(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023546
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】LED基板、ウイルス不活性化装置、ウイルス不活性化方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20230209BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230209BHJP
【FI】
A61L9/20
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129154
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】521347491
【氏名又は名称】ユニオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180921
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】野上 大樹
【テーマコード(参考)】
4C180
5F142
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH19
4C180LL04
5F142AA42
5F142EA02
5F142EA08
5F142EA31
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】 紫外線を照射する手段として紫外線LEDを用いる場合、素子寿命やLED基板の寿命を少しでも長くするために放熱対策が重要である。その一方、アルミニウム等の熱伝導性の良い材料を用いた放熱板は、コストが高くついてしまうため、代替案が望まれていた。そこで、本発明は、放熱板を用いずに十分な放熱対策が可能なLED基板等を提供することを目的とする。
【解決手段】 LED素子と前記LED素子を保持する基板とを備えるLED基板であって、前記基板は、樹脂製であり、当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有する、LED基板である。本発明によれば、一般的な樹脂製のLED基板であっても、金属製の放熱板を外付けすることなく十分な放熱対策が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子と前記LED素子を保持する基板とを備えるLED基板であって、
前記基板は、
樹脂製であり、
当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有する、LED基板。
【請求項2】
前記LED素子として、第1LED素子及び第2LED素子を備え、
前記基板の内部に平板状の導体である平板導体をさらに備え、
前記第1LED素子及び前記第2LED素子は、前記平板導体を通じて導通している、請求項1記載のLED基板。
【請求項3】
前記第1LED素子及び前記第2LED素子は、
深紫外線を含む光を発光するものであり、
素子の間の距離が40mmよりも短くなるように配置されている、請求項2記載のLED基板。
【請求項4】
前記第1LED素子は、前記第2LED素子と最も近接している、請求項3記載のLED基板。
【請求項5】
前記平板導体として、第1平板導体と第2平板導体とを備え、
前記第1平板導体及び前記第2平板導体は、
前記基板の厚み方向に積層するように前記基板の内部に配置されており、
前記孔の内壁を介して導通する、請求項2から4のいずれかに記載のLED基板。
【請求項6】
外付けされる放熱板を備えないことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のLED基板。
【請求項7】
LED素子と前記LED素子を保持する基板とを有するLED基板を備えるウイルス不活性化装置であって、
前記基板は、
樹脂製であり、
当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有し、
前記LED素子は、深紫外線を含む光を発光するものであり、
前記LED素子の発光を制御する発光制御部をさらに備え、
前記発光制御部は、前記LED素子の発光を、
ウイルス不活性化を達成し、かつ、
前記LED素子の発熱による前記LED基板の温度が前記LED基板の耐久温度以下の温度となるように制御する、ウイルス不活性化装置。
【請求項8】
周囲の気体を吸い込む吸入口と、
前記気体を排出する排出口とをさらに備え、
前記LED基板として、第1LED基板と、第2LED基板とを備えるものであり、
前記第1LED基板と前記第2LED基板は、
前記吸入口と前記排出口の間の前記気体の通路を挟むように配置され、
かつ、
各前記LED基板が有する前記LED素子が向かい合うように配置され、
前記発光制御部は、前記通路を通る前記気体に含まれるウイルスを不活性化するように前記LED素子の発光を制御する、請求項7記載のウイルス不活性化装置。
【請求項9】
前記発光制御部は、前記通路を通る前記気体に含まれるウイルスを不活性化しつつ、前記LED素子の発熱が最低限となるように前記LED素子の発光を制御する、請求項8記載のウイルス不活性化装置。
【請求項10】
前記発光制御部は、パルス幅変調により前記LED素子の発光を制御する、請求項7から9のいずれかに記載のウイルス不活性化装置。
【請求項11】
LED素子と前記LED素子を保持する基板とを有するLED基板を備えるウイルス不活性化装置を用いたウイルス不活性化方法であって、
前記基板は、
樹脂製であり、
当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有し、
前記LED素子は、深紫外線を含む光を発光するものであり、
前記ウイルス不活性化装置は、前記LED素子の発光を制御する発光制御部をさらに備え、
前記発光制御部が、前記LED素子の発光を、
ウイルス不活性化を達成し、かつ、
前記LED素子の発熱による前記LED基板の温度が前記LED基板の耐久温度以下の温度となるように制御する発光制御ステップを含む、ウイルス不活性化方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項11に記載の発光制御部として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED基板、ウイルス不活性化装置、ウイルス不活性化方法及びプログラムに関し、特に、LED素子と、LED素子を保持する基板とを備えるLED基板等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線を照射することにより空気中のウイルスを不活性化する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紫外線を照射する手段として紫外線LEDを用いる場合、素子寿命やLED基板の寿命を少しでも長くするために放熱対策が重要である。
【0005】
その一方、アルミニウム等の熱伝導性の良い材料を用いた放熱板は、コストが高くついてしまうため、代替案が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、放熱板を用いずに十分な放熱対策が可能なLED基板等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、LED素子と前記LED素子を保持する基板とを備えるLED基板であって、前記基板は、樹脂製であり、当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有する、LED基板である。
【0008】
本発明の第2の観点は、第1の観点のLED基板であって、前記LED素子として、第1LED素子及び第2LED素子を備え、前記基板の内部に平板状の導体である平板導体をさらに備え、前記第1LED素子及び前記第2LED素子は、前記平板導体を通じて導通している。
【0009】
本発明の第3の観点は、第2の観点のLED基板であって、前記第1LED素子及び前記第2LED素子は、深紫外線を含む光を発光するものであり、素子の間の距離が40mmよりも短くなるように配置されている。
【0010】
本発明の第4の観点は、第3の観点のLED基板であって、前記第1LED素子は、前記第2LED素子と最も近接している。
【0011】
本発明の第5の観点は、第2から第4のいずれかの観点のLED基板であって、前記平板導体として、第1平板導体と第2平板導体とを備え、前記第1平板導体及び前記第2平板導体は、前記基板の厚み方向に積層するように前記基板の内部に配置されており、前記孔の内壁を介して導通する。
【0012】
本発明の第6の観点は、第1から第5のいずれかの観点のLED基板であって、外付けされる放熱板を備えないことを特徴とする。
【0013】
本発明の第7の観点は、LED素子と前記LED素子を保持する基板とを有するLED基板を備えるウイルス不活性化装置であって、前記基板は、樹脂製であり、当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有し、前記LED素子は、深紫外線を含む光を発光するものであり、前記LED素子の発光を制御する発光制御部をさらに備え、前記発光制御部は、前記LED素子の発光を、ウイルス不活性化を達成し、かつ、前記LED素子の発熱による前記LED基板の温度が前記LED基板の耐久温度以下の温度となるように制御する、ウイルス不活性化装置である。
【0014】
本発明の第8の観点は、第7の観点のウイルス不活性化装置であって、周囲の気体を吸い込む吸入口と、前記気体を排出する排出口とをさらに備え、前記LED基板として、第1LED基板と、第2LED基板とを備えるものであり、前記第1LED基板と前記第2LED基板は、前記吸入口と前記排出口の間の前記気体の通路を挟むように配置され、かつ、各前記LED基板が有する前記LED素子が向かい合うように配置され、前記発光制御部は、前記通路を通る前記気体に含まれるウイルスを不活性化するように前記LED素子の発光を制御する。
【0015】
本発明の第9の観点は、第8の観点のウイルス不活性化装置であって、前記発光制御部は、前記通路を通る前記気体に含まれるウイルスを不活性化しつつ、前記LED素子の発熱が最低限となるように前記LED素子の発光を制御する。
【0016】
本発明の第10の観点は、第7から第9のいずれかの観点のウイルス不活性化装置であって、前記発光制御部は、パルス幅変調により前記LED素子の発光を制御する。
【0017】
本発明の第11の観点は、LED素子と前記LED素子を保持する基板とを有するLED基板を備えるウイルス不活性化装置を用いたウイルス不活性化方法であって、前記基板は、樹脂製であり、当該基板の厚さ方向に貫通する孔を有し、前記LED素子は、深紫外線を含む光を発光するものであり、前記ウイルス不活性化装置は、前記LED素子の発光を制御する発光制御部をさらに備え、前記発光制御部が、前記LED素子の発光を、ウイルス不活性化を達成し、かつ、前記LED素子の発熱による前記LED基板の温度が前記LED基板の耐久温度以下の温度となるように制御する発光制御ステップを含む、ウイルス不活性化方法である。
【0018】
本発明の第12の観点は、コンピュータを、第11の観点の発光制御部として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の各観点によれば、一般的な樹脂製のLED基板であっても、金属製の放熱板を外付けすることなく十分な放熱対策が可能となる。
【0020】
また、本発明の第2の観点によれば、線状の導線を用いて回路を形成するよりも、放熱を促進することが容易となる。そのため線状の導線を用いる回路と比較して、発熱による回路損傷を回避することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の第3の観点によれば、深紫外線LEDの殺菌効果が漏れなく発揮されるように配置することが容易となる。
【0022】
さらに、本発明の第4の観点によれば、深紫外線LEDを無駄なく漏れなく配置することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第5の観点によれば、LED基板が設置された側に近い平板導体からの放熱に加え、基板の反対側の面に近い平板導体からの放熱も可能となる。そのため、基板の厚みによらず、平板導体の厚みを抑えつつ基板の両面から効率的に放熱することが可能となる。このため、コストを抑制しつつ放熱を促進することが容易となる。
【0024】
また、本発明の第6の観点によれば、放熱性を担保しつつコストを削減することがさらに容易となる。
【0025】
また、本発明の第7の観点によれば、放熱板を用いずに十分な放熱対策がされたLED基板をウイルス不活性化装置において適切に適用可能となる。そのため、コストを抑えつつ寿命の長いウイルス不活性化装置等を提供することが可能となる。
【0026】
さらに、本発明の第8の観点によれば、吸い込んだ気体に含まれるウイルスを確実に不活性化するウイルス不活性化装置を提供することが可能となる。しかも、LED基板が気体の通路に面しているため、LED基板の放熱効果を高めることが可能となる。
【0027】
さらに、本発明の第9の観点によれば、ウイルス不活性化と発熱抑制を両立して装置寿命の長いウイルス不活性化装置を提供することが可能となる。
【0028】
さらに、本発明の第10の観点によれば、LED素子の発光を正確に制御することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施例に係るウイルス不活性化装置1の概要を示すブロック図である。
【
図2】本実施例に係るLED基板の構成の概要を示す図である。
【
図4】ウイルス不活性化装置1におけるLED基板の設置例を示す模式図である。
【
図5】LED素子の発光の到達距離の一例を示す図である。
【
図6】LED素子の発光制御の一例を示す図である。
【
図7】本願実施例に係るLED基板の以前に試作されたLED基板101の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の実施例は、以下に記載する内容に限定されるものではない。
【0031】
図7は、本願実施例に係るLED基板の前に試作された非公知のLED基板103の一例を示す図である。LED基板103は、4つの紫外線を発光するLED素子131、133、135、137を備え、これらが直列に接続されている。
【0032】
図7において、矢印で示すLED素子の間の配線の幅が狭いことが一因となり、発熱してLED素子やLED基板が損傷し、デバイスの寿命が短くなる課題があった。
【実施例0033】
図1は、本実施例に係るウイルス不活性化装置1(本願請求項に記載の「ウイルス不活性化装置」の一例)の概要を示すブロック図である。
図1を参照して、ウイルス不活性化装置1は、第1LED基板3と、第2LED基板5と、吸入口7と、通路9と、排出口11と、発光制御部13とを備える。第1LED基板は、第1LED素子31(本願請求項に記載の「第1LED素子」の一例)と、第2LED素子33(本願請求項に記載の「第2LED素子」の一例)と、第3LED素子35と、第4LED素子37と、第1平板導体39(本願請求項に記載の「第1平板導体」の一例)と、第2平板導体41(本願請求項に記載の「第2平板導体」の一例)と、スルーホール43(本願請求項に記載の「孔」の一例)と、樹脂製の基板45(本願請求項に記載の「基板」の一例)とを有する。第1LED基板3及び第2LED基板5は、それぞれ本願請求項に記載の「LED基板」の一例である。第1LED素子31、第2LED素子33、第3LED素子35、及び、第4LED素子37は、それぞれ本願請求項に記載の「LED素子」の一例である。また、第1平板導体39及び第2平板導体41は、それぞれ本願請求項に記載の「平板導体」の一例である。以下、同様の機能を有する部材をまとめて「LED素子」等のように記載して符号を省略することがある。
【0034】
ウイルス不活性化装置1は、吸い込んだ空気に含まれるウイルスを深紫外線照射により不活性化する。第1LED基板3及び第2LED基板5は、ウイルス不活性化装置1が吸い込んだ空気に深紫外線を照射する。吸入口7は、周囲の空気を吸入する。通路9は、吸入口7から入った空気が排出口11まで通る流路である。排出口11は、空気をウイルス不活性化装置1の外部に排出する。発光制御部13は、第1LED基板13及び第2LED基板15が有するLED素子の発光を制御する。
【0035】
第1LED素子31、第2LED素子33、第3LED素子35、及び、第4LED素子37は、深紫外光を発光する。第1平板導体39及び第2平板導体41は、平板状の導体であり、第1LED基板3の内部に埋設されている。なお、第1平板導体39の方がLED素子が設置された側の第1LED基板3の表面に近くに埋設されている。また、第2平板導体41の方が逆の表面に近いところに埋設されている。第1LED基板3は、複数の孔43を有する。これにより、LED素子の発熱による温度上昇が効果的に抑制されている。
【0036】
ここで、「紫外線」とは、400nm以下の波長域の光を指す。また、「深紫外線」とは、280nm以下の波長域の光を指す。
【0037】
図2は、本実施例に係るLED基板の構成の概要を示す図である。
図2(a)は、LED基板をLED素子が設置された面から見た図である。
図2(b)は、
図2(a)中のLED素子を含む領域47の拡大図である。
図2(c)は、
図2(b)中のA-A切断線に沿った断面図である。
【0038】
図2を参照して、第1LED素子31及び第2LED素子33は、第1平板導体をスルーホール43が基板45を厚さ方向に貫通するように設けられている。また、LED基板3は、LED素子として、第1LED素子、第2LED素子、第3LED素子、第4LED素子を備える。LED基板3は、内部に平板状の導体である平板導体を備えており、LED素子は、平板導体を通じて導通している。また、平板導体は、LED基板の両面付近に複数内包されている。具体的には、LED素子が設置されている第1面49の表面付近に第1平板導体39が埋設されている。また、逆の表面である第2面51の表面付近に第2平板導体41が埋設されている。そのため、第1平板導体39及び第2平板導体41は、基板45の厚み方向に積層するように基板45の内部に配置されている。また、複数の平板導体は、導体であるスルーホール43の内壁により導通されている。このため、基板45の厚みによらず、LED基板3の両面から放熱することが促進される。
【0039】
図2(a)中に矢印で示すように、少なくともLED素子の間が平板導体を用いる分、
図7における細い配線の構成よりも通電による発熱が抑制され、また、放熱が促進される。結果としてLED基板の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0040】
また、LED基板3は、外付けされる金属製の放熱板を備えない。放熱板を外付けで備えなくとも十分に放熱できるためである。このため、LED基板のコストを削減することが可能となる。なお、必ずしも放熱板の使用を妨げないが、スルーホールを用いた放熱を妨げないように放熱板を設置することが望ましい。
【0041】
図3は、本実施例に係るLED基板の回路図である。
図3に示すLED基板3は、直列に接続されたLED素子D1、D2、D3及びD4に加えて、これらのLED素子の発光強度を可視化するための可視光LED素子D5も備える。可視光LED素子D5は、LED素子D4と並列に接続されているため、LED素子D4と同じ電圧が印加される。そのため、可視光LED素子D5は、LED素子D4の発光強度に比例した発光強度で可視光を発光する。
【0042】
図4は、ウイルス不活性化装置1におけるLED基板の設置例を示す模式図である。ウイルス不活性化装置に吸入口7から吸入された空気の通路9を挟むように向かい合った第1LED基板3と第2LED基板5が設置されている。第1LED基板3と第2LED基板5は、それぞれLED素子が向かい合うように設置されており、2つのLED基板に挟まれた照射空間61に紫外線が照射されてウイルスが不活性化される。浄化された空気は、通路9を通って排出口11から外部に排出される。
【0043】
2つのLED基板の間隔が狭ければ、LED素子の発光強度が小さくても十分な不活性化が期待できる。ただし、単位時間当たりに処理できる空間が小さくなる。他方、2つのLED基板の間隔を遠ざけると、単位時間当たりに処理できる空間が広がるが、LED素子の発光強度を大きくする必要がある。LED素子の発光強度を大きくすると、発熱量が増大し、素子寿命を短くしてしまうおそれがある。
【0044】
図5は、LED素子の発光の到達距離の一例を示す図である。
図5より、LED素子から20mmの距離において発光強度0.46mW/cm2となり発光強度の変曲点となっている。このことからLED素子を中心に20mmの範囲においてウイルスの不活性化が可能であることが分かる。このため、本実施例では、LED素子の発光強度の変曲点となる距離の2倍である40mm間隔でLED素子を基板上に配置することにより、ウイルスを不活性化する範囲が行き届かないことも重複することもないようにすることが可能となる。
【0045】
図6は、LED素子の発光制御の一例を示す図である。
図6に示すように、発光制御部は、パルス幅制御(PWM)方式によりLED素子の発光を制御している。Duty比を変化させることでLED素子の電流値や発光強度を制御した。PWM制御を行うことにより、紫外光による基板の劣化を抑制して動作寿命を延ばすことが可能となる。
【0046】
Duty比を3.5%、25%、50%、75%、95.5%と変化させたときの電流値、LED素子の温度、基板の温度を表1に示す。なお、LED素子及び基板の温度は、赤外線放射温度計を用いて計測した。計測時の室内の温度は、24.5℃であった。
【0047】
【0048】
表1に示すように、Duty比95.5%において、電流値が144.2mAを示した。これは、今回用いたLED素子の最大電流150mAに近い値である。また、このときのLED素子の温度は、50.7℃であり、基板の温度は37.1℃であった。今回用いたLED素子の動作温度である-40~65℃に収まっていることが分かる。したがって、最大強度の発光においても外付けの放熱板を有さない本実施例のLED基板は、十分に放熱されていることが分かる。
【0049】
以上に示すように、本願発明により、外付けの放熱板を用いなくともウイルスを不活性化するLED基板及びウイルス不活性化装置等を提供することが可能である。これにより、LED基板及びウイルス不活性化装置の寿命を延ばすと共にコストを削減することが可能となる。
1; ウイルス不活性化装置、3;第1LED基板、5;第2LED基板、7;吸入口、9;通路、11;排出口、13;発光制御部、31;第1LED素子、33;第2LED素子、35;第3LED素子、37;第4LED素子、39;第1平板導体、41;第2平板導体、43;スルーホール、45;基板、49;第1面、51;第2面、61;照射空間