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特開2023-23495監視支援装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023495
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】監視支援装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230209BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230209BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
G05B23/02 301X
G08B25/00 510A
G06F11/07 151
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129077
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】皆川 祐人
(72)【発明者】
【氏名】藤川 勉
(72)【発明者】
【氏名】大西 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
【テーマコード(参考)】
3C223
5B042
5C087
【Fターム(参考)】
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB03
3C223FF13
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
5B042JJ29
5B042KK13
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC22
5C087DD33
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG17
5C087GG29
(57)【要約】
【課題】ユーザの要望に応じた警報発報を行うためのパラメータを高い精度で求めることが可能な監視支援装置およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態の監視支援装置は、監視対象についての警報を発報する条件を求める監視支援装置であって、記憶部と、要望受付部と、パラメータ検出部を備える。記憶部は、監視対象の運用状態を測定した測定結果を時系列にまとめた監視データを記憶し、要望受付部は、警報の発報に関するユーザの要望を受け付け、パラメータ検出部は、監視データに基づいて、要望に適合するパラメータを条件として検出する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象についての警報を発報する条件を求める監視支援装置であって、
前記監視対象の運用状態を測定した測定結果を時系列にまとめた監視データを記憶する記憶部と、
前記警報の発報に関するユーザの要望を受け付ける要望受付部と、
前記監視データに基づいて、前記要望に適合するパラメータを前記条件として検出するパラメータ検出部と、
を具備する監視支援装置。
【請求項2】
前記要望受付部は、前記警報の発報に関するユーザの要望として、前記監視データの一部を指定する情報を受け付け、
前記パラメータ検出部は、前記要望で指定される前記監視データの一部を特定するパラメータを前記条件として検出する、
請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項3】
前記要望受付部は、前記警報の発報に関するユーザの要望として、前記監視データの一部を指定する情報と発報の回数を受け付け、
前記パラメータ検出部は、前記要望で指定される前記監視データの一部について、前記要望で受け付けた回数の発報を行うためのパラメータを前記条件として検出する、
請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項4】
前記要望受付部は、前記監視データに基づく時系列の測定結果を視覚的に表示したインタフェースを通じて、前記要望を受け付ける、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視支援装置。
【請求項5】
さらに、前記パラメータ検出部が検出したパラメータを表示する表示部、
を備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視支援装置。
【請求項6】
前記パラメータ検出部は、予め設定した複数のパラメータを順次用いて、前記要望に適合するパラメータを前記条件として検出する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視支援装置。
【請求項7】
前記パラメータ検出部は、前記要望に適合するパラメータについて、前記要望に対する適合度を検出する適合度検出部、
を備える、請求項6に記載の監視支援装置。
【請求項8】
前記パラメータ検出部は、前記適合度が最も高いパラメータを前記条件として検出する、
請求項7に記載の監視支援装置。
【請求項9】
さらに、前記適合度を表示する表示部、
を備える、請求項7に記載の監視支援装置。
【請求項10】
さらに、前記パラメータ検出部が検出した条件と前記監視データに基づいて、過去の測定結果についての警報の発報状況を検証する検証部、
を備える、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項11】
コンピュータを、
監視対象についての警報の発報に関するユーザの要望を受け付ける要望受付部と、
前記監視対象の運用状態を測定した測定結果を時系列にまとめた監視データに基づいて、前記要望に適合するパラメータを前記警報を発報する条件として検出するパラメータ検出部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、監視装置による警報発報のパラメータ設定を行う監視支援装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サーバなどのシステムの監視を行う場合、警報発報の基準となるパラメータ値(閾値や発報ディレイ時間等)を過不足ない値に設定する必要がある。しかし、サーバ側のアプリケーションソフトウェアによる警報や、警告クラスの警報、すなわち監視対象における異常発生の予兆を検知した際に発報される警報などについては、パラメータ値を決める根拠となるデータが少なく、システム監視の運用前に適切な値にパラメータを設定することが難しい。
これに対して従来は、監視対象の状態を監視して得た監視データがある程度蓄積された時点で、ユーザが手動でパラメータ値を変えながら警報発報状況を検証するという手作業を繰り返すことで、警報発報を理想に近づけるという手法をとっていた。
しかしながら、人手に頼る手法では、作業量が膨大であるため、効率や精度の面で課題があり、再検証や確認にも手間がかかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日立 システムリソース/プロセスリソース管理オプション JP1/Cm2/SNMP System Observer 操作書 2.2.3 しきい値による監視 (3)しきい値の検証、[令和2年12月4日検索]、インターネット<http://itdoc.hitachi.co.jp/manuals/3021/3021325020/SSO0028.HTM>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの要望に応じた警報発報を行うためのパラメータを高い精度で求めることが可能な監視支援装置およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の監視支援装置は、監視対象についての警報を発報する条件を求める監視支援装置であって、記憶部と、要望受付部と、パラメータ検出部を備える。記憶部は、監視対象の運用状態を測定した測定結果を時系列にまとめた監視データを記憶し、要望受付部は、警報の発報に関するユーザの要望を受け付け、パラメータ検出部は、監視データに基づいて、要望に適合するパラメータを条件として検出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】この発明に係わる監視支援装置を含むネットワークシステムの構成例を示す図。
図2図1に示した監視支援装置の動作を説明するためのフローチャート。
図3図1に示した監視支援装置の入力インタフェースの一例を示す図。
図4図2に示した動作をより詳細に説明するためのフローチャート。
図5】パラメータセットの選択順序の一例を示す図。
図6】パラメータセットの選択順序の一例を示す図。
図7図4に示した動作により表示部に表示される検証データの一例を示す図。
図8図4に示した警報発報状況の検証動作を説明するための図。
図9図4に示した警報発報状況の検証動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係わる監視支援装置を含むネットワークシステムの構成を示すものである。このネットワークシステムは、サーバ100、監視支援装置200を備え、この両者がネットワークNWを介して通信が可能となっている。
【0008】
(構成)
サーバ100は、監視装置の監視対象であって、種々の情報処理、あるいは、特定の情報処理が可能なコンピュータであり、少なくとも制御部110、記憶部120、通信部130を備える。
【0009】
制御部110は、当該サーバ100の制御中枢であって、プロセッサとメモリを備え、メモリに記憶される基本ソフト(OS(Operating System))やアプリケーションソフトウェア、制御データにしたがってプロセッサが動作し、種々の機能を発揮し、情報処理を行う。
【0010】
また制御部110は、上記機能の1つとして、上記プロセッサの稼働率(CPU(Central Processing Unit)使用率)、メモリ使用率、記憶部120の使用率(ストレージ使用率)など、サーバ100の運用状態(運用状況)を検出(測定)し、この検出結果(測定結果)を記憶部120に記録したり、監視支援装置200に送信したりする機能を備える。
【0011】
記憶部120は、制御部110のOSやアプリケーションソフトウェア、アプリケーションソフトウェアの運用に伴って生成されたデータ、各種パラメータ、当該サーバ100の運用状態や運用状況に関するデータ(以下、以下運用情報と称する)、その他、情報処理のための一時的なデータなどを記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などのフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの記録デバイスがデータの特性に合わせて、組み合わせて設けられる。
【0012】
通信部130は、ネットワークNWを介した通信を行うための通信装置であって、例えば、監視支援装置200と通信を行う他、例えば、当該サーバ100の情報処理に必要な情報の授受を外部と行う。なお、ネットワークNWは、インターネットなどの公衆網(VPNを含む)でもよいし、プライベートネットワークであってもよい。
【0013】
監視支援装置200は、ネットワークNWを通じて、サーバ100の運用状態を監視する監視装置として機能するとともに、この監視装置による監視を支援する支援機能を備える。具体的な支援機能としては、例えば、監視装置が監視対象(サーバ100)についての警報(アラート)を発報する条件を求める機能を有する。
【0014】
なお、本実施形態では、上述のように、監視支援装置200が監視装置としての機能を備えるものとして説明するが、監視装置を、監視支援装置200とは別個にネットワークNW上に設け、ネットワークNWを通じて監視支援装置200が上記監視装置の支援を行うようにしてもよい。
【0015】
監視支援装置200は、ネットワーク通信機能を備えた情報処理を行うコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータやサーバ)であって、少なくとも制御部210、記憶部220、通信部230、入力部240、表示部250を備える。
【0016】
制御部210は、当該監視支援装置200の制御中枢であって、プロセッサとメモリを備え、メモリに記憶される基本ソフト(OS)やアプリケーションソフトウェア、制御データにしたがってプロセッサが動作し、種々の機能を発揮し、情報処理を行う。
【0017】
また制御部210は、プロセッサがプログラムを実行することにより、運用監視部211、要望受付部212、警報設定部213、警報判定部214として機能する。
【0018】
運用監視部211は、ネットワークNWを通じてサーバ100の運用状態についての情報を取得する機能であって、サーバ100から運用情報を取得し(あるいは、サーバ100の運用状態を測定し)、この運用情報(あるいは、運用状態の測定結果)を情報の種類(例えば、CPU使用率、メモリ使用率、ストレージ使用率など)毎に時系列にまとめて整理した監視データを生成し、記憶部220に監視データ221として記録する。
【0019】
なお、運用情報としては、時系列データそのものだけでなく、それらをクエリなどで変換したデータであってもよい。例えば、5分間のデータに基づいて増加・減少率を計算し、その計算結果から推定した未来の値などであってもよい。
【0020】
要望受付部212は、後述する入力部240を通じてオペレータ(ユーザ)から、警報を発報する条件となる警報パラメータを設定するための要望を受け付ける機能である。ここで受け付けた要望は、警報要望データ222として記憶部220に記憶される。なお、上記要望は、警報パラメータそのもの(例えば、閾値など)に限らず、監視データ(過去の運用状態や運用状況)について警報を発報する状況を指定することで行われる。詳細については後述する。
【0021】
警報設定部213は、パラメータ検出部の一例であって、上記要望受付部212が受け付けた要望に適合する状況(あるいは状態)で警報が発報されるような警報パラメータ(警報を発報する具体的な条件)を求めるものである。言い換えれば、警報パラメータは、上記要望に適合する監視データ(過去の運用状態や運用状況)を特定するパラメータである。この警報パラメータは、警報パラメータ223として記憶部220に記憶される。
【0022】
また警報設定部213は、検証部の一例であって、上記警報パラメータと監視データに基づいて、警報が発報される状況を過去の状況から検出する検証(シミュレーション)を行い、この検証の結果をユーザに提示する機能を有する。上記検証の結果は、検証データ224として記憶部220に記憶される。
【0023】
警報判定部214は、監視装置としての機能であって、警報設定部213が求めた警報パラメータに基づいて、サーバ100の監視を行う。すなわち、警報判定部214は、上記警報パラメータを、サーバ100から得られる最新の監視データと比較し、サーバ100について警報を発報する状態か否かを判定し、必要に応じて警報発報を行う機能である。
【0024】
記憶部220は、制御部210のOSやアプリケーションソフトウェア、アプリケーションソフトウェアの運用に伴って生成されたデータ、各種パラメータ、上述した監視データ221、警報要望データ222、警報パラメータ223、検証データ224、その他、情報処理のための一時的なデータなどを記憶するものであり、RAMやROM、SSDなどのフラッシュメモリ、HDDなどの記録デバイスがデータの特性に合わせて、組み合わせて設けられる。
【0025】
通信部230は、ネットワークNWを介した通信を行うための通信装置であって、例えば、サーバ100と通信を行い、例えば、監視データを受信する。
入力部240は、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスを通じて、ユーザから情報の入力や指示を受け付けるものである。
【0026】
表示部250は、ユーザに対して視覚的に情報を提供するものであり、監視データ221や検証データ224、あるいはこれらに基づくグラフなどを表示したり、警報要望データ222を受け付けるためのCUI(Character User Interface)やGUI(Graphical User Interface)として、情報の入力欄やソフトウェアキー、各種画像(写真、CG(Computer Graphics)画像)を表示したりする。
【0027】
(動作)
次に、監視支援装置200の動作について説明する。
図2は、監視支援装置200の標準的な運用の流れを概略的に示したものである。
【0028】
まずステップS201は、運用監視部211が主体となる処理であって、サーバ100から運用情報を取得し(あるいは、サーバ100の運用状態を測定し)、この運用情報(あるいは、運用状態の測定結果)を情報の種類(例えば、CPU使用率、メモリ使用率、ストレージ使用率など)毎に時系列にまとめて整理した監視データを生成し、記憶部220に監視データ221として記録する。
【0029】
続いて、ステップS202は、要望受付部212が主体となる処理であって、入力部240を通じてユーザから、警報を発報する条件となる警報パラメータを設定するための要望を受け付ける。ここで受け付けた要望は、警報要望データ222として記憶部220に記憶される。
【0030】
ここで、ユーザからの要望は、例えば図3に示すようなGUIを使用してもよい。図3は、ユーザからの要望を受け付けるGUIの表示Dを示したものであって、入力部240を通じたユーザの操作により、要望が受け付けられる。また、上記監視データに基づいて、時間軸上に運用状態の測定結果(例えば、CPU使用率、メモリ使用率、ストレージ使用率など)の推移を時系列のグラフで示し、グラフ上で発報が行われるタイミング(時刻)を指定することで、要望を受け付けるようにしてもよい。
【0031】
この例では、判定の対象となる時系列データ(監視データ)の種別として、CPU使用率31aを選択し、判定方法として閾値31bより大きいことを選択している。31cは、ステップS203に移行するためのソフトウェアキーであり、要望を上記GUIに反映させたユーザは、このキーを操作する。
【0032】
またこの例では、警報要求事項として、開始時間32aから終了時間32bまでの間に限って、発報すること32cを設定している。すなわち、一部の時系列データを指定して、上記時間帯32a~32bのCPU使用率31aの時系列データが得られた場合にのみ、警報発報を行う要望を行っている。
【0033】
なお、32cのバリエーションとしては、特定の回数だけ警報を発報させる、時系列データの特定のピークを指定して警報を発報させるなどが考えられる。
また、33a、33b、34a、34bについては、オプションの設定であり、必要に応じて任意にユーザが設定を行う。
【0034】
33aは、求められた警報パラメータを検証する期間の開始時間を指定するものであって、一方、33bは、上記検証期間の終了時間を指定するものであり、ここでの指定時間は、後述するステップS204の検証で参照される。
【0035】
また警報パラメータの変更範囲を指定する欄も有する。34aは、閾値の変更範囲を受け付け、34bでは、発報ディレイ(閾値を超えた状態の継続時間)の設定を受け付ける。
【0036】
続いて、ステップS203は、警報設定部213が主体となる処理であって、ステップS202で要望受付部212が受け付けた要望に適合する状況(あるいは状態)で警報が発報されるような警報パラメータを求める。すなわち、この警報パラメータは、上記要望に適合する監視データ(過去の運用状態や運用状況)を特定するパラメータである。この警報パラメータは、警報パラメータ223として記憶部220に記憶される。
【0037】
続いて、ステップS204は、警報設定部213が主体となる処理であって、ステップS203で求めた警報パラメータによって警報が発報される状況を過去の状況に照らし合わせる検証(シミュレーション)を行い、この検証の結果をユーザに提示する。
【0038】
上記検証の結果は、検証データ224として記憶部220に記憶される。なお、検証結果を見たユーザは、場合によっては、警報パラメータの再検討を求め、これに応じて、ステップS202に移行することで、同様の処理が繰り返され、これによりユーザは所望の警報発報に近づけることができる。
【0039】
続いて、ステップS205は、警報判定部214が主体となる処理であって、サーバ100の監視を行う。具体的には、ステップS203で警報設定部213が求めた警報パラメータに基づいて、サーバ100について警報を発報する状態か否かを判定し、必要に応じて警報発報を行う。
【0040】
次に、上記S203とS204について、より具体的な処理を説明する。図4は、上記S203およびS204の処理をより具体的に示した処理例である。
ステップS401では、警報設定部213が、検証に用いる複数のパラメータセットを作成し、ステップS402に移行する。
【0041】
具体的には、例えば、パラメータとして閾値とディレイ時間がステップS202で指定された場合、図5に示すように、閾値とディレイ時間とからなるパラメータ空間をメッシュで区切り、閾値とディレイ時間とを組み合わせたパラメータセットを作成する。
【0042】
なお、メッシュのサイズは、ステップS202でユーザから受け付けるようにしてもよい。あるいは、警報設定部213が、メッシュ空間の各領域毎に、警報に対する要望を満たす可能性に応じて、メッシュのサイズを変更するようにしてもよい。上記可能性は、過去の統計データに基づく。
【0043】
ステップS402では、警報設定部213が、ステップS401で作成した複数のパラメータセットのうち1つを選択し、ステップS403に移行する。なお、パラメータセットの選択順序は、図5の例では、ステップS402に移行する毎に、矢印のような順序で1つのパラメータセットを選択する。
【0044】
ここで、警報に対する要望を満たす可能性が予め設定した閾値よりも低いパラメータセット(図5のハッチングされたメッシュ)については、ステップS402で選択しないように、除外設定するようにしてもよい。
【0045】
ステップS403では、警報設定部213が、ステップS402で選択したパラメータセットに基づいて、ステップS202で指定された範囲(例えば、過去の期間)の監視データ221について、警報の発報を検証し、ステップS404に移行する。なお、この検証では、警報が発報される期間、警報が発報された回数などの統計データを求める。
【0046】
ステップS404では、警報設定部213が、ステップS403の検証の結果(統計データ)と、ステップS202で指定された要望を比較し、要望に適合する検証の結果が得られたか否かを判定する。
【0047】
例えば、ステップS202で指定された要望が、指定した期間内に指定回数のみ警報を発報するというものであった場合、ステップS403の検証結果を参照し、指定期間内と指定期間外について、それぞれ警報の発報期間と回数を求め、これらが要望に適合するか否かを判定する。すなわち、指定した期間内の警報発報回数が指定回数であり、かつ、指定した期間外の警報発報回数が0回の場合に、要望に適合すると判定する。
【0048】
ここで、要望に適合する場合には、要望に適合する測定結果を特定するためのパラメータが得られたと判断して、ステップS405に移行する。一方、要望に適合しない場合には、要望に適合する測定結果を特定するためのパラメータが得られていないと判断して、ステップS402に移行して、別(次順)のパラメータセットを選択する。このように、ステップS402~S404のループ処理によって、要望に適合する測定結果を特定するパラメータセットを検出する。
【0049】
なお、図5に示したように、はじめにパラメータ空間を同じサイズのパラメータセットに区分して検証を行う方法の他に、図6に示すように、大きなサイズのパラメータセットから適合するパラメータセットをさらに小さなサイズのパラメータセットに絞り込むようにしてもよい。
【0050】
図6の例では、図6(a)に示すように、警報設定部213が、まずパラメータ空間を4つに等分して、各パラメータセットについて順に検証を行い、要望に適合したパラメータセットを検出する。
【0051】
その後、図6(b)に示すように、警報設定部213が、要望に適合したパラメータセット(パラメータ空間)をさらに4つに等分したパラメータセットを作成し、これらの各パラメータセットについて順に検証を行って、要望により適合したパラメータセットを検出する。
【0052】
そしてさらに、図6(c)に示すように、警報設定部213が、要望に適したパラメータセット(パラメータ空間)をさらに4つに等分したパラメータセットを作成し、これらの各パラメータセットについて順に検証を行って、要望によりいっそう適合したパラメータセットを検出する。
【0053】
ステップS405では、警報設定部213が、ステップS404で要望を満たすと判定されたパラメータセットに基づいて、ステップS202で指定された検証期間(図3の33aから33bの期間)の監視データ221について、警報が発報される状況(発報状況)を検証(検出)した検証データを得る。
【0054】
さらに、ステップS405では、警報設定部213が、上記検証データを表示部250に表示し、ステップS406に移行する。図7に、検証データの表示例(表示D)を示す。この例では、ステップS404で要望を満たすと判定されたパラメータセット、すなわち、要望に適合する測定結果を特定するパラメータセットが、71、72として表示される。
【0055】
なお、達成度73は、ステップS202で指定されいない期間における警報を発報しない期間の割合を示している。またグラフ表示74は、監視データ221に基づいて、指定された判定対象の種別の時系列データを表示したものであり、警報の発報が行われる期間をハッチングされた領域で示している。
【0056】
これによりユーザは、表示部250に表示された検証結果を確認し、所望の状況で警報が発報されるかを確認できる。
【0057】
ステップS406では、警報判定部214が、ステップS404で要望を満たすと判定されたパラメータセットを監視運用のための警報パラメータとして採用し、この警報パラメータに基づく監視を開始する。すなわち、警報判定部214は、上記警報パラメータを、サーバ100から得られる最新の監視データと比較し、サーバ100について警報を発報する状態か否かを判定し、必要に応じて警報発報を行う。
【0058】
次に、ステップS203の警報パラメータを検出する処理について、時系列の監視データを参照して、より具体的に説明する。
【0059】
第1の例として、図8を参照する。図8は、CPU使用率の時系列の監視データの一例であって、図8(a)~(c)は、互いに異なるパラメータセットを適用して検証した場合を示している。
【0060】
図8の例では、CPU使用率800に、3つのピーク801,802,803が発生している。このうち、ピーク803についてのみ警報を発報させたいという要望をステップS202で受け付けた場合について説明する。
【0061】
図8(a)は、ステップS402で、閾値「60%」、発報ディレイ時間「0sec」のパラメータセットが選択され、このパラメータセットを検証した場合を示している。この場合、CPU使用率が3つのピーク801,802,803でそれぞれ閾値を超えるため、ハッチングで示すように、3回の発報がなされることがステップS403で検出される。このため、ステップS404では、要望に適合しない、すなわち、このパラメータではピーク803を特定できないと警報設定部213が判定し、ステップS402に移行して、別のパラメータセットを選択する。
【0062】
図8(b)は、ステップS402で、閾値「85%」、発報ディレイ時間「0sec」のパラメータセットが選択され、このパラメータセットを検証した場合を示している。この場合、CPU使用率が2つのピーク802,803でそれぞれ閾値を超えるため、ハッチングで示すように、2回の発報がなされることがステップS403で検出される。このため、ステップS404では、要望に適合しない、すなわち、このパラメータではピーク803を特定できないと警報設定部213が判定し、ステップS402に移行して、別のパラメータセットを選択する。
【0063】
図8(c)は、ステップS402で、閾値「85%」、発報ディレイ時間「30sec」のパラメータセットが選択され、このパラメータセットを検証した場合を示している。この場合、CPU使用率が2つのピーク802,803でそれぞれ閾値を超えるものの、閾値を超えた状態が発報ディレイ時間だけ続くのはピーク803であるため、ハッチングで示すように、1回の発報がなされることがステップS403で検出される。このため、ステップS404では、要望に適合する、すなわち、このパラメータでピーク803を特定できると警報設定部213が判定し、ステップS405に移行して、検証データを生成する。
【0064】
第2の例として、図9を参照する。図9は、CPU使用率の時系列の監視データの一例であって、図9(a)、(b)は、互いに異なるパラメータセットを適用して検証した場合を示している。
【0065】
図9の例では、アラート要求事項32a、32bとして要望された期間90において、CPU使用率900のピークが複数発生する901と、1つのピークが発生する902が存在している。このようなピークが発生する期間90において、2回のみ警報を発報させたいという要望をステップS202で受け付けた場合について説明する。
【0066】
図9(a)は、ステップS402で、閾値「85%」、発報ディレイ時間「0sec」、解除ディレイ時間「0sec」のパラメータセットが選択され、このパラメータセットを検証した場合を示している。なお、この例では、発報ディレイ時間「0sec」は、ユーザなどにより固定されているものとする。
【0067】
この場合、CPU使用率が901で4回閾値を超え、902で1回閾値を超えるため、ハッチングで示すように、5回の発報がなされることがステップS403で検出される。このため、ステップS404では、要望に適合しない、すなわち、このパラメータではピーク901および902を特定できないと警報設定部213が判定し、ステップS402に移行して、別のパラメータセットを選択する。
【0068】
図9(a)は、ステップS402で、閾値「85%」、発報ディレイ時間「0sec」、解除ディレイ時間「10sec」のパラメータセットが選択され、このパラメータセットを検証した場合を示している。
【0069】
この場合、CPU使用率が901で4回閾値を超えるが、解除ディレイ時間、すなわち閾値を下回る状況が「10sec」継続しないため、901は1つのピークとして検出され、また902で1回閾値を超える。
【0070】
このため、ハッチングで示すように、2回の発報がなされることがステップS403で検出される。このため、ステップS404では、要望に適合する、すなわち、このパラメータでピーク901および902を特定できると警報設定部213が判定し、ステップS405に移行して、検証データを生成する。
【0071】
(まとめ)
以上のように、上記構成の監視支援装置200では、ユーザから警報発報の状況についての要望を受け付けるとともに、複数のパラメータセットを生成して事前に取得していた監視データに対して上記パラメータセットに基づく警報発報を検証(シミュレーション)する反復処理を実施して、上記要望に適合するパラメータセットを検出するようにしている。
【0072】
したがって、上記構成の監視支援装置200によれば、例えば、要望として過去の監視データから警報を発報させたい測定結果を要望として指定することで、この測定結果を特定するパラメータセットが特定され、同様の測定結果が得られる場合に、警報を発報できる。
【0073】
このため、パラメータの種類、あるいは検証の対象となる時系列の監視データが多くても、従来の手作業によりパラメータ設定に比べて、ユーザの要望に応じた警報発報を行うためのパラメータを高い精度で求めることができる。
【0074】
また、ユーザからの要望に基づいてパラメータ設定して、処理のゴール地点を示すようにしているので、AI(Artificial Intelligence)などを用いる必要が必ずしもない。
また上記実施形態では、監視対象の実際の監視データに基づいて、警報パラメータを設定することができる。同じ監視対象であっても、設置環境に応じて監視データ、あるいは、警報発報の条件が異なることが多い。このため、実際の監視データに基づいて警報の発報条件を設定できることは、監視システムにとって有益である。
【0075】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0076】
例えば、ステップS203において、警報設定部213が、要望に対する達成度(適合度)を求めておき(すなわち、警報設定部213は適合度検出部の一例である)、そして、最も達成度が高い検証結果が得られるパラメータセットを検出し、このパラメータセットを警報判定部214が警報パラメータとして監視に用いるようにしてもよい。
【0077】
達成度(適合度)の一例を挙げる。例えば、警報に対する要望が、指定期間内に指定回数のみ発報させるというものであった場合、指定期間内に指定回数の発報があり、かつ、指定期間外の時間範囲内で発報していない期間が90%を占めるパラメータセットであれば、達成度は90%とする。
【0078】
これによれば、ステップS401で作成したパラメータセットがいずれも完全に適合(適合度が100%)しない場合でも、最も要望に近いパラメータセット(適合度が100%未満)を警報パラメータとして監視に用いることができる。
【0079】
これによれば、完全に適合しなくても、ユーザの要望に最も近いパラメータセットを見つけることができるので、理想的なパラメータセットを見つけるのが難しいシステムでも、理想に近い形で運用をスムーズに開始することができる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
100…サーバ、110…制御部、120…記憶部、130…通信部、200…監視支援装置、210…制御部、211…運用監視部、212…要望受付部、213…警報設定部、214…警報判定部、220…記憶部、221…監視データ、222…警報要望データ、223…警報パラメータ、224…検証データ、230…通信部、240…入力部、250…表示部。
図1
図2
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