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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023512
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】骨材判定装置および骨材判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20230209BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20230209BHJP
   G01N 21/3554 20140101ALI20230209BHJP
【FI】
G01N21/17 A
B07C5/342
G01N21/3554
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129106
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】石田 健二
(72)【発明者】
【氏名】森下 和真
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 来輝
(72)【発明者】
【氏名】浜辺 拓真
【テーマコード(参考)】
2G059
3F079
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB08
2G059CC09
2G059DD12
2G059EE02
2G059HH01
2G059KK04
2G059MM10
2G059MM20
3F079AB01
3F079CB29
3F079CC06
3F079DA12
(57)【要約】
【課題】コンベアへ投入された骨材が、操作盤に入力された骨材種と一致するか否かを判定できる骨材判定装置および骨材判定方法を提供する。
【解決手段】骨材判定装置50は、操作盤51、カメラ53、および情報処理部56を備える。カメラ53は、受入コンベア20により搬送される骨材9を撮影する。オペレータは、受入コンベア20へ投入した骨材9の骨材種の情報を、操作盤51に入力する。情報処理部56は、機械学習により生成された学習モデルに、カメラ53の撮影により得られる骨材9の画像を入力する。そうすると、学習モデルから骨材種の推定結果が出力される。情報処理部56は、操作盤51に入力された骨材種の情報と、学習モデルから出力された推定結果とが、一致するか否かを判定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアへ投入された骨材の適否を判定する骨材判定装置であって、
前記コンベアにより搬送される骨材を撮影するカメラと、
骨材種の情報が入力される操作盤と、
前記カメラおよび前記操作盤と通信可能に接続された情報処理部と、
を備え、
前記情報処理部は、
機械学習により生成された学習モデルに、前記カメラの撮影により得られる骨材の画像を入力し、前記学習モデルから骨材種の推定結果を出力する推定部と、
前記操作盤に入力された骨材種と、前記推定結果とが、一致するか否かを判定する判定部と、
を有する、骨材判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨材判定装置であって、
前記カメラは、前記コンベアにより搬送される骨材の動画を撮影し、
前記動画は、骨材の搬送方向にブレを有する複数のフレーム画像を含み、
前記情報処理部は、前記カメラにより撮影された動画に含まれる前記フレーム画像を、前記学習モデルへ入力する、骨材判定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の骨材判定装置であって、
前記情報処理部は、
学習用に用意されたサンプル骨材の動画に含まれる複数のフレーム画像と、前記サンプル骨材の既知の骨材種とを、教師データとして、機械学習を行うことにより、前記学習モデルを生成する学習部
をさらに有する、骨材判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の骨材判定装置であって、
前記学習部は、前記フレーム画像に回転以外の画像処理を施した上で、前記機械学習を行う、骨材判定装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の骨材判定装置であって、
前記操作盤は、前記判定部による判定結果が正しいか否かを示す正誤情報を入力可能であり、
前記学習部は、前記カメラから得られる骨材の画像、前記推定結果、および前記正誤情報を教師データとして、追加の機械学習を行うことにより、前記学習モデルを更新する、骨材判定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の骨材判定装置であって、
前記カメラの撮影範囲へ向けて光を照射する光源
をさらに備える、骨材判定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の骨材判定装置であって、
前記コンベアの上面の一部分を覆うフード
をさらに備え、
前記カメラおよび前記光源が、前記フード内に配置されている、骨材判定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の骨材判定装置であって、
前記判定部の判定結果を出力する結果出力部
をさらに有する、骨材判定装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の骨材判定装置であって、
前記コンベアにより搬送される骨材の表面の水分量を計測する水分センサ
をさらに備え、
前記情報処理部は、
表面の水分量が所定値未満の骨材について前記機械学習を行うことにより生成された第1学習モデルと、
表面の水分量が前記所定値以上の骨材について前記機械学習を行うことにより生成された第2学習モデルと、
を有し、
前記推定部は、
前記水分センサにより計測される水分量が前記所定値未満の場合、前記カメラにより撮影された骨材の画像を、前記第1学習モデルへ入力し、前記第1学習モデルから骨材種の推定結果を出力し、
前記水分センサにより計測される水分量が前記所定値以上の場合、前記カメラから得られる骨材の画像を、前記第2学習モデルへ入力し、前記第2学習モデルから骨材種の推定結果を出力する、骨材判定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の骨材判定装置であって、
前記推定部は、前記カメラから得られる奇数枚の画像を、前記学習モデルへ入力し、前記学習モデルから、前記奇数枚の画像のそれぞれに対応する奇数個の推定結果を出力し、
前記判定部は、前記操作盤に入力された骨材種と、前記奇数個の推定結果とを比較し、比較結果の多数決により判定を行う、骨材判定装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の骨材判定装置であって、
前記情報処理部は、
前記判定部が、前記操作盤に入力された骨材種と前記推定結果とが一致しないと判定した場合に、サイロへの骨材の搬送を制限する制御部
をさらに有する、骨材判定装置。
【請求項12】
コンベアへ投入された骨材の適否を判定する骨材判定方法であって、
a)前記コンベアへ投入した骨材の骨材種の情報を操作盤に入力する工程と、
b)前記コンベアにより搬送される骨材を撮影する工程と、
c)機械学習により生成された学習モデルに、前記工程b)の撮影により得られる骨材の画像を入力し、前記学習モデルから骨材種の推定結果を出力する工程と、
d)前記工程a)で入力された骨材種と、前記推定結果とが、一致するか否かを判定する工程と、
を有する、骨材判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアへ投入された骨材の適否を判定する骨材判定装置および骨材判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートプラントには、コンクリートの原料となる骨材を貯留する複数のサイロが設けられている。採石場からトラックで運搬されてきた骨材は、コンクリートプラント内のコンベアにより搬送され、骨材種ごとに、指定されたサイロへ貯留される。従来のコンクリートプラントについては、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-091580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨材は、粒径、色、産地などの特性に応じて、複数の骨材種に分類される。コンクリートプラントでは、骨材種ごとに、貯留すべきサイロが決められている。骨材がトラックからコンベアへ投入される際、トラックの運転手または所定の作業員は、操作盤に、骨材種を入力する。これにより、コンベアによる骨材の搬送先が、当該骨材種に応じたサイロに設定される。
【0005】
仮に、コンベアに異なる骨材を投入したり、あるいは、操作盤に骨材種を誤入力したりすると、投入された骨材は、誤ったサイロへ搬送される。そうすると、当該サイロに、異なる骨材種の骨材が混入した状態となる。この場合、製造される生コンクリートの品質を適切に管理できなくなるため、混入が発生したサイロ内の骨材を、全て抜き取る必要が生じる。これにより、多大な手間と損害が発生する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、コンベアへ投入された骨材が、操作盤に入力された骨材種と一致するか否かを判定できる骨材判定装置および骨材判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、コンベアへ投入された骨材の適否を判定する骨材判定装置であって、前記コンベアにより搬送される骨材を撮影するカメラと、骨材種の情報が入力される操作盤と、前記カメラおよび前記操作盤と通信可能に接続された情報処理部と、を備え、前記情報処理部は、機械学習により生成された学習モデルに、前記カメラの撮影により得られる骨材の画像を入力し、前記学習モデルから骨材種の推定結果を出力する推定部と、前記操作盤に入力された骨材種と、前記推定結果とが、一致するか否かを判定する判定部と、を有する。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の骨材判定装置であって、前記カメラは、前記コンベアにより搬送される骨材の動画を撮影し、前記動画は、骨材の搬送方向にブレを有する複数のフレーム画像を含み、前記情報処理部は、前記カメラにより撮影された動画に含まれる前記フレーム画像を、前記学習モデルへ入力する。
【0009】
本願の第3発明は、第2発明の骨材判定装置であって、前記情報処理部は、学習用に用意されたサンプル骨材の動画に含まれる複数のフレーム画像と、前記サンプル骨材の既知の骨材種とを、教師データとして、機械学習を行うことにより、前記学習モデルを生成する学習部をさらに有する。
【0010】
本願の第4発明は、第3発明の骨材判定装置であって、前記学習部は、前記フレーム画像に回転以外の画像処理を施した上で、前記機械学習を行う。
【0011】
本願の第5発明は、第3発明または第4発明の骨材判定装置であって、前記操作盤は、前記判定部による判定結果が正しいか否かを示す正誤情報を入力可能であり、前記学習部は、前記カメラから得られる骨材の画像、前記推定結果、および前記正誤情報を教師データとして、追加の機械学習を行うことにより、前記学習モデルを更新する。
【0012】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の骨材判定装置であって、前記カメラの撮影範囲へ向けて光を照射する光源をさらに備える。
【0013】
本願の第7発明は、第6発明の骨材判定装置であって、前記コンベアの上面の一部分を覆うフードをさらに備え、前記カメラおよび前記光源が、前記フード内に配置されている。
【0014】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の骨材判定装置であって、前記判定部の判定結果を出力する結果出力部をさらに有する。
【0015】
本願の第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれか1発明の骨材判定装置であって、前記コンベアにより搬送される骨材の表面の水分量を計測する水分センサをさらに備え、前記情報処理部は、表面の水分量が所定値未満の骨材について前記機械学習を行うことにより生成された第1学習モデルと、表面の水分量が前記所定値以上の骨材について前記機械学習を行うことにより生成された第2学習モデルと、を有し、前記推定部は、前記水分センサにより計測される水分量が前記所定値未満の場合、前記カメラにより撮影された骨材の画像を、前記第1学習モデルへ入力し、前記第1学習モデルから骨材種の推定結果を出力し、前記水分センサにより計測される水分量が前記所定値以上の場合、前記カメラから得られる骨材の画像を、前記第2学習モデルへ入力し、前記第2学習モデルから骨材種の推定結果を出力する。
【0016】
本願の第10発明は、第1発明から第9発明までのいずれか1発明の骨材判定装置であって、前記推定部は、前記カメラから得られる奇数枚の画像を、前記学習モデルへ入力し、前記学習モデルから、前記奇数枚の画像のそれぞれに対応する奇数個の推定結果を出力し、前記判定部は、前記操作盤に入力された骨材種と、前記奇数個の推定結果とを比較し、比較結果の多数決により判定を行う。
【0017】
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の骨材判定装置であって、前記情報処理部は、前記判定部が、前記操作盤に入力された骨材種と前記推定結果とが一致しないと判定した場合に、サイロへの骨材の搬送を制限する制御部をさらに有する。
【0018】
本願の第12発明は、コンベアへ投入された骨材の適否を判定する骨材判定方法であって、a)前記コンベアへ投入した骨材の骨材種の情報を操作盤に入力する工程と、b)前記コンベアにより搬送される骨材を撮影する工程と、c)機械学習により生成された学習モデルに、前記工程b)の撮影により得られる骨材の画像を入力し、前記学習モデルから骨材種の推定結果を出力する工程と、d)前記工程a)で入力された骨材種と、前記推定結果とが、一致するか否かを判定する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本願の第1発明から第12発明によれば、コンベアへ投入された骨材が、操作盤に入力された骨材種と一致するか否かを判定できる。
【0020】
特に、本願の第2発明によれば、骨材の動画を撮影し、搬送方向にブレを有するフレーム画像を、学習モデルへ入力する。骨材を撮影するカメラは、搬送方向にブレの無いフレーム画像を取得可能なフレームレートの高い高速度カメラや、画素数の多い高性能カメラではなく、入手しやすい廉価なカメラで十分である。これにより、カメラにかかるコストを低減できる。また、入手しやすい廉価なカメラを使用することで、カメラが故障したときの交換費用も抑制できる。したがって、メンテナンス性に優れた骨材判定装置を実現できる。
【0021】
特に、本願の第3発明によれば、動画に含まれる多数のフレーム画像を、学習用画像として使用する。このため、学習モデルを生成するために必要な多数の骨材画像を、比較的短時間に取得できる。また、ブレを有するフレーム画像で、十分な推定精度を有する学習モデルを作成できる。また、精細な画像を多数用意する場合と比べて、骨材判定装置の記憶容量を小さくできる。すなわち、廉価な機器構成で、推定精度のよい学習モデルを生成できる。
【0022】
特に、本願の第5発明によれば、追加の機械学習を行うことにより、学習モデルを更新できる。これにより、学習モデルによる骨材種の推定精度を、一定の水準に保つことができる。また、骨材の画像、推定結果、および正誤情報を蓄積しておくことにより、追加の機械学習を素早く行うことができる。
【0023】
特に、本願の第6発明によれば、明るさのばらつきを抑制することにより、骨材種をより精度よく推定できる。
【0024】
特に、本願の第7発明によれば、外部の環境光の影響を抑えることにより、骨材種をより精度よく推定できる。
【0025】
特に、本願の第8発明によれば、判定部の判定結果を、ユーザが認識できる。
【0026】
特に、本願の第9発明によれば、骨材の表面の水分量が所定値未満の場合と所定値以上の場合とで、異なる学習モデルを使用する。これにより、骨材種をより精度よく推定できる。
【0027】
特に、本願の第10発明によれば、奇数枚の画像に基づいて、より精度の高い推定結果を得ることができる。
【0028】
特に、本願の第11発明によれば、不適切な骨材が投入された可能性がある場合に、当該骨材がサイロへ搬送されることを制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係る骨材搬送装置の構成を示した図である。
図2】第1実施形態の情報処理部において実現される機能を、概念的に示したブロック図である。
図3】第1実施形態における学習処理の流れを示したフローチャートである。
図4】動画から切り出された学習用画像の例を示した図である。
図5】第1実施形態における判定処理の流れを示したフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る骨材搬送装置の構成を示した図である。
図7】第2実施形態における学習処理の流れを示したフローチャートである。
図8】第2実施形態における判定処理の流れを示したフローチャートである。
図9】第3実施形態における判定処理の流れを示したフローチャートである。
図10】第4実施形態において追加の機械学習を行うときの処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
<1.第1実施形態>
<1-1.骨材搬送装置の構成>
図1は、骨材判定装置50を含む骨材搬送装置1の構成を示した図である。この骨材搬送装置1は、コンクリートプラントにおいて、原料となる骨材9を受け入れ、複数のサイロ40へ骨材9を搬送する装置である。図1に示すように、骨材搬送装置1は、受入ホッパ10、受入コンベア20、シャトルコンベア30、4つのサイロ40、および骨材判定装置50を備える。
【0032】
受入ホッパ10は、受入コンベア20の搬送開始位置の上方に配置される。受入ホッパ10は、下方へ向かうにつれて徐々に内径が小さくなる漏斗状のホッパである。骨材9は、採石場からトラック90により運搬され、受入ホッパ10の上部の開口へ投入される。投入された骨材9は、受入ホッパ10内に一時的に貯留されるとともに、受入ホッパ10の下部の開口から、受入コンベア20の上面へ供給される。
【0033】
受入コンベア20は、受入ホッパ10に投入された骨材9を、斜め上向きに搬送する機構である。受入コンベア20は、始端プーリ21と、終端プーリ22と、それらのプーリ21,22の間に架け渡された環状のベルト23と、を有する。始端プーリ21は、受入ホッパ10の下方に位置する。終端プーリ22は、後述するシャトルコンベア30の上方に位置する。終端プーリ22は、始端プーリ21から斜め上方に離れた位置に配置される。
【0034】
始端プーリ21および終端プーリ22の少なくともいずれか一方は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、始端プーリ21と終端プーリ22の間で、ベルト23が図1中の矢印の向きに回動する。ベルト23の移動速度は、例えば、50m/分以上の任意の速度に調整される。受入ホッパ10へ投入された骨材9は、始端プーリ21の近傍のベルト23の上面に供給される。そして、ベルト23に載置された骨材9は、ベルト23の回動に伴い、受入ホッパ10の下方位置から終端プーリ22へ向けて、斜め上向きに移動する。
【0035】
なお、受入コンベア20のベルト23は、一定の速度で連続的に移動する。このため、受入ホッパ10の下部から引き出される骨材9は、ベルト23の上面に略一定の高さに載置された状態で、搬送される。そして、終端プーリ22の位置まで骨材9が搬送されると、ベルト23の反転に伴い、骨材9がシャトルコンベア30へ落下する。
【0036】
シャトルコンベア30は、受入コンベア20から搬送される骨材9を、4つのサイロ40へ振り分けるための機構である。シャトルコンベア30は、受入コンベア20の終端プーリ22の下方に位置する。シャトルコンベア30は、第1プーリ31と、第2プーリ32と、それらのプーリ31,32の間に架け渡された環状のベルト33とを有する。
【0037】
第1プーリ31および第2プーリ32の少なくともいずれか一方は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、第1プーリ31と第2プーリ32の間で、ベルト33が回動する。受入コンベア20から落下し、シャトルコンベア30のベルト33に載置された骨材9は、ベルト33の回動により、4つのサイロ40のいずれか1つへ搬送される。
【0038】
また、シャトルコンベア30は、図示を省略した駆動機構により、水平面に沿って移動可能となっている。これにより、シャトルコンベア30による骨材9の搬送先を、4つのサイロ40のうちの指定されたサイロ40へ切り替えることができる。
【0039】
4つのサイロ40は、骨材9の貯留槽である。骨材9は、粒径、色、産地などの特性に応じて、複数の骨材種に分類される。この骨材搬送装置1では,骨材種ごとに、貯留すべきサイロ40が決められている。図1の例では、A~Dの4つの骨材種の骨材9が、4つのサイロ40に、分別して貯留される。なお、骨材搬送装置1が備えるサイロ40の数は、4つに限定されるものではない。
【0040】
<1-2.骨材判定装置について>
骨材判定装置50は、受入コンベア20へ投入された骨材9の適否を判定するための装置である。骨材判定装置50は、受入コンベア20により搬送される骨材9を撮影し、得られた画像に基づいて骨材種を推定する。そして、骨材判定装置50は、骨材種の推定結果が、指定された骨材種と一致するか否かを判定する。図1に示すように、骨材判定装置50は、操作盤51、表示部52、カメラ53、光源54、フード55、および情報処理部56を備える。
【0041】
操作盤51は、受入ホッパ10の近傍に配置される。操作盤51は、情報処理部56と電気的に接続されている。操作盤51は、複数のキー511,512を有する。オペレータ(トラック90の運転手またはコンクリートプラントの作業員)は、受入ホッパ10へ投入される骨材9の骨材種を示すキー511を押す。これにより、骨材種の情報が、操作盤51から情報処理部56へ入力される。また、骨材種の情報が入力されると、シャトルコンベア30は、当該骨材種のサイロ40が搬送先となるように、その位置を変更する。
【0042】
また、オペレータは、受入ホッパ10へ骨材9が投入された後、搬送開始を指示するためのキー512を押す。そうすると、受入コンベア20およびシャトルコンベア30の動作が開始される。これにより、投入された骨材9が、受入コンベア20およびシャトルコンベア30により、指定されたサイロ40へ搬送される。
【0043】
なお、操作盤51は、一般的なキーボード、マウス、またはタッチパネルにより構成されていてもよい。
【0044】
表示部52は、操作盤51とともに、受入ホッパ10の近傍に配置される。表示部52は、情報処理部56と電気的に接続されている。表示部52には、例えば、液晶ディスプレイが使用される。表示部52は、骨材判定装置50に関する種々の情報を表示する。例えば、表示部52は、情報処理部56の後述する判定部63から出力される判定結果を表示する。すなわち、表示部52は、本発明における「結果出力部」の一例である。
【0045】
カメラ53は、受入コンベア20により搬送される骨材9を撮影する撮像装置である。カメラ53は、受入ホッパ10よりも搬送経路の下流側において、受入コンベア20のベルト23の上面に対向するように、配置されている。本実施形態のカメラ53は、受入コンベア20により搬送される骨材9の動画を撮影する。受入コンベア20の動作が開始された後、所定時間が経過し、先頭の骨材9がカメラ53の下方を通過すると、カメラ53は、動画の撮影を開始する。そして、カメラ53は、得られた動画を、情報処理部56へ入力する。
【0046】
なお、受入コンベア20の途中に、骨材9を検知するセンサを設け、当該センサの検出信号に基づいて、カメラ53による動画の撮影を開始するようにしてもよい。
【0047】
光源54は、カメラ53の撮影範囲へ向けて、光を照射するための部位である。光源54には、例えば、LEDランプが使用される。ただし、光源54は、蛍光灯または白熱灯であってもよい。光源54は、カメラ53による撮影を行うときには、常に点灯する。
【0048】
フード55は、受入コンベア20の上面の一部分を覆う箱状の部材である。フード55は、遮光性を有する材料により形成される。フード55は、受入コンベア20による骨材9の搬送経路の途中に配置されている。フード55は、入口開口551と出口開口552とを有する。受入コンベア20により搬送される骨材9は、入口開口551を介してフード55の中へ搬入され、出口開口552を介してフード55の外へ搬出される。
【0049】
カメラ53および光源54は、フード55の内部に配置されている。外部の環境光は、フード55により遮蔽される。これにより、カメラ53の撮影時における環境光の影響が抑制される。また、フード55の内部において、光源54から光を照射することにより、骨材9を一定の明るさに照らすことができる。このため、季節や天候により日射量が変化する場合でも、骨材9を一定の明るさで撮影することができる。また、太陽の位置により骨材9の影が変化することも抑制できる。
【0050】
情報処理部56は、後述する学習処理および判定処理を行う装置である。情報処理部56は、CPUまたはGPU等のプロセッサ561、RAM等のメモリ562、およびハードディスクドライブまたはSSD等の記憶部563を有するコンピュータにより構成される。記憶部563には、後述する学習処理および判定処理を実行するためのコンピュータプログラムが、インストールされている。また、情報処理部56は、上述した操作盤51、表示部52、カメラ53、受入コンベア20、およびシャトルコンベア30と、通信可能に接続されている。
【0051】
図2は、情報処理部56において実現される機能を、概念的に示したブロック図である。図2に示すように、情報処理部56は、学習部61、推定部62、判定部63、および制御部64を有する。これらの各部の機能は、情報処理部56としてのコンピュータが、記憶部563に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作することにより、実現される。
【0052】
学習部61は、骨材9の画像に基づいて骨材種を推定するための学習モデルMを生成する処理部である。学習部61は、学習用に用意されたサンプル骨材9の画像(以下「学習用画像」と称する)と、そのサンプル骨材9の既知の骨材種とを教師データとして、機械学習を行う。機械学習アルゴリズムとしては、ディープラーニングの一種である畳み込みニューラルネットワークが好適である。本発明者らの行った実験では、画像のぼかし処理を行うプーリング層がある畳み込みニューラルネットワークを学習部61に採用すると、搬送方向にブレを有する画像でも、十分な推定精度を有する学習モデルMを生成することができた。
【0053】
ただし、学習部61が使用する機械学習アルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークに限らず、ニューラルネットワーク、線形回帰、決定木、サポートベクター回帰等の他の教師あり機械学習アルゴリズムであってもよい。
【0054】
学習部61は、多数のサンプル骨材9の画像と、そのサンプル骨材9の骨材種との関係を、学習する。これにより、骨材9の画像に対応する骨材種の推定結果を出力可能な、学習モデルMが生成される。学習部61は、生成された学習モデルMを、推定部62へ提供する。なお、学習処理の詳細については、後述する。
【0055】
推定部62は、上記の学習モデルMを使用して、骨材9の画像から骨材種を推定する処理部である。推定部62は、カメラ53により撮影された動画Dから画像を切り出して、学習モデルMへ入力する。そうすると、学習モデルMは、入力された骨材9の画像に基づいて、骨材種の推定結果Eを出力する。推定部62は、学習モデルMから出力された推定結果Eを、判定部63へ送る。
【0056】
判定部63は、操作盤51に入力された骨材種の情報Iを取得する。また、判定部63は、推定部62による骨材種の推定結果Eを取得する。そして、判定部63は、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62による骨材種の推定結果Eとが、一致するか否かを判定する。また、判定部63は、その判定結果Rを、表示部52へ出力する。これにより、表示部52に、受入コンベア20により搬送される骨材9の骨材種と、操作盤51により指定された骨材種とが、一致するか否かの判定結果Rが、表示される。
【0057】
制御部64は、判定部63の判定結果Rに応じて、受入コンベア20の動作を制御する。制御部64は、判定部63が、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62の推定結果Eとが一致すると判定した場合、受入コンベア20の動作を継続させる。制御部64は、判定部63が、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62の推定結果Eとが一致しないと判定した場合、受入コンベア20の動作を停止させる。
【0058】
<1-3.学習処理について>
続いて、上述した骨材判定装置50において実行される学習処理について、説明する。図3は、学習処理の流れを示したフローチャートである。この学習処理は、後述する骨材9の判定処理を行う前に、予め実行される。
【0059】
学習処理を行うときには、まず、学習用のサンプル骨材9を用意する(ステップS11)。例えば、A~Dの4つの骨材種を学習したい場合には、当該4つの骨材種のサンプル骨材9を用意する。
【0060】
オペレータは、用意したサンプル骨材9を、1種ずつ、受入コンベア20へ投入して、受入コンベア20を動作させる。そして、光源54から光を照射しつつ、カメラ53により、サンプル骨材9の動画Dを撮影する(ステップS12)。1つの骨材種のサンプル骨材9の撮影が完了すると、作業者は、次の骨材種のサンプル骨材9を、受入コンベア20へ投入する。そして、受入コンベア20を動作させて、上記と同様に、サンプル骨材9の動画Dを撮影する。このようにして、用意した全ての骨材種のサンプル骨材9の動画Dを、順次に撮影する。
【0061】
カメラ53により撮影される動画Dは、多数のフレーム画像により構成される。例えば、フレームレートが30フレーム/秒のカメラ53で、5分間の撮影を行った場合、当該撮影により得られる動画Dは、9000枚のフレーム画像により構成される。ステップS12では、用意した全ての骨材種について、このような動画D(フレーム画像の集合体)を撮影する。そして、撮影により得られた動画Dが、カメラ53から情報処理部56へ送信される。
【0062】
情報処理部56の内部では、動画Dに含まれる多数のフレーム画像が、学習用画像として、記憶部563に蓄積される(ステップS13)。上述の通り、動画Dには、多数のフレーム画像が含まれる。このため、学習部61は、多数の学習用画像を準備できる。図4は、動画Dに含まれるフレーム画像の例を示した図である。図4のように、カメラ53のフレームレートとベルト23の移動速度との関係から、フレーム画像は、搬送方向にブレを有する画像となっている。
【0063】
学習部61は、多数の学習用画像を、教師用画像と、バリデーション用画像とに、分類する(ステップS14)。例えば、4種のサンプル骨材9を各5分間撮影することにより、36000枚の学習用画像が得られた場合、その3/4の27000枚の学習用画像を教師用画像とし、残り1/4の9000枚の学習用画像をバリデーション用画像とする。ただし、教師用画像とバリデーション用画像の割合は、必ずしも3:1でなくてもよい。
【0064】
学習部61は、教師用画像と、当該教師用画像に写るサンプル骨材9の既知の骨材種とのセットを、教師データとする。また、学習部61は、バリデーション用画像と、当該バリデーション用画像に写るサンプル骨材9の既知の骨材種とのセットを、バリデーション用データとする。
【0065】
学習部61は、教師用画像に、ぼかし、左右反転、上下反転等の画像処理を施す(ステップS15)。画像処理により、教師用画像に変化をつけることで、学習する画像の幅が広がる。これにより、機械学習の精度を向上させることができる。ただし、画像処理は、画像の回転処理を含まないことが望ましい。上述の通り、教師用画像は、搬送方向にブレを有する画像となっているが、回転処理を行うと、このブレの向きが変わることにより、機械学習の精度がかえって低下してしまうからである。なお、多数の教師用画像の中に、画像処理が施されない画像が含まれていてもよい。
【0066】
学習部61は、画像処理後の多数の教師データを用いて、機械学習を行う(ステップS16)。すなわち、機械学習アルゴリズムが、多数の教師用画像を、学習モデルMに1つずつ入力する。そして、学習モデルMから出力される骨材種の推定結果が、入力した教師用画像の骨材種に近づくように、学習モデルMのパラメータを調整する。機械学習アルゴリズムは、このようなパラメータの調整処理を、準備した教師データの数だけ繰り返す。
【0067】
その後、機械学習アルゴリズムは、複数のバリデーション用画像を用いて、学習モデルMによる骨材種の推定精度を確認する(ステップS17)。具体的には、学習モデルMにバリデーション用画像を入力し、学習モデルMから出力される骨材種の推定結果が、入力したバリデーション用画像の骨材種と一致しているか否かを確認する。そして、骨材種の推定精度が、所定のレベル(例えば95%以上の正解率)に達している場合、機械学習アルゴリズムは、学習処理を終了する。これにより、骨材9の画像に基づいて骨材種の推定結果を出力することが可能な1つの学習モデルMが生成される。
【0068】
なお、骨材種の推定精度が所望のレベルに達しなかった場合、上述したステップS12~S17の処理を、再度繰り返してもよい。また、学習モデルMを生成した後、上述した教師用画像およびバリデーション用画像とは別のサンプル骨材9の画像を学習モデルMに入力し、学習モデルMから出力される骨材種の推定結果が、当該画像に写るサンプル骨材9の骨材種と一致するか否かを、さらに確認してもよい。
【0069】
骨材9は、同じ骨材種であっても、乾燥状態、濡れ状態、砕石場所の違い等に応じて表面の色が異なる。このため、上述したステップS12では、骨材種ごとに、乾燥状態のサンプル骨材9の動画D、濡れ状態のサンプル骨材9の動画D、砕石場所が異なるサンプル骨材9の動画Dを、複数回の撮影により取得してもよい。
【0070】
また、学習モデルMへ入力される多数の学習用画像の中に、乾燥状態のサンプル骨材9の画像、濡れ状態のサンプル骨材9の画像、砕石場所が異なるサンプル骨材9の画像を、含めるようにしてもよい。例えば、1つの骨材種について、9000枚の学習用画像を使用する場合、当該9000枚の中に、乾燥状態、濡れ状態、砕石場所が異なる複数のサンプル骨材9の画像を混在させるようにしてもよい。これにより、学習部61は、骨材種ごとに、乾燥状態、濡れ状態、砕石場所の違いなどの様々な状態を、学習できる。したがって、学習モデルMから出力される骨材種の推定精度を、より向上させることができる。
【0071】
<1-4.骨材の判定処理について>
続いて、実際の骨材9の受け入れ時に、上記の学習モデルMを用いて、受入コンベア20へ投入された骨材9の適否を判定する処理について、説明する。図5は、判定処理の流れを示したフローチャートである。
【0072】
骨材9の受け入れ時には、まず、トラック90に積まれた骨材9が、受入ホッパ10へ投入される(ステップS21)。続いて、オペレータが、投入した骨材9の骨材種の情報Iを、操作盤51に入力する(ステップS22)。例えば、操作盤51のキー511を押すことにより、骨材種の情報Iを入力する。その後、オペレータは、操作盤51の搬送開始を指示するためのキー512を押す。これにより、受入コンベア20の動作が開始される(ステップS23)。
【0073】
受入ホッパ10からベルト23の上面に供給された骨材9は、ベルト23の回動に伴い、終端プーリ22へ向けて、斜め上向きに搬送される。そして、受入コンベア20の動作が開始された後、所定時間が経過し、骨材9がカメラ53の下方を通過する際に、カメラ53は、骨材9の動画Dを撮影する(ステップS24)。そして、カメラ53は、得られた動画Dを、情報処理部56へ送信する。
【0074】
情報処理部56の内部では、推定部62が、上記の動画Dから1枚の画像(フレーム画像)を切り出す(ステップS25)。そして、推定部62は、切り出された画像を、学習モデルMへ入力する。すると、学習モデルMは、入力された骨材9の画像に基づいて、骨材種の推定結果Eを出力する(ステップS26)。推定部62は、学習モデルMから出力された推定結果Eを、判定部63へ送る。
【0075】
判定部63は、上記のステップS22で操作盤51に入力された骨材種の情報Iを取得する。また、判定部63は、上記のステップS26で学習モデルMから出力された推定結果Eを取得する。そして、判定部63は、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62による骨材種の推定結果Eとが、一致するか否かを判定する(ステップS27)。
【0076】
判定部63は、当該判定結果Rを、表示部52へ出力する。これにより、表示部52に、受入コンベア20により搬送される骨材9の骨材種と、操作盤51により指定された骨材種とが、一致するか否かの判定結果Rが、表示される(ステップS28)。オペレータは、表示部52を確認することにより、判定結果Rを認識できる。
【0077】
制御部64は、上記のステップS27における判定部63の判定結果Rが、「一致」および「不一致」のいずれであるかを確認する(ステップS29)。そして、判定結果Rが、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62の推定結果Eとが一致することを示している場合(ステップS29:Yes)、制御部64は、受入コンベア20の動作を継続させる。一方、判定結果Rが、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと、推定部62の推定結果Eとが一致しないことを示している場合(ステップS29:No)、制御部64は、受入コンベア20の動作を停止させる(ステップS30)。
【0078】
判定結果Rが「不一致」の場合には、不適切な骨材種の骨材9が受入ホッパ10に投入されているか、あるいは、操作盤51に骨材種の情報Iを誤入力している可能性がある。いずれの場合でも、受入ホッパ10上の骨材9は、誤ったサイロ40へ搬送される可能性がある。上記のステップS30では、このような場合に、受入コンベア20の動作を緊急停止する。これにより、骨材9の搬送を止めて、骨材9が誤ったサイロ40へ搬送されることを防止する。
【0079】
以上のように、この骨材判定装置50は、受入コンベア20により搬送される骨材9を撮影し、得られた画像と、予め機械学習により生成された学習モデルMとを用いて、搬送中の骨材9の骨材種を推定する。そして、骨材判定装置50は、骨材種の推定結果Eが、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと一致するか否かを、判定する。これにより、骨材9が誤ったサイロ40へ搬送される可能性があることを検出できる。
【0080】
特に、本実施形態の骨材判定装置50では、受入コンベア20を停止させることなく、骨材9を撮影する。このため、学習モデルMに入力される画像は、高精細な画像ではなく、ブレを有する画像となる。骨材9を撮影するカメラ53には、搬送方向にブレの無いフレーム画像を取得可能なフレームレートの高い高速度カメラや、画素数の多い高性能カメラではなく、入手しやすい廉価なカメラを使用できる。これにより、カメラ53にかかるコストを低減できる。また、入手しやすい廉価なカメラ53を使用することで、カメラ53が故障したときの交換費用も抑制できる。したがって、メンテナンス性に優れた骨材判定装置50を実現できる。
【0081】
また、本実施形態の骨材判別装置50では、学習部61における学習モデルMの生成に、画像のぼかし処理を行う畳み込みニューラルネットワークを採用している。このため、学習モデルMに入力される画像は、必ずしも高精細な画像である必要はない。すなわち、搬送方向にブレを有する画像であっても、推定精度の高い学習モデルMを得ることができる。したがって、高性能なカメラではなく、廉価なカメラ53を使用しつつ、推定精度の高い学習モデルMを得ることができる。カメラ53は、例えば、フレームレートが30フレーム/秒程度のwebカメラであってもよい。また、フレームレートや画素数を抑えることにより、骨材判定装置50の記憶容量を小さくできる。すなわち、廉価な機器構成でありながら、十分な判定精度を有する骨材判定装置を実現できる。
【0082】
なお、カメラ53のフレームレートが30フレーム/秒の場合、受入コンベア20のベルト23の移動速度を50m/分(1フレームあたりの移動距離が2.78cm/フレーム)以上とすると、搬送方向にブレを有するフレーム画像を取得できる。また、ベルト23の移動速度が120m/分(1フレームあたりの移動距離が6.67cm/フレーム)を超えると、撮影により得られるフレーム画像は、骨材の外形が判別不能な程度のブレとなる。このため、1フレームあたりの移動距離が2.78cm/フレーム以上、6.67cm/フレーム以下の範囲となるように、カメラ53のフレームレートとベルト23の移動速度との関係を調整するとよい。
【0083】
また、本実施形態の骨材判定装置50では、フード55内において、光源54から光を照射しつつ、カメラ53による撮影を行う。これにより、学習モデルMに入力される画像の明るさのばらつきを抑制できる。したがって、骨材種をより精度よく推定できる。
【0084】
<2.第2実施形態(水分センサ)>
続いて、本発明の第2実施形態について、説明する。図6は、第2実施形態に係る骨材搬送装置1の構成を示した図である。
【0085】
本実施形態は、骨材判定装置50が水分センサ57を備える点が、上記の第1実施形態と異なる。水分センサ57は、受入コンベア20により搬送される骨材9の表面の水分量を計測するセンサである。水分センサ57は、受入コンベア20の上方の、カメラ53よりも上流側の位置に配置される。また、水分センサ57は、カメラ53および光源54とともに、フード55内に配置される。
【0086】
水分センサ57には、例えば、近赤外線水分計が使用される。近赤外線水分計は、骨材9へ向けて近赤外線を照射し、反射光量に基づいて骨材9の表面における吸光度を計測することにより、骨材9の水分量を計測する。ただし、水分センサ57は、他の方式の水分計であってもよい。水分センサ57は、情報処理部56と通信可能に接続される。水分センサ57の計測結果は、情報処理部56へ送信される。
【0087】
図7は、第2実施形態における学習処理の流れを示したフローチャートである。図7に示すように、この第2実施形態では、サンプル骨材9を用意した後、まず、乾燥状態のサンプル骨材9について、上述したステップS12~S17と同様の処理を行う(ステップS12A~S17A)。これにより、乾燥状態の骨材9の画像に基づいて骨材種の推定結果Eを出力することが可能な、第1学習モデルM1を生成する。次に、濡れ状態のサンプル骨材9について、上述したステップS12~S17と同様の処理を行う(ステップS12B~S17B)。これにより、濡れ状態の骨材9の画像に基づいて骨材種の推定結果Eを出力することが可能な、第2学習モデルM2を生成する。
【0088】
なお、「乾燥状態」とは、上記の水分センサ57により計測される骨材9の表面の水分量が、所定値未満の状態を指すこととする。また、「濡れ状態」とは、上記の水分センサ57により計測される骨材9の表面の水分量が、所定値以上の状態を指すこととする。
【0089】
図8は、第2実施形態における判定処理の流れを示したフローチャートである。図8に示すように、この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ステップS21~S25の処理を行い、骨材9の画像を取得する。ただし、カメラ53により骨材9を撮影する直前に、水分センサ57により、骨材9の表面の水分量を計測する(ステップS24A)。
【0090】
その後、推定部62は、受入コンベア20により搬送される骨材9が、乾燥状態および濡れ状態のいずれであるかを判断する(ステップS31)。推定部62は、水分センサ57により計測される水分量が、上述した所定値未満の場合、骨材9が乾燥状態であると判断する(ステップS31:Yes)。推定部62は、水分センサ57により計測される水分量が、上述した所定値以上の場合、骨材9が濡れ状態であると判断する(ステップS31:No)。
【0091】
推定部62は、骨材9が乾燥状態である場合には、第1学習モデルM1を選択する(ステップS32)。また、推定部62は、骨材9が濡れ状態である場合には、第2学習モデルM2を選択する(ステップS33)。
【0092】
第1学習モデルM1が選択された場合、推定部62は、当該第1学習モデルM1へ骨材9の画像を入力する。そうすると、第1学習モデルM1は、入力された画像に基づいて、骨材種の推定結果Eを出力する(ステップS26)。また、第2学習モデルM2が選択された場合、推定部62は、当該第2学習モデルM2へ骨材9の画像を入力する。そうすると、第2学習モデルM2は、入力された画像に基づいて、骨材種の推定結果Eを出力する(ステップS26)。
【0093】
その後、骨材判定装置50は、第1実施形態と同様に、ステップS27~S30の処理を行う。
【0094】
以上のように、この第2実施形態では、骨材判定装置50が水分センサ57を備える。そして、骨材9が乾燥状態の場合には、乾燥状態用にパラメータが調整された第1学習モデルM1を使用する。また、骨材9が濡れ状態の場合には、濡れ状態用にパラメータが調整された第2学習モデルM2を使用する。このように、乾燥状態と濡れ状態とで、異なる学習モデルM1,M2を使用することにより、骨材種をより精度よく推定できる。
【0095】
<3.第3実施形態(多数決)>
続いて、本発明の第3実施形態について、説明する。図9は、第3実施形態における判定処理の流れを示したフローチャートである。図9に示すように、この第3実施形態では、第1実施形態と同様に、ステップS21~S24の処理を行い、骨材9の動画Dを取得する。
【0096】
推定部62は、上記の動画Dから奇数枚(3以上の奇数枚)の画像を切り出す(ステップS25)。そして、推定部62は、切り出された奇数枚の画像を、それぞれ、学習モデルMへ入力する。すると、学習モデルMは、入力された奇数枚の骨材9の画像のそれぞれに対応する奇数個の推定結果Eを出力する(ステップS26)。推定部62は、学習モデルMから出力された奇数個の推定結果Eを、判定部63へ送る。
【0097】
続いて、判定部63は、上記の奇数個の推定結果Eが、それぞれ、操作盤51に入力された骨材種の情報Iと一致しているか否かの比較を行う。そして、判定部63は、比較結果の多数決により、最終的な判定を行う(ステップS27)。すなわち、奇数個の比較結果のうち、「不一致」よりも「一致」となるものが多い場合、判定部63は、最終的な判定結果Rを「一致」とする。また、奇数個の比較結果のうち、「一致」よりも「不一致」となるものが多い場合、判定部63は、最終的な判定結果Rを「不一致」とする。
【0098】
その後、骨材判定装置50は、第1実施形態と同様に、ステップS28~S30の処理を行う。
【0099】
以上のように、この第3実施形態では、奇数枚の骨材9の画像に基づいて、学習モデルMから、奇数個の推定結果Eを出力する。そして、奇数個の推定結果Eに基づいて、受入コンベア20へ投入された骨材9が、操作盤51に入力された骨材種と一致するか否かを、多数決で判定する。これにより、より精度の高い判定結果Rを得ることができる。
【0100】
なお、骨材判定装置50は、3台以上の奇数台のカメラ53を有していてもよい。そして、奇数台のカメラ53により撮影された動画Dから、それぞれ1枚の画像を切り出すことにより、奇数枚の画像を取得してもよい。
【0101】
<4.第4実施形態(追加学習)>
続いて、本発明の第4実施形態について、説明する。この第4実施形態では、一旦生成された学習モデルMを使用して、上述した判定処理を行いながら、適宜に追加の機械学習を行う点が、上記の第1実施形態と異なる。図10は、追加の機械学習を行うときの処理の流れを示したフローチャートである。
【0102】
図10の例では、表示部52に判定結果Rが表示された後、オペレータが、表示された判定結果Rが正しいか否かを判断する。そして、判定結果Rが正しいか否かを示す正誤情報を、操作盤51に入力する(ステップS34)。
【0103】
例えば、表示部52に、「不一致」の判定結果Rが表示された場合、オペレータは、受入コンベア20に投入された骨材9の骨材種と、操作盤51に入力された骨材種の情報Iとが、確かに不一致であるかどうかを確認する。そして、確かに不一致である場合、オペレータは、判定部63による判定結果Rが正しいことを、操作盤51に入力する。また、受入コンベア20に投入された骨材9の骨材種と、操作盤51に入力された骨材種の情報Iとが、一致している場合、オペレータは、判定部63の判定結果Rが誤りであることを、操作盤51に入力する。
【0104】
操作盤51に入力された上記の正誤情報は、情報処理部56へ送信される。情報処理部56は、ステップS25で切り出された画像、ステップS26の推定結果、および、ステップS34で入力された正誤情報のセットを、追加学習用の教師データとして、記憶部563に蓄積する(ステップS35)。情報処理部56は、受入コンベア20への骨材9の受け入れを行う度に、このような教師データの蓄積を行う。
【0105】
なお、ステップS35では、ステップS25で切り出された画像(フレーム画像)だけではなく、当該画像を含む所定時間(例えば5分間)の動画Dを、追加学習用の教師データに含めてもよい。このようにすれば、当該動画Dに含まれる多数のフレーム画像を、追加学習用の画像とすることができる。したがって、多数の教師データを、短時間に蓄積することができる。
【0106】
その後、情報処理部56の学習部61は、所定のタイミングで、蓄積された教師データを用いて、追加の機械学習を行う(ステップS36)。追加の機械学習を行うタイミングは、例えば、上述した正誤情報が「誤り」である割合が、所定の閾値よりも高くなった時点とすればよい。学習部61は、追加学習用の教師データのみ、あるいは、当初の教師データに追加学習用の教師データを加えたものを使用して、学習モデルMを更新または再作成する。これにより、学習モデルMによる骨材種の推定精度を、所定の水準に維持することができる。
【0107】
また、上記の第2実施形態のように、水分センサ57で骨材9の表面の水分量を計測する場合には、計測された水分量を、追加学習用の教師データに含めてもよい。
【0108】
<5.変形例>
以上、本発明の第1実施形態~第4実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0109】
上記の実施形態では、学習部61は、フレーム画像に、ぼかし、左右反転、上下反転などの画像処理を施していた。しかしながら、フレーム画像を、画像処理を施すことなく、そのまま学習用画像として使用してもよい。
【0110】
また、上記の実施形態では、カメラ53が、受入コンベア20により搬送される骨材9の動画Dを撮影していた。しかしながら、カメラ53は、受入コンベア20により搬送される骨材9の静止画を撮影してもよい。動画Dではなく静止画を撮影する場合でも、骨材9の搬送を停止させることなく撮影することで、ブレを含む画像を取得することができる。すなわち、カメラ53は、動画Dに限らず、搬送される骨材9の静止画を撮影することにより、ブレを含む画像を学習用画像として取得してもよい。
【0111】
また、上記の実施形態では、判定部63による判定結果Rが「不一致」となった場合に、受入コンベア20を停止させていた。しかしながら、例えば、受入ホッパ10の下部にカットゲートを設け、判定結果Rが「不一致」となった場合に、当該カットゲートを閉じるようにしてもよい。また、搬送経路に、骨材9を一時貯蔵できるサージビンを設け、判定結果Rが「不一致」となった場合に、当該サージビンへ骨材9を搬送するようにしてもよい。また、サイロ40までの搬送経路のどこかにゲートを設け、判定結果Rが「不一致」となった場合に、当該ゲートを閉じるようにしてもよい。すなわち、制御部64は、判定結果Rが「不一致」となった場合に、何らかの方法で、サイロ40への骨材9の搬送を制限すればよい。
【0112】
また、上記の実施形態では、受入コンベア20が傾斜していた。しかしながら、受入コンベア20は、傾斜していなくてもよい。すなわち、受入コンベア20は、骨材9を水平方向に搬送するものであってもよい。
【0113】
また、上記の実施形態では、情報処理部56としてのコンピュータが、コンクリートプラント内に配置されていた。しかしながら、情報処理部56の機能の一部または全部を、コンクリートプラントの外部に配置してもよい。例えば、情報処理部56としてのコンピュータを、遠隔地に配置し、インターネットを介して、操作盤51、表示部52、カメラ53と通信できるようにしてもよい。
【0114】
また、上記の実施形態では、判定部63の判定結果Rを、表示部52に表示していた。しかしながら、判定部63から「不一致」の判定結果Rが出力された場合に、警告ランプを点灯させたり、警告ブザーを鳴動させたりしてもよい。すなわち,本発明における「結果出力部」は、警告ランプや警告ブザーなどであってもよい。
【0115】
また、上記の実施形態では、コンクリートプラントの受入コンベア20において、骨材種を判定する例を説明した。しかしながら、本発明は、コンクリートプラントへ骨材9を出荷・供給する採石場においても利用可能である。すなわち、本発明の骨材判定装置は、採石場に設置されたコンベアにおいて、骨材種を判定するものであってもよい。
【0116】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、コンクリートプラントまたは採石場において、骨材種を判定するために利用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 骨材搬送装置
9 骨材
10 受入ホッパ
20 受入コンベア
30 シャトルコンベア
40 サイロ
50 骨材判定装置
51 操作盤
52 表示部
53 カメラ
54 光源
55 フード
56 情報処理部
57 水分センサ
61 学習部
62 推定部
63 判定部
64 制御部
90 トラック
D 動画
E 推定結果
I 骨材種の情報
M 学習モデル
M1 第1学習モデル
M2 第2学習モデル
R 判定結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10