および前記第2側面の隅に延びる開口部を形成するための開口部形成部が設けられている、請求項12~15のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱キット。
【請求項17】
前記組立前本体の内面に消臭抗菌加工が施された、請求項12~16のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱キット。
【請求項18】
前記多面体は、直方体である、請求項12~17のいずれか1項に記載の歯科技工作業箱キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科技工作業箱、および歯科技工作業箱を組み立てるための歯科技工作業箱キットに関する。
【背景技術】
【0002】
義歯の修正等の加工には、義歯の研磨を行うための電動工具が用いられる。義歯の研磨を行うと、義歯の削りかす(塵)が飛散して、作業環境が汚染する。また、前記の塵は悪臭を放って、作業環境が汚染することがある。
【0003】
そこで、義歯の加工を行う際には、内部に義歯を収容する空間を有するとともに、その空間内に作業者の手を挿入して、その空間内で義歯の加工を行うことができる(歯科技工作業箱)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60-6509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の義歯の加工では、歯科技工作業箱は比較的重いものが用いられており、取り扱い難いものであった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、比較的軽量で、取り扱い易い歯科技工作業箱、および歯科技工作業箱を組み立てるための歯科技工作業箱キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]多面体の本体を備え、
前記本体は、1方向にて順に隣接する第1面、第2面、第3面および第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面および前記第4面と直交し、互いに離隔して対向する第1側面および第2側面と、を有し、
前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第1側面および前記第2側面は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成され、
前記第1側面および前記第2側面には、前記本体の内部に手を挿入するための挿入穴を形成するための挿入穴形成部がそれぞれ設けられ、
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも一面には、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられ、
前記第4面には、任意の領域が切除され吸引穴となる吸引穴形成部が1つ以上設けられている、歯科技工作業箱。
[2]前記第1面、前記第2面および前記第3面にそれぞれ設けられた窓形成部は相似形でかつ大きさが等しい、[1]に記載の歯科技工作業箱。
[3]前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも1面には、前記窓部が形成され、
前記窓部の少なくとも1つは、透明シートで覆われている、[1]または[2]に記載の歯科技工作業箱。
[4]前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも2面には、前記窓部が形成され、
前記窓部の1つには、前記本体の内部から外方に突出する袋部が設けられている、[3]に記載の歯科技工作業箱。
[5]漏斗をさらに有し、
前記第4面には、1つの吸引穴が形成され、
前記吸引穴形成部の少なくとも1つに、前記本体の内部から前記漏斗の管状部分が挿通されている、[1]~[4]のいずれかに記載の歯科技工作業箱。
[6]前記第1面が前記本体の上面、前記第3面が前記本体の底面であり、
前記第1面および前記第3面に前記窓部が形成され、
前記第1面に形成された前記窓部が前記透明シートで覆われ、
前記第3面に形成された前記窓部に、前記袋部が設けられ、
前記本体の高さが、前記本体の幅よりも短くなるように配置される、[4]に記載の歯科技工作業箱。
[7]前記第1面が前記本体の正面、前記第2面が前記本体の上面、前記第4面が前記本体の底面であり、
前記第1面および前記第2面に前記窓部が形成され、
前記第1面に形成された前記窓部が透明シートで覆われ、
前記第4面に形成された前記吸引穴に、前記本体の内部から前記漏斗の管状部分が挿通され、
前記本体の高さが、前記本体の幅よりも長くなるように配置される、[5]に記載の歯科技工作業箱。
[8]前記挿入穴形成部の周縁に、前記挿入穴形成部から外方に向かって放射状に延びるスリットが複数形成されている、[1]~[7]のいずれかに記載の歯科技工作業箱。
[9]前記挿入穴形成部の周縁に、前記第1側面および前記第2側面の隅に延びる開口部を形成するための開口部形成部が設けられている、[1]~[8]のいずれかに記載の歯科技工作業箱。
[10]前記本体の内面に消臭抗菌加工が施された、[1]~[9]のいずれかに記載の歯科技工作業箱。
[11]前記多面体は、直方体である、[1]~[10]のいずれかに記載の歯科技工作業箱。
[12]組み立てた時に多面体となる組立前本体と、透明シートと、枠体と、漏斗と、を備え、
前記組立前本体は、1方向にて順に連接する第1面、第2面、第3面および第4面と、前記第1面、前記第2面、前記第3面および前記第4面が連接する方向と直交する方向に延在し、前記第3面の両端にそれぞれ連接する第1側面および第2側面とを有し、
前記第1面、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第1側面および前記第2側面は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成され、
前記第1側面および前記第2側面には、前記組立前本体を組み立ててなる本体の内部に手を挿入するための挿入穴を形成するための挿入穴形成部がそれぞれ設けられ、
前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも一面には、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられ、
前記第4面には、任意の領域が切除され吸引穴となる吸引穴形成部が1つ以上設けられ、
前記透明シートは、前記第1面、前記第2面および前記第3面の少なくとも1面に形成される前記窓部の少なくとも1つを覆う大きさであり、
前記枠体は、前記第1面、前記第2面および前記第3面のいずれかに形成される前記窓部の周縁に嵌合可能であり、
前記吸引穴は、前記漏斗の管状部分が挿通可能である、歯科技工作業箱キット。
[13]前記第1面の前記第2面と連接する側とは反対側の端縁と、前記第4面の前記第3面と連接する側とは反対側の端縁とが接合されている、[12]に記載の歯科技工作業箱キット。
[14]前記第1面、前記第2面および前記第3面にそれぞれ設けられた窓形成部は相似形でかつ大きさが等しい、[12]または[13]に記載の歯科技工作業箱キット。
[15]前記挿入穴形成部の周縁に、前記挿入穴形成部から外方に向かって放射状に延びるスリットが複数形成されている、[12]~[14]のいずれかに記載の歯科技工作業箱キット。
[16]前記挿入穴形成部の周縁に、前記第1側面および前記第2側面の隅に延びる開口部を形成するための開口部形成部が設けられている、[12]~[15]のいずれかに記載の歯科技工作業箱キット。
[17]前記組立前本体の内面に消臭抗菌加工が施された、[12]~[16]のいずれかに記載の歯科技工作業箱キット。
[18]前記多面体は、直方体である、[12]~[17]のいずれかに記載の歯科技工作業箱キット。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較的軽量で、取り扱い易い歯科技工作業箱、および歯科技工作業箱を組み立てるための歯科技工作業箱キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を構成する透明シートを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を構成する漏斗を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を示す展開図であり、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱キットを構成する組立前本体を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を構成する枠体を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱、歯科技工作業箱キットについて説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
[歯科技工作業箱]
以下、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を構成する透明シートを示す平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を構成する漏斗を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱を示す展開図であり、本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱キットを構成する組立前本体を示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の歯科技工作業箱1は、多面体の本体10を備える。本体10の形状は、多面体であれば特に限定されないが、例えば、直方体であることが好ましい。図1では、本体10の形状が直方体である場合を例示する。本体10について、図4を用いて説明する。図4に示す組立前本体200は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種で構成されている。
【0013】
組立前本体200は、1方向にて順に連接する第1面11、第2面12、第3面13および第4面14を有する。第1面11は上記本体10の第1面11、第2面12は上記本体10の第2面12、第3面13は上記本体10の第3面13、第4面14は上記本体10の第4面14となる。
また、組立前本体200は、第1面11、第2面12、第3面13および第4面14が連接する方向(図4に示すY方向)と直交する方向(図4に示すX方向)に延在し、第3面13の両端にそれぞれ連接する第1側面21および第2側面22を有する。第1側面21は上記本体10の第1側面21、第2側面22は上記本体10の第2側面22となる。
第1面11、第2面12、第3面13、第4面14、第1側面21および第2側面22の平面視の形状は、長方形状である。
【0014】
第1面11と第3面13は、同一形状をなしている。第2面12と第4面14は、同一形状をなしている。第1面11、第2面12、第3面13および第4面14は、図4に示すX方向が長辺、図4に示すY方向が短辺の長方形状をなしている。
【0015】
第1側面21と第2側面22は、同一形状をなしている。第1側面21および第2側面22は、図4に示すY方向が長辺、図4に示すZ方向が短辺の長方形状をなしている。
【0016】
第1側面21および第2側面22には、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、その内部に手を挿入するために上記挿入穴31,32を形成するための挿入穴形成部41,42がそれぞれ設けられている。挿入穴形成部41,42は、第1側面21と第2側面22の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、挿入穴形成部41,42のミシン目の接続部分を切断し、組立前本体200を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、挿入穴31,32が形成される。
【0017】
第1面11、第2面12および第3面13には、任意の領域が切除され、上記窓部61,62,63となる窓形成部51,52,53がそれぞれ設けられている。なお、第1面11、第2面12および第3面13の少なくとも一面に、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられていればよい。
【0018】
図4に示す組立前本体200は、本体10を組み立てる前のものであり、組立前本体200を後述する組立方法により組み立て、多面体の本体10とする。この本体10は、1方向にて順に隣接する第1面11、第2面12、第3面13および第4面14を有する。第1面11、第2面12、第3面13および第4面14は、隣接する面と直交する。第1面11と第3面13は対向している。第2面12と第4面14は対向している。また、本体10は、第1面11、第2面12、第3面13および第4面14と直交し、互いに離隔して対向する第1側面21および第2側面22を有する。第1面11、第2面12、第3面13、第4面14、第1側面21および第2側面22の平面視の形状は、長方形状である。
【0019】
第1面11と第3面13は、同一形状をなしている。第1面11および第3面13は、図1に示すX方向が長辺、図1に示すY方向が短辺の長方形状をなしている。第2面12と第4面14は、同一形状をなしている。第2面12および第4面14は、図1に示すX方向が長辺、図1に示すZ方向が短辺の長方形状をなしている。
【0020】
第1側面21と第2側面22は、同一形状をなしている。第1側面21および第2側面22は、図1に示すY方向が長辺、図1に示すZ方向が短辺の長方形状をなしている。
【0021】
本実施形態では、第1面11が正面、第3面13が背面、第2面12が上面、第4面14が底面、第1側面21および第2側面22が側面である。
【0022】
第1側面21および第2側面22には、本体10の内部に手を挿入するための挿入穴31,32を形成するための挿入穴形成部41,42がそれぞれ設けられている。挿入穴形成部41,42は、第1側面21と第2側面22の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、開口部形成部34,36のミシン目の接続部分を切断し、開口部形成部34,36を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、挿入穴31,32が形成される。
【0023】
第1面11、第2面12および第3面13には、任意の領域が切除され窓部61,62,63となる窓形成部51,52,53がそれぞれ設けられている。なお、第1面11、第2面12および第3面13の少なくとも一面に、任意の領域が切除され窓部となる窓形成部が設けられていればよい。以下、窓形成部51を第1窓形成部51、窓形成部52を第2窓形成部52、窓形成部53を第3窓形成部53と言うこともある。
第1窓形成部51は、第1面11の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、第1窓形成部51のミシン目の接続部分を切断し、第1窓形成部51を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、窓部61が形成される。
第2窓形成部52は、第2面12の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、第2窓形成部52のミシン目の接続部分を切断し、第2窓形成部52を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、窓部62が形成される。
第3窓形成部53は、第3面13の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、第3窓形成部53のミシン目の接続部分を切断し、第3窓形成部53を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、窓部63が形成される。
【0024】
第1面11、第2面12および第3面13にそれぞれ設けられる窓形成部51,52,53は相似形でかつ大きさが等しいことが好ましい。窓形成部51,52,53の平面視の形状は、長方形状である。窓形成部51,52,53は相似形でかつ大きさが等しいことにより、後述する透明シートをそれぞれの窓形成部51,52,53の大きさに合わせて形成する必要がなく、全ての窓形成部51,52,53に同一の透明シートを貼付することができる。また、後述する枠体をそれぞれの窓形成部51,52,53の大きさに合わせて形成する必要がなく、全ての窓形成部51,52,53に同一の枠体を嵌合することができる。
【0025】
窓部61,62,63の少なくとも1つは、透明シート100で覆われていることが好ましい。窓部61,62,63の少なくとも1つを透明シート100で覆うことにより、本体10の内部で発生した塵等が、作業者の顔に向かって飛散することを抑制できる。
【0026】
透明シート100は、粘着剤により、本体10の内面から、窓部61,62,63の少なくとも1つを覆うように再貼着可能なテープにより貼付されてもよい。また、透明シート100は、本体10の内面から、それぞれの窓(窓形成部51,52,53)の四隅に形成されたスリット51a,52a,53aに、透明シート100の四隅を差し込んで、窓部61,62,63の少なくとも1つを覆うように配置してもよい。
【0027】
第4面14には、任意の領域が切除され吸引穴71となる吸引穴形成部81が1つ以上設けられていることが好ましい。また、吸引穴形成部81は、第4面14において、中心からずれた位置に設けられている、すなわち、長方形の長手方向の両端側に偏在していることが好ましい。これにより、上記漏斗110が本体10の内部における手作業を妨げることを抑制できる。吸引穴形成部81は、第4面14の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、吸引穴形成部81のミシン目の接続部分を切断し、吸引穴形成部81を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、吸引穴71が形成される。吸引穴71には、本体10の内部から、漏斗110の管状部分111が挿通されることが好ましい。漏斗110を設けることにより、本体10の内部で発生した塵を、漏斗110を介して吸引し、本体10の外部に排出することができる。
【0028】
図1に示すように、吸引穴71は、第4面14において、長方形の長手方向の一端側に偏在していることが好ましい。これにより、漏斗110が本体10の内部における作業を妨げることを抑制できる。
【0029】
第1側面21において、挿入穴形成部41の周縁に、挿入穴形成部41から外方に向かって放射状に延びるスリット43が複数形成されていることが好ましい。第2側面22において、挿入穴形成部42の周縁に、挿入穴形成部42から外方に向かって放射状に延びるスリット44が複数形成されていることが好ましい。スリット43,44は、第1側面21と第2側面22の厚さ方向に形成された切込、ミシン目である。スリット43,44がミシン目である場合、必要に応じて、接続部分を切断する。複数のスリット43,44が形成されていることにより、挿入穴31,32を介して、本体10の内部に手を挿入する際に、本体10が手の動きを妨げることを抑制できる。
【0030】
第1側面21において、挿入穴形成部41の周縁に、第1側面21の隅(第2面12と第3面13が交わる隅)に延びる開口部33を形成するための開口部形成部34が設けられていることが好ましい。第2側面22において、挿入穴形成部42の周縁に、第2側面22の隅(第2面12と第3面13が交わる隅)に延びる開口部35を形成するための開口部形成部36が設けられていることが好ましい。開口部形成部34,36(開口部33,35)の平面視の形状は、本体10の内部で用いられる電動器具等の器具から延びる配線を挿通することができる形状であれば、特に限定されない。開口部形成部34,36は、第1側面21と第2側面22の厚さ方向に形成されたミシン目である。必要に応じて、開口部形成部34,36のミシン目の接続部分を切断し、本体10を構成する紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種を分離、除去することにより、開口部33,35が形成される。開口部33,35を形成し、開口部33,35を介して前記の配線を挿通することにより、配線が本体10の内部における手作業を妨げることを抑制できる。なお、開口部形成部34,36(開口部33,35)は、挿入穴形成部41,42の周縁から、第1面11と第2面12が交わる隅に延びていてもよい。また、開口部形成部34,36(開口部33,35)は、挿入穴形成部41,42の周縁から、第3面13と第4面14が交わる隅に延びていてもよい。また、開口部形成部34,36(開口部33,35)は、挿入穴形成部41,42の周縁から、第4面14と第1面11が交わる隅に延びていてもよい。
【0031】
「本体」
本体10は、紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種から構成される。すなわち、本体10は、紙のみから構成されていてもよく、プラスチックシートのみから構成されていてもよく、紙とプラスチックシートのみから構成されていてもよい。
紙としては、本体10が所定の形状を保ちながら自立することができるものであれば、特に限定されない。このような紙としては、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄葉印刷紙等の非塗工印刷用紙;微塗工印刷用紙;アート紙、上質コート紙、中質コート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、エンボス紙等の塗工印刷用紙;色上質紙等の特殊印刷用紙;重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙、特殊両更クラフト紙、筋入りクラフト紙、片艶クラフト紙等の未ざらし包装紙;純白ロール紙、両更さらしクラフト紙、片艶さらしクラフト紙、薄口模造紙等のさらし包装紙;建築用原紙、積層板原紙、接着紙原紙、食品容器原紙、塗工印刷用紙、電気絶縁紙等の工業用雑種紙;家庭用雑種紙等が挙げられる。
合成紙としては、無機鉱物を主体としたストーンペーパー、例えば、株式会社TBM製の石灰石を主原料とするLIMEX(登録商標)シート等が挙げられる。なお、ストーンペーパーとは石灰石とプラスチックを使用した素材で、無機鉱物とは石灰石等の天然鉱物を指すが、天然鉱物と類似、同じ性質を有する人工物も含む。例えば、合成した炭酸カルシウムや合成雲母が挙げられる。
プラスチックシートとしては、本体10が所定の形状を保ちながら自立することができるものであれば、特に限定されない。このようなプラスチックシートとしては、ポリスチレンシート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンから構成されるポリオレフィンシート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから構成されるポリエステルシート、ポリ塩化ビニールシート等が挙げられる。
【0032】
本体10の内面には、消臭抗菌加工が施されていることが好ましい。
【0033】
本体10の内面の消臭抗菌加工は、前記の内面への消臭抗菌シートの貼付や、前記の内面への消臭抗菌塗膜の形成によって行われる。
【0034】
「消臭抗菌シート」
消臭抗菌シートとしては、例えば、漆喰粘着シートが挙げられる。
漆喰粘着シートは、合成樹脂製フィルム基材と、合成樹脂製フィルム基材の一方の面に設けられ、消石灰、着色・体質顔料および水溶性結合材樹脂を含有する漆喰顔料層とを有する。
【0035】
合成樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等が挙げられる。
【0036】
漆喰顔料層に含まれる消石灰としては、例えば、漆喰材料として市販されているものが挙げられる。
【0037】
漆喰顔料層に含まれる着色・体質顔料は、着色顔料であっても、体質顔料であっても、着色顔料と体質顔料の両方からなるものであってもよい。
着色顔料としては、無機の白色顔料が好ましい。一般的な着色顔料としては、酸化チタンやタルク、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。
体質顔料としては、公知のものが種々使用できる。一般的な体質顔料としては、炭酸カルシウムや石膏、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
【0038】
漆喰顔料層に含まれる水溶性結合材樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0039】
「消臭抗菌塗膜」
消臭抗菌塗膜は、以下のような水性塗料組成物によって形成される塗膜である。
水性塗料組成物は、水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)、カルボキシ基含有分散樹脂(B)、アルカリ金属化合物(C)、アミノ基と酸基とを有する化合物(D)、並びに水を含有し、さらに増粘剤および/またはバインダー樹脂(E)を含有してもよい水性塗料組成物であって、上記カルボキシ基含有分散樹脂(B)、アミノ基と酸基とを有する化合物(D)、増粘剤およびバインダー樹脂(E)に含まれる酸基1モルに対して、上記アルカリ金属化合物(C)が0.1モル~2.0モルの範囲内で含まれる。
【0040】
<水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)>
水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)は、水性塗料組成物により得られた塗膜の防かび性、抗菌性、抗ウィルス性、消臭性、調湿性等の機能を発現するための成分である。以下、「水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)」を「成分(A)」と記すことがある。
【0041】
成分(A)は、得られた塗膜に落ち着きのある重厚な仕上がり感を与える役割だけでなく、塗膜表面における大気中の二酸化炭素との反応により該塗膜に物理的強度を与える役割も有する。得られた塗膜が、成分(A)に起因する上記機能と役割を十分に発揮するためには、水性塗料組成物に含まれる全固形分の質量を基準として、成分(A)が20質量%~70質量%の範囲内で含まれることが好ましく、30質量%~60質量%の範囲内で含まれることがより好ましい。
【0042】
成分(A)の配合量が、20質量%未満の場合、水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムに起因する優れた機能(防かび性、抗菌性、消臭性、調湿性)を十分に発揮できないことがある。また、成分(A)の配合量が、70質量%を超える場合、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性や塗装作業性が低下することがある。
【0043】
水酸化カルシウムとしては、水酸化カルシウムまたは消石灰として工業的に生産されているものを用いることができる。本明細書において「水酸化カルシウム」を「消石灰」と記すことがある。水酸化カルシウムは、石灰石を原料として製造されるものを使用できるが、貝殻、珊瑚、卵の殻、動物の骨等を原料として製造されるものを用いてもよい。水性塗料組成物の製造原料として、水酸化カルシウムを主成分として含有するものを用いてもよく、例えば、他成分として炭酸カルシウム、生石灰、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等を含むものや、不純物として、鉄、アルミニウム、リン等の酸化物やシリカを含んでいるものを製造原料として用いてもよい。
【0044】
水酸化マグネシウムとしては、工業的に生産されているものを用いることができる。水酸化マグネシウムを含む工業原料としては、水酸化ドロマイトを用いてもよい。水酸化ドロマイトは、一般に軽焼ドロマイトと水との反応により製造されるものであり、主成分として水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとを含むものである。ドロマイトの産地や製造工程により、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの成分比は異なることあるが、例えば、63:37(質量比)の水酸化ドロマイトを用いることができる。
【0045】
水性塗料組成物は、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとを任意の割合で含むことができる。消石灰を原料として配合する場合には、水酸化マグネシウムを実質的に含有しなくてもよい。また、消石灰および水酸化ドロマイトを原料として配合する場合には、水性塗料組成物に含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの合計質量に対して、水酸化マグネシウムの含有量を0.1質量%~40質量%の範囲内で調整してもよい。
【0046】
<カルボキシ基含有分散樹脂(B)>
カルボキシ基含有分散樹脂(B)は、前記成分(A)の分散と、水性塗料組成物の良好な、貯蔵安定性、塗装作業性、仕上がり性等を確保することを目的として用いられる。
【0047】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)は、カルボキシ基を有している限り、樹脂の種類や構造は限定されない。カルボキシ基含有分散樹脂(B)としては、例えば、カルボキシ基を有する、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等、およびこれらの樹脂の変性樹脂、並びに、任意の2種類以上の樹脂の複合したものや混合したものが挙げられる。また、カルボキシ基含有分散樹脂(B)は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、グラジェントコポリマー、デンドリマー、分岐ポリマー、超分岐ポリマー、テレケリックポリマー、片末端に官能基を有するポリマー等に構造上分類されるものであってもよい。
【0048】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の酸価は、限定されないが、例えば、4mgKOH/g~400mgKOH/gであることが好ましく、7mgKOH/g~300mgKOH/gであることがより好ましく、8mgKOH/g~250mgKOH/gであることがさらに好ましい。
ここで酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性遊離官能基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を、アルカリ中和滴定に基づく常法により求めたものである。
カルボキシ基含有樹脂(B)の酸価が4mgKOH/g未満の場合、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性が劣ることがあり、また、得られた塗膜にブツが発生することがある。カルボキシ基含有樹脂(B)の酸価が400mgKOH/gを超える場合、得られた水性塗料組成物の粘度が高くなることがある。
【0049】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の水酸基価も限定されないが、450mKOH/g以下であることが好ましい。
【0050】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の重量平均分子量は、限定されないが、例えば、1000~100000であることが好ましく、2000~80000であることがより好ましく、3000~45000であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が1000未満である場合、水性塗料組成物の貯蔵安定性が劣ることがあり、また、得られた塗膜にブツが発生することがある。重量平均分子量が100000を超える場合、水性塗料組成物の粘度が高くなることがある。
【0051】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の配合量は、限定されないが、例えば、成分(A)の質量を基準として、0.5質量%~15.0質量%であることが好ましく、0.7質量%~12.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%~10.0質量%であることがさらに好ましい。
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の配合量が0.5質量%未満である場合、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性が劣ることがあり、また、得られた塗膜にブツが発生することがある。カルボキシ基含有樹脂(B)の配合量が15質量%を超える場合、水性塗料組成物の粘度が高くなることがある。
【0052】
カルボキシ基含有分散樹脂(B)の種類は、特に限定されないが、アクリル樹脂(b-1)、ポリオレフィン樹脂(b-2)およびポリウレタン樹脂(b-3)からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0053】
アクリル樹脂(b-1)としては、通常、カルボキシ含有重合性不飽和モノマーおよび該カルボキシ基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中で重合開始剤を用いた溶液重合法等の方法により共重合させることによって製造することができる。上記重合開始剤は、アゾ系化合物、過酸化物、金属化合物等の公知の重合開始剤を用いてよい。また、重合反応においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いてもよい。アクリル樹脂(b-1)の構造は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、グラジェント共重合体等の何れであってもよく、公知の重合方法により製造することができる。なお、アクリル樹脂(b-1)を溶液重合法により製造した場合は、溶媒を除去してからを用いてもよい。
【0054】
上記カルボキシ含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル等のカルボキシル基含有モノマー等が挙げられる。
【0055】
上記カルボキシ基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート等のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物のε-カプロラクトン変性体、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ-ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジメチルアンモニウムメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジメチルアンモニウムベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジエチルアンモニウムメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジエチルアンモニウムベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸トリメチルアンモニウムメチルサルフェート塩、(メタ)アクリル酸トリエチルアンモニウムメチルサルフェート塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジメチルアンモニウムメチルサルフェート塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジメチルアンモニウムエチルサルフェート塩、(メタ)アクリル酸トリメチルアミノエチルp-トルエンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸アミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート塩等の4 級アンモニウム基含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー; マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N-ビニルピロリドン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の含窒素重合性不飽和モノマー;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメトキシ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノアルコキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有重合性不飽和モノマー;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とポリアルキレングリコールとのモノエステル化物;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4~7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
【0057】
ポリオレフィン樹脂(b-2)としては、公知のカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂(b-2)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂をカルボキシ基含有不飽和化合物により変性したもの、およびオレフィンモノマーとカルボキシ基含有重合性不飽和モノマーとの共重合体等のカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0058】
ポリウレタン樹脂(b-3)としては、例えば、ポリイソシアネートとカルボキシ基含有ポリオールとの重付加反応により得られたものが挙げられる。
【0059】
<アルカリ金属化合物(C)>
アルカリ金属化合物(C)としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属の化合物を挙げることができる。アルカリ金属化合物(C)としては、具体的には、上記金属の水酸化物、アルコキシ化物、酸化物、ハロゲン化物、カルボキシ基を有する有機基との塩等を挙げることができるが、特に上記金属の水酸化物が好適である。
【0060】
アルカリ金属化合物(C)の配合量は、カルボキシ基含有分散樹脂(B)、アミノ基と酸基とを有する化合物(D)、増粘剤およびバインダー樹脂(E)(増粘剤および成分(E)については、これらの成分が塗料組成物に含まれる場合)に含まれる全ての酸基1モルに対して、0.1モル~2.0モルであることが好ましく、0.2モル~1.5モルであることがより好ましい。アルカリ金属化合物(C)の配合量が前記の範囲内であると、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、得られた塗膜に発生するブツを大幅に抑制することができ、水性塗料組成物製造を容易に行うことができる。アルカリ金属化合物(C)の配合量が上記酸基1モルに対して、0.1モル未満である場合、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性が不足することがある。アルカリ金属化合物(C)の配合量が上記酸基1モルに対して、2.0モルを超える場合、塗膜の耐水性が損なわれることがある。
【0061】
水性塗料組成物は、前記の範囲内でアルカリ金属化合物(C)を含む限りにおいて、他の塩基性化合物、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の有機アミン化合物、アンモニア、4級アンモニウム化合物等を含んでいてもよい。
【0062】
<アミノ基と酸基とを有する化合物(D)>
アミノ基と酸基とを有する化合物(D)を配合することにより、水性塗料組成物製造を容易に行うことができ、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し、得られた塗膜に発生するひび割れやブツを大幅に抑制することができる。
【0063】
上記化合物(D)の配合量は、特に限定されないが、例えば、前記水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)の合計100質量部に対して、0.1質量部~15.0質量部であることが好ましく、0.2質量部~12.0質量部であることがより好ましく、0.5質量部~10.0質量部であることがさらに好ましい。
化合物(D)の配合量が0.1質量部未満である場合、塗膜に発生するひび割れやブツの抑制が十分でないことがある。化合物(D)の配合量が15.0質量部を超える場合、得られた塗膜の表面にタック感が残ることがある。
【0064】
アミノ基と酸基とを有する化合物(D)において、該酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基等が挙げられる。
【0065】
化合物(D)のうち、酸基としてカルボキシ基を有する化合物としては、具体的には、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、テアニン、トリコロミン酸、カイニン酸、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、サイロキシン、ホスホセリン、デスモシン、β-グリシン、β-アラニン、サルコシン、N-メチルグリシン、オルニチン、シトルリン、クレアチン、γ-アミノ酪酸、オパイン、トリメチルグリシン、7-アミノヘプタン酸、6-アミノヘキサン酸、12-アミノラウリン酸、5-アミノペンタン酸、アミノ安息香酸等のアミノ酸;上記アミノ酸の重合物(ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド等);ニトリル三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンコハク酸、ジエチレントリアミノ五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)、L-アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジメルカプトールコハク酸(DMSA)、およびメチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DEG)、トリエタノールアミン(TEA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HEIDA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、および1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA-OH)、ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール四酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸等のアミノカルボン酸が挙げられる。化合物(D) うち酸基としてスルホン酸を有する化合物としては、例えば、タウリン、N-メチルタウリン、ヒポタウリン、5-アミノ-1-ペンタンスルホン酸、2-(ブチルアミノ)エタンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸等が挙げられる。化合物(D)のうち酸基としてスルフィン酸を有する化合物としては、例えば、3-アミノ-1-プロパンスルフィン酸、1-アミノ-2-プロパンスルフィン酸等が挙げられる。化合物(D)のうち酸基としてホスホン酸を有する化合物としては、2-アミノエチルホスホン酸、アミノフェニルホスホン酸、3-アミノプロピルホスホン酸、4-アミノブチルホスホン酸、2-(メチルアミノ)エチルホスホン酸、1-アミノブチルホスホン酸、1-アミノエチルホスホン酸等が挙げられる。化合物(D)のうち酸基としてホスフィン酸を有する化合物としては、メチル(3-アミノプロピル)ホスフィン酸、(2-アミノエチル)ホスフィン酸、ブチル(3-アミノプロピル)ホスフィン酸等が挙げられる。これらのうち、酸基としてカルボキシ基を有する化合物が好ましい。
【0066】
<顔料>
水性塗料組成物は、着色顔料や体質顔料を含んでいてもよい。
着色顔料としてチタン白を配合することにより、得られた塗膜の隠ぺい性が向上して塗り継ぎむらを抑制することができる。
上記チタン白は、ルチル型、アナタース型およびブルッカイト型のいずれの結晶型のものを用いてもよい。
上記チタン白は塩素法、硫酸法等の何れの方法で製造されたものを使用してもよい。
上記チタン白は、アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素等の金属の酸化物や、ヒドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム化合物によって、表面処理されていてもよい。
【0067】
上記チタン白としては、塗膜の着色力や仕上がり性の点から、平均粒径が10nm~1500nmの範囲内のものを用いることが好ましく、平均粒径が150nm~500nmの範囲内のものを用いることがより好ましい。
ここで、チタン白顔料の平均粒径は、電子顕微鏡による観察により測定される平均粒子径である。チタン白顔料は略球状なので直径を測定する。具体的には、透過型電子顕微鏡画像から粒子を100個選び、米国NIH(National Instituteof Health)製フリーソフト:NIH Image1.63を用いて平均粒径を求める。
【0068】
上記チタン白の配合量は、特に限定されないが、例えば、隠ぺい性の観点から、水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)の合計100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましく、20質量部~150質量部であることがより好ましく、25質量部~125質量部であることがさらに好ましい。チタン白を上記範囲内で配合することにより、塗膜の隠ぺい性が向上して塗り継ぎむらの抑制に効果があり、白色以外の色と混合した場合の発色や着色安定性を良好なものにすることができる。
【0069】
上記チタン白以外の白色顔料としては、例えば、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、硫酸鉛、鉛白、酸化アンチモン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、および酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
上記白色以外の着色顔料としては、有機顔料および無機顔料の何れを用いてもよく、例えば、複合酸化物系顔料、カーボンブラック、酸化鉄系顔料、鉛丹、朱、群青、クロムイエロー、カドミウムイエロー、ジンククロメート、カドミウムレッド、アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料、紺青等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。
【0072】
<バインダー樹脂(E)>
水性塗料組成物は、塗装作業性の向上、被塗物への塗膜の付着性の向上、および、ひび割れ抑制の観点から、バインダー樹脂(E)を配合することができる。
【0073】
上記バインダー樹脂(E)の酸価は、貯蔵安定性の観点から、60mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。該酸価が60mgKOH/gを超える場合、得られた水性塗料組成物の貯蔵安定性や塗装作業性が低下したり、被塗物への付着性が低下したりすることがある。
【0074】
バインダー樹脂(E)の配合量は、限定されないが、例えば、前記水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム(A)の合計100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部~100質量部であることがより好ましく、20質量部~70質量部であることがさらに好ましい。
上記配合量が100質量部を超える場合、水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムに起因する防かび性、抗菌性、消臭性、調湿性等の機能を十分に発揮できないことがある。
【0075】
バインダー樹脂(E)としては、水性塗料組成物に用いられるものであれば、天然樹脂および合成樹脂の何れを用いてもよい。
【0076】
上記天然樹脂としては、例えば、多糖類、デンプン、天然ゴム、タンパク質、ゼラチン、カゼイン、ポリグルタミン酸、キサンタンガム、ヒアルロン酸、セルロース、海藻から抽出される樹脂等が挙げられる。これらは化学的に変性されたものを用いてもよい。
【0077】
上記合成樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン、およびこれらの樹脂の変性樹脂または複合樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
バインダー樹脂(E)は、水溶化または水分散した樹脂を用いることが好ましい。水溶化した樹脂としては、例えば、公知の方法により樹脂にカルボキシ基またはポリオキシエチレン基等の親水性基を導入したものを挙げることができる。また、上記水分散した樹脂は、乳化重合法、分散重合法、分散剤または乳化剤を用いた水分散による方法等、公知の方法によって得られたものを挙げることができる。
【0079】
水性塗料組成物の塗装作業性、および塗膜の付着性と割れ抑制の観点から、バインダー樹脂(E)としては、アクリル樹脂(e-1)、ポリオレフィン樹脂(e-2)、ポリウレタン樹脂(e-3)、およびこれらの樹脂から選択される2種類以上の樹脂を構成成分とする複合樹脂(e-4からなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
【0080】
バインダー樹脂(E)は、特に塗膜の付着性と割れ抑制の観点から、例えば、その重量平均分子量が10000以上であることが好ましく、21000以上であることがより好ましく、50000以上であることがさらに好ましい。
上記バインダー樹脂(E)は水溶性または水分散性のどちらの樹脂を用いてもよい。また、バインダー樹脂(E)は水分散性の架橋樹脂粒子であってもよい。
【0081】
アクリル樹脂(e-1)としては、水溶性アクリル樹脂または水分散性アクリル樹脂を用いることができる。水溶性アクリル樹脂は、例えば、溶液重合により製造することができる。また、水分散性アクリル樹脂は、例えば、乳化重合、ミニエマルション重合、懸濁重合等の重合方法により製造することができる。
【0082】
前記重合に用いることのできる重合性不飽和モノマーとしては、アクリル樹脂(b-1)の製造に使用可能な重合性不飽和モノマーとして挙げたものと同様のものが挙げられる。また、必要に応じて、同一分子内に2個以上の重合性不飽和基を有するモノマーや、自己または相補的に反応して化学結合を形成し得る官能基を有する重合性不飽和モノマーを用いてもよい。
【0083】
上記乳化重合、ミニエマルション重合および懸濁重合は、それぞれ常法により行うことができる。乳化重合は、具体的には、界面活性剤および/または分散樹脂、および重合開始剤を用いて重合性不飽和モノマーの混合物を水中で乳化重合することにより行うことができる。
【0084】
上記乳化重合においては、コア/シェル型等の2層以上の多層構造を有するエマルション粒子や、粒子中心部から粒子外周に向かって、構成モノマー組成の濃度分布に傾斜を持たせたエマルション粒子等を、公知の方法により製造することができる。
【0085】
前記ポリオレフィン樹脂(e-2)としては、当該分野で公知の、水溶解性または水分散性のポリオレフィン樹脂を用いることができる。該ポリオレフィン樹脂としてはカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が挙げられる。具体的には、ポリオレフィン樹脂をカルボキシ基含有不飽和化合物により変性したもの、およびオレフィンモノマーとカルボキシ基含有重合性不飽和モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0086】
上記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、および1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィンが挙げられる。
【0087】
水性塗料組成物においては、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、公知の方法で製造されたポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したポリオレフィン樹脂等を好適に用いることができる。
【0088】
ポリウレタン樹脂(e-3)としては、当該分野で公知のものを用いることができ、例えば、ポリイソシアネート、ポリオールおよびカルボキシル基含有ジオールを反応させてなるウレタンプレポリマーを水中に分散することにより得られるエマルションが挙げられる。上記ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールや、エチレングリコール、グリセリン等の低分子量ポリオール等が挙げられる。また、上記ウレタンプレポリマーは水中で分散したものをポリウレタン樹脂(e-3)として、そのまま用いてもよいが、必要に応じて、ジオール、ジアミン等の1分子中に少なくとも2個の活性水素を持つ化合物を鎖伸長剤として使用して、さらに反応させて鎖伸長反応することにより得られるものをポリウレタン樹脂(e-3)として用いてもよい。
【0089】
複合樹脂(e-4)としては、例えば、アクリル樹脂とポリウレタン樹脂との複合樹脂、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂との複合樹脂、ポリウレタン樹脂とポリオレフィン樹脂との複合樹脂、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂とポリウレタン樹脂との複合樹脂等が挙げられる。上記複合樹脂は、該複合樹脂を構成する種類の異なる樹脂が共有結合、イオン結合、水素結合、疎水結合、ファンデルワールス力、金属結合等により、互いに化学的に結合したものを意味する。複合樹脂(e-4)は、当該分野で公知のものを用いることができる。
【0090】
<その他の成分>
水性塗料組成物は、前記成分以外に、必要に応じて、キレート剤、有機溶剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、骨材、樹脂ビーズ、防錆顔料、表面調整剤、シランカップリング剤、乳化剤、分散剤、撥水剤、湿潤剤、光触媒、エチレン尿素、グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノセルロース等を配合してもよい。水性塗料組成物は、本発明の効果が得られる範囲内で、酢酸等の一価カルボン酸、シュウ酸等の多価カルボン酸等を含んでいてもよい。
【0091】
塗料組成物は、前記成分を混合、攪拌して製造することができる。配合組成や製造のスケールにより、仕込み方法や攪拌方法は適宜選択することができる。また、必要に応じて、窒素雰囲気で製造を行ってもよい。
【0092】
水性塗料組成物の塗装は、公知の塗装方法で行うことができる。具体的には、例えば、ディップ塗装、刷毛塗り、流し塗り、コテ塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、エアレススプレー塗装、フローコーター塗装、ロールコーター塗装、またはバキュームコーター等が挙げられる。上記塗装方法や被塗物に応じて、水性塗料組成物は、水または有機溶剤を配合して濃度を調整すること、および増粘剤の添加や異なる種類の増粘剤を組み合わせて配合すること等により、該水性塗料組成物のレオロジーを適宜調製して塗装することができる。
【0093】
水性塗料組成物の固形分濃度は、貯蔵安定性の観点から、40質量%~65質量%であることが好ましい。なお、固形分は、JIS K561に規定されている、所定条件下で蒸発によって得られる残さの質量分率である加熱残分として求めることができる。
【0094】
乾燥膜厚は、所望に応じて設定してもよいが、例えば、1μm~10000μmとなるように塗料組成物を塗装することができる。
【0095】
被塗物表面に塗装された水性塗料組成物の乾燥は、自然乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法等の何れの方法で行ってもよい。また、コーティング組成物に結被塗物が紙、繊維、多孔質素材などの場合、水性塗料組成物を上記素材に含浸させたあと、被塗物の性質に応じた乾燥方法を選択して乾燥することができる。なお、上記乾燥法により得られた塗膜の乾燥状態は、JIS K5600-1-1に規定された指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥の何れの状態であってもよい。上記乾燥は、得られた塗膜中の水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムと二酸化炭素との反応の程度を意味するのもではない。
【0096】
「透明シート」
透明シート100は、図2に示すように、平面視の形状が長方形状である。透明シート100の大きさは、窓部61,62,63の大きさに応じて、適宜調整される。
【0097】
透明シート100の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0098】
透明シート100の厚さは、特に限定されないが、10μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上300μm以下であることがより好ましく、50μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。透明シート100の厚さが上記の範囲内であれば、本体10の内部で発生した塵によって、透明シート100が破れることがない上に、透明シート100を介して、本体10の内部を観察し難くなることがない。
【0099】
透明シート100は、周縁部に粘着剤(再貼着可能なテープ)が設けられていてもよい。透明シート100に粘着剤が設けられていることにより、窓部61,62,63の少なくとも1つを透明シート100で覆うことができる。
粘着剤としては、透明シート100が汚れたり、破損したりした場合に、容易に貼り替え可能な程度の粘着力を有するものが好ましい。
【0100】
「漏斗」
漏斗110は、図3に示すように、逆円錐形の本体部分112と、本体部分112円錐の先端から伸びる「足」と呼ばれる管状部分111とを有する。また、管状部分111の内部には、管状部分111の長手方向に沿って十字板状の整流板113が形成されている。整流板113を設けることにより、本体10の内部で発生した塵を、漏斗110を介して吸引した際に、塵が逆流することを抑制できる。
【0101】
漏斗110の材質は、特に限定されないが、腐食し難い観点から、プラスチックが好ましい。
【0102】
「歯科技工作業箱の使用方法」
本実施形態の歯科技工作業箱1の使用方法を説明する。
図1に示すように、本体10において、第1面11の第1窓形成部51に観察窓61を形成し、第2面12の第2窓形成部52に採光窓62を形成し、第4面14の吸引穴形成部81に吸引穴71を形成する。なお、吸引穴71を形成する位置は、作業者の利き手と反対側の位置が好ましい。このようにすれば、吸引穴71に設ける漏斗110により、作業者の作業が妨げられることを抑制できる。本体10において、第1側面21の挿入穴形成部41に挿入穴31を形成し、開口部形成部34に開口部33を形成する。本体10において、第2側面22の挿入穴形成部42に挿入穴32を形成し、開口部形成部36に開口部35を形成する。
また、本体10において、内面から第1面11の観察窓61を透明シート100で覆う。
さらに、吸引穴71に、本体10の内部から漏斗110の管状部分111を挿通する。漏斗110の管状部分111の先端部には、真空ポンプ等の吸引装置が接続される。
【0103】
本実施形態では、第1面11が正面、第3面13が背面、第2面12が上面、第4面14が底面、第1側面21および第2側面22が側面となるように、本体10を配置する。すなわち、本実施形態では、本体10を、その高さが、幅(本体10を設置する面と平行方向)よりも長くなるように配置する。
【0104】
この状態で、本体10内に対象となる義歯等の被加工物を配置するとともに、挿入穴31,32から本体10の内部に作業者の手を挿入する。この際、作業者は、利き手で被加工物を研磨するための電動工具を把持している。
【0105】
吸引装置を作動させて、漏斗110を介して、本体10内を吸引する。
本体10内を吸引しながら、本体10内部にて、電動工具による被加工物の加工を開始する。すると、本体10の内部で発生した塵を、漏斗110を介して吸引し、本体10の外部に排出することができる。これにより、本体10の内部に塵が飛散して、本体10の内部が汚れることを抑制できる。
【0106】
本実施形態の歯科技工作業箱1は、上記の紙、合成紙およびプラスチックシートの少なくともいずれか1種から構成される多面体の本体10を備えるため比較的軽量で、取り扱い易い歯科技工作業箱を提供できる。
【0107】
また、観察窓61を覆うように透明シート100を貼付することにより、本体10の内部で発生した塵が作業者の顔に向かって飛散することを抑制できる。
また、採光窓62が本体10の上面に設けられているため、本体10の内部にて、作業者の手元を明るくして、作業を的確に行うことができる。
【0108】
さらに、本体10の内面に消臭抗菌加工を施すことにより、本体10の内面に、被加工物の加工によって発生した悪臭が着くことを抑制できる。また、本体10の内面にカビが増殖することを抑制できる。
【0109】
[歯科技工作業箱キット]
本発明の一実施形態に係る歯科技工作業箱キットは、図4に示す組立前本体200と、図2に示す透明シート100と、図3に示す漏斗110と、図5に示す枠体310とを備える。
【0110】
第2面12は、図4に示すY方向の両端にそれぞれ連接するフラップ211,212を有する。フラップ211は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第1側面21と重なる部分の平面視の形状が、開口部形成部34とほぼ同じ形状であることが好ましい。フラップ211は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第1側面21の内側に配置される。フラップ212は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第2側面22と重なる部分の平面視の形状が、開口部形成部36とほぼ同じ形状であることが好ましい。フラップ212は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第2側面22の内側に配置される。
【0111】
第4面14は、図4に示すY方向の両端にそれぞれ連接するフラップ221,222を有する。フラップ221は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第1側面21の内側に配置される。フラップ222は、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、第2側面22の内側に配置される。
【0112】
組立前本体200は、次のようにして組み立てられる。
第1面11と第2面12の境界線231を山折りにし、第2面12と第3面13の境界線232を山折りにし、第3面13と第4面14の境界線233を山折りにする。
また、第3面13と第1側面21の境界線234を山折りにし、第3面13と第2側面22の境界線235を山折りにする。
また、第2面12とフラップ211の境界線236を山折りにし、第2面12とフラップ212の境界線237を山折りにする。
さらに、第4面14とフラップ221の境界線238を山折りにし、第4面14とフラップ222の境界線239を山折りにする。
これにより、上記の本体10が得られる。
【0113】
本実施形態の歯科技工作業箱キットは、透明シート100を備えることにより、上述のように、例えば、上記窓部61,62,63の少なくとも1つを覆うように透明シート100を配置し、組立前本体200を組み立てて本体10とした場合に、本体10の内部で発生した塵等が、作業者の顔に向かって飛散することを抑制できる。
【0114】
本実施形態の歯科技工作業箱キットは、漏斗110を備えることにより、上述のように、吸引穴71に漏斗110を設け、本体10の内部で発生した塵を、漏斗110を介して吸引し、本体10の外部に排出することができる。
【0115】
枠体310は、平面視の形状が長方形管状の本体部311と、本体部311の一方の面311aに立設するとともに、上記窓部63の形状と外形がほぼ同じである嵌合部312とを有する。嵌合部312は、窓部63に嵌合されて、組立前本体200の内面から窓部63に塵を収容する袋部を固定する。
【0116】
本実施形態の歯科技工作業箱キットによれば、上述のように組立前本体200を組み立てることにより、上記本体10が得られる。
【0117】
<他の実施形態>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0118】
例えば、図6に示すような変形例に係る歯科技工作業箱400を採用してもよい。なお、変形例に係る歯科技工作業箱400では、前記実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0119】
図6に示す変形例に係る歯科技工作業箱400では、本体10の内部から窓部63に塵を収容する袋部510が固定されている点で、図1に示す上記の歯科技工作業箱1とは異なっている。
また、本変形例に係る歯科技工作業箱400では、窓部61が、第1面11において、第1面11と第2面12が連接する側に偏在している点で、図1に示す上記の歯科技工作業箱1とは異なっている。窓部61が、第1面11において、第1面11と第2面12が連接する側に偏在していることにより、本体10の上面(第1面11)にある窓部61から本体10の内部を観察しながら、本体10の内部にて手元を観察し易くなる。
【0120】
本実施形態では、第1面11が上面、第2面12が背面、第4面14が正面、第3面13が底面である。第1側面21および第2側面22が側面である。となるように、本体10を配置する。すなわち、本実施形態では、本体10を、その高さが、幅(本体10を設置する面と平行方向)よりも短くなるように配置する。
【0121】
袋部510は、上述のように、枠体310の嵌合部312を集塵窓63に嵌合するとともに、本体部311と本体10の内面で袋510の開口部の縁部511を挟み込むことにより固定される。
【0122】
本変形例の歯科技工作業箱400の使用方法を説明する。
図6に示すように、本体10において、第1面11に観察窓61を形成し、第2面12に採光窓62を形成し、第3面13に集塵窓63を形成する。本体10において、第1側面21に挿入穴31と開口部33を形成する。本体10において、第2側面22に挿入穴32と開口部35を形成する。
また、本体10の内部から枠体310により集塵窓63に袋510を固定する。
【0123】
本実施形態では、第1面11が上面、第2面12および第4面14が正面、第3面13が底面、第1側面21および第2側面22が側面となるように、本体10を配置する。すなわち、本実施形態では、本体10を、その高さが、幅(本体10を設置する面と平行方向)よりも短くなるように配置する。
【0124】
この状態で、本体10内に対象となる義歯等の被加工物を配置するとともに、挿入穴31,32から本体10の内部に作業者の手を挿入する。この際、作業者は、利き手で被加工物を切削または研削するための電動工具を把持している。
【0125】
本体10内部にて、電動工具による被加工物の加工を開始する。すると、本体10の内部で発生した塵が、第3面13(底面)に固定した袋部510に落下する。これにより、本体10の内部に塵が飛散して、本体10の内部が汚れることを抑制できる。
【0126】
また、図4では、組立前本体200が展開されている場合を示したが、第1面11の第2面12と連接する側とは反対側の端縁と、第4面14の第3面13と連接する側とは反対側の端縁とが接合されていてもよい。このようにすれば、組立前本体200を組み立てて本体10とする作業を簡略化することができる。
【0127】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0128】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1,400 歯科技工作業箱
10 本体
11 第1面
12 第2面
13 第3面
14 第4面
21 第1側面
22 第2側面
31,32 挿入穴
33,35 開口部
34,36 開口部形成部
41,42 挿入穴形成部
43,44 スリット
51 窓形成部(第1窓形成部)
52 窓形成部(第2窓形成部)
53 窓形成部(第3窓形成部)
61 窓部(観察窓)
62 窓部(採光窓)
63 窓部(集塵窓)
71 吸引穴
81 吸引穴形成部
100 透明シート
110 漏斗
111 管状部分
112 本体部分
113 整流板
200 組立前本体
211,212,221,222 フラップ
231,232,233,234,235,236,237,238,239 境界線
310 枠体
311 本体部
312 嵌合部
510 袋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6