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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023583
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ドーム構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/32 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
E04B1/32 102B
E04B1/32 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129231
(22)【出願日】2021-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田島 暢之
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祥子
(72)【発明者】
【氏名】田渕 浩司
(72)【発明者】
【氏名】林 裕真
(57)【要約】
【課題】想定外の上下動地震における安定性を確保可能なドーム構造を提供する。
【解決手段】ドーム10は、構造体14に支持されたテンションリング体16と、テンションリング体16の上方内側に設けられたコンプレッションリング体18と、テンションリング体16から斜め上方内側へ張り出し、コンプレッションリング体18に連結された複数の梁材20と、テンションリング体16に作用する引張力を制御するテンション制御部24と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に支持されたテンションリング体と、
前記テンションリング体の上方内側に設けられたコンプレッションリング体と、
前記テンションリング体から斜め上方内側へ張り出し、前記コンプレッションリング体に連結された複数の梁材と、
前記テンションリング体に作用する引張力を制御するテンション制御部と、
を有するドーム構造。
【請求項2】
構造体に支持されたテンションリング体と、
前記テンションリング体から斜め上方内側へ張り出す複数の梁材と、
前記テンションリング体の上方内側に設けられ、複数の前記梁材の先端部を連結する固定部と、
前記テンションリング体に作用する引張力を制御するテンション制御部と、
を有するドーム構造。
【請求項3】
前記テンションリング体は、周方向の少なくとも一か所に連結部を有し、
前記テンション制御部は、前記連結部における前記テンションリング体の一方の端部と他方の端部とを引張力を付与した状態で連結し、前記テンションリング体に予め設定した張力よりも大きな張力が作用したときに伸張する引張部材を有している、
請求項1または請求項2に記載のドーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テンションリング体とコンプレッションリング体とを梁で連結したドーム構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-542410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドーム構造は、ドームの常時荷重、言い換えれば静止荷重に対して力の系が閉じた安定した構造である。
しかし、地震時において、梁に作用する軸力が変動し、梁の許容耐力を越えて変形増大が起きると、そのバランスが崩れて全体座屈が発生する虞がある。特に、上下動地震(縦揺れ地震)による梁の変動軸力および曲げモーメントにより梁の降伏による塑性化や部材座屈に伴う急激な変形増大が起こると、ドーム全体の応力と変形のバランスが崩れ、ドーム屋根の安定性が急激に低下する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、想定外の上下動地震における安定性を確保可能なドーム構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のドーム構造は、構造体に支持されたテンションリング体と、前記テンションリング体の上方内側に設けられたコンプレッションリング体と、前記テンションリング体から斜め上方内側へ張り出し、前記コンプレッションリング体に連結された複数の梁材と、前記テンションリング体に作用する引張力を制御するテンション制御部と、を有する。
【0007】
請求項1に記載のドーム構造では、上下動地震時において、梁材に作用する圧縮方向の軸力、及び曲げモーメントによってテンションリング体に周方向に付加的な引張力が作用する。
テンションリング体に生ずる引張力は、テンション制御部で制御することができ、梁材に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制される。
これにより、梁材が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材が座屈することが抑制され、ドーム構造の安定性が確保される。
【0008】
請求項2に記載のドーム構造は、構造体に支持されたテンションリング体と、前記テンションリング体から斜め上方内側へ張り出す複数の梁材と、前記テンションリング体の上方内側に設けられ、複数の前記梁材の先端部を連結する固定部と、前記テンションリング体に作用する引張力を制御するテンション制御部と、を有する。
【0009】
請求項2に記載のドーム構造では、上下動地震時において、梁材に作用する圧縮方向の軸力、及び曲げモーメントによってテンションリング体に周方向に付加的な引張力が作用する。
テンションリング体に生ずる引張力は、テンション制御部で制御することができ、梁材に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制される。
これにより、梁材が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材が座屈することが抑制され、ドーム構造の安定性が確保される。
なお、固定部とは、梁材の先端部同士を直接的に連結する部分、及び梁材の先端部を円板等のリング以外の部材で連結する部分の両方を含む。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のドーム構造において、前記テンションリング体は、周方向の少なくとも一か所に連結部を有し、前記テンション制御部は、前記連結部における前記テンションリング体の一方の端部と他方の端部とを引張力を付与した状態で連結し、前記テンションリング体に予め設定した張力よりも大きな張力が作用したときに伸張する引張部材を有している。
【0011】
請求項3に記載のドーム構造では、テンションリング体に予め設定した張力よりも大きな引力が作用すると、引張力が付与された引張部材が伸長し、テンションリング体に作用する引張力の過大な上昇を抑制する。
これにより、梁材に生ずる過大な軸力、及び曲げモーメントが抑制され、梁材の塑性化や座屈を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明のドーム構造によれば、想定外の上下動地震における安定性を確保することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係るドーム構造が適用されたドームを示す斜視図である。
図2】(A)はテンション制御部の一例を示す断面図であり、(B)は張力作用時のテンション制御部を示す断面図である。
図3】(A)はテンション制御部の他の一例を示す断面図であり、(B)は張力作用時のテンション制御部を示す断面図である。
図4】(A)はテンション制御部の他の一例を示す断面図であり、(B)は張力作用時のテンション制御部を示す断面図である。
図5】(A)は第2の実施形態に係るドーム構造に用いられたコンプレッションリング体のテンション制御部の一例を示す断面図であり、(B)は圧縮力作用時のテンション制御部を示す断面図である。
図6】第3の実施形態に係るドーム構造が適用されたドームに用いられたコンプレッションリング体のテンション制御部の一例を示す斜視図である。
図7】第4の実施形態に係るドーム構造が適用されたドームを示す斜視図である。
図8】他の実施形態に係るドーム構造が適用されたドームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1図4を用いて、本発明の第1の実施形態に係るドーム構造について説明する。
図1には、実施形態に係るドーム構造が適用されたドーム10を備えた建物12が斜視図にて示されている。本実施形態の建物12は、一例として競技場を挙げることができるが、競技場以外であってもよい。
【0015】
建物12は、円環状の構造体14を備えている。構造体14の内周部分には、一例として観客席(図示せず)が設けられている。
【0016】
ドーム10は、構造体14の上部に設けられている。ドーム10は、円環状のテンションリング体16と、テンションリング体16の内側かつ、テンションリング体16よりも上方に配置される円環状のコンプレッションリング体18と、テンションリング体16とコンプレッションリング体18とを連結し、テンションリング体16及びコンプレッションリング体18の半径方向(放射方向)に延びる複数本の梁材20、及び屋根材22とを含んで構成されている。なお、屋根材22は、テンションリング体16とコンプレッションリング体18との間全体に設けられているが、図1においては一部のみを図示している。
【0017】
テンションリング体16は、円弧形状に形成された複数(本実施形態では4個)のリング片16Aを備え、隣り合うリング片16Aとリング片16Aとがテンション制御部24を介して連結されている。リング片16Aは、一例として、鋼材等で形成されている。なお、コンプレッションリング体18、及び梁材20も鋼材等で形成されている。
【0018】
テンションリング体16は、構造体14の上部に設置された複数の支承材26で支持されており、テンションリング体16は周方向の伸び縮みが可能となっている。支承材26としては、一例として、複数の鋼板とゴム層とを交互に積層した積層ゴム、すべり支承、転がり支承などを用いることができる。
【0019】
テンション制御部24は、テンションリング体16の周方向のテンションを制御するものであり、一例として、図2図4に示す構造のものが適用される。
【0020】
先ず、図2に示すテンション制御部24について説明する。
図2に示すように、リング片16Aは、中空構造、一例として角パイプ形状とされ、周方向の端部は、蓋部材28で塞がれており、リング片16Aの内部には、蓋部材28から離れた位置に隔壁30が固定されている。
【0021】
一方のリング片16Aと他方のリング片16Aの各々の蓋部材28、及び隔壁30を貫通するようにテンション部材32が設けられている。テンション部材32は、リング片16Aに比較して伸び易い材料であることが好ましい。テンション部材32は、一例としてPC鋼棒、ストランド等を用いることができる。
【0022】
本実施形態のテンション部材32は、PC鋼棒で形成されており、両端部に雄螺子34が形成されており、雄螺子34にナット36が螺合している。ナット36は、隔壁30に当接した状態で締め込まれており、テンション部材32に予め引張力(プレストレス)を付与している。
【0023】
(作用、効果)
次に、図2(A)に示すテンション制御部24をテンションリング体16に備えたドーム10の作用効果について説明する。
地震が起きていない通常時(静止時)において、テンションリング体16には、コンプレッションリング体18、梁材20、及び屋根材22の荷重が半径方向内側から外側へ向けて作用することで、周方向の張力(矢印A)が常時作用している。
【0024】
ここで、上下動地震が起きると、ドーム10全体が上下動して、梁材20の軸力が変動する。そして、梁材20に作用する圧縮方向の軸力、及び曲げモーメントによってテンションリング体16に、通常時よりも大きな張力が作用する。
【0025】
テンション制御部24に大きな張力が作用して予め引張力(プレストレス)を超えると、図2(B)に示すように、テンション制御部24が離間して、テンション部材32が伸びて、テンションリング体16が周方向に伸び、梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制される。これにより、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制され、ドーム10の安定性が確保される。
【0026】
次に、図3(A)に示すテンション制御部24について説明する。
図3(A)に示すテンション制御部24では、一方のリング片16Aの端部と他方(図面右側)のリング片16Aの端部とが、低降伏点鋼材で形成された棒状や板状の引張部材38で連結されている。低降伏点鋼材とは、リング片16Aを構成している鋼材よりも伸び易い鋼材である。図3(A)に示すテンションリング体16では、引張部材38で連結されている部分が、連結部39とされている。
【0027】
本実施形態の引張部材38は、長手方向中央部分が長手方向両端部分よりも小径に形成されており、中央部分が伸び易く形成されている。なお、引張部材38は、全長に渡って断面積を同一(全長に渡って径を一定)にしてもよく、その場合は、降伏耐力を低く設定して早期に伸び変形するように設計すればよい。
【0028】
次に、図3(A)に示すテンション制御部24を備えたドーム10の作用効果について説明する。
本実施形態では、テンション制御部24に大きな引張力が作用すると、図2(B)に示すように、引張部材38が伸び、梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制される。これにより、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制され、ドーム10の安定性が確保される。
【0029】
次に、図4(A)に示すテンション制御部24を備えたドーム10について説明する。
このテンション制御部24では、一方(図面左側)のリング片16Aの端部の下半分に鋼材で箱形状に形成された突出部40が一体的に形成されており、他方(図面右側)のリング片16Aの端部の上半分に鋼材で箱形状に形成された突出部42が一体的に形成されている。
【0030】
上側の突出部42の下壁42Aと下側の突出部40の上壁40Aとは互いに対面している。
上側の突出部42の下壁42Aの下面には、シート状の摩擦部材44が貼り付けられている。なお、摩擦部材44は、下側の突出部40の上壁40Aに貼り付けられていてもよい。
摩擦部材44は、一例として、自動車のブレーキに用いられるブレーキ材のようなもので形成することができ、鋼材よりも摩擦係数が大きい材料で形成されている。
【0031】
上側の突出部42の下壁42Aと下側の突出部40の上壁40Aとを、複数本のボルト46が貫通している。ボルト46に螺合したナット48と、ボルト46の頭部46Aとの間に、上側の突出部42の下壁42Aと下側の突出部40の上壁40Aと摩擦部材44とが挟持され、摩擦部材44が上側の突出部42の下壁42Aに圧接されている。
【0032】
なお、ボルト46は、上側の突出部42の下壁42Aに形成された丸孔49を貫通し、下側の突出部40の上壁40Aに形成された長孔51を貫通している。この長孔51は、テンションリング体16の周方向に沿って長く形成されている。
ボルト46の張力により摩擦部材44に大きな面圧を生じさせ摩擦力を発生させることができる。さらに、ボルト46の張力を調整することで、摩擦力を調整することができる。
【0033】
通常時は、図4(A)に示すようにボルト46は、長孔51の内部で、片側(図面左側)に寄せられた位置にあって、図面右側に隙間が設けられており、この隙間を設けることで、図4(B)に示すように、一方のリング片16Aと他方のリング片16Aとが互いに離間できるように構成されている。
【0034】
次に、図4(A)に示すテンション制御部24を備えたドーム10の作用効果について説明する。
上下動地震が起きてドーム10全体が上下動し、梁材20の軸力が変動し、テンション制御部24に大きな引張力が作用すると、図4(B)に示すように、摩擦部材44が、下側の突出部40の上壁40Bに圧接した状態で摺動し、一方のリング片16Aと他方のリング片16Aとが周方向に離間し、テンションリング体16が周方向に伸びる。
【0035】
これにより梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制され、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制されるので、ドーム10の安定性が確保される。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るドーム構造が適用されたドーム10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態のドーム10では、図5(A)に示すように、コンプレッションリング体18にテンション制御部24が設けられている。コンプレッションリング体18は、円弧形状に形成された複数のリング片18Aを備え、隣り合うリング片18Aとリング片18Aとがテンション制御部24を介して連結されている。
【0037】
本実施形態の通常時のテンション制御部24は、図5(A)に示すように、図面右側のリング片18Aに形成された上側の突出部42の端部と図面左側のリング片18Aの端部との間、及び図面左側のリング片18Aに形成された下側の突出部40の端部と図面右側のリング片18Aの端部との間に隙間が設けられており、コンプレッションリング体18に圧縮力(矢印B)が作用すると、一方のリング片18Aと他方のリング片18Aとが互い接近する方向に移動し、コンプレッションリング体18が周方向に縮まる。
【0038】
これにより梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制され、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制されるので、ドーム10の安定性が確保される。
【0039】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係るドーム構造が適用されたドーム10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態のドーム10では、図6に示すテンション制御部24がコンプレッションリング体18に設けられている。
【0040】
一方のリング片18Aに、側面視でL字形状に形成された第1テンションロッド接続部50が形成され、他方のリング片18Aの他端部に、第1テンションロッド接続部50と逆向きとされ側面視でL字形状に形成された第2テンションロッド接続部52が形成されている。
【0041】
第1テンションロッド接続部50の端部50Aと第2テンションロッド接続部52の端部52Aとが、第1の実施形態と同様の引張部材38で連結されている。
【0042】
(作用、効果)
次に、コンプレッションリング体18に図6に示すテンション制御部24を備えたドーム10の作用効果について説明する。
【0043】
上下動地震が起きて、ドーム10全体が上下動し、コンプレッションリング体18に通常時よりも大きな圧縮力が作用すると、引張部材38が伸びてコンプレッションリング体18は周方向(矢印B)に圧縮される。
これにより梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制され、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制されるので、ドーム10の安定性が確保される。
【0044】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係るドーム構造が適用されたドーム10について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態のドーム10では、テンションリング体16、及びコンプレッションリング体18共に、鋼材等により周方向に一様に形成されている。
【0045】
本実施形態のドーム10は、テンションリング体16が複数本の柱54に支持されている。柱54は、鋼材等で形成されており、ドーム10の荷重を支持しているが、曲げ変形可能とされている。本実施形態では、柱54がテンション制御部24とされている。
なお、柱54は、構造体14の上部に立設されていてもよく、基礎や地盤に立設されていてもよい。
【0046】
(作用、効果)
次に、本実施形態のドーム10の作用効果について説明する。
上下動地震が起きてドーム10全体が上下動し、梁材20の軸力が変動してテンションリング体16に周方向に引張力(矢印A)が作用すると、テンションリング体16が周方向に伸びて拡径すると共に、テンションリング体16を支持している柱54がテンションリング体16の径方向外側へ曲げ変形する。
【0047】
これにより梁材20に生ずる軸力、及び曲げモーメントが抑制され、梁材20が上下動地震により降伏して塑性化することや梁材20が座屈することが抑制されるので、ドーム10の安定性が確保される。
【0048】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0049】
上記実施形態では、ドーム10の形状が円形であったが、ドーム10の形状は、円形に限らず、多角形であってもよく、楕円形であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、テンションリング体16の内側にコンプレッションリング体18が配置され、テンションリング体16から径方向内側へ延びる梁材20の端部がコンプレッションリング体18に接続されていたが、梁材20の端部の接続対象は、コンプレッションリング体18に限らない。例えば、図8に示すように、コンプレッションリング体18の代わりに、円板形状の固定部56を設け、この固定部56に梁材20の端部を接続してもよい。
【0051】
また、図示を省略するが、ドーム10の中心部において、複数の梁材20の端部同士を直接的に連結する構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 ドーム
14 構造体
16 テンションリング体
18 コンプレッションリング体
20 梁材
24 テンション制御部
38 引張部材
39 連結部
56 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8