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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023565
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】蓄電装置分散配置システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20230209BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230209BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230209BHJP
   H02J 3/12 20060101ALI20230209BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230209BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230209BHJP
   B60M 3/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/38 110
H02J7/00 P
H02J3/12
H02J3/32
H02J13/00 311T
B60M3/06 B
B60M3/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129193
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】野木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】大辻 浩司
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 信彦
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064CB21
5G064DA11
5G066AA05
5G066AD14
5G066AE09
5G066AE16
5G066CA07
5G066CA08
5G066CA09
5G066HB01
5G066JA01
5G066JB03
5G066KA11
5G066KB01
5G066KB07
5G066KC02
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503HA01
(57)【要約】
【課題】 計画的に電力の需給調整を行うことが可能な蓄電装置分散配置システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、分散配置された複数の蓄電装置を備える蓄電装置分散配置システムが提供される。複数の蓄電装置の各々は、電力変換器と、蓄電池と、制御部と、を備える。電力変換器は、き電線に接続される。蓄電池は、電力変換器に接続され、電力変換器を介してき電線との間で充放電可能である。制御部は、き電線と蓄電装置分散配置システムとの間の電力授受に係る目標値を設定し、目標値に基づいて蓄電池の充放電に関する指令値を生成し、生成した指令値を電力変換器に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散配置された複数の蓄電装置を備える蓄電装置分散配置システムであって、
前記複数の蓄電装置の各々が、
き電線に接続された電力変換器と、
前記電力変換器に接続され、前記電力変換器を介して前記き電線との間で充放電が可能な蓄電池と、
前記き電線と前記蓄電装置分散配置システムとの間の電力授受に係る目標値を設定し、当該目標値に基づいて前記蓄電池の充放電に関する指令値を生成し、当該指令値を前記電力変換器に出力する制御部と
を備える、蓄電装置分散配置システム。
【請求項2】
前記目標値は、
前記き電線の電圧を維持すべき目標電圧を表す第1電圧値、または、
前記蓄電池への充電を開始すべき前記き電線の目標電圧を表す第2電圧値、
前記蓄電池からの放電を開始すべき前記き電線の目標電圧を表す第3電圧値と、
前記蓄電池の目標充放電電力を表す電力値、
前記蓄電池への充電電流を制限する電流制限値を表す第1電流値、または
前記蓄電池からの放電電流を制限する電流制限値を表す第2電流値
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項3】
前記複数の蓄電装置を統括制御する上位制御装置であって、
前記蓄電装置を含むき電システムと商用電力系統の間に設定された需給計画に基づいて、前記蓄電装置分散配置システムの充放電に関する第1制御情報を受信し、
前記第1制御情報に基づき、前記複数の蓄電装置のうちの少なくとも1つに、前記蓄電装置の充放電に関する第2制御情報を生成し送信する、上位制御装置
をさらに備える、請求項1または2に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項4】
前記蓄電装置は分散配置された蓄電装置間の充電率を均等化させる充放電制御が実装されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項5】
前記第1制御情報または前記第2制御情報は、前記複数の蓄電装置のうちの少なくとも1つにおいて充電率に対する放電特性または充電特性を変更させる指示を含む、請求項3に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項6】
前記複数の蓄電装置は、蓄電装置の負荷を均等化するようにき電線出力電流が増加するとき電線に対する出力電圧が低下する出力電圧特性または、前記蓄電池の充電率の低下に応じて、出力電圧が低下する特性の少なくとも一つ以上を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項7】
前記複数の蓄電装置のうちの少なくとも1つは、前記制御部により、前記蓄電池と前記き電線との間で充放電された電力値を監視し、監視された電力値を前記上位制御装置に送信する、請求項3に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項8】
前記上位制御装置は、前記蓄電装置から受信される前記蓄電池と前記き電線との間で充放電された電力値と前記需給計画との差を算出し、算出された差に基づいて前記第2制御情報を生成する、請求項7に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項9】
前記複数の蓄電装置の各々は、前記き電線に対する商用電力系統からの受電電圧を検出する検出部をさらに備え、
前記複数の蓄電装置のうちの少なくとも1つは、前記制御部により、検出された前記受電電圧に基づいて前記商用電力系統の周波数を計測し、計測された周波数と基準周波数との差を所定値以下にするように前記指令値を生成し、前記電力変換器に出力する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項10】
前記上位制御装置は、前記き電線に対する商用電力系統からの受電電圧を検出し、検出された前記受電電圧に基づいて前記商用電力系統の周波数を計測し、計測された周波数と基準周波数との差を所定値以下にするように前記第2制御情報を生成する、
請求項3に記載の蓄電装置分散配置システム。
【請求項11】
前記蓄電装置分散配置システムは、前記き電線に交流を直流に変換する電力変換装置が接続され、前記電力変換装置の交流側の電力系統に、蓄電池を備える補助蓄電装置を有し、前記上位制御装置は、前記複数の蓄電装置の各々から受信される前記蓄電池と前記き電線との間で充放電された電力値の合計が、前記需給計画において要求される値に満たない場合に、前記補助蓄電装置に対して充放電に関する指令を出力する、
請求項3に記載の蓄電装置分散配置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電装置分散配置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力を安定的に供給するためには、電力供給区域において周波数制御および需給バランス調整を行う需給調整力の確保が欠かせない。需給調整力は、時々刻々と変化する電力需要(消費)に対して供給(発電)を一致させるための電力供給力である。近年、需給調整力の取引を可能にする需給調整市場が創設された。需給調整市場で要求される電力の需給計画にしたがって需給調整力を提供するための様々な手法が提案されている。
【0003】
太陽光発電や風力発電等の分散電源の普及に伴い、需給調整力を提供する一手法としてVPP(Virtual Power Plant)が注目されている。VPPは、再生可能エネルギー設備および蓄電池を含む分散電源を統合制御し、蓄積エネルギーを計画的に調整することによって需給調整力を提供する。VPPの適応分野は多岐にわたり、電気鉄道分野にもその適応が提案されている。
【0004】
ここで、電気鉄道で鉄道車両に電力を供給する方式の1つとして、直流き電システムが知られている。直流き電システムには、回生失効または架線電圧降下対策のため、蓄電池または蓄電素子(以下、単に「蓄電池」と言う。)を含む電気鉄道用の変電設備が接続されることがある。蓄電池を充放電することによって、回生率の向上および架線電圧の安定化が図られる。
【0005】
また電気鉄道分野における電力の需給調整に関し、き電線に接続された二次電池から電力を供給することによってピーク電力を削減する試みが報告されている。二次電池は、架線に直接接続され、またはチョッパなどの変換器を介して架線に接続され、架線電圧の低下または上昇に応じて充放電する。また、変換器を介して蓄電池をき電線に接続し、送り出し電圧を上昇させて蓄電池を放電させる試みも報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5187624号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】野木 雅之ほか、「直列補償型回生蓄電システムの開発とフィールド試験結果」、平成31年電気学会全国大会、2019年3月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、き電線電圧の低下または上昇に応じて蓄電池の充放電を行うだけでは、計画的な電力の需給調整を行うシステムを提供することができない。また、電力変換器を介さずにき電線に対して蓄電池を接続する場合、蓄電池の充放電電力または蓄積エネルギーを制御することができない。電力変換器を介さずき電線に接続された蓄電池は、蓄電池電圧と、き電用整流器の出力電圧と、の差分によって充放電特性が一意に定まる。そのため、計画的に電力の需給調整を行い、交流配電系統を安定化させるシステムを提供することは困難である。
【0009】
また、蓄電池の放電は負荷の影響を受けるため、負荷変動の大きいき電回路では放電電力の低下(サグ)が発生してしまい、継続的な放電動作を実現することが容易でない。
【0010】
本発明の実施形態は、上記事情を鑑みて成されたものであって、計画的に電力の需給調整を行うことが可能な蓄電装置分散配置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、分散配置された複数の蓄電装置を備える蓄電装置分散配置システムが提供される。分散配置された複数の蓄電装置の各々は、電力変換器と、蓄電池と、制御部と、を備える。電力変換器は、き電線に接続される。蓄電池は、電力変換器に接続され、電力変換器を介してき電線との間で充放電可能である。制御部は、き電線と蓄電装置分散配置システムとの間の電力授受に係る目標値を設定し、当該目標値に基づいて蓄電池の充放電に関する指令値を生成し、当該指令値を電力変換器に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおけるき電電圧に応じた充放電の制御例を表す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおける、SOCを一定範囲に調整するための充電率と充放電開始電圧との関係を表す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおける放電特性の変更によりSOCを変化させる制御例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおける充電特性の変更によりSOCを変化させる制御例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの変形例を概略的に示す図である。
図7図7は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの第1構成例を概略的に示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおける電力指令値生成例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの第2構成例を概略的に示す図である。
図10図10は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの変形例を概略的に示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。
図12図12は、第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおける蓄電装置の変形例を示す図である。
図13図13は、第4実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0014】
(第1実施形態)
(1-1)構成例および動作例
図1は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100は、電気鉄道またはモノレールなどの車両(以下、「電気車」と言う)に電力を供給する直流き電システムとともに使用される。直流き電システムは、交流系統11と、変電所4と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。蓄電装置分散配置システム100は、直流き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置20と、上位制御装置6と、を備える。
【0015】
交流系統11は、商用電力系統であり、三相交流を変電所4に給電する。
変電所4は、き電用の変電所であり、例えば5~10kmの間隔で配置される。変電所4は、交流系統11から三相交流を受電し、変圧器および整流器(図示省略)を介して三相交流を直流電力(例えば1,650V)に変換し、き電線8に給電する。
【0016】
き電線8は、電気車5に電力を供給する。
電気車5は、き電線8を介して変電所4から出力された電力を受電することにより走行可能な車両、例えば電車である。
帰線9は、帰線電流が流れる導体であって、例えば電気車5が走行するレールである。
変電所4から供給される電力が、き電線8を経て、電気車5(負荷)で消費され、帰線9を介して再び変電所4に戻る回路を、き電回路とも呼ぶ。
【0017】
複数の蓄電装置20は、任意の間隔で分散配置され、それぞれ、き電線8と帰線9とに接続される。各蓄電装置20は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部3と、を備える。
【0018】
蓄電池1は、電力変換器2に接続され、電力変換器2を介してき電線8との間で充放電が可能である。蓄電池1は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、または鉛蓄電池等の充放電可能な複数の蓄電池セルを含む組電池と、セルモニタリングユニット(CMU:Cell Monitoring Unit)と、を搭載した蓄電モジュールである。組電池は、例えば、20Ahの蓄電池セルを2並列12直列に接続した24個の蓄電池セルを含む。CMUは、各蓄電池セルの電圧および温度を測定し、CAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルによって測定結果を制御部3に通知し得る。またCMUは、制御部3から指令を受け取り、制御部3によって指示された電圧になるようにセルバランス調整を行う。セルバランス調整は、電圧が高いセルを放電させることによって指示された電圧になるように調整することを言う。蓄電池1は、電気二重層コンデンサ、フライホイール、または水力発電装置など、他のエネルギー貯蔵可能な装置またはシステムに置き換えられてもよい。
【0019】
電力変換器2は、蓄電池1とき電線8との間および蓄電池1と帰線9との間に接続される。電力変換器2は、蓄電池1とき電線8との間で電力の授受を行い、蓄電池1とき電回路との間の充放電を制御する。電力変換器2は、例えば、蓄電池1と直流き電回路とをつなぐ場合、DC/DCコンバータを備える。これに限らず、電力変換器2には、エネルギー蓄積媒体とき電回路の種別とに応じて任意の変換器が用いられてよい。電力変換器2はまた、充放電電流の制限値を制御する電流リミッタを備える。
【0020】
制御部3は、蓄電装置20の動作を制御する。制御部3は、電力変換器2に対して蓄電池1の充放電に関する指令を与える。制御部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサおよびメモリを備える。制御部3は、プログラムを実行することによって種々の機能を実現する。制御部3の機能の一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現されてもよい。制御部3は、バッテリマネジメントユニット(BMU:Battery Management Unit)を含み得る。制御部3は、き電線8における電力の需給バランスに係る目標値を設定し、その目標値に基づいて電力変換器2に蓄電池1の充放電に関する指令を出力する。
【0021】
より具体的には、制御部3は、蓄電池1のセル電圧および温度を監視し、蓄電池1の充電率(SOC:State of Charge)を算出する。制御部3はまた、例えば電力変換器2を介してき電線8の電圧を監視する。制御部3は、き電線8と蓄電装置分散配置システム100との間の電力授受に係る目標値を設定し、設定した目標値に基づいて、蓄電池1の充放電に関する電力指令値を演算し、電力指令値を電力変換器2に出力する。
【0022】
制御部3はまた、上位制御装置6との間で、伝送路7を介して双方向通信が可能である。伝送路7は、1箇所が断線しても通信を継続できるよう、例えばツイストペアケーブルを用いたトークンリングによる、双方向二重リング型の伝送路として構築される。制御部3と上位制御装置6との間の通信には、他の伝送方式が使用されてもよい。
【0023】
上位制御装置6は、分散配置された複数の蓄電装置20の動作を統合制御する。上位制御装置6は、伝送路7を介して各蓄電装置20と双方向に情報の伝送を行う。上位制御装置6もまた、プロセッサとメモリを備え、プログラムを実行することによって種々の機能を実現する。上位制御装置6の機能の一部もまた、ASIC、PLD、またはFPGA等により実現されてよい。上位制御装置6は、蓄電装置分散配置システム100全体として要求される電力値を目標電力値として管理し、目標電力値を複数の蓄電装置20(例えば、図1であれば3つの蓄電装置20)に割り当てる。目標電力値は、上位制御装置6のさらに上位の制御装置から受け取ったものでもよいし、上位制御装置6に対して人間系で入力されたものでもよい。上位制御装置6は、各蓄電装置20に割り当てた目標電力値に基づいて各蓄電池1の充放電の電力指令値を含む制御情報を生成し、各蓄電装置20の制御部3に制御情報を送信する。
【0024】
蓄電装置分散配置システム100は、き電線8および商用電力系統を含むき電システムと、蓄電装置分散配置システム100との間に設定された電力の需給計画に基づいて、電力需給調整の制御を行う。需給計画は、例えば、この日のこの時間に充電し、または放電する、といった情報を含み、発電計画、需要計画、または供給計画と言い換えることもできる。設定された需給計画は、上位制御装置6に格納される。上位制御装置6は、需給計画に基づいて、充電池1の充放電に関する制御情報(第1制御情報)を生成し、制御情報を複数の蓄電装置20の各々に送信する。これにより、上位制御装置6は、蓄電装置分散配置システム100全体として管理すべき目標電力値または目標SOCに基づく統轄制御を行う。電力を時間積分すればエネルギーが得られるので、電力を制御することで事実上エネルギーの制御を行うことができる。目標電力に追従することによって、結果的に目標SOCの実現に通じる。需給計画は、いつどのように放電開始電圧または充電開始電圧を変更するか、という情報と言い換えることもできる。需給計画は、上位制御装置6に加え、各蓄電装置20に格納されてもよい。上位制御装置6は、各蓄電装置20が割り当てられた目標電力値を実現するように制御情報を生成してもよいし、各蓄電装置20が蓄電池1について所望のSOCの状態を維持するように制御情報を生成してもよい。
【0025】
各蓄電装置20の制御部3は、上位制御装置6から受け付けた制御情報に基づき、電力授受に係る目標値を設定する。制御部3は、上位制御装置6から受け付けた制御情報に含まれる電力指令値またはSOC値等をそのまま目標値として設定してもよいし、制御情報に含まれる値をもとに目標値を算出してもよい。目標値は、例えば、き電線8の電圧を維持すべき一定目標電圧を表す第1電圧値、蓄電池1への充電を開始すべきき電線8の目標電圧を表す第2電圧値としての充電開始電圧、蓄電池1からの放電を開始すべきき電線8の目標電圧を表す第3電圧値としての放電開始電圧、蓄電池1の目標充放電電力を表す電力値としての充放電電力指令値、蓄電池1への充電電流を制限する充電電流制限値を表す第1電流値、または蓄電池1からの放電電流を制限する放電電流制限値を表す第2電流値、のうちの少なくとも1つを含み得る。制御部3は、設定した目標値に基づいて蓄電池の充放電に関する指令値を生成し、電力変換器2に出力する。
【0026】
上位制御装置6は、各蓄電装置20の制御部3に対し、充放電の開始電圧または充放電の電流制限値を制御情報として伝送してもよい。き電システムに分散配置された複数の蓄電装置20の各々の蓄電池1は、架線電圧が上昇すると充電し、架線電圧が下がると放電する。このようなき電システムにおいて、き電回路に対する蓄電装置20の放電電圧が目標電圧(例えば、1,650V)になるように電圧制御を行う場合、電力変換器2によって、車両や変電所の保護などに不都合の無い範囲内で送り出し電圧を上昇させ、その上で放電電流が一定値以上に流れないように放電電流を制限する制御(電流制御)を行うことにより、等価的に目標電力の放電が可能になる。同様に、充電の場合には電圧を下げて充電電流が一定値以上に流れないように充電電流を制限することによって、目標電力の充電が可能になる。制御部3は、上位制御装置6から受け付けた制御情報に含まれる充放電の開始電圧または充放電の電流制限値をそのまま目標値として設定することができる。
【0027】
各蓄電装置20の制御部3は、実際に電力変換器2に送信した指令値を上位制御装置6にフィードバックする。フィードバックのタイミングまたは時間間隔は任意に設定されてよい。制御部3はまた、蓄電池1の温度、蓄電池1のSOC、および蓄電池1とき電線8との間で充放電された電力値を含む他の情報も上位制御装置6に送信し得る。上位制御装置6は、分散配置された複数の蓄電装置20のうちの少なくとも1つからフィードバックとして制御部3が電力変換器2に出力した指令値を受信し、受信した指令値と設定された需給計画とに基づいて、蓄電池1の充放電に関する次の制御情報(第2制御情報)を生成し、複数の蓄電装置20に送信することができる。
【0028】
一例として、上位制御装置6は、分散配置された複数の蓄電装置20から受信したフィードバックと目標電力値または目標SOCとの乖離(差)を算出し、その乖離を小さくするように次の制御情報を生成し、各蓄電装置20に送信する。例えば、上位制御装置6は、まず需給計画に基づいて蓄電装置分散配置システム100全体としての目標電力値Wを決定し、目標電力値Wを監視下にあるN個の蓄電装置20に振り分ける(W11,W12,...W1N)(ここで、W=W11+W12+...+W1N)。目標電力値Wの振り分けは均等であっても不均等であってもよい。上位制御装置6は、振り分けた電力値(W11,W12,...W1N)をそれぞれ含む第1制御情報(CS11,CS12,...CS1N)を生成し、N個の蓄電装置20それぞれに送信する。N個の蓄電装置20からフィードバックを受信した上位制御装置6は、各蓄電装置20において制御部3から電力変換器2に出力された電力指令値または実際に蓄電池1から充放電された電力値(WO11,WO12,...WO1N)の合計(WO=WO11+WO12+...+WO1N))と、目標電力値Wとの差(ΔW=W-WO)を算出する。上位制御装置6は、この差を例えば各蓄電装置20に均等に割り当て、次の制御情報(第2制御情報)に含めるべき指令値を更新する(W21,W22,...W2N)(ここで、W21=W11+ΔW/N,W22=W12+ΔW/N,...W2N=W1N+ΔW/N)。差の割当ても不均等であってもよい。上位制御装置6は、更新後の指令値(W21,W22,...W2N)をそれぞれ含む第2制御情報(CS21,CS22,...CS2N)を生成し、N個の蓄電装置20それぞれに送信する。フィードバックの反映は、上記の例に限られず、多種多様な方法で反映されてよい。
【0029】
上位制御装置6から各制御部3に送信される制御情報は、上位制御装置6の監視下にある複数の蓄電装置20における負荷または各蓄電池1のSOCを均等化させる指令を含んでもよい。上位制御装置6から各制御部3に送信される制御情報は、各蓄電池1のSOCに対する充電特性または放電特性を変更させる指示を含んでもよい。各制御部3は、上位制御装置6から受信した制御情報に基づいて、目標値を設定し電力変換器2への指令を生成する。各制御部3から各電力変換器2に出力される指令の時間間隔は、例えば、25~100ミリ秒、または1秒である。蓄電装置分散配置システム100は、上位制御装置6と分散配置された複数の蓄電装置20の制御部3との連携によって、需給計画により蓄電装置分散配置システム100全体に要求される需給調整を実現することができる。
【0030】
蓄電装置分散配置システム100が備える蓄電装置20の数は、図示の例に限定されない。上位制御装置6は、任意の数の蓄電装置20を統括制御することができる。同様に、蓄電装置分散配置システム100とともに使用される変電所4および電気車5等の数および配置も一例にすぎない。蓄電装置20は、変電所4の近くに配置されてもよいし、変電所4とペアで配置されてもよいし、または変電所4とは独立して配置されてもよい。変電所4の代わりにバッテリが配置されていてもよい。
【0031】
第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100における制御例についてさらに説明する。
図2は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100におけるき電線電圧に応じた充放電の制御例を表す図である。横軸はき電線電圧を表し、縦軸は充電電流または放電電流を表す。また、Vc1は充電開始電圧を表し、Vd1は放電開始電圧を表す。制御部3は、図2に示すようなき電線電圧と充放電電流との関係を表すテーブルを用いて充放電指令を生成し、電力変換器2に出力することにより、蓄電池1の充放電を制御することができる。図2によれば、き電線電圧が充電開始電圧Vc1よりも高くなると、蓄電池1の充電が開始される。充電電流は、き電線電圧が高くなるほど増大する。ただし、充電電流には制限値(最大充電電流)が設定される。一方、き電線電圧が放電開始電圧Vd1よりも低くなると、蓄電池1の放電が開始される。放電電流は、き電線電圧が低くなるほど増大する。ただし、放電電流にも制限値(最大放電電流)が設定される。き電線電圧が、放電開始電圧Vd1以上、充電開始電圧Vc1以下のときには、蓄電池1は充電も放電も行わない。
【0032】
ここで、分散配置された複数の蓄電装置20の各々において、制御部3は、き電連系点の電圧が一定電圧になるように充放電を制御することができる。あるいは、分散配置された複数の蓄電装置20の各々において、制御部3は、蓄電池1からの放電電流の増加に応じて電力変換器2がき電線8に送り出す電圧(き電回路に対する出力電圧)を降下させるように制御を行ってもよいし、蓄電池1への充電電流の増加に応じて電力変換器2がき電線8に送り出す電圧(き電回路に対する出力電圧)を上昇させるように制御を行ってもよい。
【0033】
また、各蓄電装置20の制御部3は、蓄電池1のSOCの低下に応じてき電線8への送り出し電圧を降下させるように制御を行ってもよい。各蓄電装置20において蓄電池1のSOCが低下するにつれて放電電圧を降下させるように制御を行うことにより、蓄電装置分散配置システム100全体で見ると、蓄電池1のSOCが高い蓄電装置20は、蓄電池1のSOCが低下した蓄電装置20よりも多くの放電電力を負担することになる。これにより、蓄電装置分散配置システム100における複数の蓄電装置20の負荷分担を均等化させることができる。
【0034】
各蓄電装置20の制御部3は、各蓄電池1が所定のSOCを維持するように充放電を制御することができる。これは、例えば、上位制御装置6が、SOCの目標値を設定して各蓄電装置20の制御部3に送信し、各蓄電装置20の制御部3が、蓄電池1のSOCが目標値から乖離したときに調整充放電を行うように制御を行うことによって実施される。あるいは、上位制御装置6がSOCの明確な目標値を設定せず、各蓄電装置20の制御部3が、蓄電池1のSOCの低下に応じて放電開始電圧または充電開始電圧を調整する制御を実行してもよい。SOCの目標値もまた、上位制御装置6のさらに上位の制御装置から受け取った値であってもよいし、上位制御装置6に対して人間系で入力された値であってもよい。
【0035】
図3は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100における、蓄電池1のSOCを一定範囲に調整するための、充電率(SOC)と充放電開始電圧との関係を表す図である。横軸はSOC、縦軸は放電開始電圧または充電開始電圧を表す。SOCが低下すると、放電開始電圧または充電開始電圧も低下する。制御部3は、図3に示すようなSOCと充放電開始電圧との関係を表すテーブルを用いて充放電指令を生成し、電力変換器2に出力することにより、蓄電池1の充放電を制御することができる。
【0036】
各蓄電装置20の制御部3が上記のような制御を行っているときに、上位制御装置6は、さらに各蓄電装置20に対して充電または放電の指令を出力する。充電または放電の指令は、例えば、充電率に対する充電特性または放電特性を変更させる指令を含む。このような指令は、上位制御装置6のさらに上位系の制御装置から送られたものであってもよいし、上位制御装置6に対して人間系で入力することにより充放電の指令を出力させるものであってもよい。
【0037】
図4は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100における、蓄電池1の放電特性の変更によりSOCを変化させる制御例を示す図である。横軸は充電率(SOC)、縦軸は放電開始電圧を表す。概して、SOCが高いほど、各蓄電装置20が放電を開始する電圧が高い。制御部3は、矢印Pで示されるように放電特性を変化させることによって、電力の需給調整を行うことができる。すなわち、各蓄電装置20において、蓄電池1は、通常はA1の領域で動作するが、制御部3からの指令に応じてB1の領域で動作する。これにより、蓄電池1は、ほとんどのSOCの区間において高い電圧で放電を開始することになる。その結果、(A1-B1)のSOCの差分に相当するエネルギーが各蓄電装置20の蓄電池1からき電回路に供給される。SOCが低下すると、送り出す電圧が下がるので放電が停止する。このとき、蓄電池1からき電回路に供給される最大電力値は、放電開始電圧の最大値Vmaxと電力変換器2の出力電流制限値Ilimitとの積で決まる。このように、充放電制御の放電開始電圧の指令値を変更することによって需給調整を行うことができる。放電電力を調整したい場合には、電力変換器2の出力電流制限値Ilimitを変更すればよい。
【0038】
制御部3は、例えば図4に示すようなSOCと放電開始電圧との対応関係を指定するテーブルを保持し、上位制御装置6からの指令に応じて使用する放電特性を切り替えることができる。制御部3は、指定された放電特性に基づいて、目標値としての放電開始電圧を設定し、電力変換器2への指令を生成する。
【0039】
充電の場合にも同様のスキームが適用可能である。
図5は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100における、蓄電池1の充電特性の変更によりSOCを変化させる制御例を示す図である。横軸は充電率(SOC)、縦軸は充電開始電圧を表す。概して、SOCが低いほど、各蓄電装置20が充電を開始する電圧が低い。制御部3は、矢印Qで示されるように充電特性を変化させることによって、電力の需給調整を行うことができる。すなわち、各蓄電装置20において、蓄電池1は、通常はB2の領域で動作するが、制御部3からの指令に応じてA2の領域で動作する。これにより、蓄電池1は、ほとんどのSOCの区間において低い電圧で充電を開始することになる。その結果、(A2-B2)のSOCの差分に相当するエネルギーがき電回路から各蓄電装置20の蓄電池1に蓄積される。き電回路から各蓄電池1に蓄積される充電電力の最大値は、充電開始電圧Vminと電力変換器2の電流制限値Ilimitとの積で決まる。充電電力を調整したい場合には、電力変換器2の電流制限値Ilimitを変更すればよい。
【0040】
制御部3は、例えば図5に示すようなSOCと充電開始電圧との対応関係を指定するテーブルを保持し、上位制御装置6からの指令に応じて使用する充電特性を切り替えることができる。制御部3は、指定された充電特性に基づいて、目標値としての充電開始電圧を設定し、電力変換器2への指令を生成する。
【0041】
上位制御装置6は、図4または図5に示すような充放電特性を指定するテーブルを各制御部3に送信することによって、充放電特性の切替えを各制御部3に指示してもよい。各制御部3が複数のテーブルを所持していて、上位制御装置6からの指令に応じてテーブルを切り替えて使用してもよい。
【0042】
なお、図1のき電回路の交流系統11は、単一の電力系統であってもよく、複数の電力系統に分離されていてもよい。
【0043】
(1-2)効果
従来のようにき電システムに対して蓄電装置が単独で配置される場合、または集中型の蓄電装置が配置される場合、放電時に蓄電装置から負荷(電気車)までのき電回路インピーダンスの影響を受ける。蓄電装置の蓄電池からき電回路への放電によって、蓄電装置が連系されているき電回路接続点の電圧が上昇する。そのため、保護動作に至る前の常時運転可能な最大電圧レベル(過電圧に至る前の限界電圧レベル)で、放電電流が抑制され、放電電力が低下することになる。一方、充電時には蓄電装置の蓄電池が変電所を介して充電される。図1は、両側の変電所4から電気車5に電力を供給可能な並列き電回路を示しているが、もしも1か所の蓄電装置20を大電力で充電した場合、直近の変電所4の放電電力が増大し、き電電圧を大きく低下させるとともに、変電所4の負荷出力を著しく奪うことになる。
【0044】
第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100によれば、き電システムに対して複数の蓄電装置20が分散配置される。この分散配置によって、蓄電装置20から電気車5の負荷までのき電回路インピーダンスを低減することが可能になる。その結果、従来よりも遠くの負荷に電力を供給できるようになる。また、広範囲の負荷にも対応できるようになり、蓄電装置20の需給調整において高出力の放電動作が可能になる。仮にいずれかの蓄電装置20で電流のサグが発生した場合でも、他の蓄電装置20がその不足を補うことができる。したがって、蓄電装置分散配置システム100全体として、計画的かつ安定した電力需給調整に資することができる。同様に、1つの蓄電装置20で500kWを充電するよりも3つの蓄電装置20で分担して500kWを充電する方が制御設備の負荷を軽減することができる。したがって、分散配置された蓄電装置20で計画的な充電を行うことにより、安定した電力需給調整を行うことができる。
【0045】
さらに、き電システム内に分散配置された複数の蓄電装置20を統括制御することにより、蓄電装置20の持つ需給調整力(電力または電力量)を統合して運用することができ、その結果、蓄電システムプラントとして大型化を実現することができる。
【0046】
上位制御装置6は、蓄電装置分散配置システム100全体を監視し、各蓄電装置20に指令を送って協調制御を行う。上位制御装置6から各蓄電装置20の制御部3に送信する指令は、例えば各蓄電装置20に割り当てられた目標電力値を含む。各制御部3は、例えば目標電力値をリミッタの電流で割ることによってき電線の目標電圧を得ることができる。各制御部3は、き電線8の電圧と目標電圧とを比較しながら充放電を制御する。各制御部3はまた、実際の充放電に係る情報、例えば、上位制御装置6から指示された目標電力に対応する電圧制御を実行できたかどうかを表す情報を上位制御装置6に返す。上位制御装置6は、各蓄電装置20の制御部3から実際の充放電に係る情報を収集し、蓄電装置分散配置システム100全体として計画的に電力の需給調整を行うことができるよう、制御部3に指令を送信する。
【0047】
上位制御装置6は、各蓄電装置20の制御部3に対して電力指令値を送り、制御部3が、受け取った電力指令値を充電/放電時の電圧で割ることで電流制限値を算出し、制御部3から電力変換器2に電流制限値を送ることによって制御を実現してもよい。これにより、上位制御装置6からの指令に応答して各蓄電装置20の制御部3が放電または充電を制御することによって蓄電池1のSOCを変化させることが可能になり、蓄電装置分散配置システム100全体として需給調整を行うことができる。あるいは、各蓄電装置20の制御部3が、目標電力値、放電開始電圧、充電開始電圧、または電流制限値等の情報をあらかじめ所持していてもよい。
【0048】
このように、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100は、システム全体として、電力が足りない場合には溜めておいたエネルギーを供給し(放電)、電力が余っている場合には電力を溜め込む(充電)、という動作を行う。したがって、蓄電装置分散配置システム100は、システム全体として、計画的に電力の需給調整を行うことができる。
【0049】
(1-3)変形例
図6は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの変形例を概略的に示す図である。図6では、き電システムにおいて交流系統11が分離されている点を除き、図1と同様である。蓄電装置分散配置システム110は、蓄電装置分散配置システム100と同じ構成を有し、同様に動作するので、詳細な説明は省略する。言い換えれば、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100は、変電所4が、分離された異なる交流系統11から給電されている場合にも適用可能である。
【0050】
(第2実施形態)
(2-1)構成例および動作例
第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムは、き電システムに対して分散配置される各蓄電装置が自端制御を行う点を除き、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100と同様の構成を有する。以下で主に第1実施形態との相違箇所について説明する。
【0051】
図7は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの第1構成例を概略的に示す図である。第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システム200は、第1実施形態と同様に、直流き電システムとともに使用される。直流き電システムは、交流系統11と、変電所4と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。これらは第1実施形態に関して説明した直流き電システムの交流系統11、変電所4、き電線8、電気車5、および帰線9と同様であるので説明を省略する。
【0052】
蓄電装置分散配置システム200は、き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置21を備える。
複数の蓄電装置21は、第1実施形態で説明した蓄電装置20と同様、き電システムに対して任意の間隔で分散配置され、それぞれ、き電線8と帰線9とに接続される。各蓄電装置21は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部31と、電圧検出部10と、を備える。蓄電池1および電力変換器2は、第1実施形態で説明した蓄電装置20の蓄電池1および電力変換器2と同様であるので説明を省略する。
【0053】
電圧検出部10は、交流系統11の電圧を検出し、検出した電圧を制御部31に渡す。
制御部31は、電圧検出部10によって検出された電圧に基づき、交流系統11の周波数を計測する。制御部31は、計測した周波数と、目標値としての基準系統周波数(「基準周波数」とも言う。)と、の差に応じて、充放電の電力指令値を生成し、電力指令値を電力変換器2に出力する。
【0054】
電力の需給バランスが崩れると周波数変動が生じ、電力供給が不安定になる。制御部31は、交流系統11の周波数F11と基準系統周波数F(50Hzまたは60Hz)との差ΔF(ΔF=F11-F)を計算し、差ΔFに応じて指令値を生成することによって、負荷変動に対応する。例えば、制御部31は、差ΔFを小さくするように指令値を生成することができる。基準系統周波数は、き電線8と蓄電装置分散配置システム200との間の電力授受に係る目標値の一例である。各制御部3は、あらかじめ基準系統周波数を取得し、目標値として設定する。なお、交流電圧に基づく周波数の算出には既知の方法が用いられてよい。
【0055】
図8は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システム200における電力指令値生成例を示す図である。電圧検出部10は、交流系統11の電圧を検出し、周波数検出部35に渡す。周波数検出部35は、制御部31の一機能として設けられる。制御部31は、周波数検出部35によって検出された周波数F11と基準系統周波数Fとの差ΔFに応じた電力指令値を生成する。差ΔFに代えて、周波数偏差(ΔF/F)に応じた電力指令値が使用されてもよい。制御部31は、例えば、差ΔFと電力指令値との対応関係を指定するテーブルを用いて電力指令値を生成することができる。そのようなテーブルの一例が図8に示される電力指令テーブル61である。図8において、電力指令テーブル61は、ΔFが所定の第1値ΔFa未満では、差ΔFの絶対値に応じて値が線形に増加する放電電力指令値(プラス)を指示し、ΔFが第1値ΔFa以上かつ第2値ΔFb未満では電力指令値ゼロを指示し、ΔFが第2値ΔFb以上では、差ΔFの絶対値に応じて値が線形に増加する充電電力指令値(マイナス)を指示する。電力指令テーブル61は、一例にすぎず、他のテーブルが使用されてよい。制御部31は、例えば、差ΔFまたは周波数偏差に応じた電力指令値を出力する関係式を使用して指令値を演算してもよい。
【0056】
このように、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システム200では、分散配置される各蓄電装置21が周波数変動を抑制するように自端制御を行うことによって、蓄電装置分散配置システム200全体として電力の需給調整を行うことができる。
【0057】
第2実施形態に係る自端制御システムは、さらに上位制御装置6からの指令を併用してもよい。
図9は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの第2構成例を概略的に示す図である。第2構成例においても、蓄電装置分散配置システム210は、直流き電システムとともに使用される。直流き電システムは、交流系統11と、変電所4と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。き電システムについては第1構成例と同様であるので説明を省略する。第2構成例に係る蓄電装置分散配置システム210は、き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置22と、上位制御装置6と、を備える。
【0058】
各蓄電装置22は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部32と、電圧検出部10と、を備える。蓄電池1、電力変換器2、および電圧検出部10は、第1構成例の蓄電池1、電力変換器2、および電圧検出部10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
上位制御装置6は、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100の上位制御装置6と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0059】
制御部32は、第1構成例と同様、電圧検出部10によって検出された交流系統11の電圧に基づき、交流系統11の周波数を計測し、基準系統周波数との差ΔFに応じて、充放電の電力指令値を生成し、電力変換器2に出力する。制御部32は、さらに、第1実施形態に係る蓄電装置20の各制御部3と同様に、上位制御装置6との間で伝送路7を介して双方向通信し、上位制御装置6から指令を受け取るとともに、例えば蓄電池1のSOCを含むフィードバックを上位制御装置6に送信する。制御部3と上位制御装置6とは、一般に応動時間が異なることから、このような両立が可能である。さらに、上位制御装置6が交流系統11の電圧を監視するようにしてもよい。
【0060】
(2-2)効果
電力需給調整に高速応答を要する場合、各制御部3が上位制御装置6からの指令を待っていたのでは応答が間に合わないことがある。第1構成例で説明したように、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システム200では、分散配置された複数の蓄電装置21の各制御部3が、交流系統11の末端の電圧をダイレクトに監視し、その周波数変動を抑制する高速制御を行うことができる。これにより、システム全体としても安定した需給調整を行うことができる。
【0061】
さらに、第2構成例で説明したように、蓄電装置分散配置システム210において、分散配置された各蓄電装置22が、末端の電圧をダイレクトに監視して需給調整を行いつつ、上位制御装置6からの指令にも並行して応答するように構成することもできる。
【0062】
第2実施形態に関して説明した自端制御は、原則としてオフライン制御により行われる。第2実施形態の第1構成例に示した自端制御は、需給調整市場における一次調整力に対応する。これに対し、上位制御装置6を備える制御は、オンライン制御により行われ、需給調整市場における二次調整力または三次調整力に対応する。第2実施形態の第2構成例のように自端制御と上位制御とが併用されている場合、オンライン制御は5分乃至15分といった時間間隔で行われ、オフライン制御(自端制御)は10秒といった時間間隔で行われる。第2構成例の場合、上位制御装置6が低頻度で低精度の制御を行い、追加的に各蓄電装置の制御部32が高頻度の精密制御を行うという、2段階の制御を実現することができる。
【0063】
(2-3)変形例
変形例として、上位制御装置が、交流系統の電圧を監視し、周波数変動を抑制するように蓄電装置分散配置システムを統合制御してもよい。
図10は、第2実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの変形例を概略的に示す図である。変形例に係る蓄電装置分散配置システム220も、第1構成例および第2構成例と同様に直流き電システムとともに使用される。き電システムは、交流系統11と、変電所4と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。き電システムについては第1構成例と同様であるので説明を省略する。蓄電装置分散配置システム220は、き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置20と、上記制御装置6と、電圧検出装置40と、を備える。
【0064】
各蓄電装置20は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部3と、を備える。蓄電池1、電力変換器2、および制御部3は、第1実施形態で説明した蓄電装置20の蓄電池1、電力変換器2、および制御部3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
電圧検出装置40は、交流系統11の電圧を検出し、検出した電圧を上位制御装置6に渡す。上位制御装置6は、電圧検出装置40によって検出された電圧に基づいて交流系統11の周波数を計測する。そして上位制御装置6は、交流系統11の周波数と基準系統周波数との差または周波数偏差に基づいて、例えば図8に例示したテーブル61と同様のテーブルを用いて電力指令値を演算し、電力指令値を各蓄電装置20の制御部3に送信する。各制御部3は、受信した電力指令値に基づき、目標値を設定して、電力変換器2に指令を出力する。このように、上位制御装置6側で系統電圧を監視する場合にも、蓄電装置分散配置システム220において同様の統合制御を行うことができる。
【0066】
(第3実施形態)
(3-1)構成例および動作例
第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システムは、交流き電システムとともに使用される点を除き、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100と同様の構成を有する。以下で主に第1実施形態との相違箇所について説明する。
【0067】
図11は、第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システム300は、交流き電システムとともに使用される。交流き電システムは、第1交流系統11と、第2交流系統12と、変電所41と、変電所42と、セクション50と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。き電線8、電気車5、および帰線9は、第1実施形態に関して説明した直流き電システムのき電線8、電気車5、および帰線9と同様であるので、説明を省略する。蓄電装置分散配置システム300は、交流き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置20と、上位制御装置6と、を備える。
【0068】
第1交流系統11および第2交流系統12は、例えば、互いに位相差のある商用電力系統である。第1交流系統11および第2交流系統12は、周波数の異なる電力系統であってもよい。
【0069】
変電所41は、遮断器と変圧器とを備え、第1交流系統11から受電した三相交流電力を単相交流電力に変換し、単相交流電力をき電回路に出力する交流変電所である。変電所42は、遮断器と変圧器とを備え、第2交流系統12から受電した三相交流電力を単相交流電力に変換し、単相交流電力をき電回路に出力する交流変電所である。
【0070】
セクション50は、いわゆるデッドセクションであり、異なる電化方式、異なる位相または異なる周波数の電力の短絡を防ぐため、架線を電気的に分離するために配置される。第1交流系統11から給電される変電所41と第2交流系統12から給電される変電所42との間で、き電線8は、セクション50によって分離されている。
【0071】
複数の蓄電装置20は、任意の間隔で分散配置され、それぞれ、き電線8と帰線9とに接続される。各蓄電装置20は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部3と、を備える。第3実施形態に係る蓄電装置20は、第1実施形態で説明した蓄電装置20と同様であるので詳細な説明は省略する。ただし、き電線8が交流き電方式を採用するので、電力変換器2は、蓄電池1の直流を交流に変換して、き電線8に給電する。
【0072】
変電所41および変電所42が交流変電所であるため、回生が発生した場合、変電所41から三相交流系統11への逆潮流、または変電所42から三相交流系統12への逆潮流が発生し得る。例えば、各蓄電装置20は、制御部3により、近傍の(同じ区間内の)変電所41から三相交流系統11への逆潮流電流を監視し(一例として矢印Rで示す)、逆潮流が発生した場合にはその有効電力を吸収するように、蓄電池1を充電させる動作を行うことができる。電力変換器2は、制御部3の制御下で、き電線8から受け取る交流を直流に変換し、蓄電池1を充電させる。第3実施形態において、き電線8と蓄電装置分散配置システム300との間の電力授受に係る目標値は、例えば、逆潮流の発生を判定する電流閾値である。
【0073】
(3-2)効果
交流き電システムの場合、架線がセクションで分離されているので、変電所4は、セクションで分離された隣の区間の電気車5には電力を送ることができない。第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システム300によれば、セクションで分離された区間をまたいで蓄電装置20の蓄電池1の充放電を統合制御でき、システム全体として電力需給調整を行うことができる。
【0074】
(3-3)変形例
図12は、第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システム300における蓄電装置20の変形例を示す図である。図12において、蓄電装置23は、セクション50をまたいで設置される。蓄電装置23は、図11に示した電力変換器2の代わりに、電力変換器25および電力変換器26を備える。電力変換器25は、例えばM座(Main phase)側に接続され、DC/DCコンバータおよびDC/ACコンバータを含む。電力変換器26は、例えばT座(Teaser)側に接続され、DC/DCコンバータおよびDC/ACコンバータを含む。
【0075】
この変形例において、制御部3は、セクション50の両側の変電所(図示せず)における逆潮流を監視し、電力変換器25または電力変換器26を介して蓄電池1の充放電を制御する。これにより、蓄電装置分散配置システム300は、セクション50によって分離された方面別の電力を監視し、方面別の電力をき電回路間で融通することができる。
【0076】
第3実施形態に係る蓄電装置分散配置システム300は、分散配置された複数の蓄電装置20を備えてもよいし、分散配置された複数の蓄電装置23を備えてもよいし、1または複数の蓄電装置20と1または複数の蓄電装置23とを組み合わせて分散配置してもよい。
【0077】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る蓄電装置分散配置システムは、交流系統に配置された別の蓄電システム(以下、「補助蓄電装置」と言う。)を備え、その補助蓄電装置も含めて統合的に制御するものである。第4実施形態に係る蓄電装置分散配置システムは、補助蓄電装置を備える点を除き、第1実施形態に係る蓄電装置分散配置システム100と同様の構成を有する。以下で主に第1実施形態との相違箇所について説明する。
【0078】
(4-1)構成例および動作例
図13は、第4実施形態に係る蓄電装置分散配置システムの一構成例を概略的に示す図である。第4実施形態に係る蓄電装置分散配置システム400は、第1実施形態と同様に、直流き電システムとともに使用される。直流き電システムは、交流系統11と、変電所4と、き電線8と、電気車5と、帰線9と、を備える。これらは第1実施形態に関して説明した直流き電システムの交流系統11、変電所4、き電線8、電気車5、および帰線9と同様であるので説明を省略する。
【0079】
蓄電装置分散配置システム400は、き電システムに対して分散配置された複数の蓄電装置20と、上位制御装置6と、補助蓄電装置24と、を備える。
【0080】
複数の蓄電装置20は、第1実施形態で説明した蓄電装置20と同様、き電システムに対して任意の間隔で分散配置され、それぞれ、き電線8と帰線9とに接続される。各蓄電装置20は、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部3と、を備える。これらの蓄電池1、電力変換器2、および制御部3は、第1実施形態で説明した蓄電装置20の蓄電池1、電力変換器2、および制御部3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
補助蓄電装置24は、第3交流系統13に接続される。補助蓄電装置24は、例えば、駅ビルの商用電源との間で充放電可能な蓄電装置である。交流系統11と第3交流系統13とは区別される必要はなく、おおもとは同じ電力会社の商用電力系統であり得る。
【0082】
補助蓄電装置24は、分散配置された蓄電装置20と同様に、蓄電池1と、電力変換器2と、制御部3と、を備える。これらの蓄電池1、電力変換器2、および制御部3は、蓄電装置20の蓄電池1、電力変換器2、および制御部3と同様の構成および機能を有する。補助蓄電装置24の出力は、図示しない変圧器を介してき電線8に接続される。補助蓄電装置24の制御部3もまた上位制御装置6との間で伝送路7を介して双方向通信する。
【0083】
上位制御装置6は、き電システム内に分散配置された蓄電装置20の充放電の状況を監視し、パワーが不足した場合に補助蓄電装置24の出力を利用する。上位制御装置6は、例えば、監視下にある複数の蓄電装置20から受信される放電電力値の合計が需給計画において要求される放電電力値に満たない場合に、パワー不足と判定し、補助蓄電装置24の制御部3に蓄電池1の放電を指示することができる。あるいは上位制御装置6は、例えば、監視下にある複数の蓄電装置20において実際に出力された電力指令値の合計が上位制御装置6から各制御部3に出力された電力指令値の合計に満たない場合に、パワー不足と判定し、補助蓄電装置24の制御部3に蓄電池1の放電を指示することができる。第4実施形態において、き電線8と蓄電装置分散配置システム400との間の電力授受に係る目標値の一例は、需給計画において要求される放電電力値または電力指令値の合計など、パワー不足の判定に用いられる閾値である。
【0084】
(4-2)効果
一般に、き電システム内に分散配置された蓄電装置20の充放電電力は、き電システム内を走行する電気車5の負荷に依存し、制限を受ける。き電回路内に十分な負荷がなければ、蓄電装置20は、適切に放電できず、必要とされる需給調整を行うことができない。例えば、人身事故または地震などの自然災害が発生した場合、き電設備の故障等による不可抗力により、蓄電装置分散配置システム400の需給調整を担う各蓄電装置20の充放電能力が低下することがある。このような場合、蓄電装置分散配置システム400は、不足する充放電電力を補助蓄電装置24から供給することができる。上位制御装置6は、伝送路7を介して各蓄電装置20の充放電の状況を監視しており、各蓄電装置20が所望の指令に追従できていない場合には、補助蓄電装置24を充放電させることによって需給調整力を補完することが可能になり、システム全体として計画的な需給調整を行うことができる。
【0085】
以上詳述したように、実施形態に係る蓄電装置分散配置システムによれば、き電システム内に分散配置された複数の蓄電装置の各々は、き電線に接続された電力変換器と、電力変換器に接続され、電力変換器を介してき電線との間で充放電が可能な蓄電池と、き電線と蓄電装置分散配置システムとの間の電力授受に係る目標値を設定し、目標値に基づいて蓄電池の充放電に関する指令値を生成し、指令値を電力変換器に出力する制御部と、を備える。これにより、各蓄電装置において、単にき電線または架線の電圧の上昇/下降に応じた充放電を行うのではなく、より計画的に充放電を行うことが可能となり、システム全体として必要な電力需給調整を行うことができる。
【0086】
したがって、実施形態に係る蓄電装置分散配置システムは、き電システム内に分散配置された各蓄電装置において蓄電池の充放電を制御することにより、システム全体として計画的な電力需給調整を行うことができる。
【0087】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、各実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおいて、分散配置される各蓄電装置は、ユニット化された装置であってもよいし、ユニット化された装置でなくてもよい。蓄電装置は、蓄電システムと読み替えられてもよい。一例として、電気車5に蓄電装置または蓄電システムが搭載されている場合に、その蓄電装置等も蓄電装置分散配置システムに組み込まれてよい。上位制御装置6は、電気車5の蓄電装置等に対して有線または無線により指令を伝送し、電力需給調整を行うための充放電を行わせることができる。同様に、実施形態に係る蓄電装置分散配置システムには、種別の異なる蓄電またはエネルギー貯蔵システムが組み込まれてもよい。
【0088】
各実施形態に係る蓄電池分散配置システムにおいて、分散配置される複数の蓄電装置は、すべて同一の構成であってもよいし、異なる構成を有してもよい。例えば、蓄電池1を備えた蓄電装置と、蓄電池1の代わりに電気二重層コンデンサを備えた蓄電装置とが、蓄電装置分散配置システム内に混在してもよい。また、各実施形態に係る蓄電装置分散配置システムにおいて、上位制御装置6は、複数の上位制御装置が連携して動作することによって実現されてもよい。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1…蓄電池、2,25,26…電力変換器、3,31,32…制御部、4,41,42…変電所、5…電気車、6…上位制御装置、7…伝送路、8…き電線、9…帰線、10…電圧検出部、11,12,13…交流系統、20,21,22,23…蓄電装置、24…補助蓄電装置、35…周波数検出部、40…電圧検出装置、50…セクション、61…電力指令テーブル、100,110,200,210,220,300,400…蓄電装置分散配置システム。
図1
図2
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図13