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  • 特開-充填包装装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023516
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】充填包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/08 20060101AFI20230209BHJP
   B65B 9/08 20120101ALI20230209BHJP
【FI】
B65B61/08
B65B9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129110
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】沢田 清
【テーマコード(参考)】
3E050
3E056
【Fターム(参考)】
3E050AB03
3E050CA04
3E050CB01
3E050DD00
3E050DE00
3E050DF02
3E050FA05
3E050FB01
3E050FB08
3E050GB01
3E056AA05
3E056CA02
3E056EA05
3E056FB02
3E056FG10
(57)【要約】
【課題】動力部の加減速を行うことなく、搬送ピッチを変更可能な充填包装装置を提供する。
【解決手段】充填機12で二つ折りした帯状シートSを長手方向の所定間隔で横シールし、横シールで区画された帯状シートS内に内容物を充填した後、帯状シートSの上部をシールして袋Bを成形する。切断装置24により横シール部を切断して個々の袋Bに分離し、切断後の袋Bを保持搬送装置20で下流へと搬送する。保持搬送装置20は、チェーン28に回転可能に設けられた揺動レバーと、揺動レバーと連結された支持ベースと、支持ベースに設けられ、袋Bを把持する開閉可能なグリッパ22とを備える。支持ベースをチェーン28に沿って移動し、切断前の袋Bを把持する際には、前後するグリッパ22の間隔を縮める。前後のグリッパ22により把持される袋が切断された後は、グリッパ22の間隔を広げるように揺動レバーを揺動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りした帯状シートを長手方向の所定間隔で横シールする横シール手段と、
横シールで区画された前記帯状シート内に内容物を充填する充填手段と、
内容物が充填された上部をシールして袋を成形する上部シール手段と、
横シール部を切断して個々の袋に分離する切断手段と、
切断後の袋を把持して下流へと搬送する袋搬送手段とを備えた充填包装装置において、
前記袋搬送手段は、
循環走行される走行体に回転可能に設けられた複数の揺動レバーと、
揺動レバーを揺動させる揺動機構と、
揺動レバーと連結された支持ベースと、
支持ベースに設けられ、袋を把持する開閉可能なグリッパと、
グリッパを開閉させる開閉機構とを備え、
前記支持ベースを前記走行体に沿って移動可能に取り付け、
切断前の袋を把持する際には、前後するグリッパの間隔を縮め、前後のグリッパがそれぞれ隣り合う2つの袋を把持するとともに、
前後のグリッパが把持する袋が切断された後に、前後するグリッパの間隔を広げるように揺動レバーを揺動させることを特徴とする充填包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状シートを袋状に形成し物品を充填し切断する充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二つ折りにした長尺シートから幅シール部を多数形成して袋部に所定量の粉剤を充填・密封した後、幅シール部で切断し、分離の前後に亘って袋を保持して搬送する切断袋搬送装置が知られている(特許文献1)。同装置では、横方向に並進する一対のチェーンに交互に取り付けられたクリッパーにより、切断前後の袋を把持し、切断後の袋を把持するクリッパーが取り付けられたチェーンを加速して袋の搬送ピッチを広げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3577488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、動力部であるチェーンの加減速を繰り返さなければならず、切断後の袋を下流側の装置へ受け渡す場合、タイミングの制御が難しくなる。
【0005】
本発明は、動力部の加減速を行うことなく、搬送ピッチを変更可能な充填包装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である充填包装装置は、二つ折りした帯状シートを長手方向の所定間隔で横シールする横シール手段と、横シールで区画された前記帯状シート内に内容物を充填する充填手段と、内容物が充填された上部をシールして袋を成形する上部シール手段と、横シール部を切断して個々の袋に分離する切断手段と、切断後の袋を把持して下流へと搬送する袋搬送手段とを備えた充填包装装置において、前記袋搬送手段は、循環走行される走行体に回転可能に設けられた複数の揺動レバーと、揺動レバーを揺動させる揺動機構と、揺動レバーと連結された支持ベースと、支持ベースに設けられ、袋を把持する開閉可能なグリッパと、グリッパを開閉させる開閉機構とを備え、前記支持ベースを前記走行体に沿って移動可能に取り付け、切断前の袋を把持する際には、前後するグリッパの間隔を縮め、前後のグリッパがそれぞれ隣り合う2つの袋を把持するとともに、前後のグリッパが把持する袋が切断された後に、前後するグリッパの間隔を広げるように揺動レバーを揺動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動力部の加減速を行うことなく、搬送ピッチを変更可能な充填包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における充填包装装置の配置を示す平面図である。
図2】予熱装置から保持搬送装置に掛けての帯状シートと、切断され搬送ピッチが拡大された袋の配置を示す模式的な側面図である。
図3】保持搬送装置のグリッパ周辺の構造を搬送方向に見た縦断面図である。
図4】グリッパのリンク機構を下側から見た図である。
図5】切断装置近傍における、カム溝の形状とリンク機構の状態を下側から見た図であり、切断前の帯状シートや、切断後の各袋の位置関係も示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における充填包装装置の配置を示す平面図である。
【0010】
充填包装装置10では、帯状シートSが上向きに二つ折りにされて充填機(充填手段)12の水平面内で回転される回転ホイールに接線方向から供給され、回転ホイールの外周に沿って一定間隔で配置された縦シーラ(横シール手段)12Aに掛け回される。充填機12では、縦シーラ12Aにより二つ折りにされた帯状シートSの前後が所定の間隔でシール(横シール)されることで袋状の区画に分けられ、各袋には上方から物品が充填される。
【0011】
物品が充填された帯状シートSは、充填機12の回転ホイールから離接されローラ14を介して予熱装置16へと送られ、二つ折りにされた帯状シートSの上部開口部が予熱される。予熱された帯状シートSは、次にトップシーラ(上部シール手段)18に送られ、上部開口部がシールされ袋状に密封される。
【0012】
3方がシールされ物品が各袋Bに密封された帯状シートSは、保持搬送装置(袋搬送手段)20に設けられたグリッパ22により各袋Bが保持された後、切断装置(切断手段)24により横シール部が切断されて袋Bごとに分離される。分離された各袋Bは保持搬送装置20により搬送ピッチをP1からP0へと広げられて下流側の装置へと送られる(後述)。なお、図2は、予熱装置16から保持搬送装置20に掛けての帯状シートSと切断され搬送ピッチが拡大された袋Bの配置を示す模式的な側面図である。
【0013】
図3は、保持搬送装置20のグリッパ22周辺の構造を搬送方向に見た縦断面図であり、図4は、グリッパ22のリンク機構を下側から見た図である。
【0014】
図1図3に示されるように保持搬送装置20は、一対のスプロケット26に掛け回され、水平面内で循環するチェーン(走行体)28を備え、各グリッパ22はチェーン28に取り付けられている。チェーン28は、上下一対の無端チェーンで構成される。上下のチェーン28A、28Bは、それぞれ垂直フレーム30Aに保持される上下一対のガイド32A、32Bにそれぞれ保持され、長円軌道に沿って走行される。
【0015】
上下のチェーン28A、28Bは、ブロック部材34に取り付けられており、ブロック部材34の上端には回動自在に揺動レバー36が取り付けられる。揺動レバー36はV字形に屈曲した形状を呈し、垂直フレーム30A側に位置する端部にはカムフォロワ36Aが、他端にはピボット36Bを介してリンクプレート38の一端が取り付けられる。カムフォロワ36Aは、垂直フレーム30Aの上端から外側に延出する上部フレーム30Bの基部側の下面に敷設されたピッチ変更カム40のカム溝40Aに係合され、チェーン28の走行に伴いカム溝40A内を走行される。なお、揺動レバー36は、その略中心に当たる屈曲部において垂直な揺動軸36Cに軸支され、揺動軸36C周りに回動される。
【0016】
一方、ピボット36Bを介して揺動レバー36に連結されたリンクプレート38は、略チェーン28の軌道に沿って配置され、ピボット36Bとは反対側の端部は、ピボット38Aを介してグリッパ22を支持する支持ベース42に軸支される。支持ベース42は上部フレーム30Bの先端側の下面にチェーン28の軌道に平行して敷設されるレール44に係合するスライダ46に取り付けられる。グリッパ22は、支持ベース42に固定された固定グリッパ片22Aと、固定グリッパ片22Aに対して軸22Cを中心に揺動自在に軸支される可動グリッパ片22Bとからなる。
【0017】
固定グリッパ片22Aは支持ベース42から垂直下向きに延出し、可動グリッパ片22Bは、固定グリッパ片22Aの略半分の高さにおいて、グリッパ搬送方向(チェーン軌道)に沿った軸22Cにより固定グリッパ片22Aに軸支される。可動グリッパ片22Bの基部側は、軸22Cが設けられた位置からチェーン28に向けて内側に延出し、その先端にはカムフォロワ22Dが設けられる。カムフォロワ22Dは、レール44に沿って可動グリッパ片22Bを開放させる開放区間A1、A2に設けられた開閉カム48のカム面に係合する(図1参照)。なお、開閉カム48は、垂直フレーム30Aの下端から水平に外側に延出する下部フレーム30Cによって支持される。
【0018】
なお、開放区間A1は、グリッパ22で帯状シートを把持する位置に設けられ、グリッパ22が帯状シートSと平行に走行する少し上流側の位置から平行に走行し始めてから一定の区間に亘って設けられる。また、開放区間A2は、グリッパ22が把持する袋Bを解放し、下流側の処理装置や回収ボックスに受け渡す位置に対応して設けられる。なお、袋Bを下流側の処理装置や回収ボックスに受け渡す位置は、破線で示す区間A3や区間A4に設けられてもよく、複数の区間に昇降式の可動式の開閉カム48を設けて、受け渡し位置を切り換え可能としてもよい。
【0019】
可動グリッパ片22Bは、カムフォロワ22Dが開閉カム48により下方に押し下げられると軸22C周りに回動され、その先端は固定グリッパ片22Aから離接して外側に持ち上げられ、グリッパ22は開放される。また、可動グリッパ片22Bは図示しない付勢部材により、グリッパ22を閉じる方向に付勢されており、開閉カム48のカム面に押し当てられていない時は、カムフォロワ22Dも上昇しグリッパ22が閉じられた状態となる。
【0020】
一方、ピッチ変更カム40は、リンク機構を通してグリッパ22間のピッチを変更する。図4に示されるように、ピッチ変更カム40によりカムフォロワ36Aがグリッパ22側(外側)へと移動されると、揺動レバー36が図4において揺動軸36C周りに反時計回りに回転され、例えば破線で示される位置まで回転される。これにより揺動レバー36の他端に連結されたリンクプレート38は、カムフォロワ36Aの走行方向へ相対的に移動され、グリッパ22を支持する支持ベース42はレール44に沿って前進される。また、逆にカムフォロワ36Aがピッチ変更カム40によりグリッパ22とは反対側(内側)へと戻されると、揺動レバー36は揺動軸36C周りに時計回りに回転され、リンクプレート38はカムフォロワ36Aの走行方向とは逆向きに相対的に移動される。これによりグリッパ22を支持する支持ベース42はレール44に沿って後退される。
【0021】
次に図5を参照して、上述したピッチ変更カム40と、カムフォロワ36A、揺動レバー36、リンクプレート38を含むリンク機構を用いたグリッパ22(すなわち袋B)の搬送ピッチの変更動作を説明する。図5には、切断装置24近傍における、カム溝40Aの形状とリンク機構の状態を下側から見た図であり、切断前の帯状シートSや、切断後の各袋Bの位置関係も同時に示される。なお、図5においては、各ピボット38Aの位置がグリッパ22の位置に対応する。
【0022】
ピッチ変更カム40のカム溝40Aは、切断装置24による帯状シートSの切断位置Aの近傍を除いて内側に位置し、各グリッパ22は後退され、グリッパ22間の搬送ピッチはP0に維持されている。一方、切断前の帯状シートSの袋Bは、ピッチP1(<P0)で形成されている。そのため、カム溝40Aは切断位置Aの手前から切断位置Aを過ぎた直後までの区間において外側に山なりに張り出す軌道を描き、切断位置Aを過ぎると元の内側位置にまで戻される。
【0023】
前後のグリッパ22において、先行するグリッパ22のカムフォロワ36Aが後方のグリッパ22のカムフォロワ36Aよりも外側に位置するとき、このグリッパ22間の距離(搬送ピッチ)は、搬送ピッチP0よりも拡大される。一方、先行するグリッパ22のカムフォロワ36Aが後方のグリッパ22のカムフォロワ36Aよりも内側に位置するとき、このグリッパ22間の距離(搬送ピッチ)は、搬送ピッチP0よりも縮小される。
【0024】
図5に示されるように、内側位置に維持されグリッパ22の搬送ピッチP0を維持していたカム溝40Aは、切断位置Aの手前において、内側から外側へと張り出す。この区間において前後のグリッパ22の搬送ピッチはP0よりも拡大される。その後、カム溝40Aは切断位置Aの前後近傍において外側から内側に戻される。この区間において前後のグリッパ22の搬送ピッチは、切断前の帯状シートSの袋BのピッチP1にまで縮小される。また、各グリッパ22は、カム溝40Aが外側から内側に戻される区間の切断位置Aの手前において、図3に示したカムフォロワ22Dと開閉カム48で構成されるグリッパ開閉機構により閉じられ、切断前の帯状シートSの各袋Bが順次グリッパ22により把持される。すなわち、切断位置Aにおける前後の袋Bは、搬送ピッチP1のグリッパ22により各々把持されている。
【0025】
切断位置Aを過ぎカム溝40Aが元の内側位置まで戻されると、カム溝40Aは内側位置に維持され、前後のグリッパ22の搬送ピッチは再びP0に戻される。各グリッパ22は、切断された袋Bを各々把持したまま下流側へと搬送され、開閉区間A2の所定位置でグリッパ開閉機構により開放され、袋Bは下流側装置へと受け渡される。
【0026】
以上のように、本実施形態の充填包装装置によれば、グリッパを移動するための動力部であるチェーンを加減速することなく、グリッパの搬送ピッチを変更可能とすることができる。これにより、帯状シートから分離された切断後の物品(袋)を一定のタイミングで下流側の装置へと受け渡すことができる。
【符号の説明】
【0027】
10 充填包装装置
12 充填機(充填手段)
12A 縦シーラ(横シール手段)
18 トップシーラ(上部シール手段)
20 保持搬送装置(袋搬送手段)
22 グリッパ
24 切断装置(切断手段)
36 揺動レバー
42 支持ベース
A 切断位置
B 袋
P0、P1 搬送ピッチ
S 帯状シート
図1
図2
図3
図4
図5