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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023519
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129114
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB27
2C056EB40
2C056EC23
2C056EC26
2C056EC54
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】簡易な方法でノズルの吐出不良の有無を判断すること。
【解決手段】プリンタ10は、キャリッジ17に搭載されたインクヘッド40および光学センサ38と、制御装置80と、を備え、制御装置80は、1つのノズル列45に対して、1つの矩形状のマーク50が塗りつぶされて形成されるように、ノズル列45ごとに全てのノズル41からインクを吐出させてマーク50を形成するマーク形成部82と、マーク50が形成された記録媒体5を光学センサ38に対して移動させて、記録媒体5において反射した光の第1受光量およびマーク50において反射した光の第2受光量に基づいて、マーク50の副走査方向Xの端部Tの数である端部数Nを検出する検出部84と、端部数Nが第1の値より大きい場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断する判断部86と、を備えている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が載置される載置台と、
前記載置台に載置された前記記録媒体にインクを吐出しかつ副走査方向に並ぶ複数のノズルを含むノズル列と、前記ノズルが形成されたノズル面と、を有するインクヘッドと、
前記インクヘッドを搭載し、主走査方向に移動可能に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、光を照射しかつ反射光を受光する光学センサと、
前記記録媒体を前記副走査方向に移動させる移動機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
1つの前記ノズル列に対して、1つの矩形状のマークあるいは前記主走査方向および前記副走査方向に相互に偏倚した少なくとも2つの前記マークが塗りつぶされて形成されるように、前記ノズル列ごとに全ての前記ノズルからインクを吐出させて前記マークを形成するマーク形成部と、
前記マークが形成された前記記録媒体を前記光学センサに対して前記副走査方向に相対的に移動させて、前記記録媒体において反射した光の第1受光量および前記マークにおいて反射した光の第2受光量に基づいて、前記マークの前記副走査方向の端部の数である端部数を検出する検出部と、
前記端部数が第1の値より大きい場合に、前記ノズルに吐出不良が発生していると判断する判断部と、を備えている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記マークは、第1の色から形成された第1色マークと、第2の色から形成された第2色マークとを含み、
前記光学センサから前記第1色マークに向けて照射される光の色と前記第2色マークに向けて照射される光の色とは異なる、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記マークは、第1の色から形成された第1色マークと、第2の色から形成された第2色マークとを含み、
前記第1色マークにおいて反射して前記光学センサが受光する光の色と前記第2色マークにおいて反射して前記光学センサが受光する光の色とは異なる、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記端部数が前記第1の値より大きい第2の値以上の場合に、前記ノズルからインクを吐出させるフラッシング動作を実行する第1クリーニング動作部を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記インクヘッドに着脱可能に形成され、前記インクヘッドに取り付けられたときに前記ノズル面を覆いかつ前記ノズル面との間に密閉空間を形成するキャップと、
前記密閉空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、を備え、
前記制御装置は、前記端部数が前記第2の値より大きい第3の値以上の場合に、前記密閉空間内の流体を前記吸引ポンプによって吸引して前記ノズルからインクを強制的に吐出させる吸引動作を実行する第2クリーニング動作部を備えている、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記判断部によって前記ノズルに吐出不良が発生していると判断されたときに、ユーザに対して前記ノズルの吐出不良が発生していることを通知する通知部を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記記録媒体には、前記主走査方向に並ぶ複数の前記マークが形成され、
前記検出部は、1つの前記マークにおいて前記光学センサに対して前記記録媒体を前記副走査方向の一方側から他方側に第1距離だけ移動させた後に、前記キャリッジを前記主走査方向の一方側から他方側に第2距離だけ移動させるように構成され、かつ、前記主走査方向の一方側から他方側に向けて前記マークごとに前記端部数を検出し、
前記判断部は、前記端部数が4以上の場合に、前記ノズルに吐出不良が発生していると判断し、
前記制御装置は、前記判断部によって前記ノズルの吐出不良が発生していると判断された前記ノズル列を特定する特定部を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記記録媒体には、前記主走査方向に並ぶ複数の前記マークが形成され、
前記検出部は、1つの前記マークにおいて前記光学センサに対して前記記録媒体を前記副走査方向の一方側から他方側に第1距離だけ移動させ、かつ、前記記録媒体を前記副走査方向の他方側から一方側に前記第1距離だけ移動させた後に、前記キャリッジを前記主走査方向の一方側から他方側に第2距離だけ移動させるように構成され、かつ、前記主走査方向の一方側から他方側に向けて前記マークごとに前記端部数を検出し、
前記判断部は、前記端部数が8以上の場合に、前記ノズルに吐出不良が発生していると判断し、
前記制御装置は、前記判断部によって前記ノズルの吐出不良が発生していると判断された前記ノズル列を特定する特定部を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記マーク形成部は、前記記録媒体の色と前記マークの色とが同じ場合には、前記マークを形成する前に前記記録媒体において前記マークが形成される領域より広い領域に、前記記録媒体の色および前記マークの色とは異なる色から形成された下地層を形成し、
前記検出部は、前記第2受光量および前記下地層において反射した光の第3受光量に基づいて、前記端部数を検出する、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
1つの前記マークは、隣り合う前記ノズル間の前記副走査方向の長さだけ前記記録媒体を前記副走査方向に移動させた後にさらに前記ノズル列の前記副走査方向の長さだけ前記記録媒体を前記副走査方向に移動させ、その後に隣り合う前記ノズル間の前記副走査方向の長さだけ前記記録媒体を前記副走査方向に移動させて形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式によって記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタが知られている。この種のインクジェットプリンタは、例えば、副走査方向に搬送される記録媒体が載置される載置台と、載置台に載置された記録媒体にインクを吐出する複数のノズルを有しかつ副走査方向と交差する主走査方向に移動可能に設けられたインクヘッドと、を備えている。複数のノズルにおいてノズルに目詰まりが発生すると、ノズルから吐出されるインクの量が減少することやノズルからインクが吐出されないこと等の吐出不良が発生し得る。ノズルに吐出不良が発生してノズルから適切にインクが吐出されない場合には、形成される画像の品質が低下してしまう。例えば、特許文献1には、ノズル抜けの有無を検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-47652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ノズル抜けの有無を検査するために印刷されたテストパターンを画像として取り込むためにスキャナーが必要であり、コストが増大してしまうと共にプリンタが大型化する虞がある。また、画像処理によってノズル抜けの有無を算出するため、制御が複雑化すると共に、画像の解像度等によっては正確にノズル抜けの有無を検査することができないことが発生し得る。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な方法でノズルの吐出不良の有無を判断することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体が載置される載置台と、前記載置台に載置された前記記録媒体にインクを吐出しかつ副走査方向に並ぶ複数のノズルを含むノズル列と、前記ノズルが形成されたノズル面と、を有するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し、主走査方向に移動可能に設けられたキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、光を照射しかつ反射光を受光する光学センサと、前記記録媒体を前記副走査方向に移動させる移動機構と、制御装置と、を備えている。前記制御装置は、1つの前記ノズル列に対して、1つの矩形状のマークあるいは前記主走査方向および前記副走査方向に相互に偏倚した少なくとも2つの前記マークが塗りつぶされて形成されるように、前記ノズル列ごとに全ての前記ノズルからインクを吐出させて前記マークを形成するマーク形成部と、前記マークが形成された前記記録媒体を前記光学センサに対して前記副走査方向に相対的に移動させて、前記記録媒体において反射した光の第1受光量および前記マークにおいて反射した光の第2受光量に基づいて、前記マークの前記副走査方向の端部の数である端部数を検出する検出部と、前記端部数が第1の値より大きい場合に、前記ノズルに吐出不良が発生していると判断する判断部と、を備えている。
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタによると、マーク形成部は、例えば、ノズル列ごとに全てのノズルからインクを吐出させて1つの矩形状のマークを形成するように構成されている。ここで、ノズル列のノズルに目詰まりが発生していない場合には、矩形状のマークは副走査方向に切れ目(即ち主走査方向に延びる線)のない1つのマークとして形成される。一方、ノズル列の一部のノズルに目詰まりが発生している場合には、ノズルから適切にインクが吐出されないため、矩形状のマークは副走査方向に切れ目が生じる。なお、他のノズルからはインクが適切に吐出されて塗りつぶされるため、1つの矩形状のマークを形成しようとしたが全体として副走査方向に並ぶ複数の矩形状のマークが形成されることになる。また、検出部は、マークが形成された記録媒体を光学センサに対して副走査方向に移動させる。ここで、記録媒体において反射した光の第1光量とマークにおいて反射した光の第2光量とは異なるため、光学センサがマークを通過することによって、マークと記録媒体との境界、即ちマークの副走査方向の端部を検出することができる。ここで、矩形状のマークに切れ目が生じていない場合には端部数は2つになるが、切れ目が増えるほど端部数は大きくなる。そこで、判断部は、端部数が第1の値より大きい場合に、ノズルに吐出不良が発生していると判断する。このように、全てのノズルを用いて矩形状のマークを形成してマークの端部数を検出することによって、容易にノズルに吐出不良が発生しているか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な方法でノズルの吐出不良の有無を判断することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す正面図である。
図2】一実施形態に係るキャリッジの下面の構成を模式的に示した図である。
図3】一実施形態に係るキャッピングユニットの周辺の構成を示す図であり、インクヘッドからキャップが取り外された状態を示す正面図である。
図4】一実施形態に係るキャッピングユニットの周辺の構成を示す図であり、インクヘッドにキャップが取り付けられた状態を示す正面図である。
図5】一実施形態に係るプリンタの制御系のブロック図である。
図6】インクヘッドのノズルの吐出不良の有無を確認する手順を示すフローチャートである。
図7A】矩形状のマークの一部が形成された状態を示す模式図である。
図7B】矩形状のマークの他の一部が形成された状態を示す模式図である。
図8】矩形状のマークが主走査方向に並ぶテストパターンの一例である。
図9】光学センサの移動経路を示す模式図である。
図10A】正常に形成されたマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の一例を示す模式図である。
図10B】正常に形成されなかったマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の一例を示す模式図である。
図11A】正常に形成されたマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の他の一例を示す模式図である。
図11B】正常に形成されなかったマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の他の一例を示す模式図である。
図12A】矩形状のマークの一部が形成された状態の変形例を示す模式図である。
図12B】矩形状のマークの他の一部が形成された状態の変形例を示す模式図である。
図13】矩形状のマークが主走査方向に並ぶテストパターンの変形例である。
図14】光学センサの移動経路の変形例を示す模式図である。
図15A】正常に形成されたマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の他の一例を示す模式図である。
図15B】正常に形成されなかったマークの端部を検出するときの光学センサの移動経路の他の一例を示す模式図である。
図16】下地層上にマークが形成されたときの光学センサの移動経路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ10を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号X(図2参照)は副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。また、行き方向Y1は主走査方向Yの右方から左方に向かう方向を示し、帰り方向Y2は主走査方向Yの左方から右方に向かう方向を示し、行き方向X1は副走査方向Xの上流側から下流側に向かう方向(ここでは後ろから前に向かう方向)を示し、帰り方向X2は副走査方向Xの下流側から上流側に向かう方向(ここでは前から後に向かう方向)を示す。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0012】
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステル等の樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布等の布帛、その他の媒体であってもよい。記録媒体5は、例えば、白色である。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10Aと、プラテン13と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、移動機構20と、ヘッド移動機構30と、光学センサ38と、インクヘッド40(図2参照)と、キャッピングユニット60と、制御装置80と、を備えている。
【0014】
プリンタ本体10Aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13には、記録媒体5が載置される。プラテン13に記録媒体5が載置された状態で、プラテン13上で記録媒体5への印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がったものである。プラテン13は、載置台の一例である。
【0015】
移動機構20は、プラテン13に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。移動機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、移動機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15の下方に配置され、記録媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ22は、上部がプラテン13から上方に露出した状態で、プラテン13に設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。なお、ピンチローラ21およびグリットローラ22のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、ピンチローラ21およびグリットローラ22は、プラテン13の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
【0016】
ここでは、グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。これにより、記録媒体5は、副走査方向Xに搬送される。フィードモータ23は制御装置80に制御される。
【0017】
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
【0018】
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)および光学センサ38を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左側のプーリ31aと、右側のプーリ31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左側のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の近傍に設けられている。右側のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の近傍に設けられている。ベルト32は、例えば無端状であり、左側のプーリ31aと右側のプーリ31bとに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。
【0019】
右側のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右側のプーリ31bが回転し、ベルト32が左側のプーリ31aおよび右側のプーリ31bの間で走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド40および光学センサ38は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ33は制御装置80に制御される。
【0020】
図2に示すように、キャリッジ17には、複数のインクヘッド40が搭載されている。インクヘッド40は、プラテン13に載置された記録媒体5にインクを吐出する。インクヘッド40は、それぞれ、可撓性を有するインクチューブ(図示せず)によって、プリンタ本体10A内に収容されたインクカートリッジ(図示せず)と連通されている。インクカートリッジには、例えば、プロセスカラーインク、ホワイトインク、グロスインクおよびプライマーインク等が収容される。プロセスカラーインクとしては、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク等が挙げられる。
【0021】
図2に示すように、インクヘッド40は、第1インクヘッド40A、第2インクヘッド40B、第3インクヘッド40Cおよび第4インクヘッド40Dを含む。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、キャリッジ17に搭載されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、主走査方向Yに並ぶ。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xに関して揃った位置に配置されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xに関して互いにずれた位置に配置されていてもよい。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xに並ぶ複数のノズル41と、ノズル41が形成されたノズル面44とを備えている。ノズル41は、プラテン13に載置された記録媒体5にインクを吐出する。ノズル41内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。
【0022】
図2に示すように、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dでは、複数のノズル41が副走査方向Xに1列に並んで第1ノズル列42および第2ノズル列43を構成している。第1ノズル列42は、第2ノズル列43の左方に位置する。以下、第1ノズル列42と第2ノズル列43とを総称してノズル列45と称することがある。第1ノズル列42および第2ノズル列43は、それぞれ、複数のノズル41の一部が副走査方向Xに並ぶ上流側ノズル列46Aと、上流側ノズル列46Aよりも副走査方向の下流側(ここでは前方)に位置しかつ複数のノズル41の一部が副走査方向Xに並ぶ中央ノズル列46Bと、中央ノズル列46Bよりも副走査方向の下流側(ここでは前方)に位置しかつ複数のノズル41の一部が副走査方向Xに並ぶ下流側ノズル列46Cと、を含む。本実施形態では、上流側ノズル列46Aのノズル41の数と、中央ノズル列46Bのノズル41の数と、下流側ノズル列46Cのノズル41の数とは同じである。本実施形態では、例えば、第1インクヘッド40Aのノズル41からシアンインクが吐出され、第2インクヘッド40Bのノズル41からマゼンタインクが吐出され、第3インクヘッド40Cのノズル41からイエローインクが吐出され、第4インクヘッド40Dのノズル41からブラックインクが吐出される。なお、図2において、インクヘッド40には、1ノズル列45あたり12個のノズル41が図示されているが、実際にはさらに多数(例えば180個)のノズルが形成されている。ただし、ノズル41の個数は何ら限定されるわけではない。また、本実施形態では、プリンタ10は4つのインクヘッド40を備えているが、インクヘッド40の数は3つに限定されない。さらにインクヘッド40は、2つのノズル列45(ここでは第1ノズル列42と第2ノズル列43)を有するが、ノズル列45は1つまたは3つ以上であってもよい。
【0023】
光学センサ38は、プラテン13に載置された記録媒体5上を主走査方向Yに移動可能に設けられている。光学センサ38は、キャリッジ17に搭載されている。本実施形態では、光学センサ38は、インクヘッド40よりも左方に設けられているが、右方に設けられていてもよい。光学センサ38は、光を照射しかつ反射光を受光する。光学センサ38は、記録媒体5に光を照射しかつ記録媒体5において反射した光を受光する。光学センサ38は、記録媒体5に形成された後述するマーク50(図8参照)に光を照射しかつマーク50において反射した光を受光する。光学センサ38の種類は、特に限定されないが、例えば、反射型のフォトセンサが挙げられる。本実施形態では、光学センサ38は、カラーセンサ(典型的にはRGB値を測定するカラーセンサ)である。光学センサ38は、制御装置80に接続されている。
【0024】
次に、本実施形態に係るキャッピングユニット60について説明する。キャッピングユニット60は、後述するキャップ70(図3参照)をインクヘッド40に取り付けることによってインクヘッド40のノズル41の乾燥を抑制する。また、キャッピングユニット60は、ノズル41の目詰まりを抑制するために、後述する吸引ポンプ68によってノズル41内のインクを強制的にキャップ70内に排出させる。
【0025】
図1に示すように、キャッピングユニット60は、プリンタ本体10A内に設けられている。キャッピングユニット60は、プラテン13より右方に配置されている。図3に示すように、キャッピングユニット60は、インクヘッド40に着脱可能な4個のキャップ70と、キャップ移動機構63と、吸引ポンプ68とを備えている。キャップ70およびキャップ移動機構63は、ガイドレール15(図1参照)の右端部に位置するホームポジションHPに配置されている。ここで、ホームポジションHPとは、印刷待機時、すなわち、印刷が行われていないときに、キャリッジ17およびインクヘッド40および光学センサ38が待機する位置である。ただし、ホームポジションHPの位置は特に限定されず、ガイドレール15の左端部であってもよい。
【0026】
図3に示すように、キャップ70は、主走査方向Yに並ぶ。キャップ70は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。キャップ70は、インクヘッド40のノズル面44(図2参照)を覆うようにインクヘッド40にそれぞれ着脱可能に形成されている。なお、「ノズル面44を覆う」とは、ノズル面44の全体が覆われる場合に限られず、少なくとも第1ノズル列42および第2ノズル列43の全体が覆われる場合を含む。キャップ70には、インクヘッド40のノズル41からインクが吐出される。
【0027】
図3に示すように、キャップ移動機構63は、キャップ70を支持している。キャップ移動機構63は、キャップ70をインクヘッド40に対してそれぞれ着脱可能なように移動させる機構である。本実施形態では、キャップ移動機構63は、キャップ70を上下方向に移動させるものである。キャップ移動機構63の構成は特に限定されないが、例えば、駆動モータ63Aを備えている。駆動モータ63Aを駆動させることによって、キャップ移動機構63は、キャップ70を上下方向に移動させる。キャップ移動機構63は、キャップ70を上方に移動させることによって、キャップ70を、キャップ位置CP(図4参照)に移動させる。ここで、キャップ位置CPとは、キャップ70がインクヘッド40のノズル面44を覆う位置である。これにより、キャップ70は、インクヘッド40にそれぞれ装着される。キャップ70がインクヘッド40にそれぞれ取り付けられたときに、キャップ70とノズル面44との間に密閉空間67(図4参照)が形成される。キャップ移動機構63は、印刷を開始するときに、キャップ70を下方に移動させることによって、キャップ70をキャップ位置CP(図4参照)から離隔位置DP(図3参照)に移動させる。ここで、離隔位置DPとは、キャップ70がノズル面44から離隔した位置である。これにより、キャップ70は、それぞれ、インクヘッド40から取り外される。
【0028】
吸引ポンプ68は、インクヘッド40にキャップ70が装着されている状態において、密閉空間67内の流体(例えばインク)を吸引してノズル41(図2参照)からインクを吐出させる吸引動作を行う。吸引ポンプ68を駆動することにより、密閉空間67内は、大気圧より低い圧力(即ち負圧)となる。この結果、インクヘッド40のノズル41からインクが強制的に排出される。吸引ポンプ68の吸引口は、可撓性を有するチューブ65を介して4個のキャップ70に接続されている。吸引ポンプ68の排出口は、廃液タンク69に接続されている。吸引ポンプ68に吸引された密閉空間67内の流体は、廃液タンク69に貯留される。吸引ポンプ68は、制御装置80(図1参照)に制御される。
【0029】
図1に示すように、プリンタ本体10Aのうち右端部には、操作パネル18が設けられている。操作パネル18は、プリンタの状態を表示する表示部(図示せず)と、ユーザによって操作される入力キー(図示せず)が設けられている。操作パネル18は、プリンタ10の各種の動作を制御する制御装置80に接続されている。
【0030】
図5に示すように、プリンタ10の全体の動作は、制御装置80によって制御されている。制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。図1に示すように、制御装置80は、プリンタ本体10Aの内部に設けられている。ただし、制御装置80はプリンタ本体10Aの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置80は、プリンタ10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置80は、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されている。
【0031】
図5に示すように、制御装置80は、操作パネル18、インクヘッド40、キャリッジモータ33、フィードモータ23、光学センサ38、駆動モータ63Aおよび吸引ポンプ68と通信可能に接続され、これらを制御する。
【0032】
図5に示すように、制御装置80は、マーク形成部82と、検出部84と、判断部86と、第1クリーニング動作部88と、第2クリーニング動作部90と、通知部92と、特定部94とを備えている。制御装置80の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばプリンタ10の内部の基板に実装されたROMにLAN経由でPCから書き込まれたり、プリンタ10の内部の基板に実装されたFPGAに専用の書き込み治具を使用してPCから書き込まれたりする。このプログラムは、例えば、インターネットを通じてPCにダウンロードされる。また、制御装置80の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0033】
次に、インクヘッド40のノズル41の吐出不良の有無を確認する方法について説明する。図6は、印刷開始前において記録媒体5に所定のマークを含むテストパターンを印刷してインクヘッド40のノズル41の吐出不良の有無を確認する手順を示すフローチャートである。ここでは、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dの第1ノズル列42および第2ノズル列43に対してそれぞれ1つの矩形状のマークを形成する場合を例に説明する。
【0034】
まず、ステップS10において、マーク形成部82は、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dの第1ノズル列42および第2ノズル列43ごとに全てのノズル41からインクを吐出させて矩形状のマーク50(図8参照)を形成する。マーク形成部82は、1つの第1ノズル列42および第2ノズル列43に対してそれぞれ1つのマーク50が塗りつぶされて形成されるように、第1ノズル列42および第2ノズル列43ごとに全てのノズル41からインクを吐出させる。
【0035】
例えば、図7Aに示すように、マーク形成部82は、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に移動させながら、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dの第1ノズル列42および第2ノズル列43ごとに全てのノズル41からインクを吐出させて、マーク50の一部50Aを形成する。ここで、マーク50の一部50Aの副走査方向Xの長さを1パス分の長さとする。図7Aに示すように、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に1回移動させただけでは、1つの矩形状のマーク50が形成されない。このため、図7Bに示すように、マーク50の一部50Aが形成された後に、キャリッジ17を主走査方向Yの帰り方向Y2に移動させ、記録媒体5を副走査方向Xの行き方向X1に1パス分の長さだけ移動させる。その後、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に移動させてマーク50の他の一部50Bを形成する。マーク50の一部50Aの副走査方向Xの長さとマーク50の他の一部50Bの副走査方向Xの長さとは同じである。上記の制御を繰り返し行うことによって、図8に示すように、塗りつぶされて形成された矩形状のマーク50が主走査方向Yに並ぶテストパターン50Pが記録媒体5に形成される。かかる例では、キャリッジ17を主走査方向Yに4回往復移動させることによって(即ち4パスで)、1つのマーク50が塗りつぶされて(ベタ塗で)形成されている。即ち、マーク50を形成するに際して、隣り合うノズル41間の副走査方向Xの長さLX(図2参照)だけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させている。マーク形成部82は、インクヘッド40のノズル41から吐出されるインクの量およびタイミング、キャリッジ17の主走査方向Yの移動および、記録媒体5の副走査方向Xの移動を制御する。即ち、マーク形成部82は、第1インクヘッド40A~40D、キャリッジモータ33およびフィードモータ23を制御する。なお、マーク50を形成する前に、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dのノズル列45の全てのノズル41から記録媒体5の一か所(例えば記録媒体5の右端部)にインクを吐出させるいわゆる捨て印刷を行うとよい。
【0036】
図8に示すように、テストパターン50Pは、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42のノズル41によって形成された第1マーク51と、第1インクヘッド40Aの第2ノズル列43のノズル41によって形成された第2マーク52と、第2インクヘッド40Bの第1ノズル列42のノズル41によって形成された第3マーク53と、第2インクヘッド40Bの第2ノズル列43のノズル41によって形成された第4マーク54と、第3インクヘッド40Cの第1ノズル列42のノズル41によって形成された第5マーク55と、第3インクヘッド40Cの第2ノズル列43のノズル41によって形成された第6マーク56と、第4インクヘッド40Dの第1ノズル列42のノズル41によって形成された第7マーク57と、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41によって形成された第8マーク58と、を含む。ここでは、第1マーク51および第2マーク52は、シアンインクにより形成されている。第3マーク53および第4マーク54は、マゼンタインクにより形成されている。第5マーク55および第6マーク56は、イエローインクにより形成されている。第7マーク57および第8マーク58は、ブラックインクにより形成されている。第1マーク51は、第1色マークの一例である。第3マーク53は、第2色マークの一例である。
【0037】
ステップS20において、検出部84は、マーク50の副走査方向Xの端部Tの数である端部数Nを検出する。端部数Nは、例えば、テストパターン50Pの全てのマーク50の端部Tの合計数である。なお、端部数Nは、マーク50ごとの端部Tの数であってもよい。検出部84は、マーク50が形成された記録媒体5を光学センサ38(図2参照)に対して副走査方向Xに相対的に移動させて、記録媒体5において反射した光の第1受光量およびマーク50において反射した光の第2受光量に基づいて、端部数Nを検出する。図9に示すように、検出部84は、光学センサ38が図9の二点鎖線で示す移動経路38Pを移動するように、キャリッジ17の主走査方向Yの行き方向Y1の移動および、記録媒体5の副走査方向Xの行き方向X1および帰り方向X2の移動を制御する。即ち、検出部84は、光学センサ38、キャリッジモータ33およびフィードモータ23を制御する。検出部84は、例えば、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体5を行き方向X1あるいは帰り方向X2に第1距離だけ移動させた後に、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に第2距離だけ移動させるように構成されている。ここで、第1距離はマーク50の副走査方向Xの長さより長い距離であり、第2距離は、例えば、隣り合う第1ノズル列42と第2ノズル列43との主走査方向Yの距離である。検出部84は、例えば、光学センサ38が主走査方向Yの右方から左方に(即ち行き方向Y1に)順にマーク50の上を通過するように制御する。なお、検出部84は、光学センサ38が主走査方向Yの左方から右方に順にマーク50の上を通過するように制御してもよい。図9に示す例では、光学センサ38は、第8マーク58に向けて最初に光を照射し、第1マーク51に向けて最後に光を照射する。光学センサ38からマーク50に照射される光は、マーク50の色によって異なる。ここでは、光学センサ38から照射される光は、第1マーク51および第2マーク52に対しては赤色であり、第3マーク53および第4マーク54に対しては緑色であり、第5マーク55および第6マーク56に対しては青色であり、第7マーク57および第8マーク58に対しては赤色である。光学センサ38からマーク50に照射される光は、例えば、マーク50の色と補色の関係にあるとよい。なお、光学センサ38からマーク50に照射される光は、マーク50の色に関わらず同じ色であってもよい。
【0038】
図10Aは、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41によって形成された正常な矩形状の第8マーク58を示す模式図である。図10Aに示すように、光学センサ38が移動経路38Pに沿って第8マーク58上を通過するとき、光学センサ38は記録媒体5、第8マーク58、記録媒体5の順に移動する。ここで、記録媒体5において反射した光の第1受光量と第8マーク58において反射した光の第2受光量とは異なるため、光学センサ38は第1受光量と第2受光量との変化(即ち電圧の変化)に基づいて、第8マーク58の端部Tを検出する。端部Tとは、記録媒体5と第8マーク58(マーク50との境界部分である。図10Aに示す例では、端部Tは、第8マーク58の前側の端部T1と後側の端部T2とを含む。即ち、端部数Nは2である。このように、第8マーク58が正常に形成されている場合には、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回移動するときの端部数Nは2になる。
【0039】
図10Bは、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41によって形成された異常が発生した矩形状の第8マーク58を示す模式図である。図10Bに示すように、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41に吐出不良が発生している場合には、第8マーク58は、1つの矩形状のマークではなく、複数の矩形状のマークが副走査方向Xに並ぶ形態になる。即ち、第8マーク58に切れ目(主走査方向Yに延びる線)が形成される。このため、光学センサ38が移動経路38Pに沿って第8マーク58上を通過するとき、光学センサ38は記録媒体5、第8マーク58の一部、記録媒体5、第8マーク58の他の一部、記録媒体5の順に移動する。図10Bに示す例では、端部Tは、第8マーク58の一部の前側の端部T3と後側の端部T4と、第8マーク58の他の一部の前側の端部T5と後側の端部T6とを含む。即ち、端部数Nは4である。このように、第8マーク58が正常に形成されていない場合には、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回移動するときの端部数Nは4以上になる。
【0040】
ステップS30において、判断部86は、端部数Nが第1の値より大きいか否かを判断する。判断部86は、端部数Nが第1の値より大きい場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断する。この場合には、ステップS40に進む。第1の値は、マーク50毎に設定されていてもよいし、テストパターン50Pの全体に設定されていてもよい。第1の値は、例えば、2である。図10Bに示す例では、判断部86は、端部数Nが4以上の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断する。特定部94は、判断部86によってノズル41の吐出不良が発生していると判断されたノズル列を特定する。例えば、図10Bに示す例では、特定部94は、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41に吐出不良が発生していることを特定する。特定部94は、光学センサ38によってマーク50の端部数Nを検出するときの記録媒体5の副走査方向Xの移動回数とキャリッジ17の主走査方向の移動回数(キャリッジ17の主走査方向Yの位置)とに基づいて、どのノズル列45のノズル41に吐出不良が発生しているかを特定することができる。一方、判断部86は、端部数Nが第1の値以下の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していないと判断する。そして、ノズル41の吐出不良の有無を確認する制御を終了する。
【0041】
ステップS40において、通知部92は、判断部86によってノズル41に吐出不良が発生していると判断されたときに、ユーザに対してノズル41の吐出不良が発生していることを通知する。通知部92による通知方法は特に限定されず、例えば、視覚的な表示、音声等による通知が挙げられる。本実施形態では、通知部92は、操作パネル18を通じて視覚的にユーザに対する通知を行う。通知部92は、例えば、ノズル41の吐出不良が発生しているインクヘッド40およびそのノズル列45を通知してもよい。
【0042】
ステップS50において、判断部86は、端部数Nが第2の値以上か否かを判断する。第2の値は第1の値より大きい。判断部86は、端部数Nが第2の値以上の場合に、少なくともフラッシング動作が必要であると判断する。この場合には、ステップS60に進む。一方、判断部86は、端部数Nが第2の値未満の場合には、ノズル41の一部に吐出不良が発生しているが、印刷の品質に影響がほとんどないため、フラッシング動作および吸引動作は不要であると判断する。そして、ノズル41の吐出不良の有無を確認する制御を終了する。
【0043】
ステップS60において、判断部86は、端部数Nが第3の値以上か否かを判断する。第3の値は第2の値より大きい。判断部86は、端部数Nが第3の値以上の場合に、フラッシング動作および吸引動作が必要であると判断する。この場合には、ステップS70に進む。一方、判断部86は、端部数Nが第3の値未満の場合には、ノズル41の一部に吐出不良が発生しているがフラッシング動作のみでノズル41の目詰まりが解消されると判断する。この場合には、ステップS80に進む。
【0044】
ステップS70において、第1クリーニング動作部88は、ノズル41からインクを吐出させるフラッシング動作を実行する。フラッシング動作が行われるときには、通常、ノズル41の真下にキャップ70が配置されており、ノズル41から吐出されたインクはキャップ70に収容される。なお、本実施形態では、インクヘッド40にキャップ70が取り付けられた状態でフラッシング動作を実行する。第1クリーニング動作部88は、インクヘッド40および駆動モータ63Aを制御する。そして、第2クリーニング動作部90は、密閉空間67内の流体を吸引ポンプ68によって吸引してノズル41からインクを強制的に吐出させる吸引動作を実行する。これにより、ノズル41の目詰まりが解消され得る。吸引動作が行われるときには、通常、インクヘッド40にキャップ70が取り付けられる。第2クリーニング動作部90は、インクヘッド40、駆動モータ63Aおよび吸引ポンプ68を制御する。
【0045】
ステップS80において、第1クリーニング動作部88は、ノズル41からインクを吐出させるフラッシング動作を実行する。これにより、ノズル41の目詰まりが解消され得る。
【0046】
なお、上述したステップS20において、光学センサ38は図9の移動経路38Pに示すように、1つのマーク50に対して副走査方向Xに1回移動するように構成されていたが、これに限定されない。検出部84は、例えば、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体5を行き方向X1に第1距離だけ移動させ、かつ、記録媒体5を帰り方向X2に第1距離だけ移動させた後(行き方向X1と帰り方向X2とは逆であってもよい)に、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に第2距離だけ移動させるように構成されていてもよい。例えば、図11Aに示すように、光学センサ38は、1つのマーク50に対して副走査方向Xに2回移動(即ち1回の往復移動)するように構成されていてもよい。図11Aおよび図11Bにおいて、光学センサ38の移動経路38Qは二点鎖線で示される。図11Aに示す例では、端部数Nは4である。このように、第8マーク58が正常に形成されている場合には、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回往復移動するときの端部数Nは4になる。一方、図11Bに示す例では、端部数Nは8である。このように、第8マーク58が正常に形成されていない場合には、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回往復移動するときの端部数Nは8以上になる。図11Bに示す例では、判断部86は、端部数Nが8以上の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断する。
【0047】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、マーク形成部82は、例えば、ノズル列45ごとに全てのノズル41からインクを吐出させて1つの矩形状のマーク50を形成するように構成されている。ここで、ノズル列45のノズル41に目詰まりが発生していない場合には、矩形状のマーク50は副走査方向Xに切れ目(即ち主走査方向Xに延びる線)のない1つのマーク50として形成される。一方、ノズル列45の一部のノズル41に目詰まりが発生している場合には、ノズル41から適切にインクが吐出されないため、矩形状のマーク50は副走査方向Xに切れ目が生じる。なお、他のノズル41からはインクが適切に吐出されて塗りつぶされるため、1つの矩形状のマーク50を形成しようとしたが全体として副走査方向Xに並ぶ複数の矩形状のマーク50が形成されることになる。また、検出部84は、マーク50が形成された記録媒体5を光学センサ38に対して副走査方向Xに移動させる。ここで、記録媒体5において反射した光の第1光量とマークにおいて反射した光の第2光量とは異なるため、光学センサ38がマーク50を通過することによって、マーク50と記録媒体5との境界、即ちマーク50の副走査方向Xの端部Tを検出することができる。ここで、矩形状のマーク50に切れ目が生じていない場合には端部数Nは2つになるが、切れ目が増えるほど端部数Nは大きくなる。そこで、判断部86は、端部数Nが第1の値より大きい場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断する。このように、全てのノズル41を用いて矩形状のマーク50を形成してマーク50の端部数Nを検出することによって、容易にノズル41に吐出不良が発生しているか否かを判断することができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10によると、マーク50は、第1の色から形成された第1マーク51と、第2の色から形成された第3マーク53とを含み、光学センサ38から第1マーク51に向けて照射される光の色と第3マーク53に向けて照射される光の色とは異なる。このように、色が異なるマーク50毎に光学センサ38から照射される光の色を異ならせることによって第1受光量と第2受光量との差を大きくすることができ、マーク50の副走査方向Xの端部Tの数である端部数Nをより確実に検出することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10によると、制御装置80は、端部数Nが第1の値より大きい第2の値以上の場合に、ノズル41からインクを吐出させるフラッシング動作を実行する第1クリーニング動作部88を備えている。このように、ノズル41の吐出不良が比較的多い場合に、第1クリーニング動作部88によってフラッシング動作を実行することで、ノズル41の吐出不良を改善することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10によると、制御装置80は、端部数Nが第2の値より大きい第3の値以上の場合に、密閉空間67内の流体を吸引ポンプ68によって吸引してノズル41からインクを強制的に吐出させる吸引動作を実行する第2クリーニング動作部90を備えている。このように、ノズル41の吐出不良が非常に多い場合に、第2クリーニング動作部90によって吸引動作を実行することで、ノズル41の吐出不良をより効果的に改善することができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10によると、制御装置80は、判断部86によってノズル41に吐出不良が発生していると判断されたときに、ユーザに対してノズル41の吐出不良が発生していることを通知する通知部92を備えている。これにより、ユーザは記録媒体5に形成されたマーク50を直接確認しなくとも、ノズル41に吐出不良が発生していることを認識することができる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10によると、検出部84は、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体を5副走査方向Xの一方側から他方側に第1距離だけ移動させた後に、キャリッジ17を主走査方向Yの一方側から他方側に第2距離だけ移動させるように構成され、かつ、主走査方向Yの一方側から他方側に向けてマーク50ごとに端部数Nを検出し、判断部86は、端部数Nが4以上の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断し、制御装置80は、判断部86によってノズル41の吐出不良が発生していると判断されたノズル列45を特定する特定部94を備えている。1つの矩形状のマーク50を形成するに際して、ノズル列45のうち1つでもノズル41の吐出不良が発生している場合には端部数Nが4以上になるため、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体5を副走査方向Xの一方側から他方側に第1距離だけ移動させたときの端部数Nが4以上のときには、特定部94は当該マーク50を形成したノズル列45に吐出不良が発生していることを特定することができる。
【0053】
本実施形態のプリンタ10によると、検出部84は、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体5を副走査方向Xの一方側から他方側に第1距離だけ移動させ、かつ、記録媒体5を副走査方向Xの他方側から一方側に第1距離だけ移動させた後、キャリッジ17を主走査方向Yの一方側から他方側に第2距離だけ移動させるように構成され、かつ、主走査方向Yの一方側から他方側に向けてマーク50ごとに端部数Nを検出し、判断部86は、端部数Nが8以上の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断してもよい。1つの矩形状のマーク50を形成するに際して、ノズル列45のうち1つでもノズル41の吐出不良が発生している場合には端部数Nが4以上になるため、1つのマーク50において光学センサ38に対して記録媒体5を副走査方向Xの一方側から他方側に往復移動させたときの端部数が8以上のときには、特定部94は当該マーク50を形成したノズル列45に吐出不良が発生していることを特定することができる。また、光学センサ38は、1つのマーク50を副走査方向Xに2回走査するため、誤検出の発生を抑制することができる。即ち、より確実に吐出不良が発生しているノズル41を含むノズル列45を特定することができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0055】
上述した実施形態では、マーク形成部82は、1つの第1ノズル列42および第2ノズル列43に対してそれぞれ1つのマーク50が塗りつぶされて形成されるように、第1ノズル列42および第2ノズル列43ごとに全てのノズル41からインクを吐出させていたが、これに限定されない。マーク形成部82は、1つの第1ノズル列42および第2ノズル列43に対して、主走査方向Yおよび副走査方向Xに相互に偏倚した少なくとも2つのマーク150が塗りつぶされて形成されるように、第1ノズル列42および第2ノズル列43ごとに全てのノズル41からインクを吐出させてもよい。ここでは、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42および第2ノズル列43を、それぞれ上流側ノズル列46Aと、中央ノズル列46Bと、下流側ノズル列46Cとに3等分し、1つの第1ノズル列42および第2ノズル列43に対して3つのマーク150をそれぞれ形成する場合を例に説明する。
【0056】
図12Aに示すように、マーク形成部82は、キャリッジ17を主走査方向Yの行き方向Y1に移動させながら、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42および第2ノズル列43の上流側ノズル列46A、中央ノズル列46Bおよび下流側ノズル列46Cごとに全てのノズル41からインクを吐出させて、マーク150の一部150Aを形成する。ここでは、上流側ノズル列46Aのノズル41からインクを吐出させてマーク150の一部150AAを形成し、中央ノズル列46Bのノズル41からインクを吐出させてマーク150の一部150ABを形成し、下流側ノズル列46Cのノズル41からインクを吐出させてマーク150の一部150ACを形成する。一部150AA、一部150ABおよび一部150ACは、主走査方向Yおよび副走査方向Xに相互に偏倚している。次いで、図12Bに示すように、マーク150の一部150Aが形成された後に、マーク150の他の一部150B(即ち一部150BA、一部150BBおよび一部150BC)を形成する。上記の制御を繰り返し行うことによって、図13に示すように、塗りつぶされて形成された複数の(ここでは3種類の)矩形状のマーク150が主走査方向Yおよび副走査方向Xに相互に偏倚したテストパターン150Pが記録媒体5に形成される。
【0057】
図13に示すように、テストパターン150Pは、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42の上流側ノズル列46Aのノズル41によって形成された第1マーク151と、第1インクヘッド40Aの第2ノズル列43の上流側ノズル列46Aのノズル41によって形成された第2マーク152と、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42の中央ノズル列46Bのノズル41によって形成された第3マーク153と、第1インクヘッド40Aの第2ノズル列43の中央ノズル列46Bのノズル41によって形成された第4マーク154と、第1インクヘッド40Aの第1ノズル列42の下流側ノズル列46Cのノズル41によって形成された第5マーク155と、第1インクヘッド40Aの第2ノズル列43の下流側ノズル列46Cのノズル41によって形成された第6マーク156と、を含む。ここでは、第1マーク151~第6マーク156は、シアンインクにより形成されている。
【0058】
図14に示すように、検出部84は、光学センサ38が図14の二点鎖線で示す移動経路138Pを移動するように、キャリッジ17の主走査方向Yの行き方向Y1の移動および、記録媒体5の副走査方向Xの行き方向X1および帰り方向X2の移動を制御する。これにより、検出部84は、マーク150ごとの端部数Nを検出することができる。即ち、テストパターン150Pを形成することで、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dの第1ノズル列42および第2ノズル列43の上流側ノズル列46A、中央ノズル列46Bおよび下流側ノズル列46Cごとにノズル41の吐出不良の有無を検出することができる。
【0059】
上述した実施形態では、マーク50を形成するに際して、隣り合うノズル41間の副走査方向Xの長さLXだけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させているが、これに限定されない。例えば、1つのマーク50は、隣り合うノズル41間の副走査方向Xの長さLXだけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させた後にさらに第1ノズル列42および第2ノズル列43の副走査方向Xの長さLY(図2参照)だけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させ、その後に隣り合うノズル41間の副走査方向Xの長さLXだけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させて形成されてもよい。この場合、図15Aに示すように、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43のノズル41に吐出不良が発生していない場合には、1つの矩形状の第8マーク58になる。即ち、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回移動するときの端部数Nは2になる。一方、図15Bに示すように、第4インクヘッド40Dの第2ノズル列43の上流側ノズル列46Aの最も上流側に位置するノズル41に吐出不良が発生している場合には、第8マーク58は、1つの矩形状のマークではなく、複数の矩形状のマークが副走査方向Xに並ぶ形態になる。即ち、光学センサ38が第8マーク58上を副走査方向Xに1回移動するときの端部数Nは4になる。このように、第1ノズル列42および第2ノズル列43のうち副走査方向Xの最も上流側に位置するノズル41および/または副走査方向Xの最も下流側に位置するノズル41において吐出不良が発生していた場合には、1つの矩形状のマークではなく、複数の矩形状のマークが副走査方向Xに並ぶ形態になるため、当該ノズル41の吐出不良を確実に検出することができる。なお、マーク150を形成するに際しては、1つのマーク150は、長さLXだけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させた後にさらに上流側ノズル列46Aの副走査方向Xの長さLZ(図2参照)だけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させ、その後に長さLXだけ記録媒体5を副走査方向Xに移動させて形成される。
【0060】
上述した実施形態では、白色の記録媒体5上に、シアンインク等のプロセスカラーインクを吐出してマーク50およびマーク150を形成していたが、例えば、白色の記録媒体5にインクヘッド40のノズル41からホワイトンインクを吐出する場合もありうる。そこで、マーク形成部82は、記録媒体5の色とマーク50の色とが同じ場合(例えば白色の場合)には、図16に示すように、マーク50を形成する前に記録媒体5においてマーク50が形成される領域より広い領域に、記録媒体5の色およびマーク50の色とは異なる色(例えば黒色)から形成された下地層59を形成してもよい。そして、検出部84は、第2受光量および下地層59において反射した光の第3受光量に基づいて、端部数Nを検出してもよい。光学センサ38が移動経路238Pに沿ってマーク50上を通過するとき、光学センサ38は下地層59、マーク50、下地層59の順に移動する。ここで、下地層59において反射した光の第3受光量とマーク50において反射した光の第2受光量とは異なるため、光学センサ38は第2受光量と第3受光量との変化(即ち電圧の変化)に基づいて、マーク50の端部Tを検出する。このように、記録媒体5上に下地層59を事前に形成することで、記録媒体5の色とマーク50の色とが同じ場合であっても端部数Nを正確に検出することができる。なお、下地層59の色は、マーク50の色と補色の関係にあるとよい。
【0061】
上述した実施形態では、光学センサ38から第1マーク51に向けて照射される光の色と第3マーク53に向けて照射される光の色とは異なっていたが、これに限定されない。例えば、光学センサ38から第1マーク51および第3マーク53に向けて照射される光の色は同じであり、第1マーク51において反射して光学センサ38が受光する光の色と第3マーク53において反射して光学センサ38が受光する光の色とが異なっていてもよい。このように、光学センサ38が受光する光の色をマーク50毎に異ならせることによって第1受光量と第2受光量との差を大きくすることができ、マーク50の副走査方向Xの端部Tの数である端部数Nをより確実に検出することができる。
【0062】
上述した実施形態では、判断部86は、例えば、端部数Nが4以上の場合に、ノズル41に吐出不良が発生していると判断しているが、端部数Nが0の場合には、検出対象のマーク50に対してノズル列45の全てのノズル41に吐出不良が発生していると判断する。
【0063】
通知部92は、判断部86によってノズル41に吐出不良が発生していないと判断されたときに、ユーザに対してノズル41の吐出不良が発生していないことを通知してもよい。
【0064】
光学センサ38を移動経路38P、移動経路138P、移動経路238Pに沿って移動させるに際して、光学センサ38の位置決め用のクロップマークを記録媒体5に予め形成しておいてもよい。これにより、光学センサ38によってマーク50の端部Tを精度よく検出することができる。
【0065】
上述した実施形態では、プリンタ10は、記録媒体5が載置されるプラテン13を備え、記録媒体5はグリットローラ22によって副走査方向Xに搬送されるように構成されていたがこれに限定されない。例えば、プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタであってもよい。即ち、プリンタ10は、記録媒体5を副走査方向Xに移動可能なテーブルを載置台として備えていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
13 プラテン(載置台)
17 キャリッジ
38 光学センサ
38P 移動経路
40 インクヘッド
41 ノズル
42 第1ノズル列
43 第2ノズル列
45 ノズル列
50 マーク
80 制御装置
82 マーク形成部
84 検出部
86 判断部
92 通知部
94 特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16