IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社栗本鐵工所の特許一覧

<>
  • 特開-巻芯の補強構造 図1
  • 特開-巻芯の補強構造 図2
  • 特開-巻芯の補強構造 図3
  • 特開-巻芯の補強構造 図4
  • 特開-巻芯の補強構造 図5
  • 特開-巻芯の補強構造 図6
  • 特開-巻芯の補強構造 図7
  • 特開-巻芯の補強構造 図8
  • 特開-巻芯の補強構造 図9
  • 特開-巻芯の補強構造 図10
  • 特開-巻芯の補強構造 図11
  • 特開-巻芯の補強構造 図12
  • 特開-巻芯の補強構造 図13
  • 特開-巻芯の補強構造 図14
  • 特開-巻芯の補強構造 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023458
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】巻芯の補強構造
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20230209BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B65H75/18
B65H75/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129019
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】大條 正人
(72)【発明者】
【氏名】北川 武
(72)【発明者】
【氏名】岡氏 敏樹
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA03
3F058AB01
3F058AC00
3F058BB11
3F058BB12
3F058BB15
3F058CA09
3F058DA04
3F058DB03
3F058DB05
3F058DB16
(57)【要約】
【課題】樹脂製の巻芯のトルクが伝達される部分を破損しないように保護する。
【解決手段】FRP等の樹脂製の巻芯1の端部に、回転方向の剪断力に対して巻芯1より高い強度を有する補強部材11を取り付ける。補強部材11は、例えば金属製の環状体とし、巻芯1の端部の外周面又は内周面に薄肉部3を設け、薄肉部3に補強部材11を嵌める。回転駆動装置からトルクが伝達される係合凹所2,12を、巻芯1と補強部材11の重合部に径方向に連通するように形成する。このような補強構造では、補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がるような現象が防止される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の巻芯(1)の端部に、回転方向の剪断力に対して前記巻芯より高い強度を有する補強部材(11)を取り付け、
回転駆動装置のトルクを、前記補強部材(11)で受け止めて、前記補強部材(11)と前記巻芯(1)とが一体に回転するようにした巻芯の補強構造。
【請求項2】
前記巻芯(1)の端部の外周面又は内周面に薄肉部(3)を設け、前記薄肉部(3)に前記補強部材(11)を嵌めたことを特徴とする請求項1に記載の巻芯の補強構造。
【請求項3】
前記回転駆動装置側に係合してトルクが伝達される係合凹所(2,12)を、前記巻芯(1)と前記補強部材(11)の重合部に径方向に連通するように形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の巻芯の補強構造。
【請求項4】
請求項3に記載の巻芯の補強構造において、前記補強部材(11)に、前記巻芯(1)の係合凹所(2)の切欠縁を補強する突出部(13)を形成したことを特徴とする巻芯の補強構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の巻芯の補強構造において、前記補強部材(11)を金属製としたことを特徴とする巻芯の補強構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の巻芯の補強構造において、前記巻芯(1)がFRP製であることを特徴とする巻芯の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルムやシートを巻き取る巻芯について、回転トルクが作用する部分を補強する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形の巻芯1として、FRP(繊維強化プラスチック)から成り、U字状の切欠である係合凹所2が両端部或いは一方の端部に形成されたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
巻芯1の端部の内周側には、図15(a)に示すように、回転駆動装置のシャフト20の取付部21が嵌入され、取付部21の外周に設けられた係合突起22が係合凹所2に係合して、回転駆動装置のトルクが巻芯1に伝達される。
【0004】
このような巻芯1では、シャフト20から回転トルクが長期間にわたって加わると、図15(b)に示すように、係合凹所2から周方向の割目が生じて、ささくれのような捲上部5が巻芯1の外周面から突出することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-280926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような破損が生じると、回転駆動装置から巻芯への所期のトルクの伝達が行われなくなったり、割目に伴う捲上部がフィルムやシートを傷付けたりする恐れがある。
【0007】
そこで、この発明は、樹脂製の巻芯のトルクが伝達される部分を破損しないように保護できる補強構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明に係る巻芯の補強構造は、樹脂製の巻芯の端部に、回転方向の剪断力に対して前記巻芯より高い強度を有する補強部材を取り付け、
回転駆動装置のトルクを、前記補強部材で受け止めて、前記補強部材と前記巻芯とが一体に回転するようにしたのである。
【0009】
また、前記巻芯の端部の外周面又は内周面に薄肉部を設け、前記薄肉部に前記補強部材を嵌めたのである。
【0010】
また、前記回転駆動装置側に係合してトルクが伝達される係合凹所を、前記巻芯と前記補強部材の重合部に径方向に連通するように形成したのである。
【0011】
さらに、前記巻芯と前記補強部材の重合部に係合凹所を有する補強構造において、前記補強部材に、前記巻芯の係合凹所の切欠縁を補強する突出部を形成したのである。
【0012】
また、上記巻芯の補強構造では、前記補強部材を金属製としたのである。
【0013】
また、上記巻芯の補強構造は、巻芯がFRP製であるものに適用したのである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る巻芯の補強構造では、巻芯の端部に取り付けた補強部材により、回転駆動装置から巻芯に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯の端部が割れて捲れ上がるような現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の巻芯の補強構造の第1実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)嵌合状態を示す巻芯の両端側の斜視図、(b)分離状態を示す斜視図、(c)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図2】この発明の巻芯の補強構造の第2実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図、(c)嵌合状態を示す係合凹所近傍の端面図
図3】この発明の巻芯の補強構造の第3実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図4】この発明の巻芯の補強構造の第4実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図5】この発明の巻芯の補強構造の第5実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図、(c)嵌合状態を示す係合凹所近傍の端面図
図6】この発明の巻芯の補強構造の第6実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図7】この発明の巻芯の補強構造の第7実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図8】この発明の巻芯の補強構造の第8実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)嵌合状態を示す軸線方向の断面図
図9】この発明の巻芯の補強構造の第9実施形態において、巻芯の端部と補強部材の(a)分離状態を示す斜視図、(b)接合状態を示す軸線方向の断面図
図10】この発明の巻芯の補強構造の第10実施形態を示す巻芯端部の斜視図
図11】この発明の巻芯の補強構造の第11実施形態において、巻芯の端部と補強部材の嵌合状態を示す(a)斜視図、(b)軸線方向の断面図
図12】この発明の巻芯の補強構造の第12実施形態において、巻芯の端部と補強部材の嵌合状態を示す(a)斜視図、(b)軸線方向の断面図
図13】この発明の巻芯の補強構造において、(a)係合凹所をV字状の切欠とした変形例、(b)係合凹所をコ字状の切欠とした変形例、(c)係合凹所のない変形例をそれぞれ示す斜視図
図14】係合凹所を有する未補強の巻芯を示す斜視図
図15】(a)巻芯と回転駆動装置のシャフトとの係合部を示す斜視図、(b)巻芯の係合凹所から割目に伴う捲上部が突出した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態を図1に基づいて説明する。
【0017】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0018】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。
【0019】
巻芯1の端部の外周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11が薄肉部3の外周側に嵌められて接着されている。
【0020】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の外周面と補強部材11の外周面とが揃うようになっている。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面とが揃うようになっている。
【0021】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置し、一致した状態で径方向に連通している。
【0022】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0023】
また、巻芯1と補強部材11の外周面が面一となっているので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0024】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0025】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態を図2に基づいて説明する。
【0026】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0027】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。係合凹所12の縁部には、径方向内側への突出部13が形成されている。突出部13は、馬蹄形をなしている。
【0028】
巻芯1の端部の外周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11が薄肉部3の外周側に嵌められて接着されている。
【0029】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の外周面と補強部材11の外周面とが揃うようになっている。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面とが揃うようになっている。
【0030】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置して径方向に連通し、巻芯1の係合凹所2の切欠縁に補強部材11の突出部13が沿っている。突出部13の先端は、巻芯1の内周面から突出することなく、巻芯1の内周面に揃っている。
【0031】
このような補強構造でも、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0032】
また、回転駆動装置のシャフトの係合突起が樹脂製の巻芯1の係合凹所2には一切接触することなく、金属製の補強部材11にのみ接触するので、巻芯1の係合凹所2には回転駆動装置のトルクが作用せず、突出部13により巻芯1の座屈を防ぐ効果が期待できる。
【0033】
また、巻芯1と補強部材11の外周面が面一となっているので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0034】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0035】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態を図3に基づいて説明する。
【0036】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられていない。
【0037】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0038】
巻芯1の端部の外周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11が薄肉部3の外周側に嵌められて接着されている。
【0039】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の外周面と補強部材11の外周面とが揃うようになっている。
【0040】
そして、補強部材11は、巻芯1の端面から軸線方向に突出し、係合凹所12は、巻芯1の端面から突出した部分に位置している。
【0041】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0042】
また、巻芯1と補強部材11の外周面が面一となっているので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0043】
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態を図4に基づいて説明する。
【0044】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0045】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。
【0046】
巻芯1の端部の内周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11が薄肉部3の内周側に嵌められて接着されている。
【0047】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の内周面と補強部材11の内周面とが揃うようになっている。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面が揃うようになっている。
【0048】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置し、一致した状態で径方向に連通している。
【0049】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0050】
また、巻芯1の外周側に補強部材11が露出しないので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0051】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0052】
<第5実施形態>
この発明の第5実施形態を図5に基づいて説明する。
【0053】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0054】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。係合凹所12の縁部には、径方向外側への突出部13が形成されている。突出部13は、馬蹄形をなしている。
【0055】
巻芯1の端部の内周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11が薄肉部3の内周側に嵌められて接着されている。
【0056】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の内周面と補強部材11の内周面とが揃うようになっている。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面とが揃うようになっている。
【0057】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置して径方向に連通し、巻芯1の係合凹所2の切欠縁に補強部材11の突出部13が沿っている。突出部13の先端は、巻芯1の外周面から突出することなく、巻芯1の外周面に揃っている。
【0058】
このような補強構造でも、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0059】
また、回転駆動装置のシャフトの係合突起が樹脂製の巻芯1の係合凹所2には一切接触することなく、金属製の補強部材11にのみ接触するので、巻芯1の係合凹所2には回転駆動装置のトルクが作用せず、突出部13により巻芯1の座屈を防ぐ効果が期待できる。
【0060】
また、巻芯1の外周側に補強部材11が突出しないので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0061】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0062】
<第6実施形態>
この発明の第6実施形態を図6に基づいて説明する。
【0063】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられていない。
【0064】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、小径部14とその一端側の大径部15とから成り、大径部にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0065】
巻芯1の端部の内周面には、削り加工により薄肉部3が設けられ、補強部材11の小径部14が薄肉部3の内周側に嵌められて接着されている。
【0066】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の薄肉部3以外の部分の内周面と補強部材11の内周面とが揃うようになっている。また、薄肉部3が補強部材11の小径部14と大径部15の段差に突き当てられ、巻芯1の外周面と補強部材11の大径部15の外周面とが揃うようになっている。
【0067】
そして、補強部材11の大径部15は、巻芯1の端面から軸線方向に突出し、係合凹所12は、巻芯1の端面から突出した部分に位置している。
【0068】
このような補強構造でも、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が確実に防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0069】
また、巻芯1の外周側に補強部材11が突出しないので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0070】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0071】
<第7実施形態>
この発明の第7実施形態を図7に基づいて説明する。
【0072】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0073】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、内径が巻芯1の外径とほぼ等しく、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。
【0074】
巻芯1の端部の外周面には、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が端部の外周側に嵌められて接着されている。
【0075】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の外周面に対して補強部材11の外周面が段差を介して外径側に位置している。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面が揃うようになっている。
【0076】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置し、一致した状態で径方向に連通している。
【0077】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0078】
また、巻芯1の製造時に、薄肉部3を形成するために巻芯1の端部を削る必要がなくなるので、作業効率が向上する。
【0079】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0080】
<第8実施形態>
この発明の第8実施形態を図8に基づいて説明する。
【0081】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなし、U字状の切欠である係合凹所2が両端部に形成されたFRP製のものである。
【0082】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部に巻芯1の係合凹所2と対応する係合凹所12が形成されている。
【0083】
巻芯1の端部の内周面には、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が端部の内周側に嵌められて接着されている。
【0084】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の内周面に対して補強部材11の内周面が段差を介して内径側に位置している。また、巻芯1の端面と補強部材11の端面が揃うようになっている。
【0085】
そして、巻芯1の係合凹所2と、補強部材11の係合凹所12とは、巻芯1と補強部材11の重合部に位置し、一致した状態で径方向に連通している。
【0086】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が係合凹所2から割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0087】
また、巻芯1の外周側に補強部材11が露出しないので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0088】
また、巻芯1の製造時に、薄肉部3を形成するために巻芯1の端部を削る必要がなくなるので、作業効率が向上する。
【0089】
<第9実施形態>
この発明の第9実施形態を図9に基づいて説明する。
【0090】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられていない。
【0091】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0092】
巻芯1の端部には、外周面と内周面のいずれにも、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が巻芯1の端面に接着されている。
【0093】
この巻芯1と補強部材11の接合状態において、巻芯1の外周面及び内周面と補強部材11の外周面及び内周面とが揃うようになっている。
【0094】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0095】
また、巻芯1と補強部材11の外周面が面一となっているので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0096】
また、巻芯1の製造時に、係合凹所2を形成するために切り欠く必要がなく、薄肉部3を形成するために巻芯1の端部を削る必要もなくなるので、作業効率が向上する。
【0097】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0098】
<第10実施形態>
この発明の第10実施形態を図10に基づいて説明する。
【0099】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。巻芯1の端部には、他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられておらず、これに換えて、コ字状に切り欠かれた嵌入凹所4が形成されている。
【0100】
巻芯1の嵌入凹所4に嵌められる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る板状の小片であり、一辺にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0101】
巻芯1の端部には、外周面と内周面のいずれにも、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が巻芯1の嵌入凹所4に嵌め込まれ、嵌入凹所4の切欠縁に接着されている。なお、嵌入凹所4は、コ字状以外の他の形状とし、その形状に補強部材11の形状を合わせるようにしてもよい。
【0102】
この巻芯1と補強部材11の接合状態において、巻芯1の外周面及び内周面と補強部材11の外周面及び内周面とが揃うようになっている。
【0103】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0104】
また、巻芯1と補強部材11の外周面が面一となっているので、フィルムやシートを巻芯1に巻き付ける際に、フィルムやシートが巻芯1の軸線方向にずれても、補強部材11に引っ掛かることがない。
【0105】
また、巻芯1の端部側の内径が変化しないので、既存の回転駆動装置のシャフトの取付部を変更する必要もない。
【0106】
<第11実施形態>
この発明の第11実施形態を図11に基づいて説明する。
【0107】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられていない。
【0108】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0109】
巻芯1の端部には、外周面と内周面のいずれにも、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が巻芯1の端部の外周に部分的に重なるように嵌められて接着されている。
【0110】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、巻芯1の外周面に対して補強部材11の外周面が段差を介して外径側に位置している。補強部材11は、巻芯1の端面から軸線方向に突出し、係合凹所12は、巻芯1の端面から突出した部分に位置している。
【0111】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0112】
また、巻芯1の製造時に、薄肉部3を形成するために巻芯1の端部を削る必要がなくなるので、作業効率が向上する。
【0113】
<第12実施形態>
この発明の第12実施形態を図12に基づいて説明する。
【0114】
巻芯1は、各種のフィルムやシートが外周面に巻き付けられる円筒形をなすFRP製のものである。他の実施形態に示すような係合凹所2は設けられていない。
【0115】
巻芯1の両端部に取り付けられる補強部材11は、ステンレス等の金属から成る環状体であり、一方の端部にU字状の切欠である係合凹所12が形成されている。
【0116】
巻芯1の端部には、外周面と内周面のいずれにも、他の実施形態に示すような薄肉部3が設けられることはなく、補強部材11が巻芯1の端部の内周に部分的に重なるように嵌められて接着されている。
【0117】
この巻芯1と補強部材11の嵌合状態において、補強部材11は、巻芯1の端面から軸線方向に突出し、係合凹所12は、巻芯1の端面から突出した部分に位置している。
【0118】
このような補強構造では、巻芯1の端部に取り付けた補強部材11により、回転駆動装置から巻芯1に伝達されるトルクを受け止めるので、巻芯1の端部が割れて捲れ上がる現象が防止される。これにより、回転駆動装置から巻芯1へトルクが確実に伝達されるほか、フィルムやシートの傷付きも防止される。
【0119】
また、巻芯1の製造時に、薄肉部3を形成するために巻芯1の端部を削る必要がなくなるので、作業効率が向上する。
【0120】
<その他>
なお、上記各実施形態では、係合凹所2,12がU字状の切欠であるものを例示しているが、係合凹所2,12は、図13(a)、(b)に示すように、V字状やコ字状の切欠としてもよい。また、回転駆動装置のシャフトの取付部の形式によっては、図13(c)に示すように、係合凹所2,12がない環状体の補強部材11を、巻芯1の端部の外周又は内周に嵌めて接着することによってのみ、巻芯1を補強するようにしてもよい。図13では、第1実施形態の変形例としているが、他の実施形態を同様に変形してもよい。
【0121】
また、上記各実施形態では、巻芯1がFRP製であり、補強部材11が金属製であるものを例示しているが、巻芯1よりも補強部材11が回転方向の剪断力に対する強度が高ければ、巻芯1と補強部材11は、他の材料から成るものであってもよい。例えば、巻芯1が一般的なFRPとしてのGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)から成り、補強部材11が高強度のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)から成るものとしてもよい。
【0122】
また、上記各実施形態のうち、巻芯1の内周側又は外周側に補強部材11が重なり合うものでは、巻芯1に補強部材11を接着して固定しているが、これらの実施形態においては、巻芯1に補強部材11をボルト等の締結手段で固定するようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、巻芯1の両端部に係合凹所2及び補強部材11の係合凹所12を有するものを例示したが、巻芯1の一方の端部にのみ係合凹所2及び補強部材11の係合凹所12を有するものとしてもよい。
【0124】
そのほか、上記各実施形態では、巻芯1及び補強部材11に係合凹所2,12が形成されたものを例示しているが、回転駆動装置のシャフトの形状によっては、巻芯1及び補強部材11には、係合凹所2,12に替えて、回転駆動装置のシャフトに係合する凸状部分を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 巻芯
2 係合凹所
3 薄肉部
4 嵌入凹所
5 捲上部
11 補強部材
12 係合凹所
13 突出部
14 小径部
15 大径部
20 シャフト
21 取付部
22 係合突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15