(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023532
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230209BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230209BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
F24F13/02 G
F24F7/007 B
F24F7/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129134
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L056BF06
3L058BF06
3L058BG05
3L080AA02
3L080AA05
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図りつつ、特定の場所に供給される風量の増大を図ることができる換気システムを提供する。
【解決手段】室内の換気を行う換気システム100であって、屋外から空気を取り込み当該空気を送風する換気装置10(給気装置)と、換気装置10から送風された空気を複数の吹出口30(第一吹出口31、第二吹出口32、第三吹出口33、第四吹出口34)から室内に供給する複数の給気ダクト20と、室内の空気を屋外に排出する換気装置10(排気装置)と、を具備し、複数の給気ダクト20には、通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)と、流路の断面積が前記通常ダクトよりも大きい異径ダクト(第四ダクト24)と、が含まれる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の換気を行う換気システムであって、
屋外から空気を取り込み当該空気を送風する給気装置と、
前記給気装置から送風された空気を複数の吹出口から室内に供給する複数のダクトと、
室内の空気を屋外に排出する排気装置と、
を具備し、
前記複数のダクトには、
通常ダクトと、
流路の断面積が前記通常ダクトよりも大きい異径ダクトと、
が含まれる、
換気システム。
【請求項2】
前記ダクトから室内に供給される風量を調整可能な風量調整機構を具備し、
前記風量調整機構は、
前記異径ダクトに対してのみ設けられる、
請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記給気装置の動作を制御する制御装置を具備し、
前記風量調整機構は、
前記異径ダクトの開度を調整することにより、当該異径ダクトから室内に供給される風量を調整可能に形成され、
前記制御装置は、
前記異径ダクトの開度に応じて、前記給気装置からの送風量を調整する、
請求項2に記載の換気システム。
【請求項4】
室内の状態を検出する検出部を具備し、
前記制御装置は、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記給気装置からの送風量を調整するとともに、前記風量調整機構の動作を制御して前記異径ダクトの開度を調整する、
請求項2に記載の換気システム。
【請求項5】
前記異径ダクトの流路の断面積は、前記通常ダクトの流路の断面積の1.5倍以上に形成される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を換気する換気システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内を換気する換気システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、送風機と、送風機と複数の換気対象室の吹出口とをつなぐ給気ダクト(給気経路)と、各吹出口に設けられたダンパと、を備えた換気装置が記載されている。特許文献1に記載の換気装置においては、ダンパの開閉による開度調整によって、換気対象室に供給される風量を調整することができる。
【0004】
しかしながら、ダンパの開閉による開度調整では、換気対象室に供給される風量を大きくしたい場合に、風量の増加幅が十分でないという問題があった。また、各給気ダクトにダンパを設けると、コストアップにつながるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、コストの低減を図りつつ、特定の場所に供給される風量の増大を図ることができる換気システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、室内の換気を行う換気システムであって、屋外から空気を取り込み当該空気を送風する給気装置と、前記給気装置から送風された空気を複数の吹出口から室内に供給する複数のダクトと、室内の空気を屋外に排出する排気装置と、を具備し、前記複数のダクトには、通常ダクトと、流路の断面積が前記通常ダクトよりも大きい異径ダクトと、が含まれるものである。
【0009】
請求項2においては、前記ダクトから室内に供給される風量を調整可能な風量調整機構を具備し、前記風量調整機構は、前記異径ダクトに対してのみ設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記給気装置の動作を制御する制御装置を具備し、前記風量調整機構は、前記異径ダクトの開度を調整することにより、当該異径ダクトから室内に供給される風量を調整可能に形成され、前記制御装置は、前記異径ダクトの開度に応じて、前記給気装置からの送風量を調整するものである。
【0011】
請求項4においては、室内の状態を検出する検出部を具備し、前記制御装置は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記給気装置からの送風量を調整するとともに、前記風量調整機構の動作を制御して前記異径ダクトの開度を調整するものである。
【0012】
請求項5においては、前記異径ダクトの流路の断面積は、前記通常ダクトの流路の断面積の1.5倍以上に形成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、コストの低減を図りつつ、特定の場所に供給される風量の増大を図ることができる。
【0015】
請求項2においては、コストの低減を図りつつ、特定の場所に供給される風量を調整することができる。
【0016】
請求項3においては、室内に供給される風量の適切な調整を図ることができる。
【0017】
請求項4においては、室内の状態に応じて給気装置及び風量調整機構を制御することで、適切な換気を自動で行うことができる。
【0018】
請求項5においては、特定の場所に供給される風量をより効果的に増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る換気システムが設けられる住宅を示した平面図。
【
図2】住宅に設けられた換気システムを示した平面図。
【
図4】(a)通常ダクト及び吹出口を示した側面断面図。(b)異径ダクト及び吹出口を示した側面断面図。
【
図5】換気装置の動作の制御を示したフローチャート。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る換気システムを示したブロック図。
【
図8】換気装置及びダンパの動作の制御を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、
図1から
図5までを用いて、本発明の第一実施形態に係る換気システム100について説明する。
【0021】
換気システム100は、住宅Aの室内(内部空間)の換気を行うものである。
図1は、換気システム100が設置される住宅Aの一例を示しており、より詳細には、複数階を有する住宅Aの2階部分を示したものである。
【0022】
住宅Aは、内部に複数の部屋を有する。具体的には、住宅Aは、例えば、主寝室1、北側洋室2、南側洋室3、書斎4等の部屋を有する。主寝室1は、住宅Aの2階の南西側に設けられる。北側洋室2は、住宅Aの2階の北東側に設けられる。南側洋室3は、住宅Aの2階の南東側に設けられる。書斎4は、住宅Aの2階の南側において主寝室1と南側洋室3との間に設けられる。
【0023】
このように構成された住宅Aには、上述の換気システム100が設けられる。換気システム100は、換気装置10、給気ダクト20、吹出口30、開度調整機構40及び制御装置70を具備する。
【0024】
図2及び
図3に示す換気装置10は、住宅Aの室内への給気、及び屋外への排気を行うものである。換気装置10は、天井裏又は室内の適宜の場所に設けられる。換気装置10には、給気管11及び排気管12が接続される。換気装置10は、給気管11を介して屋外から外気を取り込み、後述する給気ダクト20を介して室内に外気を供給(送風)する給気運転を行うことができる。また、換気装置10は、図示せぬ排気ダクトを介して室内の空気を取り込み、排気管12を介して屋外へ空気を排出する排気運転を行うことができる。
【0025】
換気装置10は、給気運転の際の送風量を変更することができる。換気装置10は、無段階に任意の送風量に変更するものであってもよく、段階的に所定の送風量に変更するものであってもよい。本実施形態においては、換気装置10は、送風量が比較的少ない「弱運転」と、送風量が比較的(弱運転よりも)多い「強運転」の2つの運転モードで給気運転を行うことができるものとする。
【0026】
図2に示す給気ダクト20は、換気装置10から室内へ空気を送り込むための給気経路を構成するものである。給気ダクト20は、内部に空気が流通可能な筒状に形成される。給気ダクト20は、断面円形状に形成される。給気ダクト20は、天井裏に設けられる。給気ダクト20の一端は、換気装置10に接続される。給気ダクト20は、換気装置10から、適宜屈曲しながら、後述する各吹出口30まで延びるように形成される。給気ダクト20の詳細については後述する。
【0027】
図2及び
図4に示す吹出口30は、給気ダクト20を介して送り込まれた空気の出口である。吹出口30は、各部屋の天井部分に設けられる。吹出口30は、給気ダクト20の他端(換気装置10の反対側)に接続される。吹出口30は、第一吹出口31、第二吹出口32、第三吹出口33及び第四吹出口34を具備する。
【0028】
第一吹出口31は、主寝室1の北側部分の天井に設けられる。第二吹出口32は、北側洋室2の天井に設けられる。第三吹出口33は、南側洋室3の天井に設けられる。第四吹出口34は、主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)の天井に設けられる。
【0029】
これにより、換気装置10から送風される空気は、給気ダクト20を介して吹出口30から各部屋に給気(供給)される。
【0030】
ここで、居住者の在室時間が長かったり室内にいる人数が多いほど、室内空気の汚染は進行し易くなる。また、室内のCO2濃度が高くなるほど、集中力が削がれ易くなるというデータもある。このため、居住者の在室時間が長かったり室内にいる人数が多い場所や、在宅勤務、読書、書き物等を行う場所では、他の場所より給気量を増大させて換気を促進した方が効果的である。本実施形態に係る換気システム100においては、主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)において、他の部分よりも換気を促進できるように、以下のように給気ダクト20が形成されている。
【0031】
以下、
図2及び
図4を用いて、給気ダクト20の詳細について説明する。
【0032】
給気ダクト20は、第一ダクト21、第二ダクト22、第三ダクト23及び第四ダクト24を具備する。
【0033】
図2及び
図4(a)に示す第一ダクト21は、換気装置10と第一吹出口31とを接続するように形成される。これにより、第一ダクト21は、換気装置10から送風された空気を、第一吹出口31から主寝室1の北側部分へ送り込むことができる。第一ダクト21の内径(流路の径)は、適宜の値とされる。本実施形態においては、第一ダクト21の内径は、φ75mmに設定される。
【0034】
図2及び
図4(a)に示す第二ダクト22は、換気装置10と第二吹出口32とを接続するように形成される。これにより、第二ダクト22は、換気装置10から送風された空気を、第二吹出口32から北側洋室2へ送り込むことができる。第二ダクト22の内径は、第一ダクト21の内径と同じ値(本実施形態においては、φ75mm)に設定される。
【0035】
図2及び
図4(a)に示す第三ダクト23は、換気装置10と第三吹出口33とを接続するように形成される。これにより、第三ダクト23は、換気装置10から送風された空気を、第三吹出口33から南側洋室3へ送り込むことができる。第三ダクト23の内径は、第一ダクト21の内径と同じ値(本実施形態においては、φ75mm)に設定される。
【0036】
図2及び
図4(b)に示す第四ダクト24は、換気装置10と第四吹出口34とを接続するように形成される。これにより、第四ダクト24は、換気装置10から送風された空気を、第四吹出口34から主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)へ送り込むことができる。
【0037】
第四ダクト24の内径は、第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23の内径よりも大きな値に形成される。これにより、第四ダクト24の流路の断面積は、第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23の流路の断面積よりも大きく形成される。第四ダクト24の流路の断面積は、第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23の流路の断面積の1.5倍以上に形成されることが好ましく、4倍以上に形成される(すなわち、第四ダクト24の内径を、第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23の内径の2倍以上とする)ことがさらに好ましい。本実施形態においては、第四ダクト24の内径は、φ200mmに設定される。
【0038】
これにより、換気装置10から第四ダクト24を介して主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)へ供給される風量を、他のダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内へ供給される風量よりも大きな風量とすることができる。
【0039】
但し、主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)において、特段大きな風量を必要としない場合もある。そこで、換気システム100は、以下に示す開度調整機構40を備えている。
【0040】
図3及び
図4(b)に示す開度調整機構40は、給気ダクト20の開度を調節するものである。開度調整機構40は、第四ダクト24と接続される第四吹出口34にのみ設けられ、他の吹出口30(第一吹出口31、第二吹出口32及び第三吹出口33)には設けられない(
図2参照)。開度調整機構40は、ダンパ41及びモータ42を具備する。
【0041】
図4(b)に示すダンパ41は、第四ダクト24の開口部(第四吹出口34と接続される部分)の開度を調整するものである。ダンパ41は、第四吹出口34に回動可能に設けられ、回動位置によって第四ダクト24の開度を調整可能に形成されている。ダンパ41は、無段階に任意の開度に変更するものであってもよく、段階的に所定の開度に変更するものであってもよい。本実施形態においては、ダンパ41は、第四ダクト24の開度が比較的大きい「開度大状態」と、第四ダクト24の開度が比較的(開度大状態よりも)小さい「開度小状態」とを切り替え可能に形成されている。なお、ダンパ41が開度小状態のときの第四ダクト24の開度は、当該第四ダクト24を介して室内に供給される風量が、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内へ供給される風量と同じとなるように設定されている。
【0042】
図4(b)に示すモータ42は、ダンパ41の駆動源である。モータ42は、第四吹出口34の近傍に設けられる。
【0043】
このように形成された開度調整機構40においては、居住者の操作により、ダンパ41を開度大状態又は開度小状態に切り替えることができる。また、開度調整機構40は、ダンパ41が開度大状態又は開度小状態のいずれであるかを検知するセンサ(不図示)を備え、検知結果を制御装置70に送信可能に構成されている。
【0044】
制御装置70は、換気装置10の動作を制御するものである。制御装置70は、第四ダクト24の開度に応じて、換気装置10の運転モードを切り替える。
【0045】
以下、
図5を用いて、換気装置10の運転モードの切替制御について説明する。
【0046】
ステップS11において、制御装置70は、ダンパ41が開度大状態であるか否かを判定する。この処理において、制御装置70は、開度調整機構40の前記センサ(不図示)からの情報に基づいて、この判定を行う。
【0047】
制御装置70は、ダンパ41が開度大状態であると判定した場合(ステップS11で「YES」)、ステップS12に移行する。一方、制御装置70は、ダンパ41が開度大状態でないと判定した場合(ステップS11で「NO」)、ステップS13に移行する。
【0048】
ステップS12において、制御装置70は、換気装置10の運転モードを強運転とする。制御装置70は、ステップS12の処理を行った後、
図5に示す制御を終了させる。
【0049】
一方、ステップS13において、制御装置70は、換気装置10の運転モードを弱運転とする。制御装置70は、ステップS13の処理を行った後、
図5に示す制御を終了させる。
【0050】
このような制御において、ダンパ41が開度小状態のとき(ステップS11でNO)、換気装置10は弱運転を行う(ステップS13)。このとき、各給気ダクト20を介して室内に供給される風量は同じとなる。これにより、各部屋において24時間換気を行うことができる。
【0051】
一方、主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)の換気を他の場所より促進したい場合、居住者は、ダンパ41を開度大状態とする(ステップS11でYES)。これにより、第四ダクト24を介して主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)に供給される風量は、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内に供給される風量と比べて大きくなる。
【0052】
このとき、換気装置10からの送風量は各給気ダクト20に割り当てられるため、ダンパ41を開度大状態とすると、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内に供給される風量に影響を与える。具体的には、換気装置10の運転モードが弱運転のままでは、ダンパ41が開度小状態である場合と比べて、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内に供給される風量が小さくなり、24時間換気に十分な風量を供給できない。このため、ダンパ41を開度大状態とした場合、制御装置70は、換気装置10の運転モードを強運転に切り替える(ステップS12)。これにより、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内に供給される風量に影響を与えることなく(他の給気ダクト20を介して供給される風量を維持したまま)、第四ダクト24を介して供給される風量を大きくすることができる。
【0053】
以上のように、換気システム100においては、室内の特定の場所(本実施形態においては、主寝室1の南側部分)につながる給気ダクト20(本実施形態においては、第四ダクト24)の流路の断面積を、室内の他の場所につながる給気ダクト20(本実施形態においては、第一ダクト21、第二ダクト22、第三ダクト23)の流路の断面積よりも大きくすることにより、換気装置10から特定の部屋(主寝室1の南側部分)に供給される風量を大きくすることができる。
【0054】
本実施形態においては、第四ダクト24以外の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の内径をφ75mm、第四ダクト24の内径をφ200とすることにより、第四ダクト24以外の給気ダクト20(長さ10m)の4箇所の90°エルボにおける風量が30m3/hであるのに対して、第四ダクト24(長さ10m)の4箇所の90°エルボにおける風量を280m3/h(約9倍)とすることができる。また、第四ダクト24の内径を大きくすることで、当該第四ダクト24の直線的に延びる部分の圧力損失を低下できるので、全体的な圧力損失の低下を図ることが可能となる。
【0055】
このように、換気を促進したい場所につながる給気ダクト20(第四ダクト24)の流路の断面積を、他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の流路の断面積より大きくすることにより、効果的に風量を増大させることができる。これにより、特定の部屋(主寝室1の南側部分)の換気を促進することができる。
【0056】
また、換気装置10から特定の部屋(主寝室1の南側部分)に供給される風量を大きくすることにより、ナイトパージ(外気予冷)による省エネ効果を大きくすることができる。
【0057】
また、換気装置10から特定の部屋(主寝室1の南側部分)に供給される風量を大きくすることにより、24時間換気の場合と比べて、特定の部屋において長期在宅によるCO2濃度の上昇を抑えることができる。これにより、在宅勤務者の集中力の低下を抑制することができる。
【0058】
また、換気装置10から特定の部屋(主寝室1の南側部分)に供給される風量を大きくすることにより、健康への影響が懸念されるVOC(揮発性有機化合物)を低減することができる。また、臭いや結露の発生を低減することができる。
【0059】
また、換気装置10から特定の部屋(主寝室1の南側部分)に供給される風量を大きくすることにより、屋外からの空気が入ってこないようにして特定の部屋を正圧にすることで、花粉の侵入を抑制することができ、ひいては花粉症に優しい空間とすることができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る換気システム100においては、流路の断面積が他の給気ダクト20と比べて大きい第四ダクト24にのみ開度調整機構40を設けている。これにより、第四ダクト24を介して室内に供給される風量を適宜調整することができる。これにより、場面によって適切な換気を行うことができる。さらに、開度調整機構40は、第四ダクト24以外の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)に対しては設けず、第四ダクト24に対してのみ設けられるため、コストの低減を図ることができる。
【0061】
以上の如く、本実施形態に係る換気システム100は、
室内の換気を行う換気システム100であって、
屋外から空気を取り込み当該空気を送風する換気装置10(給気装置)と、
前記給気装置から送風された空気を複数の吹出口30(第一吹出口31、第二吹出口32、第三吹出口33、第四吹出口34)から室内に供給する複数の給気ダクト20と、
室内の空気を屋外に排出する換気装置10(排気装置)と、
を具備し、
前記複数の給気ダクト20には、
通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)と、
流路の断面積が前記通常ダクトよりも大きい異径ダクト(第四ダクト24)と、
が含まれるものである。
【0062】
このように構成することにより、コストの低減を図りつつ、特定の場所(例えば主寝室1の南側部分)に供給される風量の増大を図ることができる。
具体的には、換気を促進したい特定の場所につながる給気ダクト20(第四ダクト24)の流路の断面積を他の給気ダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の流路の断面積よりも大きくすることにより、特定の場所に供給される風量の増大を図ることができる。また、換気を促進したい特定の場所につながる給気ダクト20(第四ダクト24)の径を大きくするだけで風量を増大できるので、コストの低減を図ることができる。
【0063】
また、前記給気ダクト20から室内に供給される風量を調整可能な開度調整機構40(風量調整機構)を具備し、
前記開度調整機構40は、
前記異径ダクト(第四ダクト24)に対してのみ設けられるものである。
【0064】
このように構成することにより、コストの低減を図りつつ、特定の場所(例えば主寝室1の南側部分)に供給される風量を調整することができる。
具体的には、開度調整機構40(風量調整機構)により、異径ダクト(第四ダクト24)を介して室内(例えば主寝室の南側部分)に供給される風量を調整することができる。また、開度調整機構40を通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)には設けず、異径ダクト(第四ダクト24)にのみ設けることで、全ての給気ダクト20に対して開度調整機構40を設ける場合と比べてコストの低減を図ることができる。
【0065】
また、前記換気装置10(給気装置)の動作を制御する制御装置70を具備し、
前記開度調整機構40は、
前記異径ダクト(第四ダクト24)の開度を調整することにより、前記異径ダクト(第四ダクト24)から室内に供給される風量を調整可能に形成され、
前記制御装置70は、
前記異径ダクト(第四ダクト24)の開度に応じて、前記換気装置10(給気装置)からの送風量を調整するものである。
【0066】
このように構成することにより、室内に供給される風量の適切な調整を図ることができる。
具体的には、異径ダクト(第四ダクト24)が開度大状態である場合(
図5に示すステップS11でYES)、換気装置10からの送風量を増大させるため(ステップS12)、特定の場所に供給される風量の増大に伴って他の場所に供給される風量が足りなくなるのを抑制することができる。
【0067】
また、前記異径ダクト(第四ダクト24)の流路の断面積は、前記通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の流路の断面積の1.5倍以上に形成されるものである。
【0068】
このように構成することにより、特定の場所(例えば主寝室1の南側部分)に供給される風量をより効果的に増大させることができる。
具体的には、異径ダクト(第四ダクト24)の流路の断面積を、通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の流路の断面積の1.5倍以上とすることにより、異径ダクトを介して室内(例えば主寝室1の南側部分)に供給される風量をより効果的に増大させることができる。
【0069】
なお、本実施形態に係る第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23は、本発明に係る通常ダクトの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第四ダクト24は、本発明に係る異径ダクトの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る開度調整機構40は、本発明に係る風量調整機構の実施の一形態である。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、本実施形態においては、異径ダクトの数は1つであるものとしたが、2以上であってもよい。但し、異径ダクトの数が増えるほど換気装置10からの送風量を多く必要とするため、異径ダクトの数は、通常ダクトの数よりも少ないほうが好ましい。すなわち、異径ダクトの数は、給気ダクトの数の半分以下であるほうが好ましい。
【0072】
また、各給気ダクト20は、原則として一定の内径(断面積)に形成されるものであるが、一部が異なる内径(断面積)に形成されるものであってもよい。この場合、異径ダクト(第四ダクト24)の全ての部分の内径が必ずしも通常ダクト(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)の最大内径よりも大きい必要はなく、異径ダクトを介して室内に供給される風量が通常ダクトを介して室内に供給される風量よりも大きくなる限りにおいて、異径ダクトは、その内径が通常ダクトの内径よりも小さい部分を有していてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、給気ダクト20は、断面円形状に形成されるものとしたが、給気ダクト20の断面形状は任意の形状とすることができ、例えば断面矩形状であってもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、一つの装置(換気装置10)により給気と排気を行うものとしたが、給気と排気をそれぞれ別の装置で行うようにしてもよい。また、本実施形態においては、換気装置10による機械排気を行うものとしたが、自然排気を行うものであってもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、開度調整機構40は、ダンパ41の回動により第四ダクト24の開度を調整するものとしたが、開度調整機構40の構成はこれに限定されるものではない。例えば、
図6に示すように、第四吹出口34の開口部に、上下移動可能な蓋部43を設け、蓋部43が上下移動することにより、第四吹出口34の開口部の開度を調整するものであってもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、居住者の操作により、ダンパ41を開度大状態又は開度小状態に切り替えるものとしたが、室内に24時間換気用のスイッチと、特定の場所(例えば主寝室1の南側部分)の給気量を増やすための換気促進用のスイッチとを設け、居住者が24時間換気用のスイッチを押した場合、ダンパ41を開度小状態とし、居住者が換気促進用のスイッチを押した場合、ダンパ41を開度大状態とするようにしてもよい。この場合、ダンパ41を開度小状態とした後に換気装置10の運転モードを弱運転にしてもよく、或いはダンパ41を開度小状態とする前に換気装置10の運転モードを弱運転にしてもよい。また、ダンパ41を開度大状態とした後に換気装置10の運転モードを強運転にしてもよく、或いはダンパ41を開度大状態とする前に換気装置10の運転モードを強運転にしてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、開度調整機構40(ダンパ41)は、居住者の操作により動作する(手動である)ものとしたが、自動で動作するものであってもよい。以下、
図7及び
図8を用いて、第二実施形態に係る換気システム200について説明する。
【0078】
第二実施形態に係る換気システム200が第一実施形態に係る換気システム100と異なる点は、さらにCO2センサ50及び圧力センサ60を具備する点と、開度調整機構40(ダンパ41)の動作が自動で制御される点である。よって以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図7に示すCO
2センサ50は、室内のCO
2濃度を検出するものである。CO
2センサ50は、室内において第四吹出口34の近傍に設けられる。例えば、CO
2センサ50は、主寝室1の壁面に設けられる。
【0080】
図7に示す圧力センサ60は、圧力を検出するものである。圧力センサ60は、第一ダクト21、第二ダクト22又は第三ダクト23のいずれかの内部に設けられる。これにより、圧力センサ60は、当該圧力センサ60が設けられた給気ダクト20の内部を流通する空気の圧力を検出することができる。
【0081】
制御装置70は、換気装置10及び開度調整機構40の動作を制御する。制御装置70は、CO2センサ50及び圧力センサ60の検出結果を入力可能に構成される。制御装置70は、CO2センサ50及び圧力センサ60の検出結果に基づいて、換気装置10及び開度調整機構40(ダンパ41)の動作を制御する。
【0082】
以下、
図8を用いて、換気装置10及び開度調整機構40の動作の制御について説明する。
【0083】
ステップS21において、制御装置70は、室内のCO2濃度が所定値(例えば1000ppm)を超えているか否かを判定する。この処理において、制御装置70は、CO2センサ50の検出結果に基づいて、この判定を行う。
【0084】
制御装置70は、室内のCO2濃度が所定値を超えていると判定した場合(ステップS21で「YES」)、ステップS22に移行する。
【0085】
ステップS22において、制御装置70は、換気装置10の運転モードを強運転とする。制御装置70は、ステップS22の処理を行った後、ステップS23に移行する。
【0086】
ステップS23において、制御装置70は、ダンパ41を開度大状態とする。制御装置70は、圧力センサ60の検出結果に基づいて、この処理を行う。具体的には、制御装置70は、圧力センサ60の検出結果に基づいて、給気ダクト20の内部を流通する空気の圧力が基準値から所定値以上増加している場合、換気装置10の運転モードが強運転となったと判断し、ダンパ41を開度大状態とする。
【0087】
制御装置70は、ステップS23の処理を行った後、
図8に示す制御を終了させる。
【0088】
一方、ステップS21において、制御装置70は、室内のCO2濃度が所定値を超えていないと判定した場合(ステップS21で「NO」)、ステップS24に移行する。
【0089】
ステップS24において、制御装置70は、換気装置10の運転モードを弱運転とする。制御装置70は、ステップS24の処理を行った後、ステップS25に移行する。
【0090】
ステップS25において、制御装置70は、ダンパ41を開度小状態とする。制御装置70は、圧力センサ60の検出結果に基づいて、この処理を行う。具体的には、制御装置70は、圧力センサ60の検出結果に基づいて、給気ダクト20の内部を流通する空気の圧力が基準値から所定値以上減少している場合、換気装置10の運転モードが弱運転となったと判断し、ダンパ41を開度小状態とする。
【0091】
制御装置70は、ステップS25の処理を行った後、
図8に示す制御を終了させる。
【0092】
このようにして、室内のCO2濃度が所定値を超えた場合、自動でダンパ41を開度大状態とするため(ステップS23)、換気装置10から第四ダクト24を介して主寝室1の南側部分(書斎4の近傍)へ供給される風量を、ダンパ41が開度小状態である場合と比べて大きな風量とすることができる。このとき、換気装置10の運転モードを強運転とすることで(ステップS22)、他のダクト20(第一ダクト21、第二ダクト22及び第三ダクト23)を介して室内へ供給される風量が足りなくなるのを抑制することができる。また、このような制御を自動で行うので、居住者の手を煩わせることなく、室内環境を快適に整えることができる。
【0093】
以上の如く、第二実施形態に係る換気システム200は、
室内のCO2濃度(室内の状態)を検出するCO2センサ50(検出部)を具備し、
前記制御装置70は、
前記CO2センサ50の検出結果に基づいて、前記換気装置10(給気装置)からの送風量を調整するとともに、前記開度調整機構40の動作を制御して前記異径ダクト(第四ダクト24)の開度を調整するものである。
【0094】
このように構成することにより、室内の状態に応じて換気装置10及び開度調整機構40を制御することで、適切な換気を自動で行うことができる。
具体的には、室内のCO
2濃度が比較的高い場合(
図8に示すステップS21でYES)、換気装置10からの送風量を増大させたうえで(ステップS22)、異径ダクト(第四ダクト24)の開度を大きくすることで(ステップS23)、CO
2濃度が比較的高い場所の換気を促進しつつ、他の場所に供給される風量が足りなくなるのを抑制することができる。
【0095】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0096】
例えば、第二実施形態においては、CO
2センサ50によって検出されたCO
2濃度に基づいて(
図8に示すステップS21)、換気装置10の運転モードを切り替えるものとしたが(ステップS22、S24)、CO
2センサ50の代わりに、VOC(揮発性有機化合物)濃度を検出可能なVOCセンサを備え、当該VOCセンサによって検出されたVOC濃度に基づいて換気装置10の運転モードを切り替えるものとしてもよい。
【0097】
また、第二実施形態においては、制御装置70は、換気装置10の運転モードを、給気ダクト20の内部を流通する空気の圧力に基づいて判断するものとしたが(ステップS23、S25)、換気装置10からの制御信号に基づいて直接判断するようにしてもよい。但し、換気装置10からの制御信号に基づいて直接判断してダンパ41の切り替えを行うと、給気ダクト20内の風量が実際に変わる前にダンパ41の切り替えが行われるおそれがある。この場合、給気ダクト20内の風量が実際に変わるまで、意図しない風量で室内に給気が行われる可能性がある。これを防ぐため、制御装置70は、換気装置10の運転モードを、給気ダクト20の内部を流通する空気の圧力に基づいて判断する方が望ましい。
【符号の説明】
【0098】
10 換気装置
20 ダクト
21 第一ダクト
22 第二ダクト
23 第三ダクト
24 第四ダクト
30 吹出口
40 開度調整機構
50 CO2センサ
70 制御装置
100、200 換気システム